骨腫瘍– category –

整形外科骨腫瘍

骨腫瘍とは、骨や軟骨に発生する腫瘍の総称です。腫瘍は大きく「良性腫瘍」と「悪性腫瘍」に分類され、さらに原発性(骨そのものから発生)と転移性(他の臓器の癌が骨に転移)に分けられます。

良性腫瘍は生命に直接的な脅威をもたらすことは少ないものの、骨の強度を低下させて病的骨折を引き起こしたり、神経や血管を圧迫したりすることがあります。一方、悪性腫瘍は速やかに適切な治療を行わなければ、転移により生命に関わることがあります。

骨腫瘍の診断には、症状、年齢、発生部位、画像所見などを総合的に評価することが重要です。確定診断には組織検査(生検)が必要な場合も多く、専門的な知識と経験が要求される分野です。

大垣中央病院の整形外科では、骨腫瘍の早期発見・正確な診断から、適切な治療選択まで、専門的な診療を提供しています。必要に応じて他の専門医療機関との連携も図り、患者様にとって適切な治療を提供いたします。

こんな症状はご相談ください

以下のような症状でお悩みの方は、当院整形外科にご相談ください。

  • 骨や関節に持続する痛みがある
  • 夜間に骨の痛みが強くなる
  • 骨に腫れやしこりを感じる
  • 軽微な外傷で骨折した
  • 原因不明の骨の変形がある
  • レントゲンで骨に異常な影が写った
  • 他の病気の検査で骨の異常を指摘された
  • 家族歴に骨腫瘍がある
  • 長期間続く関節の腫れや痛みがある
  • 歩行時に特定の部位に痛みがある

主な骨腫瘍

良性骨腫瘍

良性骨腫瘍は生命に直接的な危険をもたらすことは少ないものの、症状や機能障害を引き起こすことがあります。また、まれに悪性化することもあるため、適切な診断と経過観察が重要です。

骨軟骨腫

最も頻度の高い良性骨腫瘍で、骨の表面から外側に向かって軟骨で覆われた突起が形成されます。主に膝関節周囲(大腿骨遠位端、脛骨近位端)や肩関節周囲に発生し、10~20歳代の男性に多く見られます。

多くの場合は無症状ですが、腫瘍が大きくなると周囲の神経や血管を圧迫し、痛みやしびれを引き起こすことがあります。悪性化(軟骨肉腫への変化)のリスクは低いものの、急激な増大や痛みの出現時は注意が必要です。

治療は、症状がなく悪性化の兆候がなければ経過観察を行います。症状がある場合や悪性化が疑われる場合は手術による摘出を行います。


内軟骨腫

骨の内部(髄腔)に発生する軟骨の良性腫瘍です。手指の短管骨や大腿骨、上腕骨などに多く発生し、年齢を問わず見られます。多くの場合は無症状で、偶然発見されることが多いです。

病的骨折を起こすことがあり、特に手指では軽微な外力で骨折することがあります。悪性化(軟骨肉腫への変化)のリスクがあるため、定期的な経過観察が重要です。

治療は、無症状で悪性化の兆候がなければ経過観察を行います。病的骨折を繰り返す場合や悪性化が疑われる場合は、掻爬(病変を掻き出す)と骨移植を行います。


骨巨細胞腫

20~40歳代の成人に多く見られる良性腫瘍で、膝関節周囲(大腿骨遠位端、脛骨近位端)に好発します。局所的に破壊性が強く、関節近くまで進展することが特徴です。

主な症状は局所の痛みと腫脹で、進行すると病的骨折を起こすことがあります。良性腫瘍ですが、局所再発率が比較的高く、まれに肺転移を起こすことがあります。

治療は手術による摘出が基本で、広範囲摘出と骨移植、場合によっては人工関節置換術を行います。再発予防のため、完全な摘出が重要です。


類骨骨腫

10~30歳代の若年者に多く見られる小さな良性腫瘍です。大腿骨や脛骨の骨幹部に好発し、直径1~2cm程度の小さな病変が特徴です。

特徴的な症状として、夜間痛があり、アスピリンなどの消炎鎮痛剤が著効することが知られています。この夜間痛は腫瘍が産生するプロスタグランジンによるものと考えられています。

治療は手術による病変の完全摘出が基本です。最近では、CTガイド下でのラジオ波焼灼術なども行われています。完全摘出により症状は劇的に改善します。


単純性骨嚢腫

主に小児・青年期に見られる良性の嚢胞性病変で、上腕骨近位端や大腿骨近位端に好発します。嚢腫内には漿液性の液体が貯留しており、病的骨折を起こしやすいことが特徴です。

多くの場合は病的骨折により発見されます。成長とともに自然治癒することもありますが、再発や病的骨折を繰り返すことがあります。

治療は、小さく無症状であれば経過観察を行います。病的骨折を繰り返す場合は、嚢腫内容液の吸引と骨移植、ステロイド注入などを行います。


動脈瘤様骨嚢腫

10~20歳代に多く見られる良性の嚢胞性病変で、脊椎や四肢の長管骨に発生します。血管に富んだ嚢胞性病変で、画像上は特徴的な「石鹸泡様」の所見を呈します。

局所の痛みや腫脹が主な症状で、脊椎に発生した場合は神経症状を呈することがあります。急速に増大することがあり、病的骨折のリスクもあります。

治療は手術による摘出が基本ですが、術中出血のリスクがあるため慎重な手術計画が必要です。

骨系統疾患・腫瘍様病変

線維性骨異形成症

正常な骨組織が線維性組織に置換される疾患で、厳密には腫瘍ではありませんが、腫瘍様の所見を呈します。単発性(単骨性)と多発性(多骨性)があり、多骨性では内分泌異常を伴うことがあります。

骨の変形や病的骨折、疼痛などが主な症状です。「すりガラス様」の特徴的なレントゲン所見を呈します。

治療は症状に応じて行い、病的骨折や変形に対しては手術的治療を行います。悪性化のリスクは低いものの、長期的な経過観察が必要です。


好酸球性肉芽腫

ランゲルハンス細胞組織球症の一型で、小児に多く見られます。頭蓋骨、脊椎、骨盤などに好発し、境界明瞭な溶骨性病変を呈します。

局所の痛みや腫脹が主な症状で、脊椎に発生した場合は椎体の圧潰により特徴的な「椎体扁平化」を起こします。

治療は、単発例では病変の掻爬や放射線療法を行います。多発例では化学療法が必要になることがあります。予後は一般的に良好です。

悪性骨腫瘍

悪性骨腫瘍は迅速かつ適切な治療が必要な疾患群です。早期発見・早期治療により予後の改善が期待できます。

骨肉腫

原発性悪性骨腫瘍の中で最も頻度が高く、10~20歳代の若年者に多く発生します。膝関節周囲(大腿骨遠位端、脛骨近位端)や上腕骨近位端に好発します。

主な症状は局所の痛みと腫脹で、夜間痛が特徴的です。進行が速く、肺転移を起こしやすいため、早期診断と治療が極めて重要です。

治療は、術前化学療法、広範切除術、術後化学療法を組み合わせた集学的治療が標準的です。患肢温存手術(人工関節置換術など)により機能を保持しながら根治を目指します。


軟骨肉腫

軟骨系の悪性腫瘍で、40~60歳代の中高年に多く発生します。骨盤、大腿骨、上腕骨などに好発し、比較的進行が緩徐なことが特徴です。

主な症状は局所の痛みで、骨肉腫と比較して症状の進行は緩やかです。化学療法や放射線療法が効きにくいため、手術による完全切除が最も重要な治療法です。

治療は広範切除術が基本で、完全切除により良好な予後が期待できます。不完全切除では局所再発のリスクが高くなります。


ユーイング肉腫

10~20歳代の若年者に多く発生する悪性腫瘍で、骨盤、大腿骨、脛骨などの長管骨や扁平骨に好発します。全身への転移傾向が強いことが特徴です。

主な症状は局所の痛みと腫脹、発熱などの全身症状を伴うことがあります。炎症所見(血沈亢進、CRP上昇)を呈することも特徴の一つです。

治療は化学療法、手術、放射線療法を組み合わせた集学的治療を行います。化学療法に対する反応が良好な場合は予後の改善が期待できます。


転移性脊椎腫瘍

他の臓器に発生した癌が脊椎に転移したもので、骨腫瘍の中で最も頻度が高いです。乳癌、肺癌、前立腺癌、腎癌などからの転移が多く見られます。

主な症状は背部痛で、進行すると脊髄圧迫による神経症状(下肢の麻痺、感覚障害、膀胱直腸障害)を呈することがあります。病的骨折により脊椎の不安定性を生じることもあります。

治療は原発巣の治療と並行して行い、疼痛コントロール、放射線療法、必要に応じて手術(除圧・固定術)を行います。QOLの向上と神経機能の維持・改善を目指します。

診断・検査

当院では、骨腫瘍の正確な診断のために以下のような検査を行っています。

問診・診察

症状の経過、家族歴、既往歴などを詳しく聞き取り、適切な診察を行います。

レントゲン検査

骨腫瘍の基本的な評価を行います。

CT検査

骨の詳細な構造や石灰化の有無を評価します。

MRI検査

腫瘍の範囲や周囲組織への浸潤を詳細に評価します。

骨シンチグラフィー

全身の骨転移の有無を評価します。

PET-CT検査

悪性腫瘍の活動性や転移の評価を行います。

血液検査

  • 腫瘍マーカー:ALP、LDHなどの酵素値を測定します。
  • 炎症反応:CRP、血沈などを測定します。

病理検査

  • 生検(バイオプシー):確定診断のために組織の一部を採取し、顕微鏡で詳細に観察します。
  • 免疫組織化学検査:腫瘍の種類をより詳しく分類します。

治療方法

骨腫瘍の治療は、腫瘍の種類(良性・悪性)、大きさ、発生部位、患者様の年齢や全身状態などを総合的に考慮して決定します。

良性骨腫瘍の治療

経過観察

無症状で悪性化のリスクが低い場合は、定期的な画像検査による経過観察を行います。

手術療法
  • 掻爬術:病変を掻き出し、骨移植や骨セメントで欠損部を補填します。
  • 摘出術:腫瘍を周囲の正常組織と一緒に摘出します。
  • 切除術:腫瘍を含む骨の一部を切除し、骨移植や人工物で再建します。

悪性骨腫瘍の治療

集学的治療

複数の治療法を組み合わせて行います。

  • 化学療法:抗癌剤を用いて癌細胞を攻撃します。
  • 手術療法:腫瘍を周囲の正常組織と一緒に広範囲に切除します。
  • 放射線療法:放射線を照射して癌細胞を攻撃します。
患肢温存手術

可能な限り患肢の機能を保持しながら根治を目指します。

  • 人工関節置換術:切除した関節を人工関節で置換します。
  • 骨移植術:切除した骨を他の部位の骨や人工骨で置換します。
切断術

腫瘍が広範囲に及び患肢温存が困難な場合に行います。

転移性骨腫瘍の治療

原発巣の治療

原発癌に対する治療を並行して行います。

局所治療
  • 放射線療法:疼痛軽減や骨転移の制御を目的とします。
  • 手術療法:病的骨折の予防や治療、神経症状の改善を目的とします。
全身治療

ホルモン療法、分子標的薬などを用いて全身の癌の制御を行います。

支持療法

疼痛管理、栄養管理、リハビリテーションなどを行います。

当院では、患者様の状態に応じて最適な治療選択を行い、必要に応じて専門医療機関との連携も図ります。また、治療後の機能回復や社会復帰に向けたサポートも行っています。

アクセス

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住  所:〒503-0025 岐阜県大垣市見取町4丁目2番地

提携駐車場がございます。アクセスについて詳しくはこちらのページをご覧ください。

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