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粃糠性脱毛症(ひこうせいだつもうしょう) の治療と予防

粃糠性脱毛症(ひこうせいだつもうしょう) の治療と予防

女性の薄毛の悩みの一つである粃糠性脱毛症は、頭皮のフケやかゆみ、炎症を伴う脱毛症です。適切な治療と予防策を講じることで、症状の改善と再発防止を目指すことが重要です。

Dr.小林智子

この記事では、皮膚科で行う専門的な治療法から、ご自身で取り組める頭皮ケア、生活習慣の見直しまで、粃糠性脱毛症の治療と予防について詳しく解説します。

医師が処方する抗真菌内服薬 – 体の内側から菌を抑える治療法

粃糠性脱毛症の主な原因の一つに、頭皮の常在菌であるマラセチア菌の異常増殖が挙げられます。この菌の活動を体の内側から抑えるために、皮膚科では抗真菌作用のある内服薬を処方することがあります。

抗真菌内服薬による頭皮ケア

外用薬だけでは改善が難しい場合や、症状が広範囲に及んでいる場合に特に有効な治療法です。

抗真菌内服薬の役割と効果

抗真菌内服薬は、血流に乗って全身に行き渡り、頭皮の毛穴の奥深くに潜むマラセチア菌にも直接作用します。これにより、菌の増殖を抑制し、フケ、かゆみ、炎症といった頭皮トラブルの根本的な原因にアプローチします。

結果として、頭皮環境が正常化し、抜け毛の改善にもつながります。医師は症状の程度や患者さんの状態を考慮して、適切な薬剤と服用期間を判断します。

主な抗真菌内服薬の種類

薬剤の種類主な作用服用時の注意点
イトラコナゾール広範囲の真菌に効果を示し、マラセチア菌の細胞膜合成を阻害する肝機能への影響を考慮し、定期的な血液検査を行うことがある
フルコナゾール真菌の増殖を抑制し、特にカンジダやクリプトコッカスにも有効腎機能が低下している場合は慎重な投与が必要

これらの内服薬は、医師の指示通りに正しく服用することが大切です。自己判断で中断したり、量を変更したりすると、十分な効果が得られないばかりか、副作用のリスクを高める可能性があります。

副作用と服用に関する注意点

抗真菌内服薬には、胃腸症状(吐き気、腹痛、下痢など)や肝機能障害といった副作用が現れることがあります。そのため、服用中は定期的に医師の診察を受け、必要に応じて血液検査などで体の状態を確認します。

もし、服用中に何らかの異常を感じた場合は、速やかに医師に相談してください。また、他の薬を服用している場合や、妊娠中・授乳中の方は、必ず事前に医師に伝える必要があります。

これらの情報を基に、皮膚科医が最も安全で効果的な治療法を選択します。

医薬品シャンプーと外用薬 – 頭皮に直接アプローチする2つの方法

粃糠性脱毛症(ひこうせいだつもうしょう)の治療において、頭皮に直接作用する医薬品シャンプーや外用薬は、頭皮のフケ、かゆみ、炎症を抑え、原因となるマラセチア菌の増殖を抑制する効果が期待できます。

医薬品シャンプーのボトルと外用薬のチューブ

皮膚科で処方されるものや、薬剤師の指導のもと薬局で購入できるものがあります。

抗真菌成分配合シャンプーの選び方と使い方

抗真菌成分を配合したシャンプーは、マラセチア菌の活動を抑えることで、フケやかゆみを軽減します。代表的な成分には、ケトコナゾール、ミコナゾール硝酸塩、ピロクトンオラミンなどがあります。

これらのシャンプーを選ぶ際は、ご自身の頭皮の状態や症状に合わせて、医師や薬剤師に相談することが推奨されます。

使用方法としては、まず髪と頭皮を十分に濡らし、適量のシャンプーを手に取ってよく泡立てます。そして、指の腹で頭皮をマッサージするように優しく洗い、特にフケやかゆみが気になる部分は丁寧に洗いましょう。

泡をつけた状態で数分間放置することで、有効成分が頭皮に浸透しやすくなります。その後、すすぎ残しがないように、しっかりと洗い流すことが大切です。使用頻度は、症状や製品によって異なりますが、週に数回から毎日の使用が指示されることがあります。

抗真菌シャンプーの主な有効成分

有効成分期待される効果使用のポイント
ケトコナゾールマラセチア菌の増殖を強力に抑制週2~3回程度の使用が一般的
ミコナゾール硝酸塩抗真菌作用と抗炎症作用毎日使用可能な製品もある
ピロクトンオラミンフケ・かゆみを抑え、頭皮環境を整える比較的マイルドな使用感

ステロイド外用薬の役割と正しい使用法

頭皮の炎症やかゆみが強い場合には、ステロイド外用薬が処方されることがあります。ステロイドには、炎症を鎮め、赤みやかゆみを迅速に抑える効果があります。ローションタイプや液状タイプなど、頭皮に塗布しやすい剤形が用いられます。

ステロイド外用薬を使用する際は、医師の指示された量と回数を厳守することが重要です。患部にのみ薄く塗布し、広範囲に漫然と使用することは避けるべきです。

長期間の使用や誤った使い方は、皮膚が薄くなる、血管が浮き出るなどの副作用を引き起こす可能性があるため、定期的な医師の診察のもとで使用します。

症状が改善してきたら、医師の指示に従って徐々に使用量を減らしていくのが一般的です。自己判断での中止や変更は、症状の再燃を招くことがあるため注意が必要です。

その他の外用薬と保湿の重要性

ステロイド以外にも、非ステロイド性の抗炎症薬や、かゆみを抑える成分(抗ヒスタミン薬など)が配合された外用薬が用いられることもあります。

また、粃糠性脱毛症では頭皮の乾燥が症状を悪化させる一因となるため、保湿を目的としたローションやスプレータイプの保湿剤の使用も効果的です。

特にシャンプー後は頭皮が乾燥しやすいため、適切な保湿ケアで頭皮のバリア機能をサポートし、外部刺激からの保護を心がけることが、フケやかゆみの予防、そして抜け毛対策につながります。

頭皮環境を整える専門治療 – クリニックで受ける光線療法と頭皮ケア

皮膚科クリニックでは、薬物療法に加えて、頭皮環境そのものを改善するための専門的な治療を受けることができます。これには、特定の波長の光を照射する光線療法や、医療機関専用の機器や薬剤を用いた頭皮ケアなどがあります。

これらの治療は、フケ、かゆみ、炎症、乾燥といった頭皮トラブルを総合的に改善し、健康な髪が育つ土壌を整えることを目指します。

光線療法(ナローバンドUVB照射など)の仕組みと効果

光線療法で頭皮治療を受ける女性

光線療法は、特定の波長の紫外線を頭皮に照射する治療法です。特にナローバンドUVB療法は、炎症を抑える効果や免疫反応を調整する効果があり、粃糠性脱毛症に伴う頭皮の炎症やかゆみの改善に有効とされています。

治療は週に数回程度、数分間の照射を行うのが一般的で、痛みはほとんどありません。この治療法は、ステロイド外用薬の使用量を減らしたい場合や、他の治療で効果が得られにくい場合の選択肢となります。

ただし、効果の現れ方には個人差があり、医師が症状や肌質を考慮して適応を判断します。

光線療法のメリット・デメリット

項目内容
メリット非薬物療法、副作用が比較的少ない、広範囲の治療が可能
デメリット複数回の通院が必要、効果に個人差がある、日焼けのような症状が出ることがある

専門的な頭皮クレンジングとマッサージ

クリニックで行う頭皮ケアには、毛穴に詰まった皮脂や古い角質を専門的な技術で除去するディープクレンジングがあります。これにより、毛穴のつまりを解消し、有効成分の浸透を高めます。

また、頭皮マッサージは血行を促進し、頭皮の新陳代謝を活発にします。これにより、毛根へ栄養が届きやすくなり、健康な髪の育成をサポートします。

これらの施術は、リラクゼーション効果も期待でき、ストレスによる頭皮環境の悪化を防ぐ一助ともなります。

医療機関での保湿ケアとバリア機能の強化

乾燥した頭皮はバリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなり、炎症やかゆみを引き起こしやすくなります。医療機関では、高保湿成分を配合した専用のローションや美容液を用いて、集中的な保湿ケアを行います。

これにより、頭皮の水分バランスを整え、バリア機能を強化し、乾燥や刺激に強い健やかな頭皮状態へと導きます。皮膚科医や専門スタッフが、個々の頭皮の状態に合わせたケアを提案します。

栄養療法で改善する頭皮環境 – 不足しがちなビタミンとミネラル

頭皮に良い栄養素を含む食事

健康な頭皮と髪を育むためには、体の内側からのケア、すなわち栄養バランスの取れた食事が重要です。特に、ビタミンやミネラルは頭皮の新陳代謝を促し、毛髪の主成分であるケラチンの生成を助けるなど、頭皮環境の改善に深く関わっています。

粃糠性脱毛症の予防や症状の緩和においても、これらの栄養素を意識的に摂取することが推奨されます。

頭皮の健康を支える主要な栄養素

頭皮や髪の健康維持には、様々な栄養素が関与しています。中でも、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、鉄分などは特に重要です。

これらの栄養素が不足すると、頭皮の乾燥や炎症、抜け毛といったトラブルを引き起こす原因となることがあります。

頭皮と髪に良い代表的な栄養素

栄養素主な働き多く含む食品例
ビタミンB群 (B2, B6, ビオチン等)皮膚や粘膜の健康維持、皮脂バランス調整、ケラチン生成促進レバー、魚介類、大豆製品、緑黄色野菜
ビタミンCコラーゲン生成促進、抗酸化作用、鉄分吸収促進果物(柑橘類、イチゴ)、野菜(パプリカ、ブロッコリー)
ビタミンE血行促進、抗酸化作用、頭皮の老化防止ナッツ類、植物油、アボカド
亜鉛細胞分裂や新陳代謝の促進、ケラチン合成に関与牡蠣、赤身肉、レバー、大豆製品
鉄分酸素運搬、毛母細胞への栄養供給レバー、赤身肉、ほうれん草、ひじき

サプリメントの活用と注意点

食事だけで十分な量の栄養素を摂取することが難しい場合は、サプリメントを活用することも一つの方法です。特に、亜鉛やビオチン(ビタミンB群の一種)などは、頭皮環境の改善を目的としたサプリメントによく配合されています。

ただし、サプリメントはあくまで食事の補助であり、過剰摂取はかえって健康を害する可能性もあります。

特定の栄養素を大量に摂取する前に、まずは医師や管理栄養士に相談し、自分に必要な栄養素と適切な摂取量についてアドバイスを受けることが大切です。

食事からの摂取を優先する理由

栄養素は、単独で働くよりも、他の栄養素と相互に作用しながら効果を発揮します。

そのため、特定のサプリメントに頼るだけでなく、多様な食品をバランス良く摂取することが、頭皮環境の改善、そして抜け毛の予防には最も効果的です。日常の食事内容を見直し、不足しがちな栄養素を意識して取り入れることから始めましょう。

皮膚科によっては、栄養指導を行っている場合もありますので、相談してみるのも良いでしょう。

正しいシャンプー方法で予防 – 頭皮を傷つけない洗髪3つのコツ

毎日のシャンプーは、頭皮を清潔に保ち、フケやかゆみを防ぐために重要ですが、誤った方法で行うと逆に頭皮を傷つけ、乾燥や炎症、抜け毛を悪化させる原因にもなりかねません。

粃糠性脱毛症の予防と症状改善のためには、頭皮に優しい正しいシャンプー方法を実践することが大切です。

シャンプー前の準備 ブラッシングと予洗い

シャンプーを始める前に、まずは乾いた髪を優しくブラッシングしましょう。これにより、髪の絡まりを解き、ホコリや大きな汚れを浮き上がらせることができます。また、頭皮の血行促進にもつながります。

シャンプー前のブラッシングと予洗い

次に、38℃程度のぬるま湯で髪と頭皮を十分に予洗いします。予洗いだけで、頭皮の汚れの多くは洗い流せると言われています。これにより、シャンプーの使用量を抑えることができ、頭皮への負担を軽減します。

適切なシャンプーの泡立て方と洗い方

シャンプーは手のひらでよく泡立ててから髪につけます。原液を直接頭皮につけると、刺激が強すぎたり、すすぎ残しの原因になったりします。

泡立てたシャンプーを髪全体になじませたら、指の腹を使って頭皮をマッサージするように優しく洗います。爪を立ててゴシゴシ洗うと頭皮を傷つけてしまうため、絶対に避けましょう。

指の腹でやさしく洗髪する様子

特に、フケやかゆみが気になる部分も、力を入れすぎず丁寧に洗うことが重要です。洗い終わったら、シャンプー剤が残らないように、時間をかけてしっかりとすすぎます。すすぎ残しは、かゆみや炎症、頭皮の乾燥の原因となります。

洗髪時の3つのポイント

  • シャンプー前にブラッシングで汚れを浮かす
  • シャンプーはよく泡立て、指の腹で優しく洗う
  • すすぎは時間をかけて、シャンプー剤を残さない

シャンプー後の乾燥と保湿ケア

シャンプー後は、できるだけ速やかに髪を乾かします。濡れたまま放置すると、雑菌が繁殖しやすくなり、頭皮トラブルの原因になることがあります。

タオルで髪を挟むようにして優しく水分を拭き取り(ゴシゴシ擦らない)、その後ドライヤーで乾かします。ドライヤーは頭皮から20cm以上離し、同じ場所に熱風が集中しないように注意しながら、全体を乾かしましょう。

特に頭皮はしっかりと乾かすことが大切です。乾かした後は、必要に応じて頭皮用の保湿ローションなどで保湿ケアを行い、乾燥を防ぎましょう。正しいシャンプーと乾燥方法を習慣づけることが、粃糠性脱毛症の予防と対策の基本です。

ストレス管理で頭皮を守る – 自律神経を整える生活習慣

ストレスは万病のもとと言われますが、頭皮環境にも大きな影響を与えます。過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、血行不良や皮脂の過剰分泌、免疫力の低下などを引き起こし、粃糠性脱毛症の悪化や抜け毛の原因となることがあります。

そのため、日頃からストレスを上手に管理し、自律神経を整える生活習慣を心がけることが、頭皮の健康を守る上で重要です。

ストレス管理とリラックスする女性

ストレスが頭皮に与える悪影響

ストレスを感じると、体は緊張状態になり交感神経が優位になります。この状態が続くと、血管が収縮して頭皮への血流が悪化し、毛根に必要な栄養素や酸素が十分に行き渡らなくなります。

また、ホルモンバランスの乱れから皮脂の分泌が過剰になったり、逆に乾燥を招いたりすることもあります。さらに、免疫機能が低下すると、マラセチア菌などの常在菌が異常繁殖しやすくなり、フケやかゆみ、炎症といった頭皮トラブルを誘発しやすくなります。

これらの要因が複合的に絡み合い、抜け毛を進行させることにつながります。

ストレスによる頭皮への影響

影響具体的な症状・状態
血行不良毛根への栄養供給不足、髪の成長阻害
皮脂バランスの乱れ皮脂の過剰分泌または乾燥、毛穴の詰まり
免疫力低下常在菌の異常増殖、炎症の発生・悪化

自律神経を整えるリラックス方法

自律神経のバランスを整えるためには、意識的にリラックスする時間を作ることが大切です。深呼吸や瞑想、ヨガ、軽いストレッチなどは、副交感神経を優位にし、心身の緊張を和らげる効果があります。

また、趣味に没頭する時間や、自然の中で過ごす時間も良い気分転換になります。アロマテラピーで好きな香りを楽しんだり、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かったりするのもおすすめです。

自分に合ったリラックス方法を見つけ、日常生活に取り入れましょう。

質の高い睡眠の確保

睡眠は、心身の疲労を回復し、自律神経のバランスを整える上で非常に重要です。睡眠中には成長ホルモンが分泌され、細胞の修復や再生が活発に行われます。頭皮や髪の健康も、この成長ホルモンの働きに大きく支えられています。

質の高い睡眠を確保するためには、規則正しい生活リズムを心がけ、就寝前のカフェイン摂取やスマートフォンの使用を控えることが有効です。寝室の環境(温度、湿度、明るさ、音など)を整えることも、快適な睡眠につながります。

睡眠不足を感じている方は、まず睡眠習慣の見直しから始めてみましょう。これが、頭皮環境の改善、ひいては抜け毛の予防にもつながります。

食生活の見直しで健康な頭皮へ – 避けるべき食品と積極的に摂りたい栄養素

日々の食事が頭皮の健康状態に大きく影響することは、多くの人が認識しているでしょう。特に粃糠性脱毛症(ひこうせいだつもうしょう) のような頭皮トラブルを抱えている場合、食生活の見直しは症状の改善と予防において重要な対策の一つです。

ここでは、頭皮環境を悪化させる可能性のある食品と、積極的に摂取したい栄養素について解説します。

頭皮トラブルを招きやすい食習慣

頭皮に悪い食品と良い食品

脂質の多い食事、糖質の過剰摂取、刺激物などは、皮脂の分泌を過剰にしたり、頭皮の炎症を悪化させたりする可能性があります。

また、インスタント食品や加工食品に偏った食事は、ビタミンやミネラルが不足しがちになり、頭皮の新陳代謝を滞らせる原因となります。

注意したい食品群

食品群頭皮への影響具体的な食品例
高脂肪食皮脂の過剰分泌、毛穴の詰まり揚げ物、脂身の多い肉、スナック菓子
高糖質食皮脂の過剰分泌、血糖値の急上昇による炎症リスク菓子パン、ケーキ、清涼飲料水
刺激物頭皮の炎症悪化、かゆみの誘発香辛料の多い料理、アルコール、カフェイン

積極的に摂りたい栄養素と食材

健康な頭皮を育むためには、タンパク質、ビタミン、ミネラルをバランス良く摂取することが基本です。

特に、髪の主成分であるケラチンの材料となるタンパク質、頭皮の新陳代謝を促すビタミンB群、抗酸化作用のあるビタミンC・E、そして細胞の再生に必要な亜鉛などは積極的に摂りたい栄養素です。

  • タンパク質(魚、大豆製品、鶏むね肉など)
  • ビタミンB群(レバー、青魚、納豆、緑黄色野菜など)
  • ビタミンC(柑橘類、ブロッコリー、パプリカなど)
  • ビタミンE(ナッツ類、アボカド、植物油など)
  • 亜鉛(牡蠣、牛肉、卵など)

これらの栄養素を多く含む食材を日々の食事に取り入れ、バランスの取れた食生活を心がけることが、頭皮環境の改善、そしてフケやかゆみ、抜け毛の予防につながります。

バランスの取れた食事の重要性

特定の栄養素だけを大量に摂取するのではなく、様々な食品から多様な栄養素をバランス良く摂ることが重要です。主食、主菜、副菜をそろえ、野菜や果物、海藻類なども積極的に取り入れましょう。

腸内環境を整えることも、栄養素の吸収を高め、免疫力を向上させる上で大切です。発酵食品(ヨーグルト、納豆など)や食物繊維の豊富な食品(野菜、きのこ類、海藻類など)を意識して摂取することも、健康な頭皮への近道です。

食生活の改善は一朝一夕には効果が出にくいかもしれませんが、継続することで確実に頭皮環境は良い方向へ向かいます。

再発を防ぐ長期管理 – 治療後も続ける頭皮ケアのポイント

粃糠性脱毛症は、一度症状が改善しても、その後のケアを怠ると再発しやすい皮膚疾患の一つです。治療によってフケやかゆみ、炎症、抜け毛といった症状が落ち着いた後も、良好な頭皮環境を維持するための長期的な管理が重要になります。

ここでは、再発を防ぐために日常生活で心がけたい頭皮ケアのポイントを解説します。

定期的な頭皮チェックの習慣化

症状が改善した後も、定期的にご自身の頭皮の状態をチェックする習慣をつけましょう。鏡を使ったり、家族に見てもらったりして、フケの量、頭皮の色、かゆみの有無などを確認します。

初期の小さな変化に気づくことができれば、早めに対策を講じることができ、症状の悪化や本格的な再発を防ぐことにつながります。特に、季節の変わり目や生活環境が変化した時などは、頭皮の状態も変化しやすいので注意深く観察しましょう。

適切なセルフケアの継続

治療中に皮膚科医から指導されたシャンプー方法や保湿ケアは、症状が改善した後も継続することが基本です。頭皮に合ったシャンプーを選び、優しく丁寧に洗い、しっかりとすすぐことを心がけましょう。

また、頭皮の乾燥を感じる場合は、保湿ローションなどで潤いを補給することも大切です。ただし、自己判断で治療用の医薬品を使い続けるのではなく、日常的なケアに適した製品を選ぶようにし、必要であれば医師に相談してください。

継続したい頭皮ケア習慣

  • 頭皮に優しいシャンプーでの洗髪
  • 十分なすすぎと適切な乾燥
  • 必要に応じた頭皮の保湿

生活習慣の維持と見直し

バランスの取れた食事、質の高い睡眠、適度な運動、ストレス管理といった健康的な生活習慣は、頭皮環境を良好に保つための土台となります。治療によって症状が改善したからといって油断せず、これらの生活習慣を維持するよう努めましょう。

特に、食生活の乱れや睡眠不足、過度なストレスは再発の引き金になりやすいため注意が必要です。定期的にご自身の生活習慣を見直し、改善できる点があれば積極的に取り組みましょう。

皮膚科医との連携と定期受診

頭皮チェックと皮膚科医のアドバイスを受ける女性

症状が落ち着いた後も、定期的に皮膚科を受診し、医師に頭皮の状態をチェックしてもらうことが、再発防止には非常に有効です。医師は専門的な視点から頭皮の状態を評価し、その時々の状態に合わせた適切なアドバイスやケア方法を提案してくれます。

もし再発の兆候が見られた場合でも、早期に発見し対処することで、症状の悪化を防ぐことができます。

自己判断せずに、専門家である皮膚科医と連携を取りながら、長期的な視点で頭皮の健康管理を行っていくことが、粃糠性脱毛症の再発を防ぐための最も確実な対策と言えるでしょう。

季節に合わせた予防対策 – 湿度と温度変化への適切な対応

春夏秋冬それぞれの頭皮ケアポイント

頭皮環境は、季節による湿度や温度の変化、紫外線の量など、外部環境の影響を大きく受けます。

粃糠性脱毛症の症状をコントロールし、再発を予防するためには、これらの季節ごとの変化に合わせた適切な頭皮ケアと対策を行うことが重要です。

夏の紫外線対策と汗・皮脂ケア

夏は強い紫外線と高温多湿が特徴です。紫外線は頭皮にダメージを与え、乾燥や炎症を引き起こす原因となります。また、汗や皮脂の分泌も活発になるため、毛穴が詰まりやすく、マラセチア菌が繁殖しやすい環境になります。

外出時には帽子や日傘を使用し、頭皮用の日焼け止めスプレーなどで紫外線対策を徹底しましょう。汗をかいた後はこまめに拭き取ったり、可能であればシャワーで洗い流したりして、頭皮を清潔に保つことが大切です。

シャンプーも、洗浄力がありつつ頭皮に優しいものを選び、皮脂汚れをしっかりと落としましょう。

冬の乾燥対策と血行促進

冬は空気が乾燥し、暖房の使用によって室内も乾燥しがちです。頭皮が乾燥するとバリア機能が低下し、フケやかゆみが生じやすくなり、粃糠性脱毛症が悪化する原因となります。

加湿器などで室内の湿度を適切に保ち、シャンプーの際には熱すぎるお湯を避け、保湿成分の配合されたシャンプーやトリートメント、頭皮用ローションなどを使用して、頭皮の潤いを保つよう心がけましょう。

また、寒さで血行が悪くなりがちなため、頭皮マッサージや適度な運動で血行を促進することも、頭皮の健康維持に役立ちます。

季節ごとの頭皮ケアのポイント

季節主な頭皮トラブル要因推奨される対策
花粉、寒暖差、生活環境の変化によるストレス丁寧な洗髪、十分な睡眠、ストレスケア
紫外線、汗、皮脂の過剰分泌、冷房による乾燥紫外線対策、こまめな洗髪、保湿ケア
夏のダメージの蓄積、乾燥の始まり保湿重視のケア、バランスの取れた食事
乾燥、血行不良、暖房による乾燥徹底した保湿、血行促進マッサージ、加湿

季節の変わり目の注意点

春や秋といった季節の変わり目は、気温や湿度が不安定で、自律神経も乱れやすいため、頭皮の状態もゆらぎやすい時期です。この時期は特に、日々の頭皮の状態を注意深く観察し、変化に応じてケア方法を調整することが大切です。

例えば、乾燥を感じ始めたら保湿を強化する、フケが増えてきたら抗真菌成分配合のシャンプーの使用頻度を一時的に増やす(医師の指示がある場合)など、柔軟に対応しましょう。

バランスの取れた食事や十分な睡眠を心がけ、体調管理をしっかり行うことも、季節の変わり目を健やかな頭皮で乗り切るための重要な対策です。

よくあるご質問

粃糠性脱毛症(ひこうせいだつもうしょう) の治療や予防に関して、患者様からよく寄せられるご質問とその回答をまとめました。

粃糠性脱毛症は完治しますか? 抜け毛は元に戻りますか?

適切な治療を行うことで、フケ、かゆみ、炎症といった症状は改善し、多くの場合、脱毛も軽快します。原因となるマラセチア菌のコントロールや頭皮環境の正常化が達成されれば、症状がほとんど出ない状態(寛解状態)を維持することは可能です。

ただし、体質や生活習慣によっては再発することもあるため、治療後も継続的なケアと予防が重要です。抜け毛に関しては、毛根がダメージを受けていなければ、頭皮環境が改善することで再び健康な髪が生えてくることが期待できます。

しかし、長期間炎症が続いた場合など、毛根の機能が低下していると回復が難しいケースもありますので、早期の治療開始が大切です。

治療にはどのくらいの期間がかかりますか?

治療期間は、症状の重症度や範囲、治療法、患者さんご自身の生活習慣などによって個人差があります。

一般的には、数週間から数ヶ月程度の治療で症状の改善が見られることが多いですが、根本的な頭皮環境の改善や再発予防のためには、より長期的な視点でのケアが必要となる場合もあります。

皮膚科医と相談しながら、焦らず治療に取り組むことが大切です。

市販のフケ用シャンプーや育毛剤を使っても良いですか?

市販のフケ用シャンプーの中には、抗真菌成分が配合されているものもあり、軽度の症状であれば効果が期待できる場合があります。しかし、症状が改善しない場合や悪化する場合は、自己判断せずに皮膚科を受診し、適切な診断と治療を受けることをお勧めします。

育毛剤に関しては、粃糠性脱毛症の原因に直接作用するものではないため、まずは炎症を抑え、頭皮環境を整える治療を優先すべきです。頭皮の状態が改善した後に、医師に相談の上で使用を検討するのが良いでしょう。

粃糠性脱毛症は他の人にうつりますか?

粃糠性脱毛症の原因となるマラセチア菌は、誰の皮膚にも存在する常在菌の一種です。この菌が何らかの要因で異常増殖することで発症するため、一般的な感染症のように人から人へとうつるものではありません。

タオルや寝具の共用などを過度に心配する必要はありませんが、個人の衛生管理として清潔に保つことは大切です。

治療費はどのくらいかかりますか? 保険は適用されますか?

粃糠性脱毛症の治療は、皮膚科で行う場合、基本的に健康保険が適用されます。診察料、検査料、処方される薬剤(内服薬、外用薬、薬用シャンプーの一部など)は保険診療の範囲内です。

ただし、クリニックによっては、保険適用外の自由診療となる特殊な頭皮ケアやサプリメントなどを併用する場合もあります。具体的な費用については、治療を開始する前に医療機関に確認することをお勧めします。

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