平滑筋肉腫

平滑筋肉腫(Leiomyosarcoma)とは、平滑筋と呼ばれる筋組織から発生する悪性腫瘍の一種です。

主に胃腸や子宮などの内臓に生じる印象が強い病気ですが、骨や軟部組織に発生するケースもあり、整形外科の領域でも注意が必要です。

進行すると周囲組織への影響が大きく、治療内容や治療期間は発生部位や病期によって異なります。

身体の深部にできた腫瘍は発見が遅れる場合もあるため、症状や検査方法を知って早期対応を図ることが大切です。

中高年層での発生が多く、60代でピークに達するとされています。

この記事の執筆者

臼井 大記(日本整形外科学会認定専門医)

臼井 大記(うすい だいき)

日本整形外科学会認定専門医
医療社団法人豊正会大垣中央病院 整形外科・麻酔科 担当医師

2009年に帝京大学医学部医学科卒業後、厚生中央病院に勤務。東京医大病院麻酔科に入局後、カンボジアSun International Clinicに従事し、ノースウェスタン大学にて学位取得(修士)。帰国後、岐阜大学附属病院、高山赤十字病院、岐阜総合医療センター、岐阜赤十字病院で整形外科医として勤務。2023年4月より大垣中央病院に入職、整形外科・麻酔科の担当医を務める。

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目次

平滑筋肉腫の病型

平滑筋肉腫は発見される部位に応じて治療方法や予後が異なるため、病型の理解が重要です。

平滑筋肉腫の発生部位ごとの分類

平滑筋肉腫は身体のさまざまな場所に生じますが、発生部位によって主な特徴が異なります。

  • 子宮に発生するタイプ
  • 胃や腸に発生するタイプ
  • 血管壁などに発生するタイプ
  • 軟部組織や骨近傍に発生するタイプ

整形外科で対応するケースとしては、骨や軟部組織に発生するタイプが代表的です。

筋肉や腱の近くに腫瘍ができると、痛みやしこりなどが表面化しやすくなります。

病型と発生率の比較

スクロールできます
病型発生部位症状の出やすさ患者数の傾向
子宮平滑筋肉腫子宮出血・下腹部痛女性に多い
消化管由来の平滑筋肉腫胃や小腸、大腸など消化障害・腹痛高齢者にやや多い、消化管間質腫瘍(GIST)との鑑別が必要
血管由来の平滑筋肉腫大静脈壁などむくみ・患部の腫脹血行障害に注意
軟部・骨由来の平滑筋肉腫四肢の筋肉や骨付近痛み・しこりが触知可能整形外科での対応が中心

一般的には子宮や消化管などで多く見られますが、骨や筋肉への発生も無視できない存在です。

病期(ステージ)の考え方

平滑筋肉腫には進行度合いを示すステージ分類があります。腫瘍の大きさやリンパ節への転移状況、遠隔転移の有無によって治療方針を決めるうえで参考にします。

整形外科の領域でも、骨や周辺組織に浸潤が広がっているかどうかなどの見極めが重要です。

ステージ特徴
ステージI腫瘍が局所に留まり、小さい
ステージII腫瘍がやや大きくなるが、転移がない
ステージIII局所リンパ節転移がみられる、またはさらに腫瘍が大きい
ステージIV遠隔転移が存在する

こうしたステージを考慮して手術範囲や術後の補助療法が決まります。

良性腫瘍との違い

  • 急速な増大傾向
  • 周囲組織への浸潤
  • 再発や転移リスクが高い

平滑筋から発生する腫瘍でも、良性の平滑筋腫(Leiomyoma)と区別する必要があります。

良性の場合は周囲組織に浸潤する力が弱く、増大スピードも緩やかです。一方、平滑筋肉腫は悪性なので急速な増大傾向や周囲組織へに浸潤などの特徴を示します。

整形外科領域では、骨周囲や筋組織に発生したしこりが良性か悪性かを迅速に見極めることが大切です。

良性腫瘍と悪性腫瘍(平滑筋肉腫)の特徴比較

良性腫瘍の特徴悪性腫瘍(平滑筋肉腫)の特徴
増大速度緩やか速い場合が多い
周囲組織への侵食ほとんどなし顕著
転移ほとんどなしありうる

整形外科と平滑筋肉腫の関連

整形外科では骨や関節、筋肉などの運動器にできる腫瘍に対応します。

平滑筋肉腫は内臓にできるイメージが強いですが、軟部組織や骨に発生するケースがあり、診断から治療、リハビリテーションに至るまで包括的な管理が必要です。

整形外科医は画像検査や病理検査で悪性の可能性を見極め、必要に応じて専門医や他診療科と連携しながら治療戦略を立てます。

平滑筋肉腫の症状

平滑筋肉腫は初期の段階では症状が乏しく、ある程度進行してから痛みや腫瘤を自覚する人が多いです。

症状が表面化する場所やタイミングは発生部位によって異なるため、自身の身体に違和感を覚えたら早めに受診しましょう。

初期症状の特徴

初期は無症状のケースが珍しくありません。特に深部で発生すると外見に変化が現れにくく、気づきにくい傾向があります。

整形外科領域で注目する初期サイン
  • 軽度の筋肉痛や関節痛に似た違和感
  • 軽度の圧痛や腫れ
  • 動かしにくさや倦怠感

こうした軽微な症状は疲労や運動不足でも起こるため、日常生活で見逃されやすいです。

進行期の症状

腫瘍が大きくなると圧迫や浸潤が強まり、はっきりとした症状が出ます。

周囲の筋肉や骨、神経への影響も考えられるため、多彩な症状がみられます。

  • 腫瘤の触知
  • 強い痛み
  • 神経痛やしびれ
  • 関節の可動域制限

腫瘤が目視できるほど成長した場合や、痛みで日常生活に支障が出る場合には、ただちに整形外科の医師に相談してください。

症状の程度と日常生活への影響

症状の段階症状日常生活への影響
軽度~中等度軽い痛み、僅かな腫脹仕事や家事に集中しづらい
中等度~重度腫瘍の触知、しびれ、激痛歩行や運動の制限、睡眠障害
進行期・重篤潰瘍化や骨破壊、神経障害日常動作が困難になり長期入院が必要な場合もある

痛みの特徴

平滑筋肉腫による痛みは、腫瘍が大きくなって筋肉や骨、神経を圧迫するために起こります。

夜間痛や安静時痛が増えると、腫瘍の可能性を疑う必要があります。整形外科では痛みの場所や性質を詳しく問診し、追加の検査を行います。

腫瘍が疑われるケースの目安

「筋肉痛かな」「関節炎かな」と考えていた症状が長引き、徐々に悪化したり患部が熱っぽくなったりする場合には腫瘍の可能性を考慮します。

  • 痛みが徐々に悪化する
  • 患部が熱っぽい、または腫れが顕著
  • しこりや硬い部分を触れる
  • 内服薬や湿布を試しても改善が見られない

このようなときは、放置せずに専門医の診断を受ける必要があります。

主な注意点
  • 長引く違和感
  • 激痛やしこりの触知
  • 夜間痛や安静時痛
  • レントゲン写真での骨異常の疑い

平滑筋肉腫の原因

平滑筋肉腫は悪性腫瘍の一種ですが、発生メカニズムには解明されていない部分もあり、多くは孤発性(特別な誘引のない自然発生)とされています。

遺伝的要因

一部の平滑筋肉腫には遺伝子変異の関与が示唆されています。

家族性に腫瘍を発症しやすい遺伝子変異がある場合、平滑筋肉腫を含めて様々な種類の腫瘍リスクが高くなるケースがあります。

代表的なものは遺伝性網膜芽細胞腫(RB1遺伝子の生殖細胞系列変異)とLi-Fraumeni症候群(TP53遺伝子変異)があり、二次的に軟部腫瘍が発症しやすいです。

しかし、遺伝子変異が認められるケースは多くなく、大半は散発的に発症します。

生活習慣や環境因子

  • 喫煙習慣
  • 肥満
  • 過度の飲酒
  • 慢性的な炎症状態

平滑筋肉腫に特定の原因となる生活習慣はまだはっきりしていませんが、発がんのリスクを高める要因として喫煙習慣や肥満などが指摘されています。

これらは直接の原因とまでは断定できませんが、全身のがん発症リスクを高める可能性があると考えられています。

既存疾患からの転化

血管や子宮などの平滑筋に先天的または後天的に疾患を抱えていると、平滑筋肉腫を発症しやすいという報告もあります。

たとえば子宮筋腫を長年放置していて、一部の細胞が悪性化する場合があります。しかし、子宮筋腫から平滑筋肉腫への移行は稀です。

よくある誤解
  • 子宮筋腫は必ず悪性化するわけではない
  • 良性腫瘍がすべて悪性化するわけではない
  • 痛みや出血があるからといって必ず悪性とは限らない

外傷や過去の放射線治療

骨や筋肉の部位に過去の外傷歴があると、その部位に慢性的な炎症や組織の修復が繰り返される場合があり、がん発生リスクが高まる可能性があります。

また、過去に他の病気で放射線治療を受けた部位に平滑筋肉腫が発生した報告例もあります。これは放射線被曝によって細胞のDNAが損傷し、長い年月を経てがん化する経過をたどるためと考えられています。

放射線誘発肉腫は原疾患の治療完了から数年~十数年の潜伏期間を経て発生します。

因果関係が明確でない部分

平滑筋肉腫は発生機序が複雑で、個々の患者さんによって大きく異なります。現在の医学では一部の原因は推定されているものの、すべてを網羅する理論はまだ確立していません。

整形外科ではまず患者さんの生活歴や既往歴を詳しく聞き取り、総合的にリスク要因を判断しながら診断を進めます。

子宮平滑筋肉腫についてはエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンとの関連も研究されています。

平滑筋肉腫の検査・チェック方法

平滑筋肉腫の疑いがある場合、まずは整形外科での診察と画像検査が行われます。

その後、血液検査や生検によって病理学的に悪性を確認し、病期を評価します。正確な診断は治療方針の決定に欠かせないため、多角的な検査方法を取ります。

問診と視診・触診

初診時には問診で症状の経過や既往歴を確認し、痛みの性質や大きさの変化などを詳細に伺います。視診・触診では腫瘍が表面化していないか、皮膚の状態に変化がないかをチェックします。

整形外科では筋肉や関節の可動域も合わせて確認し、日常生活動作への影響度を把握します。

問診で確認するポイント
  • 痛みの始まった時期と推移
  • 運動や仕事との関連
  • 既往症(子宮筋腫など)や家族歴

画像検査

疑わしい病変を確認するため、画像検査を組み合わせて精査します。

X線検査(レントゲン)

  • 骨に異常があるかどうかを迅速にチェック
  • 腫瘍による骨破壊が疑われる場合に有用

MRI検査

  • 軟部組織や骨髄の状態が詳細にわかる
  • 腫瘍の広がりや血管・神経との位置関係を把握

CT検査

  • 骨に限らず、他臓器への転移(特に肺)がないかをチェック
  • 3次元的な構造を把握しやすい

画像検査の特徴比較

検査方法特徴メリットデメリット
X線検査骨の状態を素早く把握可能安価で検査時間が短い軟部組織には不向き
MRI検査軟部組織の情報が豊富腫瘍の広がりを詳細に確認できる時間がかかり費用が高い
CT検査骨・臓器の3次元構造を評価可能転移の有無を広範囲でチェック可能被ばく量がある

血液検査

血液検査は腫瘍マーカーなどを確認するために行います。ただし、平滑筋肉腫を特異的に示すマーカーは確立されていません。

全身状態を把握するために一般血液検査や肝機能・腎機能検査を合わせて行い、治療に耐えうるコンディションかを評価します。

生検(バイオプシー)

確定診断には腫瘍の一部を採取して顕微鏡で観察する病理検査が重要です。画像上から良性・悪性を予測できる場合もありますが、最終的な診断には生検が不可欠です。

整形外科の領域では、腫瘤が皮下にある程度近い場合は針生検や切開生検を行い、組織の特徴を判定します。

生検で確認する細胞所見

項目確認内容
核分裂像分裂回数が多いほど悪性度が高い傾向
細胞の形態学的異型細胞の大きさや核の形態にばらつきがある
組織構築平滑筋由来の特徴があるかを確認
境界面浸潤性かどうか

生検の結果が出るまでには数日から1~2週間程度かかる場合が多く、確定診断を下すために専門の病理医と連携を行います。診断が確定したら、治療方針の検討に進みます。

平滑筋肉腫の治療方法と治療薬、リハビリテーション、治療期間

平滑筋肉腫の治療は、手術・化学療法・放射線療法を組み合わせて総合的に行います。

骨や軟部に発生した場合には、整形外科が中心となって治療計画を立て、場合によってはがん専門医や放射線科医と協力しながら進めます。

外科的治療(手術)

  • 腫瘍摘出術(部分切除)
  • 広範囲切除術
  • 再建手術(骨移植や人工関節など)

局所に限局している平滑筋肉腫では、手術による完全切除が治療の柱となります。

整形外科では患部を可能な限り広範囲に切除し、再発リスクを抑えるようにします。

ただし、機能温存と再発防止のバランスを取りながら切除範囲を決定するため、専門的な知識と技術が必要です。

手術後の合併症と対策

合併症対策患者さんの注意点
感染術後管理を徹底し、抗菌薬を活用術後の創部を清潔に保ち、定期受診を行う
出血術中の止血と輸血の準備を周到に行う出血傾向がある場合は事前申告が必要
神経損傷可能な限り神経を温存する手技を採用術後、しびれや麻痺が続く場合は医師に相談
再発広範囲切除や補助療法を検討定期的な画像検査で経過を確認

化学療法(抗がん剤治療)

  • ドキソルビシン(アドリアマイシン)
  • イホスファミド
  • ゲムシタビン
  • パクリタキセル(部位によっては検討されるケースもある)

術後や転移がある場合に、化学療法を行って腫瘍細胞を縮小させるか、再発予防を図ります。

平滑筋肉腫ではドキソルビシンやイホスファミドなどの薬剤が用いられます。

これらの薬剤は強力な効果が期待できる一方で副作用も現れやすいため、患者さんの全身状態を考慮しながら投与量やスケジュールを決定します。

放射線療法

照射方法特徴用途
外部照射体外から放射線を照射術前・術後の補助療法
小線源治療(組織内)腫瘍に放射性物質を近接・挿入骨盤内など、局所集中治療が必要な際

手術範囲を縮小したい場合や、術前・術後の局所制御を補強する目的で放射線療法を組み合わせるときがあります。

骨や軟部組織の平滑筋肉腫の場合、患部に直接照射を行い、腫瘍細胞の増殖を抑える方法がとられます。

リハビリテーション

手術範囲が広いときは、切除した部分によっては筋力や関節可動域が低下する可能性があります。

整形外科ではリハビリテーションを含めた包括的な治療計画が重要です。リハビリの内容は筋力トレーニング、関節可動域訓練、歩行訓練など多岐にわたります。

理学療法士や作業療法士と連携しながら、日常生活の自立を目指します。

リハビリテーションで重視するポイント
  • 術後の痛みコントロール
  • 徐々に負荷をかける段階的な運動
  • 適切な装具の利用
  • 日常生活動作の再習得

リハビリの目標と期間

術後期間リハビリの目標
直後~2週間程度痛みのコントロール、関節の軽い可動域維持
1か月~3か月筋力強化、歩行訓練
3か月~半年日常生活動作の向上、スポーツ復帰の検討

治療期間の目安

治療期間は腫瘍の大きさや転移の有無、治療法の組み合わせによって大きく異なります。

局所に限局した平滑筋肉腫の場合、手術とリハビリを合わせて3か月から半年ほどで社会復帰できる人もいます。

しかし、転移がある場合や再発を繰り返す場合には、長期的な治療が必要です。

薬の副作用や治療のデメリット

平滑筋肉腫の治療で用いる抗がん剤や放射線療法には、一定の副作用が伴います。

病気の進行を抑える効果は期待できますが、その一方で日常生活に影響を与える可能性もあるため、副作用の特徴や対策を理解しておきましょう。

抗がん剤の主な副作用

  • 脱毛
  • 骨髄抑制(白血球や赤血球、血小板の減少)
  • 倦怠感や吐き気・嘔吐
  • 口内炎や下痢

抗がん剤は増殖の活発な細胞に作用し、腫瘍細胞だけでなく正常な細胞にも影響を及ぼします。

副作用と対処法

副作用対処法医療スタッフの対応
脱毛ウィッグやスカーフの活用必要に応じた情報提供
骨髄抑制血液検査で経過を見ながら投薬量を調整定期検査と感染症対策の徹底
吐き気・嘔吐制吐剤の使用、食事指導内服薬や点滴の処方
口内炎・下痢口腔ケアの強化と水分補給口内炎用のジェルや軟膏の処方

放射線療法の副作用

  • 皮膚炎(照射部位の発赤、かゆみなど)
  • 放射線性骨壊死(骨の壊死)
  • 痛みの増強やしびれ
  • 関節可動域の制限

放射線は照射部位の正常組織にも影響を及ぼす可能性があります。特に皮膚障害や放射線性骨壊死などがリスクとして挙げられます。

また、関節付近に照射する場合、拘縮が起こって可動域が低下するときがあります。

手術のデメリット

  • 運動機能の低下
  • 神経や血管への影響による感覚障害、循環障害
  • 再建手術や人工関節挿入による合併症

平滑筋肉腫の切除手術では、がんの再発リスクを下げるため広範囲に切除するケースが多いです。その結果、運動機能の低下や感覚障害、循環障害などの問題が起こる可能性があります。

術後リハビリをしっかり行い、長期的に観察を継続しながら問題の早期発見を目指します。

治療継続に伴う精神的負担

長期の治療は患者さんの身体的負担だけでなく、精神的負担も大きくなります。

副作用への不安や社会生活との両立など課題は多岐にわたります。

医師や看護師、リハビリスタッフに加えて心理カウンセラーやソーシャルワーカーなどと連携し、総合的なサポート体制を整えましょう。

保険適用と治療費

お読みください

以下に記載している治療費(医療費)は目安であり、実際の費用は症状や治療内容、保険適用否により大幅に上回ることがございます。当院では料金に関する以下説明の不備や相違について、一切の責任を負いかねますので、予めご了承ください。

平滑筋肉腫の治療費は、受ける治療内容や入院期間によって大きく変わります。日本では健康保険制度が整っているため、患者さんの負担は医療費全額のうち一部となります。

健康保険の適用範囲

平滑筋肉腫は悪性腫瘍に分類されるため、手術や抗がん剤、放射線療法や定期検査など多くの治療が保険適用になります。

患者さんは年齢や所得区分に応じて1~3割の自己負担で治療を受けられます。また、高額療養費制度も利用できる場合があります。

保険適用の主な項目

項目保険適用の有無自己負担割合(一般の場合)
初診料・再診料あり3割
手術(切除術など)あり3割
放射線療法あり3割
化学療法(抗がん剤)あり3割
リハビリテーションあり3割

治療費の目安

平滑筋肉腫の治療は長期間におよぶ可能性があります。

病院や治療内容によっては大きく異なることがあるため、主治医や病院の相談窓口などで必ず確認してください。

手術費用

局所切除のみで済む場合は、20万円~40万円程度(保険適用前の金額)が目安です。

広範囲切除や再建手術を伴う場合は、50万円~100万円以上(保険適用前の金額)かかります。

入院費用(1日あたり)

一般病棟の場合は1万円~2万円ほどですが、差額ベッド代は別途かかります。

化学療法(抗がん剤)の費用

使用する薬剤や治療期間によりますが、1クールあたり数万円~数十万円が目安です。

放射線療法

放射線治療は1コースあたり数十万円となりますが、かかる費用は総回数にも左右されます。

これらのうち自己負担は1~3割です。たとえば、手術費用50万円の場合、3割負担の方は約15万円の自己負担になります。

高額療養費制度を使えば、月単位の自己負担上限が定められているため、さらに負担を軽減できる可能性があります。

高額療養費制度や医療費控除

月々の医療費が一定金額を超えると、高額療養費制度によって自己負担額の一部が払い戻される仕組みがあります。

さらに、年間の医療費合計が高額となった場合、確定申告で医療費控除を受けられます。

がん治療は長期化しやすいので、こうした社会保障制度を活用すると経済的負担を減らせます。

制度利用のポイント
  • 入院や手術が多い月は高額療養費制度の対象になりやすい
  • 市区町村の保健担当部署や病院のソーシャルワーカーに相談するとスムーズ
  • 医療費控除は自費分が対象なので、領収書をしっかり保管しておく

生命保険やがん保険の活用

がん保険や民間の医療保険に加入している場合、手術給付金や入院給付金などを受け取れる可能性があります。

給付対象となる治療がどこまで含まれるかは契約内容によるため、事前に保険会社に確認しておきましょう。

以上

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