訪問看護を利用する際、特に1日に複数回のケアが必要な方やそのご家族にとって、訪問看護の二時間ルールは重要な規定です。
このルールは、訪問看護師が利用者様のご自宅を訪問する際の時間間隔に関するもので、医療保険や介護保険の費用算定に直接関わります。
ご自身の状況で1日に複数回の訪問が可能なのか、費用はどうなるのか、疑問に思う方も少なくありません。
この記事では、訪問看護の2時間ルールの基本的な考え方から、同一日に複数回の訪問が認められる条件、医療保険と介護保険での違い、利用時の注意点まで、分かりやすく解説します。
はじめに知っておきたい訪問看護の基本
訪問看護の2時間ルールを理解する前に、まずは訪問看護サービスそのものについての基本的な知識を持つことが大切です。どのようなサービスを受けられるのか、誰が利用できるのかを知ることで、ルールの意味や必要性を理解できます。
訪問看護サービスの内容
訪問看護とは、看護師や理学療法士などの専門家が、病気や障がいを持つ方の自宅を訪問し、主治医(かかりつけ医)の指示に基づいて療養生活を支援するサービスです。
単に医療的な処置を行うだけでなく、利用者様が住み慣れた地域で安心して生活を送れるように、心身両面から多角的にサポートします。
訪問看護で提供される主なケア
ケアの分類 | 具体的な内容 | 目的 |
---|---|---|
健康状態の観察 | 血圧、体温、脈拍、呼吸などの測定、病状のチェック | 異常の早期発見と対応 |
医療的処置 | 点滴、注射、血糖測定、インスリン注射、褥瘡(床ずれ)の予防・処置、医療機器の管理 | 主治医の指示に基づく治療の継続 |
日常生活の支援 | 食事や排泄の介助、身体の清拭、入浴介助、リハビリテーション | 身体機能の維持・向上と快適な生活の確保 |
ケアを通じて、利用者の自立を促し、ご家族の介護負担を軽減することも重要な役割の一つです。利用者一人ひとりの状態や希望に合わせて、個別性の高いケア計画を作成し、サービスを提供します。
訪問看護を利用できる対象者
訪問看護サービスは、年齢や疾患にかかわらず、医師が訪問看護の必要性を認めたすべての方が利用対象です。新生児から高齢者まで、幅広い年代の方が自宅で療養しながらサービスを受けています。
利用対象者の例
- 病気やけがで寝たきりの方
- 認知症や精神疾患を抱える方
- 医療機器(在宅酸素、人工呼吸器など)を使用している方
- 終末期ケア(ターミナルケア)を希望する方
- 難病や小児慢性疾患を持つ方
利用にあたっては、公的な保険制度である医療保険または介護保険を適用し、どちらの保険が適用されるかは、利用者の年齢や疾患、要介護認定の有無によって決まります。
保険適用の違いが、訪問看護の二時間ルールの解釈にも影響を与えることがあります。
訪問看護の利用開始までの流れ
実際に訪問看護サービスを利用するためには、いくつかの手順を踏む必要があり、まずは主治医や地域の相談窓口に相談することから始まります。
まず、主治医や病院の相談員、地域のケアマネジャー、地域包括支援センターなどに相談し、次に、利用したい訪問看護ステーションを選び、申し込みます。
その後、訪問看護ステーションの担当者が利用者様のご自宅を訪問し、面談を通じて健康状態やご希望を確認し、情報を基に、主治医が訪問看護指示書を作成し、それに基づいて訪問看護計画が立てられ、契約後にサービスの利用が開始されます。
この一連の流れの中で、ご自身の状態や希望をしっかりと伝えることが、適切なサービスを受けるための第一歩です。
訪問看護の2時間ルールとは何か
訪問看護における2時間ルールは、同一の利用者様に対して、1日に複数回の訪問看護を行う際に関わる重要な規定です。
医療保険を利用する場合に基本となる考え方で、訪問と次の訪問の間隔が2時間以上空いているかどうかで、それぞれの訪問を独立した訪問として費用を算定できるかが決まります。
ルールの基本的な考え方
原則として、訪問看護ステーションから1日に2回以上の訪問看護を行った場合、それぞれの訪問にかかる費用を算定するためには、訪問と次の訪問の間隔を概ね2時間以上空ける必要があります。
これは、1回の訪問で必要なケアをまとめて提供することを基本とし、短時間で頻回な訪問が無計画に行われるのを防ぐための規定です。
2時間ルールの基本原則
訪問間隔 | 費用の算定方法 | 基本的な考え方 |
---|---|---|
2時間以上 | それぞれの訪問を1回分として算定 | 独立した2回の訪問として扱われる |
2時間未満 | 複数回の訪問時間を合算して1回の訪問として算定 | 一連のサービス提供と見なされる |
例えば、午前10時に30分間の訪問を行い、次に午後1時に30分間の訪問を行った場合、訪問間隔が3時間空いているため、それぞれを独立した訪問として費用を算定できます。
なぜ2時間という基準が設けられたのか
2時間という基準は、訪問看護のサービス提供の効率性と質を担保するために設けられました。
1回の訪問で一連のケアを完結させることがサービスの基本であり、短時間のうちに何度も訪問することは、利用者にとっても落ち着かない生活につながる可能性があります。
また、医療資源を適切に配分するという観点からも、1回の訪問で提供すべきサービスを分割して複数回訪問することは、制度上推奨されていません。
それぞれの訪問が医学的に見て明確に必要であり、かつ時間的にも分離していることを示す基準として、2時間という目安が設定されているのです。
2時間ルールが適用される場面
2時間ルールが特に重要になるのは、1日に複数回の医療的処置が必要なケースです。
1日に数回の点滴が必要な場合や、褥瘡の処置と排泄ケアを別の時間に行う必要がある場合などが該当し、このような状況で、それぞれのケアを別の訪問として算定するためには、2時間以上の間隔を空けるという原則が適用されます。
ただし、利用者様の病状が急変した場合など、緊急性がある場合はこのルールの例外となることがあります。
2時間未満の間隔で訪問した場合の算定方法
もし、やむを得ない事情で訪問の間隔が2時間未満になった場合、費用の算定方法が変わり、この場合、複数回の訪問時間をすべて合算し、まとめて1回の訪問として費用を計算します。
午前10時に20分間、午前11時に30分間の訪問を行ったとすると、訪問間隔は1時間で2時間未満のため、2つの訪問時間を合計した50分間を1回の訪問と見なして算定します。
このことにより、利用者の自己負担額や保険給付額が変わってくるため、訪問看護ステーションは計画的に訪問時間を調整することが大事です。
2時間ルールの例外となるケース
訪問看護の2時間ルールには、原則がある一方で、利用者様の状態や提供されるサービス内容に応じて適用されない、いくつかの例外的なケースがあります。例外を理解することは、必要なケアを適切なタイミングで受けるために重要です。
20分未満の訪問看護(緊急時訪問など)
20分未満の短時間の訪問看護は、2時間ルールの考え方とは少し異なり、利用者の状態が急に悪化し、緊急で訪問する必要が生じた場合に算定される緊急時訪問看護加算などがこれに該当します。
緊急訪問は、計画的な訪問とは性質が異なるため、直前の訪問からの時間間隔にかかわらず、別の訪問として算定することが可能で、利用者の安全を最優先するための措置です。
緊急時訪問看護加算の概要
項目 | 内容 | 目的 |
---|---|---|
対象者 | 緊急時の対応体制を契約している利用者 | 24時間体制での安心の確保 |
算定要件 | 計画外の緊急訪問を20分以上行った場合 | 急な状態変化への迅速な対応 |
2時間ルール | 原則として適用されない | 緊急性を最優先するため |
複数名の看護師による訪問
利用者様の状態によっては、一人の看護師では安全なケアの提供が難しく、複数名の看護師が同時に訪問することがあり、体重のある方の入浴介助や、複雑な医療機器の操作を伴う処置などです。
複数名で訪問した場合に算定できる複数名訪問看護加算は、2時間ルールとは別の加算項目として扱われます。加算自体が2時間ルールの直接的な例外となるわけではありませんが、ケアの必要性に応じて柔軟な対応が可能であることを示しています。
長時間訪問看護加算との関係
長時間の訪問看護が必要な利用者様に対しては、長時間訪問看護加算という制度があり、特に重症度が高い方や特別なケアを要する方に対して、1回の訪問で90分以上のサービスを提供した場合に算定されるものです。
加算は、1回の訪問時間を長くすることで対応するものであり、複数回訪問する2時間ルールとは目的が異なりますが、1日に複数回のケアが必要な方が、そのうちの1回で長時間のケアを受けるという組み合わせは考えられます。
その場合でも、別の訪問を行う際には、原則として2時間ルールが適用されます。
同一日に複数回訪問が可能になる条件
訪問看護の2時間ルールは原則ですが、利用者の医学的な必要性が高い場合には、ルールの例外として同一日に複数回の訪問が認められます。どのような場合に複数回の訪問が可能になるのか、条件を理解しておくことが大切です。
利用者の心身の状態が著しく悪化した場合
最も優先されるべきは、利用者の安全と健康です。
予測できない病状の急変、例えば急な発熱、呼吸困難、激しい痛みなど、心身の状態が著しく悪化し、緊急の対応が必要となった場合には、直前の訪問から2時間経過していなくても、再度訪問して必要なケアを行うことができます。
この場合、緊急性が高いため、それぞれの訪問が独立して算定され、利用者の命と健康を守るための非常に重要な措置です。
特別管理加算の対象者である場合
医療保険の訪問看護には、特に医療的な管理が必要な状態の方を対象とした特別管理加算という制度があります。
加算の対象となっている方は、もともと頻回なケアが必要な状態にあると判断されるため、2時間ルールの例外が適用されやすいです。
特別管理加算の対象となる主な状態
区分 | 状態の例 |
---|---|
特別管理加算(Ⅰ) | 在宅悪性腫瘍等指導管理、気管カニューレの使用、真皮を越える褥瘡など |
特別管理加算(Ⅱ) | 在宅酸素療法、留置カテーテルの使用、人工肛門・人工膀胱など |
このような状態にある方は、1日に複数回の訪問が必要になるケースが多く、医師の特別な指示があれば、2時間未満の間隔でも訪問が可能です。
留置カテーテルの管理でトラブルがあった場合や、在宅酸素療法の機器に問題が生じた場合などが考えられます。
主治医(かかりつけ医)からの特別な指示がある場合
最終的に訪問看護の必要性を判断するのは主治医です。
利用者の病状や状態から、主治医が医学的見地に基づき、1日に複数回の訪問が治療上必要であると判断し、訪問看護ステーションに対して特別な指示を出した場合(訪問看護指示書に記載)は、2時間ルールによらず複数回の訪問が可能になります。
複数回訪問の指示が出される理由の例
- 点滴を1日に数回に分けて行う必要がある
- 疼痛コントロールのために頻回な薬剤投与が必要
- 精神状態が不安定で、定期的な見守りとケアが欠かせない
- 退院直後で状態が安定せず、こまめな観察が大事
医師の明確な指示がある場合は、たとえ訪問間隔が2時間に満たなくても、それぞれの訪問が必要な医療行為として認められ、個別に算定することができます。
医療保険と介護保険での2時間ルールの違い
訪問看護は医療保険と介護保険のどちらかを利用して受けるサービスですが、どちらの保険が適用されるかによって、2時間ルールの扱いに違いが生じます。
ご自身がどちらの保険の対象になるのかを把握し、ルールの違いを理解することが重要です。
医療保険における2時間ルールの適用
これまで説明してきた2時間ルールは、主に医療保険の訪問看護における基本的な考え方です。医療保険では、1回の訪問を単位として費用が算定されるため、複数回訪問する際の時間間隔が厳密に問われます。
原則として、訪問間隔が2時間未満の場合は複数回の訪問時間を合算して1回と見なしますが、病状の悪化や特別管理加算の対象者、医師の特別な指示がある場合は、例外として扱われます。
介護保険における2時間ルールの適用
介護保険の訪問看護では、2時間ルールの考え方が少し異なり、サービスの提供時間を基準に費用が算定され、20分未満、30分未満、30分以上1時間未満といった区分で料金が設定されています。
介護保険の訪問看護の料金体系(身体介護中心の場合の例)
サービス提供時間 | 特徴 |
---|---|
20分未満 | 短時間のケアが中心 |
20分以上30分未満 | 基本的な身体介護など |
30分以上1時間未満 | 入浴介助などを含む総合的なケア |
介護保険で1日に複数回訪問する場合、それぞれのサービス提供時間を合算して1日の合計時間で算定するのではなく、1回ごとの訪問をそれぞれの時間区分で算定します。
ただし、著しく短い間隔での訪問は、一連のサービスと見なされる可能性があり、利用者の都合で1時間のサービスを30分ずつに分けて直後に行うようなケースは認められません。
基本的には、それぞれの訪問に明確な目的と必要性があれば、医療保険ほど厳密な2時間という基準は問われないことが多いです。
両保険の適用関係と優先順位
訪問看護を利用する際、どちらの保険が優先されるかについては明確なルールがあり、要介護・要支援認定を受けている65歳以上の方は、原則として介護保険が優先されます。
しかし、厚生労働大臣が定める特定の疾病(末期がん、難病など)の方や、精神科訪問看護を受ける方、病状の急性増悪期にある方などは、要介護認定を受けていても医療保険が適用されます。
保険適用の優先順位
- 原則: 介護保険が医療保険に優先する
- 例外: 厚生労働大臣が定める疾病などは医療保険が適用される
- 注意: 医療保険と介護保険の併用は原則できない
ご自身の状態によって適用される保険が異なり、訪問看護の二時間ルールの考え方も変わるため、不明な点はケアマネジャーや訪問看護ステーションに確認することが大事です。
2時間ルール適用時の料金と自己負担額
1日に複数回の訪問看護を受ける場合、費用がどのように計算されるのかは利用者様にとって大きな関心事です。2時間ルールがどのように料金や自己負担額に影響するのかを解説します。
複数回訪問における基本療養費の考え方
訪問看護の料金は、基本となる訪問看護基本療養費と、必要に応じて追加される各種加算で構成されていて、2時間ルールは、基本療養費の算定回数に影響します。
訪問間隔と基本療養費の算定
訪問間隔 | 算定方法 | 料金への影響 |
---|---|---|
2時間以上 | 訪問ごとに1回分の基本療養費を算定 | 訪問回数分の費用が発生 |
2時間未満 | 訪問時間を合算し、1回分の基本療養費を算定 | 合計時間に応じた1回分の費用が発生 |
例えば、1回の訪問看護基本療養費が5,000円だと仮定します。2時間以上の間隔を空けて2回訪問すれば、5,000円×2回=10,000円が基本療養費です。
一方、2時間未満で2回訪問し、時間を合算して1回の訪問(例えば長時間)と見なされた場合の基本療養費が8,000円であれば、その金額が適用されます。
各種加算と自己負担額の計算例
基本療養費に加えて、夜間・早朝の訪問や緊急時訪問など、特定の条件下でサービスを提供した場合には各種加算が算定され、加算も自己負担額に影響します。
自己負担額は、基本療養費と加算の合計額に、ご自身の保険証に記載されている負担割合(1割〜3割)を乗じて計算したものです。
合計費用が12,000円で自己負担割合が1割の方であれば、自己負担額は1,200円となり、複数回訪問により合計費用が高くなれば、自己負担額も増えることになります。
高額療養費制度の活用
訪問看護の費用は、複数回訪問や長期利用によって高額になることがあり、そのような場合に備えて、医療費の自己負担額が一定の上限額を超えた場合、その超えた分が払い戻される高額療養費制度があります。
この制度は医療保険、介護保険のどちらにも設けられています(介護保険では高額介護サービス費)。
高額療養費制度のポイント
- 1か月の自己負担額には上限がある
- 上限額は年齢や所得によって異なる
- 申請手続きが必要な場合がある
自己負担額がどのくらいになるか心配な方は、この制度について事前に確認しておくと安心です。ご加入の健康保険組合や市町村の担当窓口で詳細を確認できます。
2時間ルールを利用する際の注意点
1日に複数回の訪問看護は、利用者様の在宅療養を支える上で非常に有効な手段ですが、利用するためにはいくつかの注意点があります。
事前に主治医やケアマネジャーと相談する重要性
1日に複数回の訪問が必要だと感じた場合、まずは主治医やケアマネジャーに相談することが最も重要です。
自己判断で訪問看護ステーションに依頼するのではなく、なぜ複数回の訪問が必要なのか、医学的な観点や介護の観点からその必要性を客観的に判断してもらう必要があります。
相談時に伝えるべき情報
情報 | 具体例 | 目的 |
---|---|---|
身体の状態変化 | 「午後になると痛みが強くなる」「夜間に痰が増えて眠れない」 | 医学的な必要性の判断材料 |
介護者の状況 | 「日中一人になり、排泄の介助が不安」「家族の体調が悪く、介護が難しい」 | 療養環境の評価 |
具体的な希望 | 「午前中に点滴、午後にリハビリをお願いしたい」 | ケアプラン作成の参考 |
情報を基に、主治医が訪問看護指示書に複数回訪問の必要性を記載したり、ケアマネジャーがケアプランに位置づけたりすることで、スムーズなサービス利用につながります。
訪問看護ステーションとの情報共有
サービスを提供する訪問看護ステーションとも、日頃から密に情報を共有しておくことが大事です。
日々の体調の変化や不安に感じていること、生活の中で困っていることなどを具体的に伝えることで、看護師はより適切なアセスメント(状態の評価)を行うことができます。
積み重ねが、いざという時の迅速な対応や、複数回訪問の必要性の的確な判断につながります。
急な状態変化に備える
在宅療養では、いつ体調が急変するか予測が難しいこともあるため、普段から緊急時の連絡先や対応方法を家族や訪問看護ステーションと確認しておくことが重要です。
訪問看護ステーションによっては、24時間対応の体制を整えているところも多くあります。
緊急連絡先をすぐにわかる場所に貼っておく、どのような状態になったら連絡するかの目安を決めておくなど、準備をしておくと、万が一の時にも落ち着いて行動できます。
よくある質問
最後に、訪問看護の2時間ルールに関して、利用者様やご家族から寄せられることの多い質問と回答をまとめました。
- 深夜や早朝の訪問でも2時間ルールは適用されますか
-
訪問する時間帯(深夜・早朝・夜間など)にかかわらず、同一日に複数回の訪問看護を行う場合は、原則として2時間以上の間隔を空ける必要があります。
深夜や早朝の訪問には、基本療養費とは別に深夜・早朝加算などが算定されますが、2時間ルールの考え方そのものは変わりません。
ただし、夜間に容体が急変した場合など、緊急性があれば例外的に2時間未満でも訪問が可能です。
- 家族の都合で複数回の訪問をお願いできますか
-
ご家族の介護負担を軽減することも訪問看護の重要な役割ですが、複数回訪問の決定は、あくまで利用者様の医学的な必要性に基づいて行われます。
単に「家族が日中不在になるから」という理由だけでは、2時間ルールを適用して複数回の訪問を保険適用で行うことは難しいのが現状です。
しかし、その結果として利用者の療養環境に支障が出る場合は、状況を主治医やケアマネジャーに相談し、訪問回数を含めた全体のケアプランを見直すことが大事です。
- 2時間ルールについてどこに相談すれば良いですか
-
訪問看護の二時間ルールや複数回訪問について疑問や不安がある場合の相談先は、いくつかあります。それぞれの専門性を活かして、状況に応じたアドバイスをもらえます。
主な相談窓口
相談先 相談できる内容 特徴 主治医(かかりつけ医) 医学的な必要性の判断、訪問看護指示書に関する相談 治療方針の決定者 ケアマネジャー ケアプラン全体の調整、介護保険サービスの利用相談 介護サービスの専門家 訪問看護ステーション 具体的なサービス内容、費用、訪問スケジュールに関する相談 サービス提供の専門家 まずは、現在最も関わりの深い専門職に声をかけるのが良いでしょう。要介護認定を受けている方であればケアマネジャー、主に病気の治療で関わっている方であれば、主治医が最初の相談相手として適しています。
以上
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