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プール後の肌荒れ・かゆみの原因は塩素?肌を守るための正しいスキンケア対策

プール後の肌荒れ・かゆみの原因は塩素?肌を守るための正しいスキンケア対策

プールを楽しんだ後に襲ってくる肌の乾燥やかゆみ、湿疹に悩む方は非常に多いです。その主な原因は水の衛生を保つために使用される塩素が肌のバリア機能を一時的に低下させることにあります。

この記事では塩素が肌に与える影響の解説から、プール直後に行うべき洗浄方法、そして帰宅後の保湿ケアまで解説します。

肌のトラブルを防ぎながら水泳を続けるための知識を身につけ、健やかな肌を取り戻しましょう。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

プールで肌荒れが起こる原因と塩素が皮膚に与える影響の真実

プール後に肌がかゆくなったり赤くなったりする主な理由は、消毒用塩素が持つ強力な酸化作用が肌表面の皮脂膜や角質層を傷つけてしまうからです。塩素は病原菌を殺菌するために不可欠ですが、肌を守るバリア機能まで削ぎ落としてしまいます。

塩素によって肌のバリア機能が低下する具体的な流れ

プールの水に含まれる次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系消毒剤は、タンパク質を酸化させる性質を持っています。

肌の角質層はケラチンというタンパク質で構成されているため、長時間プールの水に触れていると、角質層が変質して脆くなってしまいます。

通常、肌は自ら分泌する皮脂で油分の膜を作り、水分の蒸発を防いでいますが、塩素は皮脂さえも強力に洗い流してしまいます。バリア機能が失われた肌はスポンジが乾いたような状態になり、隙間から刺激物質が侵入しやすくなります。

この状態でプールの水に含まれる他の不純物やタオルでの摩擦などが加わると、炎症が引き起こされて赤みやかゆみとして現れます。特に乾燥肌や敏感肌の方は、元々のバリア機能が低いため、影響を顕著に受けやすいです。

肌の細胞同士を繋ぐ脂質が溶け出すと、外部からのアレルゲンや雑菌が深層まで届きやすくなります。これがプール後の不快なヒリヒリ感の正体で、適切な補修ケアを行わない限り、乾燥のループから抜け出すことは難しくなります。

プールの水に含まれる塩素濃度と肌トラブルの相関性

遊泳用プールの塩素濃度は公衆衛生上の基準によって厳格に管理されていますが、濃度が高いほど肌への刺激は強いです。基準値内であっても利用者が多い時間帯などは、消毒効果を維持するために濃度が頻繁に調整されます。

敏感な方はそのわずかな変化を肌で感じ取ることがあります。塩素そのものだけでなく、塩素が汗や尿などの有機物と反応して発生する結合残留塩素も、強い刺激臭や目の痛み、そして深刻な肌荒れの原因となります。

室内プールの場合は、結合残留塩素が空気中に滞留しやすいため、水に直接触れている部分以外にも影響が及びます。顔や首筋などの露出している皮膚全体にダメージが及ぶことも珍しくありません。

塩素以外に考えられるプールでの肌荒れ要因

肌トラブルの原因は塩素だけに限定されません。プールの水温や、水から上がった後の急激な乾燥も大きな要因です。温水プールは体温に近い温度で設定されていますが、温水は皮脂を溶かし出しやすく、肌の乾燥を加速させます。

水泳中に肌がふやけることで、通常よりも皮膚が物理的に傷つきやすい状態になっていることも見逃せません。ふやけた角質は非常に剥がれやすく、少しの摩擦でも肌の深部を露出させてしまうリスクがあります。

プールサイドの床や共有のビート板、サウナのベンチなどに付着している雑菌が、バリア機能の下がった肌に付着して二次感染を起こす可能性もあります。不特定多数が利用する空間では、衛生面でのリスクが常に付きまといます。

また、タオルで体を拭く際の強い摩擦や更衣室で使用する石鹸の脱脂力が強すぎる場合など、複合的な要因が重なって肌荒れが悪化します。

プール環境による肌へのダメージ要因

要因肌への主な影響対策のポイント
遊離残留塩素タンパク質酸化・バリア破壊速やかな真水での洗浄
結合残留塩素粘膜刺激・特有の臭い換気の良い施設選び
水温(温水)皮脂の過剰な流出長時間の入水を避ける

プール直後に実践したい塩素をしっかり落とす正しいシャワー法

プールから上がった直後の数分間が、その後の肌の状態を左右し、体に付着した残留塩素は時間が経つほど肌に浸透し、ダメージを深刻化させてしまいます。まずは真水で丁寧に、そして優しく塩素を洗い流すことが重要です。

真水で全身をくまなく洗い流す重要性

プールから出たら、まずは何よりも先にシャワー室へ向かいましょう。このとき、ただ浴びるだけではなく、髪の生え際や耳の後ろ、指の間、膝の裏など、塩素が溜まりやすい部分を意識して真水で流す必要があります。

塩素は目に見えませんが、肌に薄い膜のように付着し続けています。少なくとも2分から3分程度は時間をかけて、体全体に真水を行き渡らせるようにしてください。この徹底したすすぎが、肌に残る酸化ストレスを軽減させます。

また水着を着たままシャワーを浴びると、水着の中に塩素が残ってしまい、着替えるまでずっと肌を刺激し続けることになります。

真水で流す工程を疎かにすると、その後の保湿ケアの効果も半減し、肌の表面に塩素の膜が残っていると、せっかくの美容成分も浸透せず、刺激を閉じ込めてしまう結果になりかねません。

塩素の臭いが消えるまで流すのが一つの目安です。特に指先や足首など、プール内で激しく動かす部位は水の循環が悪くなりやすく、残留物が残りやすいため、念入りな洗浄を心がけましょう。

肌の油分を奪いすぎないシャワー温度の選び方

シャワーの温度設定も肌を守るための重要なポイントです。プールの後は体が冷えていることが多く、ついつい熱いお湯を浴びたくなりますが、40度を超えるような熱いお湯は厳禁です。熱すぎるお湯はバリア機能をさらに壊します。

熱すぎるお湯は塩素によってダメージを受けた肌から、残された貴重な細胞間脂質を溶かし出してしまいます。理想的な温度は38度前後のぬるま湯です。

ぬるま湯であれば、肌への刺激を抑えつつ、毛穴に詰まった皮脂や不純物を適度に取り除くことができます。もし肌に赤みや熱感がある場合は、少し低めの温度で冷やすように洗うと、炎症を鎮める効果も期待できます。

体温に近い温度で洗うことで、急激な血行の変化によるかゆみの誘発も防ぐことができます。自律神経の乱れも肌の過敏さに直結するため、穏やかな温度変化を意識することが、皮膚の健康を守る近道です。

洗浄剤を使いすぎないのがプール後の肌を救うコツ

プールの後は塩素の臭いが気になるため、ボディーソープでゴシゴシと洗いたくなる気持ちは分かりますが、過度な洗浄は逆効果です。塩素ですでに脱脂された肌に、強力な洗浄力の石鹸を使用すると、肌は完全に丸裸の状態になります。

基本的には汚れが溜まりやすい脇や足の裏、股間部分などは石鹸を使い、その他の部分は真水のみで流すのが理想です。全身を洗う場合でも、手で泡を転がす程度にとどめ、皮膚の表面を削らないように注意してください。

どうしても全身を洗いたい場合は、低刺激性や敏感肌用のボディーソープを選びましょう。しっかりと泡立ててから手で優しく撫でるように洗えば、必要な油分を残しながら、不要な残留物だけを取り除くことが可能です。

タオルやスポンジでこする行為は、ふやけた角質を削り取ってしまうため避けてください。泡のクッションを利用して汚れを吸着させるイメージで洗えば、塩素を除去しつつバリア機能を維持することが可能になります。

またプールの後はシャンプー選びも重要です。髪も肌と同様にタンパク質でできているため、洗浄力の強いシャンプーは避け、アミノ酸系などのマイルドな製品で、頭皮をいたわるように洗いましょう。

シャワー時に意識すべき洗浄部位

部位洗い方の注意点推奨されるケア
髪・頭皮生え際を特に入念にぬるま湯で3分流す
顔・首周り摩擦を極力避ける手で水をすくって洗う
関節の内側残留物が溜まりやすい指を使って優しく洗浄

プール後の更衣室ですぐに始めるべき応急スキンケア対策

シャワーを浴びた後の肌は、水分が急激に蒸発していく無防備な状態にあります。特に更衣室は湿度が低いことが多く、濡れた肌が乾く瞬間に、肌内部の水分まで一緒に奪われてしまう過乾燥が起こりやすい環境です。

タオルで拭くときは抑えるように水分を取り除く

シャワーから出た後、多くの人がタオルで体をゴシゴシと拭いてしまいますが、これは非常に危険な行為です。プールの水でふやけた角質層は非常にデリケートで、タオルの繊維による摩擦で簡単に傷がついてしまいます。

拭くというよりも、清潔なバスタタオルを肌に優しく押し当てて、水分を吸い取らせるようにしてください。ポンポンと軽く叩くようなリズムで、肌の表面に残った水滴を取り除くのが、最も優しい拭き取り方です。

吸水性の高いマイクロファイバータオルや、綿100%の柔らかいタオルを用意しておくと、肌への負担をさらに減らすことができます。また髪を乾かすときも同様に、頭皮をこすらずにタオルを巻いて水分を移すようにしましょう。

このひと手間が目に見えない小さな傷の発生を防ぎ、塩素によるダメージの悪化を食い止める第一歩となります。肌が赤くなっている箇所は特に敏感なため、より一層の注意を払って水分を取り除いてください。

乾燥が始まる前にスプレー化粧水で一次保湿を行う

更衣室で服を着るまでには意外と時間がかかります。その間に肌はどんどん乾燥していくため、全身に手早く水分を補給できるスプレータイプの化粧水やミストを常備しておきましょう。

シャワー後、タオルで軽く水分を拭き取ったらすぐに、顔だけでなく首筋や腕、足など露出している部分に一吹きします。時間が経てば経つほど、肌の柔軟性は失われていくため、スピードが命となります。

この段階での目的は完璧な保湿ではなく、本格的なケアまでのつなぎとして肌の乾燥を一時的に食い止めることで、セラミドなどの保湿成分が配合された低刺激な製品が使いやすく便利です。

スプレーした後は、手のひらで軽く抑えて肌に馴染ませることで、更衣室の乾いた空気から肌を守る保護膜の役割を果たしてくれます。この一手間があるだけで、その後の本格的な保湿剤の馴染みも格段に良くなります。

刺激の少ない衣類を選んで摩擦ダメージを最小限にする

プール後の敏感な肌には、着るものの素材選びも大切です。化学繊維が多用されたタイトなインナーやチクチクする素材の服は、動くたびに肌とこすれて、かゆみを誘発する原因になります。肌に優しい選択を心がけてください。

肌荒れが起きているときは、綿100%やシルク、肌当たりの柔らかいオーガニックコットンなどの天然素材を選びましょう。吸放湿性に優れ、肌の蒸れを防ぎながら、優しい感触で皮膚を包み込んでくれます。

また締め付けの強い下着やタイトなデニムなどは、血行を阻害したり摩擦を強めたりするため、プールの日は避けた方が無難です。

肌が落ち着くまでは、徹底的に低刺激な環境を整え、特に縫い目が肌に当たるのが気になる場合は、裏返して着るなどの工夫も有効です。

更衣室に持ち込むべきスキンケア三種の神器

  • 大判の吸水性バスタオル
  • スプレータイプの低刺激化粧水
  • 綿素材のゆったりとした着替え

帰宅後に行う本格的な保湿ケアでプールダメージをリセットする方法

更衣室での応急処置を終えて帰宅した後は、プールで失われた水分と油分を徹底的に補い、肌のバリア機能を再構築する本格的な夜のケアが重要です。塩素によるダメージは肌の深部まで影響を及ぼしています。

セラミド配合の保湿剤で角質層の隙間を埋める

プール後の肌に最も必要な成分の一つがセラミドです。セラミドは角質層の中で細胞同士を繋ぎ止める脂質の主成分であり、バリア機能の要となり、これを補給することが、健康な肌への最短ルートとなります。

塩素によって流出してしまったセラミドを補うことで、肌の隙間を埋め、水分を逃さない構造を復活させることができます。成分表示を確認し、自分の肌に合うセラミド製剤を見つけることが、プールライフを快適にするコツです。

製品を選ぶ際はヒト型セラミドなどの肌馴染みが良いタイプを選びましょう。化粧水でたっぷりと水分を与えた後に、セラミド配合の美容液や乳液を重ねることで、効率よく成分を浸透させることが可能です。

乾燥がひどい部分には、一度馴染ませた後にもう一度塗り重ねる2度塗りを実践してみてください。肌の密度が上がり、塩素によるダメージからの回復を早めることができます。特に目元や口元は入念に行いましょう。

またセラミドだけでなく、天然保湿因子(NMF)を補う成分が配合されているものも効果的です。アミノ酸や尿素(ただし、しみる場合は避ける)などが含まれた製品は、肌の内側の水分を強力に引き止める役割を果たします。

油分で蓋をして水分の蒸発を徹底的に防ぐ仕上げ

どれだけ水分を補給しても、その上から油分で蓋をしなければ、時間は経つとともに水分は逃げていってしまいます。プールの日は皮脂が欠乏しているため、普段よりも少し重めのクリームやオイルを使用して保護しましょう。

ワセリンやシアバター、スクワランオイルなどは肌への刺激が少なく、高い密封力を発揮します。ケアの最後に使用することで、潤いのベールを作り、外部の乾燥した空気から肌を物理的に隔離することができます。

寝る前のケアとして、乾燥しやすい肘、膝、かかと、そして顔の頬周りなどには、クリームを厚めに塗るパックのような使い方も有効で、ナイトクリームとして販売されている重厚な質感のものは、持続性が高いです。

しっかりとした油膜を張ることで、睡眠中に肌が自らを修復する環境を整え、翌朝の肌をふっくらとした状態に導くことができます。

加湿器の併用もおすすめです。外側から油分で守るだけでなく、空気中の湿度を50〜60%に保つことで、保湿剤の蒸発速度を抑え、より効率的に肌を休ませることができます。

炎症を抑える成分が含まれたジェルやクリームの活用

もし肌にわずかな赤みやほてりを感じる場合は、保湿だけでなく消炎作用のある成分が配合された製品を取り入れましょう。放置すると色素沈着の原因になるため、早めの鎮静ケアが、美しい肌を保つために必要です。

グリチルリチン酸ジカリウムやアロエベラエキスなどは、肌の炎症を穏やかに鎮める働きがあります。これらが含まれたジェルタイプの保湿剤はひんやりとした感触で肌をリフレッシュさせ、熱を奪う効果も期待できます。

ただし、すでに皮がむけていたり、強い痛みがあったりする場合は、自己判断で多くの化粧品を試すのは控え、ワセリンなどの極めてシンプルな保護剤のみを使用するようにしてください。

鎮静効果のあるケアを組み合わせることで、プール後の不快なかゆみやヒリヒリ感を早期に解消することが可能になります。肌の調子が悪いと感じたら、まずは守りの姿勢に徹し、攻めのエイジングケアなどは一度お休みしましょう。

ダメージ回復を助けるおすすめの保湿成分

成分名主な役割期待できる効果
ヒト型セラミドバリア機能の修復保水力の向上・刺激耐性
ヒアルロン酸強力な水分保持乾燥による小じわ防止
グリチルリチン酸2K抗炎症作用赤みやかゆみの抑制

プールに行く前の事前準備で肌への塩素ダメージを最小限に防ぐ工夫

肌荒れ対策は、プールに入った後だけでなく、入る前の準備からも始まっています。あらかじめ肌の状態を整え、塩素の侵入をブロックする工夫をしておくことで、プール中に受けるダメージを大幅に軽減することが可能です。

入水直前に真水で肌を湿らせておくプレウォッシュの効果

乾いた状態の肌や髪でいきなりプールの水に入ると、スポンジが水を吸い込むように塩素を含んだ水が急速に浸透してしまいます。これを防ぐために、入水前のシャワーで全身を真水でたっぷり濡らしておくことが非常に有効です。

角質層や髪の毛をあらかじめ真水で満たしておくことで、塩素が入り込む隙間を物理的に塞げます。細胞の隙間に綺麗な水が充填されていれば、後から来る塩素入りの水が入り込む余地を減らすことができるのです。

髪の毛についても、真水で濡らしてからシリコン製のスイムキャップを被ることで、プール水との接触を最小限にできるため、傷みを防げます。

面倒に感じるかもしれませんが、入水前のシャワーを肌を守るためのシールド作りだと考えて実践してみてください。特に乾燥が気になる部位には、シャワーの水をしばらく当て続けて、しっかりと水分を吸わせておきましょう。

保護クリームを塗って物理的に塩素をブロックする

顔や手の甲など、特に乾燥が気になる部分には、プール用の保護クリームや高精製ワセリンを薄く塗っておくのも一つの手です。油分が肌の表面をコーティングし、塩素が直接皮膚に触れるのを物理的に防いでくれます。

ただし、施設のルールによってはクリーム類の使用が制限されている場合や水質汚濁の原因になることもあるため、使用の可否は必ず確認しましょう。

使用が許可されている場合は、水を弾く力が強いウォータープルーフタイプのバリアクリームが適しています。あまり厚塗りするとゴーグルが曇ったり滑ったりする原因になるため、指先で薄く伸ばすように馴染ませるのがポイントです。

冬場や屋外プールなど、乾燥や紫外線が強い環境では、事前コーティングが肌を守る大きな助けとなります。唇の周りなど、皮膚が薄くて荒れやすい場所にはリップバームなどで保護しておくことも忘れないでください。

保護クリームを塗った後は、少し時間を置いて肌に馴染ませてから入水すると、膜が剥がれにくくなります。

体調管理と十分な水分補給で肌の基礎体力を高める

肌のバリア機能は、その日の体調に大きく左右され、睡眠不足や疲れが溜まっているときは肌の代謝が落ち、外部刺激に対しても敏感になりがちです。プールに行く前日はしっかりと睡眠をとり、コンディションを整えることが大切です。

内側からの乾燥を防ぐための水分補給も欠かせません。水泳は気づかないうちに体内の水分を消費するため、肌の細胞が脱水状態にならないよう注意が必要です。水分が不足すると皮膚の弾力が失われ、ダメージを受けやすくなります。

入水前にはコップ一杯の水を飲み、運動中もこまめに水分を摂るようにしましょう。体内の水分バランスが保たれていると、肌の細胞もふっくらとした状態を維持しやすく、塩素の刺激にも耐えうる力が自然と備わります。

ビタミン類を意識して摂取するのも良いでしょう。特にビタミンEは血行を促進し、肌のターンオーバーを整える働きがあるため、継続的に摂取することで塩素ダメージからの回復が早い肌質を作っていくことが可能になります。

入水前に行いたいチェック項目

  • 真水シャワーで全身を濡らしたか
  • 体調は万全で肌に異常はないか
  • 十分な水分補給を済ませたか

プールの塩素による肌荒れが悪化したときに皮膚科を受診する目安

セルフケアを徹底していても、肌の状態が悪化してしまうことはあります。特に強いかゆみや湿疹、痛みがある場合は、無理に市販薬で済ませようとせず、専門医の診断を仰ぐことが早期回復への近道です。放置は禁物です。

セルフケアで改善が見られない場合の判断基準

プール後の肌荒れに対して、入念な保湿や低刺激なケアを2、3日続けても全く改善の兆しが見えない場合は受診を検討してください。また、かゆみが強くて夜眠れない、生活に支障が出るレベルの症状も我慢する必要はありません。

特に赤みがどんどん広がっている、皮膚が熱を持っている、膿が出ているといった症状は、細菌感染や強い接触皮膚炎を起こしている可能性が高いです。早急な対応が必要であり、放置すると治療に時間がかかってしまいます。

皮膚科では、症状に合わせたステロイド外用剤や抗ヒスタミン薬の処方を受けることができます。セルフケアよりも格段に速く症状を鎮めることが可能です。

また一度受診しておけば、自分の肌がなぜ荒れやすいのかという原因についてもプロの視点からアドバイスをもらえます。今後の対策を練る上でも、一度しっかり診てもらうことは、将来の肌の健康への投資です。

アレルギー性接触皮膚炎が疑われるサインの見極め方

稀に塩素そのものや、プールの水に含まれる特定の成分に対してアレルギー反応を起こしている場合があり、これをアレルギー性接触皮膚炎と呼び、通常の肌荒れとは反応の出方が異なるため、注意深い観察が必要です。

単なる乾燥による刺激であれば保湿で和らぐことが多いですが、アレルギーの場合はプールに入るたびに必ず症状が出たり、入水から数時間後に急激に悪化したりします。

水着で隠れている部分も含めて全身に湿疹が出る、目の腫れや喉の違和感を伴うといった場合は、単なる肌荒れ以上の反応が起きている可能性があります。一度アレルギー反応が起きると、繰り返すことで重症化しやすいです。

特定のプールに行くと必ず調子が悪くなるという心当たりがある方は、パッチテストなどの検査が可能な皮膚科に相談することをお勧めします。

アレルギーの場合は、自己流のケアでは太刀打ちできないことがほとんどです。原因を特定せずに泳ぎ続けることは、体に大きな負担をかけ続けることになるため、違和感を感じたらすぐに立ち止まって専門家に相談してください。

水いぼやとびひなどプール特有の皮膚疾患との違い

子供を中心に、プールを介して広がりやすい水いぼ(伝染性軟属腫)やとびひ(伝染性膿痂疹)にも注意が必要で、塩素による刺激とは異なり、ウイルスや細菌による感染症です。バリア機能の低下が引き金となります。

塩素によって肌のバリアが壊れていると、病原体が侵入しやすくなり、肌トラブルを併発させてしまうことがあります。ジュクジュクとした湿疹や、中心がくぼんだ小さないぼが見られる場合は要注意です。

他人にうつしてしまう可能性もあるため、自分だけの問題としてとらえず、すぐに受診して適切な治療を受ける義務があります。

特にとびひは、掻き壊した手を介して全身に広がってしまうだけでなく、接触した他の方にも感染を広げてしまいます。公共の場でのマナーとして、また自分自身の早期治癒のためにも、怪しい湿疹を見つけたら入水を控えて受診しましょう。

皮膚科受診を推奨する具体的な症状

症状のレベル具体的な状態受診の緊急性
警戒レベル3日以上改善しない赤み・かゆみ数日以内に受診
要注意レベル水ぶくれ・強い痛み・広範囲の湿疹速やかに受診
至急レベル発熱・膿・全身性の激しい反応当日中に受診

よくある質問

プールの塩素による肌荒れを防ぐために最も重要な対策は何ですか?

最も重要なのは、プールから上がった直後に真水で全身の残留塩素をしっかり洗い流し、その直後(できれば5分以内)に保湿ケアを行うことです。

塩素は肌のバリアを壊すため、洗浄と補水のセットをルーティン化することが肌を守る鍵となります。

敏感肌の人がプールの塩素を避けるために選ぶべき施設の特徴はありますか?

最新の浄水システム(オゾン殺菌や紫外線殺菌など)を導入している施設は、塩素濃度を低めに設定しても高い殺菌力を維持できるため、肌への刺激が少ない傾向にあります。

また、換気が良く塩素の臭いが強くないプールを選ぶことも、結合残留塩素による刺激を避ける上で有効です。

プールの塩素で乾燥した肌にワセリンを塗っても大丈夫ですか?

はい、非常に有効です。ワセリンは肌の表面に強力な保護膜を作るため、プールの塩素で失われた皮脂の代わりとなり、水分の蒸発を防ぎます。

特に乾燥がひどい場所や、プール前の保護としても使用できますが、不純物の少ない白色ワセリンを選ぶようにしてください。

子供がプールの塩素でかゆがる場合、自宅でできるケアはありますか?

まずはぬるめのシャワーで塩素を流し、低刺激なローションで全身をたっぷり保湿してください。

かゆみが強い場合は冷やしたタオルで患部を冷やすと落ち着くことがあります。爪を短く切って、掻き壊しによる二次感染を防ぐことも大切です。症状が続く場合は早めに皮膚科を受診しましょう。

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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