慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病(CKD)とは、腎臓の機能が長期にわたって低下し続けることで、体内の老廃物や水分のバランスを保ちにくくなる疾患です。

腎機能を評価する指標である糸球体ろ過量(GFR)が一定以下になった状態が3カ月以上続く場合に診断されます。

初期には強い自覚症状が出にくいため見過ごされがちですが、徐々に血圧や電解質の調整能力が損なわれ、心血管系のリスクが上昇することも知られています。

進行すると透析が必要になる段階へと移行する恐れがあるため、定期的な検査や早期治療を意識することが大切です。

目次

慢性腎臓病(CKD)の病型

慢性腎臓病(CKD)には多様な病型があり、腎臓の障害を引起こす要因や進行度合いによって分類が行われます。

GFR(糸球体ろ過量)とCKDのステージ

CKDは、GFRの数値を中心にしてステージ分類を行う方法がよく採用されていて、GFRは腎臓が1分間にどの程度の血液をろ過できるかを示すものであり、値が低下すると腎機能が衰えていると判断します。

GFRが90以上あっても何らかの腎障害の指標があればCKDとみなす場合があり、そこから徐々にGFRが下がるにつれてステージが進行すると考えられています。

GFRの低下が著しくなると、体内に老廃物が蓄積しやすくなり、血液の酸性化や電解質バランスの乱れを起こす可能性が高いです。

病型ごとの特徴

CKDは原因や症状の現れ方によっていくつかの病型に分類されますが、しばしば糖尿病性腎症や高血圧性腎硬化症、慢性糸球体腎炎などが大きな割合を占めます。

糖尿病性腎症では高血糖による糸球体の障害が目立ち、高血圧性腎硬化症では長年の高血圧負担で腎血管にダメージが蓄積し、初期段階で対応を行わないと、一気に腎不全へ進む恐れがあるため注意が必要です。

病期進行のメカニズム

CKDでは、徐々に腎機能が失われていく過程が段階的に進みます。たとえばGFRが最初は軽度に下がっていても、慢性の炎症や血管障害が続いている場合、腎臓の組織は自らを修復しきれずに繊維化が起こりやすくなります。

繊維化が進行すると実際にろ過を行う糸球体や尿細管の機能が著しく低下し、さらに腎臓全体としての働きが落ち込むという悪循環に陥ります。

腎臓の組織変性が高まると、将来的に透析が必要になる危険性が高くなるため、病期が進行する前段階での早期治療が重要です。

病型の把握と治療方針

腎機能障害があるとわかった際に、どのような病型に属しているかを医師が判断することで、血糖や血圧の管理目標値が決まったり、投与する薬剤の種類や量が検討されたりします。

CKDの主な病型と特徴

病型名主な原因や特徴進行時のリスク
糖尿病性腎症高血糖が糸球体を傷つけ蛋白尿を引き起こす腎不全へのスピードが速い可能性
高血圧性腎硬化症持続的な高血圧により腎血管が損傷・硬化する心血管合併症が併発しやすい
慢性糸球体腎炎自己免疫反応などで糸球体に炎症が続く尿タンパクが長期にわたり検出
多発性嚢胞腎遺伝性要因で腎臓内に嚢胞が多数形成される腎機能の段階的な喪失
その他の原因(薬剤等)長期の薬物使用や先天的要因などが影響することがある個人差が大きく対応が多岐にわたる

症状

慢性腎臓病は、初期からはっきりとわかる症状が出ないことが多いために、無症状のまま進行してしまうケースがよく見られます。

初期段階での特徴

初期のCKDでは、日常生活にほとんど支障を来さない場合が多いですが、頻尿や夜間頻尿が気になるようになったり、体のだるさを感じやすくなったりすることがあります。

ストレスや疲労、年齢による衰えと勘違いされることもあるため、早めに医療機関で検査を受けましょう。

進行期の主な症状

ある程度CKDが進行すると、貧血による倦怠感や動悸、むくみなどの症状が現れやすくなり、また高血圧や尿量の減少、たんぱく尿の増加、血中の老廃物量の増加なども特徴として表面化してきます。

むくみは腎臓が体内の水分量を調整できなくなるために起こり、朝起きた時にまぶたや顔が腫れぼったく感じることがあります。

さらに、体内の老廃物を十分に排出できない状態が長く続くと、食欲不振や吐き気、皮膚のかゆみなども生じることもよく見られる症状です。

合併症による症状の多様化

CKDが進行すると、心不全や脳卒中などの心血管イベントが起きやすくなり、高血圧性腎硬化症や糖尿病性腎症を背景に持つ患者さんでは、心臓や血管の疾患を合併しやすい傾向があります。

合併症が出現すると、動悸や息切れ、胸の痛みなどの症状が増え、腎臓だけでなく全身状態が大きく損なわれる可能が高いです。

CKDの進行に伴い生じやすい症状と合併症

進行度主な症状と変化合併症の例
早期軽度の疲労感、夜間頻尿、少量のタンパク尿など自覚症状が乏しく見落とされがち
中期むくみ、貧血、尿量の減少、血圧上昇など高血圧に伴う心臓病リスクが増える
末期強い倦怠感、食欲不振、皮膚のかゆみ、吐き気など心不全、動脈硬化、脳血管障害など

末期に近づくほど合併症が深刻化し、治療選択肢として透析や腎移植などを検討する段階になるケースもあります。

日常生活で感じる小さな変化

体調や生活のリズムを振り返ると、夜間にトイレへ行く回数が増えたり、塩分の摂取が増えるとむくみをすぐに感じたりという変化が積み重なることがあります。

小さな変化を無視するとCKDの発見が遅れやすくなるため、下記のような項目を自分でチェックする意識が大切です。

・朝起きたときに顔やまぶたがはれぼったい
・以前よりも疲れが取れにくくなった
・体重の増減に気付きにくくなった(隠れむくみ)
・血圧測定で正常値より高めの数値が続く

兆候がある場合は腎機能の検査を検討すると、早期発見につながります。

慢性腎臓病(CKD)の原因

CKDにはさまざまな原因が存在し、ライフスタイルや基礎疾患の有無などが絡み合うことが少なくありません。腎臓は全身の血流やホルモンバランスにも大きく影響されるため、原因を突き止めるには包括的な視点が必要です。

糖尿病と高血圧の影響

CKDを引き起こす大きな要因として、糖尿病と高血圧がしばしば挙げられ、糖尿病では血糖値が慢性的に高い状態が続くため、細小血管が障害を受けやすく、腎臓の糸球体にもダメージが蓄積しやすいです。

高血圧では血管に常に高い圧力がかかることで、腎臓の細い血管壁が硬化し、十分なろ過機能が発揮できなくなることがあります。いずれも血管障害を背景とした腎機能低下が進むため、生活習慣の改善や降圧薬の適切な使用が重要です。

糸球体腎炎や膠原病

自己免疫反応や感染症などをきっかけとして糸球体腎炎が進行すると、慢性化してCKDへ移行することがあります。

急性糸球体腎炎がなかなか改善しない場合や、膠原病(自己免疫疾患)の合併症として腎炎が長期化している場合は、腎臓の組織が持続的に炎症ダメージを受けていることになります。

薬物性・中毒性による原因

鎮痛薬や抗がん剤など、一部の薬剤に腎臓へ負担をかける成分が含まれており、長期間の使用や過剰摂取によって慢性腎障害を引き起こす場合があります。

既に腎機能に問題がある人がこうした薬を使う際には、用量や投薬期間を慎重に検討することが必要です。また有害金属や農薬、溶剤などに長く曝露される職業環境にいる場合も、定期的な腎機能のチェックが欠かせないと考えられています。

CKDを起こしやすい要因

原因の分類具体的な例注意すべき点
生活習慣病糖尿病、高血圧など食事療法と薬物治療の併用
免疫関連慢性糸球体腎炎、膠原病などステロイドや免疫抑制薬の使用
薬物性・中毒性長期間の鎮痛薬使用、有害化学物質への慢性曝露など腎機能検査と定期的な投薬管理
遺伝性多発性嚢胞腎など家族歴がある場合は早期検診
不明原因原因がはっきり特定されない慢性腎障害総合的な検査で確認が必要

慢性腎臓病(CKD)の検査・チェック方法

CKDを早期に発見するには、腎機能を評価するための定期的な検査が欠かせません。血液や尿などの基本的な検査に加えて、画像検査や特殊検査を組み合わせることで、より正確に腎臓の状態を把握できます。

血液検査でわかる指標

血液検査ではクレアチニンや尿素窒素(BUN)など、腎機能を示す代表的な数値を測定します。

クレアチニンは筋肉由来の老廃物で、腎機能が低下すると血液中に蓄積しやすくなり、さらに、推算GFR(eGFR)を計算することで腎臓のろ過能力をおおまかに把握できます。

血液検査では他にもヘモグロビン値や電解質(ナトリウム、カリウムなど)を確認して、合併症リスクの評価を行うことが一般的です。

eGFRが60を切ると注意が必要だと認識されるケースが多く、経過観察の頻度を上げたり、薬物療法の開始を検討する段階とされます。

尿検査のポイント

CKDの診断や進行度合いを確認するうえで、尿検査も欠かせない検査手段となります。尿中アルブミンやタンパク質の量(尿蛋白)、潜血の有無、尿沈渣での細胞や円柱などを総合的に判断することで、腎臓の損傷状況を推測できるためです。

アルブミン尿が持続的に検出される場合は、糖尿病性腎症をはじめとする糸球体障害を強く疑います。

少量の蛋白尿や軽い血尿は自覚症状と結びつかないことが多いですが、腎臓の微細なダメージを示すサインであることがあるため、尿検査の定期的な実施によって早期にCKDを発見する可能性が高いです。

画像診断や特殊検査

エコー(超音波)検査は腎臓の形態や大きさ、嚢胞の有無などを手軽に調べる方法として活用され、さらに、CTやMRIなどの画像検査で血管や腎臓周辺組織との関係を詳細に観察し、腫瘤や結石、血行動態の異常などを把握することもあります。

また必要に応じて腎生検が行われるケースもあり、糸球体や尿細管の病変を直接顕微鏡で確認できるため、正確な診断に欠かせない手段です。

CKDの診断でよく行われる検査と目的

検査名主な目的特徴
血液検査クレアチニン、尿素窒素、eGFRなどの測定腎機能の総合的評価に役立つ
尿検査尿蛋白、尿アルブミン、尿沈渣の確認糸球体ダメージの把握がしやすい
超音波検査腎臓の大きさ、形状、嚢胞などの観察非侵襲的で患者の負担が少ない
CT・MRI検査腎臓と周囲組織、血管などの詳しい構造把握がんや結石、血管異常を検出できる
腎生検糸球体の組織学的評価正確な診断が可能だが侵襲度が高い

簡易チェックと注意事項

CKDの疑いがある人やリスクが高いとされる人は、簡易的な尿チェックや血圧測定などを定期的に行うと、体調の変化に敏感になれます。タンパク尿が少しでも検出された場合や、血圧が高い状態が続く場合は早めに受診してください。

また、健康診断でクレアチニン値がわずかに上昇傾向にあるとわかった場合も、CKDの早期段階に入っている可能性を検討し、再検査を行うなどして経過を把握することが大切です。

・血圧測定の結果が常に高めに出ている
・健康診断でクレアチニンや尿蛋白の軽度異常を指摘された
・夜間頻尿やむくみが気になり始めた

治療方法と治療薬について

CKDの治療は、原因疾患のコントロールや腎機能の保護を軸に進められます。血圧や血糖の管理、食事療法などの生活習慣の見直しが基本となり、必要に応じて降圧薬や利尿薬などが使用されることが多いです。

血圧管理の重要性

CKDの治療では血圧を適切なレベルに抑えることが不可欠です。高血圧の状態が続くと腎臓の血管が損傷を受け、糸球体がさらに傷つきやすくなるため、降圧薬を用いて血圧をコントロールする場合が多くみられます。

なかでもアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)は、腎保護効果が期待される薬としてよく使用されます。

医師は個々の患者の血圧目標を設定し、降圧薬の種類や投与量を調整し、過度な降圧によって腎血流が低下しすぎないように配慮しながら、心臓や血管のリスクを低減させることが大切です。

蛋白尿の量が多い患者では、ACE阻害薬やARBの使用が病状の安定化に有用な場合があります。

血糖コントロールと脂質管理

糖尿病性腎症の場合は血糖コントロールが治療のカギとなります。食事療法や経口血糖降下薬、インスリン注射などを組み合わせ、HbA1cを安定した範囲に保つことによって、腎臓への負荷を軽減できます。

また、高脂血症がある場合にはスタチン系薬剤などを用いてLDLコレステロールの数値を抑え、動脈硬化の進行を緩やかにすることが考えられます。

CKD治療で用いられる主な薬剤

薬剤の種類主な役割使用時の注意点
ACE阻害薬血圧低下と腎保護効果腎機能とカリウム値を定期的に観察
ARB血圧コントロール、蛋白尿減少低血圧や高カリウム血症に注意
利尿薬(ループ系等)余分な水分・塩分の排出促進脱水や電解質異常を起こさないよう管理
経口血糖降下薬血糖値を適切な範囲に保つ腎機能低下時の使用量や種類の調整が必要
スタチン系薬剤LDLコレステロール低下による動脈硬化予防筋肉痛や肝機能への影響をモニタリング

食事療法と塩分・タンパク質制限

薬物療法に加え、食事の管理もCKD治療の中核です。

塩分やタンパク質を過剰に摂取すると腎臓に負担をかけやすくなるため、ナトリウムの摂取量を1日6g未満に抑えることや、体重や腎機能に応じてタンパク質の摂取量を制限する指導が行われます。

カリウムやリンのコントロールも大切になり、果物や乳製品、加工食品などの摂取量を注意深く管理することで腎機能の悪化を抑えようとするアプローチが一般的です。

・塩分量をできるだけ控えて薄味の料理を心がける
・野菜や果物のカリウム含有量を意識しながら摂取バランスを調整する
・タンパク質は肉類ばかりでなく大豆製品なども活用して選択肢を広げる
・水分摂取量の管理はむくみや血圧の状況を見ながら医師が助言する

透析や腎移植などの選択肢

病期が進んで末期腎不全に至った場合は、人工透析や腎移植などの選択肢を検討する段階です。透析には血液透析と腹膜透析の2種類があり、患者の生活スタイルや基礎疾患の状態に応じて適切な方法を選択します。

腎移植は提供者のドナーや手術の適応条件が整えば、より生活の質が改善できる可能性がありますが、術後の免疫抑制療法など長期的な管理も必要になります。

慢性腎臓病(CKD)の治療期間

CKDは進行性の病気であり、急激に治るものではないため、治療期間は長期にわたることが一般的で、腎機能を少しでも維持し、さらに悪化させないようにするために継続的な管理が重要です。

症状と病期に応じた期間の目安

初期や中等度のCKDでは、生活習慣の改善や降圧薬の使用などを数カ月から1年以上継続し、経過観察しながら治療計画を微調整するケースが多いです。

GFR値が安定している期間が長く続く場合は、薬剤の調整頻度が減ることもありますが、一度でも大きく悪化すると、そこから回復させるのは容易ではありません。

末期腎不全へ移行すると、その後は透析が日常的な治療となるため、さらに長期的な管理が必須です。

継続的なフォローアップの大切さ

CKDが慢性的に進行する病気である以上、定期的な受診と検査を実施して、腎機能の推移を見守ることが欠かせません。

血液検査や尿検査、血圧測定などから腎機能と合併症のリスクを総合的に判断し、治療薬や食事制限の程度を柔軟に変更していきます。

フォローアップ項目頻度の目安主な目的
血液検査(クレアチニン等)1~3カ月ごと腎機能の変化を早期に把握する
尿検査(尿蛋白・尿沈渣)1~3カ月ごと糸球体障害や炎症を確認する
血圧測定毎日~数日に1回自宅測定降圧薬の効果と血圧管理状態を知る
栄養指導必要に応じて随時受診食事療法の継続と見直し
画像検査(エコー等)半年~1年おき腎形態の変化や結石の有無など

ライフステージに応じた治療期間

若年層でCKDが見つかった場合、進行スピードが早くなくても長い人生の中で腎機能の低下リスクが蓄積します。

高齢者で発見された場合は、他の慢性疾患を合併している可能性が高いため、全身状態を考慮したうえでより短いスパンで治療方針を変更する場合があります。

いずれにしても、治療期間が長期に及ぶことを前提とし、自分の体調や生活リズムに合った形で医療チームと連携することが大切です。

透析導入とその後の生活

末期腎不全となり透析導入が必要になった場合は、通常週に複数回の血液透析、もしくは自宅での腹膜透析を行う生活が始まります。

透析を始めた後も、残存している腎機能を守りながら合併症を予防するために定期的な管理が続くため、治療期間は事実上生涯にわたる可能性があります。腎移植を選択できた場合も、術後の免疫抑制療法などで継続した管理が必要です。

慢性腎臓病(CKD)薬の副作用や治療のデメリットについて

CKD治療で用いられる薬には、血圧や血糖を安定させる効果が期待される一方で、体質や病状によっては副作用が生じることがあります。

降圧薬の副作用

ACE阻害薬やARBを使用すると、高カリウム血症や腎機能悪化のリスクがわずかに高まる場合があります。

腎保護効果もある薬として重宝されますが、処方時には血清クレアチニンやカリウム値を定期的にチェックしながら使用量を調整し、問題が出ないかを観察します。利尿薬を使用する際にも電解質異常や脱水を起こさないように注意が必要です。

血糖降下薬の低血糖リスク

糖尿病が原因となっているCKDの患者は、経口血糖降下薬やインスリン製剤を使うことが多いですが、腎機能が低下すると薬の代謝や排泄が遅れやすくなります。

薬の効果が過剰に続いて低血糖が起こりやすくなる場合があるため、医師は血糖値のモニタリングを頻繁に行い、投薬量をこまめに調整します。

重症の低血糖は意識障害を招くリスクがあるため、患者自身も日々の血糖測定や食事管理をきちんと行う意識が大切です。

食事制限によるストレス

CKD治療では塩分やタンパク質、カリウム、リンなどさまざまな成分の摂取制限を行うケースがあり、外食や市販の加工食品が利用しにくくなることもあり、日常生活の自由度が下がったと感じる方もいます。

味の制限や献立の組み立てが難しいと感じると、食事そのものへの意欲が低下しがちです。

・調味料や食材の選び方にこだわり、塩分を控えながら美味しく調理する
・外食時にはなるべく低塩分メニューを選ぶ
・カリウムやリンの含有量をざっと把握し、過剰摂取しないよう注意する

いろいろな努力を長期間継続する必要があるため、サポートしてくれる家族や専門職との連携が大きな助けになるでしょう。

慢性腎臓病(CKD)の保険適用と治療費

お読みください

以下に記載している治療費(医療費)は目安であり、実際の費用は症状や治療内容、保険適用否により大幅に上回ることがございます。当院では料金に関する以下説明の不備や相違について、一切の責任を負いかねますので、予めご了承ください。

検査費用の目安

血液検査や尿検査は保険適用になることが多く、数百円~数千円程度の自己負担になるケースが一般的で、エコー(超音波)検査も保険の範囲内で行われる場合、数千円程度の負担になることが多いです。

CTやMRI検査を受けるときは保険適用であっても1万円前後の自己負担が発生することもあり、腎生検を行う場合はさらに高額になる傾向があります。

検査名自己負担の目安特記事項
血液検査数百円~数千円程度クレアチニン、尿素窒素、電解質など
尿検査数百円程度尿蛋白、尿沈渣を含む
超音波検査数千円程度施設や検査内容によって差がある
CT・MRI検査5千円~1万円前後造影剤使用で追加費用が出る場合も
腎生検1万円以上になる場合あり入院加療が必要になることが多い

治療薬や透析の費用

ACE阻害薬やARB、利尿薬などの薬剤費は種類や用量にもよりますが、1カ月あたり数百円~数千円程度の自己負担になるパターンが多いです。

糖尿病性腎症を合併している場合、血糖降下薬やインスリンなども使用するため、薬剤費はその分上乗せされます。末期腎不全で血液透析を始めると、週3回の透析を受けるケースで1カ月あたりの自己負担が1万円~2万円程度になる場合があります。

腹膜透析を選ぶ場合でも、専用の透析液などの費用がかかるため、定期的な支出が続きます。

以上

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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