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大人のウイルス性湿疹・蕁麻疹の原因は?かゆみの有無と症状別の対処法

大人のウイルス性湿疹・蕁麻疹の原因は?かゆみの有無と症状別の対処法

大人の皮膚に突然現れる発疹は、ウイルス感染やアレルギー反応など多岐にわたる要因が絡み合っています。

本記事では、ウイルス性湿疹と蕁麻疹の違いを明確にし、かゆみの有無に応じた見分け方や、日常生活で実践すべき適切なケア方法、医療機関を受診する基準を詳しく解説します。

自身の症状を正しく理解し、早期回復を目指すための指針として役立ててください。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

大人のウイルス性湿疹を起こす主な原因

大人のウイルス性湿疹は、体内に潜伏していたウイルスの再活性化や、外部からの新規感染が主な原因です。加齢や過労によって免疫力が低下すると、ウイルスを抑制する力が弱まり、皮膚症状として現れます。

免疫力の低下とウイルスの再活性化

私たちの体には、驚くほど多くのウイルスが共生しています。過去に感染したウイルスが完全に死滅せず、神経節などに静かに潜伏しているケースは決して珍しくありません。

健康な時は自前の免疫細胞がこれらを厳重に封じ込めていますが、強い精神的ストレスや激しい疲労、連日の寝不足が続くと、監視体制に綻びが生じて活動を再開します。

免疫の監視をかいくぐってウイルスが増殖を開始すると、神経を伝って皮膚表面に到達し、湿疹となって現れます。代表的な例が、激しい痛みを伴うことで知られる帯状疱疹です。

子供の頃に経験した水疱瘡のウイルスが、数十年という長い沈黙を破り、大人になって再び活動を始め、これは単なる肌の病気ではなく、免疫バランスの崩壊を意味します。

飛沫や接触による新規感染の経路

大人であっても、日常生活のあらゆる場面で未知のウイルスに初めて感染する機会はあり、オフィス、交通機関、商業施設など、人が集まる場所にはリスクが潜んでいます。

風邪のウイルスの一種や、最近では子供の間で流行する手足口病などの疾患も、大人が感染すると非常に重症化しやすいです。

公共の場での手すりへの接触や、家庭内での共用タオルの使用などを介して、ウイルスが皮膚や粘膜に付着し、その後、体内へ侵入し、一定の潜伏期間を経て発症に至ります。

大人の場合、子供よりも獲得した免疫が強力に応答しすぎる傾向があり、過剰な防衛反応の影響で、高熱を伴ったり、発疹の痛みが激しくなったりするケースが目立ちます。

基礎疾患や薬剤の影響による肌の変化

持病の治療で長期間使用している薬剤や、糖尿病、肝疾患などの基礎疾患が背景にある場合、皮膚が本来持っているバリア機能が著しく低下しやすいです。

このような脆弱な状態では、通常なら免疫で跳ね返せるはずの微弱なウイルスであっても、容易に皮膚に定着し、炎症を増長させます。これは内科的な要因が大きく関わっています。

通常なら数日で治まる程度の刺激が、深刻かつ広範囲な湿疹を引き起こす要因となります。特定の新しい薬を服用し始めてから肌に違和感が出た場合は、薬疹の可能性も視野に入れます。

代表的なウイルス性皮膚疾患の分類

疾患名主な原因ウイルス大人の発症リスク
帯状疱疹水痘・帯状疱疹ウイルス疲労時や加齢に伴い非常に高い
手足口病コクサッキーウイルス等子供からの二次感染で重症化
単純ヘルペス単純ヘルペスウイルスストレスによる再発を繰り返す
伝染性紅斑ヒトパルボウイルスB19大人は関節痛を伴うことが多い

ウイルス性湿疹と蕁麻疹を見分ける重要なサイン

ウイルス性湿疹と蕁麻疹の最大の違いは、発疹の持続時間と全身症状の有無にあります。数時間で消える場合は蕁麻疹、数日間定着し続ける場合はウイルス性湿疹の可能性が高いです。

発疹の持続時間と形状の変化

蕁麻疹の大きな特徴は、皮膚の一部が突然赤く盛り上がり、短時間で跡形もなく消え去ることです。まるで地図のように広がる膨疹は、血管の透過性が一時的に高まることで生じます。

一箇所に留まる時間は、長くても数時間から半日程度で、一度消えたかと思えば別の場所に次々と出現を繰り返します。

数時間後に発疹の場所が明らかに変わっていたり、跡形もなく消えていたりするなら、血管の反応による蕁麻疹であると考えてほぼ間違いないでしょう。

対して、ウイルス性湿疹は一度出現すると、数日から長い場合には数週間は消えることがなく、皮膚の細胞そのものがダメージを受けているため、修復に時間がかかるのです。

発熱や倦怠感といった全身症状の有無

原因がウイルスである場合、炎症反応は皮膚だけに留まらず、血流に乗って体全体に波及するため、皮膚の異変と前後して、全身のコンディションが悪化するのが典型的です。

発疹が出る数日前から微熱が続いたり、ひどい喉の痛み、首周りのリンパ節の腫れ、あるいは鉛のように重い体のだるさを感じたりします。

体内でウイルスと免疫系が激しい攻防を繰り広げている証拠であり、皮膚はその最前線が目に見えている場所に過ぎず、塗り薬だけでは根本解決になりません。

一方、一般的な蕁麻疹で発熱や強い倦怠感を伴うことは、極めて稀です。特定の食べ物や物理的な刺激、温度変化などが引き金となるため、皮膚症状が先行します。

蕁麻疹の場合は、原因物質を取り除くことで速やかに症状が改善します。全身がだるい、食欲がないといった不調がないのであれば、アレルギー性の反応を第一に疑うべきです。

左右対称性と分布の広がり方

多くのウイルス性発疹は、血液というネットワークに乗ってウイルスが全身に運ばれるため、身体の左右にほぼ対称に現れる性質があり、これが広範なウイルス感染のサインです。

お腹、背中、あるいは両腕や両足に、鏡で見た時に同じようなタイミングで湿疹が出る場合は、ウイルスが全身を巡っている可能性を疑い、早急に全身状態のチェックを行ってください。

しかし、例外もあり、帯状疱疹のように、神経の走行に沿ってウイルスが移動するものは、身体の片側だけに集中して現れます。

身体の正中線を越えずに、一本の線や帯を描くように発疹が並ぶ様子は、ウイルスが特定の神経根に住み着いていることを示し、このサインを見落とすと、治療が遅れる原因となります。

蕁麻疹は身体のどこにでも出現する可能性がありますが、分布に決まった規則性はなく、右に出たかと思えば次は左、といったように、不規則に飛び火するのが特徴です。

ウイルス性湿疹と蕁麻疹の比較項目

比較項目ウイルス性湿疹蕁麻疹
主な原因感染症・免疫低下アレルギー・物理刺激
持続時間数日間〜数週間定着数分〜24時間以内(移動する)
全身症状発熱や倦怠感がある原則として皮膚症状のみ
左右の対称性対称に出やすい(例外あり)不規則でランダムに出現

かゆみの有無から判断する湿疹の正体

かゆみの有無は、炎症の機序を推測する上で極めて重要な情報です。強いかゆみを伴う場合はアレルギー反応や寄生虫、外部刺激が疑われますが、かゆみが少ない場合はウイルスの増殖による皮膚細胞の直接的な損傷が考えられます。

激しいかゆみがある場合に考えられる疾患

蕁麻疹の患者が最も苦痛として訴えるのが、焼けるような、あるいは虫が這うような激しいかゆみで、これは細胞からヒスタミンが大量に放出され、知覚神経を直接刺激するからです。

このかゆみは、仕事の集中力を完全に削ぎ、夜間の深い睡眠を妨げるほど強烈になることが多々あり、かゆみによる精神的な疲弊は、さらに免疫を低下させるという悪循環を生みます。

ウイルス性疾患であっても、水疱瘡などは非常に強いかゆみを伴い、大人が水疱瘡にかかると、子供よりもかゆみが強く、範囲も広くなる傾向があるため、より注意が必要です。

かゆみに耐えきれず皮膚を激しく掻き壊してしまうと、そこから常在菌などの細菌が侵入し、とびひのような二次感染を引き起こし、治癒を遅らせ、深い痕を残す原因となります。

また、かゆみの強さは周囲の環境や時間帯によっても劇的に変動し、体温が上昇する入浴後、あるいはお酒を飲んだ後、就寝時などは、副交感神経の働きでかゆみが倍増しがちです。

自分がどのような状況でかゆみを感じやすいかを知ることは、予防策を立てる上でも役に立ち、夜間にかゆみが増すなら、寝室の温度を低めに設定するなどの工夫をしましょう。

かゆみよりも痛みや違和感が先行する場合

帯状疱疹や単純ヘルペスの初期症状において、かゆみを感じるケースは実はそれほど多くなく、それよりも、皮膚の奥から突き上げるような、ピリピリ、チクチクした痛みが先に来ます。

「服が擦れるだけで痛い」「電気が走るような鋭い感覚がある」という訴えは、ウイルスが神経細胞を直接攻撃している証拠で、かゆみとは質の異なる、不快で鋭利な感覚が特徴的です。

皮膚に赤みやブツブツが出る数日前から、神経痛のような自覚症状のみが現れることも少なくあり、単なる筋肉痛や肩こりと勘違いし、放置してしまう人が後を絶ちません。

かゆくないからといって「大したことはない」と軽視するのは禁物です。独特な痛みや違和感がある場合は、ウイルス性の神経炎を疑い、警戒レベルを最大に引き上げる必要があります。

早急に抗ウイルス薬による専門的な治療を開始することで、神経線維への永続的なダメージを最小限に食い止められます。

放置して治療が遅れると、皮膚の傷跡が治った後も数ヶ月、あるいは数年にわたって痛みが残る帯状疱疹後神経痛に苦しむことになります。

全く自覚症状がないまま広がる発疹

一部のウイルス感染症、例えば風疹や梅毒(第2期)、あるいは薬疹の初期などでは、かゆみも痛みも全く伴わないまま、全身に淡いピンク色の紅斑が静かに広がることがあります。

本人が鏡を見て初めて気づく、あるいは他人に指摘されて驚くといったケースもあり、自覚症状が乏しいため、発見が大幅に遅れてしまうのがこのパターンの最大の難点です。

毎日の着替えや入浴時における全身のセルフチェックが、早期発見には極めて大きな役割を果たします。見えにくい背中や太ももの裏側などは、意識的に確認する習慣をつけましょう。

「痛くもかゆくもないから大丈夫」という考えは、医学的には通用しません。自覚症状がない広範囲の発疹こそ、重大な全身性疾患や感染症の潜伏を示す危険なサインでもあります。

無症状であっても、皮膚の色が変わっているということは、毛細血管の拡張や細胞の変性が起きているという明確な信号です。

広がり方のスピードや、色の濃淡の変化を注意深く観察し、数日経過しても自然消滅しない場合は、感染拡大防止の意味も含めて、必ず医療機関でのスクリーニングを受けてください。

自覚症状から見る可能性の高い疾患

自覚症状のタイプ考えられる代表的な疾患放置した場合のリスク
猛烈なかゆみ蕁麻疹・疥癬・水疱瘡細菌感染・家族への蔓延
ピリピリした痛み帯状疱疹・単純ヘルペス頑固な神経痛・失明(顔面の場合)
無症状・違和感のみ風疹・梅毒・薬疹初期全身合併症・周囲への集団感染
重い倦怠感+発疹伝染性単核球症・肝炎肝機能不全・脾臓破裂の恐れ

症状別の正しい対処法と応急処置

皮膚に異変を感じた際は、まず患部を清潔に保ち、不必要な刺激を避けることが鉄則です。自己判断で市販の強い薬を使用すると、ウイルス性疾患の場合は症状を悪化させる可能性もあります。

患部を冷やして炎症を鎮める方法

蕁麻疹や、耐え難いかゆみを伴う湿疹の応急処置として最も手軽で効果的なのが、患部を物理的に冷やすことで、血管を収縮させ、炎症物質の広がりを物理的に食い止める行為です。

清潔なタオルを冷水で絞ったものや、保冷剤を必ず薄いガーゼなどで包み、患部に10分から15分程度優しく当ててください。冷却によって神経の伝達速度が一時的に低下し、脳へ送られるかゆみの信号がブロックされます。

ただし、注意点もあり、極めて稀ですが寒冷蕁麻疹といって、冷やすこと自体がトリガーとなって発疹が悪化するタイプもあるので、冷やして痛みが増す場合はすぐに中止してください。

また、冷却はあくまで一時的な症状緩和であることを忘れてはいけません。根本的な原因であるウイルスやアレルゲンが消えたわけではないため、冷やして落ち着いた隙に受診の準備をしましょう。

保湿と清潔の維持によるバリア機能の保護

発疹が出ている皮膚は、いわば屋根が壊れた家のような状態で、外からの刺激に弱く、中の水分がどんどん逃げていきます。このバリア機能の破綻を修復することが、回復への絶対条件です。

まず、毎日の入浴では石鹸をよく泡立て、手を使って撫でるように洗ってください。ナイロンタオルなどで擦る行為は、傷口に塩を塗るようなもので、ウイルスの拡散を自ら手助けしてしまいます。

お湯の温度は、かゆみを誘発しない38度前後のぬるま湯が最適で、40度を超える熱いお湯は、一時的にかゆみが麻痺して気持ちよく感じますが、上がった後に猛烈なかゆみに襲われます。

入浴後は、タオルで優しく水分を吸い取った直後、できれば3分以内に低刺激性の保湿剤を塗り、擬似的なバリアを作りましょう。

使用する保湿剤は、余計な添加物が入っていない白色ワセリンや、皮膚科で推奨されるヘパリン類似物質などが理想的です。香料の強いボディミルクなどは、炎症を助長する恐れがあります。

皮膚がしっとりと潤うことで、細胞の再生サイクルが整い、ウイルスによって破壊された組織が新しく生まれ変わるのを助けます。

また、室内環境の湿度管理も忘れてはいけません。乾燥した空気は皮膚のバリアをさらに脆弱にするので、加湿器を利用して、湿度が50%から60%程度になるよう調整し、肌の乾燥を防ぎましょう。

市販薬を使用する際の判断基準と注意

夜間や休日など、どうしてもすぐに受診できない場合の補助として市販薬を使う際は、成分表示を読み解く知識が必要で、蕁麻疹に対しては、フェキソフェナジンなどの内服薬が第一選択です。

これらは脳に移行しにくいタイプの抗ヒスタミン薬であり、眠気を抑えつつ効率的にかゆみをブロックしてくれます。

しかし、ウイルス性湿疹が疑われる場面で、強力なステロイド外用剤を独断で使用するのは極めて危険な賭けです。ステロイドは炎症を抑えますが、同時に局所の免疫力も低下させてしまいます。

ウイルスの増殖期にステロイドを塗ると、病状が爆発的に悪化する事例があり、特に水ぶくれがある時は要注意です。

市販薬を使用しても24時間以内に改善の兆しが見られない、あるいは症状がさらに広がっていると感じる場合は、薬の使用を即座に中止し、速やかに医師の診断を仰いでください。

家庭で実践すべき肌の保護習慣

  • 化学繊維を避け、オーガニックコットンなどの通気性と吸湿性に優れた肌着を選びます。
  • 洗濯洗剤はすすぎ残しがないよう注意し、柔軟剤の過度な使用を控えて皮膚への刺激を減らします。
  • 睡眠環境を整え、肌のゴールデンタイムに十分な成長ホルモンが分泌されるよう7時間以上の睡眠を確保します。
  • アルコールや辛い食べ物は血管を拡張させて症状を悪化させるため、完治するまでは禁欲的に過ごします。

大人が注意すべき特定のウイルス性疾患

大人になってから発症するウイルス性疾患は、子供の頃よりも症状が重く出たり、合併症を起こすリスクが高いです。特に感染力が強いものや、神経に永続的な影響を与えるものについては、正しい知識を持って対処することが重要です。

帯状疱疹の深刻さと早期治療の重要性

帯状疱疹は、かつて体内で眠っていた水痘・帯状疱疹ウイルスが目覚めることで起こる、大人にとって最もよく見られる疾患の一つです。

この疾患の怖さは、単なる皮膚の炎症で終わらない点にあります。ウイルスが神経を破壊しながら移動するため、治療が遅れると帯状疱疹後神経痛という、衣服が触れるだけで激痛が走る後遺症が残ります。

顔面、目の周囲に出現した場合は、視神経に影響を及ぼして失明する危険や、顔面神経麻痺を起こすリスクもはらんでいます。

発症から72時間(3日)以内に抗ウイルス薬の服用を開始することが、予後を左右する境界線です。この期間内に治療を始めれば、ウイルスの増殖を効果的に封じ込めます。

現代では50歳以上を対象とした予防ワクチンも普及しており、発症リスクを大幅に下げることが可能です。過去に水疱瘡にかかった記憶がある方は、予防という観点からも自衛策を検討しましょう。

手足口病が大人の体に及ぼす影響

夏風邪の一種とされる手足口病は、子供の病気というイメージが強いですが、大人がかかると、指先や足の裏に、針で刺されたような鋭い痛みを伴う発疹がびっしりと現れることがあります。

足の裏に発疹ができると、一歩踏み出すたびに激痛が走り、歩くことが困難になるケースもあります。手の発疹は、スマートフォンの操作やタイピングといった日常の動作を苦痛に変えてしまいます。

さらに深刻なのが口内炎です。喉の奥まで広がる多数の潰瘍により、唾液を飲み込むことすら激痛を伴い、脱水症状に陥り、点滴が必要になることも珍しいことではありません。

このウイルスには特効薬がないため、治療は自分の免疫力による回復を待つ対症療法がメインとなり、鎮痛剤で痛みをコントロールしながら、ひたすら耐える時期が必要になる疾患です。

感染源の多くは自分の子供や、周囲の乳幼児です。おむつ替えの際の糞口感染や、くしゃみによる飛沫感染が原因となります。大人がかかると子供よりも仕事への穴を開ける期間が長くなるため、注意が必要です。

伝染性単核球症による発疹と内臓への負担

EBウイルスなどの感染によって起こされる伝染性単核球症は、大人の発症において皮膚と内臓の両方に大きなダメージを与え、高熱、激しい喉の腫れに加え、全身に不鮮明な赤い斑点が出現します。

この病態の最も注意すべき点は、肝機能障害や脾臓の腫大を伴うことです。皮膚の症状は氷山の一角に過ぎず、体内では臓器が炎症を起こして腫れ上がっています。

特に脾臓が腫れている時期に激しい運動をしたり、お腹に衝撃を受けたりすると、脾臓破裂という命に関わる事態を招く恐れがあり、医師から許可が出るまでは、スポーツや重労働は絶対に禁止されます。

また、この疾患の患者さんに特定のペニシリン系抗生物質を誤って投与すると、ほぼ確実に全身性の激しい薬疹が現れるという特性があります。

完治までには数週間から、長い場合は数ヶ月単位の時間を要することもあります。

大人の要注意ウイルス疾患一覧

疾患名大人の典型症状社会的な注意点
帯状疱疹電気が走るような鋭い痛み神経痛が残ると長期欠勤の恐れ
手足口病足裏の激痛・重い口内炎子供への再感染・家庭内蔓延
風疹細かな赤い発疹・リンパ腫れ妊婦への接触は絶対NG(先天性障害)
伝染性単核球症高熱・全身紅斑・肝機能障害長期の安静が必要(スポーツ禁止)

医療機関を受診するべきタイミング

皮膚の症状が広範囲に及ぶ場合や、発熱を伴う場合は、躊躇せずに皮膚科を受診してください。専門医の診察を受けることで、適切な治療方針が定まり、回復までの時間を短縮できます。

緊急性が高い症状のチェックポイント

自分の身体の異変を「いつものこと」と片付けてはいけません。特に以下のサインが見られる場合は、迷わず当日中の受診を強くお勧めします。

まず、発疹とともに呼吸のしづらさ、動悸、あるいは唇や舌、まぶたの急激な腫れが出現した場合は、アナフィラキシーショックの初期段階で、1分1秒を争う事態であり、救急車の要請も検討すべきです。

次に、皮膚の痛みが尋常ではなく、夜も一睡もできないような激痛が走る場合で、これは深い部位での感染や神経破壊が進んでいる可能性があり、強力な鎮痛管理と抗ウイルス薬の点滴が必要な状態かもしれません。

水ぶくれが広範囲に広がり、中身が黄色く濁ったり、周囲が赤黒く変色したりしている場合も危険信号です。細菌による二次感染(壊死性筋膜炎など)が合併していると、切開や入院処置が必要になります。

さらに、高熱が下がらない、激しい頭痛や嘔吐がある、意識が朦朧とするといった随伴症状がある場合は、ウイルスが脳や脊髄に達している恐れがあります。これはもやはり、皮膚病の枠を超えた救急疾患です。

医師に伝えるべき情報の整理

診察室での時間は限られていて、短い時間で医師に的確な判断を下してもらうためには、情報を整理して提供する準備が必要です。

まず「いつ、どこに、どのような形状のものが」現れたかを時系列で整理します。最初は小さなポツポツだったのが、翌日に繋がって大きくなったのか、といった変化のプロセスは重要です。

次に、感覚の質を言語化してください。「痒い」のか「痛い」のか、あるいは「熱い」のか。それらが10段階でどの程度の強さなのかを伝えることで、医師は炎症の深さや種類を推測しやすくなります。

現在服用しているすべての薬(市販薬、サプリメント、漢方を含む)のリストや、お薬手帳を持参しましょう。新しい薬によるアレルギー反応(薬疹)の可能性を排除、あるいは特定するために不可欠です。

さらに、最近の特殊な出来事も思い出してください。慣れない海外旅行に行った、珍しいものを食べた、新しいペットを飼い始めた、洗剤を変えたなど、日常の些細な変化が原因解明の鍵になることが多々あります。

スマートフォンのカメラ機能を最大限に活用しましょう。発疹が出始めた初期の様子や、最もひどかった時の状態を写真に残しておけば、診察時に症状が変化していても医師は正確な推移を把握できます。

周囲への感染拡大を防ぐためのマナー

ウイルス性疾患の疑いがある状況での受診は、周囲への配慮が不可欠です。医療機関を訪れる前に、まずは電話で症状を伝えましょう。「発疹と熱がある」と伝えるだけで、病院側は適切な受け入れ準備ができます。

病院の待合室には、免疫力が低下している高齢者や乳幼児、妊婦さんが座っています。安易にその空間に混ざるのではなく、隔離スペースへの案内を待ってください。

公共交通機関を利用しての移動は極力避け、自家用車やタクシーを利用しましょう。移動中はマスクを正しく着用し、患部が他者や座席に触れないような服装(長袖・長ズボンなど)を選ぶことが大切です。

診断が確定するまでは、家庭内でも「感染源」としての自覚を持ちましょう。タオルの共有は今すぐ中止し、お風呂は最後に入る、あるいはシャワーのみにするなどの措置を講じて家族を守ってください。

医師への伝達事項の最終確認リスト

  • 発症の正確な日時と、最初に症状を自覚した部位(全身のどこから始まったか)。
  • 自覚症状の推移(かゆみから痛みに変わった、夜間に激しくなる、など)。
  • 最高体温とその持続期間、および咳や喉の痛みといった呼吸器症状の有無。
  • 直近2週間以内の特殊な行動歴(旅行、山登り、生ものの摂取、周囲の感染者)。
  • 現在治療中の疾患(糖尿病、高血圧、アトピー性皮膚炎など)と使用中の薬剤。
  • 妊娠の可能性の有無(女性の場合、薬剤選択において最優先される情報です)。

よくある質問

ウイルス性の湿疹は他の人にうつりますか?

多くのウイルス性発疹において、その原因となるウイルス自体は感染力を持っています。

特に水ぶくれ(水疱)がある場合、液体の中には高濃度のウイルス粒子が含まれていて、直接触れたり、液体がついたタオルを共有したりすることは、感染の直接的な原因となります。

また、麻疹や風疹のように飛沫や空気感染をするものもあります。大人がかかると周囲への影響範囲が広いため、診断が確定するまでは公共の場への出入りを厳に慎み、マスク着用と手指消毒を徹底しなければなりません。

蕁麻疹が何日も続くことはありますか?

個々の膨疹(赤い盛り上がり)は数時間から24時間以内に跡形もなく消えるのが、蕁麻疹です。しかし、古い発疹が消えるのと入れ替わりで新しい発疹が出るため、本人には数日間ずっと続いているように見えます。

このような状態が1ヶ月半(6週間)以内に収まるものを急性蕁麻疹、それ以上長く続くものを慢性蕁麻疹と呼びます。

もし「昨日から同じ場所の発疹がずっと消えない」というのであれば、蕁麻疹ではなく、湿疹や多形紅斑、あるいはウイルス性の皮膚炎である可能性が極めて高いです。

お風呂に入っても大丈夫でしょうか?

高熱があったり、本人の体力が著しく消耗してフラフラしたりする状態でなければ、短時間のシャワーや入浴で皮膚を清潔に保つことは推奨されます。

ただし、温度管理には絶対的な注意が必要です。40度を超える熱いお湯は、風呂上がりに体温が下がる過程で、ヒスタミンの分泌が爆発的に増え、激しいかゆみに襲われます。

上がった後は清潔な柔らかいタオルで優しく抑え、すぐに医師に指定された薬や低刺激の保湿剤を塗って、皮膚を保護しましょう。

子供の時にかかった病気に大人でもなりますか?

大人でも子供の病気に感染し、発症し、大人がかかった方が症状が劇烈になり、入院を要するほど重症化するケースが多いです。

子供の頃に免疫がついていなかった場合や、時間の経過(数十年)とともに免疫の記憶が薄れてしまった場合、あるいは身体を酷使して免疫のガードが下がった時に、子供からウイルスをもらって発症してしまいます。

以上

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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