中足骨疲労骨折(Metatarsal stress fracture)とは、足の甲あたりにある中足骨に繰り返し負担がかかることで生じる骨折の一種です。
運動や仕事時での過度な負担や、歩き方の癖がきっかけで発症するケースが多く見られます。
また、1855年にプロイセン兵が長期の行軍で経験した足の痛みと腫脹にちなんで、行軍骨折とも呼ばれています。
痛みが徐々に増していく特徴を持ち、放置すると歩行困難や症状の慢性化を招く可能性があります。
この記事の執筆者

臼井 大記(うすい だいき)
日本整形外科学会認定専門医
医療社団法人豊正会大垣中央病院 整形外科・麻酔科 担当医師
2009年に帝京大学医学部医学科卒業後、厚生中央病院に勤務。東京医大病院麻酔科に入局後、カンボジアSun International Clinicに従事し、ノースウェスタン大学にて学位取得(修士)。帰国後、岐阜大学附属病院、高山赤十字病院、岐阜総合医療センター、岐阜赤十字病院で整形外科医として勤務。2023年4月より大垣中央病院に入職、整形外科・麻酔科の担当医を務める。
中足骨疲労骨折の病型
中足骨疲労骨折に特別な分類は存在しないため、一般的な疲労(ストレス)骨折の分類を紹介します。
疲労骨折は通常、高リスク損傷と低リスク損傷の2つに大別されます。
中足骨のストレス骨折はごく一般的な骨折であり、治療(荷重の修正)によって良好に治癒する傾向があるため、低リスク骨折にあてられています。
KaedingおよびMillerの分類システム
KaedingおよびMillerの分類システムは、X線所見で分類します。
疲労骨折のグレード分類 | 所見 |
---|---|
グレード1 | 無症候性のX線所見 |
グレード2 | 画像上骨折のない疼痛 |
グレード3 | 画像上、転位※1のない骨折 |
グレード4 | 画像上、転位のある骨折 |
グレード5 | 硬化性非結合※2 |
※1転位:骨折した骨が本来の位置からずれてしまっている状態。
※2硬化性非結合:骨折した骨が正常に癒合せず、偽関節(ぎせいかんせつ)を形成している状態。偽性関節は硬い。
Nattivのグレーディング分類
Nattivのグレーディング分類は、骨ストレス損傷における骨髄浮腫※3と骨膜反応※4をMRIで評価する分類です。
※3骨髄浮腫:骨の内部にある骨髄が腫れているように見える状態で、骨に何らかの異常が存在するサインのひとつ。
※4骨膜反応:骨の表面を覆っている膜である骨膜が、新しい骨を形成する現象。骨の表面組織が分厚くなったりこぶが出来たりする。
Nattivのグレーディング分類 | 所見 |
---|---|
グレード1 | 脂肪抑制T2WI※5で軽度の骨髄浮腫または骨膜浮腫を認める(T1WI※6では認めない) |
グレード2 | 脂肪抑制T2WIで中等度の骨髄浮腫または骨膜浮腫(T1WIでは認められない) |
グレード3 | 脂肪抑制T2WIとT1WIの両方で重度の骨髄浮腫または骨膜浮腫がみられ、T1WIまたはT2WIで骨折線が認められないもの |
グレード4 | 脂肪抑制T2WIとT1WIの両方で重度の骨髄浮腫または骨膜浮腫がみられ、T1WIまたはT2WIで骨折線が認められる |
※5脂肪抑制T2WI:脂肪組織の信号を抑制し、水分の多い組織をより鮮明に映し出すMRI画像。T2WIとはT2強調画像の略で、水分子が多い組織ほど明るく映るようになっている。
※6T1WI:MRI画像の一種。脂肪が明るく、脳脊髄液が暗く映る画像。解剖学的構造が分かりやすい。
中足骨疲労骨折の症状
中足骨疲労骨折が起こると、痛みや腫れのほかに歩行時や運動時の違和感が現れます。
骨折の進行度合いによって症状の出方は異なりますが、多くの患者様が感じられる症状としては「ゆっくりとした痛みの強まり」が挙げられます。
初期症状
中足骨疲労骨折の初期症状には、軽い鈍痛や違和感があります。
また、運動後や長時間歩いた後に、うずくような鈍痛が足の甲や足指付近にあらわれる方もいらっしゃいます。
初期症状は軽度であるため、「単なる筋肉痛」あるいは「少し無理をしたから痛くなっただけ」と感じてしまう方も少なくありません。
さらに、初期はレントゲン検査でも異常が見つからないため、見過ごされがちでもあります。
休息をとっても痛みが完全には消えず、再び足を使い始めると痛みがぶり返すようであれば要注意です。
- 足の甲や指の付け根あたりがうずくように痛む
- 起床時には痛みがやや軽減するが、歩き始めると再び痛む
- 足を曲げ伸ばしする際にわずかに違和感を覚える
- 微妙な腫れや熱感があるが見た目ではわかりにくい
中期症状
中期症状では、痛みがはっきりと感じられるようになります。歩行やランニングの途中で激痛が走り、足の甲に軽く触れただけでも痛みを感じます。
腫れや熱感も明確となり、足をついたときに踏ん張りにくくなるでしょう。
痛みを庇うあまり姿勢や歩き方が変化し、さらに他の部位へ負担が広がる恐れがあります。
後期症状
後期症状では、痛みが慢性化して普段の生活や仕事にも支障をきたすようになります。
軽く歩くだけで痛みが生じたり、足を地面につけた瞬間に強い苦痛が走ったりするようになると、運動機能の低下にもつながります。
後期症状まで至ってしまうと、安静にしても回復が遅れ、治療期間が長引くケースも珍しくありません。
また、痛みが進行してから治療を始めるとリハビリテーションが長期に及ぶ場合があり、スポーツ復帰や仕事への影響が大きくなる恐れもあります。
進行度 | 痛みの程度 | 具体的な影響 | 治療開始の遅れによるリスク |
---|---|---|---|
軽度 | 運動後や長距離歩行後にうずく | 作業効率の一時的低下 | 痛みの増大と進行 |
中度 | 歩行時にも顕著な痛み | 日常的な外出に支障 | 長期的な運動制限 |
重度 | 立っているだけでも痛む | 仕事や家事への大きな影響 | 慢性化や再発リスクの上昇 |
中足骨疲労骨折の原因
骨疲労は、過剰な力が繰り返しかかり、骨が負担に耐えられなくなった場合に起きます。
骨疲労は疲労骨折の前段階と考えられています。
疲労骨折の発生理論
疲労骨折の発生は、2つの理論で説明できます。
1つは、破骨細胞※7の活性に比べ骨芽細胞※8の活性が遅れている場合です。
骨芽細胞の活性が遅れていると、急激な負荷の増加に対して骨が損傷を受けやすくなり疲労骨折が発生しやすくなります。
もう1つの説は、同じ動きを繰り返すと筋肉が痛くなる場所(筋肉の付着部分である腱部位)では骨に負担がかかりやすく、疲労骨折が発生しやすいというものです。
※7※8破骨細胞と骨芽細胞:骨は、古い骨が壊され、新しい骨が作られる「骨のリモデリング」を繰り返して形状を維持しています。骨を壊すのが破骨細胞。新しい骨をつくるのが骨芽細胞。
中足骨疲労骨折で起こりやすいケース
第2中足骨は、第1楔状骨と第2楔状骨への激しい動きで損傷しやすいほか、中足骨の長さによっても損傷しやすい場合があります。
中足骨疲労骨折は、その多くが第2、3中足骨に生じますが、外反母趾の場合だと、第4、5中足骨に疲労骨折が生じることもあります。
※中足骨:足の甲の部分にある5本の長い骨
※楔状骨:足の中足骨と足根骨をつなぐ、小さな3つの骨の総称。内側から、内側楔状骨、中間楔状骨、外側楔状骨と呼ばれる。
過度な運動や反復的な動作
疲労骨折のもっとも大きな原因は、足にかかる繰り返しのストレスです。
長距離ランニングやマラソン、バスケットボールのようにジャンプが多い競技など、足への衝撃が頻繁に加わるスポーツに取り組む人は疲労骨折を発症しやすい傾向にあります。
一方で、激しいスポーツをしていなくても、仕事で長時間立ちっぱなしの姿勢が続く方や硬い地面を歩く機会が多い方も疲労骨折のリスクが高まります。
無理のある運動スケジュールやオーバートレーニングは疲労骨折だけでなく、他の障害も引き起こすため、適度な休息とケアが必要不可欠です。
筋力不足や柔軟性の低下
足や下肢の筋力が不足していると、衝撃を筋肉で吸収しにくくなり、その負担が骨に直接かかりやすくなります。
また、柔軟性が低いと関節の可動域が狭まり、特定の部位に負担が集中します。
アキレス腱やふくらはぎの筋肉が硬いと、足底への衝撃吸収が十分に機能せず、中足骨へのストレスが増大しやすくなると言われています。
- ストレッチをほとんど行わない
- トレーニングの際に筋力維持よりも有酸素運動を優先する
- 靴ひもを緩めにし、足が靴の中で遊びやすい
- 運動後のクールダウンやマッサージを省略する
足の形状や歩行の癖
足のアーチ構造(内側アーチ、外側アーチ、横アーチ)が崩れていると、足の特定部位に負担が集中しやすくなります。
さらに、歩き方や姿勢も骨に影響をあたえる重要な要因です。
例:片足重心や外側に体重を乗せる癖があると、外側の中足骨への負荷が増える。
また、足に合っていない靴やインソールを長期間使用していると、疲労骨折だけでなく他の部位の障害リスクも高まります。
足の形状 | 特徴 | 負担がかかりやすい部位 |
---|---|---|
偏平足 | 土踏まずが低い | 内側のアーチサポートが不足し、親指付け根や第2中足骨 |
ハイアーチ | 土踏まずが高い | 外側の小指付け根~かかとまでへの集中負担 |
甲高 | 足の甲が高く靴がきつくなる | 中足骨の複数部位への圧迫 |
骨密度の低下や栄養状態
骨粗鬆症や極端なダイエット、栄養バランスの乱れなどによって骨密度が低下していると、わずかな負荷でも骨折のリスクが高まります。
カルシウムやビタミンD、たんぱく質など骨や筋肉を維持するうえで大切な栄養が不足していると、疲労骨折の回復や予防が難しくなります。
女性アスリートは、月経異常と栄養不足が重なると、骨密度低下が進行しやすいので注意が必要です。
中足骨疲労骨折の検査・チェック方法
中足骨疲労骨折の疑いがある場合には画像検査を中心に診断を進めていきます。
また、骨折の有無や進行度合いを正確にチェックするために、痛みの場所や経緯を問診や触診で詳しく調べることも重要です。
問診と視診・触診
問診では、痛みの部位や痛くなったきっかけ、運動や仕事での負担状況などを詳しく尋ねます。特に、過去6~8週間の間に新しく行った運動や、強度、時間、頻度などについて詳細に確認します。
その後、靴を脱いで足を直接見て、腫れや変色、皮下出血の有無などをチェックします。
触診では、患部を押したときの圧痛や動かしたときの痛みの度合いなども確認します。中足骨疲労骨折を起こしている多くの場合では、鈍痛と体重のかかる動きにおいて、何かしらの悪化が確認できます。
- 痛みが出始めた時期とその前後の生活状況
- 痛みの強さや頻度、増悪因子と軽減因子
- スポーツや仕事などで長時間足を使うかどうか
- 過去のケガや骨折歴の有無
レントゲン(X線)検査
一般的な疲労骨折の検査で最初に行われるのがレントゲン検査です。
レントゲンでは骨の並び方や骨膜の変化が確認でき、典型的な疲労骨折であれば線状の亀裂や骨膜肥厚が映り込みます。
ただし、初期の段階ではレントゲンで異常が見つからない場合もあるため、痛みがあるのに異常が確認できないケースもしばしば見られます。
その場合は、他の画像検査が検討されます。
レントゲン検査のメリット | レントゲン検査のデメリット |
---|---|
低コスト | 初期疲労骨折では異常所見が出にくい場合がある |
短時間での検査が可能 | 疼痛発生後2~4週間経たないと骨折がわからないケースがある |
骨の配列や骨折線が明瞭にわかる | 微細な骨損傷や軟部組織の状態は不明瞭 |
MRI検査
レントゲンで異常が確認できなかった場合でも、MRI検査であれば、骨の微細な損傷や周辺組織の炎症変化を捉えられます。
そのため、MRI検査は疲労骨折において、信頼性・正確性に優れてたゴールドスタンダードな検査と言われています。
骨髄内の浮腫や軽度の骨折なども正確に把握できるため、疲労骨折の早期発見には有力な検査です。
費用はレントゲンより高くなりますが、原因不明の足の痛みが続く場合には、MRI検査が診断の決め手となる場合も多いです。
CT検査
CT検査はレントゲンよりも詳細な骨の構造を確認できます。骨の3次元画像を得られるため、骨折線の形状や位置をより正確に把握しやすいです。
MRIでは主に骨周辺の炎症や浮腫を捉えやすいのに対し、CTは骨そのものの微細な変化に特化した画像を得られます。
手術や特別な器具の装着が必要なケースでは、詳細な骨の形状を把握するためにCT検査が用いられやすいです。
中足骨疲労骨折の治療方法と治療薬、リハビリテーション、治療期間
中足骨疲労骨折の治療方法には保存療法や手術療法などがあります。
痛みを軽減しつつ骨を回復させるだけでなく、再発を防止するのため運動方法や筋力・柔軟性を改善するための指導やリハビリテーションも重要視されています。
保存療法
痛みが強くなく骨折も軽度の場合、保存療法で経過をみる場合が多いです。ギプスや添え木(シーネ)を用いて患部への負担を軽減しつつ、一定期間の安静を保ちます。
歩行時には、専用の装具や松葉杖を使用して患部を保護するようにします。
第5中足骨基部および第2中足骨頚部の骨折は、非癒合のリスクが高いです。
- ギプスやシーネで患部を固定し、骨が回復する時間を確保する
- 痛みがある場合は痛み止めを服用し、無理に歩かない
- 部分加重(患部にかかる体重を調整)しながら、徐々に足を慣らす
- 適切な装具を装着し、再発を防ぐように歩行動作を訓練する
保存療法で用いる器具例 | 詳細 |
---|---|
ギプス | 患部を完全に固定するためのもの。安静を保ち、骨癒合を促す。 |
シーネ | 簡易的な固定具で取り外しやすい。 |
松葉杖 | 足を地面につける際の負担を軽減してくれる。歩行時の負担を減らすためのもの。 |
装具 | 形状はさまざまなものがあり、症状や骨折部位に合わせて使う。患部をサポートしつつ日常生活が送れるように使う。 |
手術療法
骨折の程度が重い場合や、保存療法で6~8週間経過しても治らず骨のずれが大きい場合、保存療法では改善が期待しにくい場合では、手術が検討されます。
ねじや小型のプレートなどを用いて骨を安定させ、正しい位置で骨癒合を促す方法です。
手術後は一定期間、患部の安静を保ちつつリハビリテーションを行い、足の機能を回復させます。
術後の治癒期間としては時には数ヶ月から数年かかる場合があります。
- 骨折部位が大きくずれており、自然癒合が見込みにくい
- 開放骨折や合併症が疑われる
- 保存療法を試したが痛みや症状が改善しない
治療薬
中足骨疲労骨折の治療薬には、炎症の鎮静化や痛みの緩和を目的として鎮痛薬や消炎鎮痛剤が用いられます。
ただし、痛みを抑えて動きすぎると骨の回復に悪影響を及ぼす可能性もあるため、自己判断で薬を乱用しないように注意が必要です。
治療薬 | 効果 |
---|---|
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) | 炎症や痛みの軽減 |
アセトアミノフェン | 鎮痛・解熱作用 |
ビタミンDサプリメント | 骨の形成と維持をサポート |
リハビリテーション
骨が癒合しても、すぐに元のように歩いたり走ったりはできません。
再発予防を目的とするリハビリテーションでは、筋力強化、柔軟性向上、正しい歩行や走行フォームの獲得を目指します。
特に足底アーチやふくらはぎの筋群、体幹の安定性を高めると再発リスクが軽減します。
治療段階 | リハビリテーション内容 |
---|---|
ギプスや装具で固定中 | 膝関節や股関節など、足首以外の部位を中心に軽めの筋トレを行う |
固定が外れた後 | 足底のストレッチや軽めの荷重練習を開始 |
痛みが落ち着いてきた頃 | プールなど浮力を利用したトレーニングや段階的なウォーキングを導入 |
以降 | 筋力と柔軟性を回復させつつ、フォームの改善やインソールの活用を検討 |
治療期間の目安
疲労骨折の治療期間は、骨折の程度や個人差によって大きく変わります。
軽度の場合は約4~8週間程度で骨癒合が進みますが、痛みが残らないレベルまで安定するまでにはさらに数週間を要する場合もあります。
重度の場合や手術を行った場合は、数か月以上の治療期間が必要です。
焦って過度な負荷をかけると再発や慢性化につながるため、無理のない治療計画を立てます。
基本的には日常生活で連続5日以上痛みが無くなるまで、運動活動に復帰すべきではありません。骨折が治癒していくにつれて、段階的に活動量を増やしていくようにします。
薬の副作用や治療のデメリット
中足骨疲労骨折の治療にはデメリットや副作用も存在します。
鎮痛薬・抗炎症薬の副作用
痛みを和らげるために処方されるNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)には、胃腸障害や腎機能への負担などの副作用リスクがあります。
特に、腎機能が低下している方や高齢者は使用に注意が必要です。
対処方法としては、胃薬の併用があります。
- 胃酸の分泌過多による胃痛・胸やけ
- 肝機能・腎機能への負担
- 眠気やめまいによる日常生活への影響
- 長期使用時の耐性や離脱症状の可能性
固定による筋力低下や関節拘縮
ギプスや装具による固定は侵襲性が少ない半面、長期固定によって筋力低下や関節が硬くなるデメリットがあります。
筋力の低下や関節の拘縮は、リハビリの際の強い痛みや動かしにくさに繋がります。
固定期間中でも可能な範囲で筋トレやストレッチを実施するなど、早期から予防策を講じるようにします。
固定期間 | デメリット | 対処法 |
---|---|---|
短期(2~3週間) | 骨癒合が不十分な場合は再負荷リスクがある | 部分荷重を早めに開始して筋力低下を最小限にする |
中期(4~6週間) | 筋力低下や関節拘縮のリスクが増す | 固定部位以外の筋トレ・ストレッチを継続 |
長期(7週間以上) | リハビリが長期化し復帰が遅れる | 症状やレントゲン所見をみながら柔軟に固定を調整 |
手術に伴うリスクや後遺症
手術を行う場合、局所麻酔や全身麻酔のリスク、感染症リスク、ねじやプレートによる金属アレルギーなどが考えられます。
また、骨折部位の状態によっては手術の効果が限定的になることもあり、再手術が必要となるケースも稀にあります。
手術を検討する際には、医師と手術内容やリスクを確認し、慎重に治療方針を決めるようにします。
リハビリテーションのデメリット
リハビリテーションには定期的な通院が必要になるため、時間が取られたり、交通費やリハビリ費用がかさんだりすることをデメリットと感じる方もいらっしゃいます。
しかし、不完全な治療やリハビリの不足による再発リスクは、さらに大きなデメリットにつながるため、無理のない範囲で治療を継続できるような工夫を検討します。
保険適用と治療費
以下に記載している治療費(医療費)は目安であり、実際の費用は症状や治療内容、保険適用否により大幅に上回ることがございます。当院では料金に関する以下説明の不備や相違について、一切の責任を負いかねますので、予めご了承ください。
中足骨疲労骨折の治療は、一般的には健康保険の適用対象です。
ギプス固定やレントゲン検査、MRI検査、手術などは保険診療の範囲に含まれるケースが多いですが、中には保険適用外の治療もあるため、事前にしっかりと確認しておくようにしましょう。
保険診療と自由診療の違い
整形外科で行う一般的な診察や画像検査、ギプス固定、リハビリテーションは健康保険が適用されるケースがほとんどです。
一方で、特別なインソールの作製や先進的なリハビリ器具の使用など、内容によっては自由診療扱いとなる場合があります。
治療内容 | 保健適用の可否 |
---|---|
レントゲン | 〇 |
MRI | 〇 |
CT | 〇 |
一般的な装具 | 〇 |
治療薬 | 〇 |
リハビリテーション指導 | 〇 |
特注なインソールの作成 | × |
特殊なリハビリテーション器具 | × |
エステ的なマッサージ | × |
治療費の目安
治療費は骨折の重症度や治療方法、通院回数などによって異なります。
保存療法だけで済む軽度なケースであれば、レントゲンやギプス固定、リハビリ費用を含めて数千円~数万円程度が目安です。
手術を要する場合は、入院費や手術費が加わるため、全体で数万~十数万円程度の自己負担額がかかります。
高額療養費制度を利用できる場合もあるため、費用面が心配な場合は医療機関や保険者に相談するとよいでしょう。
治療方法 | 自己負担の目安(3割負担の場合) |
---|---|
レントゲン、ギプス、リハビリ | あわせて数千円~1万円程度 |
MRI検査、装具使用、継続的リハビリ | あわせて1万円~数万円程度 |
手術費、入院費、術後リハビリ | あわせて数万円~十数万円程度 |
通院やリハビリ費用について
中足骨疲労骨折の治療では、定期的に受診して回復状況を確認します。
そのため、リハビリの回数が多い場合は、1回あたり数百円~千円程度の負担が積み重なり、合計金額が上がることもあります。
各種健康保険や高額療養費制度、傷病手当金など、利用可能な制度を活用する方法があり、病院や公的機関に相談することができます。
以上
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