シナール|シミ(炎症後色素沈着)治療内服薬

シナール

シナールとは、ニキビ跡(炎症後色素沈着)などのシミを薄くする効果が期待できる内服薬です。

有効成分であるアスコルビン酸(ビタミンC)とパントテン酸カルシウムが、メラニンの生成を抑えることでシミの改善を助けます。

ここでは、シナールの特徴や期待される効果、服用方法などについて詳しく説明します。

目次

シミ(炎症後色素沈着)治療内服薬「シナール」の有効成分と効果、作用機序

有効成分

シナールの有効成分は、「アスコルビン酸」と「パントテン酸カルシウム」です。

アスコルビン酸は、水溶性ビタミンであるビタミンCとしても知られる成分で、抗酸化作用があり、赤ピーマンやブロッコリー、芽キャベツ、キウイ、イチゴなどに豊富に含まれています。

一方、パントテン酸カルシウムも水溶性ビタミンであるビタミンB5の一種です。皮膚の健康維持に大切な役割を果たし、レバーや卵などに含まれています。

この2つの成分が協調して働くことで、シミの改善に効果を発揮することに。

作用機序 

シナールの有効成分であるアスコルビン酸は、メラニンの生成を抑制する作用を持っていて、パントテン酸カルシウムアスコルビン酸の働きをサポートします。

それぞれの成分の作用機序

有効成分作用機序
アスコルビン酸抗酸化作用メラニンの生成抑制コラーゲンの生成・維持の補助
パントテン酸カルシウムビタミンCの働きの補助肌のバリア機能回復ストレスへの抵抗力上昇

効果 

アスコルビン酸とパントテン酸カルシウムは、メラニンの生成を抑えることで、シミの改善に寄与します。臨床試験においても、シナールの服用によりシミが薄くなったという報告がありました。

シナールの効果

  • メラニン色素の形成を抑制
  • 既成メラニン色素(シミ)の還元を促進
  • コラーゲンの生成と保持に関与
  • 抗酸化成分として活性酸素を除去 

新たなシミの発生を予防したり、皮膚の健康維持の助けになります。

シナールは食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、妊産婦、授乳婦など)の他に、炎症後の色素沈着に対して保険適用です。

シミ(炎症後色素沈着)治療内服薬「シナール」の使用方法と注意点

使用方法

〈錠〉通常、1回1~3錠を1日1~3回服用。なお、年齢や症状により適宜増減。

〈顆粒〉通常、1回1~3gを1日1~3回服用。なお、年齢や症状により適宜増減。

注意点

シナールは炎症後色素沈着などのシミに対して、効果が出るまで時間がかかります。毎日内服していただくことが大切です。

また、過量に摂取したからといって効果が上がるわけではありません。シナールは水溶性ビタミンで、過量に摂取した分は尿中に排泄されるので、指示された使用量を守りましょう。

特に重大な副作用はありませんが、吐き気や下痢などの消化器症状が現れる可能性があります。体調に異常を感じた際は、速やかに医師や薬剤師にご相談ください。

アスコルビン酸(ビラミンC)は内服により、尿検査や便潜血反応で異常値を示すことがあります。そのため検査をする際には、医師やスタッフにお伝えください。

適応対象となる患者さん

シナールは以下に対して保険適用となります。

  • 食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、妊産婦、授乳婦など)
  • 炎症後の色素沈着(ニキビ痕など)

また、肝斑というシミに対して、トラネキサム酸と併用してシナールを服用することで効果が高まることも報告されています。

お子さんへの使用

小児を対象とした臨床試験は実施されていないため、安全性の確立はされていません。

シミ(炎症後色素沈着)治療内服薬「シナール」の治療期間

シミ治療内服薬「シナール」を使用する際の治療期間は症状などによっても異なりますが、いずれのケースもシナール内服に加えてUVケアを徹底することが大切です。

日焼け止めの塗布、物理的な遮光など、内服中のUVケアによって治療期間は大きく変わってきます。

シナールの標準的な治療期間 

シナールによるシミ治療の標準的な期間は、3~6ヶ月程度とされています。

服用開始から1〜2ヶ月で効果が現れるケースが多いですが、炎症後色素沈着の場合は時間経過とともに薄くなってくることも多いです。

シナールの長期的な予後 

シナールを適切に使用することで、長期的にシミの改善が維持できると考えられています。

臨床試験においても、シナールの服用を終了した後、6ヶ月以上にわたってシミの再発や悪化が抑えられたという報告がありました。

シミ治療内服薬「シナール」の副作用やデメリット

シナールは安全性の高い薬ですが、服用により、いくつかの副作用が現れる可能性があります。

副作用主な症状
胃腸障害胃部不快感、胸やけ、胃痛、下痢
皮膚症状発疹、かゆみ、紅斑

これらの副作用が現れた場合は、速やかに医師に相談してください。

シミ治療内服薬「シナール」で効果がなかった場合

シナールは、雀卵斑や老人性色素斑などのシミに対して高い効果は期待できません。

また、肝斑にはシナール単剤での効果は乏しいです。そのような場合は以下のような治療を検討します。

Qスイッチレーザー

雀卵斑や老人性色素斑に対して有効なのはレーザー治療です。レーザーではシミの原因となるメラニンを破壊する効果があります。

ただし、ダウンタイムも伴うため、広範囲であるときは、IPLが選択されることが多いです。

IPL(光治療)

IPLは「Intense Pulse Light」の略で、幅広い波長の光を照射する治療法です。メラニンを破壊する効果はありませんが、変性させることでシミを薄くする効果が期待できます。

ハイドロキノン配合外用薬 

ハイドロキノンはシミに直接塗布する外用薬です。メラニンの生成を強力に抑制する作用を持つため、局所的なシミの改善に効果的です。治療期間は3〜6ヶ月程度かかります。

トラネキサム酸 

肝斑では、トラネキサム酸の内服薬が有効です。メラニンの生成に関与する酵素の活性を抑制することで、肝斑の改善に効果を発揮。

トラネキサム酸はシナールとは異なる作用機序を持っており、シナールと併用することで、より高い治療効果が期待できます。

他の治療薬との併用禁忌

シナールと併用禁忌となる薬は特にありません。

保険適用と薬価について

シナールが保険適用となるのは、以下の場合です。

・食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、妊産婦、授乳婦など)

・炎症後の色素沈着

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00057121

シナールの薬価

タイプ薬価に基づく薬の価格
シナール配合錠6.2円/錠
シナール配合顆粒6.3円/g

医師の処方箋を受けるためには専門医による診察や診断が必要で、この他、初診料あるいは再診料、処置料などがかかります。

詳しくはお問い合わせください。

参考文献

添付文書 医療用医薬品:シナール

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00057121

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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