変形性膝関節症で塗り薬(ゲル・軟膏)は効く?皮膚から吸収される鎮痛成分の浸透力

変形性膝関節症の塗り薬は、皮膚から鎮痛成分がじわじわ浸み込み、膝まわりの痛みや腫れをやわらげる心強い味方です。
飲み薬ほど胃腸に負担をかけにくく、ゲルや軟膏といった剤形の違いで浸透のスピードが変わってきます。
この記事では、塗り薬の選び方から正しい使い方、副作用の注意点まで、膝の痛みに悩む方が知っておきたい情報をていねいにお伝えします。
塗り薬(ゲル・軟膏)で変形性膝関節症の痛みは確かにやわらぐ
結論からお伝えすると、変形性膝関節症の塗り薬は軽症から中等症の痛みに対して一定の効果が期待できる治療法です。
皮膚から鎮痛成分が浸み込み、関節周囲の炎症をしずめることで、歩き始めの痛みや階段を降りるときのつらさをやわらげてくれます。
飲み薬と同じくらい痛みを減らせる場面があります
塗り薬と聞くと気休めのように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、海外の臨床研究では、ジクロフェナクやケトプロフェンといった成分の塗り薬が飲み薬と同じくらい痛みをやわらげる場面があると報告されています。
とくに膝のように皮膚の下にすぐ関節が位置している部位では、塗り薬の成分が届きやすく、飲み薬とほぼ並ぶ鎮痛効果が見られることも少なくありません。
皮膚から成分が届くまでに起きていること
塗り薬の成分は、皮膚の角質層という薄い壁をゆっくりくぐり抜け、皮下組織や筋肉、さらに関節包の周囲へとたどり着きます。
血液に入る量はわずかで、全身をめぐる飲み薬と比べると胃腸や腎臓への負担が軽く済む点が大きな強みといえるでしょう。
膝関節における浸透の特徴
| 比較項目 | 塗り薬(ゲル・軟膏) | 飲み薬 |
|---|---|---|
| 作用する場所 | 塗った部分の皮下〜関節周囲 | 全身の炎症部位 |
| 血中濃度 | 低め | 高め |
| 胃腸への負担 | 比較的少ない | 生じやすい |
| 向いている症状 | 軽症〜中等症の局所痛 | 強い痛みや複数関節 |
塗り薬が向く人と向きにくい人がいます
胃が弱い方、腎臓の働きが落ちている方、複数の飲み薬を日常的に使っている高齢の方には、塗り薬がよい選択肢になることがあります。
一方で、皮膚が弱くてかぶれやすい方や、関節の奥深くまで炎症が広がっている重症例では、塗り薬だけで十分な効果を得にくい場合もあるでしょう。
ひざの痛みを抱える方にそっと寄り添いたい
膝が痛くて外出をためらう、孫を抱きかかえるのが怖い。そんな日々を一日でも早く変えたいという気持ちは、どなたにも共通しています。
塗り薬はその第一歩として、医療機関でも広く使われている選択肢の一つです。正しい知識を持って上手に付き合っていきましょう。
変形性膝関節症に使われる塗り薬(ゲル・軟膏)の代表的な種類と特徴
変形性膝関節症に使われる塗り薬は、大きくゲル、軟膏、クリーム、ローション、そして貼付剤に分かれます。含まれる成分もジクロフェナク、ケトプロフェン、インドメタシン、フェルビナクなど多彩です。
医療機関で処方される塗り薬の顔ぶれ
処方薬として定番なのは、ジクロフェナクナトリウムを含むゲルや、ケトプロフェンを含むゲル剤です。
どちらも非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれる仲間で、炎症を起こす物質の産生を抑えて痛みをやわらげます。
医師が症状や皮膚の状態を見ながら選んでくれるため、飲み薬との併用のしやすさや副作用のリスクに配慮した処方が期待できるでしょう。
ドラッグストアで買えるゲルと軟膏の違い
市販薬にもフェルビナクやインドメタシンを含む製品が多く並んでいます。ゲルはさらっとして乾きやすく、服を汚しにくい点が便利です。軟膏はこってりしていて保湿力が高く、乾燥しがちな季節に重宝します。
ただし市販薬は濃度や添加物が処方薬と異なることが多いため、長く続ける場合は一度、医師や薬剤師に相談すると安心です。
テープ剤やパップ剤といった貼る選択肢
塗り薬と並んでよく使われるのが、フェルビナクやロキソプロフェン、ジクロフェナクを含むテープ剤やパップ剤です。一度貼れば数時間から1日、ゆっくりと成分が皮膚に浸み込んでいきます。
手を汚さずに済み、塗り忘れも防ぎやすいのが魅力です。ただし皮膚への密着時間が長いぶん、かぶれやかゆみには塗り薬よりも注意が必要となります。
| 剤形 | おもな特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ゲル | さっぱり・速乾性 | 日中に活動しながら使いたいとき |
| 軟膏 | しっとり・保湿力 | 乾燥肌の方や夜に使うとき |
| クリーム | 伸びがよく馴染みやすい | 広い範囲に塗りたいとき |
| ローション | 液状でサッと広がる | 毛の多い部位や広範囲 |
| テープ剤 | 長時間の持続効果 | 夜間の痛みや塗り忘れ防止 |
皮膚から吸収される鎮痛成分の浸透力を支えるしくみ
塗り薬の効き目は、鎮痛成分が角質層を越えて患部に届く力、つまり浸透力にかかっています。成分の性質、基剤の工夫、塗る部位の環境が合わさって初めて、十分な濃度が関節周囲にとどまります。
角質層は皮膚にとっての最大の関門
皮膚の一番外側にある角質層は、水分や異物の侵入を防ぐ盾の役割を担っています。鎮痛成分はこの層の脂質のすき間をすり抜け、その下の表皮から真皮、皮下組織へと少しずつ下りていくのです。
ジクロフェナクのように脂と水の両方に馴染みやすい成分は、この角質層を越えやすく、膝のような浅い関節では十分な濃度に届きやすいと報告されています。
基剤(ベース)の違いで浸透力が変わる
同じ成分でも、ジェル状にするかクリーム状にするかで浸透のスピードが変わります。ジメチルスルホキシド(DMSO)やエタノールが含まれると、角質層の脂質を一時的にゆるめて、成分の通り道を広げてくれるのです。
添加物の組み合わせによって、関節の深さまで届く量が何倍にも差が出ることが、海外のex vivo研究で示されています。
成分がたどる経路
| 段階 | 通過する場所 | 起きていること |
|---|---|---|
| 第1段階 | 角質層 | 脂質のすき間を拡散 |
| 第2段階 | 表皮・真皮 | 細胞間を移動しながら浸透 |
| 第3段階 | 皮下組織・筋肉 | 毛細血管にごく一部が入る |
| 第4段階 | 関節包・滑膜 | 炎症を起こす物質の産生を抑制 |
関節の深さと成分の届き方
膝は体重を支える大きな関節ですが、お皿の両脇や内側など、皮膚のすぐ下に関節の縁が触れる部分もあります。こうした部位では、塗り薬の成分が直接その下の組織に届きやすいのです。
一方で、膝の奥深くにある半月板や関節軟骨へは、血流経由で届く部分も大きく関わってきます。塗り薬だけでは不十分な場合、飲み薬や注射との組み合わせが検討されます。
飲み薬との血中濃度の差が安全性につながる
日本のある研究では、膝関節症の患者さんで飲み薬と貼り薬を比較したところ、血中のジクロフェナク濃度はほぼ同じでも、筋肉組織の濃度は貼り薬の方が圧倒的に高かったという結果が出ました。
つまり、塗り薬や貼り薬は患部に成分を集中させつつ、全身への負担を抑えられるというわけです。この特性こそが、長く使いたい変形性膝関節症の治療で大きな利点となります。
塗り薬の鎮痛効果を引き出す使い方のコツ
せっかくの塗り薬も、使い方次第で効果が半減してしまいます。決められた回数と量を守り、ひざ全体にやさしく馴染ませると、鎮痛成分が皮膚にしっかり浸み込みやすくなります。
1日の塗る回数とタイミングに意外と差が出ます
多くの塗り薬は1日3〜4回の使用が推奨されています。痛みがひどいときだけ塗るよりも、決まった時間に塗り続けた方が、関節周囲の成分濃度を一定に保てるため効果が安定します。
朝の起床時、昼食後、夕方、就寝前といったタイミングで習慣化すると、塗り忘れを防ぎやすくなるでしょう。
塗る量が少なすぎると効果が弱まる
膝のお皿の周囲をぐるっと一周するなら、チューブから出す量は指先1本分ほどが目安です。けちって薄く塗ると、角質層を越える前に量が足りず、鎮痛成分が患部に届ききらないこともあります。
逆に塗りすぎても吸収される量は一定までしか増えませんので、毎回同じくらいの量をていねいに広げるのがコツといえるでしょう。
ひざ全体にやさしくなじませる塗り方
塗るときは、お皿の上、内側、外側、裏側の順に手のひらで円を描くように広げていきます。ごしごしこする必要はなく、体温でゆっくり温めながら皮膚に馴染ませると、浸透が促されやすくなります。
入浴後の清潔で温まった肌は、角質層がやわらかくなっているため吸収されやすい状態です。このタイミングでの使用もおすすめです。
- 清潔で乾いた皮膚に塗る
- 1回の量は指先1本分が目安
- 円を描くようにやさしく馴染ませる
- 塗ったあとはしばらく服の摩擦を避ける
- 使用後の手は石けんでしっかり洗う
塗り薬(ゲル・軟膏)を使うときに注意したい副作用
塗り薬は飲み薬に比べて安全性が高いといわれていますが、皮膚に直接触れる薬である以上、かぶれや光線過敏症などの副作用には気をつける必要があります。
かぶれ・赤み・かゆみといった皮膚トラブル
塗り薬でもっとも多い副作用は、塗った部分の赤みやかゆみ、湿疹です。海外のメタ分析でも、皮膚の副作用は飲み薬より塗り薬の方がやや多いと報告されています。
軽度であれば使用を中止すれば数日でおさまることが多いのですが、広がったり水ぶくれになったりした場合は、自己判断で続けず早めに皮膚科を受診してください。
光線過敏症と日常生活での工夫
ケトプロフェンなど一部の成分では、塗った部分に紫外線が当たると強い炎症を起こす光線過敏症が知られています。塗った部位は衣類や長めのスカートで覆うか、外出時に日焼け止めを併用すると安心です。
症状が出た場合、使用をやめてからも数週間は同じ部位への紫外線を避けるよう注意が必要となります。
| 副作用の種類 | 主な症状 | 受診の目安 |
|---|---|---|
| 接触皮膚炎 | 赤み・かゆみ・湿疹 | 広がる・水ぶくれ |
| 光線過敏症 | 日光後の強い炎症 | 発症時は速やかに受診 |
| 蕁麻疹 | 膨疹・強いかゆみ | 全身に広がったら受診 |
| まれな全身反応 | 息苦しさ・腫れ | 直ちに医療機関へ |
飲み薬との併用で起こりうる注意点
塗り薬でも血液にごくわずかな成分は吸収されます。飲み薬のNSAIDsやワルファリンなど血液をサラサラにする薬を使っている方は、念のため医師や薬剤師に併用の可否を確認しておきましょう。
妊娠中・授乳中の方、気管支喘息をお持ちの方も、市販薬を自己判断で使う前に相談することが大切です。
こんなサインが出たら自己判断せず医師へ
塗っている部分の皮膚症状が2〜3日経っても引かない、膝の痛みが悪化している、発熱や腫れを伴うといった場合は、別の病気が隠れている可能性もあります。
気になる症状に気づいたら、早めに整形外科や皮膚科を受診する方が、結果的に早い回復につながりやすいでしょう。
塗り薬だけに頼らない変形性膝関節症のセルフケア
塗り薬は痛みをやわらげる頼れるパートナーですが、それだけに頼りきりになってしまうと、根本的な膝の負担は減りません。筋力や体重、温冷の工夫を組み合わせると、膝をもっと長く守れます。
太ももの筋肉を鍛えてひざを守る生活習慣
大腿四頭筋という太ももの前側の筋肉は、膝のお皿を支えるクッションのような役割を果たしています。この筋肉が弱ると、関節軟骨への衝撃がダイレクトに伝わり、痛みが強くなりやすいのです。
椅子に座って片脚をゆっくり上げ下げする運動や、仰向けで膝を軽く伸ばす運動は、膝に負担をかけずに筋力を保つ工夫としておすすめできます。
体重管理が膝に与える確かな変化
体重が1キログラム増えると、歩行時の膝にかかる負担は3〜4倍に跳ね上がるといわれています。つまり5キログラム減らせれば、膝は毎歩15〜20キログラム分の負担から解放される計算です。
極端な食事制限ではなく、ご飯の量を少しだけ控える、間食を果物に変えるといった日々の小さな工夫が、膝の長い未来を守ります。
温めと冷やしの使い分けで痛みをやわらげる
慢性的な鈍い痛みやこわばりには、入浴や蒸しタオルで膝を温めて血流を促すのが有効です。温かさで筋肉がゆるむと、塗り薬の浸透も後押しされます。
一方、捻ったあとの急な腫れや熱感があるときは、氷枕やアイスバッグで15分ほど冷やすと炎症を抑えやすくなります。場面に合わせた使い分けが大切です。
| セルフケア | 期待できる効果 | 続けるコツ |
|---|---|---|
| 筋力トレーニング | 関節への衝撃緩和 | テレビを見ながら毎日少しずつ |
| 体重管理 | 膝の負担を軽減 | 無理なく週に0.3kgずつ |
| 温め | 血流促進・こわばり緩和 | 湯船で10分ゆったり |
| 冷やし | 急性炎症・腫れの抑制 | 1回15分を超えない |
| ストレッチ | 可動域の維持 | 痛みのない範囲で |
医療機関との付き合い方と治療の組み合わせ方
塗り薬を続けても膝の痛みが楽にならない、日常生活に支障が出てきたという場合は、医療機関に相談する合図です。飲み薬、注射、リハビリ、手術といった選択肢を、医師と一緒に検討していくとよいでしょう。
塗り薬で改善しない痛みは医師に相談する目安
2〜4週間ほど塗り薬を続けても、痛みや腫れが変わらない、夜間もズキズキ痛むといった場合は、変形が進んでいたり、別の原因が隠れている可能性があります。
- 階段の上り下りで膝から崩れそうになる
- 正座がまったくできないほど曲がらない
- 膝に水が溜まって見た目に腫れている
- 夜間に痛みで目が覚める
- 短い距離でも歩くのがつらい
飲み薬・注射・リハビリとの組み合わせ方
中等症から進行した段階では、塗り薬に加えて飲み薬、ヒアルロン酸の関節内注射、専門の理学療法士によるリハビリを組み合わせるのが一般的です。
それぞれ効き方が異なるため、単独で使うより複数を上手に組み合わせた方が、痛みのコントロールも歩く力の維持もうまくいきやすくなります。
手術を検討するタイミングの目安
薬や注射、リハビリでも日常生活が厳しいほど痛みが強い場合、関節鏡手術、骨切り術、人工膝関節置換術といった外科的な治療が検討対象になります。
手術と聞くと身構えてしまいがちですが、近年は体への負担が小さい術式も増えてきました。整形外科専門医とじっくり相談して、自分の生活に合った治療を選んでいきましょう。
よくある質問
- 変形性膝関節症の塗り薬は毎日続けても大丈夫ですか?
-
医師の指示を守って適切な量を使う限り、毎日続けても大きな問題はありません。
むしろ毎日規則的に塗る方が、関節周囲の成分濃度が安定し、痛みのコントロールがうまくいきやすくなります。
ただし皮膚にかぶれが出てきたり、2〜4週間続けても症状が改善しない場合は、自己判断で続けず医師に相談してください。
- 変形性膝関節症に使うゲルと軟膏では、どちらの方が浸透力が高いですか?
-
一般的にはゲルタイプの方が皮膚への吸収が早いといわれています。エタノールや浸透促進剤が含まれていることが多く、角質層をすばやく通過するためです。
一方で軟膏は保湿力が高く、皮膚が乾燥して荒れやすい方や、寝る前にゆっくり浸透させたい場面で強みを発揮します。
どちらが向くかは皮膚の状態や生活習慣によって変わるため、薬剤師や医師に相談しながら選ぶのがおすすめです。
- 変形性膝関節症の塗り薬を飲み薬と一緒に使っても問題ないですか?
-
多くの場合は併用可能ですが、同じ成分系の飲み薬とは重複を避けた方が安心です。
ごく一部とはいえ塗り薬の成分も血液中に吸収されるため、飲み薬の効果と足し算になる可能性があります。
現在使っている薬をお薬手帳にまとめて、受診時や購入時に必ず医師・薬剤師へ見せて、安全に使える組み合わせを確認してください。
- 変形性膝関節症の塗り薬は、どれくらいの期間で効果を感じられますか?
-
個人差はありますが、早い方では塗り始めから数日で痛みの変化に気づくこともあります。
臨床研究では、1〜2週間で明らかな改善が出始め、6〜12週間ほど続けることで、より安定した痛みの軽減や歩きやすさの向上が見られると報告されています。
短期間でやめてしまうのはもったいないので、医師の指示に沿って一定期間は続けてみるのが大切です。
- 変形性膝関節症の塗り薬は高齢者にも安全に使えますか?
-
塗り薬は血液中の成分濃度が低く抑えられるため、胃腸や腎臓への負担を心配しやすい高齢の方にも比較的使いやすい治療選択肢です。
海外の大規模なプール解析でも、65歳以上の方でも若い方と同等の効果と安全性が示されています。
ただし皮膚が薄くなっている高齢の方はかぶれやすいため、塗った部分の色や感じ方を毎日観察し、異変があれば早めに主治医に伝えましょう。
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