夏に繰り返す肌荒れは、大量の汗による蒸れや強烈な紫外線の直接ダメージ、エアコンによる深刻なインナードライが複雑に絡み合って起こります。
まずは自分の肌トラブルがどのタイプに該当するかを見極め、適切な洗顔方法や保湿ケア、UV対策を習慣化することが大切です。
この記事では、夏特有の肌悩みの原因を深く分析し、明日から実践できるスキンケア対策を解説します。
この記事の執筆者

小林 智子(こばやし ともこ)
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長
2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。
こばとも皮膚科関連医療機関
夏特有の肌トラブルが起きる正体を知って正しく対処しましょう
夏の肌荒れは気温の上昇による皮脂分泌の活発化や、強力な紫外線によるバリア機能の破壊が原因で引き起こされます。表面はベタついているのに内側が乾燥している状態も多く、放置すると深刻な炎症を招くため早期の対策が必要です。
屋外の熱気と室内の冷房による激しい温度差が、肌の自律神経を乱し、水分と油分のバランスを著しく崩してしまいます。こうした過酷な環境を理解した上で、自分の肌タイプに合わせたケアを選択することが美肌を保つ第一歩です。
汗による刺激やかゆみが止まらないときの原因を探ります
暑い季節に絶え間なく流れる汗は、放置すると肌の表面で酸化が進み、角質層を刺激する成分へと変化します。汗が蒸発した後に残る塩分や尿素などのミネラル成分が肌に留まると、皮膚のphバランスが崩れて強いかゆみや赤みを誘発するのです。
特に首元や肘の内側など汗が溜まりやすい部位は、蒸れによって雑菌が繁殖しやすく、あせもや湿疹のリスクが急増します。汗をかくこと自体は体温調節のために重要ですが、肌に付着したままの時間が長くなるほどトラブルに直結します。
汗の成分は肌にとって強力な外部刺激となり、本来備わっているバリア機能を徐々に弱めてしまう特性を持っています。そのまま放っておくと肌の表面がふやけてしまい、わずかな摩擦やホコリに対しても過敏に反応する脆弱な状態に陥ります。
また汗を頻繁に拭き取ろうとする行為も、タオルの素材や力加減によっては肌を傷つける要因になりかねません。肌に優しい素材を選び、吸収させるようにそっと当てる工夫が、ダメージを最小限に抑えるための重要なポイントです。
さらに汗にはアンモニアなどの微量成分も含まれており、肌の常在菌バランスを乱して炎症を助長させます。健康な肌は弱酸性を保っていますが、大量の汗をかくとアルカリ性に傾きやすくなり、有害な菌の侵入を許してしまうのです。
紫外線によるダメージが蓄積して肌のバリア機能が壊れていませんか
夏の強烈な太陽光に含まれる紫外線B波は、肌の表面に直接的なダメージを与え、サンバーンと呼ばれる炎症を引き起こします。紫外線A波は肌の奥深くにある真皮層まで到達し、コラーゲンやエラスチンを破壊して将来のシワやたるみを招きます。
二種類の紫外線はどちらも肌のバリア機能を著しく低下させ、水分を保持する能力を奪い去ってしまいます。日焼け後に肌がガサガサになったり、化粧水がしみて赤くなったりするのは、角質層の構造が崩壊している明確なサインです。
紫外線はメラニン細胞を活性化させるだけでなく、肌の生まれ変わりであるターンオーバーの周期を急激に早めます。急いで作られた未熟な細胞は水分を溜め込む力が弱いため、さらに乾燥が進むという負の連鎖が始まってしまいます。
また紫外線のエネルギーは肌の脂質を酸化させ、過酸化脂質という有害な物質を生成して毛穴の炎症を悪化させます。これが夏に大人ニキビが頻発したり、毛穴の黒ずみが目立ったりする大きな要因のひとつです。
エアコンの影響でインナードライが進行している可能性を疑ってください
外気は湿気が多くベタつくのに、オフィスや自宅の室内では冷房の風によって肌の湿度が奪われ続けています。冷房の効いた空間に長時間滞在すると、空気中の水分が失われるのと同時に、肌内部の水分も蒸発しやすいです。
表面は皮脂でテカっているのに肌の奥が突っ張るインナードライ状態は、多くの人が陥りやすい夏特有のトラブルで、肌は乾燥を感知すると、これ以上の水分蒸発を防ごうとして過剰な皮脂を分泌し、偽りの潤いを作り出そうとします。
過剰な皮脂に惑わされて保湿を疎かにしてしまうと、肌内部の枯渇はさらに進み、ゴワつきやザラつきが顕著になります。冷房の風が直接肌に当たる環境は、ドライヤーの熱風を浴び続けているのと変わらないほどの負担を強いているのです。
またエアコンによる冷えは毛細血管を収縮させ、肌への栄養補給を妨げてターンオーバーを停滞させる要因になります。血行が悪くなった肌はくすみがちになり、本来の明るさや透明感、弾力性が損なわれてしまう結果を招きます。
インナードライは一見分かりにくい症状ですが、洗顔後のつっぱり感や夕方のメイク崩れの激しさが重要な判断基準です。自分の肌を指で優しく押してみて、押し返すような弾力が感じられない場合は、内側がカラカラに乾いています。
夏肌を悩ませる主な外的要因
| 要因 | 肌への主な影響 | 注意すべき場所 |
|---|---|---|
| 猛烈な紫外線 | 炎症・メラニン増加・乾燥 | 屋外・窓際 |
| 大量の汗・皮脂 | 毛穴詰まり・雑菌繁殖 | 通勤中・運動時 |
| 冷房による乾燥 | バリア機能低下・血行不良 | オフィス・自宅 |
汗による肌荒れを防ぐための清潔維持と摩擦レスな拭き取り術
汗をかいた肌をそのままにするのは、炎症を招く大きな要因となりますが、拭き方ひとつでダメージは大きく変わります。優しく吸い取るようなアクションを心がけるだけで、角質層への物理的な刺激を大幅に軽減することが可能になります。
大切なのは肌を傷つけずに汚れや汗の成分を取り除き、清潔な状態をいかに長くキープできるかという視点を持つことです。
吸水性の高いタオルで優しく押さえて肌への負担を最小限にします
汗を拭き取る際、タオルを横に滑らせてゴシゴシと擦る行為は、健康な肌細胞を削り取っているのと同じです。摩擦による刺激は色素沈着や角質の肥厚を招き、肌の質感を悪化させる直接的な原因となってしまいます。
まずは清潔で柔らかい綿100パーセントのタオルや、刺激の少ない使い捨てのペーパータオルを準備してください。肌にタオルを垂直に当て、水分が吸い込まれるのを待つように数秒間そっとプレスするのが正しい拭き方です。
顔の皮膚は薄くデリケートなため、わずかな力の入れすぎも禁物であることを常に意識しましょう。一度にすべてを拭き取ろうとせず、何度かに分けて丁寧に押さえることで、肌のキメを守り抜くことができます。
外出先で汗が止まらない状況でも、焦って擦るのではなく、ハンカチを広げてそっと顔を包み込むようにしてください。この丁寧なひと手間が、夕方の肌のコンディションに劇的な差をもたらし、健やかな状態を維持する鍵となります。
また濡れたおしぼり等で冷やしながら拭くのも、熱を持った肌を鎮静させる効果があり、夏場には非常に有効です。
洗顔はたっぷりとした泡のクッションで汚れを包み込みましょう
ベタつく汗を落とそうとして、強い力で顔を洗うのは肌のバリア機能を自ら破壊しているようなものです。洗顔の基本は、キメ細かく弾力のある泡をたっぷりと作り、手が肌に直接触れないようにすることにあります。
泡の粒子が毛穴の奥まで入り込み、不要な皮脂や酸化した汗の成分を吸着してくれるのを待つイメージで行いましょう。円を描くように泡を転がし、指先で優しく汚れを浮き上がらせるのが、肌を傷つけないための鉄則です。
お湯の温度も重要で、熱すぎると必要な皮脂まで奪い、冷たすぎると皮脂汚れが落ちにくくなってしまいます。30度から32度程度のぬるま湯を使い、生え際やフェイスラインにすすぎ残しがないよう、最低でも20回は流してください。
洗顔料選びも大切で、夏の時期は皮脂吸着成分が入ったものを選びつつも、潤い成分が配合されたものを選びます。過度な脱脂は肌の乾燥を招くため、洗い上がりがしっとりするマイルドな洗浄力のものを見分ける眼が必要になります。
また1日に何度も洗顔料を使うのは控え、日中の汗はぬるま湯だけで軽く流す程度に留めるのが肌のためには理想的です。夜の洗顔で1日の汚れをしっかりとリセットし、朝は軽い洗顔で整えるというリズムを崩さないようにしましょう。
洗顔後はすぐに水分を拭き取り、乾燥が始まる前に次のステップへと移ることが美肌を守るための最短ルートです。
外出中に汗をかいたときこそミスト化粧水で水分を補給してください
汗を拭き取った後の肌は、水分を保持する膜が薄くなっており、非常に乾燥しやすい無防備な状態にあります。このタイミングでミスト状の化粧水を吹きかけることは、肌のphバランスを整え、潤いを再補給するために有効です。
外出先でも手軽に使えるミニサイズのボトルを常備し、汗をオフした直後に顔全体へムラなく散布してください。細かい霧状の粒子が角質層の隙間を埋め、外部の刺激から肌を保護するためのバリアを一時的に強化してくれます。
ただしミストをかけたまま放置すると、液体の蒸発とともに肌の水分まで奪われてしまうため、必ずハンドプレスを加えましょう。清潔な手のひらで優しく包み込み、水分をしっかり押し込むように馴染ませると保湿効果が最大限に発揮されます。
UVカット成分や抗炎症成分が配合された高機能なミストも増えており、自分の肌悩みに合わせて選ぶことができます。メイクをしている上から使用する場合は、粒子の細かいタイプを選び、少し離れた位置からふんわりとかけるのがコツです。
またミスト後に乳液やオイルを少量馴染ませることができれば、水分の蒸発を防ぐ力がさらに高まり、完璧なケアとなります。
汗対策を成功させるための具体的な手順
- 汗をかいたらまずは吸水性の高いタオルでポンポンと優しく押さえます。
- 清潔な状態でミスト化粧水をたっぷり吹きかけ、ハンドプレスで馴染ませます。
- 汗を拭き取った部位には日焼け止めを塗り直し、防御力を復活させてください。
- 帰宅後は速やかにシャワーや洗顔を行い、汗の成分を完全に除去しましょう。
紫外線ダメージから肌を守り抜く日焼け止めの正しい選び方と塗り方
紫外線は肌荒れを加速させる最大の敵ですが、日焼け止めを正しく使いこなせている人は意外なほど少ないのが現状です。単に塗るだけでなく、適切な量をムラなく伸ばし、こまめに塗り直すことが本来の防御性能を引き出します。
日焼け止め特有の閉塞感や肌荒れを気にする方も多いですが、最近の製品はスキンケア効果が高いものも数多くあります。
自分の生活環境に見合った強さの日焼け止めを選択できていますか
SPFやPAの数値が高ければ良いと考えがちですが、肌の状態や活動内容に合わせて使い分けるのが真の正解です。日常生活であればSPF30程度で十分ですが、炎天下のスポーツやレジャーではSPF50以上の強力なものが必要になります。
肌が敏感な時期には、紫外線吸収剤を使用していないノンケミカル処方のものを選ぶと、刺激を抑えることができます。吸収剤は化学反応で紫外線を防ぐため、肌質によっては熱や乾燥を感じる原因になることがあるからです。
散乱剤タイプは肌への負担が少ない反面、白浮きしやすかったり、テクスチャーが固かったりします。最近は技術の向上により、弱点を克服した優秀なアイテムが増えているので、まずは試供品などで肌馴染みを確認しましょう。
またウォータープルーフ機能が必要かどうかも、汗のかきやすさや海・プールへの入水予定に合わせて判断してください。強力な製品ほど専用のクレンジングが必要になる場合が多いため、落とす際の負担まで考慮に入れて選ぶことが大切です。
塗りムラや塗り残しを防ぐための5点置きメソッドを実践しましょう
日焼け止めの効果を十分に発揮させるためには、規定の量を均一な厚みで肌に乗せることが何よりも重要です。適量を手に取ったら、まずは両頬、額、鼻、顎の5カ所に分けて配置する5点置きを行い、そこから広げていきましょう。
指の腹を使い、中心から外側に向かって優しく、かつ丁寧に滑らせるようにして肌に密着させてください。一度に大量に塗ろうとせず、少量を二度に分けて重ね塗りをすることで、塗りムラのリスクを劇的に下げることができます。
小鼻の脇や目元、口角の周り、髪の生え際などは塗り残しが発生しやすいポイントなので、念入りに確認してください。鏡を見ながら、顔の凹凸に合わせて細部までしっかりと塗り込むことが、将来のシミやシワを防ぐ防波堤となります。
また耳の裏や首筋、デコルテも紫外線ダメージをダイレクトに受ける場所ですが、忘れられがちな部位です。顔だけでなく、露出しているすべてのパーツに均等な防御膜を張ることで、全身のトーンを一定に保つことが可能になります。
推奨されている量の半分程度しか塗っていない人が多いため、数値通りの効果が得られていないこともあります。もったいないからと薄く伸ばすのではなく、説明書に記載された目安量を正しく守る勇気を持つことが、肌を守る第一歩です。
塗り終わった後は、手のひらで軽く押さえて肌に定着させ、白浮きが落ち着くのを待ってからメイクを開始しましょう。
2から3時間おきに塗り直すことで防御効果を1日中キープしてください
朝に完璧に日焼け止めを塗ったとしても、汗や皮脂、衣服による摩擦によって、防御膜は刻一刻と剥がれ落ちていきます。高い数値を過信せず、2~3時間を経過したら必ず塗り直しを行うことが、紫外線を完全にシャットアウトする条件です。
外出先でフルメイクの上から塗り直すのが難しい場合は、UVカット効果のあるパウダーやスプレーを賢く活用してください。テカリを抑えるついでに日焼け止め成分を重ねるだけで、防御力が復活し、ダメージを最小限に留めることができます。
また汗をかいた後は、まず清潔なティッシュ等で汗をオフしてから、部分的に日焼け止めを叩き込むように馴染ませましょう。日光が当たりやすい頬の高い位置や鼻筋は、他の部位よりも入念にカバーを繰り返すことがシミ対策として有効です。
日傘や帽子を併用しているから安心と考えるのも危険であり、地面からの照り返しによる紫外線は防ぎきれないことが多いです。物理的な遮断に頼りすぎず、肌そのものを守る日焼け止めの塗り直しこそが、最も確実なケアになります。
UVケアの質を高めるためのチェックリスト
| 項目 | チェック内容 | 改善のヒント |
|---|---|---|
| 使用量 | 規定量を守っていますか | 1円玉大を2回に分けて塗る |
| 塗り忘れ | 耳や首の後ろは大丈夫ですか | 鏡を見て最後に見直す |
| 塗り直し | 3時間以上放置していませんか | UVパウダーを持ち歩く |
インナードライを解消して潤いのある肌を育てる夏の保湿ケア戦略
夏の保湿において最も避けるべきなのは、ベタつきを嫌って乳液やクリームのステップを省略してしまうことです。水分が不足すると肌は自衛のために皮脂を出し続けるため、逆にテカリやニキビが悪化するという皮肉な結果を招きます。
軽やかな質感でありながら、肌の深部まで潤いを届けて閉じ込める、質の高い保湿を追求することが大切です。
セラミド配合の美容液で肌の保水能力を根本から底上げしましょう
肌の潤いを保つ鍵を握っているのは、角質細胞の間を埋めている細胞間脂質、なかでも「セラミド」という成分です。夏場は汗とともにこのセラミドも流出しやすいため、外側から意識的に補給することがバリア機能の回復に直結します。
美容液を選ぶ際は、人の肌に存在するセラミドと構造が近い「ヒト型セラミド」が配合されたものに注目してください。浸透力に優れ、肌のラメラ構造を整えてくれるため、内側から押し返すようなハリ感と潤いを短期間で実感しやすくなります。
セラミドが十分に満たされた肌は、外部の刺激に対する抵抗力が強くなり、夏バテ気味の肌荒れも起こしにくくなります。単に水分を与えるだけでなく、それを逃さない器を強くすることが、インナードライ脱出の最も効率的な近道です。
毎日の洗顔後、化粧水の後にセラミド美容液を組み込むだけで、乾燥による過剰な皮脂分泌も自然と落ち着いてくるはずです。一見地味なステップに見えますが、細胞レベルでの修復を促すための投資として、これ以上強力な味方はありません。
エアコンの下で長時間仕事をする方は、朝のケアにセラミドを取り入れることで、夕方の乾燥リスクを大幅に軽減できます。自分の肌を乾燥の脅威から守り抜くための最強の武器を手に入れ、根本からの肌質改善を目指していきましょう。
最近ではナノ化されたセラミドなど、さらに高機能な製品も登場しており、自分の肌との相性を見極める楽しみもあります。
ジェルタイプの乳液を活用して重たさを感じずに蓋をしてください
暑い時期にクリームを塗るのは抵抗があるという方には、みずみずしいジェルタイプの乳液がおすすめです。ジェルの魅力は、水分の清涼感と油分の保護膜を絶妙なバランスで両立しており、肌に不快な重さを残さない点にあります。
化粧水で補った水分は、必ず油分で蓋をしなければ数分もしないうちに空気中へと逃げて行ってしまいます。ジェル乳液を手のひらで温めてから、顔全体を優しく包み込むようにしてハンドプレスし、しっかりと密着させましょう。
Tゾーンなどベタつきが気になる部分は薄めに、カサつきやすい目元や口元には重ね塗りをするなど、部位別の調整を行ってください。肌の状態は常に一定ではないため、毎朝毎晩の肌に触れて、その日の適量を見極める習慣が大切です。
ジェルタイプの中には、火照った肌を鎮静させるハーブエキスや、美白成分を配合したものも多く、冷蔵庫で少し冷やしてから使うと、毛穴の引き締め効果やリフレッシュ効果が高まり、夏のスキンケアが至福の時間に変わります。
また成分表示を確認し、スクワランやホホバオイルなどの酸化しにくい良質な油分がベースのものを選ぶと、肌トラブルを防げます。
生活習慣の乱れを整えて体の中から夏の肌荒れを寄せ付けない体質へ
外側からのケアと同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが、肌の土台を作る日々の生活習慣や食事の内容です。夏は冷たい飲食物による内臓の冷えや、睡眠不足からくる自律神経の乱れが、そのまま肌の状態に直結しやすい季節です。
どれほど高価な化粧品を使っても、原料となる栄養素や修復のための睡眠が不足していれば、真の美しさは手に入りません。
ビタミン群を豊富に含む旬の夏野菜を積極的に摂取してください
夏に旬を迎える野菜たちには、強烈な日差しから自分の身を守るための強力な抗酸化成分がたっぷりと含まれています。トマトのリコピンやパプリカ、ブロッコリーのビタミンCは、体内で発生した活性酸素を抑え、肌の老化を食い止めてくれます。
これらの栄養素を意識的に食事に取り入れることで、紫外線によるメラニンの生成を抑え、シミのできにくい肌体質へと導きます。暑さで食欲がないときは、色鮮やかな野菜をサラダやスープにして、効率よくビタミンを補給する工夫をしましょう。
またタンパク質は肌の細胞を作る材料そのものであり、不足すると肌のハリが失われ、ターンオーバーが停滞してしまいます。豆腐や納豆、鶏のささみなど、脂質の少ない良質なタンパク源を毎食欠かさず摂取することが、美肌への最短距離です。
さらに腸内環境の悪化は、そのまま肌の吹き出物やくすみとして現れるため、発酵食品の摂取も非常に重要です。味噌汁や納豆を日常的に摂ることで、腸から肌を綺麗にするインナーケアを確立し、内側からの透明感を引き出してください。
室温と湿度をコントロールして質の良い睡眠をしっかりと確保しましょう
肌の再生が最も活発に行われるのは、深い眠りについている間であり、睡眠の質はそのまま肌の修復力に直結します。夏は熱帯夜による寝苦しさから中途覚醒しやすく、成長ホルモンの分泌が阻害されがちなため、環境作りが不可欠です。
エアコンのタイマー機能を活用し、室温を26度から28度、湿度を50パーセントから60パーセント程度に保つように設定しましょう。冷房の風が体に直接当たらないようにし、寝具やパジャマには吸湿・速乾性に優れた素材を選んでください。
就寝の約2時間前に入浴して深部体温を一度上げ、その後自然に体温が下がっていくリズムを作ると、スムーズに入眠できます。寝る直前のスマートフォン使用は脳を刺激して眠りを浅くするため、最低でも30分前には画面から離れましょう。
暗く静かな環境でリラックスすることは、副交感神経を優位にし、肌のバリア機能を修復するための最適な状態を作り出します。
軽い運動で血行を促進し老廃物を溜め込まない肌を目指してください
適度な運動による血行促進は、肌細胞に新鮮な酸素と栄養を運び、溜まった老廃物を速やかに排出する助けになります。冷房で冷え切った体は循環が滞りやすく、それが原因で肌のトーンが暗くなったり、浮腫んだりすることがよくあります。
激しいトレーニングを行う必要はなく、夕方の涼しい時間帯の散歩や、家の中での簡単なストレッチだけでも十分です。大きな筋肉を動かすことで全身の代謝が上がり、肌のターンオーバーを正常化させるためのポジティブなスイッチが入ります。
汗をじんわりとかくことは毛穴の詰まりを解消する天然のクレンジング効果もあり、肌の質感を滑らかにしてくれます。ただし運動後にかいた汗は速やかに流すか拭き取るようにして、新たな肌荒れの火種を作らないよう注意しましょう。
インナーケアを最適化する習慣
| 習慣 | 期待できる効果 | 具体的なアクション |
|---|---|---|
| こまめな水分補給 | 代謝促進・肌の潤い維持 | 常温の水を1日1.5L以上飲む |
| 夏野菜の摂取 | 抗酸化作用・紫外線防御 | トマトやパプリカを毎日食べる |
| 質の高い睡眠 | 肌の修復・バリア機能回復 | 就寝前のスマホ断ちを徹底する |
よくある質問
- 夏の肌荒れに対して、冷たい水で洗顔することは効果がありますか?
-
氷水のような極端に冷たい水での洗顔は、肌への強い刺激となり、バリア機能を乱す恐れがあるため推奨しません。冷たすぎる水は毛穴を無理やり引き締めてしまい、汚れや余分な皮脂が肌の奥に閉じ込められてしまう要因です。
また急激な冷却は血行不良を招き、肌のターンオーバーを遅らせてしまうリスクも伴います。ぬるま湯と感じる温度で優しく洗うことが、汚れを落としつつ肌を守るための最適な選択肢です。
- 日焼け止めによる肌荒れを防ぐためには、どのような成分に注意すべきですか?
-
紫外線吸収剤が配合されている製品は、化学反応を利用して紫外線を防ぐため、敏感肌の人には刺激となるので、肌が荒れやすい時期は、ノンケミカルや吸収剤フリーと表示された製品を選ぶことが大切です。
また落とす際の負担も考慮し、強力な洗浄力のクレンジングが不要な、石鹸で落ちるタイプの製品を選ぶと摩擦ダメージを軽減できます。
- 夏に悪化するニキビケアとして、あぶらとり紙の使用は推奨されますか?
-
過剰な皮脂を吸い取ることは必要ですが、あぶらとり紙を頻繁に使用して肌を擦るのは避けましょう。肌に必要な潤い成分まで根こそぎ奪ってしまうと、乾燥を感じた脳がさらに皮脂を出すよう指令を出し、逆効果になります。
ベタつきが気になるときは、清潔なティッシュで軽く押さえる程度にとどめるのが、肌への負担を最小限に抑えるコツです。
- インナードライによる肌荒れを改善するために、朝の洗顔は必要ですか?
-
朝の肌には、寝ている間に分泌された古い皮脂や汗、空気中のホコリなどが付着しているため、洗顔は不可欠です。放置すると、日中の紫外線と反応して酸化が進み、過酸化脂質に変化して炎症や老化を加速させます。
乾燥が気になる場合は、Tゾーンなどのベタつきやすい部位のみ洗顔料を使い、頬はぬるま湯で流すだけにするなどの工夫をしましょう。
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