末梢神経損傷– category –

整形外科末梢神経損傷

末梢神経とは、脳や脊髄から体の各部位に伸びる神経のことを指します。これらの神経は、脳からの運動指令を筋肉に伝える役割(運動神経)と、皮膚や内臓からの感覚情報を脳に伝える役割(感覚神経)を担っています。

末梢神経損傷は、外傷、圧迫、絞扼(神経が狭い通路で圧迫される状態)などによって発生し、筋力低下、感覚障害(しびれ、痛み、感覚鈍麻)、自律神経症状などを引き起こします。症状や重症度は、損傷した神経の部位や程度によって異なります。

大垣駅より徒歩5分、大垣中央病院の整形外科では、様々な末梢神経損傷に対して、的確な診断と適切な治療を提供しています。初期治療から、必要に応じた手術療法、リハビリテーションまで一貫した診療体制を整えています。

こんな症状はご相談ください

以下のような症状でお悩みの方は、当院整形外科にご相談ください。

  • 手や腕、足にしびれや感覚の異常がある
  • 指先の細かい動作がうまくできない
  • 特定の姿勢や動作で痛みやしびれが強くなる
  • 手や腕に力が入りにくい、物を握る力が弱くなった
  • 足に力が入らず、つまずきやすくなった
  • 靴下を履いているような感覚がある
  • 指や手首、足首などが変形してきた
  • 腕を上げると手や指がしびれる
  • 足の裏や指の間が痛む
  • 肩から腕にかけて痛みが広がる

主な末梢神経損傷

上肢の末梢神経損傷

腕神経叢損傷

腕神経叢(頸椎から出た神経が複雑に絡み合い、上肢の神経を形成する部分)が損傷する疾患です。交通事故やスポーツ外傷などによって引き起こされ、上肢全体の運動麻痺や感覚障害を生じることがあります。

治療

重症度により、神経が引き伸ばされる「神経損傷」から、神経が根元から引き抜かれる「神経根引き抜き損傷」まで様々です。早期診断と適切な治療が重要となります。

胸郭出口症候群

胸郭出口(首と胸の間にある神経や血管の通り道)で神経や血管が圧迫される症候群です。腕の挙上や特定の姿勢で症状が悪化し、手のしびれや冷感、疲労感などが現れます。

治療

姿勢改善、ストレッチ、薬物療法などの保存療法を基本とし、改善しない場合は手術を検討します。

手根管症候群

手首の「手根管」で正中神経が圧迫される疾患です。親指から中指にかけてのしびれや痛み、特に夜間に症状が悪化することが特徴です。進行すると親指の筋肉の萎縮が生じることもあります。

治療

手首の安静、装具療法、消炎鎮痛剤、ステロイド注射などを行い、改善しない場合は手術(手根管開放術)を検討します。

前骨間神経麻痺

正中神経の枝である前骨間神経が障害を受ける疾患です。親指と人差し指でつまむ動作(ピンチ動作)が困難になります。感覚障害はありません。

治療

安静、装具療法、消炎鎮痛剤などの保存療法を基本とし、自然回復しない場合は手術を検討します。

ギヨン管症候群

手首の「ギヨン管」で尺骨神経が圧迫される疾患です。小指と薬指の感覚障害や、手の筋力低下が生じます。自転車のハンドルなど手のひらへの慢性的な圧迫がある方に多く見られます。

治療

原因となる圧迫の除去、安静、消炎鎮痛剤などを行い、改善しない場合は手術を検討します。

肘部管症候群

肘の内側にある「肘部管」で尺骨神経が圧迫される疾患です。肘をぶつけた際の「電気が走るような痛み」や、小指側のしびれ、手の巧緻運動障害などが症状として現れます。

治療

肘の保護、姿勢指導、消炎鎮痛剤などの保存療法を行い、改善しない場合は手術(神経除圧術や神経移行術)を検討します。

後骨間神経麻痺

橈骨神経の枝である後骨間神経が障害を受ける疾患です。指を伸ばす力が弱くなり、手首を反らすことが困難になります。感覚障害はありません。

治療

安静、装具療法、消炎鎮痛剤などの保存療法を基本とし、自然回復しない場合は手術を検討します。

橈骨神経麻痺

上腕部での橈骨神経損傷により生じる麻痺です。上腕骨骨折に伴うことが多く、手首や指を伸ばす力が弱くなる「下垂手」と呼ばれる状態が特徴です。

治療

原因疾患の治療と並行して、装具療法、理学療法などを行います。自然回復しない場合は手術を検討します。

下肢の末梢神経損傷

梨状筋症候群(坐骨神経麻痺)

お尻の深部にある梨状筋と呼ばれる筋肉によって坐骨神経が圧迫される症候群です。お尻から足にかけての痛みやしびれ、長時間の座位で症状が悪化することが特徴です。

治療

理学療法、消炎鎮痛剤、神経ブロック注射などを行い、改善しない場合は手術を検討します。

総腓骨神経麻痺

膝の外側で総腓骨神経が圧迫または損傷される疾患です。足首を上げる力が弱くなり、歩行時につま先が引きずられる「下垂足」が特徴です。

治療

原因除去、装具療法、理学療法などを行い、自然回復しない場合は手術を検討します。

足根管症候群(脛骨神経麻痺)

足首の内側にある「足根管」で脛骨神経が圧迫される疾患です。足底のしびれや痛み、特に夜間や長時間の歩行後に症状が悪化することが特徴です。

治療

足部の安静、装具療法、消炎鎮痛剤、ステロイド注射などを行い、改善しない場合は手術を検討します。

モートン病

足の指の間を通る神経(主に足底デジタル神経)が圧迫されて起こる疾患です。前足部の痛みやしびれ、異物感などが症状として現れ、特にハイヒールなどの先の細い靴を履く女性に多く見られます。

治療

適切な靴の選択、足底板、消炎鎮痛剤、ステロイド注射などを行い、改善しない場合は手術を検討します。

その他の末梢神経障害

頸肩腕症候群

頸椎から肩、上腕にかけての痛みやしびれ、筋力低下などを呈する症候群です。様々な要因が複合的に関与している場合が多く、特定の姿勢での作業が長時間続く職業の方に多く見られます。

治療

姿勢改善、職場環境の調整、理学療法、消炎鎮痛剤などを中心に行います。

診断・検査

当院では、末梢神経損傷の正確な診断のために、以下のような検査を行っています。

問診・診察

症状の経過や日常生活での困難点を丁寧に聞き取り、適切な神経学的診察を行います。

筋力テスト

各筋肉の筋力を評価します。

感覚検査

触覚、痛覚、温度覚などの感覚を評価します。

反射検査

腱反射など各種反射を評価します。

神経絞扼テスト

ティネルサインなど、神経絞扼部位を特定するテストを行います。

レントゲン検査

骨折や変形など、神経損傷の原因となる骨の異常を評価します。

MRI検査

神経の圧迫や浮腫(むくみ)の状態を評価します。

超音波検査

神経や周囲組織の状態をリアルタイムで観察します。

神経伝導検査

神経の伝導速度や振幅を測定し、障害の部位と程度を評価します。

筋電図検査

筋肉の電気活動を記録し、神経障害による筋肉の変化を評価します。

治療方法

多くの末梢神経損傷は、まず保存療法から開始します。

保存療法

安静と固定

損傷部位を安静にし、必要に応じて装具(スプリントなど)で固定します。

薬物療法
  • 消炎鎮痛剤:痛みや炎症を抑えます。
  • 神経障害性疼痛治療薬:神経の痛みを和らげます。
  • ビタミンB12製剤:神経の修復を促進します。
注射療法
  • ステロイド注射:神経周囲の炎症を抑えます。
  • 神経ブロック:痛みをコントロールします。
理学療法・作業療法
  • 関節可動域訓練:関節の拘縮を予防します。
  • 筋力強化訓練:筋力低下を防ぎます。
  • 感覚再教育:感覚の回復を促進します。
  • 日常生活動作訓練:生活の質を向上させます。
生活指導

原因となる動作や姿勢の改善、環境調整などのアドバイスを行います。

手術療法

保存療法で効果が不十分な場合や、重度の神経損傷がある場合は手術を検討します。

  • 神経除圧術:圧迫された神経を解放します(手根管開放術、肘部管開放術など)。
  • 神経縫合術:切断された神経を直接縫い合わせます。
  • 神経移植術:欠損部が大きい場合、別の神経(通常は腓腹神経)を採取して移植します。
  • 神経移行術:機能している神経を移動させて、損傷した神経の役割を代替させます。
  • 腱移行術:機能を失った筋肉の代わりに、健常な筋肉と腱を利用して機能を回復させます。

当院では、患者様の症状、神経損傷の程度、生活背景などを総合的に考慮し、適切な治療法を選択しています。可能な限り低侵襲な手術を心がけ、早期の回復と社会復帰を支援します。

アクセス

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住  所:〒503-0025 岐阜県大垣市見取町4丁目2番地

提携駐車場がございます。アクセスについて詳しくはこちらのページをご覧ください。

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