デイサービスに通いながら訪問看護も受けたいと考えたとき、「同じ日に両方使えるの?」と疑問を持つ方は少なくありません。原則として介護保険のデイサービスと訪問看護は同日に利用できませんが、医療保険の訪問看護であれば併用が認められる場合があります。
この記事では、同日利用が制限される理由や例外となる条件、デイケア(通所リハビリテーション)との併用ルール、委託契約の仕組みまで、気になるポイントを順を追って整理しました。
介護保険と医療保険の違いを正しく知ることで、ご本人やご家族が安心してサービスを選べるようになります。ケアマネジャーや主治医に相談する前の予備知識として、ぜひお役立てください。
デイサービスと訪問看護の同日利用は介護保険では原則認められない
介護保険の枠組みでは、デイサービス(通所介護)と訪問看護を同じ日に利用することは原則として認められていません。理由は、両サービスが同じ介護保険の「居宅サービス」に分類され、通所中はその施設が介護責任を負うとみなされるためです。
介護保険における「通所」と「訪問」の基本的な位置づけ
介護保険の居宅サービスは大きく「通所系」と「訪問系」に分かれます。デイサービスは通所系に該当し、利用者が施設に出向いて入浴や食事、レクリエーションなどの支援を受ける形態です。訪問看護は訪問系サービスであり、看護師が自宅を訪れて医療的ケアや健康管理を行います。
居宅サービスの基本的な考え方として、利用者が施設に通っている時間帯はその施設が生活全般の支援を引き受けるという前提があります。この前提があるからこそ、同じ時間帯に別の訪問系サービスを重ねることは想定されていないのです。
通所系サービスを利用している時間帯は、その施設の職員が利用者の健康状態を管理しています。そのため、同じ時間帯に訪問看護師が自宅を訪れても提供先が重なり、制度上の矛盾が生じてしまいます。
同日利用が制限される具体的な根拠
厚生労働省の通知では、通所サービスを利用した日に訪問系サービスの算定を行わないよう定めています。ケアプラン上でも、同日に通所と訪問を組み込むことは想定されていません。
仮にデイサービスの利用時間が午前中だけであっても、その日は「通所サービスを利用した日」として扱われるため、午後に介護保険の訪問看護を入れることも原則としてできない点に注意が必要です。ただし、緊急時の対応やターミナルケアなど特例的に認められる場合もあります。
介護保険の支給限度額は要介護度ごとに月単位で設定されています。同日に複数サービスを利用すると限度額を圧迫しやすくなるという財政面の理由も、制度が同日利用を認めていない背景の一つです。
例外として同日利用が認められるケース
介護保険の範囲内でも、ごく限られた状況では同日利用が認められることがあります。たとえば、デイサービスの利用前後に訪問看護の「緊急時訪問看護加算」が発生した場合や、末期の悪性腫瘍など重篤な状態で医師が必要と判断した場合が該当します。
ただし、こうした例外には主治医の指示書やケアマネジャーとの事前調整が欠かせません。利用者やご家族の判断だけで同日利用を決めることはできないため、まずは担当のケアマネジャーに状況を伝えることが大切です。
| 項目 | デイサービス | 訪問看護 |
|---|---|---|
| サービス分類 | 通所系 | 訪問系 |
| 提供場所 | 施設内 | 利用者の自宅 |
| 主な内容 | 入浴・食事・機能訓練 | 医療的ケア・健康管理 |
医療保険の訪問看護ならデイサービスとの同日利用が可能になる
「デイサービスの日に訪問看護は絶対に受けられない」と思い込んでいる方は多いかもしれません。実は、訪問看護が医療保険の適用となる場合には、介護保険のデイサービスと同日に利用できます。保険の枠組みが異なるため、制度上の重複に当たらないからです。
医療保険と介護保険の訪問看護はどう違う?
訪問看護には「介護保険で提供されるもの」と「医療保険で提供されるもの」の2種類があります。要介護認定を受けている方は原則として介護保険の訪問看護を利用しますが、特定の条件を満たすと医療保険に切り替わります。
医療保険の訪問看護は、介護保険のサービスとは別の制度で運営されています。そのため、介護保険の通所サービスと同日に利用しても、保険請求が重複しません。これが同日併用が認められる根拠となっています。
厚生労働大臣が定める疾病等に該当する場合
末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、人工呼吸器を装着している状態など、厚生労働大臣が定める疾病等(いわゆる「別表7」)に該当する方は、要介護認定の有無にかかわらず医療保険での訪問看護を受けられます。
この対象に当てはまる方は、デイサービスの利用日であっても訪問看護を組み合わせることが可能です。
該当疾病の一覧は定期的に見直されるため、ご自身やご家族の病状が該当するかどうかは主治医に確認してください。対象と認められれば、週に複数回の訪問看護を受けながらデイサービスにも通えるようになります。
特別訪問看護指示書が出ている場合
急性増悪や退院直後など、一時的に頻回な訪問看護が必要になったとき、主治医が「特別訪問看護指示書」を交付することがあります。この指示書が有効な期間(原則14日間)は医療保険の訪問看護として扱われるため、デイサービスとの同日利用も認められます。
指示書の有効期間が過ぎると、再び介護保険の訪問看護に戻るのが通常の流れです。状態が安定しない場合は主治医が再度指示書を交付できるケースもあるため、期間終了が近づいたら早めに相談しておきましょう。
デイサービスと医療保険訪問看護を同日に利用する流れ
同日利用を実現するには、まず主治医に訪問看護指示書の発行を依頼し、医療保険の適用となるかどうかを確認します。次にケアマネジャーがケアプランにデイサービスと訪問看護の両方を位置づけ、時間帯が重ならないよう調整します。
たとえば午前中にデイサービスへ通い、帰宅後の午後に訪問看護師が自宅でケアを行うといったスケジュールが一般的でしょう。訪問看護ステーションとデイサービス事業所が情報を共有できる体制を整えておくと、利用者の体調変化にも素早く対応しやすくなります。
- 別表7の疾病に該当 → 医療保険の訪問看護で同日利用可
- 特別訪問看護指示書の交付期間中 → 同日利用可
- 上記以外の介護保険の訪問看護 → 同日利用は原則不可
デイケアと訪問看護の併用ルールはデイサービスとどう違うか
デイケア(通所リハビリテーション)と訪問看護の併用も、介護保険同士であれば同日利用は原則として認められません。ただし、デイケアは医師の指示のもとでリハビリテーションを中心に提供するため、訪問看護と組み合わせる意義が大きく、曜日を分けて併用するケースは珍しくありません。
デイケアとデイサービスの違いを整理する
デイサービスは日常生活の支援や社会参加を目的としたサービスで、入浴や食事、レクリエーションが中心です。一方、デイケアは医師の管理下で理学療法士や作業療法士がリハビリテーションを提供する点に特徴があります。
デイケアは介護老人保健施設や病院が運営母体になることが多く、医療的な管理体制がより充実している傾向にあります。リハビリの専門職が常駐しているため、退院後の機能回復や維持を目標にする方にはデイケアが適しています。
| 比較項目 | デイサービス | デイケア |
|---|---|---|
| 主な目的 | 生活支援・社会参加 | リハビリテーション |
| 医師の配置 | 義務なし | 常勤医が配置 |
| 専門職 | 介護職員が中心 | PT・OT・STが常駐 |
デイケアと訪問看護を同日に利用できる?
デイケアも介護保険の通所系サービスに分類されるため、同じ日に介護保険の訪問看護を利用することは原則できません。この点はデイサービスと同じ取り扱いです。
ただし、医療保険の訪問看護であれば、デイケアとの同日利用も可能になります。別表7の疾病に該当する方や、特別訪問看護指示書が交付されている方は、デイケアでリハビリを受けた日の帰宅後に訪問看護を受けることができます。
デイケアと訪問看護を曜日を分けて併用する効果
同日利用が難しくても、週のなかで曜日を振り分けて両サービスを組み合わせている方は多くいます。たとえば月・水曜はデイケアでリハビリ、火・木曜に訪問看護で医療的ケアを受ける形です。
デイケアでは身体機能の維持・向上を図りながら、訪問看護では服薬管理やバイタルチェック、医療機器の管理などを自宅で行います。両サービスが情報を共有し、利用者の体調やリハビリの進捗を踏まえて計画を調整することで、在宅生活をより安定させることにつながります。
連携ノートや報告書を通じて、デイケアのリハビリ担当者と訪問看護師が情報をやり取りする仕組みを取り入れている事業所も増えています。こうした連携体制が整っていれば、状態変化への対応もスムーズになるでしょう。
デイサービスと訪問看護の委託契約とは
デイサービス事業所が利用者への看護提供を訪問看護ステーションに「委託」する契約形態を、一般に委託契約と呼びます。デイサービス側に看護職員が不足している場合や、医療ニーズの高い利用者を受け入れる際に、この仕組みが活用されることがあります。
委託契約が必要になる場面
デイサービスには看護職員の配置基準がありますが、小規模な事業所では常勤の看護師を確保しにくいケースもあります。そうした事業所が医療的ケアの必要な利用者を受け入れるために、近隣の訪問看護ステーションと委託契約を結ぶことがあります。
委託契約により、訪問看護ステーションの看護師がデイサービスの施設内で利用者のバイタルチェックや健康相談を行えるようになります。これは訪問看護そのものとは異なり、デイサービスの一部として提供される看護サービスという位置づけです。
委託契約を結ぶための手続き
委託契約は、デイサービス事業所と訪問看護ステーションの間で書面によって締結します。契約書には業務範囲、責任分担、費用の取り決め、個人情報の取り扱いなどを明記する必要があります。
利用者にとっては、担当のケアマネジャーが事業所間の調整を行ってくれるため、直接手続きに関わる場面は少ないでしょう。ただし、どの訪問看護ステーションと契約しているかを確認しておくと、緊急時の対応先を把握できるため安心です。
委託契約と利用者の費用負担
委託契約にもとづく看護は、デイサービスの介護報酬に含まれる形で提供されるのが一般的です。利用者が追加の自己負担を求められることは通常ありません。費用は事業所間で精算される仕組みになっています。
委託契約の有無はデイサービスを選ぶ際の判断材料にもなります。医療的ケアが必要な方は、訪問看護ステーションと委託契約を結んでいる事業所のほうが安心して通えるでしょう。見学時に看護体制について質問しておくことをおすすめします。
| 区分 | 委託契約の看護 | 訪問看護 |
|---|---|---|
| 提供場所 | デイサービス施設内 | 利用者の自宅 |
| 費用の扱い | デイ介護報酬に含む | 訪問看護費として算定 |
| 保険の種類 | 介護保険(通所) | 介護保険または医療保険 |
デイサービスと訪問看護の同日利用を検討するときに押さえたいポイント
同日利用が可能かどうかは、利用者の疾病や保険の種類、主治医の指示によって変わります。以下の3つを事前に確認しておくと、ケアマネジャーへの相談がスムーズに進みます。
主治医と訪問看護ステーションへの早めの相談
医療保険での訪問看護が適用されるかどうかは、主治医の判断に委ねられます。同日利用を希望する場合は、なるべく早い段階で主治医に相談し、訪問看護指示書の発行が可能かを確認しましょう。
訪問看護ステーション側にも受け入れ体制の確認が必要です。利用する曜日や時間帯のスタッフ配置によっては、希望どおりのスケジュールを組めない場合もあるため、余裕を持って相談することをおすすめします。
ケアマネジャーが作成するケアプランとの整合性
すべての介護サービスはケアプラン(居宅サービス計画書)に基づいて提供されます。同日利用を組み込む場合は、ケアマネジャーがサービス担当者会議を開き、関係者全員で情報を共有したうえでプランを見直します。
医療保険と介護保険のサービスが混在するため、それぞれの保険で算定できる範囲をケアマネジャーが正確に把握していることも大切です。不明な点があれば自治体の介護保険課や保険者に問い合わせるよう担当者に依頼しましょう。
医療保険と介護保険それぞれの自己負担額を確認する
介護保険のデイサービスでは、要介護度と利用時間に応じた自己負担が発生します。一方、医療保険の訪問看護は医療費として計算されるため、高額療養費制度の対象になることもあります。
同日に両方を利用すると1日あたりの支出が増える場合があるため、月単位での費用シミュレーションを行っておくと安心です。ケアマネジャーや訪問看護ステーションに費用の目安を尋ねれば、具体的な金額を提示してもらえるでしょう。
- 主治医への相談:訪問看護指示書の発行可否を確認
- ケアプランの調整:サービス担当者会議での情報共有
- 費用の試算:月単位での自己負担額の見積もり
在宅生活を長く続けるための訪問看護とデイサービスの組み合わせ方
訪問看護とデイサービスは、それぞれ異なる役割で在宅生活を支えるサービスです。曜日や頻度を上手に調整することで、ご本人の体調管理とご家族の負担軽減を両立しやすくなります。
訪問看護の頻度とデイサービスの曜日を調整する方法
週に2回の訪問看護と週に3回のデイサービスを組み合わせるケースを例にすると、まずデイサービスの曜日を決め、残りの曜日に訪問看護を配置する流れが基本です。
体調が安定している方であれば、デイサービスの日に看護的な観察を施設の職員に依頼し、訪問看護の日には自宅でじっくりとケアを受けるスタイルが取れます。
医療保険の訪問看護が適用される方は、デイサービスの日にも訪問看護を入れられるため、スケジュールの柔軟性が格段に高まります。主治医やケアマネジャーと一緒に、無理のない組み合わせを検討してください。
家族の介護負担を軽減するための工夫
デイサービスには、ご本人が外出している間にご家族が休息を取れるという「レスパイト効果」があります。訪問看護の日は自宅で過ごす必要がありますが、看護師が在宅中に健康チェックや医療処置を行ってくれるため、ご家族が医療的なケアを一人で抱え込まずに済みます。
介護と仕事を両立している方にとっては、デイサービスの利用日と訪問看護の日を上手に分けることで、出勤日に合わせたスケジュールを組みやすくなるでしょう。
状態が変化したときにサービスを見直す判断基準
在宅生活を続けるなかで、病状の進行や体力の低下によってサービスの内容や頻度を変える必要が出てくることがあります。自力での歩行が難しくなってきた場合はデイケアへの切り替えを検討し、医療的ケアの比重が増えた場合は訪問看護の回数を増やすといった対応が考えられます。
要介護度が変わった場合には区分変更の申請が必要になることもあります。認定の区分が上がれば利用できるサービスの量も増えるため、ケアマネジャーに相談して手続きを進めましょう。
定期的にケアマネジャーと面談し、ご本人の状態とサービス内容が合っているかを振り返ることが、安心した在宅生活を続けるうえで大切なポイントです。
| 状態の変化 | 検討するサービス調整 |
|---|---|
| 歩行が不安定になった | デイケアの追加・切り替え |
| 医療処置が増えた | 訪問看護の回数増加 |
| 家族の介護負担が大きい | デイサービスの日数追加 |
よくある質問
- デイサービスと訪問看護を介護保険で同日に利用できないのはなぜですか?
-
介護保険では、通所サービスを利用している日は施設側が利用者の健康管理を担っているとみなされます。そのため、同じ日に訪問看護を算定すると保険給付が重複してしまい、制度上認められていません。
デイサービスの利用時間が短い場合でも、その日は「通所サービスを利用した日」として扱われます。午前だけ通って午後に訪問看護を受けるといった使い方も、介護保険同士では原則として認められない点にご注意ください。
- 訪問看護が医療保険に切り替わるのはどのような場合ですか?
-
末期の悪性腫瘍や多発性硬化症など、厚生労働大臣が定める疾病等に該当する方は医療保険での訪問看護に切り替わります。また、主治医が「特別訪問看護指示書」を交付した場合も、原則14日間は医療保険の扱いとなります。
医療保険の訪問看護では、要介護認定の有無にかかわらず利用できるため、対象となるかどうかをまず主治医に確認されることをおすすめします。
- デイケアと訪問看護を同じ週に併用することはできますか?
-
同じ日でなければ、デイケアと訪問看護を同じ週に併用することは可能です。曜日を分けてスケジュールを組めば、デイケアでリハビリに取り組みながら、訪問看護で医療的ケアを受けるという使い方ができます。
たとえば週2回のデイケアと週1回の訪問看護を別の曜日に配置すれば、リハビリと健康管理を無理なく両立できるでしょう。曜日の割り振りはケアマネジャーがケアプランのなかで調整してくれますので、希望するサービスの組み合わせを伝えてみてください。
- デイサービスと訪問看護ステーションの委託契約で利用者の負担は増えますか?
-
委託契約にもとづく看護サービスの費用は、デイサービスの介護報酬に含まれて算定されるのが一般的です。そのため、利用者が追加で自己負担を求められることは通常ありません。
ただし、契約の内容や自治体の運用によって異なる場合もありますので、念のためケアマネジャーまたはデイサービス事業所に費用の詳細を確認してください。
- 訪問看護の利用回数を増やしたい場合はどこに相談すればよいですか?
-
訪問看護の利用回数を変更したいときは、まず担当のケアマネジャーに相談してください。ケアマネジャーが主治医や訪問看護ステーションと連携し、ケアプランの見直しを行います。
医療保険の訪問看護を受けている場合は、主治医の指示内容に応じて回数が決まるため、主治医に直接希望を伝えることも大切です。体調の変化やご家族の状況を具体的に説明すると、適切な回数の判断につながりやすくなります。
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