発達障害のある方への訪問看護|支援内容と利用できる制度

発達障害のある方への訪問看護|支援内容と利用できる制度

発達障害のある方が自分らしい生活を送る上で、日常生活や社会生活において様々な困難を感じることがあります。注意欠如・多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)などの特性は、ご本人の努力だけでは対応が難しい場面も少なくありません。

このような状況において、精神科訪問看護は自宅という安心できる場所で、一人ひとりの特性に合わせた専門的な支援を提供する大事な選択肢です。

この記事では、発達障害のある方が訪問看護を利用する際の支援内容、利用の利点、手続きの流れ、活用できる公的制度について詳しく解説します。

目次

発達障害の基本的な理解

発達障害は、生まれつきの脳機能の発達に偏りがあるために生じる障害で、個人の努力不足やしつけ、育て方の問題が原因ではありません。特性は様々で、周りの環境との相互作用によって、生活の中で困難が生じることがあります。

訪問看護では、まずご本人の特性や得意なこと、苦手なことを正しく理解し、ご本人と支援の方向性を共有することから始めます。

発達障害の主な種類と特性

発達障害にはいくつかの種類があり、代表的なものとして、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(SLD)が挙げられます。

これらの特性は、どれか一つだけが現れるのではなく、複数の特性を併せ持っていることも少なくないため、一人ひとり困難の現れ方は異なります。

訪問看護師は、診断名だけで判断するのではなく、目の前のご本人の言動や生活の様子から特性を深く理解し、個別性の高い支援計画を立てることが重要です。

主な発達障害の種類と特性

障害の種類主な特性困難を感じやすい場面の例
自閉スペクトラム症(ASD)対人関係の難しさ、強いこだわり、感覚の過敏さまたは鈍感さ相手の気持ちを察すること、急な予定変更への対応、特定の音や光が苦手
注意欠如・多動症(ADHD)不注意(集中が続かない)、多動性(落ち着きがない)、衝動性(考えずに行動する)忘れ物が多い、約束を守れない、感情の起伏が激しい
学習障害(SLD)知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す文字が読めない、文章の作成が苦手、簡単な計算ができない

大人の発達障害で見られる困りごと

子どもの頃には「個性的」「少し変わっている」と見過ごされていた特性が、大人になり社会的な責任が増すにつれて、深刻な困りごととして顕在化するケースは珍しくありません。

就職、一人暮らし、結婚、昇進など、環境の変化や求められる役割の増大がきっかけとなり、これまで自己流の工夫で何とか対処できていた困難が限界を迎えるのです。

困りごとは多岐にわたり、本人の自信を失わせ、自己肯定感の低下や、うつ病・不安障害といった二次的な精神疾患につながることもあります。

大人の発達障害で生じやすい困りごとの例

  • 仕事でのミスが多い(ケアレスミス、納期遅延)
  • 職場での人間関係がうまくいかない
  • 家事や金銭の自己管理が難しい
  • 感情のコントロールが困難
  • 過度な疲労感やストレス

なぜ医療的な支援が大事なのか

発達障害の特性そのものをなくすことはできませんが、医療的な支援を通じて、特性との上手な付き合い方を学び、生活上の困難を軽減することは可能です。

専門家による支援は、ご本人が自身の特性を客観的に理解し、対処法を身につける上でとても重要です。自己流の対策だけでは限界があり、かえって心身を疲弊させてしまうこともあります。

また、発達障害のある方は、ストレスへの対処が苦手な傾向があり、うつ病や不安障害、適応障害などの二次障害を引き起こしやすいことが知られています。

訪問看護は、医療機関とご自宅とをつなぎ、二次障害の兆候を早期に発見し、継続的な支援を提供する大事な役割を担います。

訪問看護が発達障害のある方へ提供する支援

発達障害のある方への訪問看護は、単に病状を観察するだけではありません。ご本人が地域社会で安心して自分らしく暮らせるように、生活全般にわたる包括的な支援を提供します。

日常生活の安定化に向けた支援

発達障害の特性により、規則正しい生活を送ることが難しい場合があり、例えば、ADHDの特性がある方は、興味のあることに没頭してしまい(過集中)、食事や睡眠を忘れてしまうことがあります。

逆にASDの特性がある方は、次に何をすべきか分からず動けなくなってしまう(フリーズ)こともあります。訪問看護師は、ご本人と一緒に生活リズムを整え、安定した毎日を送れるよう支援することが大きな役目です。

起床・就寝時間、食事、服薬などを習慣化するための工夫を考え、実践を後押しし、金銭管理や整理整頓、家事の段取りなど、生活していく上で必要な技能の習得も手伝います。

訪問看護による支援の三本柱

支援の領域具体的な支援内容目指す状態
日常生活の安定生活リズムの確立、服薬管理、金銭管理、家事遂行の助言心身の健康基盤が整い、安定した毎日が送れる
精神面の安定悩みや不安の傾聴、ストレス対処法の習得、感情コントロールの助言自己肯定感が高まり、精神的に落ち着いて過ごせる
社会参加の促進対人関係の技能向上、公的機関の利用支援、就労に向けた相談孤立を防ぎ、社会とのつながりを持てる

心の健康を保つための精神的サポート

発達障害のある方は、その特性から周囲に誤解されたり、対人関係で傷ついたり、仕事で失敗体験を重ねたりすることで、自己肯定感が低くなりがちです。また、感覚過敏などから常に強いストレスにさらされていることもあります。

訪問看護師は、ご本人の一番の理解者として、評価や批判をせず、ありのままを受け入れる姿勢で悩みや不安に耳を傾け、精神的な安定を図ります。

対話を通じてご本人の強みやこれまでの成功体験、得意なことを見つけ出し、自信を持って生活できるよう支援することも大切です。

社会参加を後押しする具体的な手伝い

仕事や地域活動など、社会とのつながりを持つことは、生活の質を高める上でとても大事です。しかし、発達障害の特性が対人関係や業務遂行の障壁となることもあり、訪問看護では、ご本人の希望に応じて、社会参加を後押しする支援も行います。

ハローワークや障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所などの関係機関と連携し、ご本人に合った働き方や環境を見つける手伝いをします。

履歴書の作成や面接の練習を手伝ったり、就職後に職場で生じた困りごとについて対処法を一緒に考えたりすることもあります。

ご家族へのサポートと助言

発達障害のある方を支えるご家族もまた、ご本人の特性への理解や関わり方に戸惑ったり、将来への不安を感じたり、長年のサポートで疲弊してしまったりすることもあるでしょう。訪問看護は、ご本人だけでなく、ご家族からの相談にも応じます。

ご家族がご本人の特性を病理としてではなく個性として正しく理解し、適切な関わり方ができるよう助言します。

また、利用できる社会資源の情報を提供したり、ご家族自身の心身の健康を保つための休息(レスパイト)の重要性を伝えたりすることで、家族全体の負担を軽減し、良好な関係づくりを支援します。

ご家族への支援内容

  • ご本人の特性に関する説明と理解促進
  • ご本人への適切な関わり方に関する助言
  • ご家族自身の悩みやストレスの傾聴
  • 利用可能な福祉サービスや相談機関の情報提供

訪問看護の具体的な支援内容

訪問看護の支援は、ご本人の状態や生活に合わせて多岐にわたります。画一的なプログラムを提供するのではなく、ご本人との対話を通してオーダーメイドの支援を組み立てていきます。

症状の自己管理と服薬支援

発達障害の特性に伴う困難を和らげるために、薬物療法が行われることがあり、ADHDの不注意や多動性・衝動性を抑える薬、あるいは二次障害であるうつ病や不安障害に対する薬などです。

薬を飲み忘れたり、副作用への不安から自己判断で中断してしまったりすることも少なくないので、訪問看護師は、薬の正しい効果や副作用について分かりやすく説明し、ご本人が納得して治療を続けられるよう支援します。

お薬カレンダーやアプリなどを活用した飲み忘れ防止の工夫を一緒に考えたり、副作用が出た時の対処法(まずは医師や看護師に相談すること)を伝えたりします。

また、日々の体調や気分の変化を一緒に確認し、薬の効果を客観的に評価して主治医に報告する役割も担います。

症状の自己管理支援のポイント

支援項目看護師の役割期待される効果
服薬管理薬の効果・副作用の説明、飲み忘れ防止の工夫、残薬の確認治療の継続、症状の安定
体調・気分の観察日々の状態変化のモニタリング、記録の支援症状の悪化を早期に発見、適切な対処
主治医への報告客観的な状態変化を整理し、医師に情報提供より効果的な治療方針の決定

生活リズムの構築と環境調整

生活リズムの乱れは、心身の不調に直結します。訪問看護師は、ご本人と一緒に一日のスケジュールを考え、無理なく実行できるような生活習慣を提案します。

視覚的な情報の方が理解しやすい特性を持つ方には、イラストや写真を使ったスケジュール表を作成したりし、スマートフォンのアラーム機能やTo-Doリストアプリの活用も有効です。

また、感覚過敏がある方には、部屋の照明を間接照明に変えたり、ノイズキャンセリングイヤホンを使ったり、肌触りの良い衣類を選んだりするなど、刺激を減らして安心して過ごせる環境を整える手伝いも実施します。

情報の整理が苦手な方には、書類のファイリング方法や物の定位置を決めるなどの支援も行います。

生活リズム構築のための工夫例

時間帯タスクの例支援の工夫
決まった時間に起きる、朝食をとる、着替える光目覚まし時計の導入、前夜のうちに服を準備
昼食、休憩、活動(仕事や家事)タイマーで休憩時間を管理、タスクを細分化
夕食、入浴、リラックスタイム、就寝スマートフォンを寝室に持ち込まない、リラックスできる音楽を聴く

対人関係の技能向上に向けた助言

対人関係の悩みは、発達障害のある方が抱えやすい困難の一つです。相手の意図を誤解してしまったり、場の空気が読めず不適切な発言をしてしまったり、自分の考えをうまく伝えられなかったりすることで、トラブルに発展することがあります。

訪問看護では、ご本人が実際に経験した具体的な場面を振り返りながら、どのような言動が望ましかったかを一緒に考えます。

ロールプレイング(役割演技)などを通じて、報告・連絡・相談の仕方、上手な断り方、雑談の続け方など、会話の練習をし、様々な状況で応用できる対人関係の技能を少しずつ身につけていくことを目指します。

これはソーシャルスキルトレーニング(SST)と呼ばれる手法の一つです。

対人関係技能の練習テーマ例

  • 人への頼みごとや断り方
  • 自分の意見を伝える方法(アサーション)
  • 雑談や短い会話を続けるコツ
  • 相手からの指摘や批判への対応

発達障害で訪問看護を利用する利点

発達障害のある方が支援を受ける方法は、外来通院、カウンセリング、デイケアなどいくつかありますが、訪問看護には他にはない独自の利点があります。

自宅という安心できる環境で支援を受けられる

最大の利点は、ご本人が最もリラックスできる自宅で支援を受けられることです。医療機関や相談機関に出向くことが苦手な方や、慣れない場所では緊張してうまく話せない方にとって、住み慣れた環境は安心感をもたらします。

看護師が実際の生活の場を見ることで、より具体的で実践的な助言ができるという側面もあります。

部屋の片づけ方や家事の動線、趣味のスペースなど、その人の生活の場だからこそ見えてくる課題や強みに対して、その場で一緒に解決策を考えられます。

外来診療では話せなかったような、日常の些細な悩みも相談しやすい関係性を築きやすいです。

一人ひとりの特性に合わせた個別対応

訪問看護は、一対一の時間を30分から90分程度、十分に確保できるため、きめ細やかな個別対応が可能です。発達障害の特性の現れ方は千差万別であり、画一的な支援では効果が上がりにくいことがあります。

訪問看護師は、ご本人の得意なこと・苦手なこと、興味・関心、生活歴などを聞き取り、その人だけの支援計画を作成します。

訪問看護の利点

利点利用者にとっての価値家族にとっての価値
在宅での支援安心感、移動の負担がない、生活実態に即した支援本人の様子がわかる、送迎が不要
個別対応特性に合わせた支援、主体性の尊重、無理のないペース本人の変化を実感しやすい
多機関連携包括的な支援が受けられる、手続きの負担軽減どこに相談すればよいか明確になる

医療機関や関係機関との円滑な連携

訪問看護ステーションは、主治医の指示のもとに支援を行うため、医療機関との連携が不可欠です。

看護師はご本人の日々の様子や支援の状況を主治医に報告し、治療方針について情報を共有し、医療の一貫性を保つことができます。

また、必要に応じて、保健所、障害者就業・生活支援センター、相談支援事業所、ヘルパーステーションなどの地域の関係機関とも連携します。

ご本人に必要な社会資源を円滑につなぎ、多方面から生活を支えるチームを構築する上で、訪問看護師は重要な調整役(ハブ)の役割を果たし、ご本人が各機関に自分で連絡を取る負担を軽減できます。

訪問看護の利用開始までの流れ

実際に訪問看護を利用したいと考えた場合、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。ここでは、利用開始までの一般的な流れを解説します。

まずは主治医や相談機関に相談

精神科訪問看護は、医師の指示書に基づいて行われる医療サービスで、まずは精神科や心療内科の主治医に、訪問看護を利用したい旨を相談することが最初の段階です。主治医が訪問看護の必要性を認めた場合、訪問看護指示書を作成してくれます。

もし、かかりつけの医療機関がない場合や、どこに相談してよいか分からない場合は、お住まいの地域にある相談機関に問い合わせてみるのがよいでしょう。

主な相談機関

  • 市区町村の障害福祉担当窓口
  • 保健所・保健センター
  • 精神保健福祉センター
  • 発達障害者支援センター
  • 相談支援事業所

訪問看護ステーションの選定と契約

主治医から訪問看護の利用について同意が得られたら、次に利用する訪問看護ステーションを選びます。医療機関から紹介してもらうこともできますし、ご自身でインターネットなどで探すことも可能です。

ステーションを選ぶ際は、精神科の訪問看護に対応しているか、発達障害の支援経験が豊富か、自宅が訪問エリアに含まれているかなどを確認しましょう。

利用したいステーションが決まったら、連絡を取って面談の日程を調整し、面談では、ステーションの職員がサービス内容や料金について説明し、ご本人の状況や希望を伺います。内容に納得できれば、契約手続きを進めます。

利用開始までの手順

手順行うこと関わる人・機関
相談訪問看護を利用したい意思を伝える主治医、相談機関
選定・契約訪問看護ステーションを選び、面談・契約を行う本人・家族、訪問看護ステーション
計画作成・開始支援計画を作成し、訪問看護を開始する本人・家族、訪問看護師、主治医

支援計画の作成とサービスの開始

契約後、訪問看護ステーションの看護師がご自宅を訪問し、ご本人やご家族と面談しながら、支援計画を作成します。

計画はアセスメント(情報収集と評価)に基づいており、解決すべき生活上の課題、達成したい目標、そのための支援内容などを盛り込みます。

例えば、「週に一度、一緒に買い物の計画を立てて、予算内で買い物ができるようになる」といった具体的な目標を設定します。計画は、ご本人の同意を得て決定することが重要です。

支援開始後も、定期的に計画を評価・見直し、ご本人の状態の変化や希望に応じて内容を柔軟に調整していきます。

訪問看護で活用できる公的制度と費用

発達障害のある方が精神科訪問看護を利用する場合、各種公的医療保険が適用されます。さらに、自己負担額を軽減するための制度もありますので、うまく活用することが、安心して支援を受け続ける上で大事です。

医療保険の適用について

精神科訪問看護は、公的医療保険(健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度など)の対象となるサービスです。利用者はかかった費用のうち、原則1割から3割を自己負担し、自己負担の割合は、年齢や所得によって異なります。

訪問看護の利用回数は、原則として週3日までですが、主治医が特に集中的な支援が必要だと判断した場合には、それ以上の回数を利用することも可能です。利用料金は、滞在時間や提供されるサービス内容によって変動します。

自立支援医療制度(精神通院医療)の活用

自立支援医療制度(精神通院医療)は、精神疾患の治療のために通院を継続する必要がある方の医療費の自己負担を軽減する制度で、発達障害もこの制度の対象です。

この制度を利用すると、訪問看護を含む指定医療機関での医療費の自己負担割合が、通常1割から3割のところ、原則1割に軽減されます。

さらに、世帯の所得に応じて1ヶ月あたりの自己負担額に上限が設けられるため、費用負担を大幅に抑えることが可能です。

申請はお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で行います。申請時には、申請書、医師の診断書、健康保険証、マイナンバーが確認できる書類などの提出があり、有効期間は1年間で、継続するには更新手続きが必要です。

医療保険と自立支援医療の比較

制度自己負担割合月額自己負担上限額
公的医療保険のみ1割~3割 (年齢・所得による)なし (高額療養費制度は別途あり)
自立支援医療を適用原則1割あり (所得区分による)

自己負担額の目安

自立支援医療制度を利用した場合の自己負担額は、世帯の所得によって区分が分かれていて、市町村民税非課税世帯の方であれば、月々の負担上限額が2,500円や5,000円となり、それ以上は請求されません。

一定以上の所得がある方でも、医療保険での負担が著しく高額にならないような上限額が設定されています。生活保護を受給している場合は、自己負担はありません。ご自身の世帯がどの区分に該当するかは、市区町村の窓口で確認できます。

よくある質問

ここでは、発達障害のある方やそのご家族から、訪問看護に関してよく寄せられる質問と回答をまとめました。

家族だけでも相談できますか

ご本人が受診や相談に抵抗がある場合、ひきこもりがちで外出が難しい場合でも、ご家族が先に訪問看護ステーションに相談することができます。

ご本人の日頃の様子やご家族が困っていることなどを伺い、今後どのように関わっていくのが良いか、どのような支援が考えられるかを一緒に検討します。

すぐに訪問看護の利用につながらなくても、適切な相談機関を紹介するなど、情報提供を通じてご家族を支援します。

どのくらいの頻度で利用するものですか

利用頻度は、ご本人の状態や希望、生活状況、そして主治医の判断によって決まり、一概に決まった回数はありません。

一般的には、利用開始当初は関係づくりや生活状況の把握のために週に1回から2回程度の利用から始める方が多いです。

状態が不安定な時期には週3回以上利用したり、逆に状態が安定してきてご自身で生活をコントロールできるようになってきたら、隔週や月1回に頻度を減らしたりと、状況に応じて柔軟に調整することができます。

訪問看護でできないことは何ですか

訪問看護は医療保険で行うサービスであり、ご本人の自立を支援することが目的です。

そのため、介護保険のホームヘルプサービスとは異なり、単なる家事の代行(掃除、洗濯、調理など)や、買い物、通院の付き添いといった直接的な身体介助や家事援助は原則として行えません。

ただし、ご本人が主体的に家事などを行えるように、やり方を一緒に考えたり、練習を手伝ったりすることは支援の範囲内です。あくまで、ご本人が生活技能を身につけるための関わりが中心となります。

診断がなくても利用できますか

精神科訪問看護の利用には、原則として医師による診断と指示書が必要で、これは、訪問看護が医療行為の一環として位置づけられているためです。

まだ確定診断が下りていない段階でも、主治医が発達障害の傾向を認め、日常生活に支障が出ており、訪問看護による専門的な支援が必要だと判断すれば、指示書を書いてもらうことはできます。

大事なのは診断名そのものよりも、生活の中でどのような困りごとがあるかです。まずは、生活の中での困りごとについて主治医に相談し、訪問看護の利用が有効かどうかを話し合いましょう。

以上

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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