ミロガバリンベシル酸塩(タリージェ)とは、神経の過剰な興奮を抑えることで、痛みを和らげる治療薬です。特に、傷や炎症が治った後も続くような、神経そのものが原因となって生じる痛みに効果を発揮します。
この種の痛みは神経障害性疼痛と呼ばれ、一般的な痛み止めでは効果が得られにくい特徴があります。
この記事では、タリージェがどのような薬で、どのように作用し、治療を進める上でどのような点に注意すべきかを詳しく解説します。
この記事の執筆者

小林 智子(こばやし ともこ)
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長
2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。
こばとも皮膚科関連医療機関
ミロガバリンベシル酸塩(タリージェ)の有効成分と効果、作用機序
ここでは、タリージェがどのようにしてつらい痛みを和らげるのか、中心となる有効成分の働きと、体内で起こる作用の仕組みについて解説します。
有効成分ミロガバリンベシル酸塩とは
タリージェの有効成分は、ミロガバリンベシル酸塩です。この成分は、神経伝達物質の放出に関わるカルシウムチャネルの働きを調整する作用を持っています。
痛みは様々な刺激が電気信号として神経を伝わり、脳に到達することで認識されますが、神経障害性疼痛では、神経が損傷したり、機能に異常が生じたりすることで、痛みの信号が過剰に発生してしまいます。
ミロガバリンベシル酸塩は、過剰な信号の伝達を抑制することで、痛みを根本から鎮めることを目指す成分です。
神経障害性疼痛に対する効果
タリージェは、主に神経障害性疼痛の治療に用いられます。神経障害性疼痛は、様々な原因で起こり、痛み方も多岐にわたります。
- 帯状疱疹後神経痛: 帯状疱疹の皮膚症状が治った後も、ピリピリ、ジンジンとした焼けるような痛みが残る状態。
- 糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛: 糖尿病の合併症として、手足の先にしびれや痛みが現れる状態。
- 坐骨神経痛: 腰から足にかけて、鋭い痛みやしびれが広がる状態。
- 三叉神経痛: 顔面に激しい痛みが発作的に起こる状態。
痛みを抑える作用機序
私たちの体内では、神経細胞から次の神経細胞へ情報を伝えるために、神経伝達物質が放出されていて、痛みの情報も、この神経伝達物質によって次々と伝えられていきます。
神経が過剰に興奮した状態では、この神経伝達物質が必要以上に放出され、痛みを強く感じてしまいます。 タリージェの有効成分であるミロガバリンは、神経末端に存在するカルシウムチャネルの特定の部位(α2δサブユニット)に強く結合します。
カルシウムイオンが神経細胞内に流入するのを妨げることで、過剰な興奮状態にある神経からの神経伝達物質(グルタミン酸、ノルアドレナリン、サブスタンスPなど)の放出を抑制するのです。
作用の段階 | 詳細 |
---|---|
1. 結合 | 有効成分ミロガバリンが、過剰に興奮した神経のカルシウムチャネル(α2δサブユニット)に結合します。 |
2. 抑制 | 神経細胞内へのカルシウムイオンの流入を抑制します。 |
3. 放出減少 | 痛みを伝える神経伝達物質の過剰な放出を抑えます。 |
4. 鎮痛効果 | 脳へ伝わる痛みの信号が減少し、痛みが緩和されます。 |
効果が現れるまでの時間
タリージェの効果の現れ方には個人差がありますが、一般的には服用を開始してから1週間から2週間ほどで、少しずつ痛みの軽減を実感し始める方が多いです。
ただし、これはあくまで目安であり、十分な効果を得るためには、医師の指示に従って適切な量まで徐々に増量していく必要があります。
すぐに効果が出ないからといって自己判断で服用を中止せず、まずは指示された期間、きちんと服用を続けることが大切です。
使用方法と注意点
タリージェの効果を最大限に引き出し、安全に治療を進めるためには、正しい使用方法を守ることがとても重要です。
基本的な服用方法と用量
タリージェの服用は、通常、少ない量から開始し、患者さんの状態を見ながら徐々に適切な量まで増やしていき、副作用のリスクを抑えながら、効果的な治療を目指します。
段階 | 用量(成人) | 服用回数 |
---|---|---|
初期用量 | 1回5mg | 1日2回 |
増量 | 1週間以上の間隔をあけて5mgずつ段階的に増量 | 1日2回 |
維持用量・最高用量 | 1回15mg | 1日2回 |
飲み忘れた場合の対処法
もし薬を飲み忘れてしまった場合は、気づいた時点ですぐに1回分を服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合(例えば、次の服用まで4時間未満など)は、忘れた分は服用せず、次の決まった時間に1回分だけを服用します。
一度に2回分を服用することは絶対に避けてください。
服用タイミングと食事の影響
タリージェは、1日2回、朝と夕方に服用するのが基本です。食事の影響を受けにくい薬ですので、食前・食後のいずれのタイミングで服用しても効果に大きな差はありません。
ご自身の生活リズムに合わせて、毎日決まった時間に服用することを習慣づけるのが良いでしょう。
自己判断での中断や増減のリスク
治療の途中で痛みが和らいできたと感じても、自己判断で薬の量を減らしたり、服用を中止したりすることは大変危険です。タリージェのような薬は急に中止すると、離脱症状が現れることがあります。
- 不眠
- 吐き気
- 頭痛
- 下痢
- 不安感
症状は、体が薬のある状態に慣れていたところから、急になくなることで生じる反動です。治療を終了する際は、医師が患者さんの状態を慎重に評価し、時間をかけて少しずつ薬の量を減らしていきます。
ミロガバリンベシル酸塩(タリージェ)の適応対象となる患者さん
タリージェは、特定の種類の痛みに対して効果を発揮する薬です。どのような症状や疾患を持つ方がこの薬の治療対象となるのか、見ていきましょう。
主な対象疾患
タリージェが適応となるのは神経障害性疼痛で、神経自体の損傷や機能異常によって引き起こされる痛みの総称です。一般的な痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬など)が効きにくいという特徴があります。
神経障害性疼痛の可能性がある感覚
- 焼けるようなヒリヒリした痛み
- 電気が走るようなビリビリした痛み
- 締め付けられるような痛み
- 針で刺されるようなチクチクした痛み
- 衣服が触れるだけで痛い(アロディニア)
帯状疱疹後神経痛でお悩みの方
帯状疱疹は、水ぼうそうのウイルスが原因で起こり、体の片側に帯状に痛みを伴う発疹が現れます。通常、皮膚の症状は数週間で治りますが、その後も長期間にわたって痛みが続くことがあり、これが帯状疱疹後神経痛です。
ウイルスによって神経が傷つけられたことが原因で、非常に強い痛みが持続し、日常生活に大きな支障をきたします。タリージェは、帯状疱疹後神経痛のつらい痛みを和らげる効果が認められています。
糖尿病性末梢神経障害に伴う痛み
糖尿病の合併症の一つに、手足の末梢神経が障害される糖尿病性末梢神経障害があり、初期にはしびれや感覚の鈍麻が現れますが、進行すると痛みを感じるようになります。
ジンジン、ピリピリとした痛みや、触れるだけで痛いといった症状が特徴です。
この痛みは血糖コントロールだけでは改善が難しく、痛みを専門に治療する薬が必要となります。タリージェは、糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛の治療薬としても承認されています。
腎機能が低下している患者さんへの投与
タリージェの成分は主に腎臓から排泄されるため、腎機能が低下している患者さんでは、薬の成分が体内に長く留まり、副作用が出やすくなる可能性があります。このため、腎機能の程度に応じて、服用する量を慎重に調整することが必要です。
治療開始前や治療中には、血液検査などで腎機能を確認し、患者さん一人ひとりに合わせた適切な用量を設定します。
クレアチニンクリアランス(Ccr) | 初期用量(1回) | 維持用量(1回) |
---|---|---|
60mL/min以上 | 5mg | 15mg |
30mL/min以上60mL/min未満 | 2.5mg | 7.5mg |
30mL/min未満 | 2.5mg | 7.5mg |
血液透析中の患者 | 2.5mg | 7.5mg(透析後に投与) |
腎機能が低下している場合は通常よりも少ない量から開始し、増量もより慎重に行います。
治療期間
タリージェによる治療を始めるにあたり、どのくらいの期間、薬を飲み続ける必要があるのかは、多くの方が気になるところでしょう。ここでは、治療期間の目安や、治療のゴールをどのように設定していくのかについて解説します。
治療期間の目安
神経障害性疼痛の治療は数日で終わるものではなく、ある程度の期間を要することが一般的です。タリージェによる治療期間も、患者さんの症状の重症度や原因、薬への反応性によって大きく異なります。
まず数ヶ月間服用を続け、痛みのコントロール状態や生活の質の改善度合いを評価し、痛みが十分に和らぎ安定した状態が維持できれば、医師と相談の上で、薬の減量や中止を検討していきます。治療期間が1年以上に及ぶことも珍しくありません。
効果判定のタイミング
タリージェを服用し始めてから効果を最終的に判断するまでには、ある程度の時間が必要です。
- 初期評価: 服用開始から2週間~1ヶ月程度で、痛みに何らかの変化があったかを確認します。
- 用量調整期間: 効果が不十分な場合は、副作用の状況を見ながら、数週間から数ヶ月かけて用量を調整します。
- 維持期の評価: 最適な用量で痛みがコントロールできている状態になってから、さらに数ヶ月間、その効果が安定して持続するかを評価します。
効果がないとすぐに諦めるのではなく、適切な用量で十分な期間服用した上で、総合的に効果を判定することが重要です。
治療終了の判断基準
タリージェによる治療のゴールは、必ずしも痛みが完全にゼロになることだけではありません。以下のような点を総合的に評価し、医師と患者さんが相談して治療の終了を判断します。
- 痛みの強さが、日常生活に支障のないレベルまで軽減したか
- 夜間の痛みで睡眠が妨げられなくなったか
- 痛みによって制限されていた活動(散歩、趣味など)が再びできるようになったか
- 薬を減らしても、痛みが再発しないか
痛みが十分にコントロールされ、生活の質が改善された状態が安定して続けば、医師の管理のもとで少しずつ薬の量を減らしていきます。急な中断は離脱症状のリスクがあるため、時間をかけた慎重な減量が必要です。
長期使用における注意点
タリージェは、長期にわたって使用されることがある薬です。長期間使用する場合でも、効果が持続し、安全に治療を続けられることが多くの研究で示されています。
しかし、漫然と服用を続けるのではなく、定期的に医師の診察を受け、治療効果や副作用の有無を確認することが大切です。体重増加や浮腫(むくみ)などの副作用は、長期使用で現れやすくなる可能性があります。
定期的な診察を通じて、治療計画を常に見直し、その時々の状態に合わせた治療を継続していくことが、長期にわたる良好なコントロールにつながります。
ミロガバリンベシル酸塩(タリージェ)の副作用やデメリット
どのような薬にも、期待される効果(ベネフィット)と、副作用(リスク)の両面があります。タリージェも例外ではありません。
主な副作用とその症状
タリージェの服用中に比較的よく見られる副作用は、神経の働きを落ち着かせる作用に関連して現れると考えられています。多くは服用初期や増量時に現れやすく、体が薬に慣れるにつれて軽快していくこともあります。
副作用 | 主な症状 | 発現頻度の目安 |
---|---|---|
傾眠 | 日中の強い眠気、うとうとする | 10%以上 |
浮動性めまい | ふわふわするような、ふらつく感じのめまい | 10%以上 |
浮腫 | 手足や顔のむくみ | 1~10%未満 |
体重増加 | 食欲の変化とは関係なく体重が増える | 1~10%未満 |
意識障害 | ぼーっとする、考えがまとまらない | 1~10%未満 |
症状が軽い場合でも、日常生活に支障をきたすようであれば、我慢せずに医師や薬剤師に相談してください。
特に注意すべき重大な副作用
頻度は非常に低いものの、万が一起こった場合に注意が必要な重大な副作用もあります。以下のような初期症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。
- めまい、傾眠、意識消失: ふらつきや眠気が強く、日常生活に支障が出る場合。特に、転倒による骨折などのリスクに注意が必要です。意識がなくなるようなことがあれば、すぐに受診が必要です。
- 肝機能障害: 体がだるい、食欲がない、皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)などの症状。
- 横紋筋融解症: 筋肉の痛み、脱力感、赤褐色の尿が出るなどの症状。
副作用が現れた場合の対処法
副作用と思われる症状が現れた場合、まずは慌てずに、どのような症状がいつから現れたかを記録しておきましょう。そして、自己判断で薬を中止したりせず、処方を受けた医師や薬剤師に速やかに相談してください。
症状の程度によっては、薬の量を減らしたり、他の薬に変更したりといった対応を検討します。特に、眠気やめまいが強い場合は、転倒などの事故につながる危険性があるため、早めの相談が重要です。
日常生活への影響(眠気やめまい)
タリージェの副作用の中で、特に日常生活への影響が大きいのが眠気やめまいです。症状は、服用している方の10人に1人以上の割合で現れると報告されています。
- 自動車の運転など危険を伴う機械の操作: 眠気やめまい、意識消失などの症状により、重大な事故につながるおそれがあります。タリージェを服用中は、自動車の運転、高所での作業、その他危険を伴う機械の操作は行わないでください。
- 転倒・転落: 特に高齢の患者さんでは、めまいやふらつきによる転倒のリスクが高まります。夜中にトイレに起きる際や、立ち上がる動作の際には、ゆっくりと慎重に行動するように心がけてください。
- 集中力の低下: 眠気や意識がぼんやりすることで、仕事や家事など、普段の活動における集中力が低下することがあります。重要な判断をする際は、体調の良い時に行うなどの工夫が必要です。
影響を最小限にするためにも、治療は少ない量から始め、体の慣れ具合を見ながら慎重に増量していきます。
効果がなかった場合
タリージェは多くの患者さんの痛みを和らげる効果的な薬ですが、すべての方に同じように効果が現れるわけではありません。期待した効果が得られない場合、どうすれば良いのでしょうか。
効果不十分と判断する前に確認すべきこと
効果がないと結論づける前に、いくつか確認すべき点があります。
- 服用期間は十分か: タリージェは効果発現に時間がかかることがあります。少なくとも数週間から1ヶ月程度は服用を続けてみることが必要です。
- 用量は適切か: 効果が不十分な場合、副作用が出ない範囲で、医師が用量を増やしていくことがあります。現在の用量が、その患者さんにとっての最大効果を発揮する量に達していない可能性があります。
- 正しく服用できているか: 飲み忘れが多かったり、自己判断で量を減らしたりしていると、十分な効果は得られません。服用方法を再確認することも大切です。
これらの点を確認した上で、それでも効果が不十分だと判断された場合に、次の治療法を検討します。
他の治療薬への変更
タリージェで効果が得られなかった場合でも、諦める必要はありません。神経障害性疼痛の治療薬には、他にも様々な種類の薬があります。
薬の種類 | 主な薬剤名(商品名) | 特徴 |
---|---|---|
カルシウムチャネルα2δリガンド | プレガバリン(リリカ) | タリージェと同様の作用機序を持つ薬 |
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬) | デュロキセチン(サインバルタ) | 脳内の神経伝達物質のバランスを整える |
三環系抗うつ薬 | アミトリプチリン(トリプタノール)など | 古くから使われている神経障害性疼痛治療薬 |
オピオイド鎮痛薬 | トラマドール(トラマール)など | 他の薬で効果不十分な場合に用いる |
どの薬を選択するかは、患者さんの痛みの種類、合併している他の病気、副作用のリスクなどを総合的に考慮して、医師が判断します。
非薬物療法との組み合わせ
薬による治療だけでなく、他の治療法を組み合わせることで、より高い効果が期待できる場合があります。
- 理学療法・運動療法: 専門家の指導のもとでストレッチや筋力トレーニングを行い、体の機能を改善し、痛みを和らげます。
- 神経ブロック療法: 痛みの原因となっている神経の近くに局所麻酔薬などを注射し、痛みの伝達を遮断する治療法です。
- 認知行動療法: 痛みに対する考え方や行動のパターンを変えることで、痛みの悪循環を断ち切り、生活の質を改善する心理療法です。
- リハビリテーション: 痛みによって低下した身体機能を取り戻し、社会生活への復帰を目指します。
非薬物療法は薬物療法と並行して行うことで、相乗効果が期待できます。
専門医への相談の重要性
痛みの治療は非常に専門性が高く、複雑です。もし現在の治療で思うような効果が得られない場合は、痛みを専門とする医師(ペインクリニック専門医など)に相談することも一つの選択肢です。
ペインクリニックでは、より専門的な診断や、神経ブロック療法をはじめとする多様な治療法を受けることができます。
他の治療薬との併用禁忌
タリージェを服用するにあたり、他に服用している薬がある場合は、飲み合わせに注意が必要です。薬同士が互いに影響し合い、効果が強く出すぎたり弱まったり、予期せぬ副作用が現れたりすることがあります。
併用禁忌の薬はあるか
タリージェには、併用禁忌と定められている薬は、現在のところありません。しかし、禁忌ではないからといって、どんな薬とでも自由に併用して良いわけではありません。
併用に注意が必要な薬
タリージェと併用する際に、特に注意が必要なのは、中枢神経系の働きを抑制する作用を持つ薬です。
タリージェ自体にも眠気やめまいといった中枢神経抑制作用があるため、同様の作用を持つ薬と一緒に服用すると、作用が強く現れすぎてしまう可能性があります。
注意が必要な薬の種類 | 具体例 | 併用による影響 |
---|---|---|
中枢神経抑制剤 | 鎮静薬、催眠薬、抗不安薬、抗てんかん薬など | 眠気、めまい、ふらつき、集中力低下などが強く現れる可能性がある |
アルコール(飲酒) | ビール、日本酒、ワインなど | 中枢神経抑制作用が増強され、眠気やめまいが非常に強く出ることがある |
これらの薬を服用している場合や、日常的に飲酒の習慣がある場合は、必ず事前に医師に伝えてください。医師は、それらの情報を考慮した上で、タリージェの投与を判断したり、用量を調整したりします。
市販薬やサプリメントとの飲み合わせ
病院で処方される医療用医薬品だけでなく、薬局やドラッグストアで購入できる市販薬や、健康のために摂取しているサプリメントとの飲み合わせにも注意が必要です。
- 市販の風邪薬やアレルギーの薬: 抗ヒスタミン成分が含まれているものが多く、眠気を起こすことがあります。タリージェと併用すると、眠気が非常に強くなる可能性があります。
- 鎮静作用のあるハーブティーやサプリメント: セントジョーンズワートなど、一部のハーブには薬の代謝に影響を与えるものがあります。
市販薬やサプリメントを服用する際は、自己判断せず、購入前に医師や薬剤師にタリージェを服用していることを伝え、相談することが大切です。
ミロガバリンベシル酸塩(タリージェ)の保険適用と薬価について
以下に記載している治療費(医療費)は目安であり、実際の費用は症状や治療内容、保険適用否により大幅に上回ることがございます。当院では料金に関する以下説明の不備や相違について、一切の責任を負いかねますので、予めご了承ください。
保険適用の範囲
タリージェは、適応疾患である神経障害性疼痛(帯状疱疹後神経痛、糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛などを含む)の治療目的で処方される場合に、保険が適用されます。
患者さんは医療費の全額ではなく、一部(通常は1割~3割)を負担することで、治療を受けることができます。
タリージェの薬価
規格 | 薬価(1錠あたり) |
---|---|
タリージェ錠2.5mg | 64.10円 |
タリージェ錠5mg | 101.40円 |
タリージェ錠10mg | 150.90円 |
タリージェ錠15mg | 188.40円 |
実際に患者さんが支払う自己負担額は、薬価に、ご自身の負担割合(1割、2割、3割など)を掛けて計算します。
以上
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