若年性特発性関節炎(Juvenile Idiopathic Arthritis:JIA)とは、16歳未満で発症する原因不明の慢性関節炎を指す総称です。
子どもの成長期に生じる関節の痛みや腫れは、スポーツやケガと混同されがちですが、実は免疫の異常や遺伝的要因など、複合的な原因によって発症する場合もあります。
放置すると慢性化し、長期的に関節の変形や運動機能の低下につながる可能性があり、治療で症状をコントロールしながら成長を支えることが大切です。
ここではJIAの代表的な病型、症状、原因、検査方法、治療やリハビリテーション、そして保険や治療費の目安などを具体的に紹介します。
この記事の執筆者

臼井 大記(うすい だいき)
日本整形外科学会認定専門医
医療社団法人豊正会大垣中央病院 整形外科・麻酔科 担当医師
2009年に帝京大学医学部医学科卒業後、厚生中央病院に勤務。東京医大病院麻酔科に入局後、カンボジアSun International Clinicに従事し、ノースウェスタン大学にて学位取得(修士)。帰国後、岐阜大学附属病院、高山赤十字病院、岐阜総合医療センター、岐阜赤十字病院で整形外科医として勤務。2023年4月より大垣中央病院に入職、整形外科・麻酔科の担当医を務める。
若年性特発性関節炎(JIA)の病型
若年性特発性関節炎(JIA)の分類は、国際リウマチ学会(ILAR)の基準に基づき、7つのカテゴリーに分けられます。
各病型は初発6か月間の症状と検査所見によって分類され、以下のタイプがあります。
全身型JIA(systemic JIA)
発熱や発疹などの全身症状を伴うタイプ。
高熱が2週間以上持続し、リウマチ性の関節炎に加えてリウマチ熱様の一過性の皮疹、リンパ節腫脹、肝脾腫、漿膜炎などを呈するのが特徴です。
全JIA患者様の約10~20%を占めます。
少関節型JIA(oligoarthritis)
発症6か月以内に罹患関節が4つ以下のタイプ。全期間を通して関節数が4以下に留まる場合を持続型少関節炎、6か月経過後に5関節以上に増えた場合を進展型少関節炎と呼びます。
JIAで最も頻度が高く、全体の約50~60%を占めます。
好発年齢は2~4歳で、女児に多く(女性:男性比がおよそ3:1)、初期症状は片側の膝関節など大関節の腫脹が典型的です。慢性ぶどう膜炎を合併しやすい点も重要です。
リウマトイド因子陰性多関節型JIA(RF陰性多関節型)
5関節以上に炎症が及ぶがリウマトイド因子(RF)は陰性のタイプ。
症状は左右非対称の多関節炎で、女児に多く、しばしば慢性ぶどう膜炎を伴います。全JIAの11~28%を占めます。
リウマトイド因子陽性多関節型JIA(RF陽性多関節型)
5関節以上の関節炎でRF陽性のタイプ。
臨床像は成人の関節リウマチに類似し、思春期頃に発症し小関節を含む多関節炎となります。
女児に多く、全体の2~7%と比較的稀です。抗CCP抗体陽性を示す例もあります。
乾癬性関節炎(psoriatic JIA)
乾癬(Psoriasis)を伴う関節炎、または乾癬様の皮疹・爪の変化・指趾の腫れなど乾癬関連所見を伴うタイプ。
関節炎に皮膚症状が先行または追従し、全JIAの2~15%を占めます。
付着部炎関連関節炎(ERA: enthesitis-related arthritis)
腱付着部炎(靭帯や腱の付着部の痛み)を特徴とし、下肢の大関節炎や仙腸関節炎など脊椎関節炎様の症状を示すタイプ。
HLA-B27陽性の思春期男子に好発し(成人の強直性脊椎炎に類似)、全体の1~7%程度です。
ぶどう膜炎(虹彩炎)を合併することもあります。
分類不能型JIA
上記いずれの型にも明確に該当しない、または複数の型の特徴を併せ持つもの。
他のタイプに分類できない少数のケースがここに含まれます
以上のようにJIAは症状や検査所見によって多彩な病型に分類されますが、実際の患者様の中では病初期の特徴で分類された後に経過中に病型が変化したり重複する場合もあります。
例えば少関節型で始まったものが関節数の増加により進展型となったり、RF陰性多関節型と少関節型の境界に位置するような症例も存在します。
そのため、病型分類は治療方針の目安になりますが、経過に応じた再評価が重要です。
またILAR分類は1990年代に提唱された基準であり、近年その改良も検討されています。
しかし現在も臨床現場ではILAR分類が標準的に用いられており、本稿でもこの分類に沿って解説します。
若年性特発性関節炎(JIA)の症状
JIAの症状は関節の痛みや腫れだけでなく、発熱や発疹など多岐にわたりますが共通する主症状は関節の腫脹、痛み、可動域制限です。
子どもの場合、自分の不調をうまく言葉にできないケースもあり、症状を見逃しやすいです。少しでも普段と違う様子があれば、医療機関への相談を検討してください。
関節の痛みと可動域の制限
関節痛はJIAを疑う最初のサインになります。朝起きたときに強く痛み、しばらく動かすと痛みが和らぐ「朝のこわばり」が特徴的です。
膝や足首、手首などに起きやすいですが、肩や肘にも出る場合があります。また、痛みがある部分をかばううちに可動域が狭まり、日常生活の動作に支障をきたす場合もあります。
乳幼児では触ると嫌がる・歩行を拒む(跛行)といった形で現れやすいです。
- 朝起きて動き始めるとき
- 運動後や長時間同じ姿勢をとった後
- 気温の変化が大きい時季
- 身体が冷えたとき
腫れ・熱感・発赤
炎症が進むと、痛みだけでなく関節が腫れて熱を帯びます。また、炎症部位が赤みを帯び、触れると熱いと感じる場合もあります。
子どもの場合は関節の腫れに気づかず、保護者が見つけるケースも少なくありません。
特に侵されやすい関節として膝関節があり、慢性的な関節炎は周囲の筋萎縮を招き、例えば大腿四頭筋の萎縮による膝関節の不安定性など二次的な症状も生じ得ます。
また関節炎が長期間続くと関節の変形(関節の強直、亜脱臼、軸偏位など)や四肢の成長障害(患側の四肢の伸びが悪い、あるいは逆に炎症による血流増加で過成長する)をきたす場合があります。
全身症状(発熱・発疹・倦怠感)
全身型のJIAに多い特徴として、高熱やピンク色の発疹が全身に散らばる場合があります。
発熱は弛張熱(夕方にスパイクする39℃以上の高熱)が典型で、少なくとも2週間の発熱を経て関節炎が明らかになります。
発疹はサーモンピンク色の皮疹(消退性紅斑)が体幹や四肢に出現するのも特徴的で、痒みを伴わない場合も多く、感染症とは異なる特徴があります。
また、食欲不振や疲れやすさなど倦怠感が顕著になるケースもあります。
症状 | 全身型JIAでの発現率の目安 | 備考 |
---|---|---|
高熱 | 約70~90% | 発作的に高熱が続く |
発疹 | 約30~80% | 体幹部や四肢に点状 |
倦怠感 | 約50~80% | 活動量の低下食欲減退 |
リンパ節の腫脹 | 約20~50% | 首・腋の下・鼠径部などに多い |
関節以外の合併症
JIAは関節だけにとどまらず、ぶどう膜炎など目の合併症を起こす場合があります。
視力低下につながる可能性があり、早期発見と継続的なフォローが必要です。
特にANA(抗核抗体)が陽性の場合、ぶどう膜炎のリスクが高まると報告されています。
- ANA陽性
- 若い年齢での発症
- オリゴ関節型
若年性特発性関節炎(JIA)の原因
子どもの関節炎には、ケガや成長痛による一時的なものと異なり、自己免疫や遺伝など複数の要因がからむJIAが含まれます。
原因が単一であるケースは少なく、近年の研究からいくつかのリスク因子や病態メカニズムが示唆されています。
自己免疫異常
JIAでは自己免疫反応およびオートインフラメーション(自己炎症)が病態の基盤にあります。
関節滑膜では滑膜組織へのリンパ球浸潤※1と血管新生※2が見られ、慢性的炎症により滑膜組織(パンヌス)の増殖や軟骨・骨の破壊が生じますemedicine.medscape.com。
特にTリンパ球が中心的役割を果たし、Th1細胞やTh17細胞が産生するサイトカイン※3(TNF-α, IL-6, IL-17, IL-1βなど)が炎症を引き起こします。
※1リンパ球浸潤:本来リンパ球が存在しない、または少ない組織や臓器に、リンパ球が異常に集積している状態。
※2血管新生:既存の血管から新しい血管が枝分かれして形成される生理現象。
※3サイトカイン:細胞から分泌されるタンパク質で、細胞間の情報伝達を担う生理活性物質の総称。
遺伝的要因
JIAは一つの遺伝子異常で起こる単一遺伝疾患ではなく、多因子遺伝の要素が強いとされています。
家族内発症の傾向があり、同胞がJIAの場合のリスクは一般集団の15~30倍とも報告されています。
一卵性双生児での一致率は25~40%とされ(男女差あり)、遺伝要因の存在が示唆されます。
遺伝的素因 | 関連性 | コメント |
---|---|---|
HLA遺伝子 | 一部で強い関連 | 特定のHLAサブタイプと発症率が高い傾向 |
家族歴(リウマチ) | やや関連 | 直系親族にリウマチ患者がいるとリスク増加 |
免疫関連遺伝子 | 研究途上 | 多くの遺伝子が複合的に影響すると考えられる |
環境要因
感染症や腸内細菌叢の乱れ、ストレスなどの環境要因が発症の引き金になるもあります。
ウイルス感染を機に免疫が過剰に反応しやすくなり、もともとの遺伝的素因と合わさってJIAを発症するケースが報告されています。
また、ある症例対照研究では、小児期の抗生物質使用とJIA発症リスクに関連が認められました。
生活リズムの乱れや食事、睡眠不足も間接的に影響するとみられています。
以上から、JIAは遺伝素因を背景に何らかの環境要因が引き金となって異常免疫反応が持続することで発症すると考えられます。
しかし、個々の患者様でその原因を突き止めるのは難しく、現時点では「原因不明の特発性関節炎」として症状と経過に基づいて診断・分類し、原因そのものよりも病態の制御(炎症の抑制)に重点を置いた治療が行われています。
若年性特発性関節炎(JIA)の検査・チェック方法
JIAの診断では、医師が多角的に情報を集めて臨床的に判断します。
検査では血液検査や画像検査を中心に、関節炎の特徴を探り、ほかの疾患と区別することが重要です。
初期段階では特定の血液検査や画像所見に異常がみられにくいケースもあるため、疑いがあれば継続的に診断を進めます。
血液検査
血液検査では炎症の度合い(CRPやESRなど)やリウマトイド因子(RF)、抗核抗体(ANA)などを確認します。
炎症マーカーの数値が高いほど活動性が高い可能性があります。
ただし、陰性であってもJIAが否定されるわけではなく、明確な診断マーカーが存在しないため診断に至るまでには他の原因の除外が必要です。
血液検査の項目 | 目的 | 補足 |
---|---|---|
CRP・ESR | 炎症の度合いを調べる | 数値の上昇が活動性の指標になる |
RF(リウマトイド因子) | ポリ関節型JIAの一部で陽性 | 陽性の有無で成人リウマチに近い可能性 |
ANA(抗核抗体) | ぶどう膜炎など合併症との関連 | 陽性なら定期的な眼科検診が必要 |
CBC(血球計算) | 貧血や白血球数の異常をチェック | 全身状態を把握する |
画像検査
X線検査で関節の変形や骨の成長状態を確認しますが、早期では特に大きな変化が映らない場合があります。
しかしながら、除外診断(骨折や骨腫瘍の否定)やベースラインの記録として関節ごとに撮影します。
典型的なレントゲン所見は関節周囲軟部組織の膨厚(軟部陰影の濃度上昇)や骨びらん(関節破壊)、骨端部の発育異常などです。
MRIでは軟骨や腱付着部の炎症をより詳しく捉えられます。
エコー(超音波検査)は関節内の炎症や滑液貯留を確認しやすいため、負担の少ない方法としてしばしば利用されます。
画僧検査の種類 | 確認できるポイント | メリット |
---|---|---|
X線検査 | 骨の変形、骨びらん | 設備が整っており実施しやすい |
MRI | 軟骨、腱付着部、骨髄内の炎症 | 早期病変も捉えやすい被ばくなし |
エコー | 滑液量、軟部組織の炎症、関節周囲の血流 | 動的観察がしやすい |
身体診察・問診
医師は関節の動きや痛みの程度、腫れなどを直接診察します。
成長期の子どもは心理面も含めて観察し、生活習慣や家族構成などの情報も総合して評価します。
何気ない会話や生活の様子を詳しく伝えると診断の手がかりになります。
具体的には、全身の関節を視診・触診し、腫脹・熱感・圧痛・可動域などを評価します。
患関節が複数の場合は左右対称性か非対称性か、関節の大小(末梢関節か大関節か)も病型推定に有用です。
少関節型では膝や足関節など大関節中心の非対称性関節炎、RF陽性多関節型では手指の小関節の対称性炎症が多いなどの傾向があります。
鑑別診断
JIAと症状が似ている病気として、感染性関節炎や悪性腫瘍などがあります。
血液検査のデータや画像所見から、こうした疾患の可能性を排除しながらJIAであるかを確定します。専門医による総合的な診断が重要です。
若年性特発性関節炎(JIA)の治療方法と治療薬、リハビリテーション、治療期間
JIAの治療は、症状や病型に応じて薬物療法や理学療法などを組み合わせます。
治療の目標は疼痛のコントロール、関節機能の維持、炎症の寛解導入および維持、そして成長発達への悪影響を最小化です。
早期治療によって、将来の関節変形や機能障害のリスクを減らせます。
薬物療法
薬物療法にはいくつかの種類があり、病型や重症度に応じて使い分けます。
軽症の少関節型ではNSAIDs単独で経過をみるケースもありますが、多関節に及ぶ場合や症状コントロール不良例では早期にDMARDs(疾患修飾性抗リウマチ薬)や生物学的製剤を導入します。
ガイドラインでは、多関節型JIAではNSAIDs単剤よりも早期にメトトレキサート(MTX)などDMARDsを開始すべきと強く推奨されています。
ステロイドは即効性がありますが、長期使用による副作用が大きいため短期のブリッジ療法として位置付けられます。
薬剤の種類 | 例 | 役割 |
---|---|---|
NSAIDs | イブプロフェン、ナプロキセンなど | 炎症と痛みの緩和 |
ステロイド剤 | プレドニゾロンなど | 強い炎症の抑制短期的な使用が中心 |
免疫調整剤(DMARDs) | メトトレキサート、サラゾスルファピリジンなど | 免疫過剰反応のコントロール |
生物学的製剤 | トシリズマブ、アダリムマブなど | 特定の炎症物質を狙い撃ち |
リハビリテーション
リハビリテーションによって関節の可動域を維持し、筋力を保つよう心がけます。
理学療法士による運動指導や作業療法士による日常生活動作のサポートを受けると、関節の負担を減らしながら生活の質を向上できます。
痛みがあると動きを避けがちですが、適度に動かすと、関節が固まるのを防ぐ効果が期待できます。
- 関節周囲の筋力トレーニング
- ストレッチや可動域訓練
- 装具の使用
- 姿勢の矯正
リハビリ内容 | 目的 | ポイント |
---|---|---|
ストレッチ | 筋肉と腱の柔軟性を維持 | 痛みの出ない範囲でゆっくり行う |
関節可動域訓練 | 関節の固さを防ぐ | 小さい範囲から始めて徐々に広げる |
軽い有酸素運動 | 体力向上と血行促進 | 水泳やウォーキングなど負担の少ない運動がおすすめ |
バランストレーニング | 体幹の強化と転倒予防 | 自宅では片足立ちなどで手軽に実践 |
治療期間の目安
JIAの治療期間は症状の落ち着き具合によって変化します。寛解と再燃を繰り返す慢性疾患であり、治療期間は個々で異なります。一般に炎症が持続する間は数年間にわたり薬物療法を継続します。
少関節型で初期に寛解した場合はNSAIDsや関節注射のみで治療終了となる場合もありますが、多くの症例では数年単位の治療が必要です。
MTXなどDMARDdを使用している場合、臨床的に寛解が得られてからも6~12か月程度は維持療法を続け、その後慎重に減量・中止を検討します。
過去のランダム化試験では、寛解後すぐMTX中止した群より12か月維持後に中止した群の方が再燃率が低いと示されており、十分な期間の治療維持が推奨されます。
生活習慣の見直し
薬物療法だけでなく、日常生活の習慣を整えることも症状のコントロールに寄与します。
適度な睡眠時間の確保やバランスの良い食事の継続、精神的ストレスの軽減などがポイントです。
子ども自身の理解を深めるため、医療スタッフや家族と協力し、体調管理を行います。
- 充分な睡眠時間(7~9時間を目安)
- タンパク質・野菜を豊富に含む食事
- ストレス発散のためのレクリエーションや趣味
- 疲れを溜めない生活リズム
薬の副作用や治療のデメリット
JIAをコントロールするには薬が大きな役割を担いますが、薬には副作用が存在します。
副作用を正しく理解し、身体の変化を見逃さないようにします。
治療の継続が難しくなるケースもあるため、医師とこまめに相談しながら進めます。
NSAIDsの副作用
NSAIDsは痛みや炎症を抑える効果が強い反面、長期使用や高用量では胃腸障害や腎機能への影響が懸念されます。
胃酸を抑える薬と併用したり、服用タイミングに気を配ったりするとリスクを軽減できます。子どもの場合は飲みやすい形状で処方される場合が多いです。
ステロイドの副作用
ステロイド剤は炎症を強力に抑制しますが、体重増加や骨密度の低下、感染症リスクの上昇などの副作用が考えられます。
成長期の子どもには投与量や期間を慎重に設定し、定期的な骨密度検査や血液検査が推奨されます。
急に中断するとリバウンドが起こる可能性があるので、医師の指示に従って減量を進めましょう。
ステロイドの注意点 | 詳細 |
---|---|
徐々に減量する | 急に中止すると副腎不全のリスクが高ま |
感染症対策を徹底する | 免疫力が低下しやすいためマスク・手洗いなどの徹底 |
カルシウム摂取 | 骨密度低下を防ぐため、食事やサプリメントで補う |
免疫調整剤(DMARDs)や生物学的製剤の副作用
メトトレキサートなどのDMARDsや生物学的製剤は、免疫反応そのものを抑制するために悪化を防ぐ効果が高い一方、感染症にかかりやすくなるリスクがあります。
定期的に血液検査を行い、肝機能や腎機能の異常を早期に発見します。
また、生物学的製剤は注射や点滴での投与が必要な場合が多いため、通院頻度が増える可能性があります。
治療による心理的負担
薬の副作用だけでなく、「長期間治療を続ける」「学校行事や部活動の制限がある」など、心理的負担も治療のデメリットとして挙げられます。
子ども本人はもちろん、家族にも精神的サポートが求められます。
医療スタッフとの面談や同じ病気を経験している人との情報交換が心のケアにつながることがあります。
- 医師や看護師、リハビリスタッフへ定期的に相談
- 学校の保健室やスクールカウンセラーとの連携
- 患者会やオンラインコミュニティで情報や経験を共有
保険適用と治療費
以下に記載している治療費(医療費)は目安であり、実際の費用は症状や治療内容、保険適用否により大幅に上回ることがございます。当院では料金に関する以下説明の不備や相違について、一切の責任を負いかねますので、予めご了承ください。
JIAの治療にかかる費用は、薬や検査の種類、通院回数などによって大きく変わります。
子どもが対象になるため、一般的な医療保険だけでなく小児医療費助成制度の対象となる場合もあります。
健康保険による負担軽減
日本の健康保険制度では、病院や診療所での診察費や薬代は原則3割負担です。
大人の場合は3割負担が基本ですが、子どもの場合は自治体ごとの制度によって自己負担が1割や2割、あるいは無料になる地域もあります。
詳細は住んでいる自治体のHPや窓口で確認が必要です。
自己負担割合の目安(小児医療助成制度)
年齢 | 自己負担割合 | 備考 |
---|---|---|
小学校入学前 | 0~2割 | 地域により無料になる場合もある |
小学生 | 0~3割 | 自治体で異なる小学生まで助成される地域も多い |
中学生 | 0~3割 | 中学卒業まで拡大している自治体も |
高額療養費制度
薬剤費や検査費がかさむと高額になりやすいです。
高額療養費制度を利用すれば、ひと月あたりの自己負担額が一定の上限額を超えた場合、超過分が戻ってくる仕組みがあります。
大きな手術や入院が必要になった場合には特に意義の大きい制度です。
治療薬の費用目安
JIAの治療薬として使われるメトトレキサートや生物学的製剤は、保険適用で3割負担の場合でも1カ月あたり数千円から数万円程度の自己負担が発生します。
生物学的製剤は特に高額になるケースが多く、自己負担が1割であっても月1~2万円前後かかる可能性があります。
ただし小児医療費助成制度により、自己負担額がさらに軽減される可能性もあります。
治療費の一例(3割負担の場合)
治療内容 | 1カ月の概算費用 | 備考 |
---|---|---|
NSAIDs内服 | 約1000~2000円 | 長期服用時には胃薬の併用もあり得る |
メトトレキサート | 約3000~5000円 | 定期的な血液検査が必要 |
生物学的製剤(注射) | 約1~2万円以上 | 種類によって費用幅が大きい |
リハビリテーション | 約1000~3000円 | 週1~2回ペースで実施する場合 |
診断書や書類手続き
JIAの患者様は長期治療が必要となるケースが多いため、医療費助成を受ける際には各種診断書や書類を揃える必要があります。
定期的に医師に相談して必要書類を用意するとスムーズに助成制度を利用できます。
学校生活での配慮を受ける際も、医師の診断書が役立ちます。
以上
参考文献
PRAKKEN, Berent; ALBANI, Salvatore; MARTINI, Alberto. Juvenile idiopathic arthritis. The Lancet, 2011, 377.9783: 2138-2149.
RAVELLI, Angelo; MARTINI, Alberto. Juvenile idiopathic arthritis. The Lancet, 2007, 369.9563: 767-778.
MARTINI, Alberto, et al. Juvenile idiopathic arthritis. Nature reviews disease primers, 2022, 8.1: 5.
BARUT, Kenan, et al. Juvenile idiopathic arthritis. Balkan medical journal, 2017, 34.2: 90-101.
GOWDIE, Peter J.; SHIRLEY, M. L. Juvenile idiopathic arthritis. Pediatric Clinics, 2012, 59.2: 301-327.
BORCHERS, Andrea T., et al. Juvenile idiopathic arthritis. Autoimmunity reviews, 2006, 5.4: 279-298.
ESPINOSA, Maria; GOTTLIEB, Beth S. Juvenile idiopathic arthritis. Pediatrics in Review, 2012, 33.7: 303-313.
HASHKES, Philip J.; LAXER, Ronald M. Medical treatment of juvenile idiopathic arthritis. Jama, 2005, 294.13: 1671-1684.
GIANCANE, Gabriella, et al. Juvenile idiopathic arthritis: diagnosis and treatment. Rheumatology and therapy, 2016, 3: 187-207.
WEISS, Jennifer E.; ILOWITE, Norman T. Juvenile idiopathic arthritis. Rheumatic Disease Clinics of North America, 2007, 33.3: 441-470.