アミロイドーシス(amyloidosis)とは、体内の様々な臓器に異常なタンパク質(アミロイド)が蓄積することで、複数の症状が現れる代謝性疾患です。
心臓、腎臓、神経系統などの重要な臓器にアミロイドが徐々に蓄積されると、それぞれの臓器の機能が次第に障害され、多彩な臨床症状として現れます。
発症初期の段階では一般的な症状しか見られないため見過ごされやすく、また症状が多岐にわたることから、診断には高度な専門知識と複数の検査が必要です。
この記事の執筆者
小林 智子(こばやし ともこ)
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長
2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。
こばとも皮膚科関連医療機関
アミロイドーシスの病型
アミロイドーシスは全身性アミロイドーシスと限局性アミロイドーシスに大別され、さらに全身性アミロイドーシスは原発性、続発性、透析関連、家族性などの病型に分類できます。
アミロイドーシスの病型分類の基本概念
アミロイドーシスの病型分類は、アミロイド蛋白の種類と、沈着する臓器の範囲によって体系的に整理されていて、診断や経過観察において重要な指標です。
アミロイド蛋白の沈着パターンは、全身の複数の臓器に広範囲に沈着するものと、特定の臓器に限局して沈着するものに分かれており、この違いが病型分類の基本的な枠組みを形作っています。
大分類 | 特徴的な沈着パターン | アミロイド蛋白の性質 |
---|---|---|
全身性 | 多臓器への沈着 | 血中を循環して沈着 |
限局性 | 単一臓器への沈着 | 局所で産生され沈着 |
全身性アミロイドーシスの詳細分類
全身性アミロイドーシスは、アミロイド蛋白が血液を介して全身を循環し、複数の臓器に沈着する病型です。
心臓、腎臓、消化管、神経系など、生命維持に不可欠な臓器に広範囲にアミロイド蛋白が沈着し、各臓器の機能に様々な影響を及ぼします。
全身性アミロイドーシスの中でも、原発性アミロイドーシスは骨髄中の形質細胞から産生される異常な免疫グロブリン軽鎖が関与しており、血液疾患の一種です。
続発性アミロイドーシスは、慢性関節リウマチなどの慢性炎症性疾患に伴って発症する病型で、長期の炎症状態が持続することでアミロイド蛋白の産生が促進されます。
透析関連アミロイドーシスは、長期の血液透析治療を受けている患者さんに見られる病型で、β2ミクログロブリンが体内に蓄積することで発症します。
家族性アミロイドーシスは、遺伝子の変異により異常なアミロイド蛋白が産生される病型です。
- 免疫グロブリン軽鎖由来(AL型) 形質細胞から産生
- 炎症性蛋白由来(AA型) 慢性炎症に関連
- β2ミクログロブリン由来 透析患者に特徴的
- トランスサイレチン由来 遺伝性と老人性がある
限局性アミロイドーシスの特徴
限局性アミロイドーシスは、特定の臓器や組織に限定してアミロイド蛋白が沈着する病型で、全身性アミロイドーシスとは異なる臨床像を示します。
アミロイド蛋白の沈着が局所に限定されることから、その部位特有の症状が主体となり、他の臓器への影響は少ないことが特徴です。
限局性アミロイドーシスでは、気管支や膀胱、皮膚などの特定の臓器に限局してアミロイド蛋白が沈着することが多く、それぞれの臓器における機能障害の程度が病状の進行を左右します。
好発部位 | 主な特徴 | 発症年齢 |
---|---|---|
気管支 | 局所的な狭窄 | 50歳以上 |
膀胱 | 粘膜下沈着 | 60歳以上 |
皮膚 | 結節性病変 | 様々な年齢 |
眼瞼 | 局所腫瘤 | 高齢者に多い |
アミロイドーシスの症状
アミロイドーシスは、異常なタンパク質が全身の臓器に蓄積することで、心臓、腎臓、神経、消化器など、様々な臓器に多彩な症状が出現します。
心臓症状と全身症状について
心臓へのアミロイド沈着は、心筋の肥厚や拡張障害を引き起こし、息切れや動悸、浮腫などの症状が徐々に進行していき、心機能の低下に伴い、運動時の息切れや疲労感が現れ、階段の上り下りや歩行などの日常的な活動でも強い息切れを感じるようになります。
心臓にアミロイドが蓄積すると、心臓の壁が厚くなり心臓が硬くなることで、十分な血液を送り出すことができなくなり、全身の血液循環に支障をきたし、さらには不整脈のリスクも高まります。
心臓の収縮力や拡張能力の低下は、体内の血液循環を悪化させ、肝臓や腎臓などの他の臓器にも負担をかけることになり、全身のむくみや呼吸困難、疲労感などの症状をより一層悪化させる要因です。
全身症状としては、原因不明の体重減少や全身倦怠感、発熱などが見られ、症状は複数の臓器障害が組み合わさることで出現することが多く、症状の程度も時間とともに変化していきます。
心臓症状 | 全身症状 |
---|---|
息切れ | 体重減少 |
動悸 | 全身倦怠感 |
浮腫 | 発熱 |
胸痛 | 食欲不振 |
腎臓と消化器の症状
腎臓にアミロイドが蓄積すると、タンパク尿の出現から始まり、むくみや高血圧などの症状が現れ、進行すると腎機能が徐々に低下していくことで、全身の代謝バランスに影響を及ぼすようになります。
消化器症状は、食欲不振や吐き気、腹痛、下痢や便秘などが生じ、症状は日によって変動し、また食事の内容や量によっても症状の程度が変化します。
神経症状の特徴
末梢神経障害による手足のしびれや痛み、筋力低下などが特徴的で、症状は左右対称に出現し、足先から始まって徐々に上行していくパターンを示すことが多いです。
末梢神経障害は、感覚神経と運動神経の両方に影響を及ぼすことがあり、しびれや痛みなどの感覚障害に加えて、筋力低下や筋萎縮などの運動障害も起こすことで、歩行障害や手先の巧緻運動障害につながります。
手足の感覚障害は、温度感覚や痛覚、振動覚などの様々な感覚に影響を与え、下肢のしびれや痛みは歩行時のバランス感覚を低下させ、転倒のリスクを高める原因です。
自律神経障害は、体温調節機能や血圧調節機能にも影響を及ぼすため、急激な体位変換による血圧低下やめまい、失神などのリスクが高まることがあり、暑い環境下での活動や長時間の立ち仕事などで症状が悪化します。
末梢神経症状 | 自律神経症状 |
---|---|
しびれ感 | 起立性低血圧 |
痛み | 発汗異常 |
筋力低下 | 消化管運動障害 |
温度感覚異常 | 排尿障害 |
皮膚・軟部組織の症状
皮膚や舌、関節周囲の軟部組織にもアミロイドが沈着することがあり、舌の肥大や皮膚の変色、関節の腫れなどの症状として現れ、舌の肥大は食事や会話に影響を与えることが多いです。
皮膚症状としては、紫斑や出血斑、皮下結節などが見られ、体のさまざまな部位に現れ、皮下出血や紫斑は軽微な外力でも生じやすくなり、外傷予防への注意が必要になります。
関節周囲の軟部組織へのアミロイド沈着は、関節の可動域制限や疼痛を引き起こすことがあり、手首や指関節などの細かい動きを必要とする部位に症状が出ると、書字や食事動作などに支障をきたします。
皮膚の症状は、見た目の変化だけでなく、皮膚の弾力性や保湿機能にも影響を与えることがあり、乾燥や痒みなどの不快な症状も起こします。
アミロイドーシスの原因
アミロイドーシスは体内で産生された異常なタンパク質がβシート構造という特殊な形態に変化して組織に沈着することで発症する疾患で、原因は遺伝的要因や環境因子などです。
アミロイドーシスの分子レベルでの発症機序
アミロイド線維の形成過程では、正常なタンパク質が何らかの要因で立体構造を変化させ、βシート構造という特殊な形態に変化することが発症の引き金となります。
βシート構造への変化は、タンパク質分子が互いに規則的に結合し、水に不溶な線維状の構造体を形成することで、通常の代謝過程での分解を免れる特徴を持ち、組織への持続的な沈着が引き起こされることになります。
タンパク質の状態 | 特徴的な構造 | 生体内での性質 | 分解のされやすさ |
---|---|---|---|
正常型 | αヘリックス主体 | 水溶性が高い | 分解されやすい |
異常型 | βシート主体 | 不溶性が高い | 分解されにくい |
中間型 | 混合構造 | 準安定状態 | 状況依存的 |
遺伝的要因による発症メカニズム
遺伝性アミロイドーシスでは、特定の遺伝子の変異によってアミロイド形成傾向の高いタンパク質が産生されることが原因で、遺伝子変異は常染色体優性遺伝の形式をとります。
トランスサイレチン遺伝子の変異は、家族性アミロイドポリニューロパチーの主要な原因となっており、変異によって産生される異常タンパク質は通常よりもアミロイド線維を形成しやすい性質を持ち、末梢神経系や心臓への沈着傾向が強いです。
アポリポプロテインA1やフィブリノーゲンなどの遺伝子変異も、それぞれ特徴的なアミロイドーシスを起こすことが知られています。
遺伝性アミロイドーシスの中でも心臓への沈着が優位な変異型では心不全症状が前面に出やすく、また発症年齢も比較的若いです。
環境因子と続発性アミロイドーシス
関節リウマチや炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患では、炎症性サイトカインの産生によって血清アミロイドA蛋白の合成が促進され、組織へのアミロイド沈着につながることが分かっており、腎臓や消化管への沈着が多いことが特徴です。
透析アミロイドーシスでは、長期の血液透析治療によってβ2ミクログロブリンが体内に蓄積し、徐々にアミロイド線維を形成することで発症します。
環境要因 | 関連タンパク質 | 典型的な基礎疾患 | 好発年齢 |
---|---|---|---|
慢性炎症 | SAA | 関節リウマチ | 40代以降 |
透析療法 | β2MG | 慢性腎不全 | 透析歴10年以上 |
加齢 | TTR | 心アミロイドーシス | 70代以降 |
アミロイドーシスの検査・チェック方法
アミロイドーシスの診断には、血液検査や尿検査から組織の一部を採取する生検まで、いくつもの検査を組み合わせて行います。
初期スクリーニング検査
血液検査では、一般的な項目に加えて、炎症の状態を示すマーカーや、免疫に関わるタンパク質、血液中の特殊なタンパク質の量など、様々な角度から体の状態を詳しく調べます。
血清遊離軽鎖という検査では、血液中にある特定のタンパク質の量とバランスを測定することで、体の中で異常なタンパク質が作られていないかを確認できます。
尿検査では、24時間分の尿を貯めて調べる方法で、タンパク質の量や特殊なタンパク質(ベンスジョーンズタンパク)の有無を確認し、腎臓の状態や体の中でのタンパク質の動きを把握することが大切です。
検査項目 | 測定内容 | 基準値からの逸脱 |
---|---|---|
血清遊離軽鎖 | κ/λ比 | 比の異常 |
尿検査 | タンパク量 | 著明な増加 |
心臓マーカー | BNP・トロポニン | 上昇 |
肝機能検査 | 酵素値 | 上昇傾向 |
画像診断による評価
心臓の超音波検査では、心臓の筋肉の厚さや動き、超音波で見たときの特徴的な模様などを調べることで、心臓にアミロイドと呼ばれる異常なタンパク質がどの程度たまっているかを確認します。
MRI検査では各臓器の状態を細かく観察でき、とりわけ心臓のMRI検査では、造影剤を使うことで、心臓の筋肉へのアミロイドのたまり方をより詳しく調べることが可能です。
心臓超音波検査の確認ポイント
- 心臓の壁の厚さ
- 心臓の筋肉の見え方
- 心臓の収縮と拡張の具合
- 心臓の周りの水がたまっていないか
- 心臓の動きの様子
確定診断のための組織生検
組織生検は、アミロイドーシスの確定診断に欠かせない検査で、腹部の脂肪を少量採取したり、消化管の粘膜の一部を採取したり、なるべく体への負担が少ない方法から始めることが重要です。
採取した組織は、コンゴーレッドという特殊な染色液で染めて、専用の顕微鏡で観察し、アミロイドが存在すると特徴的な光り方をします。
生検部位 | 特徴 | 判定方法 |
---|---|---|
腹壁脂肪 | 体への負担が少ない | 特殊な染色 |
消化管粘膜 | 内視鏡で採取 | 顕微鏡での観察 |
心筋 | 詳しい判断が可能 | 電子顕微鏡での観察 |
腎臓 | 腎臓の状態を詳しく調べられる | 特殊な染色法 |
遺伝子検査
遺伝子検査では、家族性のアミロイドーシスの原因となる遺伝子の変化を調べられ、家族の病歴を調べたり、血縁者の検査を考えたりする際の大切な情報です。
アミロイドの種類を詳しく調べるために、特殊な染色方法や最新の分析機器を使用することで、アミロイドーシスの正確な種類を突き止められます。
主な遺伝子検査の対象
- トランスサイレチン遺伝子
- アポリポプロテイン遺伝子
- フィブリノーゲンα鎖遺伝子
- リゾチーム遺伝子
- ゲルソリン遺伝子
アミロイドーシスの治療法と治療薬について
アミロイドーシスの治療は原因となるタンパク質の産生を抑制する化学療法や臓器移植などの根本的治療と臓器障害に対する対症療法を組み合わせて行います。
化学療法による根本的治療アプローチ
原発性ALアミロイドーシスに対する化学療法では、形質細胞を標的とした複数の治療薬を組み合わせることで、異常な免疫グロブリン軽鎖の産生を効果的に抑制することを目指します。
ボルテゾミブやレナリドミドなどのプロテアソーム阻害薬や免疫調節薬は、形質細胞の増殖を抑制するとともに、アミロイド前駆体タンパク質の産生も減少させることから、化学療法における中心的な治療薬です。
デキサメタゾンなどの副腎皮質ステロイド薬は、単独でも形質細胞の増殖抑制効果を持ちますが、他の抗腫瘍薬と併用することでより強力な治療効果を発揮します。
造血幹細胞移植は、高用量の化学療法後に自己の造血幹細胞を移植する治療法であり、若年で全身状態の良好な患者さんにおいて、長期的な治療効果が期待できる治療選択肢です。
治療薬 | 作用機序 | 投与方法 | 併用薬 |
---|---|---|---|
ボルテゾミブ | プロテアソーム阻害 | 皮下注射 | デキサメタゾン |
レナリドミド | 免疫調節 | 経口 | デキサメタゾン |
メルファラン | DNA架橋形成 | 経口/静注 | プレドニゾロン |
臓器移植と集学的治療
肝臓移植は、トランスサイレチン型家族性アミロイドーシスに対する根本的な治療法で、異常なトランスサイレチンの産生源である肝臓を正常な肝臓に置き換えることで、新たなアミロイド沈着を防止できます。
心臓移植は、重度の心アミロイドーシスによる心不全を呈する患者さんにおいて、生命予後を改善させる治療選択肢ですが、ドナー不足や移植後の免疫抑制療法の必要性など、様々な課題もあります。
腎移植は、末期腎不全に至ったアミロイドーシス患者さんにおいて、透析療法からの離脱を目指す治療選択肢です。
新規治療薬の開発状況
抗体療法は、アミロイド線維に特異的に結合する抗体を用いて、すでに沈着したアミロイドの除去を促進する新しい治療アプローチであり、臨床試験において有望な結果が報告されています。
核酸医薬は、異常タンパク質の産生を遺伝子レベルで抑制する革新的な治療薬で、特に遺伝性アミロイドーシスに対する治療効果が期待されています。
また、分子シャペロン安定化薬は、トランスサイレチンの4量体構造を安定化させることで、アミロイド線維への変性を防止する作用を持ち、すでに一部の薬剤は実臨床で使用されています。
新規治療薬 | 開発段階 | 対象病型 | 投与経路 |
---|---|---|---|
抗体薬 | 臨床試験中 | AL型/ATTR型 | 静脈内投与 |
核酸医薬 | 承認済/開発中 | 遺伝性ATTR型 | 皮下注射 |
シャペロン薬 | 承認済 | ATTR型 | 経口 |
薬の副作用や治療のデメリットについて
アミロイドーシスの治療においては、化学療法や臓器移植などの積極的な治療介入に伴い、深刻な副作用やリスクが発生することがあります。
化学療法における副作用とその特徴
化学療法薬の投与に伴う骨髄抑制は、白血球減少や血小板減少を起こし、感染症や出血のリスクを高めることから、定期的な血液検査による経過観察が重要です。
消化器系の副作用として、悪心・嘔吐、食欲不振、下痢などが高頻度で発生し、栄養状態の悪化や体重減少につながります。
副作用の種類 | 発現頻度 | 主な症状 |
---|---|---|
骨髄抑制 | 60-80% | 白血球減少、貧血、血小板減少 |
消化器症状 | 50-70% | 悪心、嘔吐、下痢 |
末梢神経障害 | 30-50% | しびれ、痛み、脱力感 |
腎機能障害 | 20-40% | 浮腫、尿量減少 |
化学療法による末梢神経障害は、手足のしびれや痛み、脱力感として現れ、日常生活動作に支障をきたすことがあるため、早期発見と用量調整が必要です。
臓器移植に関連するリスクと合併症
臓器移植治療では、手術自体のリスクに加えて、移植後の免疫抑制療法に伴う様々な合併症があります。
免疫抑制剤の長期使用により感染症のリスクが上昇するので、日和見感染症の予防と早期発見のための定期的なスクリーニング検査が欠かせません。
移植後の拒絶反応は、急性および慢性の両方が起こる可能性があり、対応として免疫抑制剤の投与量調整や追加治療が必要となります。
術後早期の合併症
- 出血
- 感染症
- 急性拒絶反応
- 創傷治癒遅延
- 血栓症
支持療法における副作用とその対策
支持療法として用いられる様々な薬剤においても、それぞれ特有の副作用があります。
支持療法薬 | 主な副作用 | 対策 |
---|---|---|
利尿薬 | 電解質異常、脱水 | 定期的な血液検査、水分管理 |
鎮痛薬 | 胃腸障害、腎機能低下 | 胃粘膜保護薬の併用、腎機能モニタリング |
抗不整脈薬 | 徐脈、血圧低下 | 心電図モニタリング、血圧管理 |
長期的な合併症と予後への影響
長期的な治療継続に伴い、様々な臓器における二次的な合併症のリスクが上昇します。
- 骨粗鬆症の進行
- 心血管系合併症
- 感染症リスクの上昇
- 二次性悪性腫瘍
- 臓器機能の慢性的な低下
アミロイドーシスの治療において、副作用やリスクを最小限に抑えながら治療効果を最大限に引き出すためには、定期的な経過観察と症状の変化に応じた対応が重要で、医療チームと患者さんの緊密な連携が不可欠です。
保険適用と治療費
以下に記載している治療費(医療費)は目安であり、実際の費用は症状や治療内容、保険適用否により大幅に上回ることがございます。当院では料金に関する以下説明の不備や相違について、一切の責任を負いかねますので、予めご了承ください。
基本的な治療にかかる医療費
化学療法による治療は、数か月から1年以上に及びます。
主な治療内容 | 自己負担額(3割負担の場合) |
---|---|
化学療法(1クール) | 15-30万円 |
免疫グロブリン療法(1回) | 8-12万円 |
移植治療(全体) | 300-500万円 |
定期検査(1回) | 3-5万円 |
薬物療法にかかる費用
分子標的薬による治療は、1回の投与で10万円から20万円程度の費用が必要で、免疫グロブリン療法は、1回の治療で8万円から12万円程度の費用がかかります。
入院時の医療費
入院形態 | 1日あたりの自己負担額(3割負担) |
---|---|
一般病棟 | 3-5万円 |
ICU | 10-15万円 |
無菌室 | 8-12万円 |
特殊治療の費用
臓器移植を伴う治療では、手術費用だけでなく、術前術後の管理費用を含めると300万円から500万円です。
主な治療費の目安
- 分子標的薬治療(1クール) 15-25万円
- 造血幹細胞移植 300-500万円
- 血漿交換療法(1回) 5-8万円
- 透析療法(1回) 2-4万円
- 抗体療法(1クール) 20-30万円
以上
参考文献
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