ガラクトース血症

ガラクトース血症

ガラクトース血症とは、ガラクトースという糖質を体内でうまく処理できないために、さまざまな症状を引き起こす遺伝性の代謝異常です。

大人だけでなく新生児や乳児期から兆候が見られる場合もあり、乳児が母乳やミルクを十分に飲んでいるのに体重が増えにくいといった経過に気づくことで診断に至ることが多いです。

放置すると重い合併症につながる可能性があるため、早めの情報収集と適切な医療機関の受診が重要になります。

目次

病型

ガラクトース血症は、遺伝子変異によってガラクトースを分解する酵素が働きにくくなり、複数のタイプが知られています。

典型的な分類の概要

医療現場では、ガラクトース血症をいくつかのタイプに分類し、最もよく知られるのは、ガラクトース-1-リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(GALT)の活性が低下するタイプで、古典的ガラクトース血症と呼ばれます。

ほかにも、ガラクトキナーゼ(GALK)が関与するものや、UDPガラクトース4-エピメラーゼ(GALE)が関連するものもあります。古典的ガラクトース血症は症状が重く、特に乳児期に早急な治療が必要です。

医師は、患者さんの症状や血液中の酵素活性を調べることで、どのタイプに該当するかを判断し、治療方針は病型によって多少変化し、合併症のリスク管理も異なります。

古典的ガラクトース血症の場合、ガラクトース制限は重要で、GALK欠損症では主に白内障への対処などが焦点になってきます。

病型関連する酵素主な特徴
古典的ガラクトース血症GALT(ガラクトース-1-リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ)新生児期に重症化しやすく、肝障害・敗血症などを発症しやすい
ガラクトキナーゼ欠損症GALK(ガラクトキナーゼ)白内障が顕著だが、全身症状は比較的軽いことが多い
エピメラーゼ欠損症GALE(UDPガラクトース4-エピメラーゼ)症状や重症度が幅広く、中枢神経症状を伴う場合もある

古典的ガラクトース血症の特徴

古典的ガラクトース血症は、乳児期にとくに重い症状を示しやすいタイプで、母乳や一般的な乳児用ミルクにはガラクトースが含まれるため、飲み始めてから数日〜数週間で嘔吐や下痢、体重増加不良、黄疸などが目立ってくるケースが多いです。

肝機能障害や敗血症を起こす可能性もあるため、医学的には早期発見と適切なガラクトース制限食が欠かせません。

ガラクトキナーゼ欠損症の特徴

ガラクトキナーゼ欠損症は、古典的なタイプと比べると全身症状が軽いことが多いですが、白内障のリスクが高い点が大きな特徴で、白内障は水晶体に濁りが生じる状態であり、放置すると視覚障害につながります。

視力低下がゆっくり進行して見逃されるケースもあるため、こまめな眼科的評価が必要です。

エピメラーゼ欠損症の特徴

エピメラーゼ欠損症は、症状の幅が広く、多くの場合は古典的ガラクトース血症ほど重症化しないとされていますが、重い症状を示す人もいて、肝障害や神経学的症状が出ることもあり、個々の病態によって治療のアプローチが変わります。

医師は遺伝子検査や酵素活性測定を組み合わせて診断を行い、食事制限や薬剤投与などを検討します。

ガラクトース血症は、一口に同じ病名でもタイプによって症状や重症度が異なるため、自分の病型を正確に知ることが大切です。

主な特徴

  • 古典的ガラクトース血症は、発症年齢が乳児期で、全身症状が重い
  • ガラクトキナーゼ欠損症は、主に白内障が問題となりやすい
  • エピメラーゼ欠損症は、症状の幅が広く、個々の経過を注意深くみる必要がある
  • どのタイプもガラクトース摂取量を調整することが治療の基本となる

ガラクトース血症の症状

ガラクトース血症には複数の病型があり、症状の現れ方や重症度は人によって異なります。ここでは、代表的な症状や合併症について総合的に解説し、どのようなサインに注意すればよいかを確認します。

乳児期に見られる兆候

乳児期に初めてガラクトース血症が疑われるケースは比較的多く、母乳や一般のミルクを飲んだ後に、以下のような兆候が出ることがあります。

  • 嘔吐や頻回の下痢が続き、体重増加が鈍い
  • 黄疸が長引き、肝機能の異常が疑われる
  • 哺乳量が多くないにもかかわらず、だるそうにしてぐったりしている

体内にガラクトース-1-リン酸などが蓄積すると、血液や各臓器に負荷をかけ、免疫力が低下して敗血症に近い状態を起こすリスクがあります。

新生児期に発症した場合は、発見が遅れると命に関わることもあるため、早めに医師の診断を受けることが大切です。

乳児期に認めやすい主要な症状

症状具体的な変化や背景
嘔吐や下痢ガラクトースの代謝異常による腸管の負担増大
黄疸肝機能が低下しやすく、ビリルビン代謝に影響を及ぼす
体重増加不良ミルク摂取量は同じでも栄養吸収がスムーズに進まない
無気力感代謝ストレスによる全身状態の悪化

成長期や成人期にみられる症状

ガラクトース血症は、乳児期だけでなく成長期や成人期になってから認められる症状もあり、たとえば、食事に含まれるガラクトースを制限していても、長期的に内臓や骨、神経系に負担がかかることがあります。

代表的なものは、白内障のほか、骨密度の低下や神経学的障害、ホルモン異常などです。

また、GALK欠損症の人は比較的元気に日常生活を送っていて、視力検査で白内障を指摘されてはじめてガラクトース血症の可能性に気づくケースもあります。

成長期以降に視力障害を感じたり、健康診断で肝機能の軽度異常を指摘されたりした場合には、遺伝性代謝疾患の可能性も視野に入れて検討が必要になるでしょう。

合併症への注意

古典的ガラクトース血症など重いタイプの場合、長期的に管理が不十分だと多彩な合併症を起こすことがあります。

ガラクトース血症に伴う代表的な合併症

合併症主な影響
肝硬変・肝不全血液や代謝物の処理が困難になる
腎機能低下体内の老廃物処理能力が低下する
神経学的後遺症学習障害・記憶障害・運動機能障害などが生じる
内分泌系の障害ホルモンバランスの乱れによる成長障害など

症状の違いや自己管理の重要性

ガラクトース血症は、病型によって症状の現れ方が大きく異なり、同じ病型であっても個人差があり、早期発見によって被害を最小限に抑えることができる一方で、治療を続けるうちに食生活や生活習慣の影響で症状が悪化することもあります。

自己管理の意識を高め、定期的な検査を受けることが肝要です。

ガラクトース血症と診断された人は、普段の食生活を見直すだけでなく、身体の不調や変化を見逃さないように注意深く観察する必要があります。

特に乳児期に重症化した経験がある場合は、成人期に至るまで医師と相談しながらフォローアップを続けることが大切です。

原因

ここではガラクトース血症が生じるメカニズムを整理し、具体的にどのような遺伝的要因や代謝異常が関与しているのかを解説します。

ガラクトースとは何か

ガラクトースは乳糖(ラクトース)を構成する単糖のひとつで、乳糖はグルコースとガラクトースが結合した糖質で、母乳や牛乳などの乳製品に多く含まれます。

健康な体では、摂取したガラクトースを段階的に分解し、エネルギーとして活用しますが、遺伝子的な酵素欠損があると、ガラクトースやその中間代謝産物が体内に蓄積し、各臓器を傷害します。

遺伝子変異と酵素活性

ガラクトースを代謝する酵素が複数ありますが、そのなかで中心的な働きを担うのがGALT、GALK、GALEで、これらの酵素遺伝子に変異があると、酵素の活性が低下し、ガラクトース分解が滞ります。

古典的ガラクトース血症の場合はGALTの活性低下が主原因であり、体内にガラクトース-1-リン酸などがたまりやすくなります。

原因となる主な酵素遺伝子

酵素名関連遺伝子ガラクトース血症との関連性
GALTGALT遺伝子古典的ガラクトース血症の原因
GALKGALK遺伝子ガラクトキナーゼ欠損症の原因(白内障が目立つケースが多い)
GALEGALE遺伝子エピメラーゼ欠損症の原因。症状の幅が広く、軽症から重症まで多彩な経過

遺伝形態

ガラクトース血症は常染色体劣性遺伝という形で遺伝し、両親のどちらか一方のみが変異遺伝子を保有している場合、子どもは保因者(キャリア)になる可能性がありますが、通常は重い症状は起こりません。

両親とも変異遺伝子を保有していると、子どもが2つの変異遺伝子を受け継いでガラクトース血症を発症する確率が高くなります。

予防やリスク管理

遺伝子変異が関与するため、完全な予防は難しいですが、出生前診断や新生児マススクリーニングによって早期に発見できる体制が整ってきています。

とくに古典的ガラクトース血症は、早期発見・早期治療がその後の合併症リスクを抑えるうえで重要なので、新生児期の検査を怠らないことが大切です。

さらに、兄弟や親戚にガラクトース血症の人がいる場合には、将来的に子どもが発症するリスクを把握し、必要に応じて遺伝カウンセリングを検討するとよいでしょう。

家族の中に症状の似た人がいるかどうかを確認し、必要ならば血液検査や遺伝子検査を医療機関と相談して行い、早期発見に努める姿勢が大切です。

乳児期に体調不良の症状が出た場合は、母乳や乳児用ミルクを一時的に変えてみるなど、早めの医師への相談が必要です。

ガラクトース血症の検査・チェック方法

この項目では、ガラクトース血症を疑った際に実施する検査や、診断を確定するうえでの手順について取り上げます。

血液検査

ガラクトース血症の診断では、まず血液検査が基本になり、血中のガラクトース-1-リン酸濃度やガラクトース濃度を測定し、基準値を大きく超える場合はガラクトース血症が強く疑われます。

あわせて酵素活性測定を行い、GALT、GALK、GALEのうちどれが問題を起こしているのかを確認します。

尿検査

尿中の特定の代謝産物を調べることでも、ガラクトース血症をチェックし、尿糖検査では、ブドウ糖だけでなくガラクトースなどが出ていないかを調べることが可能です。

尿検査を組み合わせると、血液検査では見落としがちな代謝異常の兆候を補足できるメリットがあります。

遺伝子検査

酵素活性測定の結果や家族歴が示唆的な場合、さらに遺伝子検査を行うことがあり、GALT遺伝子、GALK遺伝子、GALE遺伝子のいずれに変異があるかを調べることで、病型を確定し、治療方針を検討しやすくなります。

ガラクトース血症診断における各検査方法

検査方法主な目的
血液検査ガラクトース-1-リン酸や酵素活性の測定
尿検査代謝産物の排出状況を確認し、異常を捉える
遺伝子検査どの遺伝子変異かを特定し、正確な病型を把握する

新生児マススクリーニング

日本では、一部地域や医療機関で新生児マススクリーニングの対象にガラクトース血症が含まれることがあり、生後数日以内に足の裏から少量の血液を採取し、複数の先天性代謝異常症をまとめてチェックする手法です。

ガラクトース血症を重症化する前に見つけるうえで有効だと考えられており、早期に発見することで乳児への負担を軽減できます。

チェック項目と日常の観察

自分自身や家族がガラクトース血症ではないか気になる場合、簡単な自己観察のチェックを行うと医療機関を受診する目安になります。

チェック項目

  • 乳児が母乳やミルクを飲んだあと、嘔吐や下痢が続く
  • 哺乳量は十分なのに体重の増加が緩やか
  • 黄疸が長引くまたは再発する傾向がある
  • 白内障や視力の低下を感じる
  • 原因不明の肝機能異常がある

これらのチェック項目のいずれかが複数当てはまるようであれば、専門医と相談して血液検査や遺伝子検査を検討するとよいでしょう。早めにアクションを起こすことで、症状の進行を抑える可能性が高まります。

ガラクトース血症の治療方法と治療薬について

ガラクトース血症の治療では、食事療法が重要な役割を果たし、また、必要に応じて薬物療法を組み合わせることで、症状の進行を抑える取り組みが行われます。

食事療法の基本

ガラクトース血症の治療において、ガラクトースの摂取制限は重要です。

とりわけ古典的ガラクトース血症の新生児期においては、母乳や一般的な乳児用ミルクに含まれる乳糖を避けるため、ガラクトースを含まない特殊ミルクを使用します。

成長期になっても、乳製品の制限や代替食品の活用などを通じてガラクトースの摂取量を調整します。

ガラクトース制限において注意すべき代表的な食品と代用品

食品グループ注意すべき食品代替食品・工夫
乳製品牛乳、ヨーグルト、チーズ豆乳、アーモンドミルク、植物性チーズ
菓子類ミルクチョコレート、練乳ビターチョコレート、フルーツシロップ
加工食品乳糖を含むパンや調味料乳糖不使用のパン、ラクトースフリー調味料

薬物療法の位置づけ

ガラクトース血症では、主な治療は食事制限ですが、合併症の予防や症状の軽減を目的に薬物療法を追加で検討することもあります。

肝機能障害が進行している場合には肝庇護薬を使い、白内障が生じている場合は眼科的治療を受けながら補助的に点眼薬などを活用するケースがあります。

また、骨密度の低下が認められる場合には、カルシウム剤やビタミンDのサプリメントを使用することも考えられます。

治療目標と生活指導

ガラクトース血症を持つ人は、一時的な治療だけでなく長期的な管理が不可欠で、とくに幼少期の体の発達にあわせて栄養バランスを整えながら、ガラクトースの過剰摂取を避ける努力を続ける必要があります。

医師や管理栄養士の指導のもと、栄養素を偏らせずにガラクトースを制限する方法を学ぶことが大切です。

日常生活では、外食時や旅行時にガラクトースを含む食品が多く提供される可能性があるため、事前にメニューを確認したり、可能な範囲で代替品を持参したりするなどの工夫が必要になります。

家族や周囲の理解が得られると、治療の継続がスムーズに進むでしょう。

乳児への配慮

乳児期の重症化を防ぐ目的で、母乳や一般ミルクの代わりにガラクトースを含まない特殊ミルクを使用します。特殊ミルクは医療機関の処方で入手し、赤ちゃんの成長を妨げないように必要なタンパク質や脂質を補います。

離乳食が始まる時期には、管理栄養士と相談しながら食材を選び、必要な栄養を確保しつつガラクトースの摂取量を調整するのが望ましいです。

治療期間

ガラクトース血症は慢性的に管理が必要な病気であり、短期間で完全に治るというものではありません。

乳児期から学童期まで

新生児期に診断を受けた場合、最初の治療ステップはガラクトースを含まない特殊ミルクの導入で、この時期から厳格なガラクトース制限を行い、症状の進行を抑えます。

学童期に入る頃には、食事内容も多様化してきますが、引き続き乳製品を含む食品の扱いに注意が必要です。成長期の子どもには十分な栄養が必要なので、医師や管理栄養士と相談しながら食品選択を工夫するとよいでしょう。

乳児期から学童期にかけての主な治療の流れ

時期主な治療・管理注意点
乳児期特殊ミルクの導入、厳格なガラクトース制限母乳や通常のミルクの置き換えが必要。検査をこまめに行うこと
幼児期〜学童期ガラクトース制限食の継続、栄養バランスの確保幼稚園・学校生活での給食対応が重要。保護者と教育現場の連携

思春期以降

思春期から成人期にかけては、ホルモンバランスの変化やライフスタイルの多様化により、食事制限が難しくなるケースもありますが、自己管理を怠ると、後々に肝障害や白内障などの合併症を招くリスクが高まります。

定期的な血液検査や内科・眼科受診を続け、ガラクトース血症のコントロールを維持することが必要です。

思春期からは自分で食事内容を選ぶ機会が増えますが、あらかじめガラクトースを多く含む食品を把握しておくことや、パーティーや外食のときに工夫することなどのセルフケアが大切になります。

また、周囲に自分の病気を理解してもらい、無理のない範囲で楽しめる食品選択をすることも治療継続には大事です。

ガラクトース血症薬の副作用や治療のデメリットについて

ガラクトース血症の治療では主に食事制限を行いますが、併用薬を使用するケースもあり、薬の副作用や治療そのもののデメリットについて知っておく必要があります。

肝庇護薬やビタミン剤の副作用

ガラクトース血症に伴う肝機能障害が進行している人や、ビタミン欠乏状態が疑われる人に対して、肝庇護薬やビタミン剤を処方することがあります。

これらの薬は比較的安全とされることが多いですが、人によっては胃腸障害や発疹などの副作用を起こすことがあり、症状が気になる場合は、すぐに医師と相談し、薬の種類や用量を調整することが重要です。

肝庇護薬やサプリメント関連の主な注意点

薬・サプリの種類目的副作用の例注意点
肝庇護薬肝機能維持・改善消化器症状、発疹など症状が出たら医師に報告し、中止や変更を検討
ビタミン剤欠乏症予防・補正過剰摂取による不調用量を守り、自己判断で増量しない
カルシウム・ビタミンD骨密度低下を防ぐための補助便秘、稀に高カルシウム血症定期的な血液検査で状態を確認

白内障手術や眼科的処置におけるデメリット

ガラクトース血症の一部タイプでは白内障が進行しやすく、手術を検討する場合があります。眼科手術自体は多くの施設で行われており安全性は高いものの、手術のための入院や仕事・学業への影響といった負担が伴います。

また、術後の経過管理や視力回復の度合いには個人差があるため、デメリットも考慮したうえで医師と相談することが大切です。

副作用やデメリットを最小化する工夫

薬の副作用を抑えるためには、医師の指示通りに用量を守り、定期的に血液検査や診察を受けることが重要で、なにか兆候があればすぐに医療機関を受診し、薬の変更や中止を検討してください。

また、食事管理においても、管理栄養士や他の患者との情報交換を通じて、無理のない範囲でガラクトース制限を続ける工夫が求められます。

負担を軽減するには、家族だけで抱え込まず、必要に応じて医療ソーシャルワーカーやカウンセリングを利用するのも一案です。

よりよい栄養管理とストレス軽減策を探り、社会生活と両立できるよう計画的に取り組むと、長期的な治療の継続がしやすくなります。

ガラクトース血症の保険適用と治療費

お読みください

以下に記載している治療費(医療費)は目安であり、実際の費用は症状や治療内容、保険適用否により大幅に上回ることがございます。当院では料金に関する以下説明の不備や相違について、一切の責任を負いかねますので、予めご了承ください。

保険適用になる範囲

ガラクトース血症の検査や治療は、多くの場合、健康保険の適用対象で、血液検査、尿検査、遺伝子検査の一部、医師の処方に基づく薬物療法などがあります。

特殊ミルクなど、ガラクトース除去用の食品に関しては、医療用経腸栄養剤として医師が必要性を判断した場合に保険適用になることがあります。

  • 血液検査や尿検査などの一般的な検査
  • 遺伝子検査(一部)
  • 医師が処方する治療薬(肝庇護薬、ビタミン剤など)
  • 特殊ミルク(医療用経腸栄養剤として認められるもの)

治療費の目安

検査・治療費は病型や症状の重症度、治療期間などによって大きく変動しますが、おおまかな目安を示します。

項目おおまかな費用の目安
血液検査数千円〜1万円程度
遺伝子検査数万円〜10万円程度(保険適用の有無で変動)
肝庇護薬、ビタミン剤1カ月あたり1,000〜2,000円程度(保険適用後)
特殊ミルク1カ月あたり5,000〜1万円程度(保険適用後)

初回の詳しい検査で遺伝子検査を含める場合、数万円以上かかることがありますが、保険が適用されれば自己負担額は3割程度(または2割程度)です。

肝庇護薬やビタミン剤などの処方薬は、種類や用量、処方される期間によって費用が異なります。

特殊ミルクやラクトースフリー食品の選択

乳児期の特殊ミルクや、成人でもラクトースフリーの加工食品を利用する場合、通常の食品より割高になることが少なくありませんが、健康保険の適用対象になる場合があり、経済的な負担をある程度軽減できます。

詳細は、医師や管理栄養士、薬剤師と相談しながら、どのような特殊ミルクやラクトースフリー食品が必要かを検討するとよいでしょう。

保険適用外の商品でも、品質や味の面で優れた選択肢があるので、生活スタイルに合わせて使い分けるのがポイントです。

以上

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