変形性膝関節症による見た目の変化!O脚の進行や膝の腫れ(水溜まり)の原因

変形性膝関節症による見た目の変化!O脚の進行や膝の腫れ(水溜まり)の原因

変形性膝関節症が進むと、痛みだけでなく膝の外見にも大きな変化が現れます。脚全体がO脚に曲がったり、膝がパンパンに腫れて水が溜まったりと、鏡を見て不安になる方も少なくありません。

こうした見た目の変化には、軟骨のすり減りや骨の変形、関節内の炎症など、それぞれ明確な原因があります。原因を正しく把握すれば、進行を遅らせるための対策も見えてきます。

この記事では、変形性膝関節症による見た目の変化をひとつずつ丁寧に解説し、日常生活でできるケアについてもお伝えしていきます。

目次

変形性膝関節症で膝の見た目が変わるのは軟骨のすり減りが原因

変形性膝関節症による見た目の変化は、関節軟骨がすり減ることで始まります。軟骨が薄くなると骨同士の隙間が狭くなり、関節の構造そのものが崩れていくため、外から見てもわかる変形が少しずつ現れるのです。

健康な膝と変形した膝では関節のすき間がまったく違う

健康な膝関節では、大腿骨と脛骨の間に十分な厚みの軟骨が存在し、クッションとして体重を受け止めています。レントゲンで見ると、この軟骨がある部分は「関節裂隙(かんせつれつげき)」と呼ばれる隙間として映ります。

変形性膝関節症が進行すると、この隙間がどんどん狭くなっていきます。外見上も、膝の内側が詰まったように見え、脚全体のラインに歪みが生じてきます。

軟骨がすり減るスピードには個人差がある

軟骨の摩耗は加齢とともに誰にでも起こりうる変化ですが、その速度は人によって大きく異なります。

体重が重い方や、膝に大きな負荷をかける動作を繰り返してきた方は、軟骨が早くすり減る傾向にあるでしょう。

一方で、適度な運動を続けて膝周りの筋肉を維持してきた方は、同じ年齢でも軟骨の減少が穏やかなケースがあります。遺伝的な要因も関わるため、ご家族に変形性膝関節症の方がいる場合は早めの注意をおすすめします。

変形性膝関節症の進行度と見た目の変化

進行度軟骨の状態外見の特徴
初期表面に浅い傷外見の変化はほぼなし
中期部分的にすり減り膝の内側がやや膨らむ
末期ほぼ消失明らかなO脚・腫れ

初期段階では見た目に変化が出にくいからこそ油断は禁物

変形性膝関節症の初期は、痛みがあっても見た目にはほとんど変化がありません。そのため「まだ大丈夫」と判断して受診が遅れるケースが多く見られます。

実際には、軟骨の劣化は目に見えないところで着実に進んでいます。違和感を覚えた段階で整形外科を受診し、レントゲンやMRIで関節の状態を確認してもらうことが大切です。

とくに朝起きたときのこわばりや、長く座った後に立ち上がるときの痛みが続く場合は、軟骨がすでにダメージを受けているサインかもしれません。見た目に変化が出る前の段階で対処を始めれば、将来的な変形を抑えられる可能性が高まります。

O脚(内反変形)が進行すると脚のラインが大きく崩れる

変形性膝関節症で多くの方が気にされるのが、O脚の進行です。膝の内側の軟骨が優先的にすり減ることで、脚全体が外側に湾曲し、立ったときに両膝の間に大きな隙間ができてしまいます。

なぜ変形性膝関節症ではO脚になりやすいのか

膝関節の内側は、歩行時に体重の約60〜70%を受け止めているといわれています。そのため、外側に比べて軟骨の消耗が早く進みやすいのです。

内側の軟骨が薄くなると、脛骨が内側に傾き、大腿骨との角度が変わります。この状態を「内反変形(ないはんへんけい)」と呼び、一般的にはO脚として認識されています。

O脚が進むと歩き方まで変わってしまう

O脚が強くなると、膝の内側に集中する荷重がさらに増加し、悪循環に陥ります。体が自然とバランスを取ろうとするため、歩幅が狭くなったり、足を外側に開いて歩くようになったりすることもあるでしょう。

歩行パターンが変わると、股関節や腰にも負担がかかり、膝以外の部位にまで痛みが広がるケースも珍しくありません。靴底の減り方を確認してみると、内側ばかりがすり減っていることに気づく方もいるでしょう。

靴底の減り方の偏りは、膝のアライメント異常を反映しています。こうした日常の小さなサインに気を配ると、O脚の進行を早期に察知できるかもしれません。

左右の脚で変形の程度が異なることもある

変形性膝関節症は両膝に起こることが多いものの、片方の膝だけ進行が早い場合もあります。利き足や過去のケガの影響、日常の姿勢や動作のクセが、左右差を生む要因として挙げられます。

片側だけO脚が目立つと、骨盤の傾きや背骨のバランスにも影響が及びます。全身のアライメント(骨格の配列)を整える視点を持つことが、膝の変形を食い止めるうえで欠かせないといえます。

O脚の進行に関わるおもな要因

要因影響
体重過多膝内側への荷重が増える
筋力低下関節を支える力が弱まる
過去の外傷損傷部位から変形が進む
加齢軟骨の再生能力が低下する

膝に水が溜まる(関節水腫)と膝がパンパンに腫れ上がる

「膝に水が溜まっている」と医師に言われた経験のある方は多いかもしれません。関節内に過剰な液体が蓄積する状態を「関節水腫(かんせつすいしゅ)」と呼び、膝の見た目が大きく変わる原因のひとつです。

関節液が過剰にたまるのは炎症のサイン

健康な膝にも少量の関節液(滑液)が存在し、軟骨に栄養を届けたり、関節の動きを滑らかにしたりしています。

通常は数mL程度ですが、関節内で炎症が起きると、滑膜(かつまく)が刺激を受けて関節液を大量に分泌します。

すり減った軟骨の破片が関節内に散らばると、それを異物とみなした免疫反応が炎症を引き起こします。結果として関節液が過剰に産生され、膝が目に見えて腫れてくるのです。

膝の腫れ方にはいくつかのパターンがある

関節水腫による腫れは、膝のお皿(膝蓋骨)の上側に出やすい傾向があります。「膝蓋上嚢(しつがいじょうのう)」と呼ばれるスペースに水が溜まるためで、膝の上部がぷっくりと膨らんで見えるのが典型的な外見です。

膝の腫れ方と部位ごとの特徴

腫れの部位見た目の特徴考えられる原因
膝蓋骨の上方お皿の上がふくらむ関節水腫
膝の内側内側が丸く張る滑膜炎
膝全体膝全体がむくむ重度の炎症

水を抜いても繰り返し溜まるのは根本原因が残っているから

「膝の水を抜くとクセになる」という話を耳にしたことがある方もいらっしゃるでしょう。しかし、水を抜くこと自体がクセになるわけではありません。

水が繰り返し溜まるのは、関節内の炎症が続いているためです。穿刺(せんし)で関節液を排出しても、炎症の原因である軟骨のすり減りや滑膜の異常が改善されなければ、再び水が産生されます。

根本的な原因に対する治療を並行して進めることが欠かせないでしょう。

骨棘(こつきょく)ができると膝の輪郭がゴツゴツと変わってくる

変形性膝関節症が進行すると、関節の縁にトゲのような骨の突起が形成されます。この突起を「骨棘(こつきょく)」と呼び、膝の輪郭を不規則に変化させる原因になっています。

骨棘は体が関節を安定させようとした結果できる

軟骨がすり減って関節が不安定になると、体はその不安定さを補おうとして骨を増殖させます。関節の縁に新しい骨が形成されるのは、いわば体の防御反応ともいえます。

ただし、骨棘が大きくなりすぎると関節の可動域を妨げ、周囲の組織を圧迫して痛みの原因にもなります。膝を触ったときにゴツゴツとした感触があれば、骨棘が成長している可能性があるでしょう。

骨棘が大きくなると膝を完全に伸ばせなくなる

骨棘は膝の前面や側面に多く発生し、関節の動きを物理的にブロックすることがあります。とくに膝を完全に伸ばす動作が制限されやすく、歩行時に膝が軽く曲がったままの姿勢になりがちです。

この状態が続くと、膝の裏側の筋肉や靱帯が縮んで硬くなり、ますます膝が伸びにくくなるという悪循環を招きます。

レントゲンで見つかる骨棘と見た目の変化は必ずしも一致しない

骨棘はレントゲン検査で確認できますが、小さな骨棘であれば見た目にはまったくわからないこともあります。

逆に、見た目に大きな変形があるように感じても、骨棘以外の要因(腫れや筋萎縮など)が影響している場合も少なくありません。

膝の見た目が変わってきたと感じたら、自己判断だけに頼らず、画像検査を含めた総合的な評価を受けることをおすすめします。

骨棘の大きさ見た目への影響
小さい(数mm)外見からはわからない
中程度(5〜10mm)触ると膨らみを感じる
大きい(10mm以上)膝の輪郭が明らかに変わる

太ももの筋肉が痩せて膝まわりの見た目が貧弱になる

変形性膝関節症では、膝だけでなく太もも全体が細くなる場合があります。とくに大腿四頭筋(だいたいしとうきん)の萎縮が顕著で、膝まわりの印象が大きく変わってしまいます。

痛みをかばって動かさないと筋肉はどんどん衰える

膝が痛いと、無意識に患側の脚を使わないようになります。歩く距離が減り、階段の上り下りを避け、立ち座りの回数も少なくなるでしょう。

使われない筋肉は2週間ほどで目に見えて細くなり始めるといわれています。変形性膝関節症の患者さんでは、健康な方と比較して大腿四頭筋の筋力が20〜40%程度低下しているという報告もあります。

筋萎縮が進むと膝の不安定感がさらに悪化する

大腿四頭筋は膝関節を支える最大の筋肉です。この筋肉が萎縮すると、関節を安定させる力が低下し、歩行中に「膝がカクンと折れそうになる」感覚(膝折れ)を経験することがあります。

膝折れが起きると転倒リスクも高まり、骨折など二次的なケガにつながりかねません。

とくに高齢の方では、一度の転倒が寝たきりの原因になる場合もあるため、筋力を維持する取り組みが欠かせないといえるでしょう。

変形性膝関節症で弱りやすい筋肉

  • 大腿四頭筋(太ももの前面)
  • ハムストリングス(太ももの裏側)
  • 中殿筋(お尻の外側)
  • 下腿三頭筋(ふくらはぎ)

左右の太ももの太さを比べると変形側が細くなっているケースが多い

両膝に変形性膝関節症がある場合でも、症状が強い側の太ももがより細くなる傾向があります。自宅で太ももの周囲をメジャーで測定し、左右差が2cm以上あれば筋萎縮が進んでいるサインかもしれません。

リハビリテーションでの筋力トレーニングは、変形性膝関節症の治療において非常に重要な位置を占めています。

痛みのない範囲で行える運動を、医師や理学療法士と相談しながら継続することが、筋萎縮を防ぐ鍵となります。

変形性膝関節症の進行度(KLグレード)で見た目の変化がわかる

変形性膝関節症の重症度は、レントゲン画像をもとに「Kellgren-Lawrence(KL)分類」という国際的な基準で評価されます。

グレードが上がるほど見た目の変化も大きくなる傾向があり、ご自身の状態を客観的に知る目安になります。

グレード0〜1は見た目にほぼ変化がない段階

KLグレード0は正常な関節を意味し、グレード1はごくわずかな骨棘が疑われる程度です。この段階では関節裂隙の狭小化は認められず、外見上の変化を感じる方はほとんどいません。

ただし、膝の違和感や軽い痛みがすでに出ているケースもあるため、症状がある場合は画像検査を受けておくと安心です。

グレード2〜3になると徐々に外見が変わり始める

グレード2では明らかな骨棘が見られるものの、関節裂隙はまだある程度保たれています。グレード3になると関節裂隙の狭小化が中等度に進み、膝の内側がやや盛り上がって見えたり、軽度のO脚が目立ち始めたりします。

この段階で適切な治療やリハビリに取り組むことが、さらなる進行を防ぐうえで非常に重要です。

グレード4は外見にも明らかな変形が現れる末期の段階

KLグレード4は変形性膝関節症の末期に相当し、関節裂隙がほぼ消失しています。骨同士が直接ぶつかり合う状態となるため、膝が大きく内側に曲がったり、膝全体がゴツゴツとした輪郭になったりします。

この段階では歩行に著しい支障が出ているケースが多く、人工膝関節置換術が選択肢に入ってくる場合もあります。

ただし、手術の適応は見た目の変形だけでなく、痛みや生活の質を総合的に判断して決定されます。

KLグレード画像所見見た目の変化
0正常変化なし
1わずかな骨棘の疑いほぼ変化なし
2明らかな骨棘軽微な膨らみ
3関節裂隙の狭小化O脚・腫れが目立つ
4関節裂隙の消失顕著な変形

日常生活で膝の変形を悪化させないために意識したい習慣

変形性膝関節症の進行を完全に止めるのは難しいものの、日々の生活習慣を見直すと悪化のスピードを緩やかにすることは十分に可能です。見た目の変化をできるだけ抑えるために、今日からできることを始めてみてください。

体重管理は膝への負担軽減に直結する

体重が1kg増えると、歩行時に膝にかかる荷重は約3〜5kg増えるとされています。逆にいえば、わずかな減量でも膝への負担を大幅に軽くできるということです。

急激なダイエットは筋肉量の低下を招くため逆効果になりかねません。バランスのよい食事と適度な運動を組み合わせて、無理なく体重をコントロールしましょう。

膝に優しい生活の工夫

  • 和式トイレよりも洋式トイレを選ぶ
  • 正座を避けて椅子を利用する
  • 階段よりエレベーターやエスカレーターを使う
  • 長時間同じ姿勢で座り続けない

膝まわりの筋肉を鍛えるトレーニングを続けよう

大腿四頭筋やハムストリングスを強化すると、膝関節の安定性を高め、変形の進行を遅らせることが期待できます。

水中ウォーキングやイスに座ったままの脚上げ運動など、膝への衝撃が少ない方法が有効です。プールでの運動は浮力の助けで体重が膝にかかりにくいため、痛みが強い方でも取り組みやすいでしょう。

運動は一時的に行うだけでは効果が持続しません。週3回以上、各20〜30分程度を目安に、生活のなかに組み込んでいくのが望ましいといえます。継続するコツは、がんばりすぎないことと、楽しめる運動を選ぶことです。

痛みが強いときは無理をせず専門医に相談を

「運動したほうがいい」と分かっていても、痛みが強い日に無理をすれば炎症を悪化させてしまいます。

痛みが増した場合や、膝の腫れが急に大きくなった場合は、自己判断で対処せず、整形外科を受診してください。

医師の指導のもとで、痛みのコントロールと運動療法をバランスよく組み合わせることが、膝の変形と見た目の変化を抑える近道となるでしょう。

よくある質問

変形性膝関節症によるO脚は自然に治ることはありますか?

残念ながら、変形性膝関節症によって生じたO脚が自然に元に戻ることはほとんどありません。軟骨のすり減りや骨の変形は一度起きると自然修復されないためです。

ただし、適切なリハビリや装具の使用によって進行を緩やかにし、見た目の悪化を抑えることは十分に可能です。早い段階で整形外科に相談し、ご自身に合った治療を始めることが大切です。

変形性膝関節症で膝に溜まった水は放置しても問題ないのでしょうか?

膝に溜まった水を長期間放置すると、関節内の圧力が上昇して軟骨や周囲の組織にダメージを与える恐れがあります。腫れが引かない場合は、医療機関で適切な処置を受けることをおすすめします。

水を抜く処置自体にリスクはほとんどなく、穿刺によって関節液の性状を調べることで炎症の程度や原因を把握できるメリットもあります。

変形性膝関節症の見た目の変化は若い世代にも起こりますか?

変形性膝関節症は高齢者に多い疾患ですが、20〜30代でも発症する場合があります。過去の靱帯損傷や半月板損傷、肥満などがきっかけで若年性の変形性膝関節症を発症し、見た目の変化が生じるケースが報告されています。

若い年齢で膝の痛みや腫れが続く場合は、放置せずに専門医の診察を受けてください。早期発見が見た目の変化を抑える大きなポイントとなります。

変形性膝関節症による膝の変形はサポーターで防げますか?

サポーターには膝関節を安定させて荷重の偏りを軽減する効果があり、痛みの緩和や歩行時の安定感向上に役立ちます。ただし、サポーターだけで骨や軟骨の変形そのものを完全に防ぐのは難しいでしょう。

サポーターは筋力トレーニングや体重管理といった他の対策と組み合わせて使うと、より高い効果を発揮します。どのタイプが適しているかは、医師や理学療法士に相談して選ぶのがよいでしょう。

変形性膝関節症の膝の腫れと骨棘による膨らみはどう見分ければよいですか?

関節水腫(水溜まり)による腫れは、膝のお皿の上あたりがぷっくりとやわらかく膨らむのが特徴です。指で押すとへこむような弾力があり、炎症が強い時期には熱感を伴う場合もあります。

一方、骨棘による膨らみは骨そのものが出っ張っているため、触ると硬くて動かせません。両者は触診だけでもおおよそ区別できますが、正確な判断にはレントゲンやMRI検査が必要です。気になる方は整形外科での検査をおすすめします。

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この記事を書いた人

臼井 大記のアバター 臼井 大記 大垣中央病院 整形外科・麻酔科 担当医師

日本整形外科学会認定専門医

2009年に帝京大学医学部医学科卒業後、厚生中央病院に勤務。東京医大病院麻酔科に入局後、カンボジアSun International Clinicに従事し、ノースウェスタン大学にて学位取得(修士)。帰国後、岐阜大学附属病院、高山赤十字病院、岐阜総合医療センター、岐阜赤十字病院で整形外科医として勤務。2023年4月より大垣中央病院に入職、整形外科・麻酔科の担当医を務める。

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