変形性脊椎症

変形性脊椎症(Degenerative spondylosis)とは、椎骨や椎間板を含む脊椎全体に加わる加齢変化などが原因で、骨や関節の形状が退行性変化し、の棘(骨棘)が形成されるなど、脊椎が変形する状態を指します。

年齢を重ねるほど進行しやすい特徴があり、腰痛や背中の違和感など、さまざまな症状を引き起こします。

実際、X線など画像上では、65歳以上の約85%で脊椎の変性所見(椎間板の狭小化や骨棘形成など)が認められると報告されています。

軽度であれば気づかずに生活を送っている方もいますが、痛みやしびれなどが慢性化すると日常動作に支障をきたす恐れがあります。

この記事の執筆者

臼井 大記(日本整形外科学会認定専門医)

臼井 大記(うすい だいき)

日本整形外科学会認定専門医
医療社団法人豊正会大垣中央病院 整形外科・麻酔科 担当医師

2009年に帝京大学医学部医学科卒業後、厚生中央病院に勤務。東京医大病院麻酔科に入局後、カンボジアSun International Clinicに従事し、ノースウェスタン大学にて学位取得(修士)。帰国後、岐阜大学附属病院、高山赤十字病院、岐阜総合医療センター、岐阜赤十字病院で整形外科医として勤務。2023年4月より大垣中央病院に入職、整形外科・麻酔科の担当医を務める。

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目次

変形性脊椎症の病型

変形性脊椎症にはいくつかの病型があり、脊椎のどの部分にどのような変化が起こるかによって特徴や症状が異なります。

ここでは代表的な病型の特徴と、その見分け方を概説します。

頸椎型

頸椎(首の部分)に生じる変形性脊椎症を頸椎型と呼びます。

長時間のスマートフォン操作やPC作業などで前傾姿勢が続くと、頸椎に負担がかかりやすくなります。

頭痛や肩こり、腕のしびれなどがみられるケースもあり、日常生活や仕事のパフォーマンスに影響を及ぼしやすい病型です。

病型代表的な症状原因となりやすい姿勢
頸椎型首・肩のこり、腕のしびれ、頭痛前傾姿勢の長時間継続
胸椎型背中の張り、呼吸時の違和感猫背、過度の前かがみ姿勢
腰椎型腰痛、下肢のしびれ不適切な座り姿勢、重い物の繰り返し挙上

頸椎型では、日常の立ち仕事やデスクワークで首に集中する負荷が多くなりやすいため、自分の姿勢を意識しましょう。

胸椎型

胸椎(背中の部分)に起こる変形性脊椎症は胸椎型と呼ばれます。

加齢だけでなく、慢性的に猫背や前かがみが続くと、背骨まわりの関節に余分な負担がかかり、結果として変形を起こしやすくなる傾向があります。

背中の張りや痛みに加えて、場合によっては呼吸時の違和感を覚える場合もあります。

胸椎型の特徴
  • 背筋が弱まりやすい中高年層に多い
  • 姿勢改善や背筋強化のトレーニングが重要
  • 背中の可動範囲が狭まると、日常動作がやりにくくなる場合がある

胸椎は可動域が比較的狭く、負荷のかかり方が頸椎や腰椎とは異なります。

そのため胸椎型は、姿勢の乱れや骨密度低下など複合的要因が重なった結果として変形が生じるケースがみられます。

腰椎型

腰椎(腰の部分)に生じる変形性脊椎症は腰椎型と呼び、最も多くみられるタイプといわれています。

腰痛や下肢のしびれなどを引き起こしやすく、進行すると歩行や日常動作に大きな制限が生じる可能性があります。

重い物を持ち上げる機会が多い方や、長時間同じ姿勢で座り続ける方に起こりやすい傾向があります。

腰椎型に多い症状の一覧
  • 腰の痛み(鈍痛、鋭い痛みなどさまざま)
  • 太ももやふくらはぎなど下肢のしびれ
  • 腰の曲げ伸ばしがしづらい
  • 長時間座っていると腰が重くなる

腰椎は体重を支える要となる部位なので、変形による影響が大きく出やすい特徴があります。

急性の痛みが出た場合は安静にする必要がありますが、慢性化するとリハビリによる筋力強化が特に重要です。

多発型

頸椎や胸椎、腰椎が同時に変形しているケースを多発型と呼びます。

どこか1か所だけが変形している場合より症状が広範囲に及ぶため、症状の把握と管理が難しくなる傾向があります。

多発型は年齢を重ねるほどリスクが高まると考えられているため、複数の部位を総合的にケアすることが大切です。

症候による分類

単純型(軸性痛タイプ)

単純型は脊椎の変形や椎間板のすり減りによって生じる首や腰の痛み・こり、可動域低下など局所の症状のみがあるタイプです。

神経症状型

神経症状型では変形した骨棘や飛び出した椎間板が神経根あるいは脊髄(頚椎・上位胸椎)や馬尾神経(腰椎部)を圧迫し、神経症状を伴います。

神経症状方では以下のように更に細分化されます。

  • 頚椎症性神経根症(腕や手の痛み、しびれ)
  • 頚椎症性脊髄症(手足の麻痺、高知運動障害や歩行障害)
  • 腰椎の神経根圧迫による坐骨神経痛様※1の症状
  • 脊柱管狭窄による神経性間欠跛行※2

※1坐骨神経痛:坐骨神経が圧迫されて起こる痛みやしびれなどの症状の総称

※2神経性間欠跛行:神経が圧迫されて生じる、特徴的な下肢の痛みやしびれ。安静にしている時にはなく、歩くと症状が現れ、休むと症状が改善する特徴がある。

変形性脊椎症の症状

変形性脊椎症の症状は、影響を受ける部位や進行度によって変わります。

初期段階では軽い違和感だけだったものが、徐々に痛みやしびれへと広がり、日常生活に支障をきたすケースもあります。

ここでは症状のバリエーションや注意点を詳しく紹介します。

痛み・こり・しびれ

変形性脊椎症で最も頻度が高い症状が、痛みやこり、しびれです。

負荷がかかり続ける部位によって感じ方が異なるため、頸椎なら首周辺や腕、胸椎なら背中、腰椎なら腰や下肢に出る傾向があります。

  • 首や肩が重だるい
  • ふとした動作で腰や背中に鋭い痛みを感じる
  • 腕や脚がしびれて力が入りにくい

程度は人によって異なり、軽度であれば湿布やマッサージで改善する場合もあります。

しかし慢性化すると痛みの種類や箇所が増えやすいため、早期の受診とケアが大切です。

動作制限

変形性脊椎症が進行すると、脊椎が硬くなって動きにくくなるほか、神経が圧迫されると手足や胴体に違和感が生じるケースもあります。

首を上下左右に回しにくい、背中を反らすと痛む、腰を曲げられないといった動作制限が起こりやすくなります。

動作制限されやすい病型具体的な例
首の回旋頸椎型後方確認が困難、車の運転で後方確認しづらいなど
背中の伸展胸椎型腕を頭上に上げにくい、背中が伸びない
腰の屈曲腰椎型前屈み作業が苦痛、床のものを拾いにくい

このような動作制限は軽度であれば生活習慣の改善やリハビリでカバーできる場合もありますが、急性の痛みがあるときは無理に動かすと症状が悪化する恐れがあるため注意が必要です。

姿勢の乱れ

変形性脊椎症は、姿勢の乱れを引き起こしやすい点にも注意が必要です。

骨や軟骨が変形している状態では、自然と背中や首、腰をかばう動きが増えるため、猫背や反り腰になりやすくなります。

姿勢の乱れが進むと、さらに脊椎への負担が増し、悪循環に陥りやすいです。

日常生活への影響

長時間の歩行や、立ち仕事、デスクワークに支障をきたすケースがあります。

特に腰椎型では、腰を曲げたり伸ばしたりする動作に痛みを伴うため、家事や育児をはじめとした生活全般に負担を感じやすくなります。

頸椎型では首や肩の痛みが強くなり、リラックスして休息をとることさえ難しい状況に陥る場合があります。

  • 家事や料理でしゃがむ動作がつらい
  • 長い時間座っていられない
  • 就寝時に首や肩が痛くて寝返りを打ちにくい

これらの症状が続くと、精神的なストレスが増えやすくなるため、早めの対処が望ましいです。

変形性脊椎症の原因

変形性脊椎症は加齢だけが原因とは限りません。仕事や生活習慣、体質など多角的な要因が重なった結果として発症や進行を促している場合があります。

ここでは代表的な原因と、それぞれが脊椎に与える影響を解説します。

加齢による骨・軟骨の変性

変形性脊椎症の最大の原因は加齢です。

加齢とともに椎間板の含水量が減り弾力を失っていく「変性」が起こり、椎間板が薄くなると、椎骨同士の間隔が狭まり、周囲の靭帯や関節にも負荷がかかります。

その結果として椎骨同士の摩擦が増え、変形が進行しやすい状態になります。

加齢による変化影響
椎間板の水分量低下クッション機能の低下、椎骨間の衝撃増大
骨密度の低下骨折リスク増大、変形の進行促進
筋力の衰え脊椎の支えが弱まる、姿勢が崩れやすくなる

このように加齢による生理的変化は避けられませんが、適度な運動や栄養バランスの取れた食生活が骨・軟骨の衰えを緩やかにする上で重要です。

職業的・生活習慣的要因

長時間のデスクワーク、スマートフォンの使用、重い荷物を持つ肉体労働、長年の車の運転あるいは家事での不自然な姿勢などが慢性的に続くと、脊椎の一部に過剰な負担がかかります。

結果として椎間板や骨にゆがみが生じ、変形性脊椎症を進行させる一因となります。

注意すべき習慣
  • 椅子や机の高さが合っていない
  • うつむいた状態での長時間スマホ操作
  • 足を組む、片側だけに重心をかけるクセ

このような姿勢習慣は、頸椎・胸椎・腰椎のどこか一部だけに負担が集中しやすくなり、徐々に変形が広がるケースがあります。

先天的要因

骨や軟骨の質はある程度遺伝的に決まっている部分もあります。

家族に腰痛や変形性関節症を抱えている方が多い場合、同様の症状が現れる可能性が高まります。

ただし遺伝的要因だけで病気が発症するわけではなく、運動や食生活など環境要因との組み合わせが大きな影響を及ぼします。

外傷やスポーツによる負荷

激しいスポーツや交通事故などで大きな衝撃を脊椎に受けると、骨や椎間板にダメージが残る場合があります。

その影響が蓄積して変形性脊椎症を発症するケースも存在します。

若い頃の外傷や強度の高いスポーツを長期間行うと、加齢とともに傷ついた部位が悪化しやすい傾向があります。

喫煙

喫煙は椎間板への血流を低下させ、変性を促すリスク因子です。

喫煙者は非喫煙者に比べ椎間板の変性が若年から進行しやすいと報告されています。

変形性脊椎症の検査・チェック方法

変形性脊椎症の検査では、骨や軟骨の状態を把握し、神経の圧迫がどの程度あるかを調べていきます。

痛みの原因を正確に突き止めるために、医師は画像検査や理学所見を総合的に見て診断を行います。

ここでは一般的な検査手順やチェック方法を紹介します。

画像検査

レントゲン(X線)撮影やMRI、CTスキャンなどを使用して、椎間板のスペースや骨の形状、神経の圧迫状態を確認します。

変形性脊椎症の場合、骨棘と呼ばれる骨のトゲが形成されている場合が多く、レントゲン撮影で確認しやすいです。

検査項目特徴得られる情報
レントゲン撮影時間が短い骨の変形、骨棘の有無
MRI放射線被ばくなし、高コスト椎間板や神経根の状態、軟部組織の詳細
CTスキャン断層撮影による立体的な骨構造の把握骨折や細かい骨の変形の詳細

MRIでは椎間板の変性や神経根の圧迫状態をより詳細に見られるため、手術適応を検討するときなどに活用される機会が多いです。

理学的検査

医師や理学療法士が触診や可動域テスト、筋力テストなどを行い、痛みの部位や動作制限、しびれの範囲などを確認します。

これにより、どのレベルの脊椎に問題が集中しているかをある程度特定できます。

  • 上下肢を動かして、しびれや痛みの強い動作をチェックする
  • 首や腰の可動域を測定し、どのくらい動かすと痛みが出るかを観察する

理学的検査は患部の状態を知る上で重要ですが、画像所見と合わせると、正確な診断が期待できます。

神経学的検査

変形によって神経が圧迫されている可能性がある場合、神経伝導速度検査や筋電図検査を行う場合があります。

しびれや筋力低下などがみられるときは、どの神経がどの程度ダメージを受けているのかを調べる必要があります。

自己チェック

医療機関を受診する前に、自分でどの程度の症状かを確認しておくと診察がスムーズになります。

痛みの程度を10段階で表す、痛みが強くなるタイミングを記録するなど、客観的なデータがあると診断に役立ちます。

自己チェックのポイント
  • 朝起きた直後の腰の痛みはどれくらいか
  • 首を回すときに痛みや違和感があるか
  • 下肢にしびれが及ぶか

日常生活の中で感じる些細な症状をメモに残しておくと、症状把握に役立ちます。

変形性脊椎症の治療方法と治療薬、リハビリテーション、治療期間

変形性脊椎症の治療は、病状の進行度や原因となるライフスタイルによって異なります。

保存療法で症状が改善するケースが多い一方で、手術が必要になる場面もあります。

ここでは治療の選択肢と治療薬、リハビリテーション、治療期間について詳しく解説します。

まず、保存療法を中心に行い、症状が改善しない場合や重篤な神経症状がある場合に手術を検討するケースが多いです。

保存療法(薬物療法・注射・装具)

軽度から中等度の症状では、まず薬物療法や注射、装具の使用などで痛みを和らげ、炎症を抑えていきます。

  • NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)や消炎鎮痛剤を処方
  • 神経ブロック注射で痛みを緩和
  • コルセットや頸椎カラーなどの装具で患部を安定化

保存療法によって症状が落ち着くケースは多く、急性期の痛みがある程度収まったら、運動療法やリハビリテーションへ移行します。

保存療法で使われる代表的な薬

薬の種類主な作用具体例
NSAIDs炎症と痛みの緩和ロキソプロフェン
筋弛緩薬筋肉の緊張を緩め、痛みを軽減エペリゾン
神経因性疼痛治療薬神経痛やしびれを緩和プレガバリン

リハビリテーション(運動療法・物理療法)

急性期の痛みが和らいだ後は、リハビリを通じて筋肉を強化し、姿勢を改善していきます。

適度な負荷をかけた筋力トレーニングやストレッチ、理学療法士の指導のもとで行う物理療法などが含まれます。

  • 温熱療法や電気刺激療法
  • ウォーキングや軽い筋トレ
  • コアマッスルを意識した体幹トレーニング

リハビリは継続が肝心です。短期間で大きな効果が得られなくても、定期的な通院と自主トレーニングを組み合わせると、痛みや動作制限の軽減が見込めます。

リハビリテーションに取り組む上でのポイント
  • 無理をしない範囲で継続する
  • 日常生活でも姿勢に注意する
  • 痛みが出たら自己判断で続けず医師や理学療法士に相談

手術療法

保存療法で改善が見られない場合や、重度の神経圧迫による麻痺などが懸念される場合は手術療法が検討されます。

椎弓切除術や椎間板摘出術、固定術などの選択肢がありますが、患者さんの年齢や全身状態、神経症状の度合いによって方針が異なります。

手術方法内容
椎弓切除術圧迫されている神経を解放
椎体間固定術不安定な椎体同士を金属や骨移植で固定
内視鏡手術負担が少ない方法で神経の圧迫を除去

手術後は入院期間とリハビリが必要になり、回復には数週間から数カ月かかる場合があります。

治療期間の目安

保存療法の場合、症状が比較的軽度であれば数週間から数カ月程度のリハビリで日常生活への支障が大きく改善するケースが多いです。

手術を行った場合でも、合併症がなく順調に回復すれば3カ月から6カ月程度で社会復帰が可能とされています。

ただし術後リハビリは長期的に取り組む必要があり、一概に治療期間を断定することはできません。

薬の副作用や治療のデメリット

薬物療法や手術療法にはメリットがある一方、デメリットや副作用も存在します。

適切な治療を受けるためには、それぞれのリスクとメリットを理解し、主治医と相談しましょう。ここでは代表的な副作用やデメリットを示します。

薬物療法の副作用

変形性脊椎症で処方される機会の多いNSAIDsや神経因性疼痛治療薬には、次のような副作用が報告されています。

  • 胃腸障害(胃痛、下痢、便秘など)
  • めまい・眠気
  • 肝機能障害

長期間使用する場合は、定期的に血液検査などを行い、症状や副作用を確認しながら量を調整する必要があります。

副作用発生リスクを高める原因
胃・十二指腸潰瘍空腹時の服用、過度のアルコール摂取
腎機能低下高齢者、持病としての腎臓病など
浮腫塩分過多の食生活、心臓病

手術のリスク

手術に伴うリスクには、麻酔リスクや感染症、出血、神経損傷などが含まれます。

また手術を行ったとしても、再発や別の部分での変形が進む可能性も否定できません。

年齢や全身状態によっては手術が体に与える負担が大きい場合があるため、医師との十分な相談が必要です。

リハビリテーションの負荷

リハビリテーションは体の機能回復に効果的ですが、初期段階で痛みが強いと、モチベーションが維持しにくいというデメリットがあります。

また、自宅での自主トレーニングを継続できない場合、思うような効果を得られないケースもあります。

  • 継続的に通院する時間や費用が必要
  • 痛みや倦怠感がある中での運動は精神的負担が大きい

このような負荷を考慮しながら、リハビリの目標や進め方を医療スタッフと相談していきます。

長期的な視点での注意

変形性脊椎症は加齢とともに進行しやすい病気であり、一度変形が進んだ組織を完全に元に戻すことは難しい場合が多いです。

治療やケアにより症状が緩和したとしても、長期的な視点で予防とメンテナンスを続ける必要があります。

これを怠ると再発や他の部位への負担増加につながる可能性があります。

保険適用と治療費

お読みください

以下に記載している治療費(医療費)は目安であり、実際の費用は症状や治療内容、保険適用否により大幅に上回ることがございます。当院では料金に関する以下説明の不備や相違について、一切の責任を負いかねますので、予めご了承ください。

変形性脊椎症の治療費は、治療内容や医療機関の種類によって異なります。

多くの場合、整形外科やクリニックでの診察や治療は保険適用の対象になります。ここでは保険適用の範囲と具体的な治療費の目安を示します。

外来診察・検査費用

レントゲンやMRI検査などは保険が適用されると、自己負担は3割の場合で数千円から1万円台に収まる場合が多いです。

ただしMRIは医療機関によって費用が変わりやすく、検査部位によっても金額が異なります。

目安となる検査費用

検査項目自己負担3割の場合の目安
レントゲン約1000~2000円
MRI約5000~1万5000円
CTスキャン約5000~1万円

医師の判断で複数の検査を同日に行うと、その分費用がかかります。予算や必要性については診察時に主治医と相談しましょう。

保存療法の治療費

薬物療法や注射、リハビリテーションなどの保存療法も保険が適用されます。

薬代や注射代、リハビリテーションの料金は各医療機関の設定によって変わりますが、1回あたり数百円から数千円程度の自己負担になるケースが多いです。

  • 通院頻度が週1~2回の場合、月に数千円から1万円程度
  • 注射や装具を使用すると別途追加費用がかかる

装具(コルセットなど)は医師の診断書があれば保険適用の対象となる場合がありますが、自己負担額が数千円から1万円程度になることもあります。

手術費用

手術にかかる費用は、手術の種類や入院期間、病院の規模などによって大きく左右されます。

健康保険が適用される場合、自己負担3割として数万円から十数万円程度になるケースが一般的です。個室利用などで差額ベッド代が発生する場合は、さらに費用が上乗せされます。

  • 椎間板摘出術など比較的軽度な手術の場合は約5万~10万円
  • 固定術を伴う大がかりな手術の場合は約10万~20万円以上

高額療養費制度を利用できる場合、一定の金額を超えた分は払い戻しの対象になるため、入院や手術が必要な際には忘れずに確認しておきましょう。

リハビリテーション費用

手術後のリハビリ、あるいは保存療法としてのリハビリも保険適用になります。内容や時間、通院頻度によって変わりますが、1回あたり数百円から数千円程度が目安です。

  • 週1回のリハビリであれば、月に数千円~1万円程度
  • 症状が重いほどリハビリの頻度が高くなり、費用もかさむ場合がある

変形性脊椎症の治療は長期にわたる場合が多いため、金銭面の計画を立てながら無理なく通院できるスタイルを選ぶと安心です。

以上

参考文献

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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