最近、抜け毛が増えたり、頭皮にかゆみや赤みを感じたりしていませんか?それはもしかしたら、毛孔性扁平苔癬(もうこうせいへんぺいたいせん)性脱毛症という、少し聞き慣れない脱毛症のサインかもしれません。
この脱毛症は、毛包が炎症を起こし、最終的には髪の毛が生えてこなくなる瘢痕性脱毛症の一種です。

この記事では、毛孔性扁平苔癬性脱毛症の症状や原因、診断、治療法について詳しく解説します。
その抜け毛、あきらめないで!毛孔性扁平苔癬性脱毛症のサインかも?

抜け毛や薄毛の悩みは、多くの方が抱えるデリケートな問題です。特に女性にとっては、外見だけでなく心の健康にも大きな影響を与えることがあります。しかし、すべての抜け毛が同じ原因で起こるわけではありません。
中には、毛孔性扁平苔癬性脱毛症のように、早期の対応が重要な脱毛症も存在します。この脱毛症は、毛包周囲の炎症が特徴で、進行すると毛包が破壊され、永久的な脱毛(瘢痕性脱毛症)に至ることがあります。
そのため、初期のサインを見逃さず、専門医に相談することが大切です。
抜け毛だけではない、頭皮からのSOS
毛孔性扁平苔癬性脱毛症のサインは、単に髪の毛が抜けることだけではありません。頭皮にも様々な症状が現れることがあります。これらのサインに気づいたら、早めに皮膚科を受診しましょう。
頭皮の異常のサイン

- 持続的なかゆみ
- ヒリヒリとした痛みや灼熱感
- 頭皮の赤み(紅斑)
- フケのような鱗屑
- 毛穴の周りの角化や盛り上がり
これらの症状は、他の皮膚疾患と見分けがつきにくいこともあります。例えば、円形脱毛症も突然髪が抜ける症状ですが、毛孔性扁平苔癬とは炎症の性質や進行の仕方が異なります。
自己判断せずに、専門医の診察を受けることが重要です。
見過ごしやすい初期症状とは
毛孔性扁平苔癬性脱毛症の初期には、症状が軽微で気づきにくいことがあります。例えば、頭頂部や前髪の生え際が少し薄くなったように感じる、頭皮が時々かゆい、といった程度かもしれません。
しかし、これらの小さな変化が、実は毛孔性扁平苔癬の始まりである可能性も否定できません。特に、頭皮にかゆみや赤み、毛穴の周りに小さなブツブツ(毛包一致性の丘疹)が見られる場合は注意が必要です。
これらの症状が持続したり、徐々に悪化したりするようであれば、専門医に相談することをおすすめします。
初期症状のチェックポイント
チェック項目 | 具体的な状態 | 考えられること |
---|---|---|
抜け毛の量 | 以前より明らかに増えた、特定の部位が薄くなった | 脱毛症の可能性 |
頭皮のかゆみ | シャンプーを変えても治まらない、持続的なかゆみ | 炎症のサイン |
頭皮の色 | 部分的に赤い、あるいは全体的に赤みがかっている(紅斑) | 炎症や血行不良 |
もしかして…?自宅でできる髪と頭皮のチェックポイント

専門医の診断が最も重要ですが、日頃からご自身の髪や頭皮の状態に関心を持つことも大切です。ここでは、自宅でできる簡単なチェックポイントを紹介します。
ただし、これらのチェックはあくまで目安であり、自己判断で終わらせず、気になる点があれば必ず専門医に相談してください。
髪の変化を観察する
髪質の変化や抜け毛の状態を注意深く観察しましょう。鏡を使って、頭頂部、前頭部、側頭部、後頭部など、頭皮全体をチェックします。
特に、以前と比べて髪の毛が細くなった、ハリやコシがなくなった、分け目が目立つようになった、などの変化は要注意です。
髪のチェックポイント
- 抜け毛の本数(洗髪時、ブラッシング時など)
- 髪の太さや質感の変化
- 特定の部位の薄毛の進行度
頭皮の状態を触って確かめる
頭皮を指の腹で優しく触れてみましょう。乾燥していないか、脂っぽすぎないか、硬くなっていないかなどを確認します。また、かゆみ、痛み、灼熱感、できものがないかもチェックします。
特に、毛穴の周りに赤みやプツプツとした感触(毛包炎や毛孔周囲の角化)がないか注意深く観察してください。これらの症状は毛孔性扁平苔癬の兆候である可能性があります。
頭皮のセルフチェック項目
チェックポイント | 正常な状態の目安 | 注意が必要な状態 |
---|---|---|
頭皮の色 | 青白い、または健康的な肌色 | 赤い、茶色っぽい、黄色っぽい |
頭皮の柔軟性 | 指で動かすと適度に動く | 硬く突っ張っている、ブヨブヨしている |
毛穴の状態 | 詰まりがなく、毛がしっかり生えている | 赤い、炎症がある、毛がない、鱗屑が付着している |
このようなセルフチェックは、あくまで早期発見の手がかりの一つです。毛孔性扁平苔癬(もうこうせいへんぺいたいせん)性脱毛症のような進行性の脱毛症は、専門医による正確な診断と適切な治療が不可欠です。
少しでも気になる点があれば、自己判断せずに皮膚科を受診しましょう。
知っておきたい、毛孔性扁平苔癬性脱毛症の基礎知識

毛孔性扁平苔癬性脱毛症は、毛包を標的とするリンパ球系の炎症細胞浸潤を特徴とする慢性進行性の瘢痕性脱毛症です。この疾患は、毛包が破壊され、最終的に線維化(瘢痕化)することで永久的な脱毛を引き起こします。
ここでは、この疾患の基本的な情報について解説します。
毛孔性扁平苔癬性脱毛症とは何か
毛孔性扁平苔癬性脱毛症は、主に頭頂部や前頭部に好発し、初期には毛包周囲に紅斑や鱗屑、角栓様物質(毛孔角栓)を伴うことがあります。患者さんは、かゆみ、痛み、灼熱感を訴えることが少なくありません。
進行すると、脱毛斑は融合し、広範囲に及ぶこともあります。この疾患は扁平苔癬の一種と考えられており、皮膚や爪、口腔粘膜などに扁平苔癬の症状を合併することもあります。
毛孔性扁平苔癬の主な特徴
特徴 | 詳細 |
---|---|
分類 | 原発性瘢痕性脱毛症、リンパ球性瘢痕性脱毛症 |
好発部位 | 頭頂部、前頭部(特に生え際) |
主な自覚症状 | かゆみ、痛み、灼熱感 |
瘢痕性脱毛症との関連
瘢痕性脱毛症とは、毛包が炎症によって破壊され、その部分が瘢痕組織に置き換わることで、永久的に毛髪が再生しなくなる脱毛症の総称です。毛孔性扁平苔癬性脱毛症は、この瘢痕性脱毛症の代表的な疾患の一つです。
他にも、前頭部線維性脱毛症や円板状エリテマトーデスなどが瘢痕性脱毛症に含まれます。
瘢痕性脱毛症は、非瘢痕性脱毛症である円形脱毛症などとは異なり、毛包の再生が期待できないため、早期に炎症を抑え、進行を止める治療が重要になります。
他の脱毛症との違い
脱毛症には様々な種類があり、それぞれ原因や症状、治療法が異なります。例えば、円形脱毛症は自己免疫反応が関与すると考えられていますが、毛包自体は破壊されにくく、多くの場合、自然治癒したり治療によって毛髪が再生したりします。
一方、毛孔性扁平苔癬性脱毛症は毛包が破壊されるため、治療の目標は炎症を鎮静化させ、さらなる毛包破壊を防ぐことにあります。
また、男性型脱毛症(AGA)や女性型脱毛症(FAGA)はホルモンの影響などが主な原因であり、毛包のミニチュア化が特徴で、瘢痕化は通常伴いません。
脱毛症の種類の比較(一部)
脱毛症の種類 | 主な原因 | 毛包の状態 |
---|---|---|
毛孔性扁平苔癬性脱毛症 | 自己免疫反応(推定)、詳細不明 | 炎症により破壊、瘢痕化 |
円形脱毛症 | 自己免疫反応 | 炎症はあるが、通常破壊されない |
男性型・女性型脱毛症 | ホルモン、遺伝など | ミニチュア化(小さくなる) |
なぜ私だけ?毛孔性扁平苔癬性脱毛症の背景にあるもの
毛孔性扁平苔癬性脱毛症の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。この疾患は比較的稀であり、なぜ特定の人に発症するのかについては、多くの研究が進行中です。
考えられる原因と誘因

現在のところ、毛孔性扁平苔癬性脱毛症の発症には、自己免疫疾患のメカニズムが関わっていると考えられています。これは、自身の免疫系が誤って毛包の細胞を攻撃してしまう状態です。
Tリンパ球と呼ばれる免疫細胞が、毛包の特定の部分(特に毛包峡部や脂腺周囲)を標的にすると推測されています。
遺伝的な素因や、何らかの環境因子(薬剤、ウイルス感染、ストレスなど)が引き金となる可能性も指摘されていますが、まだ確証はありません。
毛孔性扁平苔癬の発症に関与する可能性のある因子
- 自己免疫反応の異常
- 遺伝的素因
- 特定の薬剤の使用
- ウイルス感染
- 精神的ストレス
これらの因子が複雑に絡み合って発症すると考えられていますが、個々の患者さんでどの因子が強く影響しているかは異なります。
自己免疫疾患との関連性

毛孔性扁平苔癬性脱毛症は、自己免疫疾患の一つとして捉えられることがあります。自己免疫疾患とは、本来、体を守るべき免疫システムが、自分自身の正常な細胞や組織を異物と認識して攻撃してしまう病気の総称です。
毛孔性扁平苔癬では、免疫細胞が毛包を攻撃することで炎症が引き起こされ、毛包が破壊されてしまいます。
他の自己免疫疾患(例:甲状腺疾患、関節リウマチなど)を合併している患者さんもいるため、全身的な観点からの評価も重要になることがあります。
遺伝的要因や環境要因の可能性
毛孔性扁平苔癬性脱毛症が家族内で多発するケースは稀ですが、特定の遺伝的背景が発症しやすさに関与している可能性は否定できません。HLA(ヒト白血球抗原)の特定のタイプとの関連も研究されています。
また、環境要因としては、特定の薬剤(降圧薬、抗炎症薬など)の使用後に発症したという報告や、C型肝炎ウイルスとの関連を示唆する報告もありますが、いずれもまだ研究段階です。
精神的なストレスが症状を悪化させる可能性も指摘されており、生活習慣の改善も治療の一環として考慮されることがあります。
関連が研究されている要因
要因カテゴリー | 具体的な例 | 関連性 |
---|---|---|
遺伝的要因 | 特定のHLAタイプ | 研究中 |
薬剤 | 一部の降圧薬、NSAIDsなど | 症例報告あり |
感染症 | C型肝炎ウイルスなど | 研究中 |
専門医はどう診る?毛孔性扁平苔癬性脱毛症の診断ステップ

毛孔性扁平苔癬(もうこうせいへんぺいたいせん)性脱毛症の診断は、問診、視診、ダーモスコピー検査、そして確定診断のための皮膚生検などを組み合わせて行います。
早期に正確な診断を下し、適切な治療を開始することが、脱毛の進行を食い止めるために非常に重要です。
問診と視診による初期評価
まず、医師は患者さんから症状の経過(いつから、どのような症状があるか、かゆみや痛みの有無など)、既往歴、家族歴、使用中の薬剤などについて詳しく聞き取ります(問診)。
その後、頭皮全体を注意深く観察し(視診)、脱毛の範囲やパターン、毛穴の状態、紅斑や鱗屑の有無などを確認します。
特に毛孔性扁平苔癬に特徴的な所見である、毛包周囲の紅斑や毛孔角栓、脱毛斑の辺縁部の活動性(炎症の兆候)などを評価します。
ダーモスコピー検査の役割
ダーモスコピーは、特殊な拡大鏡を用いて皮膚の状態を詳細に観察する検査です。毛孔性扁平苔癬性脱毛症の診断において、ダーモスコピーは非常に有用な情報を提供します。
この検査により、毛孔周囲の鱗屑、毛孔の消失、毛包周囲の白色瘢痕、血管拡張など、肉眼では捉えにくい微細な変化を観察できます。これにより、他の脱毛症との鑑別や、活動性の評価、治療効果の判定に役立ちます。
ダーモスコピーで観察される主な所見
所見 | 説明 |
---|---|
毛孔周囲の鱗屑(Perifollicular scaling) | 毛穴の周りに見られるフケのようなもの |
毛孔周囲の紅斑(Perifollicular erythema) | 毛穴の周りの赤み |
毛孔の消失(Loss of follicular openings) | 毛穴が見えなくなる状態 |
確定診断のための皮膚生検
多くの場合、毛孔性扁平苔癬性脱毛症の確定診断には皮膚生検が必要です。皮膚生検は、局所麻酔下に頭皮の一部(通常は活動性のある脱毛斑の辺縁部から数ミリ程度の皮膚組織)を採取し、顕微鏡で病理組織学的に調べる検査です。
この検査により、毛包周囲のリンパ球浸潤、毛包上皮の液状変性、毛包の破壊、真皮の線維化といった、毛孔性扁平苔癬に特徴的な組織所見を確認できます。これにより、他の瘢痕性脱毛症(例:円板状エリテマトーデス)や非瘢痕性脱毛症との鑑別が可能になります。
一人で悩まず相談を。あなたに合った治療法を見つけるために
毛孔性扁平苔癬性脱毛症と診断された場合、またはその疑いがある場合、専門医とよく相談し、ご自身に合った治療法を見つけることが大切です。
治療の主な目標は、炎症を抑制し、症状(かゆみ、痛みなど)を軽減し、脱毛の進行を止めることです。
残念ながら、一度破壊されて瘢痕化した毛包から再び髪が生えてくることは困難ですが、早期に治療を開始することで、残っている毛包を守り、さらなる脱毛を防ぐことが期待できます。
主な治療法の選択肢
毛孔性扁平苔癬性脱毛症の治療法は、病気の活動性や範囲、患者さんの状態によって異なります。一般的には、まず炎症を抑えるための治療が行われます。
治療法の概要
- ステロイド外用薬
- ステロイド局所注射
- 内服薬(ステロイド、免疫抑制薬など)
ステロイド外用薬は、炎症を抑えるために頭皮に直接塗布する薬です。症状が限局している場合や軽症の場合に用いられます。
より強い効果が必要な場合や、外用薬だけでは効果が不十分な場合には、ステロイドを病変部に直接注射する方法(局所注射)が行われることもあります。
広範囲に症状がある場合や、進行が速い場合には、ステロイドの内服や、ヒドロキシクロロキン、シクロスポリン、メトトレキサートといった免疫抑制薬の内服が検討されることもあります。
これらの治療は、効果と副作用のバランスを考慮しながら、専門医が慎重に選択します。
ステロイド治療とその注意点

ステロイドは、毛孔性扁平苔癬性脱毛症の炎症を抑えるために非常に有効な薬剤です。外用薬、局所注射、内服薬として使用されます。
しかし、長期間の使用や高用量の使用は、皮膚の菲薄化、毛細血管拡張、感染症のリスク増加などの副作用を引き起こす可能性があります。特に内服薬の場合は、糖尿病、高血圧、骨粗鬆症、消化性潰瘍など、全身性の副作用にも注意が必要です。
そのため、ステロイド治療は専門医の厳格な管理のもとで行い、定期的な診察と検査を受けながら、副作用を最小限に抑える工夫をします。
ステロイド治療の種類と主な注意点
治療法 | 主な目的 | 注意すべき副作用(一部) |
---|---|---|
ステロイド外用薬 | 局所の炎症抑制 | 皮膚菲薄化、毛嚢炎 |
ステロイド局所注射 | 病変部への直接的な炎症抑制 | 皮膚の陥凹、色素沈着 |
ステロイド内服薬 | 全身的な炎症抑制 | 易感染性、満月様顔貌、高血糖 |
免疫抑制薬やその他の治療法

ステロイド治療で効果が不十分な場合や、副作用のためにステロイドが使用しにくい場合には、免疫抑制薬が選択されることがあります。
ヒドロキシクロロキンは比較的副作用が少なく、長期的な使用に適しているとされる抗マラリア薬ですが、眼科的な副作用に注意が必要です。
シクロスポリンやメトトレキサートなどの免疫抑制薬は、より強力な免疫抑制作用を持ちますが、定期的な血液検査などによる副作用のモニタリングが重要です。
その他、レチノイド内服や光線療法などが試みられることもありますが、その効果についてはまだ確立されていません。どの治療法を選択するかは、病状や患者さんのライフスタイルなどを総合的に考慮して決定します。
すこやかな髪と頭皮を育むために、今日からできること
毛孔性扁平苔癬(もうこうせいへんぺいたいせん)性脱毛症の治療と並行して、日常生活でのセルフケアも、頭皮環境を整え、症状の悪化を防ぐ上で大切です。
専門医の指示に従いながら、できることから取り入れていきましょう。
頭皮への刺激を避ける生活習慣

頭皮への物理的、化学的な刺激は、炎症を悪化させる可能性があります。洗髪はやさしく行い、爪を立てずに指の腹でマッサージするように洗いましょう。熱すぎるお湯や、洗浄力の強すぎるシャンプーは避けるのが賢明です。
また、パーマやヘアカラー、刺激の強い整髪料の使用は、症状が落ち着くまでは控えるか、医師に相談してから行うようにしてください。帽子や日傘などで、紫外線から頭皮を守ることも重要です。
日常生活での注意点
項目 | 具体的な対策 | 理由 |
---|---|---|
洗髪 | 低刺激性のシャンプー、ぬるま湯、優しく洗う | 頭皮への負担軽減 |
ヘアケア製品 | 刺激の少ないものを選ぶ、医師に相談 | 化学的刺激の回避 |
紫外線対策 | 帽子、日傘の使用 | 紫外線による炎症悪化防止 |
バランスの取れた食事とストレス管理
健康な髪と頭皮を維持するためには、バランスの取れた食事が基本です。タンパク質、ビタミン、ミネラルなどを豊富に含む食品を積極的に摂取しましょう。特に、亜鉛やビオチンといった栄養素は、髪の健康に関与すると言われています。
また、過度なストレスは免疫系のバランスを崩し、症状を悪化させる可能性があります。十分な睡眠、適度な運動、リラックスできる時間を作るなど、ストレスを上手にコントロールする方法を見つけることも大切です。
毛孔性扁平苔癬(もうこうせいへんぺいたいせん)性脱毛症の治療は長期にわたることが多いため、心身ともに健康な状態を保つことが、治療を継続していく上でも重要になります。
定期的な専門医のフォローアップ
毛孔性扁平苔癬性脱毛症は、症状が改善したり、安定したりした後も、再燃する可能性があります。そのため、定期的に専門医の診察を受け、頭皮の状態をチェックしてもらうことが重要です。
医師は、症状の変化に応じて治療法を調整したり、必要なアドバイスを提供したりします。自己判断で治療を中断したり、通院をやめてしまったりすると、症状が悪化し、脱毛が進行してしまう可能性があります。
医師との信頼関係を築き、二人三脚で治療に取り組むことが、より良い結果につながります。
よくあるご質問
- 毛孔性扁平苔癬性脱毛症は治りますか?
-
毛孔性扁平苔癬性脱毛症は、現在のところ完治させる根本的な治療法は見つかっていません。治療の主な目的は、炎症を抑えて症状(かゆみ、痛みなど)を和らげ、脱毛の進行を止めることです。
早期に適切な治療を開始し、継続することで、症状をコントロールし、残っている毛髪を維持することは可能です。
一度瘢痕化してしまった毛包から再び髪が生えてくることは難しいですが、活動性を抑えることで、さらなる毛包破壊を防ぐことが期待できます。
- 治療期間はどのくらいかかりますか?
-
治療期間は、患者さんの症状の重症度や範囲、治療への反応性などによって大きく異なります。数ヶ月で炎症が落ち着く場合もあれば、数年単位での治療が必要となることもあります。
症状が安定した後も、再燃を防ぐために維持療法が必要になることがあります。大切なのは、根気強く治療を続け、定期的に専門医の診察を受けることです。
- シャンプーや育毛剤は効果がありますか?
-
一般的に市販されているシャンプーや育毛剤が、毛孔性扁平苔癬性脱毛症そのものを治療する効果は期待できません。ただし、頭皮を清潔に保ち、刺激の少ないシャンプーを選ぶことは、頭皮環境を整える上で役立ちます。
育毛剤の使用については、かえって頭皮に刺激を与えてしまう可能性もあるため、使用前に必ず専門医に相談してください。医師の指示に従い、適切な治療と並行して、頭皮に優しいヘアケアを心がけることが大切です。
- 他の人にうつることはありますか?
-
毛孔性扁平苔癬性脱毛症は、感染症ではありませんので、他の人にうつる(伝染する)ことはありません。この疾患は、主に自己免疫の異常が関与していると考えられています。
- 妊娠・出産は可能ですか?
-
毛孔性扁平苔癬性脱毛症であること自体が、妊娠・出産を不可能にするわけではありません。ただし、治療に使用する薬剤の中には、妊娠中や授乳中に使用できないものがあります(例:一部の免疫抑制薬)。
妊娠を希望される場合は、必ず事前に主治医に相談し、治療計画についてよく話し合う必要があります。医師は、母体と胎児への影響を考慮しながら、安全な治療法を提案します。
毛孔性扁平苔癬性脱毛症の具体的な症状について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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