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コエンザイムQ10の効果とは|還元型との違い・肌への作用を解説

コエンザイムQ10は、もともと体内のあらゆる細胞に存在し、エネルギー産生と抗酸化の両面で肌を支えている補酵素です。加齢や紫外線の影響で皮膚中の量が減少すると、シワやたるみの一因になると考えられています。

化粧品成分として配合されたコエンザイムQ10には、肌のハリ改善や抗酸化によるエイジングケアが期待されています。一方で「還元型と酸化型はどう違うのか」「本当に効果はあるのか」といった疑問の声も少なくありません。

この記事では、コエンザイムQ10のスキンケア成分としての基本情報から期待できる効果、使い方のコツ、注意点までを、研究データをもとにわかりやすく解説します。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

コエンザイムQ10はすべての細胞に存在する補酵素

コエンザイムQ10は、人間の体内で自然に合成される脂溶性の補酵素で、細胞のミトコンドリアにおけるエネルギー産生に深く関わっています。肌においても表皮や真皮に豊富に存在し、抗酸化作用と細胞エネルギーの両面から皮膚の健康を守っています。

1957年にアメリカで発見された「ユビキノン」

コエンザイムQ10は、1957年にアメリカのウィスコンシン大学で牛の心臓から単離された化合物です。化学名は「ユビキノン」と呼ばれ、ラテン語の「ubique(どこにでもある)」に由来しています。

その名のとおり、心臓・肝臓・腎臓をはじめ全身のあらゆる細胞に分布しており、特にエネルギー消費量の多い臓器ほど多く含まれます。皮膚では表皮の方が真皮より多く存在していますが、20代をピークに加齢とともに減少していくことが報告されています。

酸化型と還元型、コエンザイムQ10には2つの姿がある

コエンザイムQ10には「酸化型(ユビキノン)」と「還元型(ユビキノール)」の2つの形態があります。体内では酵素の働きによって両者が相互に変換されながら、それぞれ異なる機能を果たしています。

酸化型はミトコンドリアでのエネルギー産生に関与し、還元型は直接的に活性酸素を消去する抗酸化物質として機能します。

サプリメントの分野では「還元型の方が吸収されやすい」と言われることもあります。ただし、化粧品に配合される場合は安定性や製剤との相性を考慮して酸化型が多く採用されています。

酸化型と還元型コエンザイムQ10の比較

項目酸化型(ユビキノン)還元型(ユビキノール)
化粧品での採用多い少ない
安定性比較的安定酸化されやすい
抗酸化作用体内で還元後に発揮そのまま発揮
黄色〜橙色白色〜淡黄色

化粧品成分としての表示名称と医薬部外品での扱い

化粧品の全成分表示では「ユビキノン」と記載されるのが一般的です。医薬部外品の有効成分としても認められており、その場合は「コエンザイムQ10」あるいは「ユビデカレノン」という表記が用いられることがあります。

日本では2004年の規制緩和により化粧品への配合が解禁され、それ以降スキンケア市場で広く使われるようになりました。配合上限濃度は0.03%と定められており、この範囲内であれば安全性に大きな問題はないとされています。

年齢とともに減るコエンザイムQ10が肌にもたらす効果

コエンザイムQ10の肌への効果は大きく分けて3つあります。活性酸素を消去する抗酸化作用、シワの深さを軽減するハリ改善作用、そして紫外線から肌を守る光防護作用です。

いずれも複数の研究で検証が進んでおり、スキンケア成分としての根拠が蓄積されつつあります。

活性酸素のダメージを食い止める抗酸化作用

コエンザイムQ10がスキンケア成分として注目される最大の理由は、その抗酸化作用にあります。紫外線やストレスによって体内で過剰に発生する活性酸素は、コラーゲンやエラスチンなど肌の構造タンパク質を傷つけ、シワやたるみの原因となります。

コエンザイムQ10は還元型としてこの活性酸素を直接中和し、酸化ストレスから肌を守ると考えられています。

Hoppeらの研究(1999年)では、ヒトの皮膚において加齢とともにコエンザイムQ10の量が減少し、酸化ストレスへの抵抗力が低下することが示されました。

外から補うことで皮膚のコエンザイムQ10濃度を高められることも確認されており、塗布後に表皮だけでなく深い層でも有意な増加がみられたと報告されています。

シワの深さを減らしハリ感を底上げする

コエンザイムQ10を含む化粧品を継続的に塗布すると、シワの深さや皮膚の粗さが改善するという臨床データが複数存在します。

Lainらのレビュー論文(2024年)では、コエンザイムQ10配合製剤の塗布によってシワの深さが減少したことが報告されています。

この効果には、ミトコンドリアのエネルギー代謝を活性化させて細胞の修復力を高める作用が関わっていると考えられています。加齢した皮膚ではミトコンドリアの機能低下によってエネルギー産生が衰え、線維芽細胞の働きも鈍くなります。

コエンザイムQ10がミトコンドリアに作用してATP産生を促すことで、コラーゲンやエラスチンの生成をサポートし、肌のハリ感を取り戻す手助けをしている可能性があります。

紫外線によるコラーゲン分解をブロックする

紫外線(特にUVB)を浴びた肌では、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)というコラーゲン分解酵素の発現が増加します。

Inuiらの研究(2008年)では、コエンザイムQ10がこのMMPの発現上昇を抑制し、UVBによるシワ形成を軽減する効果が示されました。

コエンザイムQ10は活性酸素の産生を抑えることで、紫外線が引き起こすコラーゲン分解の連鎖を上流で遮断すると考えられています。

日常的な紫外線対策に加えてコエンザイムQ10配合のスキンケアを取り入れることで、光老化の予防効果が高まるかもしれません。

コエンザイムQ10の肌への主な作用

作用対象期待できる変化
抗酸化活性酸素酸化ダメージの軽減
エネルギー産生促進ミトコンドリア細胞の修復力向上
MMP抑制コラーゲン分解酵素シワ・たるみの予防

コエンザイムQ10のスキンケアへの取り入れ方と上手な使い方

コエンザイムQ10はクリームや美容液を中心にさまざまな化粧品に配合されており、毎日のスキンケアに手軽に取り入れられます。

脂溶性のため油分を含むアイテムとの相性がよく、使うタイミングや組み合わせを意識するとより効果的に活用できるでしょう。

クリームや美容液に配合されることが多い

コエンザイムQ10は脂溶性の成分であるため、油分を多く含むクリームや乳液との相性が良好です。美容液やアイクリーム、ハンドクリームなどにも広く配合されており、特にエイジングケアを訴求する製品に多くみられます。

化粧水に配合されるケースもありますが、水への溶解度が低いため、乳化技術やナノ化技術を用いて安定性を確保した製品が中心です。成分表示欄で「ユビキノン」の記載があれば、コエンザイムQ10が配合されていると判断できます。

夜のスキンケアで使うと効果を発揮しやすい

コエンザイムQ10は朝夜問わず使用できますが、夜のスキンケアとして取り入れるのが特におすすめです。睡眠中は肌の修復活動が活発になるため、コエンザイムQ10のエネルギー産生促進作用と抗酸化作用がより効果的に働くと期待できます。

塗布する際は、化粧水で肌を整えた後に美容液やクリームとして使うのが一般的な順番です。コエンザイムQ10自体は黄色〜橙色をしているため、高濃度配合の製品では肌や衣類に色がつくことがあります。白い衣類への付着には気をつけましょう。

コエンザイムQ10配合化粧品の効果的な使い方

ポイント推奨補足
使用タイミング夜がおすすめ朝の使用も可能
塗布の順番化粧水の後美容液→クリームの順
継続期間の目安3か月以上即効性は期待しにくい

一緒に使うと相乗効果が期待できる成分と避けたい組み合わせ

コエンザイムQ10はビタミンCやビタミンEと併用すると、互いの抗酸化作用を補い合って効果が高まると考えられています。

ビタミンEはコエンザイムQ10と同じ脂溶性の抗酸化物質であり、ビタミンCが酸化されたビタミンEを再生することで、3者が連携して肌を守るサイクルが成立します。

一方で、ピーリング成分(グリコール酸やサリチル酸など)と同時に使うと、肌が敏感になっているところに油溶性成分が重なり刺激を感じることがあります。

角質ケアをした日はコエンザイムQ10配合のクリームをお休みするなど、肌の状態に応じた調整を心がけてみてください。

コエンザイムQ10と比較されやすい抗酸化成分との違い

コエンザイムQ10は代表的な抗酸化成分のひとつですが、同じ「抗酸化」を謳うスキンケア成分はほかにも多数あります。それぞれ作用する場所や得意とする効果が異なるため、違いを知っておくと自分に合った成分を選ぶ参考になるでしょう。

ビタミンC誘導体は水溶性で、メラニン生成の抑制による美白効果に強みがあります。コエンザイムQ10は脂溶性でミトコンドリアのエネルギー産生をサポートする点が特徴であり、作用する場所が根本的に異なります。

ビタミンE(トコフェロール)もコエンザイムQ10と同じく脂溶性の抗酸化物質です。ただし、ビタミンEは細胞膜の脂質過酸化を防ぐことに特化しています。

コエンザイムQ10はミトコンドリア内で電子伝達体として働き、エネルギー代謝にも直接関与している点が異なります。両者を併用することで抗酸化ネットワークがより強固になると考えられています。

アスタキサンチンはカロテノイドの一種で、非常に強い一重項酸素の消去能を持つとされています。

コエンザイムQ10が細胞のエネルギー産生と抗酸化を兼ね備えているのに対し、アスタキサンチンは純粋に抗酸化力に特化した成分といえます。

コエンザイムQ10と他の抗酸化成分との比較

成分名溶解性特徴的な作用
コエンザイムQ10脂溶性抗酸化+エネルギー産生
ビタミンC誘導体水溶性美白+コラーゲン合成促進
ビタミンE脂溶性細胞膜の脂質過酸化防止
アスタキサンチン脂溶性一重項酸素の消去に特化

コエンザイムQ10を肌に使う前に確認したい注意点

化粧品として市販されているコエンザイムQ10配合製品は、配合濃度が厳格に管理されているため、通常の使用で重大な副作用が起こるリスクは低いと考えられます。ただし、いくつか知っておきたいポイントがあります。

副作用や肌への刺激が出ることはあるのか

化粧品に配合される濃度のコエンザイムQ10で深刻な副作用が報告された例はほとんどありません。しかし、敏感肌の方や肌のバリア機能が低下しているときには、赤みやかゆみを感じる場合がまれにあります。

初めて使う製品は、腕の内側などでパッチテストを行ってから顔に使うのが安心です。万が一刺激を感じた場合はすぐに洗い流し、症状が治まらないときは皮膚科を受診してください。

使用を控えたほうがよい人

コエンザイムQ10そのものにアレルギーがある方は使用を避けるべきです。また、妊娠中・授乳中の方については、化粧品としての外用は一般的に問題ないとされていますが、気になる場合はかかりつけ医に相談してから使うのが望ましいでしょう。

使用前に確認しておきたいポイント

  • 初めて使う製品は腕の内側でパッチテストを行う
  • ピーリング直後など肌が敏感なときは使用を控える
  • 赤みやかゆみが出たら使用を中止し、改善しなければ皮膚科へ

化粧品と医薬品では配合濃度が大きく異なる

化粧品に配合されるコエンザイムQ10の濃度は、日本では最大0.03%と定められています。一方、サプリメントでは1日あたり数十〜数百mgを経口摂取するケースもあり、両者では体内に届く量が桁違いに異なります。

内服としてのコエンザイムQ10はユビデカレノンという名称で医薬品にも使用されており、心臓疾患などに対して処方されることがあります。

スキンケアとしての使用と医薬品としての使用はまったく別物であるため、服用に関する詳細は医師に確認してください。

まとめ

コエンザイムQ10は、抗酸化とエネルギー産生の2つの面から肌の健康を支えるスキンケア成分です。加齢とともに体内での産生量が減少するため、化粧品やサプリメントで補うことに一定の合理性があります。

研究データを踏まえると、継続的な使用によってシワの軽減やハリの改善が期待できる成分のひとつといえます。ただし、化粧品での配合濃度は限られているため、過度な期待は禁物です。

  • コエンザイムQ10は体内のすべての細胞に存在する脂溶性の補酵素である
  • 抗酸化作用とミトコンドリアのエネルギー産生促進により、肌のハリ改善やシワ軽減が期待できる
  • 酸化型(ユビキノン)と還元型(ユビキノール)の2タイプがあり、化粧品には主に酸化型が使われる
  • ビタミンCやビタミンEとの併用で抗酸化効果がさらに高まる可能性がある
  • 化粧品の配合濃度は低いため安全性は高いが、敏感肌の方はパッチテストを推奨

肌の老化やシワが気になる方で、スキンケアだけでは改善が難しいと感じる場合は、皮膚科を受診して専門医にご相談ください。

よくある質問

コエンザイムQ10は敏感肌でも使えるのか?

化粧品に配合されるコエンザイムQ10の濃度は非常に低く設定されているため、一般的に敏感肌の方でも使用できるケースが多いです。ただし、肌のバリア機能が著しく低下している場合は、まれに赤みやかゆみを感じることがあります。

初めて使う製品は腕の内側でパッチテストを行い、24時間以上経過しても異常がなければ顔への使用を始めると安心です。肌荒れがひどいときは使用を控え、症状が落ち着いてから取り入れるのが賢明でしょう。

コエンザイムQ10の還元型と酸化型はどちらを選ぶべきか?

サプリメントでは還元型の方が体内への吸収効率が高いとされる報告がありますが、化粧品として肌に塗る場合は事情が異なります。

化粧品には安定性に優れた酸化型(ユビキノン)が多く採用されており、塗布後に皮膚内で還元型へ変換されることが確認されています。

そのため、化粧品を選ぶ際には「還元型か酸化型か」よりも、製品全体の処方設計や自分の肌との相性を重視したほうがよいでしょう。還元型配合を謳う製品もありますが、空気や光に触れると酸化しやすいため、保管方法にも注意が必要です。

コエンザイムQ10配合の化粧品を使い始めてから効果が出るまでの期間は?

コエンザイムQ10は即効性のある成分ではなく、肌のターンオーバーに合わせて徐々に変化が現れると考えられています。一般的には、毎日継続して使用した場合に3か月程度でシワや肌のキメに変化を実感し始める方が多いようです。

臨床試験でも、4週間〜12週間の継続使用でシワの深さや皮膚の粗さに有意な改善がみられたと報告されています。短期間で劇的な変化を求めるよりも、長期的なケアの一環として取り入れるのが現実的な使い方です。

コエンザイムQ10をビタミンC美容液と一緒に使っても問題ないのか?

コエンザイムQ10とビタミンCは併用可能であり、むしろ相性のよい組み合わせです。コエンザイムQ10は脂溶性、ビタミンC誘導体は水溶性の抗酸化物質であるため、互いに異なる場所で酸化ストレスから肌を守ることができます。

使い方としては、先にビタミンC美容液(水溶性)を塗布し、その後にコエンザイムQ10配合のクリーム(油溶性)を重ねるのが基本の順番です。この順序を守ることで、どちらの成分も肌にしっかり届きやすくなります。

コエンザイムQ10を顔に直接塗ることに危険性はあるのか?

化粧品として販売されているコエンザイムQ10配合製品を顔に塗ること自体に危険性はないと考えられています。日本では化粧品への配合上限が0.03%に定められており、この濃度で健康被害が生じた報告は見当たりません。

ただし、原液やサプリメントの中身をそのまま肌に塗布する行為は推奨されません。

化粧品は安定性や浸透性を考慮して処方設計されているため、安全に使いたいのであれば製品化されたものを選ぶべきです。不安な点がある場合は、皮膚科医に相談してみてください。

参考文献

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