50代・60代から急増する変形性膝関節症|更年期以降の身体変化と発症の分かれ道

50代・60代から急増する変形性膝関節症|更年期以降の身体変化と発症の分かれ道

「最近、階段の上り下りで膝に違和感がある」「立ち上がる瞬間にズキッとする」。

もしあなたが今、このような悩みを抱えているなら、それは長年頑張り続けた膝からのSOSかもしれません。

50代から60代にかけて変形性膝関節症が急増する背景には、単なる加齢だけでなく、閉経に伴うホルモンバランスの激変や生活習慣の蓄積が深く関係しています。

しかし、恐れる必要はありません。正しい知識を持ち、適切な対策を講じると、私たちは生涯自分の足で歩き続ける未来を手に入れられます。

この記事では、身体の内側で起きている変化を解き明かし、今日からできる具体的な対策をお伝えします。

目次

50代を迎えた途端に膝の痛みが増えるのはなぜですか?

多くの人が50代を迎えた途端、今まで感じたことのない膝の違和感に戸惑いを覚えます。これは偶然ではありません。

半世紀近くにわたり体重を支え続けてきた膝関節には、私たちが想像する以上の負荷が蓄積されているからです。

年齢という数字以上に、長年の使用による物理的な摩耗と、組織の回復力の低下という観点から、なぜこの時期に痛みが顕在化するのかを紐解いていきましょう。

半世紀使い続けた「軟骨」はどのようにすり減っていくのか

膝関節の軟骨は、車のタイヤのように使えば使うほど摩耗していく運命にあります。20代や30代の頃は、軟骨細胞の新陳代謝が活発であるため、多少の摩耗があっても寝ている間に修復が進みます。

しかし、50代に入るとこの修復スピードが摩耗のスピードに追いつかなくなり、徐々に厚みを失っていきます。

特に、軟骨には血管が通っていないため、栄養の供給が関節液頼みとなっている点が重要です。

加齢により関節液の質が低下すると、軟骨は栄養不足に陥り、スポンジのような弾力性を失ってしまいます。

弾力を失った軟骨は衝撃を吸収しきれなくなり、その結果、骨同士が直接ぶつかり合うリスクが高まるのです。

痛みの原因は骨ではなく「滑膜」の炎症にあるって本当ですか?

「骨が痛い」と感じる人が多いですが、実は軟骨自体には神経が通っていないため、軟骨がすり減ること自体には痛みを感じません。

痛みの主な原因は、すり減った軟骨の破片が関節包の内側にある「滑膜(かつまく)」を刺激するために起きる炎症です。

50代以降で急に膝が腫れたり、熱を持ったりするのは、この滑膜が炎症を起こし、関節液を過剰に分泌してしまうためです。

いわゆる「膝に水がたまる」状態ですが、この炎症反応こそが、私たちが感じる強烈な痛みの正体と言えます。

身体が「これ以上動かすと危険だ」と警鐘を鳴らし、安静を求めているサインだと捉えることが大切です。

男性よりも女性の発症率が高い生物学的な理由

統計的に見ても、変形性膝関節症は圧倒的に女性に多く見られますが、これには骨盤の形状が大きく関係しています。

女性は出産に適した広い骨盤を持っているため、股関節から膝に向かう大腿骨の角度がきつくなりやすい傾向にあります。

この角度がつくと、膝の内側に偏った負荷がかかりやすくなり、O脚変形を助長してしまうのです。

O脚気味の人が多いのもこのためであり、物理的な構造上の不利を抱えていることを理解する必要があります。

加えて、女性は男性に比べて元々の筋肉量が少ないため、関節を支える力が弱く、膝への直接的な負担が増大してしまいます。

更年期のホルモン変化は膝軟骨にどのような影響を与えますか?

女性の体は閉経前後で劇的な変化を迎えますが、これが膝の健康と密接に関わっている事実はあまり知られていません。

特に「エストロゲン」という女性ホルモンは、単に生殖機能に関わるだけでなく、骨や軟骨の健康維持に強力な保護作用を持っています。

この保護膜が失われることが、50代・60代での発症急増の大きな引き金となっているのです。

軟骨の守護神「エストロゲン」減少が招く負の連鎖

エストロゲンには、コラーゲンの生成を助けたり、軟骨細胞の破壊を抑制したりする働きがあります。

また、抗炎症作用も持っているため、関節内で起きる微細な炎症を抑え込む役割も担っています。

しかし、閉経を迎えるとエストロゲンの分泌量は急激にゼロに近づき、体内の環境が一変します。

これまでエストロゲンによって守られていた軟骨は、無防備な状態で日常の負荷にさらされることになります。

さらに、エストロゲンの減少は痛みに対する感受性を高めることもわかっており、脳が痛みを強く感じやすくなります。

今まで気にならなかった程度の刺激でも強い痛みとして感じるようになるのは、このホルモンバランスの影響が大きいのです。

手指の変形と膝の痛みは連動して起こるのですか?

更年期には、膝だけでなく指の第一関節が腫れる「ヘバーデン結節」などを発症する人も多くいます。

実は、これもエストロゲンの減少が関与していると考えられており、全身の関節で同様の老化現象が起きています。

全身の関節にあるエストロゲン受容体がホルモンを受け取れなくなるため、関節全体の滑らかさが失われていくのです。

「最近、指の節々が痛いな」と感じたら、それは膝関節でも同様の変化が起き始めている危険なサインかもしれません。

局所的な痛みとして捉えるのではなく、全身のホルモン環境が変化しているという視点でケアを考える必要があります。

膝の負担と性別による違いまとめ

比較項目男性の特徴女性の特徴
骨盤の形状狭く縦長で、大腿骨の角度が緩やか広く横長で、大腿骨の角度がきつい
筋肉量(下半身)比較的多く、関節を支える力が強い比較的少なく、関節への負担が大きい
膝への荷重傾向均等にかかりやすい膝の内側に集中しやすい(O脚傾向)
発症リスク外傷や重労働によるものが多い骨格やホルモン変化によるものが多い

骨密度の低下と軟骨のすり減りはセットで進行する

エストロゲンの減少は、骨粗鬆症のリスクを高めることで有名ですが、これは膝関節にとっても重大な問題です。

膝を支える土台である骨がもろくなると、軟骨にかかる圧力を均等に分散できなくなります。

土台が不安定になると、その上に乗っている軟骨(クッション)は偏った力で押しつぶされることになります。

骨密度の低下は、骨折のリスクだけでなく、変形性膝関節症の進行を加速させる要因にもなるのです。

体重が数キロ増えただけで膝への負担が倍増するのは本当ですか?

「若い頃より少し太ったけれど、数キロ程度なら大丈夫だろう」という油断が、膝にとっては致命的なダメージとなります。

膝は体重を支えるための精密機械のような構造をしており、そこにかかる負荷は単純な足し算ではありません。

物理的な法則により、わずかな体重増加が膝関節を破壊するほどの衝撃に変わることを知っておく必要があります。

歩くときと階段では膝への衝撃が全く違う

平地を普通に歩くだけでも、膝には体重の約2倍から3倍の負荷がかかると言われています。例えば、体重が50kgの人なら100kgから150kgの力が一歩ごとに膝にかかり続けている計算になります。

さらに恐ろしいのが階段の上り下りであり、この動作では体重の約4倍から7倍もの負荷がかかります。

もし体重が3kg増えたとしたら、階段を降りる際に膝にはその7倍、つまり約21kg分もの余計な負担が毎回かかります。

この繰り返しが、どれほど膝を痛めつけ、軟骨の寿命を削っているかは想像に難くありません。

肥満が引き起こす「炎症物質」という隠れたリスク

体重による物理的な圧迫だけが問題ではありません。実は、内臓脂肪そのものが悪影響を及ぼしています。

脂肪細胞からは、アディポサイトカインという物質が分泌されますが、肥満状態になると炎症を引き起こす物質が多く放出されます。

つまり、太っているという状態は、常に体内で微弱な炎症が起きている状態とも言えるのです。

この炎症物質が血流に乗って膝関節に到達すると、軟骨の破壊を促進したり、痛みを増幅させたりします。

減量は、物理的な負担を減らすだけでなく、体内環境を鎮静化させるためにも必要な対策なのです。

あと3キロ減らすだけで膝の寿命は劇的に延びる

逆に考えれば、わずか数キロの減量が大きな治療効果を生むということです。5kgの減量は、階段昇降時の膝への負担を約20kg〜30kgも軽減することに相当し、関節へのダメージを劇的に減らせます。

これはどんな高価なサポーターや薬よりも、直接的かつ強力に膝を守る手段となり得ます。

無理にモデルのような体型を目指す必要はありません。現在の体重から「まず3kg」減らすことを目標にしましょう。

膝にとっての3kgは、米俵一俵分もの重荷を下ろすのと同義であり、将来の手術リスクを大幅に下げられます。

ただの運動不足ではない?筋肉が減るサルコペニアの恐怖とは

「最近足が細くなってきた」と喜んではいけません。50代以降、特に運動習慣のない人が急に脚が細くなるのは危険なサインです。

それは筋肉量が病的に減少する「サルコペニア」の兆候かもしれず、膝を守る力が失われていることを意味します。

膝関節は筋肉によって支えられ、守られています。ガードマンである筋肉がいなくなることは、膝関節にとって致命的です。

天然のコルセット「大腿四頭筋」の重要な役割

膝の健康において最も重要な筋肉が、太ももの前にある「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」です。

この筋肉は、膝蓋骨(お皿)を引き上げ、膝関節がグラグラしないように安定させる役割を持っています。

また、着地の瞬間にバネのように働き、衝撃を吸収する天然のサスペンションでもあります。

大腿四頭筋が衰えると、着地の衝撃が筋肉で吸収されず、ダイレクトに骨と軟骨に伝わってしまいます。

また、膝関節が不安定になり、歩くたびに横ブレを起こすようになり、この「ブレ」が軟骨を削るやすりのような働きをします。

「つまずきやすくなった」は筋肉からのSOS

筋肉量の減少は、本人が気づかないうちに進行しますが、初期のサインを見逃さないことが大切です。

最もわかりやすいのが「わずかな段差でつまずく」「片足立ちで靴下が履けない」といった日常動作の変化です。

これは足を上げるための筋肉や、バランスを保つための深層筋肉が弱っている証拠と言えます。

つまずきは転倒骨折のリスクを高めるだけでなく、膝への不自然な力のかかり方を誘発してしまいます。

足が上がらないとすり足で歩くようになり、これが膝関節の可動域を狭め、さらなる拘縮(こうしゅく)を招く悪循環に陥ります。

体重増加と膝への負荷倍率まとめ

動作シーン膝にかかる負荷(体重比)体重+3kg増えた場合の実質負担増
平地歩行約3倍約9kg の負担増
階段の上り約4倍約12kg の負担増
階段の下り約6〜7倍約20kg の負担増
正座からの立ち上がり約7倍以上約21kg以上の負担増

ウォーキングだけでは筋力維持に不十分な理由

「毎日歩いているから大丈夫」と思っている方も多いですが、実は漫然としたウォーキングだけでは不十分な場合があります。

減少していく筋肉量を維持・向上させるには、ある程度の負荷が必要だからです。特に既に膝が痛い場合、痛みをかばって歩くため、かえって筋バランスを崩すケースもあります。

筋肉を維持するためには、筋肉に適度な負荷をかける「レジスタンス運動」を取り入れる必要があります。

スクワットや椅子に座っての脚上げなど、筋肉に「少しきつい」と感じさせる刺激を与えて初めて、減少にブレーキをかけられます。

日常生活の何気ないクセが変形性膝関節症を進行させていませんか

特別な事故や怪我をしたわけでもないのに膝が悪くなる原因の多くは、日々の生活の中に潜んでいます。

朝起きてから寝るまでの間、私たちは無意識のうちに膝にとって過酷な環境を作り出しているかもしれません。見直すべき生活習慣のポイントを洗い出し、膝に優しい環境を整えていきましょう。

正座や横座りは膝関節のねじれを加速させる

日本の生活様式において、床に座る文化は膝にとって大きな負担となることが知られています。

特に「正座」は膝を深く曲げるため関節内圧を高め、「横座り(お姉さん座り)」は膝関節に強烈なねじれの力を加えます。

変形性膝関節症が進行している人の多くは、O脚変形を伴っていますが、座り方がそれを悪化させているのです。

横座りやあぐらは、O脚や骨盤の歪みを助長し、膝の内側への偏った荷重を固定化させてしまいます。

可能な限り、椅子とテーブルの生活(洋式生活)に切り替えることが、膝を守るための第一歩となります。

靴選びの間違いが膝への衝撃を倍増させている

おしゃれのために無理をして履いている靴や、楽だからといって履いているすり減ったスニーカーが、膝の寿命を縮めています。

ヒールの高い靴は重心を不安定にし、膝周りの筋肉を過緊張させ、疲労を蓄積させます。

また、靴底の外側ばかりがすり減っている靴を履き続けると、着地のたびに膝が外側に傾いてしまいます。

これはO脚変形を進行させる力(ラテラルスラスト)として働き、一歩ごとに軟骨を削っていきます。

クッション性が高く、かかとをしっかりホールドし、足のアーチを支えてくれる靴を選ぶことは、高価な医療機器と同等の価値があります。

冷えは痛みの大敵!血流不足が招く悪循環

「冷えると古傷が痛む」というのは迷信ではありません。膝関節は皮膚が薄く、外気の影響をダイレクトに受ける部位です。

冷えると血管が収縮し、血流が悪くなります。すると、発痛物質が患部に滞留しやすくなり、痛みを強く感じるようになります。

さらに、冷えによって筋肉がこわばると、関節の柔軟性が失われ、動かす際の摩擦抵抗が大きくなります。

夏場の冷房や冬の寒さから膝を守るために、サポーターやひざ掛けを活用し、常に膝を「保温」することを心がけましょう。

痛み止めで我慢するか根本から見直すかが将来を左右します

痛みを感じたとき、多くの人がまず手にするのが湿布や痛み止めの薬です。

もちろん、辛い痛みを取り除く取り組みは生活の質を保つために大切ですが、それだけで安心するのは危険です。

薬で痛みを感じなくさせて無理に動くことは、ブレーキの壊れた車で走り続けるようなものだからです。

「痛みが引いた=治った」という大きな誤解

痛み止めやヒアルロン酸注射は、あくまで対症療法であり、すり減った軟骨を元に戻すものではありません。

痛みが消えると「治った」と勘違いし、以前と同じような負担のかかる生活に戻ってしまう人が後を絶ちません。

しかし、その間も膝の摩耗は静かに進行しており、次に痛みが出た時には手遅れになっている場合もあります。

痛みが引いている時期こそ、「なぜ痛くなったのか」を振り返り、根本治療に取り組む絶好のチャンスです。

体重コントロールや筋力トレーニングなど、痛みのない時間を次の痛みを防ぐための準備期間と捉える意識改革が必要です。

  • 太ももが急に細くなったと感じたら、脂肪減少ではなく筋肉減少を疑うべき
  • 大腿四頭筋の弱化は、膝関節の「横ブレ」を招き軟骨摩耗を加速させる
  • 片足立ちが10秒できない場合は、膝を守る筋力が危険水域にある可能性が高い
  • 有酸素運動だけでなく、筋力トレーニングを取り入れなければ筋肉は減り続ける

早期受診が手術を回避する唯一の手段

変形性膝関節症は進行性の疾患ですが、早期発見ができれば未来は大きく変わります。

初期段階であれば、運動療法や生活改善で進行を食い止め、手術なしで一生を過ごすことも十分に可能です。

しかし、軟骨が完全に消失し、骨が変形してしまった末期段階では、人工関節置換術などの手術しか選択肢が残されません。

「これくらいならまだ大丈夫」という自己判断は捨て、専門家の診断を仰ぐことが大切です。

レントゲンで客観的に自分の膝の状態を知り、医師や理学療法士というパートナーを見つけることが、将来の自由を確保します。

今日から自宅で始められる膝を守るための具体的な生活習慣とは

膝を守るために、高価な器具やジム通いは必ずしも必要ありません。大切なのは、日々の小さな積み重ねです。

無理なく続けられることから始め、膝に優しい生活を習慣化していきましょう。

膝への負担を減らす「パテラセッティング」のやり方

運動が苦手な人や、膝に痛みがある人でも安全に行えるのが「パテラセッティング(大腿四頭筋訓練)」です。

方法は非常にシンプルで、長座(足を伸ばして座る)の姿勢になり、膝の下に丸めたタオルを入れます。

そのタオルを膝の裏でギュッと床に押し付けるように力を入れ、5秒間キープするだけです。

これを左右20回ずつ行うと、関節に大きな負担をかけずに大腿四頭筋をピンポイントで鍛えられます。テレビを見ながらでもできるので、毎日の日課にすると良いでしょう。

食事からアプローチする軟骨と筋肉の栄養学

体は食べたもので作られます。筋肉の材料となる「タンパク質」を毎食片手の手のひら分程度摂取するように意識してください。

肉、魚、卵、大豆製品をバランスよく摂ると、筋肉の減少を食い止められます。

また、骨を強くするためのカルシウムやビタミンD、抗酸化作用のあるビタミンCやEも重要です。ビタミンDは日光を浴びることで体内で生成されるため、適度な外気浴も膝の健康に貢献します。

サプリメントに頼りすぎず、まずは普段の食事を見直すことから始めましょう。

膝に優しい生活 vs 膝を痛める生活まとめ

カテゴリ膝を痛めるNG習慣膝を守るOK習慣
座り方正座、横座り、あぐら、低い椅子椅子に深く座る、高めの座椅子
靴選びハイヒール、底が薄い靴、底が減った靴紐で調整できるスニーカー、中敷きのある靴
階段・坂道重い荷物を持って一気に上り下りするエスカレーターを利用、手すりを使う
温度管理素足で冷房にあたる、薄着で過ごすサポーター着用、入浴で温める

入浴習慣が膝のメンテナンスになる

シャワーだけで済ませず、湯船に浸かることは立派な膝治療です。温めると血流が改善し、筋肉の緊張がほぐれ、痛みの物質が流れやすくなります。

また、浮力によって膝にかかる重力から解放されるため、お風呂の中での軽い曲げ伸ばし運動は非常に効果的です。

38度から40度くらいのぬるめのお湯にゆっくり浸かり、1日の膝の疲れをリセットする時間を持ちましょう。

よくある質問

変形性膝関節症にグルコサミンやコンドロイチンなどのサプリメントは本当に効果がありますか?

サプリメントの効果については個人差があり、医学的なエビデンス(科学的根拠)としては「効果が決定的である」とは言い切れないのが現状です。

飲んで調子が良いと感じる場合は続けても問題ありませんが、サプリメントはあくまで食品であり、すり減った軟骨を再生させる薬ではありません。

サプリメントだけに頼るのではなく、適切な運動や体重管理といった基本治療と併用することが大切です。

変形性膝関節症と診断されましたが、痛くても無理してウォーキングをしたほうが良いですか?

強い痛みがある時に無理に歩くのは逆効果です。炎症が悪化し、かばって歩くことで腰など他の部位を痛める原因にもなります。

痛みが強い時期は水中ウォーキングなど負荷の少ない運動を選び、痛みが落ち着いてから平地でのウォーキングを再開してください。

歩行中に痛みが増す場合はすぐに中止し、医師や理学療法士に相談して運動メニューを調整しましょう。

変形性膝関節症は最終的に必ず手術をしなければならないのでしょうか?

すべての人が手術になるわけではありません。多くの患者さんは「保存療法」で痛みをコントロールしながら生活できています。

薬物療法、運動療法、装具療法(サポーターやインソール)、生活習慣の改善などがこれにあたります。

手術が検討されるのは、保存療法を十分に行っても痛みが取れず、日常生活に大きな支障が出ている場合です。

変形性膝関節症の痛みを和らげるには、冷やしたほうが良いですか?温めたほうが良いですか?

基本的には「温める」ことが有効です。温めると血流が良くなり、筋肉のこわばりや痛みが和らぎます。

ただし、急に激痛が出た場合や、膝が赤く腫れて熱を持っている(急性炎症)時期だけは、一時的に「冷やす」ことが推奨されます。

慢性的な痛みや重だるさの場合は、入浴やホットパックで温めるようにしてください。

変形性膝関節症の予防として、スクワットは効果的ですか?

スクワットは大腿四頭筋を鍛えるのに非常に有効ですが、やり方を間違えると膝を痛める原因になります。

深くしゃがみ込みすぎたり、膝がつま先より前に出すぎたりすると関節に過度な負担がかかります。

初心者は椅子から立ち上がって座る動作を繰り返す「椅子スクワット」や、壁に背中をつけて行う空気椅子などが安全でおすすめです。

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この記事を書いた人

臼井 大記のアバター 臼井 大記 大垣中央病院 整形外科・麻酔科 担当医師

日本整形外科学会認定専門医

2009年に帝京大学医学部医学科卒業後、厚生中央病院に勤務。東京医大病院麻酔科に入局後、カンボジアSun International Clinicに従事し、ノースウェスタン大学にて学位取得(修士)。帰国後、岐阜大学附属病院、高山赤十字病院、岐阜総合医療センター、岐阜赤十字病院で整形外科医として勤務。2023年4月より大垣中央病院に入職、整形外科・麻酔科の担当医を務める。

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