052-228-1280 WEB予約 LINE予約

プール後のかゆみや蕁麻疹は塩素アレルギー?考えられる原因と症状を抑える方法

プール後のかゆみや蕁麻疹は塩素アレルギー?考えられる原因と症状を抑える方法

プールに入った後に肌が赤くなったり、強いかゆみや蕁麻疹が出たりすると不安になります。多くの人が塩素アレルギーを疑いますが、実際には肌の乾燥や物理的な刺激が関係している場合も多いです。

この記事では、プール後の肌トラブルの正体を解明し、皮膚科の視点から症状を未然に防ぐスキンケアや対処法を解説します。

水泳を楽しみながら健やかな肌を守るための知識を身につけ、安心して通える状態を目指しましょう。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

運営ソーシャルメディア(SNSでは「こばとも」と名乗ることもあります)

XYouTubeInstagramLinkedin

著書一覧
経歴・プロフィールページ

こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

プールの消毒に使われる塩素が皮膚のバリア機能を壊す理由を解き明かします

プールの衛生を保つために欠かせない塩素ですが、強力な酸化作用は肌にとって大きな負担です。殺菌力が強いということは、皮膚の表面を守る組織を壊す力も持っていて、肌の弱い人には、プールの水に触れること自体が大きな刺激となります。

強力な酸化作用を持つ塩素が角質層のタンパク質を破壊します

プールの水に含まれる次亜塩素酸ナトリウムは、細菌やウイルスを死滅させるために強い酸化力を持っています。この力は、人間の皮膚の最も外側にある角質層のタンパク質に対しても容赦なく働きます。

角質層がダメージを受けると、肌のバリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすい状態になり、本来守られるべき肌の内部にまで塩素の刺激が届き、炎症を引き起こす要因となるのです。

健康な肌であれば一時的なダメージで済みますが、乾燥気味の肌では回復が追いつきません。何度もプールに入ることでダメージが蓄積し、やがて慢性的なかゆみや赤みへとつながっていきます。

また、角質層の破壊は水分保持能力の低下を招きます。プール上がりに肌がつっぱる感覚があるのは、このバリア機能が崩れ、内側の水分が逃げ出しているサインです。

このタンパク質破壊が進むと、肌のキメが消失し、見た目にもガサガサとした質感に変わります。一度失われたキメを取り戻すには時間がかかるため、早期の防御が不可欠です。

さらに、角質細胞を繋ぎ止めている脂質までもが塩素によって溶け出してしまい、細胞同士の接着が弱まり、より刺激物が侵入しやすい悪循環に陥ります。

結合塩素が引き起こす激しい肌刺激と粘膜への影響

プールの独特な匂いの原因は、塩素が汗や皮脂と反応して生成される結合塩素という物質で、遊離残留塩素よりも皮膚や粘膜に対する刺激が非常に強いことで知られています。

目が赤くなったり鼻がツンとしたりする症状も、この結合塩素の影響が大きいです。肌に付着すると強いかゆみを誘発し、人によっては小さな湿疹が出ることも珍しくありません。

特に水質管理が難しい混雑したプールでは、この結合塩素の濃度が高まりやすくなります。肌への刺激を最小限にするためには、こうした水質汚染の影響を考慮することが欠かせません。

結合塩素による刺激は、一度発生するとシャワーで流すまで肌に残り続けます。泳いでいる最中も常に肌を攻撃し続けるため、滞在時間が長くなるほどトラブルのリスクは増大します。

この物質はクロラミンとも呼ばれ、皮膚の呼吸を妨げるような不快な膜感を残すことがあり、毛穴の周りで炎症を起こし、プール後特有のプツプツとした赤みの正体となります。

敏感な方は、匂いを感じるだけで呼吸器に違和感を覚えることすらあります。肌だけでなく全身の負担を減らすためにも、水の綺麗な環境を選ぶことが大切です。

塩素そのものではなく肌の乾燥がトラブルを招く背景

プール後に蕁麻疹が出る場合、アレルギー反応だけでなく極度の乾燥が原因であるケースも多いです。塩素によって皮脂が奪われた肌は、わずかな摩擦や温度変化にも過敏に反応します。

乾燥した肌は、例えるならひび割れた大地のような状態です。そこにプールの水やタオルなどの刺激が加わることで、体が異常を検知してヒスタミンを放出し、かゆみや腫れを作り出します。

また、プールの水に含まれる不純物が乾燥した隙間から入り込みやすくなり、免疫細胞を刺激することで、アレルギーのような激しい反応を誘発してしまうのです。

肌の状態塩素の影響起こりやすいトラブル
健康な肌一時的な皮脂の減少軽いつっぱり感
乾燥肌バリア機能の完全破壊強いかゆみ・湿疹
アトピー体質炎症の誘発・悪化蕁麻疹・浸出液

塩素アレルギー以外でプール後にかゆみや蕁麻疹が出る原因を探ります

プール後のトラブルは、必ずしも薬品のせいだけではありません。水温と外気温の急激な差や、運動による体温上昇など、物理的な要因が引き金となって蕁麻疹が出ることがあります。

急激な温度変化が引き金となる寒冷蕁麻疹や温熱蕁麻疹

プールの冷たい水に触れた瞬間や、水から上がって温かいシャワーを浴びた際に蕁麻疹が出ることがあります。これは物理性蕁麻疹と呼ばれ、温度の急変に体が過剰反応する現象です。

冷たい水によって血管が収縮し、その後急に広がるときに、かゆみを引き起こす物質が放出され、特に冬場のプールや、風通しの良い屋外プールで発生しやすい傾向があります。

温熱蕁麻疹の場合は、温水プールやサウナ後の熱刺激が原因となります。どちらも体質に由来する部分が大きく、塩素対策だけでは防げないのがこのトラブルの難しい点です。

自分の体がどの温度帯に反応しやすいかを知ることで、対策を立てやすくなります。例えば寒冷蕁麻疹の傾向があるなら、事前にシャワーで徐々に体を冷水に慣らすなどの工夫が必要です。

この反応は自律神経の乱れとも密接に関係しており、疲れが溜まっている時に出やすくなります。冷えを感じやすい方は、水中に止まらず常に動くことで体温を保つ工夫も有効です。

また、水温とプールの室温の差が激しい場所も注意が必要で、急に温かい部屋に戻った際に血流が一気に増えることで、耐え難いかゆみに襲われることがあります。

激しい泳ぎによる発汗と体温上昇で誘発されるコリン性蕁麻疹

水泳は非常に運動量が多く、水中であっても体温は上昇し、多くの汗をかいています。この発汗刺激によって小さなプツプツとした蕁麻疹が出るのが、コリン性蕁麻疹の特徴です。

チクチクとした針で刺されるような痛みやかゆみを伴うことが多く、運動を始めて数分後に出現します。塩素アレルギーと混同されやすいですが、運動を止めれば比較的早く引く傾向があります。

入浴時や緊張した際にも同様の症状が出る人は、コリン性蕁麻疹の可能性が高いです。無理な高強度のトレーニングを避け、リラックスして泳ぐことで症状を緩和できる場合があります。

発汗をスムーズに促すことができない体質の人に多く見られるため、日頃から適度な運動で汗をかく習慣をつけることも、長期的な改善には効果的と考えられています。

コリン性蕁麻疹はアセチルコリンという物質に対する過剰反応が原因で、汗をかく一歩手前の、体が熱くなってきたタイミングで症状が出るのが典型的なパターンです。

水泳中にこの症状が出た場合は、無理をせずプールの縁で体を休めましょう。冷たい水で体温を下げることが、即時的な症状の緩和に繋がる場合も多いです。

長時間の入水でふやけた皮膚に加わる物理的な摩擦刺激

プールの水に長く浸かっていると、角質層は水分を吸って柔らかくふやけた状態になります。この状態の皮膚は非常に脆弱で、少しの摩擦でも傷つきやすく、刺激を通しやすいです。

きつい水着のゴムや、ゴーグルのベルトが肌に擦れることで、その部分だけが赤く腫れ上がることもあります。ふやけた肌はバリア機能を一時的に失っているため、物理的な接触に弱くなるのです。

水泳後のタオルでの拭き方も、このふやけた肌には大きなダメージとなります。ゴシゴシと力強く拭くことで、目に見えない微細な傷が無数につき、そこから炎症が広がっていきます。

休憩をこまめに取り、肌が水に浸かっている時間をコントロールすることが大切です。一度ふやけてしまった肌は、乾燥する過程でさらにダメージを受けやすいため、細心の注意を払いましょう。

特に指先や足の裏など、皮膚が厚い部位ほどふやけやすく、その後に剥がれやすくなります。これが皮膚の深部に炎症を広げるきっかけになり、慢性的な湿疹へと移行することもあります。

プール後のかゆみを未然に防ぐために徹底したい肌のバリア保護法

症状が出てから悩むよりも、まずは肌に刺激を与えないための準備を整えることが大事です。皮膚のバリア機能をあらかじめ補強しておくことで、塩素の影響を最小限に抑えられます。

入水前にワセリンを薄く塗って皮膚に油分の膜を作ります

最もシンプルで強力な防御策は、肌を油分でコーティングすることです。不純物の少ないワセリンを、特に乾燥しやすい部位や水着が擦れる場所に薄く塗り広げておきましょう。

ワセリンは水を弾く性質があるため、塩素を含んだプールの水が直接肌に触れるのを防いでくれ、バリア機能が壊れるのを物理的にブロックすることが可能になります。

塗る際のポイントは、ベタつきすぎないよう手のひらでよく伸ばしてから馴染ませることです。あまり厚塗りすると水面に油が浮いてしまい、施設の迷惑になることもあるので注意しましょう。

また、ワセリンは保湿効果も高いため、プール中の乾燥を防ぐ役割も果たしてくれます。肌が弱いお子さんの場合も、このひと手間で帰宅後のかゆみが劇的に軽減されることがあります。

さらに、ワセリンは顔のゴーグル跡が残りやすい場所にも有効で、油分がクッションの役割を果たし、皮膚のふやけと圧迫によるダブルダメージを和らげてくれる効果があります。

耳の後ろや首周りなど、意外と忘れがちな部位にも忘れず塗っておきましょう。水が溜まりやすい場所こそ、塩素の濃度が長時間保たれてしまうリスクが高いです。

日常的な保湿ケアで刺激に負けない強い肌の土台を作ります

プールに行く日だけ対策をしても、土台となる肌が荒れていては十分な効果は得られません。毎日のお風呂上がりにセラミド入りのローションなどを使用し、健康な肌を維持しましょう。

健康な角質層は、細胞同士が密着してレンガ壁のような構造を作っています。この構造がしっかりしていれば、塩素という外敵が侵入してくるのを水際で食い止めることができます。

特に冬場は空気が乾燥し、知らぬ間に肌のバリアが低下していることが多いです。プールに行く頻度が高い時期こそ、普段のスキンケアをより念入りに行うことが、結果として肌を守ることになります。

保湿は「24時間、隙を作らない」ことが理想です。朝起きた時や着替えの前など、こまめに保湿剤を塗り直す習慣をつけることで、塩素に負けない強い肌を育てることができます。

加齢とともに肌の天然保湿因子(NMF)は減少していくため、大人のスイマーこそ保湿が重要です。肌の柔軟性が失われると、水泳中の激しい動きに伴う皮膚の伸び縮み自体が刺激になります。

適切なサイズの水着選びで肌との摩擦を極限まで減らします

水着選びも、実は重要な肌トラブル対策の一つです。きつすぎる水着は皮膚を圧迫し、血行不良を招くだけでなく、縫い目が肌に強く押し付けられて炎症の原因となります。

素材も、できるだけ肌当たりの柔らかいものを選びましょう。最近では敏感肌向けの滑らかな素材を使用した水着も登場しており、摩擦によるストレスを大きく軽減してくれます。

ゴーグルやシリコンキャップも同様です。締め付けが強すぎるとその部分に水分が溜まり、ふやけてから炎症が起きるというパターンが多いため、適正なサイズ調整を心がけてください。

プールから上がった直後に行うべき徹底した塩素除去の手順

泳ぎ終わった後の行動が、翌日の肌の状態を決定づけると言っても過言ではありません。肌に残った塩素をいかに早く、そして完璧に取り除くかが、トラブル回避の生命線となります。

微温湯のシャワーで全身を3分以上かけて丁寧に洗い流します

プールから上がったら、まずは真っ先にシャワーへ向かいましょう。さっと表面を流すだけでは、毛穴や皮膚の溝に潜り込んだ塩素を落とし切ることは不可能です。

ぬるめのお湯で、3分以上はかけて全身をくまなく洗浄してください。特に脇の下や膝の裏、股関節周りなどは塩素が残りやすいため、意識的に水流を当てる必要があります。

このとき、熱すぎるお湯は厳禁です。塩素でダメージを受けた肌に熱刺激を与えると、さらなる乾燥を招き、かゆみを誘発してしまうからです。38度前後の心地よい温度を選びましょう。

また、シャワーヘッドを肌に近づけすぎず、優しい水圧で洗い流すのもポイントで、水流という物理的な刺激も最小限に抑えるよう、いたわるように洗浄を行ってください。

この際、洗浄力の強い石鹸で何度も洗うことは避けてください。すでに塩素で皮脂が奪われているため、必要以上に洗い流すと肌の回復が遅れてしまうからです。

ビタミンC配合の製品を使って残留塩素を化学的に無害化します

真水で流すだけでは落ちにくい残留塩素には、ビタミンC(アスコルビン酸)の力が有効です。ビタミンCには塩素を還元して中和する作用があり、肌への攻撃性を瞬時に奪ってくれます。

市販されている塩素除去専用のスプレーや、ビタミンCを配合したボディソープを活用しましょう。シャワーの仕上げに使用することで、目に見えない成分までリセットできます。

自分でアスコルビン酸の粉末を水に溶かしてスプレーを作ることも可能ですが、濃度が濃すぎると逆に刺激になることもあります。まずは信頼できる市販品から試してみるのが安心です。

このひと手間を加えるだけで、プール特有のあの匂いが消え、肌のピリピリ感が落ち着くのを実感でき、塩素アレルギーを疑う人ほど、中和作業の効果は大きく現れます。

髪の毛のパサつきも塩素が原因ですが、ビタミンC配合のシャワーヘッドを使用することで、全身まとめてケアできるため効率的です。

吸い取り拭きと直後の保湿で肌の水分消失を食い止めます

シャワー後は、タオルの使い方が重要です。タオルを肌にポンポンと優しく押し当て、水分を吸わせるように拭いてください。絶対に横に滑らせてこすってはいけません。

水分が肌に残っているうちに、素早く保湿剤を塗り込みましょう。理想は脱衣所を出る前の5分以内です。肌の表面から水が蒸発するとき、内側の水分も一緒に連れ去ってしまいます。

保湿剤は、刺激の少ない低刺激タイプを選んでください。塩素で過敏になった肌には、香料や着色料が含まれていないシンプルな処方のものが最も適しています。

塗り広げる際も、力を入れずに滑らせるように塗布します。たっぷりの量を惜しみなく使うことで、塩素によって奪われた皮脂の代わりとなり、肌の平穏を取り戻してくれます。

保湿剤を選ぶ際は、水分を補うローションタイプと、蓋をする役割のクリームタイプの併用をお勧めします。まず水分を入れてから油分で閉じ込めることで、保湿効果が格段に持続します。

万が一かゆみや蕁麻疹が出てしまった時の正しい緊急処置法

どれほど注意していても、体調や環境によっては症状が出てしまうことがあります。そのような時、焦って掻きむしるのが最も避けるべき行為です。炎症を最小限に抑えるための行動をとりましょう。

かゆみが強い部位を冷やして神経の興奮と血流を抑えます

強いかゆみを感じたら、まずは冷やすことが鉄則で、保冷剤を清潔なタオルで包み、かゆい部分に当ててください。冷やすことで血管が収縮し、かゆみの伝達を抑えることができます。

熱を持っている蕁麻疹の場合も、冷却は非常に効果的です。ただし、冷やしすぎは凍傷の原因になるため、1箇所につき15分程度を目安にし、肌の感覚を確かめながら行いましょう。

冷却によってかゆみが落ち着いている間に、他の処置を考えましょう。この冷やすという初期対応が、その後の掻き壊しループを防ぐ最大の防御策となります。

夜中にかゆみで目が覚めてしまった時も、焦らず保冷剤で冷やすのが最短の解決策です。精神的な焦りも血圧を上げてかゆみを増幅させるため、深呼吸をして落ち着きましょう。

市販の抗ヒスタミン薬を正しく活用して内部から鎮静します

蕁麻疹の広がりが止まらない場合や、眠れないほどのかゆみがある時は、市販の抗ヒスタミン薬を服用することも検討してください。内側からヒスタミンの働きを抑えることで、症状を緩和できます。

最近の市販薬は、眠気が出にくいタイプも多く販売されています。薬剤師に相談し、自分の生活スタイルに合ったものを選びましょう。服用後は無理をせず、ゆっくりと体を休めることが大切です。

塗り薬については、赤い発疹がある場合は非ステロイド性、あるいはマイルドなステロイド剤が有効な場合があります。ただし、広範囲に塗る場合は医師の判断を仰ぐことが大切です。

薬はあくまで対症療法ですが、激しい症状を一時的に抑えることで、肌が自ら回復する時間を稼ぐことができます。症状が落ち着いたら、なぜそれが出たのかを振り返る余裕を持ちましょう。

炎症が起きている期間は刺激物の摂取と熱い入浴を避けます

かゆみが出ている時は、体の内側もデリケートな状態になっています。辛い食べ物やアルコールなどの刺激物は、血流を促進してかゆみを増幅させてしまうため、控えるようにしましょう。

お風呂の温度も、いつもより低めに設定してください。熱いお湯に浸かるのは心地よいかもしれませんが、上がった後にかゆみがぶり返すリスクが非常に高いです。

また、衣類による刺激もバリアが弱った肌には大きな負担で、締め付けの強い下着や、チクチクするウール素材などは避け、肌に優しい綿100パーセントの柔らかい服を選んでください。

入浴時間は短めに切り上げ、できるだけ湯船に浸からずシャワーのみで済ませるのが安全です。石鹸の使用も、特に症状が出ている場所は避けるか、十分に泡立てて優しく洗いましょう。

睡眠不足も肌の再生を著しく阻害するため、早めの就寝を意識してください。体が修復作業に専念できる環境を作ることで、自然治癒力が最大限に引き出されます。

皮膚科を受診すべき判断基準と伝えたい具体的な症状のポイント

自宅でのケアで改善が見られない場合や、症状が特殊な場合は、速やかに皮膚科専門医の診察を受ける必要があります。プロの判断と処方薬によって、長引く悩みが一気に解決することも多いです。

息苦しさや腫れが広がる場合はアナフィラキシーを疑います

単なるかゆみだけでなく、息苦しさや喉の違和感、唇の腫れなどを伴う場合は、緊急事態です。これはアナフィラキシーと呼ばれる重篤なアレルギー反応の可能性があり、一刻を争います。

また、蕁麻疹が全身に広がり、激しい腹痛や吐き気を伴う場合も同様です。プールの塩素だけでなく、その日の体調や食べたものとの複合的な反応が起きている可能性があります。

このような全身症状が出た場合は、迷わず救急外来や近隣の総合病院を受診してください。皮膚だけの問題と捉えず、全身の異変として早期に対処することが、命を守ることにつながります。

呼吸の違和感は、最初は喉が少しイガイガする程度の軽い症状から始まることもあり、少しでもいつもと違うと感じたら、迷わず泳ぐのをやめて周囲のスタッフに助けを求めましょう。

特に過去に食品や薬品で強いアレルギーを起こしたことがある方は、リスクが高いため注意が必要です。自分の体質を正しく把握し、安全を最優先にした判断を下してください。

数日経っても赤みが引かず浸出液が出る場合は二次感染に注意

プール後のかゆみが3日以上続き、掻き壊した部分から黄色い液体が出てきたり、熱を持ったりしている場合は、細菌感染の疑いがあります。プールの水や手指から雑菌が入った状態です。

この状態になると、市販の保湿剤や冷却だけでは治りません。抗菌薬入りの軟膏や、適切な強さのステロイド剤が必要です。放置すると、とびひのように広がることもあるので注意を要します。

特に小さなお子さんの場合、掻くのを我慢させるのは難しいため、感染症に移行しやすいです。早めに診察を受け、適切な薬で一気に炎症を叩くことが、跡を残さないコツでもあります。

また、掻きすぎて皮膚が厚く硬くなってしまう苔癬化が起きると、完治までに長い年月がかかってしまいます。そうなる前に適切なステロイド治療を行うことが、健康な肌を保つ近道です。

自分では湿疹だと思っていても、実は水虫(白癬)やウイルス性のイボだったというケースも稀にあります。自己判断で市販薬を使い続けると悪化することもあるため、早めの受診が賢明です。

受診時にはプールの種類や発症までの時間を正確に伝えます

的確な診断を受けるためには、医師に正確な情報を伝えることが不可欠です。プールに入ってから何分後に症状が出たのか、その日はどのくらいの時間泳いでいたのかをメモしておきましょう。

また、プールの種類(屋内、屋外、温水、海水プールなど)や、その日の体調も重要なヒントになります。以前にも同じようなことがあったか、他のアレルギーがあるかも伝えてください。

可能であれば、症状が出ている時の写真をスマートフォンで撮っておくと非常に役立ちます。病院に着くる頃には蕁麻疹が引いてしまっていることも多いため、視覚的な証拠は診断の大きな助けになります。

医師はこれらの情報を総合して、塩素に対する反応なのか、物理的な刺激によるものなのか、あるいは別の要因なのかを分析します。詳細を伝えることが、自分に合った治療法への第一歩です。

もし特定のメーカーの日焼け止めやヘアオイルを使用しているなら、その情報も伝えてください。塩素と化粧品の成分が化学反応を起こして、特定の状況下のみでトラブルを招いている可能性もあります。

受診するタイミングは、できれば症状が出ている真っ最中が理想的です。皮膚の膨らみ具合や色味を直接診ることで、医師はより精度の高い判断を下すことができるようになります。

Q&A

塩素アレルギーがあっても工夫次第でプールを続けることはできますか?

塩素に対する過敏反応があっても、多くの方は適切な対策を講じることで水泳を継続できています。入水前のワセリン保護や、上がった直後のビタミンCによる塩素除去を徹底してみてください。

また、最新の濾過システムを導入している施設を選ぶことも有効な手段です。オゾン殺菌などを併用しているプールは塩素濃度が低く抑えられており、肌への負担が少ない傾向にあります。

ただし、喉の腫れや呼吸困難といった全身症状が出る場合は、命に関わるため無理は禁物です。必ず医師に相談し、水泳を続けるための条件や代替案についてアドバイスを受けてください。

塩素アレルギーの疑いがある子供の肌荒れを防ぐために親ができることは何ですか?

お子さんの場合は、まずプールの前後に親御さんが丁寧なスキンケアをサポートしてあげることが第一歩です。入水前にワセリンを塗ってあげ、上がった後はぬるま湯シャワーで3分以上流す習慣をつけましょう。

また、水着のサイズが小さくなっていないか、縫い目が肌を刺激していないかもこまめにチェックしてください。成長が早い時期ですので、物理的な摩擦が原因で肌が荒れてしまうことも少なくありません。

家庭での保湿を習慣化し、肌のバリア機能を常に高く保っておくことも大切です。もし赤みが出たら早めに冷やしてあげ、掻き壊して二次感染を起こす前に皮膚科へ連れて行ってあげてください。

塩素アレルギーと乾燥肌によるかゆみを自分で見分ける方法はありますか?

厳密な判別には医師の診断が必要ですが、症状が出るタイミングと場所にヒントがあります。塩素アレルギー(接触皮膚炎)の場合、水に触れた直後から激しい赤みや痒み、湿疹が出ることが多いです。

一方で、乾燥が主因の場合は、プールから上がって肌が乾き始めた頃につっぱり感やかゆみが強まる傾向があります。また、肘や膝の裏など、もともと乾燥しやすい部位に症状が集中するのも特徴です。

塩素アレルギーを検査で確定させるためには何科に行けばよいでしょうか?

皮膚の症状がメインであれば、まずは皮膚科を受診するのが最も適切です。医師が必要と判断すれば、パッチテストなどを用いて塩素やその他の物質に対する反応を調べることができます。

鼻炎や喘息のような呼吸器症状も伴う場合は、アレルギー科を併設している病院を選ぶのも一つの手です。総合的な視点から、何がアレルギーの原因(アレルゲン)になっているかを特定してくれます。

受診する際は、症状が出た時の写真や、プールの水質状況がわかる情報があれば持参してください。

参考文献

Blank NR, Cohen DE. Swimming Pool Worker Dermatoses. InKanerva’s Occupational Dermatology 2019 Nov 6 (pp. 2311-2320). Cham: Springer International Publishing.

Bernard A. Chlorination products: emerging links with allergic diseases. Current medicinal chemistry. 2007 Jul 1;14(16):1771-82.

Couto M, Bernard A, Delgado L, Drobnic F, Kurowski M, Moreira A, Rodrigues‐Alves R, Rukhadze M, Seys S, Wiszniewska M, Quirce S. Health effects of exposure to chlorination by‐products in swimming pools. Allergy. 2021 Nov;76(11):3257-75.

Slaughter RJ, Watts M, Vale JA, Grieve JR, Schep LJ. The clinical toxicology of sodium hypochlorite. Clinical toxicology. 2019 May 4;57(5):303-11.

Kanikowska A, Napiórkowska-Baran K, Graczyk M, Kucharski MA. Influence of chlorinated water on the development of allergic diseases-An overview. Annals of agricultural and environmental medicine. 2018;25(4):651-5.

O’Connor C, McCarthy S, Murphy M. Pooling the evidence: A review of swimming and atopic dermatitis. Pediatric Dermatology. 2023 May;40(3):407-12.

Pardo A, Nevo K, Vigiser D, Lazarov A. The effect of physical and chemical properties of swimming pool water and its close environment on the development of contact dermatitis in hydrotherapists. American journal of industrial medicine. 2007 Feb;50(2):122-6.

Cohen PR. Pool toes: case report and review of pool-associated pedal dermatoses. Cureus. 2020 Nov 28;12(11).

Blattner CM, Kazlouskaya V, Coman GC, Blickenstaff NR, Murase JE. Dermatological conditions of aquatic athletes. World Journal of Dermatology. 2015 Feb 2;4(1):8-15.

Fantuzzi G, Righi E, Predieri G, Giacobazzi P, Mastroianni K, Aggazzotti G. Prevalence of ocular, respiratory and cutaneous symptoms in indoor swimming pool workers and exposure to disinfection by-products (DBPs). International journal of environmental research and public health. 2010 Apr;7(4):1379-91.

免責事項

当院の医療情報について

当記事は、医療に関する知見を提供することを目的としており、当院への診療の勧誘を意図したものではございません。治療についての最終的な決定は、患者様ご自身の責任で慎重になさるようお願いいたします。

掲載情報の信頼性

当記事の内容は、信頼性の高い医学文献やガイドラインを参考にしていますが、医療情報には変動や不確実性が伴うことをご理解ください。また、情報の正確性には万全を期しておりますが、掲載情報の誤りや第三者による改ざん、通信トラブルなどが生じた場合には、当院は一切責任を負いません。

情報の時限性

掲載されている情報は、記載された日付の時点でのものであり、常に最新の状態を保証するものではありません。情報が更新された場合でも、当院がそれを即座に反映させる保証はございません。

ご利用にあたっての注意

医療情報は日々進化しており、専門的な判断が求められることが多いため、当記事はあくまで一つの参考としてご活用いただき、具体的な治療方針については、お近くの医療機関に相談することをお勧めします。

大垣中央病院・こばとも皮膚科

  • URLをコピーしました!
目次