052-228-1280 WEB予約 LINE予約

デュタステリド(ザガーロ)

ザガーロ

デュタステリド(ザガーロ)とは、男性型脱毛症(AGA)の治療に用いる内服薬です。

5α還元酵素という酵素の働きを阻害することで、薄毛の進行を抑制し、発毛を促進します。

従来のフィナステリドよりも強力な効果を持つとされ、多くの皮膚科クリニックで処方されています。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

運営ソーシャルメディア(SNSでは「こばとも」と名乗ることもあります)

XYouTubeInstagramLinkedin

著書一覧
経歴・プロフィールページ

こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

デュタステリド(ザガーロ)の有効成分と効果、作用機序

デュタステリドは男性型脱毛症に対して高い効果を示す治療薬として、多くの医療機関で使用されています。この薬剤がどのような仕組みで薄毛を改善するのか、詳しく見ていきましょう。

デュタステリドの有効成分

デュタステリドの主成分は、その名前の通りデュタステリドという化学物質です。この成分は元々、前立腺肥大症の治療薬として開発されました。

前立腺肥大症の治療過程で、患者さんの毛髪が増加する副作用が観察されたことから、男性型脱毛症の治療薬として研究が進められた経緯があります。

項目内容
有効成分名デュタステリド
化学名(5α,17β)-N-{2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル}-3-オキソ-4-アザアンドロスト-1-エン-17-カルボキサミド
分子式C27H30F6N2O2
分子量528.53

デュタステリドは脂溶性の化合物で、経口摂取後に消化管から吸収され血液中に入った後、毛根周辺の組織に到達し、そこで薄毛の原因となる酵素に作用します。

男性型脱毛症のメカニズム

男性型脱毛症の発症には、ジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンが深く関わっています。

通常の男性ホルモンであるテストステロンが、5α還元酵素という酵素の作用でDHTに変換され、DHTが毛根の受容体に結合すると、毛髪の成長期が短縮され、毛根が萎縮していきます。

この過程で重要な役割を果たす5α還元酵素には、1型と2型の2種類があります。従来のフィナステリドは主に2型の5α還元酵素を阻害しますが、デュタステリドは1型と2型の両方を阻害できます。

デュタステリドの作用機序

デュタステリドは5α還元酵素の働きを強力に阻害することで、テストステロンからDHTへの変換を防ぎ、毛根周辺のDHT濃度が低下し、毛髪の成長サイクルが正常化します。

  • DHT産生の抑制:5α還元酵素1型・2型の両方を阻害
  • 毛根の萎縮防止:DHT濃度低下により毛根が健康な状態を維持
  • 成長期の延長:毛髪の成長期が正常な長さに戻る
  • 毛髪の太さ改善:細くなった毛髪が再び太く健康になる

このような作用により、デュタステリドは薄毛の進行を止めるだけでなく、発毛効果も期待できます。

治療効果の特徴

デュタステリドの治療効果にはいくつかの特徴があり、まず、フィナステリドと比較してより強力なDHT抑制効果を示すことです。血中DHT濃度を約90%以上抑制できるとされており、これはフィナステリドの約70%を大きく上回ります。

比較項目デュタステリドフィナステリド
DHT抑制率90%以上約70%
5α還元酵素1型阻害ありなし
5α還元酵素2型阻害ありあり
半減期3-5週間6-8時間

また、デュタステリドは薬剤の半減期が長いという特徴があります。体内に長時間留まるため、安定した治療効果を維持できます。ただし、この特徴は副作用が出現した場合の回復にも時間がかかることを意味します。

治療開始から効果を実感するまでの期間は個人差がありますが、多くの場合3か月から6か月程度で初期効果が現れます。十分な効果を得るためには、最低でも6か月から1年間の継続的な服用が必要です。

使用方法と注意点

デュタステリドを安全かつ効果的に使用するためには、正しい服用方法と注意点を理解することが重要です。

基本的な服用方法

デュタステリドは1日1回、0.5mgのカプセルを経口で服用し、タイミングは食前・食後を問わず、毎日同じ時間であることが推奨されています。

服用する際は、カプセルを噛んだり開けたりせず、そのまま水またはぬるま湯で飲み込みます。カプセルの中身に直接触れず飲むことが重要で、特に女性や子供がカプセルの内容物に触れることは絶対に避けてください。

服用方法の要点詳細
用量1日1回 0.5mg
服用タイミング毎日同じ時間
食事との関係食前・食後問わず
服用方法カプセルのまま水で服用

服用時の具体的な注意事項

デュタステリドを服用する際には、いくつかの注意点があり、まず、服用を忘れた場合の対処法です。1回分を忘れた場合は、気付いた時点で服用してください。

ただし、次回の服用時間が近い場合は、忘れた分は飛ばして次回分から通常通り服用し、2回分をまとめて服用することは危険ですので避けてください。

また、アルコールとの相互作用について注意が必要です。デュタステリド自体はアルコールと直接的な相互作用はありませんが、肝臓での代謝に影響を与える可能性があります。

  • 服用忘れの対処:気付いた時点で服用、次回が近い場合は1回飛ばす
  • アルコール:過度の飲酒は控える
  • 他の薬剤:併用薬について医師に相談
  • カプセルの取り扱い:開封・破損させない

保管方法と取り扱い

デュタステリドの保管には特別な注意が必要です。室温で保管し、直射日光や高温多湿を避けてください。

また、子供の手の届かない場所に保管することが重要で、これは、デュタステリドが胎児の生殖器発達に影響を与える可能性があるためです。

カプセルが破損した場合は、内容物に直接触れないよう注意し、もし触れてしまった場合は、すぐに石鹸と水で十分に洗い流してください。破損したカプセルは使用せず、新しいものと交換します。

定期的な医師との相談

デュタステリドの治療中は、定期的に医師との相談を行うことが大切で、治療開始から3か月後、6か月後、その後は6か月に1回程度の頻度で受診することが一般的です。

受診スケジュール確認事項
治療開始3か月後初期効果の確認、副作用チェック
治療開始6か月後治療効果の評価、継続可否の判断
その後6か月毎継続的な効果・副作用の確認
必要に応じて副作用出現時、体調変化時

また、血液検査を定期的に行うことも重要で、肝機能検査やPSA(前立腺特異抗原)値の測定を行い、薬剤による影響を監視します。

PSA値については、デュタステリド服用により約50%低下することが知られているため、前立腺がんのスクリーニング時には医師にデュタステリド服用中であることを必ず伝えてください。

デュタステリド(ザガーロ)の適応対象となる患者さん

デュタステリドは全ての薄毛患者さんに適用できるわけではありません。

男性型脱毛症の診断基準

デュタステリドの適応となるのは、男性型脱毛症(AGA)と診断された成人男性です。

男性型脱毛症の診断には、ハミルトン・ノーウッド分類やルートヴィヒ分類などの評価基準を用いると、薄毛の進行度を客観的に評価できます。

診断の際には、以下の要素を総合的に判断します。

  • 薄毛の部位:前頭部、頭頂部の特徴的なパターン
  • 進行の仕方:徐々に進行する慢性的な経過
  • 家族歴:両親、祖父母に薄毛の既往
  • 年齢:思春期以降に発症

適応となる患者さんの条件

デュタステリドの適応となる患者さんにはいくつかの条件があり、20歳以上の成人男性であることが必要です。未成年者への使用は安全性が確立されていないため、適応外となります。

また、前立腺がんや肝機能障害のスクリーニングを行う必要があります。特に50歳以上の男性では、前立腺がんのリスクが高くなるため、PSA検査や直腸診を行うことが重要です。

適応条件詳細
年齢20歳以上の成人男性
診断男性型脱毛症の確定診断
前立腺前立腺がんの除外
肝機能重篤な肝機能障害の除外

心血管系疾患を有する患者さんでも、多くの場合デュタステリドの使用は可能です。ただし、重篤な心疾患がある場合は、循環器専門医との連携のもとで慎重に判断します。

適応外となる患者さん

デュタステリドが適応外となる患者さんもいます。デュタステリドは男性ホルモンに作用する薬剤であり、女性に対する安全性と有効性は確立されていません。特に妊娠可能年齢の女性では、胎児への影響を考慮して絶対に使用しないでください。

適応外となる患者さん

  • 女性(妊娠可能年齢の女性は特に禁忌)
  • 20歳未満の男性
  • デュタステリドまたはその他の5α還元酵素阻害薬に対する過敏症の既往
  • 重篤な肝機能障害
  • 前立腺がんが疑われる場合(PSA高値など)

慎重投与が必要な患者さん

一部の患者さんでは、デュタステリドの使用に際して特に慎重な判断が必要です。軽度から中等度の肝機能障害がある患者さんでは、薬剤の代謝が遅延する可能性があるため、定期的な肝機能検査を行いながら慎重に使用します。

高齢者では、一般的に薬剤に対する感受性が高くなることがあり、また、前立腺肥大症を合併している場合も多いため、前立腺の状態を定期的に評価しながら治療を行います。

慎重投与対象注意点
軽度肝機能障害定期的な肝機能検査
高齢者副作用の出現に注意
前立腺肥大症合併前立腺の定期評価
心血管疾患循環器科との連携

うつ病や不安障害などの精神疾患を有する患者さんでも、多くの場合デュタステリドの使用は可能です。

ただし、性機能に関する副作用が精神状態に影響を与える可能性があるため、精神科医との連携のもとで慎重に治療を行うことが望ましいでしょう。

デュタステリド(ザガーロ)の治療期間

デュタステリドによる男性型脱毛症の治療は、長期間にわたる継続的な取り組みが必要です。治療期間と効果の関係について詳しく解説します。

初期効果の出現時期

デュタステリドの治療効果は、服用開始から段階的に現れ、最初に期待できるのは、抜け毛の減少効果です。多くの患者さんで、服用開始から1か月から3か月程度で抜け毛の量が減少し始めます。

毛髪の成長期は通常2年から6年程度ですが、男性型脱毛症では成長期が短縮されていて、デュタステリドにより成長期が正常化するまでには、少なくとも3か月から6か月程度の期間が必要です。

治療期間期待される効果
1-3か月抜け毛の減少
3-6か月初期発毛効果
6-12か月毛髪密度の改善
12か月以上継続的な改善

十分な効果を得るための期間

デュタステリドの十分な治療効果を評価するためには、最低でも6か月から1年間の継続服用が必要とされています。これは、毛髪の成長サイクルと薬剤の作用機序に基づいた期間設定です。

6か月時点での効果評価では主に抜け毛の減少と初期の発毛効果を確認し、この時点で明らかな改善が見られない場合でも、毛髪の成長サイクルを考慮して、さらに6か月程度の継続を検討します。

  • 6か月評価:抜け毛減少と初期発毛の確認
  • 12か月評価:毛髪密度と太さの改善評価
  • 18か月評価:治療継続の最終判断
  • 24か月以降:維持療法として継続

1年経過した時点で、多くの患者さんで治療効果を実感できるようになり、毛髪の本数だけでなく毛髪の太さや質の改善も期待できます。

副作用やデメリット

デュタステリドは有効な治療薬ですが、いくつかの副作用やデメリットがあるので、治療開始前に十分に理解しておくことが大事です。

性機能に関する副作用

デュタステリドで最も注意すべき副作用は、性機能に関する問題です。男性ホルモンの働きを抑制するため、性欲減退、勃起不全、射精障害などが起こる可能性があります。

性欲減退はデュタステリド服用者の約10-15%に見られる副作用で、治療開始から数週間以内に現れることが多く、多くの場合は軽度から中等度の症状です。

完全に性欲がなくなることは稀ですが、以前と比較して性的な関心が低下することがあります。

勃起不全については、服用者の約5-10%に見られます。

性機能副作用発現頻度特徴
性欲減退10-15%軽度から中等度が多い
勃起不全5-10%硬さ・持続時間の低下
射精障害3-5%精液量の減少
乳房の変化1-3%腫大・圧痛

精神的な副作用

近年の研究で、デュタステリドが精神面に与える影響についても報告されていて、うつ症状や不安感、集中力の低下などが一部の患者さんで観察されています。

精神的副作用は、男性ホルモンの低下による直接的な影響と、性機能副作用による二次的な影響の両方が関与していると考えられています。

  • 抑うつ症状:気分の落ち込み、やる気の低下
  • 不安感:漠然とした不安や焦燥感
  • 集中力低下:仕事や日常生活への影響
  • 睡眠障害:入眠困難や中途覚醒

身体的な副作用

デュタステリドによる身体的な副作用として、乳房の変化があります。男性でも乳房の腫大や圧痛を感じることがあり、これは男性ホルモンの低下によりホルモンバランスが変化するためです。

また、肝機能への影響も報告されていて、デュタステリドは肝臓で代謝されるため、肝機能検査値の上昇が見られることがあります。多くの場合は軽度の上昇ですが、定期的な検査により監視が必要です。

身体的副作用症状対応
乳房腫大乳房の大きさ増加経過観察、必要時中止
乳房圧痛触れると痛み症状に応じて対応
肝機能異常検査値上昇定期的な検査
アレルギー皮疹、かゆみ直ちに中止

副作用への対応策

デュタステリドの副作用が出現した場合、まず医師との相談が重要です。副作用の程度や患者さんの状況に応じて、以下のような対応を検討します。

用量調整による対応では、0.5mgから0.25mgへの減量や、隔日投与への変更を行い副作用を軽減しながら、ある程度の治療効果を維持できる場合があります。

休薬期間を設ける方法もあり、一時的に服用を中止し副作用の改善を確認した後、再開するかどうかを判断することが大切です。

他の治療法への変更も選択肢の一つで、フィナステリドへの変更や、外用薬であるミノキシジルとの併用を検討します。

  • 用量調整:0.5mgから0.25mgへの減量
  • 隔日投与:毎日から1日おきの服用
  • 休薬期間:一時的な服用中止
  • 治療変更:他の治療法への転換
  • 対症療法:副作用に対する治療

デュタステリド(ザガーロ)で効果がなかった場合

デュタステリドによる治療で十分な効果が得られない場合、様々な対応策を検討する必要があります。効果不十分な原因を分析し、次の治療方針を決定しましょう。

効果不十分の原因分析

デュタステリドで期待した効果が得られない場合、服用の継続性に問題がある場合が少なくありません。毎日規則正しく服用できているか、服用を忘れる頻度はどの程度か、カプセルを正しく服用できているかなどを確認します。

不規則な服用は血中濃度の変動を起こし、治療効果を減弱させます。

また、治療期間が不十分な場合もあります。デュタステリドの効果判定には最低6か月、十分な効果を評価するには12か月程度が必要です。

効果不十分の原因確認項目
服用方法規則性、服用忘れの頻度
治療期間6か月以上の継続確認
併用薬相互作用の可能性
生活習慣ストレス、睡眠、栄養状態

治療方針の見直し

効果不十分な場合の治療方針見直しではいくつかの選択肢を検討し、まず、用量調整の可能性を評価します。日本では0.5mgが標準用量ですが、海外では1.0mgまで使用される場合があります。

ただし、用量増加は副作用のリスクも高めるため、慎重な判断が必要です。

治療薬の変更も重要な選択肢で、デュタステリドで効果が不十分な場合、フィナステリドに変更することで効果が得られる場合があります。これは、個人の体質や薬剤感受性の違いによるものです。

  • 用量調整:0.5mgから1.0mgへの増量(医師の判断)
  • 薬剤変更:フィナステリドへの変更
  • 併用療法:他の治療法との組み合わせ
  • 治療休止:一時的な休薬後の再開

併用可能な治療法

デュタステリドで効果が不十分な場合、他の治療法との併用を検討し、最も一般的なのは、ミノキシジル外用薬との併用です。ミノキシジルは血管拡張作用により毛根への血流を改善し、デュタステリドとは異なる機序で発毛を促進します。

併用治療作用機序期待効果
ミノキシジル外用血管拡張、毛根活性化発毛促進の相乗効果
低出力レーザー細胞活性化毛根機能改善
メソセラピー有効成分直接注入局所的な高濃度治療
生活習慣改善全身状態の最適化治療効果の向上

低出力レーザー治療(LLLT)も併用可能な治療法です。特定の波長のレーザー光を頭皮に照射することで、毛根の細胞活動を活性化し発毛を促進します。週に数回、専用の機器を使用して治療を行います。

メソセラピーは、有効成分を直接頭皮に注入する治療法です。デュタステリドやミノキシジル、成長因子などを頭皮に直接注射することで、高濃度の薬剤を毛根に届けられます。

他の治療薬との併用禁忌

デュタステリドを使用する際は、他の薬剤との相互作用に注意が必要です。安全な治療のために、併用禁忌や併用注意の薬剤について詳しく理解しておきましょう。

併用禁忌薬剤

デュタステリドには、絶対に併用してはいけない薬剤があり、最も重要なのは、同じ5α還元酵素阻害薬であるフィナステリドとの併用です。これらの薬剤は同じ作用機序を持つため、併用すると副作用のリスクが大幅に増加します。

また、女性ホルモン製剤との併用も禁忌とされています。エストロゲンやプロゲスチンなどの女性ホルモンは、デュタステリドの作用を増強し、予期しない副作用を起こす可能性があります。

強力なCYP3A4阻害薬との併用も避けるべきです。デュタステリドは主に肝臓のCYP3A4という酵素で代謝されるため、酵素を強く阻害する薬剤と併用すると、デュタステリドの血中濃度が異常に上昇する危険があります。

併用禁忌薬剤理由
フィナステリド同一作用機序による副作用増強
女性ホルモン製剤ホルモンバランスの異常
強力なCYP3A4阻害薬血中濃度の異常上昇
他の5α還元酵素阻害薬作用の重複による危険

併用注意薬剤

併用禁忌ではないものの、注意深く使用する必要がある薬剤もあります。中等度のCYP3A4阻害薬は、デュタステリドの血中濃度を上昇させる可能性があるため、併用時は定期的な経過観察が必要です。

抗うつ薬の一部、特にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)との併用では、性機能に関する副作用が増強される可能性があります。両方の薬剤が性機能に影響を与えるため、併用時は特に注意深い観察が必要です。

  • マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン、クラリスロマイシンなど)
  • アゾール系抗真菌薬(イトラコナゾール、ケトコナゾールなど)
  • 一部の抗うつ薬(SSRI、SNRI)
  • カルシウム拮抗薬の一部
  • プロトンポンプ阻害薬

血圧降下薬との併用では、起立性低血圧のリスクが増加する可能性があります。特に高齢者では注意が必要で、定期的な血圧測定と症状の確認を行います。

健康食品やサプリメントとの相互作用

処方薬だけでなく、健康食品やサプリメントとの相互作用にも注意が必要です。特にノコギリヤシ(ソーパルメット)のサプリメントは、5α還元酵素阻害作用があるため、デュタステリドとの併用により作用が重複する可能性があります。

セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)は、CYP3A4を誘導する作用があるため、デュタステリドの血中濃度を低下させることがあります。

うつ症状の改善目的で使用される場合がありますが、デュタステリドとの併用は避けるべきです。

  • ノコギリヤシ:5α還元酵素阻害作用の重複
  • セント・ジョーンズ・ワート:CYP3A4誘導による血中濃度低下
  • グレープフルーツ:CYP3A4阻害による血中濃度上昇
  • 大豆イソフラボン:ホルモン様作用による影響

グレープフルーツやその果汁も、CYP3A4を阻害する作用があるため、デュタステリドの血中濃度を上昇させる可能性があります。大量摂取は避け、適度な量に留めることが推奨されます。

デュタステリド(ザガーロ)の保険適用と薬価について

お読みください

以下に記載している治療費(医療費)は目安であり、実際の費用は症状や治療内容、保険適用否により大幅に上回ることがございます。当院では料金に関する以下説明の不備や相違について、一切の責任を負いかねますので、予めご了承ください。

保険適用の現状

デュタステリド(ザガーロ)は、男性型脱毛症(AGA)の治療薬として承認されていますが、現在のところ保険適用外になります。

これは、男性型脱毛症が生命に関わる疾患ではなく、美容・審美的な観点から治療される疾患と位置づけられているためです。

治療費用の詳細

デュタステリドの治療費用は、薬剤費と診察料で構成されます。保険適用外のため、全額自己負担となります。薬剤費は医療機関によって異なりますが、1か月分(30カプセル)で約8,000円から12,000円程度が一般的です。

初診時は詳しい問診や検査が必要なため、5,000円から10,000円程度の費用がかかることが多く、再診時は比較的安価で、2,000円から5,000円程度になります。

  • 薬剤費:月額8,000円~12,000円
  • 初診料:5,000円~10,000円
  • 再診料:2,000円~5,000円
  • 年間総額:12万円~20万円

費用は医療機関や地域によって差があるため、治療開始前に具体的な費用を確認することが重要です。

以上

参考文献

Olsen EA, Hordinsky M, Whiting D, Stough D, Hobbs S, Ellis ML, Wilson T, Rittmaster RS, Dutasteride Alopecia Research Team. The importance of dual 5α-reductase inhibition in the treatment of male pattern hair loss: results of a randomized placebo-controlled study of dutasteride versus finasteride. Journal of the American Academy of Dermatology. 2006 Dec 1;55(6):1014-23.

Eun HC, Kwon OS, Yeon JH, Shin HS, Kim BY, Ro BI, Cho HK, Sim WY, Lew BL, Lee WS, Park HY. Efficacy, safety, and tolerability of dutasteride 0.5 mg once daily in male patients with male pattern hair loss: a randomized, double-blind, placebo-controlled, phase III study. Journal of the American Academy of Dermatology. 2010 Aug 1;63(2):252-8.

Stough D. Dutasteride improves male pattern hair loss in a randomized study in identical twins. Journal of cosmetic dermatology. 2007 Mar;6(1):9-13.

Arif T, Dorjay K, Adil M, Sami M. Dutasteride in androgenetic alopecia: an update. Current clinical pharmacology. 2017 Feb 1;12(1):31-5.

Tsunemi Y, Irisawa R, Yoshiie H, Brotherton B, Ito H, Tsuboi R, Kawashima M, Manyak M, ARI114264 Study Group. Long‐term safety and efficacy of dutasteride in the treatment of male patients with androgenetic alopecia. The Journal of dermatology. 2016 Sep;43(9):1051-8.

Gupta AK, Venkataraman M, Talukder M, Bamimore MA. Finasteride for hair loss: a review. Journal of Dermatological Treatment. 2022 May 19;33(4):1938-46.

Gupta AK, Talukder M, Williams G. Comparison of oral minoxidil, finasteride, and dutasteride for treating androgenetic alopecia. Journal of Dermatological Treatment. 2022 Oct 3;33(7):2946-62.

Zhou Z, Song S, Gao Z, Wu J, Ma J, Cui Y. The efficacy and safety of dutasteride compared with finasteride in treating men with androgenetic alopecia: a systematic review and meta-analysis. Clinical interventions in aging. 2019 Feb 20:399-406.

Hirshburg JM, Kelsey PA, Therrien CA, Gavino AC, Reichenberg JS. Adverse effects and safety of 5-alpha reductase inhibitors (finasteride, dutasteride): a systematic review. The Journal of clinical and aesthetic dermatology. 2016 Jul 1;9(7):56.

Herz-Ruelas ME, Álvarez-Villalobos NA, Millán-Alanís JM, León-Gutiérrez HD, Ocampo-Garza SS, Gómez-Flores M, Grimalt R. Efficacy of intralesional and oral dutasteride in the treatment of androgenetic alopecia: a systematic review. Skin appendage disorders. 2020 Oct 9;6(6):338-45.

免責事項

当院の医療情報について

当記事は、医療に関する知見を提供することを目的としており、当院への診療の勧誘を意図したものではございません。治療についての最終的な決定は、患者様ご自身の責任で慎重になさるようお願いいたします。

掲載情報の信頼性

当記事の内容は、信頼性の高い医学文献やガイドラインを参考にしていますが、医療情報には変動や不確実性が伴うことをご理解ください。また、情報の正確性には万全を期しておりますが、掲載情報の誤りや第三者による改ざん、通信トラブルなどが生じた場合には、当院は一切責任を負いません。

情報の時限性

掲載されている情報は、記載された日付の時点でのものであり、常に最新の状態を保証するものではありません。情報が更新された場合でも、当院がそれを即座に反映させる保証はございません。

ご利用にあたっての注意

医療情報は日々進化しており、専門的な判断が求められることが多いため、当記事はあくまで一つの参考としてご活用いただき、具体的な治療方針については、お近くの医療機関に相談することをお勧めします。

大垣中央病院・こばとも皮膚科

  • URLをコピーしました!
目次