052-228-1280 WEB予約 LINE予約

「単純ヘルペス」と「帯状疱疹」の違いは?原因ウイルスや症状、治療法を比較

「単純ヘルペス」と「帯状疱疹」の違いは?原因ウイルスや症状、治療法を比較

体がピリピリ痛む感覚や急な水ぶくれに襲われたとき、それが単純ヘルペスなのか帯状疱疹なのか判断に迷う方は非常に多いです。

二つの病気はどちらもヘルペスウイルスによるものですが、原因となるウイルスの種類や症状の広がり方、そして何より後遺症のリスクが大きく異なります。

この記事では、両者の決定的な違いを多角的に比較し、不安を解消するための情報をお届けします。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

運営ソーシャルメディア(SNSでは「こばとも」と名乗ることもあります)

XYouTubeInstagramLinkedin

著書一覧
経歴・プロフィールページ

こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

似ているようで全く違う二つの病気の正体を見極めてください

単純ヘルペスと帯状疱疹はどちらもヘルペスウイルスが原因ですが、ウイルスの種類が異なります。単純ヘルペスは同じ場所に再発を繰り返す性質があり、帯状疱疹は一生に一度激しい痛みと共に広範囲に現れるのが特徴です。

単純ヘルペスウイルスと水痘帯状疱疹ウイルスの決定的な違い

私たちが一般的にヘルペスと呼ぶものには、大きく分けて二つの種類が存在します。一つは単純ヘルペスウイルスによる感染症で、もう一つは水ぼうそうと同じウイルスによるものです。

単純ヘルペスは口唇や性器など、特定の部位に小さな水ぶくれが何度も繰り返して発生し、これに対し、帯状疱疹は過去の水ぼうそうウイルスが神経節に潜伏し、再起動します。

どちらも神経に潜み続ける性質は共通していますが、帯状疱疹ウイルスの方が神経へのダメージが強く現れるため、皮膚の症状だけでなく激しい痛みを伴う傾向が非常に顕著です。

まずは自分がどちらのウイルスの影響を受けているのかを把握することが、治療方針を決定する上で最も大切で、適切な診断を受けることで、将来的なリスクを最小限に抑えられます。

単純ヘルペスウイルスは1型と2型があり、1型は主に上半身、2型は下半身に症状が出やすいという特徴も持っています。感染経路も身近な接触が多いため、注意が必要です。

水痘帯状疱疹ウイルスは全身のどこにでも出る可能性がありますが、一つの神経領域に沿って広がるため左右どちらか一方に限定され、偏りは診断における重要な指標となります。

再発を繰り返すタイプか一度きりの激痛タイプか判断してください

皮膚に出ている症状が、以前にも経験したことがあるものなら単純ヘルペスの可能性が濃厚です。このウイルスは一度感染すると、体力を消耗した隙を狙って何度も出現します。

単純ヘルペスは免疫が少し落ちるたびに、何度も同じ場所に現れる厄介な性質を持っていて、唇の端や鼻の下など、決まった場所に出ることが多いです。

対照的に、帯状疱疹は人生の大きな節目や、極度のストレスがかかった時に一生に一度レベルで発症するケースがほとんどで、その一生に一度の痛みに驚かされます。

一度発症すると神経の走行に沿って帯状に広がり、皮膚が治った後も痛みが続く場合があるため警戒が必要です。再発性の単純ヘルペスとは、全く異なるリスク管理が求められます。

単純ヘルペスの再発は、風邪気味だったり寝不足だったりといった、日常的な体調の変化に敏感に反応して起こり、少しの休息で改善することも多いですが、不快感は無視できません。

対して帯状疱疹は、加齢による免疫力の低下や、大病の後の体力消耗など、より深刻な免疫低下状態がトリガーとなります。体が限界を超えているという強い警告でもあります。

再発を繰り返す方は、前兆を感じた段階で薬を飲むことで症状を抑えることも可能です。帯状疱疹の場合は、とにかく一刻も早い治療開始が完治までの期間を短縮させます。

神経に潜伏し続けるウイルスの生存戦略に注目してください

なぜこれらの病気は、一度治ったと思ってもまた出てきたり、数十年後に出てきたりするのでしょうか。

それはウイルスが体から完全に消え去るのではなく、神経の根本にある神経節という場所にずっと隠れているからです。普段は免疫細胞が、彼らの活動を厳しく監視しています。

免疫の力がウイルスを抑え込んでいますが、風邪を引いたり寝不足が続いたりすると、監視の目が緩み、この瞬間こそが、ウイルスにとって活動を再開する絶好のチャンスです。

その隙にウイルスは神経を伝って皮膚の表面へと移動し、炎症を引き起こします。

単純ヘルペスウイルスは、特に顔面の三叉神経節や腰仙骨神経節を好み、そこに長期間にわたって居座り続けます。一度住処を決めると、そこから離れることは生涯ありません。

一方、水痘帯状疱疹ウイルスは、子供の頃にかかった水ぼうそうの際に全身の神経節に散らばり、そこから数十年という長い眠りを経て、再起動のチャンスを静かに伺っています。

どちらも神経という人間の根幹部分を住みかにしているからこそ、塗り薬だけでは不十分です。体の中からウイルスを抑え込むアプローチが、治療の核心部分となります。

ウイルスの性質比較まとめ

比較項目単純ヘルペス帯状疱疹
原因ウイルス単純ヘルペスウイルス(HSV)水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)
初感染時の症状気づかないか、口内炎など水ぼうそう(水痘)
再発の頻度年に数回起こることもある通常は一生に一度

皮膚に現れるサインからどちらの病気か正確に読み取ってください

症状の現れ方は、両者を見分ける最大のヒントです。単純ヘルペスは直径数ミリの小さな水ぶくれが局所的に集まるのに対し、帯状疱疹は体の片側に神経に沿って広がります。

左右どちらか一方だけに症状が出るのは帯状疱疹の大きな特徴です

帯状疱疹を疑う最も強力な根拠は、症状が出る範囲です。人間の神経は背骨から左右に分かれて伸びていますが、帯状疱疹のウイルスはそのうちの特定の神経を狙って攻撃を仕掛けます。

そのため、症状は体の中心線を越えて反対側へ行くことはほぼなく、必ず片側だけに限定されます。右側なら右側だけ、左側なら左側だけに水ぶくれが並ぶのが典型的なパターンです。

単純ヘルペスはもっと局所的で小規模で、唇の端や鼻の横、性器の周辺など、狭い範囲にポツポツと水ぶくれができるだけで、帯のように長く伸びることはまずありません。

もし広範囲にわたって、かつ片側だけに痛みや発疹があるなら、迷わず帯状疱疹を疑ってください。このサインを見逃さなければ、診断の精度は格段に上がり、適切な対処が可能です。

自分の背中や脇腹、あるいは顔面を鏡で見たとき、ちょうど真ん中で症状が止まっているかを確認してください。そこが境界線になっているなら、ウイルスが神経の道筋を辿っている証拠です。

単純ヘルペスであれば、唇の真ん中にできても、それが顔半分を覆い尽くすような広がり方はしません。

痛みの質とタイミングで病状を予測してください

痛みに関しても、両者には明確な差があります。単純ヘルペスの場合は、水ぶくれが出る直前にムズムズする、あるいはチクチクするといった軽い違和感から始まることが一般的です。

人によっては全く痛みを感じないケースもあり、見た目ほどの苦痛がないことも多いですが、帯状疱疹の痛みはそれとは比較にならないほど強烈で、質も異なっています。

皮膚に何も出ていない段階から、電気が走るような痛みや、焼けるような痛みを感じることがあります。これを皮膚病だと気づかずに内科や整形外科を受診してしまう方も少なくありません。

数日後にその場所に赤いブツブツが出てきたら、それが答えです。この時間差こそが、帯状疱疹の診断を難しくしている要因であり、同時に重要な鑑別ポイントでもあります。

帯状疱疹の痛みは、服が擦れるだけでも激痛が走るほど過敏になることがあります。夜も眠れないほど苦しむ患者さんも多く、日常生活のあらゆる動作が困難になることも珍しくありません。

単純ヘルペスは、痛みよりも不快感やかゆみが強く現れます。日常生活に支障をきたすほどの激痛になることは極めて稀で、多くの場合は数日で落ち着く範囲に留まります。

水ぶくれの形や広がり方に隠されたメッセージを受け取ってください

鏡で患部をよく観察してみてください。単純ヘルペスの水ぶくれは、まるで米粒が集まったような小さな塊に見え、境界がはっきりしているのが一つの特徴として挙げられます。

これが乾燥してかさぶたになれば、通常は1週間から10日ほどで綺麗に治ります。跡が残ることも少なく、適切なケアを行えば元通りの皮膚の状態に回復することがほとんどです。

対して帯状疱疹の水ぶくれは、最初は小さな赤い点から始まり、次第に膨らんでいき、やがて透明な汁を持ち、それが濁って黒ずんでいく過程は、より重症感がある見た目となります。

範囲が広いため、潰れたあとに潰瘍のようになり、跡が残ってしまうリスクも高まります。特に顔面や目の周りにできた場合は、視力への影響も懸念されるため最大限の警戒が必要です。

帯状疱疹の場合、水ぶくれが帯状に並ぶその様子が、まさに神経の走行を地図のように示しています。この見た目は非常に象徴的で、一度目にすれば忘れないほどのインパクトがあります。

単純ヘルペスは、まるで一つのポイントにウイルスが集中しているかのように見えます。限られたスポットにのみ発症するため、周囲の皮膚は比較的健康な状態を保っています。

どちらの場合も、水ぶくれを故意に潰すことは絶対に避けてください。中には大量のウイルスが含まれており、周囲に広げたり細菌感染を招いたりする二次被害の原因になります。

進行スピードと範囲の比較まとめ

状態単純ヘルペス帯状疱疹
範囲1〜2cm程度の小範囲神経に沿った広範囲
痛みの程度軽度のチクチク感眠れないほどの激痛も
跡の残りやすさほとんど残らない瘢痕や色素沈着の恐れあり

発症を招く引き金となる原因とリスク要因を整理してください

発症の根本原因は免疫力の低下に集約されますが、その背景は様々です。単純ヘルペスは日光や胃腸障害などの変化が、帯状疱疹は加齢や大きな病気による体力消耗が主な引き金になります。

加齢やストレスがウイルスを呼び覚ますメカニズムを把握してください

体の中では、常に免疫システムがウイルスと戦っています。若い頃は水痘帯状疱疹ウイルスをしっかり封じ込めていますが、加齢とともにその監視能力は少しずつ衰えていきます。

これが、高齢者に帯状疱疹が多い理由で、50歳を過ぎる頃から免疫の力が徐々に弱まり始め、かつて抑え込んでいたウイルスが再び活発に活動できる隙を与えてしまうのです。

最近では、仕事の忙しさや人間関係のストレスによって、20代や30代の若い世代でも発症するケースが増えています。若年層での発症は、現代社会特有の過度な緊張状態を反映しています。

体力が限界を超えたとき、神経節で眠っていたウイルスが覚醒し、皮膚へと這い出してきます。これは体からのSOSサインとして、真摯に受け止めるべき重要なメッセージでもあります。

強いストレスに晒されると、自律神経が乱れて免疫細胞の活動が抑制されてしまい、ウイルスは防衛網が薄くなった隙を見逃さず、一気に増殖を開始するのです。

自分ではまだ大丈夫と思っていても、体の中の防衛ラインはすでに限界に達していることがあります。体の内なる声に耳を傾ける習慣を持つことが、発症を未然に防ぐ鍵となります。

紫外線や胃腸の疲れがヘルペスの再発を促す事実に備えてください

単純ヘルペスの場合、もっと身近で日常的な出来事が再発のきっかけになり、例えば海や山で強い日差しを浴びた後に唇に症状が出るのは、紫外線による局所的な免疫低下が原因です。

また、飲み会が続いて胃腸が疲れているときや、風邪を引いて熱が出たときにもよく現れます。俗に熱の吹き出物とも呼ばれ、昔から体調の変化を知らせる目印とされてきました。

女性の場合は、月経周期に伴うホルモンバランスの変化が引き金になることも珍しくありません。自身のバイオリズムを把握しておくことで、発症のタイミングをある程度予測することが可能です。

紫外線の強い時期は、日焼け止めや帽子を常用するだけで、ヘルペスの再発率を下げられます。外部刺激から皮膚を守るという物理的な対策も、ウイルス抑制には非常に有効な手段です。

胃腸への負担を減らすため、刺激物を避けたり消化の良い食事を心がけたりすることも大切で、内臓の疲れは肌のコンディションに直結し、結果としてウイルスの活動にも影響を及ぼします。

周囲の人への感染リスクと適切な接し方を考えてください

家族や友人にうつしてしまうのではないか、という不安も大きいでしょう。単純ヘルペスは接触感染が主で、水ぶくれの中に大量のウイルスが含まれているため、直接の接触は控えるべきです。

タオルや食器の共有、親密な身体的接触などは、ウイルスを広める原因となるので、症状が出ている期間だけでも、個別のアイテムを使用するなどの配慮を徹底することが重要です。

帯状疱疹の場合、すでに水ぼうそうにかかったことがある人にはうつりませんが、未感染の人にはリスクがあります。特に乳幼児などに、水ぼうそうとして感染させる可能性があるため注意が必要です。

妊婦さんや小さなお子さんが身近にいる場合は、水ぶくれがかさぶたになるまで接触を控えてください。

患部を触った後は必ず石鹸で手を洗う習慣をつけてください。手に付着したウイルスは、他の部位や物品を介して他者に広がる可能性があるため、手洗いは最も簡単で効果的な防御策です。

使用したタオルは共有せず、すぐに洗濯機で洗うようにしてください。ウイルスは乾燥に弱いため、通常の洗濯と乾燥のプロセスを経れば、それほど神経質に除菌する必要はありません。

水ぶくれが露出している場合は、ガーゼなどで保護して接触を防いでください。服で覆うことも一つの手ですが、蒸れすぎないように通気性にも配慮しながら管理するのが理想的です。

日常生活での感染予防策リスト

  • 患部を触った後は石鹸での丁寧な手洗いを徹底してください
  • タオルや食器などの身の回り品を家族と共有しないでください
  • 水ぶくれが破れている時期は特に慎重な隔離を心がけてください
  • 公共の浴場やプールなどは、完治するまで利用を控えてください

早期治療が完治への鍵となる理由と具体的な方法を選んでください

どちらの病気も抗ウイルス薬の使用が基本ですが、開始時期がその後の運命を分けます。帯状疱疹は発疹が出てから72時間以内が鉄則で、これにより神経痛のリスクを下げられます。

抗ウイルス薬を飲むタイミングが後遺症の有無を左右します

皮膚科を受診すると、アメナビルやバラシクロビルといった最新の抗ウイルス薬が処方され、ウイルスの増殖そのものを食い止め、症状の悪化を早期に防ぐ働きをします。

つまり、ウイルスが増えきってからでは薬の効果が半減してしまいます。帯状疱疹で最も恐ろしいのは、皮膚が治った後も数ヶ月にわたって痛みが残る帯状疱疹後神経痛という後遺症です。

初期段階で徹底的に増殖を叩くことで、神経へのダメージを最小限に食い止めることが可能で、後遺症のリスクを劇的に下げるためには、スピード感のある治療開始が欠かせません。

少しでも疑わしいと思ったら、明日まで待たずに今日受診することを強くお勧めします。特に週末を挟む場合は、夜間や休日の窓口を利用してでも早期に対応してください。

抗ウイルス薬の服用は、早ければ早いほど神経損傷の範囲を狭めることができます。多くの患者さんが後悔されるのは、痛みがピークに達してから病院へ向かったというタイミングの遅れです。

72時間以内というリミットは、一生付き合うかもしれない神経痛との決定的な境界線となります。

薬の飲み忘れも禁物です。体内の薬剤濃度を一定に保つことが、ウイルスを制圧するための必須条件となるため、指示された時間と回数を厳守して最後まで飲みきってください。

塗り薬と飲み薬の使い分けを正しく判断してください

単純ヘルペスのような軽症かつ局所的な場合は、塗り薬だけで対応することもありますが、何度も再発を繰り返す方や、範囲が広い場合には、飲み薬の方がより確実で迅速な改善を期待できます。

一方、帯状疱疹において塗り薬はあくまで補助的な役割に過ぎないことを理解してください。体の中からウイルスが暴れている状態なので、飲み薬で全身的に対処することが治療の基本です。

また痛みが強い場合には、消炎鎮痛剤を併用して苦痛を和らげる方針をとります。自己判断で市販の軟膏を塗るのではなく、医師の診断に基づいた適切な処方薬を使用することが完治への近道です。

市販の塗り薬は、症状が極めて軽い初期の単純ヘルペスには有効な場合がありますが、帯状疱疹には全く歯が立たず、適切な治療のタイミングを逃してしまうリスクを高めます。

専門家が提案する治療プロセスに従うことが、結果として最も早く、安く治すための最短ルートです。

処方された薬を自己判断で中断するのも非常に危険な行為です。ウイルスが完全に沈静化する前に攻撃を止めてしまうと、生き残ったウイルスが勢いを取り戻す恐れがあります。

皮膚の状態が良くなっても、医師の指示通りに最後まで治療を継続してください。

合併症や二次感染を防ぐための追加ケアを怠らないでください

水ぶくれの状態が続いている間は、細菌による二次感染にも気を配る必要があります。傷口が汚れると化膿してしまい、ウイルスの治療とは別に抗生物質が必要になることもあるからです。

患部は清潔に保つことが基本ですが、ゴシゴシと洗うのは逆効果となるので、低刺激の石鹸をよく泡立て、包み込むように優しく洗い、清潔なタオルで水分を吸い取るようにしてください。

また、十分な栄養補給も忘れてはならない治療の一環であることを意識しましょう。ウイルスと戦っている間、体は大量のエネルギーを消費しているため、高タンパクな食事を意識的に摂ってください。

特にビタミンB群は、傷ついた神経の修復をサポートする重要な栄養素です。レバーや豚肉、魚介類などを積極的に食事に取り入れることで、内部からの回復を力強く後押しできます。

水分補給も非常に重要です。脱水状態になると体温調整がうまくいかず、免疫機能が低下してしまうため、こまめに水を飲むことを習慣づけて、常に体の潤いを保つようにしてください。

不快な痒みがあるからといって、冷やしすぎるのも考えものです。冷やすと血管が収縮し、修復に必要な血液が患部に届きにくくなるため、医師の指示がない限りは極端な冷却は避けましょう。

安静は最高の治療法です。薬を飲んでいるからと安心せず、睡眠時間をいつもより多く確保して、体力のすべてをウイルスの撃退に回せるようにしてください。

もし視界が霞んだり、耳鳴りがしたりといった皮膚以外の異変を感じたら、すぐに報告してください。ウイルスが目や耳の神経に波及している可能性があり、眼科や耳鼻科の併診が必要になります。

標準的な治療プロセスの目安

項目単純ヘルペス帯状疱疹
主な治療薬抗ウイルス薬の内服または外用高用量の抗ウイルス薬の内服
服用期間5日間が一般的7日間が一般的
追加ケア特になし鎮痛剤の併用や安静

再発防止と重症化を防ぐための予防戦略を日常に取り入れてください

治った後のケアや、そもそもかからないための準備も大切です。単純ヘルペスは予兆を感じた段階でのセルフケアを、帯状疱疹はワクチン接種という強力な手段を検討してください。

50歳を過ぎたら検討したい帯状疱疹ワクチンの有効性を確認してください

現在、帯状疱疹を予防するためのワクチンが普及し、多くの自治体で助成も始まっています。これは、加齢によって低下したウイルスへの免疫力を人工的に再び高めるためのものです。

接種することで発症率を大幅に下げられるだけでなく、もし発症しても軽症で済む効果があり、特に高齢者の深刻な悩みとなる神経痛の残存を防ぐ高い効果が、数々の研究で実証されています。

ワクチンにはいくつかの種類があり、持病や体質によって最適なものが選択されます。自分自身の健康を守るための先行投資として、一度かかりつけの医師に相談してみる価値は十分にあります。

帯状疱疹の痛みは、人生における三大激痛の一つに数えられることもあるほど過酷なもので、それを事前に防げる手段があることは、現代医療における非常に大きな恩恵です。

特に、ご家族に帯状疱疹を経験された方がいる場合、体質的なリスクも考慮して接種を検討しましょう。

最近では2回接種タイプの不活化ワクチンも登場し、より強力な予防効果が期待されています。免疫機能に不安がある方でも受けられる選択肢が増えており、予防の幅は確実に広がっています。

ヘルペスが再発しやすい条件を自分自身で把握してください

単純ヘルペスに悩む方は、どのような時に症状が出やすいのか傾向を分析してください。寝不足が3日続くと出る、生理前になると必ず出る、といったパターンが必ずどこかに隠されています。

パターンがわかれば、先回りして対策を打つことが可能になります。疲れを感じたら早めに寝る、ストレスを溜め込まないようにリフレッシュするなど、基本的な習慣が最強の防止策です。

また医師によっては、再発の予兆が出た時にすぐ飲める薬をあらかじめ処方してくれる療法もあり、これを活用することで、水ぶくれが広がる前に制圧できるようになり、精神的な余裕も生まれます。

この療法は、チクチクとした違和感が出てから数時間以内に内服を開始するのが最も効果的で、自分の体のリズムを理解し、無理をさせないようにコントロールすることがウイルスとの共生のコツです。

過度なストレスはウイルスを喜ばせるだけなので、リラックスする時間を作ることも、ヘルペスウイルスを封じ込めるための重要なミッションの一つだと捉えてください。

食事面では、アルギニンの過剰摂取に注意し、リシンを多く含む食品を摂るのも良いとされています。ナッツ類を控え、魚や肉、乳製品をバランスよく摂ることで、ウイルスの増殖を抑制しましょう。

ストレス社会を生き抜くための自分なりのリラックス法を見つけてください

心の状態は、驚くほどダイレクトに免疫力へ影響を及ぼすことがわかっています。真面目で責任感が強い人ほど体の異変を無視して頑張りすぎてしまい、結果として発症を招く傾向があります。

趣味に没頭する時間を作ったり、軽いストレッチで体をほぐしたりする習慣を持ちましょう。何もせずぼーっとする時間を持つことも、脳のリセットには非常に有効です。

日々忙しく過ごしている中で、自分のために使う時間を持ち、体は使い続けるだけでなく、適切に休ませて初めてそのパフォーマンスを発揮できます。

帯状疱疹やヘルペスという形で体が出しているサインを無視せず、一度立ち止まってください。深呼吸を繰り返すだけでも、副交感神経が優位になり、免疫機能の回復を助けることができます。

夜寝る前に温かい飲み物を飲んだり、アロマを焚いたりするのも素晴らしいリラックス法です。自分が心地よいと感じる感覚を大切にすることで、ストレスホルモンの分泌を抑えることができます。

再発を最小限に抑えるための生活習慣チェックリスト

  • 1日最低でも6〜7時間の睡眠を確保し、脳と体を休めてください
  • ビタミンB群やCを含む食事で皮膚の抵抗力を高める工夫をしてください
  • 週に数回は30分程度の軽い運動を行い、血流を促進させてください
  • 自分なりのストレス解消法を持ち、負の感情を溜め込まないでください

よくある質問

単純ヘルペスと帯状疱疹は同じ薬で同時に治療することは可能ですか?

はい、可能です。多くの抗ウイルス薬は単純ヘルペスウイルスと水痘帯状疱疹ウイルスの両方に効果を発揮します。

ただし、ウイルスの強さが異なるため、処方される薬の量や回数が変わるのが一般的です。医師が診察によってどちらのタイプか、あるいは両方のリスクがあるかを判断し、適切な投与設計を行います。

帯状疱疹のワクチンを接種していれば単純ヘルペスの再発も防げますか?

残念ながら、帯状疱疹のワクチンは水痘帯状疱疹ウイルスに特化したものであるため、単純ヘルペスウイルスの再発を直接防ぐ効果は期待できません。

単純ヘルペスの再発予防には、生活習慣の改善や、必要に応じた再発抑制療法など、別の個別のアプローチが必要となります。

子供の頃に水ぼうそうにかかっていない場合でも帯状疱疹になりますか?

水ぼうそうにかかったことがない人は、体内に水痘帯状疱疹ウイルスが潜んでいないため、帯状疱疹になることはありません。

しかし、その状態でウイルスに接触すると、帯状疱疹ではなく初感染としての水ぼうそうを発症します。大人の水ぼうそうは重症化しやすいため、未感染の方はワクチン接種で抗体を作っておくことが重要です。

単純ヘルペスの症状が顔の広範囲に広がった場合、帯状疱疹とどう区別しますか?

区別のポイントはやはり片側性と痛みの強さです。帯状疱疹は神経に沿って明確に片側だけに現れ、深部からの強い痛みを伴います。

単純ヘルペスの広がりは左右両側に及ぶことがあり、痛みよりは痒みや不快感が先行することが多いです。広範囲の場合は、自己判断せず速やかに皮膚科専門医の診断を受けてください。

参考文献

Juel-Jensen BE, MacCallum FO. Herpes Simplex Varicella and Zoster: Clinical Manifestations and Treatment. Butterworth-Heinemann; 2013 Oct 22.

Levin MJ, Weinberg A, Schmid DS. Herpes simplex virus and varicella‐zoster virus. Diagnostic Microbiology of the Immunocompromised Host. 2016 Aug 15:135-56.

Nikkels AF, Debrus S, Sadzot-Delvaux C, Piette J, Delvenne P, Rentier B, Pierard GE. Comparative immunohistochemical study of herpes simplex and varicella-zoster infections. Virchows Archiv A. 1993 Mar;422(2):121-6.

Solomon AR. New diagnostic tests for herpes simplex and varicella zoster infections. Journal of the American Academy of Dermatology. 1988 Jan 1;18(1):218-21.

Folkers E, Vreeswijk J, Oranje AP, Duivenvoorden JN. Rapid diagnosis in varicella and herpes zoster: re‐evaluation of direct smear (Tzanck test) and electron microscopy including colloidal gold immuno‐electron microscopy in comparison with virus isolation. British Journal of Dermatology. 1989 Sep 1;121(3):287-96.

Cohen PR. Tests for detecting herpes simplex virus and varicellazoster virus infections. Dermatologic clinics. 1994 Jan 1;12(1):51-68.

Schmidt NJ, Gallo DA, Devlin VE, Woodie JD, Emmons RW. Direct immunofluorescence staining for detection of herpes simplex and varicella-zoster virus antigens in vesicular lesions and certain tissue specimens. Journal of Clinical Microbiology. 1980 Nov;12(5):651-5.

Cleveland PH, Richman DD. Enzyme immunofiltration staining assay for immediate diagnosis of herpes simplex virus and varicella-zoster virus directly from clinical specimens. Journal of clinical microbiology. 1987 Feb;25(2):416-20.

Wilms L, Weßollek K, Peeters TB, Yazdi AS. Infections with Herpes simplex and Varicella zoster virus. JDDG: Journal der Deutschen Dermatologischen Gesellschaft. 2022 Oct;20(10):1327-51.

Toney JF. Skin manifestations of herpesvirus infections. Current Infectious Disease Reports. 2005 Sep;7(5):359-64.

免責事項

当院の医療情報について

当記事は、医療に関する知見を提供することを目的としており、当院への診療の勧誘を意図したものではございません。治療についての最終的な決定は、患者様ご自身の責任で慎重になさるようお願いいたします。

掲載情報の信頼性

当記事の内容は、信頼性の高い医学文献やガイドラインを参考にしていますが、医療情報には変動や不確実性が伴うことをご理解ください。また、情報の正確性には万全を期しておりますが、掲載情報の誤りや第三者による改ざん、通信トラブルなどが生じた場合には、当院は一切責任を負いません。

情報の時限性

掲載されている情報は、記載された日付の時点でのものであり、常に最新の状態を保証するものではありません。情報が更新された場合でも、当院がそれを即座に反映させる保証はございません。

ご利用にあたっての注意

医療情報は日々進化しており、専門的な判断が求められることが多いため、当記事はあくまで一つの参考としてご活用いただき、具体的な治療方針については、お近くの医療機関に相談することをお勧めします。

大垣中央病院・こばとも皮膚科

  • URLをコピーしました!
目次