赤ら顔・酒さとは
赤ら顔の一つ「酒さ」(rosacea)とは慢性の炎症疾患で、頬や鼻などに赤みやブツブツなどの皮膚症状に加えて火照り感を伴うのが一般的です。
紫外線や暖房などの熱、アルコールなどによって症状の悪化を認めます。
赤ら顔・酒さの原因
酒さの原因は完全には明らかになっていませんが、いくつかの要因が関係すると言われています。
赤ら顔・酒さの主な原因
- 免疫異常
- 神経血管調整異常
- 皮膚常在環境
- 遺伝的要因
- 紫外線
- バリア機能の低下
免疫異常
酒さでは免疫系の活性化によって、炎症性のサイトカインや抗菌ペプチドの増加を認めます。
酒さではカテリシジンという抗菌タンパクのレベルが上がっており、カテリシジンは炎症性メディエーターの放出を促すLL-37に分解。
それにより血管新生の促進や白血球の遊走が起こり、炎症性サイトカインの産生を促します。
神経血管調整異常
ケラチノサイトや内皮細胞などに広く発現しているTRPチャネルファミリーが活性化されると、神経原性の炎症や痛みのメディエーターの放出に繋がり、酒さに特徴的とされる顔面の持続的な紅潮を誘発します。
皮膚常在環境
酒さの患者さんでは、皮膚細菌叢の構成が大きく異なることが指摘されています。
特に、常在菌の一つであるニキビダニ(demodex)は酒さの患者さんに多数検出されることが多く、これには皮膚の常在環境が大きく関与している可能性が。
遺伝的要因
酒さは遺伝的な要素を持つと考えられており、家族内での発症例があると、リスクが高まります。
紫外線
紫外線はKLK-5の発現を高め、炎症性メディエーターの放出を促すLL-37を経て炎症や血管新生を促進。
紫外線は酒さの悪化因子の中でも特に強い関連性があると言われています。
バリア機能の低下
酒さの患者さんでは、バリア機能の指標である水分蒸散量(TEWL)が増加していることがわかっています。
赤ら顔・酒さの種類
酒さの古典的な分類では症状によって、以下の4つのサブタイプに分類されます。ただし、現在では診断的表現型が用いられるのが一般的です。
紅斑毛細血管拡張型
顔の中心部、特に頬や鼻に赤みが見られ、しばしば毛細血管の拡張を伴います。これらの症状は暑さやストレス、飲酒などによって悪化する傾向に。
丘疹膿疱型
肌の赤みに加えて、ニキビのような小さな丘疹や膿疱が形成されることが特徴です。
腫瘤型
特に鼻の皮膚が肥厚し、凸凹とした形状に変わることがあり、これを「rhinophyma」と呼びます。
眼型
眼瞼および眼球結膜の充血や周囲の毛細血管拡張を認めます。
*引用元:https://www.rosacea.org/patients/all-about-rosacea
当院の赤ら顔・酒さ治療
当院では、患者さま一人ひとりの肌の状態や症状に合わせて治療方法をご提案いたします。また、酒さの一部の症状には保険適用の薬が効果的です。
- 経験豊富な女性皮膚科専門医が患者様のお悩みに寄り添い、丁寧に診察
- 保険診療から美容医療まで幅広く対応
- エビデンスのある医療機器を導入し、効果的な治療を提供
- 副作用やリスクを最小限に抑えるため、慎重な治療計画を立案
- アフターケアも充実し、治療後の肌のケアもサポート
保険治療
保険適用の治療薬では、丘疹や膿疱を伴う赤みに対してメトロニダゾール外用(ロゼックスゲル)やテトラサイクリン系の抗菌薬(ミノマイシン、ビブラマイシン)が有効です。
また、漢方薬などを併用するケースもあります。
自費診療
イベルメクチン外用
自費の治療薬で「イベルメクチン」という外用薬があります。
イベルメクチンはメトロニダゾールよりもより早く効果があり、必要に応じて投与を検討。
アゼライン酸外用
同じく自費の治療薬で「アゼライン酸」という外用成分も。
抗炎症作用があり、酒さなどの赤ら顔の改善効果があると言われています。
イソトレチノイン内服
腫瘤型など一部のタイプでは、イソトレチノインというビタミンAの内服薬が有効です。
ただし、重篤な副作用に胎児奇形があり、妊娠中や妊娠を検討している方は服用できません。
IPL治療
IPL(Intense Pulsed Light)は、光のエネルギーを用いてメラニンやヘモグロビンにアプローチする治療法で、複数回の施術で徐々に効果が現れます。
当院のIPL光治療では「BBL HERO」を採用。
Vビーム
Vビームは595nmのパルス色素レーザーで、赤みの原因であるヘモグロビンに対する反応性が高く、血管を破壊し赤ら顔を改善する治療法です。
当院では患者さんの症状に応じて出力やパルス幅を調整し、治療を行っていきます。
エレクトロポレーション(ケアシス)
エクレトロポレーションは、有効成分を肌の深部まで効率的に浸透させることで、赤ら顔を改善します。
痛みや刺激が少なく、肌への負担が少ない治療法です。
治療のリスク・副作用
- レーザー治療や光治療は、痛みや赤み、腫れなどの副作用が出る可能性。
- 外用薬は、刺激症状や乾燥などの副作用が出る可能性。
- 妊娠中や妊娠を検討されている方は受けられない治療もありますので、詳しくはご相談ください。
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