閉経後骨粗鬆症

閉経後骨粗鬆症(Postmenopausal osteoporosis)とは、女性の閉経期を境にして急激に骨量が減少し、骨がもろくなる状態です。

加齢による骨密度の低下は自然な変化ですが、閉経後は女性ホルモンのエストロゲンが減少するため、骨形成と骨吸収のバランスが崩れて骨折リスクが高くなります。

骨折が起きると生活の質が大きく損なわれます。予防や治療は継続が大切で、適切な管理を行えば、骨折を防ぐだけでなく日常生活を快適に送れます。

この記事の執筆者

臼井 大記(日本整形外科学会認定専門医)

臼井 大記(うすい だいき)

日本整形外科学会認定専門医
医療社団法人豊正会大垣中央病院 整形外科・麻酔科 担当医師

2009年に帝京大学医学部医学科卒業後、厚生中央病院に勤務。東京医大病院麻酔科に入局後、カンボジアSun International Clinicに従事し、ノースウェスタン大学にて学位取得(修士)。帰国後、岐阜大学附属病院、高山赤十字病院、岐阜総合医療センター、岐阜赤十字病院で整形外科医として勤務。2023年4月より大垣中央病院に入職、整形外科・麻酔科の担当医を務める。

LinkedIn

医師プロフィール
整形外科(大垣中央病院)TOPページ

目次

閉経後骨粗鬆症の病型

閉経後骨粗鬆症には複数の病型があり、発症する経緯や骨の状態によって分類する方法があります。女性ホルモンの変動がダイレクトに反映されるため、同じ年齢でも個人差があります。

原発性骨粗鬆症と続発性骨粗鬆症

骨粗鬆症には大きく分けて、原因が閉経や加齢と直接的に結びつく「原発性骨粗鬆症」と、別の病気やステロイドなどの薬剤によって骨代謝が変調をきたす「続発性骨粗鬆症」があります。

閉経後骨粗鬆症は原発性骨粗鬆症の代表格です。女性ホルモンの減少が加速度的な骨量の減少を引き起こし、骨が脆弱化していきます。

一方、甲状腺機能亢進症や慢性腎疾患、ステロイド薬の長期投与などが背景にある場合は続発性骨粗鬆症に分類されます。

骨量減少の時期と進行度

閉経前後の数年は、閉経後のエストロゲンの減少によって骨吸収の勢いが非常に強まるため、骨形成が追いつかず急激な骨量減少が起きやすいです。

閉経から約5年~10年程度で骨量の減少率がピークに達し、その後は緩やかに落ち着いていくとされています。

ただし個人差が大きく、過度なダイエットや栄養状態の不良がある場合はさらに進行が早まる可能性があります。

骨量分布の違い

骨量は全身の骨で均一に減少するわけではなく、特に負荷のかかる腰椎や大腿骨近位部などに顕著に影響が出ると報告されています。

閉経後骨粗鬆症では、脊椎(椎体)と大腿骨頸部の骨密度低下が大きな問題になります。これらの部位で骨折が生じると、日常生活動作が大きく制限されます。

骨質の変化

単に骨量が減るだけでなく、骨の質(骨梁構造や微小損傷の修復能力など)も悪化しやすいです。

骨質は骨折リスクを判断するうえで重要ですが、通常の骨密度検査だけではわかりにくい面があります。骨質が低下すると同じ骨密度でも骨折しやすくなります。

閉経後骨粗鬆症における骨量減少の主な特徴

特徴説明
急激な骨量減少閉経後5年~10年ほどで骨吸収が強まり、骨量が急落しやすい
女性ホルモンの影響エストロゲン低下による骨吸収亢進が主たる要因
腰椎・大腿骨で顕著骨折リスクが高まりやすい部位として、脊椎(椎体)と大腿骨近位部が代表的
骨質の劣化骨量だけでなく、骨質自体も低下して微小骨折などが起きやすくなる

閉経後骨粗鬆症では、主に骨量と骨質の両面で問題が生じます。女性ホルモンの低下が大きく影響するため、早期の検査と適切な対処が重要です。

閉経後骨粗鬆症の症状

閉経後骨粗鬆症は「沈黙の病気, silent disease」と呼ばれるときもあるほど、初期の自覚症状があまりありません。気づかないうちに骨量が減っているケースが多く、骨折して初めて診断される人も多いです。

痛みやだるさ

骨粗鬆症が進むと、骨折や椎体の変形によって背中や腰に慢性的な痛みが生じる場合があります。

強い痛みではなくても「腰が重い」「姿勢をまっすぐに保ちにくい」「疲れやすい」といった訴えが増えます。特に腰椎の圧迫骨折は軽微な動作で起こり、気づかない内に骨折する「いつのまにか骨折」とも呼ばれます。

身長の低下

脊椎の椎体がつぶれるように変形すると、以前より身長が数センチ単位で低くなる方がいます。

身長計で測定するまで気づかない人も多いですが、若いころの身長と比べると顕著に差が出る場合があります。こうした身長の低下は骨折リスクを示すサインの1つです。

背中や腰の変形

脊椎の変形が進行すると、いわゆる「円背(猫背)」が目立つようになります。胸椎や腰椎が潰れるように変形すると、背中が丸まり姿勢のバランスが崩れます。

背中が丸まると肺を圧迫し、呼吸が浅くなりやすく、全身の疲労感を強める要因になります。

転倒しやすさ

骨粗鬆症そのものは筋力低下を直接引き起こすわけではありませんが、痛みや姿勢の崩れによって体のバランスを保ちづらくなり、転倒しやすくなるケースがあります。

足元がおぼつかなくなる、歩き方が小刻みになるといった変化が見られたときは骨折リスクが高い状態かもしれません。

転倒リスク増大につながる主な要因

要因内容
姿勢の崩れ円背や背骨の変形によって重心の位置が変わり、転びやすくなる
筋力低下加齢や活動量の減少で下肢筋力が落ち、足元の安定感が失われる
視力の低下や反応速度の低下足元の障害物や段差に気づきにくく、よろけやすくなる
不安定な歩行痛みや関節のこわばりで歩幅が狭くなり、小刻みになってバランスを崩しやすくなる

このような症状が見られるときは早めに検査を受けて自分の骨の状態を把握し、必要な対策を行うのが望ましいです。

閉経後骨粗鬆症の原因

閉経後骨粗鬆症の最大の原因はエストロゲン(女性ホルモン)の急激な低下です。

エストロゲンは骨を作る骨芽細胞の働きを助け、骨を壊す破骨細胞を抑制する作用があります。しかし閉経によりエストロゲン分泌が減少すると、このバランスが崩れて骨吸収が過剰に進行し、骨量の著しい減少を招きます。

実際、女性は閉経後5~7年で骨密度が最大20%も減少する場合があり、これが閉経後骨粗鬆症を引き起こす主因となります。

このように女性ホルモンの急激な低下は強い影響を及ぼしますが、その他にも生活習慣や遺伝といった見逃せない危険因子があります。

女性ホルモン(エストロゲン)の減少

女性ホルモンのエストロゲンは、骨において骨吸収を抑制する役割を持っています。

閉経後にはエストロゲン分泌量が大幅に減少するため、骨吸収が亢進し、骨形成と骨吸収のバランスが崩れます。これにより、骨量が急激に減ってしまいます。

加齢による骨形成能の低下

加齢によって骨芽細胞の働きが衰え、骨形成能が低下します。もともと骨は破壊と再生を繰り返しており、骨吸収と骨形成のサイクルがバランスを保っている状態が正常です。

しかし年齢とともに骨を作るスピードが遅くなるため、骨量維持が難しくなります。

栄養不足

カルシウムやビタミンD、ビタミンKやタンパク質など、骨の健康に関わる栄養素が不足すると骨粗鬆症が進行しやすくなります。

閉経後は食欲の変化や胃腸機能の低下で十分な栄養が摂取できない場合があるため、意識的にバランスの良い食事を心がけましょう。

生活習慣

喫煙や過度の飲酒、睡眠不足などの生活習慣は骨代謝に悪影響を与えます。

喫煙は血流を悪化させ、骨に必要な栄養素や酸素が行き届きにくくなると考えられています。また、運動不足は骨に適度な刺激を与える機会を奪うため、骨形成を促進する力が弱まります。

骨粗鬆症リスクを高める主な生活習慣
  • 喫煙(ニコチンによる血流不良・ホルモン代謝の乱れ)
  • 過度の飲酒(肝機能障害や骨形成阻害のリスク)
  • 運動不足(骨に負荷がかからないため骨形成が低下)
  • カフェインの過剰摂取(カルシウム排泄を促進しやすい)

これらの習慣を改善するだけでも、骨量低下の進行をある程度抑えられる可能性があります。

ただし、一度減少した骨量を大きく回復させるのは難しいため、早期からの予防と生活改善が望まれます。

遺伝・家族歴

親が骨粗鬆症や骨折歴を持つ場合、自身も骨密度が低く骨折しやすいと知られています。

閉経後骨粗鬆症発症に寄与する主な要素

要素具体例骨への影響
ホルモン変化エストロゲン低下骨吸収の増加、骨形成バランスの崩れ
年齢要因加齢骨芽細胞の活性低下、骨形成速度の低下
栄養素の不足カルシウム・ビタミンDなどの欠乏骨質劣化、骨量の低下
悪い生活習慣喫煙・過度の飲酒・運動不足など骨代謝の低下、血流障害による骨の栄養不足

多様な要因が重なって閉経後骨粗鬆症が進行します。自分の生活環境や食習慣を見直し、必要であれば医療機関での検査や相談を行うと良いです。

閉経後骨粗鬆症の検査・チェック方法

骨粗鬆症は目に見えない骨の状態を把握する必要があるため、適切な検査が重要です。閉経後は骨密度が急激に低下する可能性が高いため、定期的なチェックを心がけましょう。

骨密度測定(DXA・超音波など)

骨粗鬆症の診断や治療方針の決定に使われる最も一般的な検査方法は骨密度測定です。

DXA(デキサ)法と呼ばれるX線を用いた方法では、腰椎や大腿骨など骨折リスクの高い部位の骨密度を計測できます。超音波を使う検査もあり、簡便に骨密度を推定できますが、DXA法のほうが精度が高いとされています。

DXA法と超音波法の比較

検査法特徴測定精度
DXA法X線を用いて腰椎・大腿骨の骨密度を直接測定高い
超音波法かかとなどに超音波を当てて骨量を推定やや低め
携帯型超音波小型機器でかかとを測定でき、場所を選ばず実施可能概算値を把握

DXA法は設備の整った病院やクリニックで受けるケースが多いですが、受診の際には事前に設備の有無や検査の予約が必要かどうかを確認するとスムーズです。

DXA法で得られるTスコアにより骨量の状態を判定し、WHOの基準ではTスコア -2.5以下を骨粗鬆症と定義します。

血液検査

骨粗鬆症の進行度合いや骨の代謝状態をより詳しく調べるために、血液検査で骨代謝マーカーを測定する場合があります。骨形成マーカーと骨吸収マーカーを測定し、それぞれのバランスから骨のターンオーバー状況を推定します。

加えて、ビタミンDの血中濃度やカルシウム・リンの値などを調べるときもあります。

X線撮影

骨密度は数値化できませんが、背骨や大腿骨の形状、骨梁の状態などを把握するのに役立ちます。椎体の圧迫骨折や変形の程度を確認する際に行われる場合が多いです。

症状があるときはレントゲンを撮影すると、骨の変形や骨折の有無を確認できます。

問診と身体所見

患者さんの生活習慣や食事内容、運動習慣や骨粗鬆症の家族歴などを詳しく聞き取り、必要に応じて触診や姿勢チェックを行います。これらの情報と検査結果を総合的に判断して診断方針を決定します。

初診時に詳しく生活背景を伝えると、的確なアドバイスを受けやすいです。

自宅でできる簡易チェックのポイント
  • 過去1年間に2回以上転倒した
  • 若いころより身長が2cm以上低くなった
  • 背中や腰に慢性的な痛みがある
  • 家族に骨粗鬆症を指摘された人がいる
  • 極端なダイエットや偏食をしている

当てはまる項目が複数ある方は、早めに整形外科などを受診し、骨密度測定などの検査を受けると良いでしょう。自覚症状が乏しい時期でも、定期的な検査は早期発見に役立ちます。

骨折リスク評価(FRAX®スコア)

世界保健機関(WHO)開発の骨折リスク評価ツール(FRAX)が広く利用されています。

これは年齢、性別、既往骨折、家族歴、喫煙歴、ステロイド使用などの複数の危険因子と骨密度(オプション項目)を入力すると、10年以内の主要骨折発生確率(%)が算出されるものです。

FRAXスコアにより、高リスク例に治療介入すべきかの目安が立てられます。

閉経後骨粗鬆症の治療方法と治療薬、リハビリテーション、治療期間

閉経後骨粗鬆症の治療は、薬物療法を中心に生活習慣の改善やリハビリテーションを組み合わせて行うのが一般的です。骨量を増やし骨質を保つことは短期間で達成しにくいため、長期的な視点での継続が重要になります。

薬物療法

骨粗鬆症の治療薬には、骨吸収を抑制する薬と骨形成を促進する薬の2つの方向性があります。

ビスホスホネート系薬剤

骨吸収を抑える効果が高く、内服薬や点滴製剤などさまざまな形態があります。服用方法に一定のルールがあり、起床時にコップ1杯の水で服用後しばらく横にならないように指示される場合が多いです。

選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)

エストロゲンに似た作用を持ち、骨吸収を抑制します。乳房や子宮への作用を極力抑えているため、ホルモン補充療法に抵抗のある人にも用いられます。

活性型ビタミンD製剤

腸管からのカルシウム吸収を高め、骨質を保つサポートをします。高齢者や日光浴が少ない方に有効なケースがあります。

抗RANKL抗体(デノスマブ)

骨吸収のカギとなる破骨細胞の形成を阻害して骨量減少を抑えます。半年に1回の皮下注射で済むため、飲み忘れが多い人などに適しています。

PTH製剤(テリパラチドなど)

骨形成を促進する薬として注目されています。一定期間の使用後に、ほかの薬への切り替えを行うケースが多いです。

生活習慣の改善

薬物療法と合わせて、生活習慣の改善が大切です。適度な運動は骨に刺激を与え、骨量維持をサポートします。ウォーキングや軽い筋力トレーニングなどの有酸素運動は続けやすく、骨折予防にもつながります。

また、カルシウム・ビタミンD・タンパク質を意識して摂ると、骨の再構築を助けることが期待できます。

リハビリテーション

骨折予防のためのリハビリテーションでは、バランス訓練や歩行指導が重視されます。すでに脊椎や股関節を骨折した場合は、痛みをコントロールしながら筋力とバランス感覚を取り戻すように段階的な訓練を行います。

理学療法士の指導で無理のない範囲での運動を継続すると、再骨折を防ぎやすいです。

リハビリでよく取り入れられる運動の例

種類内容期待できる効果
バランス訓練片足立ち、つま先立ち、バランスボードなど転倒予防、下肢筋力アップ
筋力トレーニングスクワット、軽いダンベル運動、レッグプレスなど骨への負荷増大、筋力維持
有酸素運動ウォーキング、エアロバイク、水中ウォーキングなど循環機能向上、体力増進
ストレッチ太もも、ふくらはぎ、背筋、胸筋などの柔軟性向上関節可動域拡大、姿勢改善

こうしたリハビリを医師や理学療法士と相談しながら続けると、骨折リスクを減らし日常生活をより安心して送れるでしょう。

治療期間

骨粗鬆症は1~2カ月で劇的に改善するものではありません。骨のリモデリングサイクルには時間がかかるため、数年単位で治療を継続するのが一般的です。

治療薬も定期的に効果をチェックしながら変更や追加が行われるケースが少なくありません。自己判断で中断すると骨密度が再び低下するリスクが高まるため、医師の指示を守って継続してください。

薬の副作用や治療のデメリット

薬物療法は骨粗鬆症の進行を抑えたり、骨折リスクを低減したりするうえで非常に有用ですが、副作用やデメリットも存在します。

治療を開始する前に、メリットとリスクを理解し、自分の体に合った選択をしましょう。

ビスホスホネート系薬剤の副作用

ビスホスホネート系薬剤は、胸やけや食道炎など消化管への刺激が問題になるときがあります。

服用後にすぐ横になってしまうと薬が食道に留まって食道粘膜を傷つけるリスクが高まるため、起床後すぐにコップ1杯以上の水で飲み、30分以上は身体を起こしたままにする指導を受ける場合が多いです。

また、長期使用では顎骨壊死という重い副作用が報告されるケースもあります。

SERMの副作用

SERMはエストロゲン類似の効果を骨に対して発揮しますが、乳房や子宮への作用を抑えた設計とはいえ、個人差により一部の方にホットフラッシュや下肢のけいれんなどが起きます。

症状が強いときは、医師に相談して薬の変更や対策を検討します。

デノスマブ(抗RANKL抗体)の注意点

デノスマブは半年に1回の注射で骨吸収を抑えられるため便利ですが、効果が切れる時期に骨代謝が急激に変化して骨折リスクが高まる可能性があります。

注射を受け続けられない環境になった場合や、副作用が出た際には、医師の指示に従ってほかの治療法への切り替えを検討します。

長期的な治療継続による負担

骨粗鬆症の治療は長期戦になることが多いため、定期的な通院や薬代の負担を感じる方もいます。

また、服薬ルールが複雑な薬剤もあり、飲み忘れや誤った服用で期待される効果が得られないケースも見られます。治療を継続するうえでは、医師や薬剤師と相談しながら負担を軽減できる方法を見つけましょう。

副作用が疑われる場合にチェックする項目
  • 服用や注射後に気になる症状が出た日時や状況
  • ほかの薬やサプリメントの併用状況
  • 生活習慣の変化(食事や運動量の変化など)
  • 痛みや腫れ、発疹などの有無

こうした情報を記録しておくと医師に副作用の可能性を伝えやすくなり、適切な対処につながりやすいです。

保険適用と治療費

お読みください

以下に記載している治療費(医療費)は目安であり、実際の費用は症状や治療内容、保険適用否により大幅に上回ることがございます。当院では料金に関する以下説明の不備や相違について、一切の責任を負いかねますので、予めご了承ください。

閉経後骨粗鬆症の治療は、症状や検査結果に応じて保険診療の範囲で行える場合がほとんどです。骨粗鬆症は骨折につながる重大な疾患とみなされているため、健康保険の適用が認められています。

ただし、検査や治療内容によって自己負担額は異なりますので、事前に概算を把握しておくと安心です。

検査費用

骨密度測定(DXA法)は健康保険が適用される方では、自己負担割合が3割の場合でおおよそ2,000円~4,000円程度になります。レントゲン撮影や血液検査を組み合わせると、その分費用が加算される可能性があります。

主な検査と費用の目安

検査名保険適用時の自己負担目安(3割負担)備考
骨密度測定(DXA)約2,000円~4,000円程度診療機関によって前後あり
X線撮影約1,000円~2,000円程度部位や撮影枚数で変動
血液検査約1,000円~3,000円程度項目数による

治療費

薬物療法の費用は薬剤の種類や処方日数によって異なります。ビスホスホネートの内服薬であれば、1カ月あたり1,000円~2,000円程度の自己負担で済む方が多いです。

注射製剤(デノスマブやパラトルモン製剤)を利用する際は1回あたりの費用が高めになり、3割負担でも1回につき5,000円~10,000円程度かかるケースがあります。

リハビリ費用

骨折後のリハビリや運動療法指導なども保険診療の対象です。

自己負担割合が3割だと、1回あたり数百円~1,000円程度になる方が多いです。頻度や期間によってトータルの費用は変わります。

治療方法と費用目安

治療法自己負担目安(3割負担)特徴
ビスホスホネート内服1カ月あたり約1,000円~2,000円程度毎週または毎月の服用タイプがあり、飲み方に注意が必要
デノスマブ注射1回5,000円~10,000円程度半年に1回の注射で骨吸収を抑制
テリパラチド自己注射1カ月あたり10,000円以上になる場合もある骨形成促進を目的とした注射治療
リハビリ(運動療法など)1回あたり数百円~1,000円程度バランス訓練や筋力アップを目指す

治療継続と費用負担の考え方

骨粗鬆症の治療は長期的に続くケースがほとんどです。月々の通院費や薬剤費が一定額以上になると、高額療養費制度※1を利用できる可能性があります。

※1高額療養費制度:1ヶ月あたりの医療費が上限額を超えた際に、超過分が払い戻しされる制度。限度額は年齢や収入により異なる。

ご自身の収入や家族構成によって上限額が異なりますので、必要に応じて医療機関の相談窓口や保険者に問い合わせると具体的な負担軽減策を確認できます。

自由診療との違い

骨粗鬆症に対するエビデンスのある治療法は、原則として保険診療の対象です。ただし、一部のサプリメントや健康食品、特殊なリハビリプログラムなどは自由診療扱いになるものがあります。

自由診療は全額自己負担になるため、費用が高額になりやすいです。医師から説明があるときには、保険診療との違いや負担額を十分に確認しましょう。

以上

参考文献

BLACK, Dennis M.; ROSEN, Clifford J. Postmenopausal osteoporosis. New England journal of medicine, 2016, 374.3: 254-262.

WALKER, Marcella Donovan; SHANE, Elizabeth. Postmenopausal osteoporosis. New England Journal of Medicine, 2023, 389.21: 1979-1991.

EASTELL, Richard, et al. Postmenopausal osteoporosis. Nature reviews Disease primers, 2016, 2.1: 1-16.

DELMAS, Pierre D. Treatment of postmenopausal osteoporosis. The Lancet, 2002, 359.9322: 2018-2026.

EASTELL, Richard. Treatment of postmenopausal osteoporosis. New England journal of medicine, 1998, 338.11: 736-746.

ROSEN, Clifford J. Postmenopausal osteoporosis. New England Journal of Medicine, 2005, 353.6: 595-603.

TELLA, Sri Harsha; GALLAGHER, J. Christopher. Prevention and treatment of postmenopausal osteoporosis. The Journal of steroid biochemistry and molecular biology, 2014, 142: 155-170.

ALBRIGHT, Fuller; SMITH, Patricia H.; RICHARDSON, Anna M. Postmenopausal osteoporosis: its clinical features. Journal of the American Medical Association, 1941, 116.22: 2465-2474.

ALOIA, John F., et al. Risk factors for postmenopausal osteoporosis. The American journal of medicine, 1985, 78.1: 95-100.

ARCEO-MENDOZA, Rod Marianne; CAMACHO, Pauline M. Postmenopausal osteoporosis: latest guidelines. Endocrinology and Metabolism Clinics, 2021, 50.2: 167-178.

免責事項

当院の医療情報について

当記事は、医療に関する知見を提供することを目的としており、当院への診療の勧誘を意図したものではございません。治療についての最終的な決定は、患者様ご自身の責任で慎重になさるようお願いいたします。

掲載情報の信頼性

当記事の内容は、信頼性の高い医学文献やガイドラインを参考にしていますが、医療情報には変動や不確実性が伴うことをご理解ください。また、情報の正確性には万全を期しておりますが、掲載情報の誤りや第三者による改ざん、通信トラブルなどが生じた場合には、当院は一切責任を負いません。

情報の時限性

掲載されている情報は、記載された日付の時点でのものであり、常に最新の状態を保証するものではありません。情報が更新された場合でも、当院がそれを即座に反映させる保証はございません。

ご利用にあたっての注意

医療情報は日々進化しており、専門的な判断が求められることが多いため、当記事はあくまで一つの参考としてご活用いただき、具体的な治療方針については、お近くの医療機関に相談することをお勧めします。

大垣中央病院・こばとも皮膚科

  • URLをコピーしました!
目次