ニキビ(尋常性ざ瘡)やそれに伴うニキビ跡は、皮膚科で特によく見る疾患の一つです。
多くの人が一度はニキビに悩んだことがあるのではないでしょうか。
ニキビの原因は環境因子や生活習慣など多岐に渡り、適切な治療およびケアが非常に重要です。
ここではニキビ治療薬の一つである「ベピオゲル」について詳しく解説します。
この記事の執筆者
小林 智子(こばやし ともこ)
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長
2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。
こばとも皮膚科関連医療機関
ベピオゲルの作用機序とその効果
ベピオゲルの有効成分は「過酸化ベンゾイル」です。海外では、1960年代より尋常性ざ瘡(いわゆるニキビ)の治療に広く使われています1)。
日本では2015年に、過酸化ベンゾイル2.5%配合のベピオゲルが発売開始されました。
過酸化ベンゾイルの化学的特徴
過酸化ベンゾイルは、強い酸化剤のひとつです。過酸化ベンゾイルの作用により生じたフリーラジカルが、ニキビの原因となるアクネ菌に対して直接的な抗菌作用を持ち、ニキビの発生を抑えます2)。
抗菌作用の他にも、フリーラジカルが毛穴に詰まった角質などを変性させて、毛穴の詰まりを予防する作用も3)。 主な効果をまとめると以下になります。
- アクネ菌の増殖抑制(抗菌作用):
ニキビの原因となるアクネ菌の増殖を抑制します1)。
- 抗炎症作用:
アクネ菌がもたらす炎症を改善する効果があります。
- ピーリング作用:
古い角質細胞を剥がすことで毛穴詰まりを改善します。
過酸化ベンゾイルの特記すべき点
過酸化ベンゾイルと同様、ニキビの原因となるアクネ菌(P. acnes)の増殖を抑制する効果(抗菌作用)がある薬に抗生剤がありますが、近年不必要な抗生剤使用による薬剤耐性菌が問題となっています。
一方、過酸化ベンゾイルは耐性菌の報告はありません4)。
さらに、過酸化ベンゾイルは毛穴詰まりを改善する効果だけでなく、抗菌作用・抗炎症作用を有するので幅広いタイプのニキビに効果があります。
過酸化ベンゾイルと他のニキビ治療薬との関連
多くのニキビ治療薬と同様に、過酸化ベンゾイルも他の薬剤との併用が推奨されています。
日本では2015年に、過酸化ベンゾイル2.5%配合のベピオゲルが発売された後に抗生剤(クリンダマイシン)との合剤であるデュアック配合ゲルの発売が開始されました。
過酸化ベンゾイルはアダパレンやサリチル酸など、他の主要なニキビへの有効成分との相乗効果が報告されており5)、これらの薬剤と併用することで、ニキビの治療効果がより高まることが期待できます。
参考文献
執筆の根拠にした論文等
1) 菊川義宣「ベピオゲル2.5%」『ファルマシア』第51巻第11号、2015年、1082-1083頁
2) Cunliffe WJ, Holland KT. The effect of benzoyl peroxide on acne. Acta Derm Venereol. 1981;61(3):267-9.
3) Diane Thiboutot, et al. New insights into the management of acne: an update from the Global Alliance to Improve Outcomes in Acne group. J Am Acad Dermatol. 2009;60(5 Suppl):S1-50.
4) 北村正樹「尋常性ざ瘡治療薬 過酸化ベンゾイル含有製剤」『耳鼻咽喉科展望』第58巻第3号、2015年、183-185頁
5) Wei Li, et al. Efficacy and safety of a cream containing octyl salicylic acid, salicylic acid, linoleic acid, nicotinamide, and piroctone olamine combined with 5% benzoyl peroxide in the treatment of acne vulgaris: a randomized controlled study. Chin Med J (Engl). 2022;135(11):1381-1382.
ベピオゲルの使用方法
ベピオゲルは1日1回(夜が望ましい)患部に塗るお薬で、正しい使用方法に従って使っていただくことで、効果を最大限に発揮することができます。
- 清潔な肌へ使う:
ベピオゲルを塗布する前は優しく洗顔を行い、水分をしっかりと拭き取ってください。清潔な肌の状態にすることで、ベピオゲルの浸透がより高まります。
- 適量を使う:
適量を指先に取り出して使用してください。 人差し指の第一関節から指先まで(1FTU)で顔全体カバーすることができますので一つの目安にしてみるといいでしょう。
使用する量が少ないと十分な効果を発揮できない可能性があります。ただし、使い始めに刺激を感じる場合は少量から始めるようにしてください。
- 優しく塗る:
指先に取り出したベピオゲルを、ニキビのある部分に優しく塗布していきます。こすったり、すり込む必要はありません。
また、塗る際は眼周りや唇、粘膜、傷口を避けるように優しく丁寧に薬剤を塗っていきます。
- 毎日使用する:
治療効果を得るためには、毎日のスキンケアの習慣に取り入れ、継続的に使用していくことが大切です。
注意点
ベピオゲルを使用する際の注意点は以下の通りです。
- 他のスキンケア製品や治療薬との併用をする際は、主治医の指示に従う。
- 過度な使用は避け、指示された量を守って使う。
- 眼や口の周りなどの粘膜や傷のある皮膚への直接的な使用は避ける。
- べピオと一緒に保湿もしっかり行うように。 「ノンコメドジェニック」と書かれている保湿剤がおすすめ。
参考文献
6) Dawn Z Eichenfield., et al. Management of Acne Vulgaris: A Review. JAMA. 2021 Nov 23;326(20):2055-2067.
適応対象となる患者さん
ベピオゲルが適応となるのは、日本では基本的に12歳以上の尋常性ざ瘡(いわゆるニキビ)の患者さん。
尋常性ざ瘡の治療ガイドラインにおいて、グレードA(行うよう強く推奨する)です7)。
以下に、ベピオゲルが特に適しているとされる患者さんの特徴や条件について、治療ガイドラインおよびこれまでの経験から詳しくご紹介いたします。
- 軽症から中等症のニキビを持つ患者さん
ベピオゲルは、ニキビの患者さんでも特に軽度から中等度のニキビに効果的です。炎症を伴う前のコメド(面皰 めんぽう)から軽度の赤みや腫れといった炎症を伴うニキビいずれにも8)。
さらに、クリンダマイシンやアダパレンが配合されている薬剤との併用(それぞれデュアック配合ゲル、エピデュオゲル)もガイドラインでは強く推奨されています7)。
- 再発するニキビの予防に
ニキビは一度治ったと思っても再発することはよくあります。これは炎症が落ち着いても依然として毛穴が詰まりやすい状態であることが一つの原因です。
特に抗生剤単独では、繰り返しニキビができてしまうケースが少なくありません。ベピオゲルは毛穴の詰まりを改善する効果があるため、ニキビの再発予防にも有効です9)。
- 他の外用薬に反応しない患者さん
他のニキビ治療薬を使用しても思ったような効果を感じられなかった患者さんでも、ベピオゲルで効果があることも10)。これは、過酸化ベンゾイルが持つ作用が他の薬剤とは異なるためです。
- 治療のアドヒアランスがあまりよくない患者さん
過酸化ベンゾイルは、抗菌作用と毛穴詰まりを改善する作用を併せ持つ薬で、一本で幅広いニキビの状態をカバーします。
そのため男性の患者さんなどスキンケアにあまり慣れていない患者さんでも、比較的簡単に使用することが可能です。
ベピオゲルを使用する前には、必ず皮膚科専門医や薬剤師と相談し、ニキビの状態や肌質、現在使用している他のスキンケア製品との相性などを確認してください。
また、ベピオゲルの使用を開始した後も、万が一皮膚に異常が現れた場合や、あまり効果を感じられない場合は、早めに医療機関を受診し、主治医の指示に従ってください。
参考文献
執筆の根拠にした論文等
7) 日本皮膚科学会 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023
8) Lawrence F Eichenfield., et al. Evidence-based recommendations for the diagnosis and treatment of pediatric acne. Pediatrics. 2013 May;131 Suppl 3:S163-86
9) 川島 眞,流 利孝,桂巻常夫:尋常性痤瘡患者での過酸化ベンゾイルゲル長期投与時(52週間)の安全性および有効性評価 非盲検,ランダム化,多施設共同第III相臨床試験,臨床医薬,2014; 30:669―689.(エビデンスII)
10) Diane Thiboutot., et al. New insights into the management of acne: an update from the Global Alliance to Improve Outcomes in Acne group. J Am Acad Dermatol. 2009 May;60(5 Suppl):S1-50.
ベピオゲル(成分名:過酸化ベンゾイル)は、ニキビでお悩みの多くの患者さんに使用が推奨される薬剤ですが、お子さまやご高齢の方に関しては、注意して使用する必要があります。
お子さまへの使用
12歳未満のお子さまについては、使用禁忌(使用不可能)ではありませんが、12歳未満を対象とした臨床試験が行われていないため、副作用や危険性については未知数です11)。
そのため、ベピオゲル以外の治療法を検討します。主治医がメリットがデメリットを上回ると判断した場合にのみ、12歳未満でも使用することも。
ただし、ベピオゲルは皮膚に刺激を与えることがあるので、小児の薄い皮膚に使用する際には注意が必要です。
ご高齢の方への使用
べピオゲルは年齢が理由で使用できないことはありませんが、ご高齢の方の皮膚は乾燥しやすいなどの傾向があるため、以下の点を考慮する必要があります。
- 皮膚の乾燥:ご高齢の方の皮膚は特に乾燥しやすいため、ベピオゲル使用後の保湿ケアは忘れずに行う。
- 皮膚への刺激:加齢に伴う皮膚の菲薄(ひかく)化や乾燥によって、特に刺激が強く感じられることが。
- 他の疾患の可能性:皮膚の「できもの」が他の病気の可能性も(例:帯状疱疹など)。
また、ベピオゲルを使用した際には、紫外線に細心の注意が必要です。過酸化ベンゾイルは紫外線によって皮膚の乾燥、色素沈着のリスク、皮膚刺激性の増大をもたらすことが報告されています。
ベピオゲルはピーリング作用を持つため12)、塗布している間は普段以上に紫外線ダメージを受けやすい状態です。
皮膚を日光から守るため、日焼け止め(SPF30以上)や帽子/長袖の衣服などでしっかりUV対策を行ってください。
ベピオゲルの使用を検討されるお子さまやご高齢の方、またそのご家族の方は、適切な使用方法や注意点に関して、皮膚科専門医と十分相談し、理解したうえで治療を進めていただけたらと思います。
参考文献
11) 添付文書 医療用医薬品:ベピオ 9.特定の背景を有する患者に対する注意
12) Lawrence Green, et al. The Tolerability Profile of Clindamycin 1%/Benzoyl Peroxide 5% Gel vs. Adapalene 0.1%/Benzoyl Peroxide 2.5% Gel for Facial Acne: Results of Two Randomized, Single-Blind, Split-Face Studies. J Clin Aesthet Dermatol. 2012 May;5(5):16-24.
ベピオゲルの治療期間
ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)は、ニキビでお悩みの患者さんに対して広く使用され、治療ガイドラインにおいても強く推奨されている薬です。
ただし、治療効果を高めるためにはどれくらいの期間塗布すればいいのか、きちんと理解することが非常に重要となります。
初期反応の期間
ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)を初めて使用すると、数日〜2週間程度、一時的に皮膚の赤みやピリピリとした刺激、軽い剥離などの反応が現れることが報告されています13)。
使用を継続することで症状は改善することが多いですが、まずは使用する頻度や量を少なくし、肌が慣れてきたら少しずつ使用頻度や量を増やすようにしてください。
ショートコンタクトセラピーも有効です。具体的には、最初べピオゲルを塗布して15〜30分したら洗い流し、その後保湿などのスキンケアを行うやり方で、肌が慣れてきたら少しずつ肌に置く時間を延ばしていきます。
効果の現れる時期
多くの患者さんでは、ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)は使用開始から平均4週間前後で効果が現れ始めると報告14)。
ただしその効果には個人差があり、人によっては最大の効果を得るために2~4ヶ月間の使用が必要になることもあります。
気を付けていただきたいのは、効果が現れたらといってすぐに中止すると、またニキビができやすい状態に戻ることがあるということです。
最低でも半年から1年はべピオゲルを継続的に塗ることが、ニキビの再発を予防するために重要なポイントとなります。
継続使用についての注意点
- ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)は継続的に使用することで効果が持続しますが、長期間の使用による皮膚の過度な乾燥や刺激を防ぐため、適切な保湿ケアを忘れずに。
- 治療効果が現れた後も、定期的に皮膚科専門医の診察を受けることで、薬剤の調整や他の治療法への変更をスムーズに行うことが可能。
- ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)使用中に皮膚の異常な反応や刺激が持続する場合は、使用を一旦中止し、主治医に相談。
参考文献
13) Dikicier BS, et al. Topical treatment of acne vulgaris: efficiency, side effects, and adherence rate. J Int Med Res. 2019;47(7):2987-2992.
14)Patrida Lubtikulthum, et al. A comparative study on the effectiveness of herbal extracts vs 2.5% benzoyl peroxide in the treatment of mild to moderate acne vulgaris. J Cosmet Dermatol. 2019;18(6):1767-1775.
ベピオゲルの副作用やデメリット・使用上の注意点
ベピオゲルの主成分である過酸化ベンゾイルは、ニキビに対して効果的な作用を持つ反面、副作用やデメリットも存在します。
ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)の主な副作用
副作用の種類 | 詳細 |
---|---|
皮膚の乾燥 | 長期的な使用や肌質などに影響を受ける |
皮膚の赤み | 使用開始後数日で出現するケースが多い |
軽度の刺激感 | 特に使用開始初期には、皮膚刺激性を感じやすい |
過敏症 (アレルギー) | 500に1人程度で、かぶれる人が15) |
脱色作用 | 衣服につくと色が抜ける |
使用上の注意点
ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)の使用中は以下の点に気をつけることで、副作用のリスクを軽減できます。
- 使用開始まもなくは少量から始め、皮膚の反応をよく観察。特に赤みやかゆみが強い場合はアレルギーの可能性もありますので一旦使用を中止し、医師の診察を。
- 過度な使用は、皮膚の乾燥や刺激を引き起こす可能性があるので、指示された使用量と頻度を守る。
- 日中の使用時には、日焼け止めを併用することで、紫外線によるダメージを予防。1/3の方が紫外線の暴露で皮膚症状が16)。
- 他の皮膚治療薬やスキンケア化粧品との併用時には、互いの作用が弱ったり、刺激が増大されることも。
デメリット
ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)の使用には、以下のようなデメリットも考えられます。
- 過酸化ベンゾイルの副作用には脱色作用が。衣類や寝具、髪の毛につくと色が抜けてしまうことがあるため、普段は手の届かないところにしまい、使用後は手をしっかりと洗う。
- 非常に不安定な成分のため、冷所保管が基本。直射日光が当たらない25℃以下の暗所で保管。
- 長期間の使用により、肌の乾燥が進行する可能性。
参考文献
15) Cunliffe WJ, Burke B. Benzoyl peroxide: lack of sensitization. Acta Derm Venereol.1982; 62 (5): 458–9.
16) Jeanmougin M, et al.[Phototoxic activity of 5% benzoyl peroxide in man. Use of a new methodology]. Dermatologica.1983; 167 (1): 19–23.
ベピオゲルに効果がなかった場合
残念ながら、ベピオゲルを使用しても思うような効果が得られない可能性も。ここでは、そのような場合の対応法についてご紹介いたします。
- ローションタイプに変更する
べピオゲルを使用しても効果がなかったとおっしゃる患者さんの多くは、べピオゲルの刺激感によって十分に使用できなかった、というケース。そのような場合は最近発売されたべピオローションにまず変更してみることが多いです。
べピオローションはべピオゲルと同様に過酸化ベンゾイルが2.5%配合された外用薬で、べピオゲルよりも刺激感が少ないことが報告されており17)、使用感もゲルより伸びがよく塗り広げやすい特徴があります。
- ショートコンタクトセラピーを試す
刺激によって使用できない患者さんの中には、ショートコンタクトセラピーが有効なケースも。べピオゲルを患部に塗布して15〜30分たったら洗顔料で洗い流す方法で、肌が慣れてきたら少しずつ薬を置く時間を長くしていきます。
- 他の薬に変更する・併用する
患者さんの中には、かぶれ(アレルギー)が原因でべピオが使用できず、結果として効果を認めなかった、というケースもあります。
また、嚢腫(のうしゅ)や硬結(こうけつ)を認めるような比較的重症型の集簇性ざ瘡(しゅうぞくせいざそう)の場合は、べピオゲルだけでは改善は難しいことが多いので、他の薬への変更または併用を検討します。
代替治療薬の一覧と特徴
代替治療薬 | 主な特徴及び用途 |
---|---|
アダパレン | レチノイド様作用で毛穴の詰まりを減らす18) |
抗生剤(外用・内服) | 菌作用、抗炎症作用によってニキビの炎症を改善 |
アゼライン酸 | 抗菌作用、抗炎症作用、角化異常の改善があり、妊娠中でも使用できる19)(日本においては化粧品扱い) |
イソトレチノイン | 皮脂の分泌を強力に抑える |
使用上の注意点
上記の代替治療薬も、それぞれ使用上の注意点があります。
- いずれの治療薬も、適切な使用量と頻度を守ることが重要。
- イソトレチノインを服用する際は、ベピオゲルを併用すると刺激になるので基本的にイソトレチノインのみ服用。
- 初めて使用する薬は、使用前に小さな部位でのパッチテストを行い、アレルギーや刺激の反応を確認。
- 効果が現れるまでには数週間を要する薬もあるため、自己判断で中断せず、主治医と相談しながら継続的な使用を心掛ける。
参考文献
17) マルホ ベピオローション2.5%の尋常性ざ瘡患者を対象とした12週間の第Ⅲ相臨床試験
18) Aura Rusu, et al. Recent Advances Regarding the Therapeutic Potential of Adapalene. Pharmaceuticals (Basel). 2020;13(9):217.
19) Haibo Liu, et al. Topical azelaic acid, salicylic acid, nicotinamide, sulphur, zinc and fruit acid (alpha-hydroxy acid) for acne. Cochrane Database Syst Rev. 2020;5(5):CD011368.
他の治療薬との併用禁忌
ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)と併用禁忌の薬はありませんが、同時に使用するのに注意が必要な薬はあります。
アダパレンやアゼライン酸など一部の薬は、べピオゲルとの併用によって皮膚刺激症状が増えることがあるため、注意しながら使用してください。特に併用に注意が必要な薬や化粧品には以下のようなものがあります。
- トレチノイン
ベピオゲルと同時にトレチノイン(レチノイン酸)を含む薬剤を使用すると、それぞれの効果が弱くなってしまうことが報告20)。
過酸化ベンゾイルが強い酸化作用を有するため、トレチノインが分解されてしまうためと考えられています。それだけでなく、併用によって肌の過度な乾燥や刺激を引き起こす可能性も。
- サリチル酸
サリチル酸は、角質を柔らかくして取り除き、毛穴の詰まりを解消するピーリング効果があります。しかしベピオゲルとの併用は、皮膚の赤みや刺激を増強させる恐れがあるため、注意が必要です21)。
- アルコール成分を含む製品
ベピオゲルとアルコール成分を含む製品(例:一部の化粧水など)との併用は、皮膚の過度な乾燥や刺激を引き起こす可能性が。
併用することによって、皮膚のバリア機能が低下し、外部刺激に対して敏感になる可能性のあることが報告されています22)。
ベピオゲルを使用する際には、他の治療薬やスキンケア製品との併用に注意が必要です。皮膚の状態や普段使用している製品の成分を確認したうえで、主治医のアドバイスを受けながら適切なケアを心がけてください。
参考文献
20) Martin B, et al. Chemical stability of adapalene and tretinoin when combined with benzoyl peroxide in presence and in absence of visible light and ultraviolet radiation. Br J Dermatol. 1998; Suppl 52:8-11.
21) Li Wei, et al..Efficacy and safety of a cream containing octyl salicylic acid, salicylic acid, linoleic acid, nicotinamide, and piroctone olamine combined with 5% benzoyl peroxide in the treatment of acne vulgaris: a randomized controlled study. Chin Med J (Engl). 2022 ;135(11):1381-1382.
22) Leena Chularojanamontri, et al. Moisturizers for Acne: What are their Constituents?. J Clin Aesthet Dermatol. 2014;7(5):36-44.
保険適用について
ベピオゲル(成分名:過酸化ベンゾイル)は、尋常性ざ瘡に対して保険が適用されます。
ベピオゲル2.5%が93.4円/gで、ベピオローション2.5%は98.1円/g、です。容量はベピオゲルは15gと30gがあり、ベピオローションは15gとなります。
ベピオゲル15g | ベピオゲル30g | ベピオローション15g | |
---|---|---|---|
薬価 | 1,401円 | 2,802円 | 1,471円 |
1割負担 | 140円 | 280円 | 147円 |
2割負担 | 280円 | 560円 | 284円 |
3割負担 | 420円 | 840円 | 441円 |
上記に加えて、初診料や再診料などがかかります。詳しくはお問い合わせください。
参考文献
23) 添付文書情報 医療用医薬品:ベピオ 3.組成・性状