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とびひの水ぶくれは潰すべき?中身の液体はうつる?広げないための正しい処置

とびひの水ぶくれは潰すべき?中身の液体はうつる?広げないための正しい処置

とびひの水ぶくれを潰すと、症状が劇的に悪化するため絶対に避けてください。内部の液体には大量の細菌が含まれており、それが周囲に付着することで次々と新しい病変が全身へ広がってしまうリスクがあります。

本記事では、とびひの正しい処置方法や周囲への感染を防ぐための日常生活の工夫を詳しく解説します。無理に潰さず、清潔を保ちながら適切な軟膏やガーゼを使用することが、跡を残さず早期回復するための鍵です。

お子さんや自分自身の肌を守るために正しい知識を身につけ、早めの対応を検討してください。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

とびひの水ぶくれを自分で潰すと症状が広がる理由

とびひの水ぶくれを無理に潰すと、中にある細菌を大量に含んだ液体が周囲の健康な皮膚に付着し、この液体が新たな感染の火種となり、火事の火の粉が飛ぶように、症状を瞬く間に悪化させてしまいます。

自らの手で細菌を塗り広げる行為は、症状を全身へ拡大させる深刻なリスクを伴うため厳禁です。万が一自然に破れた場合も同様に、速やかな洗浄と適切な保護を徹底しましょう。

細菌が密集する液体の危険性

とびひの大きな特徴である水ぶくれの内部には、黄色ブドウ球菌などの細菌が異常なほど密集しています。この液体は、いわば細菌の濃縮液のような非常に危険な状態で、わずかな量でも感染を成立させる力があります。

ほんの少し皮膚に付いただけで、目に見えない小さな傷口や毛穴から菌が容易に侵入し、わずか数時間から数日で新しい水ぶくれを作り、被害を爆発的に拡大させていくのが、この病気の最も恐ろしい性質です。

自分で潰すことは、強力な感染源を広範囲にばらまくのと同じで、細菌の活動を活発にさせ、治癒を大幅に遅らせる最大の原因を自ら作ってしまうことになります。絶対に指で押したりしないでください。

皮膚の表面にあるバリアが壊れると、外部刺激に対する防御機能が一切働かなくなります。細菌はその隙を突いて真皮の奥深くまで入り込み、当初の炎症よりもさらに深刻で痛みの強い状態へと変えてしまいます。

細菌はタンパク質を分解する特殊な酵素を放出し、健康な皮膚の接着を次々と剥がしていき、水ぶくれはどんどん巨大化し、家庭でのケアだけでは手のつけられない状態へと急速に進行します。

指先や爪から全身へ感染が広がる仕組み

水ぶくれを触ったり潰したりした指先には、目に見えない無数の細菌がこびりつきます。その汚染された手で体の他の部位を無意識に触ると、菌が容易に移動して、数日後には新しい感染地を作ることになります。

特に鼻の周りや脇の下、膝の裏など、皮膚が柔らかく湿り気のある場所は感染しやすいです。汗が溜まりやすい部位も細菌の定着を助けるため、夏場などは特に対策を講じないと一気に全身へ飛び火してしまいます。

一箇所だったとびひが全身へ広がる原因の多くは、この直接的な接触によるものです。患部にはなるべく手を触れないようにしましょう。

爪の間に入り込んだ細菌は、石鹸を使わない限り数時間以上も生存し続けることがあり、そのまま食事をしたり着替えをしたりするだけで、家中のあらゆる場所に感染経路を広げてしまうリスクが非常に高いです。

子供の場合、寝ている間に無意識に患部を触り、その手で顔を強くこすってしまい、これが原因で、朝起きると顔中がジュクジュクに腫れ上がってしまいます。

傷口から二次感染を引き起こすリスク

無理に水ぶくれを剥がしたり潰したりすると、皮膚のバリア機能が完全に失われた生傷が露出し、そこから黄色ブドウ球菌以外の別の雑菌が入り込み、化膿や蜂窩織炎などの深刻な二次感染を招く恐れがあります。

炎症がひどくなると、治った後に茶色い跡や凹凸が残りやすくなるデメリットもあります。正常な治癒過程を邪魔しないことが、最短期間で肌を元の状態へ治すための鉄則です。

水ぶくれの膜は、自然に新しい皮膚が下で出来上がるまで天然の保護剤として機能します。これを早期に失うことは、大切な防御壁を自ら取り払うようなものです。見た目が気になっても、自然に乾くのを待ちましょう。

中身の液体がうつる仕組みと周囲への感染経路

とびひの液体には、皮膚の細胞を結合させているタンパク質を分解する毒素が含まれています。これが周囲の細胞を次々と壊して水ぶくれを巨大化させ、健康な肌を侵食しながら感染範囲を広げていく仕組みです。

毒素と生きた細菌が混じり合った液体が、直接的あるいは間接的に他人の肌に触れることで、家族間や学校などの集団生活の場で一気に感染が拡大します。特に小さな子供がいる環境では、細心の注意が必要です。

直接触れることで発生する接触感染

最も頻繁に見られる感染経路は、患部や漏れ出た液体に直接触れることによる接触感染です。兄弟で激しく遊んでいる時や、スポーツでの身体接触など、素肌が触れ合う場面では常に高いリスクがつきまといます。

夏場は肌の露出が多くなり、汗で皮膚が湿っています。細菌が付着しやすく、さらに増殖しやすい環境が整っているため、たとえ短時間の接触であっても感染が容易に成立してしまう点に注意してください。

たとえ一滴の液体であっても、相手の肌に小さな傷や湿疹があれば容易に侵入します。相手が健康そうに見えても、目に見えない微細な傷があれば、そこが細菌にとって絶好の侵入口となってしまうのです。

格闘技やサッカーといった接触の多いスポーツ現場では、一人の発症からチーム全体へ蔓延します。集団内での集団感染を防ぐには、初期段階での隔離と患部の完全な保護が、組織運営上の必須事項です。

タオルや寝具を介した間接的な広がり

液体はタオルや枕カバー、シーツなどの布製品にも容易に付着し、そこで数時間生存します。家族で共有していると、液体が付着した場所を介して、本人が触れていない他の人へも菌が次々と移ります。

とびひの菌は湿った暖かい環境を好むため、使用後の濡れたタオルは特に繁殖しやすい場所で、洗濯すれば菌は死滅しますが、洗う前の共有は家族全員にうつす原因になるため、絶対に避けるべき悪習です。

共用部分を介して、本人の他の部位や家族へとうつるケースが多く見られます。面倒でもタオルを個別に分け、管理を徹底することが、家庭内でのドミノ倒しのような連鎖感染を防ぐための唯一で確実な方法です。

パジャマや衣類についても、一度袖を通したものは他の衣類と分けて管理しましょう。細菌は繊維の隙間で生き延びるため、他の洗濯物と一緒に長時間放置せず、速やかに洗濯して乾燥させてください。

枕カバーに付着した菌は、寝返りを打つたびに顔の他の場所へ移動し、翌朝の悪化を招きます。毎晩交換するか、使い捨ての清潔なタオルを敷いて、顔周りの衛生環境を常に高く保つ工夫が非常に有効です。

プールの水や共有のおもちゃによるリスク

公共の場でも感染のリスクは常に存在しています。水ぶくれが露出した状態でプールに入ると、ビート板や椅子の共有によって、自分でも気づかないうちに多くの人へ菌を広げてしまう加害者側になる恐れがあります。

更衣室での接触や、共有のドライヤー使用なども感染源になる可能性があります。周囲に広げないマナーとして、患部を絶対に露出させないよう、ガーゼと防水フィルム等で工夫することが何よりも大切です。

保育園や幼稚園での共有おもちゃも、液体が付着した手で触れることで汚染されます。次に触った子が目をこすったり鼻を触ったりすれば、そこから新たな発症が始まり、クラス全体へと波及してしまいます。

砂場遊びなどの屋外活動も、砂の中に混じる多種多様な雑菌と相まって症状の悪化を招きます。細かい粒子が傷口に入り込むと洗浄が非常に困難になり、治癒を数週間単位で遅らせる原因にもなりかねません。

日常生活で菌の移動を防ぐためのポイント

対策項目具体的なアクション得られるメリット
タオルの使用一人一枚ずつ専用の物を準備家族への二次感染を物理的に防ぐ
お風呂の入り方シャワーのみで済ませ湯船は避ける浴室全体への菌の拡散を抑制する
爪のケア最短まで切り揃えてやすりをかける掻き壊しによる全身への飛び火を防ぐ

水ぶくれを広げないための正しい洗浄とスキンケア

とびひの治療において最も優先すべきなのは、患部を常に清潔に保つことです。皮膚表面の細菌の数を物理的に洗い流して減らすことで、後で塗る薬の効果を最大限に引き出し、完治を早めることが可能になります。

石鹸をしっかり泡立てて、患部をこすらずに洗う習慣を今日から身につけてください。感染を広げる液体や付着した菌を安全に取り除くことが、炎症を鎮め、新しい水ぶくれを作らせないための第一歩となります。

石鹸をたっぷり泡立てて優しく洗う技術

洗浄の際、直接手で患部をゴシゴシこするのは絶対に避けてください。泡立てネットなどを使って、弾力のあるきめ細かな泡を大量に作り、患部の上にそっと乗せるようにして洗うのが正しい作法です。

泡が細菌や滲み出た液体を包み込んで吸着してくれるため、軽く触れる程度で洗浄効果は十分にあります。シャワーの温度は人肌程度のぬるめに設定し、強い水圧を患部に直接当てないよう細心の配慮をしましょう。

丁寧なすすぎも忘れてはいけない重要なプロセスです。石鹸成分が少しでも肌に残ると強い刺激になり、かえって炎症を悪化させてしまう可能性があるため、鏡などで見ながらヌルつきが消えるまでしっかり流します。

石鹸の種類は、殺菌効果が強すぎるものよりも、肌の潤いを守る低刺激タイプを選びましょう。健康なバリア機能を壊さずに汚れだけを効率よく落とすのが、とびひ治療における本当の意味での正しい洗浄です。

水分を拭き取るときの細心の注意

洗い終わった直後の皮膚は水分を含み、非常にデリケートで傷つきやすい状態です。タオルで拭くときは、決して横に滑らせて肌を摩擦してはいけないという鉄のルールを、家族全員で徹底して共有してください。

清潔な乾いたタオルを患部に優しく押し当て、水分をタオル側に吸い込ませるようにして乾かします。このとき、患部を拭いた面をそのまま体の他の部位に使わないよう、タオルの当てる場所を工夫することが重要です。

衛生面を重視するなら、使い捨てのペーパータオルを利用してもよいでしょう。付着した細菌をそのままゴミ箱へ捨てられるため、タオルの洗濯による手間や家族への感染リスクを劇的に減らせます。

拭き残しがあって肌が湿ったままだと、そこが蒸れて細菌の温床になってしまいます。指の間や膝の裏、脇の下など、水分が残りやすい関節部分は、特に時間をかけて丁寧に乾燥状態をチェックするようにしてください。

シャワー後の適切な乾燥と保湿のバランス

洗浄後は細菌の増殖を抑えるために皮膚をしっかり乾かす必要がありますが、過度な乾燥は禁物です。肌がカサカサになりすぎると強い痒みが生じ、結果として掻き壊しを誘発して症状を再燃させてしまいます。

医師から指示された軟膏がある場合は、肌が乾いた直後のタイミングで塗布してください。とびひの周囲にある健康な皮膚については、通常の低刺激な保湿ケアを行い、肌全体のバリア機能を維持することが大切です。

塗る順番にも最新の注意を払い、まずは清潔な場所の保湿から行いましょう。最後に患部へ専用の薬を塗るルーチンを守ることで、指を介して細菌を他の場所に広げてしまうリスクを最小限に抑え込むことができます。

保湿剤の種類についても、極力香料や保存料が含まれていない低刺激なものを選び、余計な成分が入っていないシンプルな製品が、傷ついた肌の再生を静かにサポートし、回復を後押ししてくれます。

乾燥が特に激しい冬場などは、ワセリンなどの油分で蓋をして肌を守ることも有効な手段です。ただし、ジュクジュクしている進行中の患部には自己判断で塗らず、必ず医師の指示に従った薬剤を使用してください。

軟膏とガーゼを使った正しい患部の保護手順

とびひのさらなる拡大を防ぐための決定打は、患部を完全に覆い隠して外部と遮断する処置にあります。適切な軟膏を塗り、その上をガーゼで密閉することで、感染源である液体の漏れを完全にシャットアウトします。

この処置は、無意識の掻きむしりから肌を物理的に守る効果もあり、患者自身の安心感にもつながります。正しい処置を毎日継続すれば、細菌の活動が抑制され、傷口の乾燥が目に見えて早まっていくのが分かります。

厚めに塗る軟膏の効果的な使用法

医師から処方された抗生物質入りの軟膏は、ケチらずに厚めにたっぷりと乗せるのが使い方のコツです。皮膚表面での菌の増殖を抑えるだけでなく、ガーゼが傷口に直接張り付くのを防ぐクッションの役割も果たします。

清潔な綿棒を使い、水ぶくれ本体とその周辺の赤みがある部分まで、円を描くように塗り広げましょう。直接指で塗る場合は、前後に必ず石鹸で手を洗い、二次感染や他部位への伝播を徹底的に防止してください。

塗り広げる際も、患部の中央から外側に向かって、なでるように一度だけ滑らせるのが理想的で、何度も往復してこすると、せっかく塗った薬を剥ぎ取ったり、肌に微細な傷をつけたりする恐れがあるため要注意です。

薬の量が少なすぎると、ガーゼが乾燥した傷口に固着してしまい、剥がす際に激痛を伴ったり再出血させたりします。たっぷりと使うことで、保護膜としての機能が十分に発揮され、痛みなくケアを続けることができます。

液体の漏れを防ぐガーゼの固定術

ガーゼは患部のサイズよりも二回りほど大きいものを選んで、余裕を持って準備してください。水ぶくれが破れて液体が外に出やすい時期は、数枚重ねて厚みを出し、吸水性とクッション性を高める工夫が必要です。

固定するテープは、毎日使うものなので、肌に優しいサージカルテープを選びましょう。貼り替えるたびに少しずつ貼る位置をずらすことで、テープかぶれや不快な肌荒れを未然に防ぎ、治療中のストレスを軽減できます。

もし液体がガーゼの表面まで染み出してきたら、それはすぐに交換すべきという重要なサインです。菌が外に漏れ出している状態なので、放置すると服や布団を汚染し、再感染や家族への伝染を招くことになります。

四隅をテープでしっかり止めるだけでなく、どこかに隙間がないか入念に確認してください。特に関節部分は体の動きが激しいため、皮膚の伸び縮みに合わせて少し余裕を持たせつつ、密着させます。

テープを剥がす際に強い痛みを感じる場合は、お湯で少し湿らせて粘着力を弱めてから剥がしましょう。特に子供の薄い皮膚はデリケートなため、テープを剥がす刺激だけで新しい傷ができてしまうことがあります。

包帯やネットを活用した物理的な遮断

お子さんの場合、不快感から寝ている間に無意識にガーゼを剥がしてしまうことがよくあります。これを防ぐために、ガーゼの上から筒状の包帯や伸縮ネットを被せると、保護の確実性が格段にアップします。

物理的に患部に触れない環境を強制的に作ることで、爪の中に菌が入り込むのを未然に防ぎ、他部位への「飛び火」を強力にブロックできるため、結果として完治までの期間を大幅に短縮することができます。

見た目は少し大掛かりになりますが、徹底した隔離姿勢こそが完治への最短ルートです。特に痒みが強くなる夜間は、二重の保護処置を行うことで、本人だけでなく家族全員の安眠を守ることにもつながります。

包帯を巻く際は、きつすぎると血流を妨げてしまうため、指一本がスッと入る程度の余裕を持たせましょう。内部が蒸れすぎないよう、通気性の良い綿素材やメッシュ状のネットを上手に併用するのがコツです。

腕や足などの四肢であれば、包帯を巻くことで外出時の衣服への菌付着も同時に防ぐことができます。洗濯物の二次汚染を減らすという家事の観点からも、包帯によるカバーは非常にメリットの大きい選択です。

とびひを悪化させないための日常生活での禁止事項

とびひの治療期間中は、良かれと思って続けている普段の習慣が、回復を遅らせていることがあります。特に入浴や運動といった基本的な生活習慣の中に、感染を広げる罠が数多く隠されているので注意が必要です。

制限すべきことを正しく理解し、完治するまでの短い期間だけは家庭内ルールを厳守してください。この徹底した管理こそが、自分自身と大切な家族の健康を二次被害から守るための、最も重要なマナーです。

浴槽での入浴や兄弟との混浴

とびひの症状が出ている間、家族と同じ浴槽に浸かることは絶対に避けなければなりません。上がった後の濡れた床や共有の椅子、洗い場のマットなど、あらゆる共用部分から家族へ感染が拡大するリスクがあるためです。

お湯に浸かって体温が上がると、炎症部分の痒みが激化し、我慢できなくなります。これが掻き壊しを誘発して重症化させるため、完治の診断が出るまでは、潔くシャワーだけで済ませましょう。

お風呂に入る順番は、とびひのある人が必ず最後になるように家族で時間を調整してください。入浴が終わった後は、浴室の床や椅子を熱めのシャワーで入念に流し、菌が残らないよう清潔な状態を保つのが理想的です。

浴室内に置いている子供のおもちゃ等も、この治療期間中だけは一旦撤去しておきましょう。プラスチックの細部に潜んだ細菌を完全に取り除くのは難しいため、物理的にリスクを排除する工夫が家庭内では必要です。

温泉や銭湯、ホテルの大浴場といった公共施設への利用は、完全に治るまで自粛するのが最低限のエチケットです。自分の菌を不特定多数に広めるだけでなく、弱った肌に他人の菌がついて悪化する恐れもあります。

絆創膏による長時間の密閉

小さな水ぶくれを見つけた際、市販の絆創膏でペタッと蓋をするのは、かえって症状を悪化させる場合があります。一般的な絆創膏は通気性が不十分なものが多く、内部が蒸れて細菌が爆発的に増えてしまう環境を作るからです。

また、粘着力が強すぎると、剥がす時に大切な水ぶくれの膜まで一緒に剥ぎ取ってしまい、生傷を露出させてしまいます。必ず通気性に優れた専用のガーゼとテープを使用し、内部の空気が適切に入れ替わるようにしましょう。

高温多湿な蒸れた環境は、細菌にとってこれ以上ない最高の繁殖場所になってしまいます。湿気がこもることで激しい痒みも引き起こされ、治療を妨げる悪循環に陥る危険性が非常に高いことを常に意識してください。

最近流行のハイドロコロイド素材のパッド等も、とびひのような細菌感染症には原則として不向きです。細菌が密閉された暖かい空間で培養されるような状態になり、わずか一晩で驚くほど悪化することがよくあります。

激しい運動やプール活動の継続

運動をして大量の汗をかくと、皮膚の常在菌バランスが崩れ、とびひの原因菌が勢力を強めてしまいます。運動中の意図しない接触は他人に菌をうつす最大の原因であり、集団生活における重大なマナー違反となります。

学校や園のプールの授業については、完全にかさぶたになり、医師から許可が出るまで必ず休んでください。無理をして続けると体力が著しく消耗し、免疫力が下がるため、結果として肌の治りも極端に遅くなります。

スポーツチームや部活動に所属している場合は、早めに指導者に現状を報告しましょう。自分だけでなく、大切なチームメイトに病気を広げない責任感を持つことが、一日でも早い競技への復帰を実現させる近道です。

特に夏場は気温が高いため、処置を怠って放置するだけで症状が数倍に膨れ上がる恐れがあります。エアコンの効いた涼しい室内で過ごす時間を増やし、体力の温存に努めることが、体の中から回復を支える方法です。

治療中の行動制限チェックリスト

  • お風呂:家族とは別に最後に入るか、シャワーのみで済ませる
  • 寝具:シーツや枕カバーは毎日交換し、日光に当てて乾かす
  • 衣服:患部を直接触らせないよう、長袖や長ズボンで保護する

かさぶたに変わるサインと完治までの見極め方

とびひが治り始めると、あれほど酷かった水ぶくれの湿り気が消え、表面がカチカチに固まってきます。この段階まで到達すれば周囲への感染力は激減しますが、ここで油断してケアを止めると再発の恐れがあります。

日々の見た目の変化を鏡などで正しく観察し、最後まで根気強くスキンケアを続けましょう。かさぶたが自分の力で自然にポロッと剥がれ落ちるまで待つことが、跡を残さず、再発を確実に防ぐためのポイントです。

ジュクジュクからカサカサへの変化

治療が順調に進むと、周囲の強い赤みが徐々に引き始め、滲み出ていた不快な液体がピタッと止まるようになります。表面が黄色や茶色っぽい乾燥した膜で覆われてくるのが、回復に向かっている嬉しい第一歩のサインです。

この状態になれば、周囲の人に菌を撒き散らすリスクは当初に比べてかなり低くなりますが、膜の下ではまだ新しい皮膚が懸命に再生している途中ですので、痒くても決して無理に触らないように我慢してください。

完全に乾いたように見えても、かさぶたの奥深くに細菌がしぶとく生き残っていることが多々あります。見た目だけで完治したと自己判断して薬を勝手にやめず、医師に指示された期間は最後まで使い切ることが鉄則です。

かさぶたの周囲にまだ少しでも赤みが残っている場合は、皮膚の深いところで炎症が継続している証拠です。全体から赤みが完全に消え去り、かさぶたが自然に浮き上がってくる状態になるまで注意しましょう。

痒みの増加と掻き壊しの防止

治りかけの時期は、新しい皮膚が下から盛り上がってくる刺激で、これまで以上に強い痒みを感じることがよくあります。ここでかさぶたを剥がすと、再び細菌が暴れ出し、元のジュクジュク状態に戻る恐れがあります。

どうしても痒くて耐えられない時は、保冷剤を清潔なタオルで包み、患部を優しく数分間冷やして対応してください。神経の興奮が一時的に鎮まり、掻きたいという強い衝動を効果的に抑えることができる有効な手段です。

完治直前の時期こそ、爪のセルフチェックを再徹底し、仕上げの丁寧なケアに全力を注ぎましょう。夜間に無意識に掻いて壊してしまわないよう、綿素材の柔らかい手袋を着用して就寝させるのも工夫も大切です。

痒みを我慢しすぎてストレスを溜め込むと、自律神経が乱れて免疫力にも悪影響を及ぼします。あまりに痒みがひどくて夜も眠れない場合は、内服の抗ヒスタミン薬の処方を医師に相談し、薬の力を借りてください。

通園・通学再開のタイミング

とびひに法律的な出席停止の指定はありませんが、集団生活への復帰は周囲への影響を考慮して決めましょう。一般的には、すべての水ぶくれが完全に乾いてかさぶたの状態になれば、登校や登園を前向きに検討できます。

露出部分が適切なガーゼ等で完全に保護されているか、他人に直接触れるリスクが排除されているか、再確認することが大事です。集団生活では予期せぬトラブルが多いため、保護者による事前のチェックが欠かせません。

少しでも不安があるなら自己判断はせず、かかりつけの皮膚科医に今の状態を診てもらうのが最も確実です。園や学校によっては独自の治癒証明書が必要な場合もあるため、事前に施設のルールを確認しておいてください。

登園・登校の初日は、担任の先生に現状を正直に伝え、過度な接触を避けるよう配慮をお願いしておきましょう。周囲の保護者にも安心してもらえるよう、適切な保護処置を継続している姿勢を見せることが信頼に繋がります。

Q&A

とびひの水ぶくれが自然に破れてしまった場合、どのような応急処置をすべきですか?

とびひの水ぶくれが破れたら、まずは焦らずに流水と石鹸で患部を優しく洗い流してください。中から出てきた液体には大量の細菌が含まれているため、周囲に広げないことが最優先です。

洗浄後は清潔なタオルやペーパータオルで水分を吸い取り、抗生物質配合の軟膏があれば塗布した上で、厚めのガーゼでしっかりと覆います。

この時、素手で液体を触らないよう注意し、処置後は必ず手を石鹸で念入りに洗うことが大切です。

とびひの症状がある時にプールや習い事に行っても問題ありませんか?

とびひの症状があるうちは、基本的にプールの使用は控えてください。

水そのものでうつることは稀ですが、ビート板の共有や更衣室での接触により、他のお子さんへ感染を広げる可能性が非常に高いからです。

他の習い事についても、患部が露出していたり、激しく汗をかいたりする内容であれば、お休みするか、ガーゼと包帯で完全に患部を覆って露出させない処置が必要です。

とびひを予防するために家庭で気をつけるべきスキンケアは何ですか?

とびひを予防するには、皮膚のバリア機能を保つことと、原因菌である黄色ブドウ球菌を増やさないことが重要です。毎日の入浴で肌を清潔に保つのはもちろん、爪を短く切り、皮膚を傷つけないようにしてください。

また、乾燥肌や湿疹があるとその傷口から菌が入り込みやすいため、日頃から保湿剤を使用して肌を整えておくことが必要です。

鼻をいじる癖があるお子さんは、鼻の粘膜に潜む菌を手で広げてしまうことがあるため、注意深く見守ってあげてください。

とびひの薬を塗っても新しい水ぶくれが増え続けるのはなぜですか?

とびひの薬を塗っていても新しい水ぶくれが増える場合、患部が十分に保護されておらず、液体や菌が他の場所へ移動している可能性が考えられます。

また、原因となっている細菌に対して、使用している抗生物質が効きにくい耐性菌であるケースも少なくありません。

もし処置を徹底しても3日以上改善が見られない、あるいは急速に範囲が広がっている場合は、薬の変更が必要なサインですので、放置せず速やかに皮膚科を再受診してください。

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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