変形性膝関節症の神経障害性疼痛|リリカ・タリジェなどの神経痛薬が処方されるケース

変形性膝関節症の神経障害性疼痛|リリカ・タリジェなどの神経痛薬が処方されるケース

変形性膝関節症の痛みといえば「炎症による痛み」と思われがちですが、実は神経そのものが傷ついて生じる「神経障害性疼痛」が隠れていることがあります。

一般的な痛み止め(NSAIDs)を飲んでも膝の痛みが改善しない方は、この神経の痛みを疑ってみる価値があるでしょう。

リリカ(プレガバリン)やタリージェ(ミロガバリン)といった神経痛薬は、そうした神経障害性疼痛に対して処方されます。

本記事では、変形性膝関節症で神経痛薬が必要になるケースや、薬の違い、副作用への対処法などをわかりやすく解説しています。「なぜ膝の痛みが消えないのか」と悩んでいる方にこそ読んでいただきたい内容です。

目次

変形性膝関節症の神経障害性疼痛とは|NSAIDsが効かない膝痛の正体

変形性膝関節症の痛みのなかには、炎症だけでは説明できない「神経障害性疼痛」が含まれており、一般的な消炎鎮痛薬では十分にコントロールできない場合があります。

研究では膝OA患者の約20〜40%に神経障害性疼痛の要素があると報告されています。

炎症性の痛みと神経障害性疼痛は何が違うのか

変形性膝関節症で感じる痛みは、多くの場合「侵害受容性疼痛」と呼ばれる炎症由来の痛みです。軟骨がすり減った関節内で炎症物質が放出され、痛みのセンサー(侵害受容器)を刺激することで起こります。

一方、神経障害性疼痛は神経そのものが損傷または機能異常を起こしている状態です。ピリピリ、ジンジン、ビリッとした電気が走るような感覚が特徴で、通常の痛み止めでは抑えにくい傾向があります。

変形性膝関節症でなぜ神経が傷つくのか

関節の変形が進むと、軟骨だけでなく軟骨下骨にも変化が及びます。骨棘(こつきょく)の形成や関節構造の変形によって、周囲の感覚神経が物理的に圧迫されたり引き伸ばされたりすることがあるのです。

動物実験では、変形性膝関節症が進行した段階で膝を支配する感覚神経に損傷マーカーが増加することが確認されています。つまり、病気が進むほど神経の障害が加わりやすくなるといえます。

痛みの種類と特徴の比較

項目炎症性の痛み神経障害性疼痛
痛みの性質ズキズキ、重だるいピリピリ、電気が走る
NSAIDsの効果比較的効きやすい効きにくい
触れただけの痛みあまり見られないアロディニアとして出現
主な発生時期炎症が活発な急性期慢性期・進行期に多い

中枢性感作が起きると痛みはさらに複雑になる

神経障害性疼痛が長引くと「中枢性感作」と呼ばれる状態に移行する場合があります。中枢性感作とは、脳や脊髄といった中枢神経が過敏になり、本来は痛くない刺激まで痛みとして感じるようになる現象です。

変形性膝関節症の患者さんでは、中枢性感作の有病率が約36%とする報告もあり、膝関節だけでなく全身的な痛みの制御がうまくいかなくなるケースも珍しくありません。

中枢性感作を伴う痛みには、リリカやタリージェなどの中枢神経に作用する薬が有効とされています。

リリカ(プレガバリン)が変形性膝関節症に処方される具体的な場面

リリカ(プレガバリン)は、変形性膝関節症の痛みのなかでも神経障害性疼痛の要素が強いと判断された場合に処方され、神経の過剰な興奮を抑えることで痛みを和らげます。

リリカはどのような仕組みで痛みを和らげるのか

リリカの有効成分であるプレガバリンは、神経細胞にあるカルシウムチャネルのα2δサブユニットに結合し、神経伝達物質の過剰な放出を抑えます。

興奮しすぎた神経を落ち着かせることで、ピリピリした痛みやしびれを軽くする仕組みです。

元々は帯状疱疹後神経痛や糖尿病性神経障害に対して開発された薬ですが、変形性膝関節症の神経障害性疼痛にも応用されるようになりました。

NSAIDsとリリカの併用で痛みが大きく改善した研究報告

メロキシカム(NSAIDs)とリリカを併用した臨床試験では、いずれか単独で使用するよりも痛みの軽減効果が大きかったと報告されています。

VASスコア(痛みの強さを0〜100で示す指標)で統計的に有意な差が認められました。

この結果は、変形性膝関節症の痛みが炎症成分と神経障害性成分の両方を含む「混合性の痛み」であることを示唆しています。炎症を抑える薬だけでは不十分なケースに、リリカが補完的な役割を果たすわけです。

主治医がリリカの処方を検討する判断材料

医師がリリカの処方を検討するのは、たとえば次のような臨床的な状況です。

NSAIDsを十分な量・期間使用しても痛みが改善しない場合、痛みの性質としてしびれやピリピリ感を伴う場合、PainDETECTやDN4といった問診票で神経障害性疼痛が疑われる場合などが挙げられます。

画像所見(レントゲンやMRI)と患者さんの痛みの強さが一致しないときにも、神経の痛みの関与が疑われることがあります。

画像上は軽度の変形でも強い痛みを訴えるケースでは、中枢性感作や神経障害性疼痛を考慮して処方が検討されるでしょう。

リリカが処方される代表的な臨床場面

臨床場面具体的な状況処方の根拠
NSAIDsが無効ロキソプロフェンなどを2週間以上使用しても効果が乏しい神経性の痛みの要素が疑われる
痛みにしびれを伴う膝の周囲にピリピリ感やジンジンする感覚がある神経障害性疼痛の典型的な症状
問診票でスコアが高いPainDETECTが13点以上神経障害性疼痛の可能性あり
画像と痛みの乖離レントゲン上は軽度だが痛みが非常に強い中枢性感作の関与が疑われる

タリージェ(ミロガバリン)とリリカの違い|膝の神経痛薬を切り替える判断基準

タリージェ(ミロガバリン)はリリカと同じα2δリガンドに分類される薬ですが、結合特性や副作用の出方に違いがあり、リリカが合わなかった方への切り替え先として注目されています。

タリージェはα2δ-1サブユニットへの選択性が高い

リリカもタリージェもカルシウムチャネルのα2δサブユニットに結合して効果を発揮しますが、タリージェはα2δ-1サブユニットに対してより選択的に、かつ長く結合する特徴を持ちます。α2δ-1は痛みの伝達に深く関わるサブユニットです。

一方、中枢神経系の副作用(眠気やふらつき)に関連するとされるα2δ-2サブユニットからは速やかに解離します。この特性から、タリージェはリリカに比べて日中の眠気が出にくい傾向があると考えられています。

リリカからタリージェへ切り替えるタイミング

実臨床では、リリカの副作用(強い眠気、ふらつき、体重増加など)が日常生活に支障をきたす場合にタリージェへの切り替えが検討されます。日本国内の多施設試験では、リリカからタリージェへ段階的に切り替えた結果、約89.5%の患者さんが試験を完遂したと報告されました。

切り替えの際はリリカを徐々に減量しながらタリージェを開始する方法が一般的です。急にリリカを中止すると離脱症状が出る場合があるため、必ず主治医の指示に従って進めてください。

  • リリカの眠気やふらつきが日常生活に支障をきたしている
  • 体重増加が気になり服薬の継続が難しくなった
  • リリカの効果が徐々に薄れてきたと感じる
  • 高齢で日中の眠気による転倒リスクが心配

タリージェが向いている方・リリカが向いている方

タリージェは眠気が出にくいことから、車を運転する機会がある方や高齢で転倒リスクが高い方に適しているといえます。日中の活動を維持したい方にとって、タリージェのこの特性は大きなメリットです。

一方、リリカは長年の臨床実績があり、処方経験の蓄積という面では安心感があります。不眠に悩んでいる方の場合、リリカの軽い鎮静作用がかえって睡眠の改善に役立つこともあるでしょう。

どちらが合うかは個人差が大きいため、主治医とよく話し合うことが大切です。

変形性膝関節症の神経障害性疼痛を見抜く診断方法と検査の実際

神経障害性疼痛は見た目や画像だけでは判断が難しく、問診票や感覚検査を組み合わせて「痛みの性質」を丁寧に評価することが大切です。

PainDETECTとDN4問診票の使い分け

神経障害性疼痛のスクリーニングに使われる代表的な問診票が「PainDETECT」と「DN4(Douleur Neuropathique 4)」です。

PainDETECTは患者さん自身が記入する形式で、痛みの性質や放散パターンを数値化します。13点以上で「神経障害性疼痛の可能性あり」、19点以上で「可能性が高い」と評価されます。

DN4は医師が問診と簡単な感覚テストを行って判定する方式で、4点以上だと神経障害性疼痛が示唆されます。どちらも外来で短時間に実施でき、特殊な機器を必要としないため広く使われています。

定量的感覚検査(QST)で痛みの感じ方を客観的に測る

定量的感覚検査(QST)は、温度や圧力などの刺激に対して患者さんがどの程度の強さで痛みを感じるかを測定する検査です。通常の感覚よりも弱い刺激で痛みを感じる場合、中枢性感作や神経障害性疼痛が疑われます。

実際のQSTでは、膝の患部だけでなく対側の膝や前腕など離れた部位でも検査を行います。患部以外でも痛覚閾値が低下していれば、膝の局所的な問題ではなく全身の痛み制御に異常が起きている可能性が高いと判断できます。

画像検査と痛みの評価を組み合わせた総合的な診断

変形性膝関節症の診断にはレントゲンやMRIが欠かせませんが、画像の重症度と痛みの強さが一致しないケースは少なくありません。

Kellgren-Lawrence分類でグレード2(軽度の変形)でも強い痛みを訴える方がおり、その背景に神経障害性疼痛や中枢性感作が潜んでいるケースがあります。

そのため、画像検査に加えて前述の問診票やQSTを活用し、痛みの性質を多角的に評価する姿勢が求められます。痛みの原因を正確に把握することが、適切な薬剤選択への第一歩となります。

神経障害性疼痛の主な診断ツール

診断ツール評価方法判定基準
PainDETECT患者さん自身が質問に回答13点以上で疑い、19点以上で確定的
DN4医師の問診+感覚テスト4点以上で神経障害性疼痛が示唆
QST温度・圧力刺激への反応を測定痛覚閾値の低下で中枢性感作を評価

神経痛薬リリカ・タリージェの副作用と上手な付き合い方

リリカやタリージェなどの神経痛薬は効果が期待できる一方、眠気やふらつきといった副作用があり、事前に対処法を知っておくと安心して治療を続けられます。

眠気・めまい・ふらつきが出やすい理由

リリカやタリージェは中枢神経に作用して痛みを抑える薬であるため、神経全体の活動を穏やかにする影響が副作用として現れる場合があります。

とくに飲み始めの1〜2週間は眠気やめまいが強く出やすく、日常生活への影響を感じる方もいるかもしれません。

ただし多くの場合、服用を継続するうちに体が慣れてきて副作用は軽減していきます。医師は通常、低用量から開始して徐々に増量する「漸増法」を用いるため、いきなり強い副作用に見舞われるリスクは抑えられています。

体重増加やむくみへの対策

リリカの服用中に体重増加やむくみ(浮腫)を経験する方がいらっしゃいます。プレガバリンには食欲を亢進させる作用があるとされ、食事量が無意識に増えることが体重増加の一因です。

副作用の頻度と対策一覧

副作用出現頻度の目安主な対策
眠気10〜20%程度就寝前の服用、運転を控える
ふらつき・めまい5〜15%程度起き上がりはゆっくり、低用量から開始
体重増加5〜10%程度食事内容の見直し、定期的な体重測定
末梢のむくみ数%程度塩分を控え、足を高くして休む

副作用が強いときは我慢せず主治医に相談を

副作用が生活の質を大きく損なうほど強い場合、我慢して飲み続ける必要はありません。主治医に相談すれば、用量の調整や服用タイミングの変更、タリージェへの切り替えなどを検討してもらえます。

自己判断で急に服薬を中止すると、不眠や不安感、痛みの増強などの離脱症状が出る場合があります。減量は必ず段階的に行うのが鉄則ですので、「やめたい」と思ったときもまず主治医に伝えてください。

痛み止めが効かないときのリリカ・タリージェとNSAIDsの併用療法

変形性膝関節症の痛みが単独の薬では抑えきれない場合、NSAIDsと神経痛薬を組み合わせる併用療法によって炎症と神経の両方の痛みに対処でき、より満足度の高い鎮痛効果が期待できます。

なぜ1種類の薬では痛みが十分に取れないのか

変形性膝関節症の痛みは炎症性疼痛と神経障害性疼痛が混在する「混合性疼痛」であることが多いとされています。NSAIDsは炎症を抑えるのは得意ですが、神経の損傷による痛みには効果が限られます。

逆に、リリカやタリージェは神経の過剰な興奮を鎮めることに長けていますが、関節内の炎症を直接抑える作用はありません。だからこそ、異なる作用を持つ薬を組み合わせることに合理性があるのです。

併用療法の進め方と注意事項

一般的な併用療法では、まずNSAIDsで炎症を抑えつつ、神経障害性疼痛の要素が認められればリリカまたはタリージェを低用量で追加します。効果と副作用のバランスを見ながら、2〜4週間かけて用量を調整していく流れです。

NSAIDsには胃腸障害や腎機能への影響があり、リリカ・タリージェには眠気やふらつきがあるため、併用時は副作用の重なりに注意が必要です。

定期的な血液検査や腎機能チェックを受けながら、主治医のもとで安全に治療を進めましょう。

デュロキセチン(サインバルタ)という選択肢もある

神経痛薬としてはリリカやタリージェのほかに、デュロキセチン(サインバルタ)というSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)も変形性膝関節症の疼痛管理に使われることがあります。

脳内の痛みを抑える神経経路を活性化する薬で、とくに気分の落ち込みを伴う慢性痛の方に向いているとされています。

研究ではデュロキセチンとリリカの双方が膝OAの痛みや機能を改善したという報告があり、患者さんの症状や合併症に応じて使い分けが行われます。

  • 気分の落ち込みや不安が強い方にはデュロキセチンが向いている場合がある
  • しびれやピリピリ感が主症状の方にはリリカ・タリージェが適する傾向
  • 複数の薬を試しても効果が不十分な場合は専門の痛み外来(ペインクリニック)への紹介も選択肢になる

変形性膝関節症の痛みを長期的にコントロールするために毎日できること

薬物療法だけに頼らず、日常生活のなかで実践できるセルフケアを組み合わせると、変形性膝関節症の神経障害性疼痛はより安定的にコントロールできます。

適度な運動が神経の過敏を和らげる

「膝が痛いから動かさない」という考えは自然なものですが、長期間の安静はかえって筋力低下や関節拘縮を招き、痛みを悪化させるリスクがあります。

ウォーキングや水中運動などの低負荷の有酸素運動は、膝への負担を抑えながら筋力を維持できる有効な方法です。

さらに近年の研究では、継続的な運動が中枢神経の痛み制御を改善し、中枢性感作を軽減する可能性が示されています。薬に加えて運動を取り入れると、痛みの管理がより効果的になるでしょう。

日常で取り入れやすい運動と生活習慣

取り組み期待できる効果始め方の目安
ウォーキング筋力維持、痛み閾値の改善1日15〜20分から開始
水中運動関節負担の軽減、全身の循環改善週2〜3回、30分程度
太ももの筋トレ膝関節の安定性向上座位での膝伸展運動を10回3セット
ストレッチ関節可動域の維持入浴後に5〜10分

体重管理と栄養面で膝への負担を減らす

体重が1kg増えると、歩行時に膝にかかる負荷は約3〜5kg増加するとされています。体重管理は膝の痛みのコントロールにおいて非常に効果が大きい取り組みです。

過度な食事制限ではなく、バランスの良い食事を心がけることが長続きの秘訣です。

ビタミンDやオメガ3脂肪酸は炎症を抑える働きがあるとされ、魚介類や乳製品を意識して摂ることが推奨されています。関節と神経の健康を支えるために、日々の食卓を見直してみることも立派なセルフケアです。

睡眠の質を整えることが痛みの軽減に直結する

慢性痛と睡眠障害は密接な関係にあり、痛みが睡眠の質を下げ、睡眠不足がさらに痛みへの感受性を高めるという悪循環に陥りがちです。リリカには軽い鎮静作用があり、就寝前に服用すると睡眠の改善にも寄与する場合があります。

薬に頼る以外にも、就寝時刻を一定に保つ、寝室の温度や明るさを調整する、就寝前のスマートフォン使用を控えるといった生活上の工夫が効果的です。

質の良い睡眠は痛みの閾値を底上げしてくれるため、薬と同じくらい重視したい要素といえます。

よくある質問

変形性膝関節症の神経障害性疼痛にリリカ(プレガバリン)はどのくらいの期間服用するものですか?

リリカ(プレガバリン)の服用期間は患者さんの痛みの状態や治療への反応によって異なります。一般的には、まず2〜4週間ほど服用して効果を確認し、痛みが軽減していれば継続します。

痛みが十分にコントロールできている場合でも、自己判断で急に服用を中止すると離脱症状が出る可能性があるため、減量や中止は必ず主治医と相談のうえ段階的に行ってください。

タリージェ(ミロガバリン)はリリカと比べて眠気が出にくいというのは本当ですか?

タリージェ(ミロガバリン)は、中枢神経系の副作用に関連するα2δ-2サブユニットから速やかに解離する薬理特性を持っています。そのため、リリカに比べて日中の眠気が出にくい傾向があると報告されています。

ただし、副作用の出方には個人差があり、タリージェでも眠気やふらつきが生じるケースはあります。車の運転や高所作業など注意力が必要な場面では、服用開始後しばらくは慎重に行動することをおすすめします。

変形性膝関節症で神経痛薬を服用中に市販の痛み止めを併用しても問題ありませんか?

リリカやタリージェを服用中に市販のNSAIDs(ロキソニンSやイブプロフェンなど)を自己判断で併用することは推奨されません。

NSAIDsには胃腸障害や腎機能への影響があり、処方薬と作用が重複すると副作用のリスクが高まる恐れがあります。

痛みが強くてつらいときは、まず主治医に連絡して追加の鎮痛方法を相談してください。

頓服薬としてアセトアミノフェンなどが処方されるケースもありますので、自己判断で市販薬を追加するよりも安全な方法を主治医と一緒に見つけましょう。

変形性膝関節症で膝のしびれやピリピリ感がある場合、必ず神経障害性疼痛と診断されますか?

膝のしびれやピリピリ感があるからといって、必ずしも変形性膝関節症による神経障害性疼痛と確定するわけではありません。腰部の脊柱管狭窄症や坐骨神経痛など、膝以外の部位が原因で同様の症状が出るときもあります。

正確な診断のためには、問診票(PainDETECTやDN4)の実施に加え、腰椎のMRIや神経伝導検査などで他の原因を除外する必要があります。症状が気になる場合は整形外科を受診し、痛みの性質を詳しく評価してもらうことをおすすめします。

リリカやタリージェなどの神経痛薬は変形性膝関節症の進行を止める効果がありますか?

リリカ(プレガバリン)やタリージェ(ミロガバリン)は、あくまで神経の過剰な興奮を抑えて痛みを和らげるための薬であり、変形性膝関節症そのものの進行を食い止める効果はありません。軟骨の摩耗や骨の変形を直接改善する作用は持っていないのです。

変形性膝関節症の進行を遅らせるには、体重管理や適度な運動、ヒアルロン酸注射などの関節保護を目的とした治療が必要になります。

神経痛薬は「痛みの管理」という面で生活の質を高めてくれますが、疾患の根本治療とは分けて考えることが大切です。

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この記事を書いた人

臼井 大記のアバター 臼井 大記 大垣中央病院 整形外科・麻酔科 担当医師

日本整形外科学会認定専門医

2009年に帝京大学医学部医学科卒業後、厚生中央病院に勤務。東京医大病院麻酔科に入局後、カンボジアSun International Clinicに従事し、ノースウェスタン大学にて学位取得(修士)。帰国後、岐阜大学附属病院、高山赤十字病院、岐阜総合医療センター、岐阜赤十字病院で整形外科医として勤務。2023年4月より大垣中央病院に入職、整形外科・麻酔科の担当医を務める。

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