手湿疹や接触皮膚炎による手のかぶれは、日常生活の質を大きく下げてしまう深刻な問題です。水仕事や化学物質、乾燥といった外的な刺激が皮膚のバリア機能を壊すことで、強いかゆみや痛み、亀裂が発生します。
まずは現状の肌トラブルの正体を知り、正しい知識でケアを始めることが完治への最短ルートです。寝る前の集中ケアを習慣化することで、痛みのない健やかな手肌を取り戻せます。
この記事では、症状を悪化させないための原因特定法と、細胞レベルで肌を再生させるための保湿・保護技術を説明します。
この記事の執筆者

小林 智子(こばやし ともこ)
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長
2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。
こばとも皮膚科関連医療機関
手のかぶれを引き起こす主な原因と症状のメカニズム
手がかぶれる主な理由は、皮膚のバリア機能が低下し、外部からの刺激物質やアレルゲンが侵入しやすくなることです。洗剤などの化学的刺激や摩擦という物理的刺激が重なり、皮膚が炎症を起こして赤みや痒みを引き起こします。
洗剤や化学物質が肌の脂分を奪い去る背景
毎日の食器洗いや洗濯で使用する合成洗剤には、汚れを落とすための強力な界面活性剤が含まれています。油分を分解する力が非常に強いため、皮膚を保護している天然の皮脂膜まで根こそぎ洗い流してしまいます。
皮脂が失われた皮膚は水分を保持できなくなり、乾燥してひび割れが生じ、そこへさらに洗剤が入り込むという悪循環が、痛みや強いかぶれを招く主要な原因です。
最近の除菌機能が高い洗剤は、洗浄力が強化されている傾向にあり、良かれと思って使っている製品が、実は手肌の健康を損なう要因になっているケースは少なくありません。
このダメージを軽減するには、洗剤が直接肌に触れる時間を極力短くする必要があります。まずは毎日の水仕事の内容を見直し、肌への負担を客観的に評価することが大切です。
また、洗剤のすすぎ残しも無視できない問題です。指の間や関節のシワに残った成分が、長時間肌を刺激し続け、皮膚のたんぱく質を変質させて炎症の深部化を招いてしまいます。
さらに、強い洗浄剤は皮膚に住んでいる常在菌のバランスも崩します。有益な菌が減少し、有害な細菌が繁殖しやすい環境が整うことで、炎症部分が二次的に感染を起こすリスクが高まります。
アレルギー性の反応が突然現れるケース
特定の物質に触れたときだけ症状が出る場合、アレルギー性接触皮膚炎の可能性があります。ゴム手袋のラテックス成分や金属、特定の植物、化粧品の防腐剤などが原因となり得ます。
昨日まで大丈夫だったものが、ある日突然アレルギー源になることも珍しくありません。体内の許容量を超えた瞬間に、免疫システムが過剰に反応して炎症を引き起こします。
免疫システムが特定の物質を敵と認識すると、触れた部分だけでなく広範囲に強いかゆみや水ぶくれが生じるのが特徴で、反応は非常に強力で、自然治癒を待つのは困難です。
アレルギーの疑いがある場合は、何に触れたときに悪化するかを記録しておく必要があります。原因を特定し、その物質との接触を完全に絶つことが、改善への唯一の道です。
また、最近ではスマートフォンのケースに含まれる素材や、アクセサリーのニッケルなどが原因となることも増えています。身近にある意外なものが、皮膚にとっては大きな毒となっているかもしれません。
アレルギー反応は、接触してから数時間後ではなく、1日〜2日経ってからピークを迎える遅延型が多いのも特徴です。そのため、何が原因かを振り返る際には数日前の行動まで遡る必要があります。
冬場の乾燥と寒暖差がもたらす皮膚へのダメージ
気温と湿度が下がる冬は、皮膚の血行が悪くなり、栄養が末端まで行き渡りにくくなります。外気の乾燥によって肌の水分が奪われるだけでなく、室内外の温度差が自律神経を乱します。皮膚の代謝サイクルを狂わせる大きな要因です。
特に指先は末梢血管が細いため影響を受けやすく、乾燥が深刻化するとパックリと割れるあかぎれに発展します。何かに触れるたびに激痛が走り、日常生活の動作一つひとつが苦痛になります。
寒さによって汗や皮脂の分泌量も激減するため、天然の保湿剤が失われた無防備な状態が続きます。この時期は加湿器を併用するなど、環境面からのアプローチも欠かせません。
冷たい水での手洗いも血行不良を助長し、皮膚の回復力を低下させます。肌の温度を一定に保ち、適切な湿潤環境を維持することが、冬の手かぶれを防ぐポイントとなります。
また、冬は暖房機器の使用により、室内の湿度が極端に低下しやすい季節です。空気が乾くと皮膚の角質層から水分が急速に吸い取られ、肌は砂漠のような状態に陥ってしまいます。
冬の朝、起きた瞬間に指が突っ張るように感じるのは、就寝中に皮膚の修復が追いついていない証拠です。寒暖差によるストレスは、皮膚の再生を司るホルモンの分泌にも悪影響を及ぼします。
さらに、外出時に冷たい風にさらされることも、皮膚にとっては激しい物理的刺激となります。寒風は肌の熱を奪うとともに、表面を摩擦して細かな傷を作り、そこからさらに乾燥を深めます。
指先や手の甲に現れやすいトラブルの比較
| 部位 | 主な症状 | 考えられる要因 |
|---|---|---|
| 指先・指腹 | 硬化・亀裂・皮剥け | 摩擦・洗剤・紙類 |
| 指の間 | 赤み・小水疱・痒み | 湿潤・洗剤の残留 |
| 手の甲 | 粉吹き・赤み・湿疹 | 乾燥・空気の冷たさ |
かゆみや痛みが強いときに選ぶべき治療薬の基準
激しいかゆみや痛みがある場合、まずは炎症を抑えるためにステロイド外用薬を適切に使用することが大切です。皮膚の炎症が続くとバリア機能はさらに破壊されるため、早期に医薬品で鎮静化させなければなりません。
ステロイド軟膏の強さと選び方のコツ
ステロイド外用薬には、その作用の強さに応じて5つのランクがあり、手は体の他の部位に比べて角質が厚いため、ある程度しっかりした強さの薬が必要になることが多いです。
自己判断で弱い薬をダラダラと使い続けると、炎症が完全に消えずに慢性化するリスクがあります。一気に炎症を叩き、肌をフラットな状態に戻す戦略が効果的です。
赤みが強く、ジュクジュクしているときは、適切な強度の軟膏を選択することが重要で、軟膏タイプは保護力が強く、傷口を優しく覆ってくれるため、痛みがある場合に適しています。
浸透性を重視する場合はクリームタイプが選ばれますが、傷口には刺激になることがあります。症状の段階に合わせて、最適な基剤を選ぶことが回復のスピードを左右します。
ステロイドに対する過度な恐怖心を持つ必要はありませんが、正しい使い方は厳守すべきです。医師の指示に従い、適切な量を適切な期間だけ塗ることで、副作用を抑えつつ最大の効果を得られます。
塗り方にもコツがあり、患部を擦るように塗り込むのではなく、薄く伸ばして上に乗せるようなイメージで塗布すると、有効成分がじんわりと肌の深層まで届いていきます。
炎症が激しい部分には、軟膏を塗った上から絆創膏やガーゼで保護する密封法も有効です。こうすることで薬の吸収が高まり、一晩で見違えるように赤みが引くこともあります。
非ステロイド性抗炎症薬が適している場面
炎症が比較的軽度であったり、ステロイドを使うことに抵抗があったりする場合、非ステロイド性の成分が選ばれることもあり、穏やかに炎症を鎮める効果があります。
日常的な軽い赤みやほてりを抑えるのに役立ちますが、劇的な効果は期待できません。あくまで初期段階や、症状が落ち着いた後の補助的なケアとして位置づけるのが賢明です。
かゆみが非常に強い場合や、皮膚がゴワゴワに硬くなっている場合には、十分な効果が得られないこともあります。その場合は、躊躇せずに専門医の判断を仰ぐようにしてください。
非ステロイド薬は、顔周りや首筋など、皮膚の薄いデリケートな部位に炎症が広がった際にも使いやすいというメリットがあります。手から広がった炎症のケアにも適しています。
配合されている鎮痒成分が、神経の興奮を一時的に抑えてくれるため、眠れないほどのかゆみがあるときに役立ちます。ただし、成分自体にかぶれるアレルギーの可能性もゼロではありません。
使用中にさらに赤みが強くなったり、痒みが増したりする場合は、直ちに使用を中止して洗い流しましょう。自分の肌に合うか合わないかを慎重に見極める姿勢が、安全なケアの鍵です。
保湿剤を併用してバリア機能を補強する理由
治療薬で炎症を抑えるのと同時に、ワセリンやヘパリン類似物質などの保湿剤で肌のバリアを補う必要があります。炎症が起きている肌は水分が逃げ放題の状態です。
薬を塗った上から保湿剤で蓋をすることで、成分の浸透を助けつつ外部刺激を遮断でき、保湿剤は薬とは異なり、一日に何度もこまめに塗ることで効果を発揮します。
健康な肌への回復を劇的に早めるには、肌が乾く隙を与えないことが鉄則です。カバンの中やキッチンの横など、気づいたときにすぐ塗れる場所に保湿剤を配置しましょう。
水に強いタイプの保護クリームなどは、日中の活動時に非常に重宝し、治療と保護を両立させることが、手かぶれをぶり返さないための強固な土台となります。
保湿剤を塗る量は、ケチらずにたっぷりと使うのが鉄則で、人差し指の先から第一関節までの量を両手に出し、全体を優しく包み込むように広げていくのが標準的な目安です。
塗り残しがちな指の間や爪の周りもしっかりとケアすることで、全方位からのダメージをブロックします。保湿剤による膜は、目に見えない手袋のようにあなたの肌を守り続けます。
成分に含まれるセラミドなどは、細胞と細胞の間の隙間を埋め、肌のスカスカになった状態を改善し、アレルギー物質が入り込む物理的な入り口を塞ぐことができます。
代表的な保湿成分の特徴
- ワセリン:皮膚表面に膜を作り、外部刺激から物理的に守る。
- ヘパリン類似物質:保湿力が高く、血行を促進して肌の修復を助ける。
- 尿素:硬くなった角質を柔らかくするが、傷口にはしみる。
- セラミド:細胞の隙間を埋めて、肌自体の保水力を高める。
正しい手洗いと消毒でダメージを最小限に抑える方法
手かぶれを早く治すためには、毎日の手洗い方法を見直すことが重要です。多くの人が無意識に行っている強い摩擦や熱すぎるお湯での手洗いは、傷ついた皮膚に追い打ちをかけてしまいます。
石鹸の選び方ですべてが決まるという事実
手かぶれがあるときは、洗浄力の強すぎるハンドソープは避けてください。弱酸性のものや、保湿成分が配合された低刺激性のソープを選ぶことが、何よりも重要です。
泡立てる際も、手のひらでゴシゴシ擦るのではなく、あらかじめ泡で出てくるタイプを利用しましょう。泡が汚れを吸着してくれるため、軽く撫でるだけで清潔さは保てます。
直接的な摩擦は、再生しようとしている皮膚細胞を削り取ってしまいます。優しく包み込むように洗い、刺激を最小限に留める意識を常に持つことが大切です。
香料や着色料が含まれていない無添加の製品を選ぶことも、アレルギー反応を防ぐために有効で、シンプルな成分構成のものほど、傷んだ肌には優しく作用します。
強力な洗浄成分であるラウリル硫酸ナトリウムなどは、敏感な肌には強すぎる刺激となる場合があります。裏面の成分表示を確認し、自分にとって安全な選択を繰り返しましょう。
また、固形石鹸を使用する場合は、ネットなどを使ってキメ細かい弾力のある泡を作ることが大切です。泡がクッションの役割を果たし、手のひら同士の摩擦を防いでくれます。
洗う時間も長すぎないように気をつけましょう。30秒程度の短時間でも、泡がしっかりと行き渡っていれば汚れは十分に落ちます。必要以上に皮脂を奪わない工夫が求められます。
水温設定が肌の乾燥を左右するメカニズム
冬場はついつい熱いお湯で手を洗いたくなりますが、40度を超えるお湯は皮膚の油分を急激に奪い去ります。理想的な温度は、32度から35度程度のぬるま湯です。
少し冷たいと感じるかもしれませんが、この温度帯であれば皮脂を必要以上に溶かさずに済みます。皮脂の流出を抑えることが、乾燥によるかゆみを防ぐ鍵です。
お湯の温度が高いと、痒みを誘発するヒスタミンという物質が放出されやすくなります。洗った後に痒みが強くなる人は、水温を数度下げるだけで改善する場合があります。
痛みを感じるあかぎれがある場合、お湯の温度差が神経を刺激して激痛を招くことがあります。温度の変化をなだらかにすることで、指先へのストレスを劇的に減らせます。
また、熱すぎるお湯は角質層を膨潤させすぎてしまい、肌の表面を脆くしてしまいます。脆くなった肌は、タオルの繊維に引っかかるだけでも剥がれてしまうほどデリケートです。
逆に、冷たすぎる水も、血管を過度に収縮させるため良くありません。血管が縮まると皮膚への栄養供給が止まり、修復が遅れてしまうという弊害が生じます。
水分を拭き取るときのタオルワークの重要性
手を洗った後、濡れたまま放置すると、水分が蒸発する際に肌内部の水分まで一緒に連れて行ってしまい、過乾燥の原因となり、肌をさらに硬くします。
タオルで拭くときは、決して横に擦らず、柔らかい清潔なタオルで軽く押さえるようにしてください。水分を吸い取らせるだけの、優しいタッチを心がけましょう。
指の間は水分が残りやすく、雑菌が繁殖したり蒸れたりしてかぶれが悪化しやすいポイントです。丁寧に、かつ速やかに水分を取り除くことが、炎症の拡大を防ぎます。
外出先では使い捨てのペーパータオルも便利ですが、硬い素材のものは刺激になります。自分専用の柔らかいガーゼハンカチを持ち歩くなど、素材にもこだわってください。
タオルの吸水性が悪いと、つい何度も擦りたくなってしまうため、柔軟剤を使いすぎていない吸水性の良い綿100%のタオルが理想です。常に清潔な状態を保つことも重要です。
手洗いにおける理想的な環境設定
| 環境要素 | ベストな設定 | 期待できるメリット |
|---|---|---|
| 水の温度 | 33度前後のぬるま湯 | 皮脂を保持し痒みを抑える |
| タオルの素材 | 綿100%またはガーゼ | 物理的な刺激を軽減する |
| ソープの種類 | アミノ酸系低刺激ソープ | 角質層を傷めず汚れを落とす |
水仕事から手を徹底的にガードする保護のテクニック
水仕事の際に手袋を使用することは、手かぶれ対策において最も効果的な手段の一つです。しかし、ただ手袋をすれば良いというわけではなく、素材選びや使い方のコツを知らなければ、逆に蒸れて悪化させる原因にもなります。
綿手袋を内側に装着して二重にするメリット
ゴム手袋を直接はめると、内部が汗で蒸れて皮膚がふやけ、さらに刺激に対して弱くなってしまいます。これを防ぐために、まずは吸湿性の良い綿100%の手袋をはめましょう。
その上からゴム手袋やビニール手袋を装着する二重構造にすることで、綿が汗を吸い取り、肌の清潔を保ちます。
手袋内部の湿度が上がると、痒みを増幅させるだけでなく、皮膚の浸透性が高まりすぎて、ゴムの成分に負けてしまうことがあります。綿手袋は、その緩衝材としての役割を果たします。
綿手袋を着用することで、指先の細かな動きが制限されるように感じるかもしれませんが、慣れてしまえばそれが最も安全な作業スタイルです。
また、綿手袋をはめる前に保湿剤を塗っておけば、作業をしながら集中パックを行っているような効果も得られます。家事の時間を美肌作りの時間へと変換しましょう。
ゴムアレルギーを回避する素材選びの視点
もしゴム手袋を使っていて痒くなる場合は、ラテックスアレルギーの可能性を疑ってください。その場合は、ニトリル製やポリ塩化ビニル製の手袋に変更することが必要です。
最近は、パウダーフリー(粉なし)の低刺激な使い捨て手袋も多く販売されています。自分の肌に合った素材を見つけることが、日々の家事ストレスを軽減する近道です。
手首の部分が長いタイプを選べば、内部に水が入るのを防ぐことができ、より確実な保護が可能となります。水が入ってしまったら、すぐに脱いで手を洗い、ケアをし直しましょう。
パウダー付きの手袋は、着脱をスムーズにするためのコーンスターチなどがアレルゲンの運び屋になることがあるため、肌が荒れているときはパウダーフリーが鉄則です。
ニトリル製の手袋は、強度が高く、油や薬品に対しても耐性が強いため、キッチン作業には非常に適しています。
もし使い捨て手袋が手に入りにくい場合は、厚手の家庭用手袋の中でも裏起毛や裏面植毛がないものを選びましょう。裏側の素材そのものが刺激になるケースがあるからです。
保護クリームを塗布して物理的バリアを作る工夫
どうしても手袋ができない場面や、指先の感覚が重要な作業のときには、皮膚保護クリームを活用してください。これは、一般的な保湿剤とは異なる性質を持っています。
皮膚表面に微細な膜を形成して、汚れや薬品が肌に直接触れるのを防いでくれるものです。一度塗れば数時間は効果が持続するため、頻繁に手を洗う職業の方にも支持されています。
シリコン成分などが配合されたタイプは、ベタつきが少なく、紙を触る仕事の前にも使いやすいのが特徴です。目に見えないバリアを張ることで、日中の不意な刺激から守れます。
ただし、既に強い炎症がある場合は、保護クリームの成分が刺激になることもあります。肌の赤みが引いている時期の再発防止策として、上手に取り入れるのが効果的です。
保護クリームの多くは、石鹸で洗っても簡単には落ちない強力な吸着力を持っているため、仕事中に何度も手を洗わなければならない看護師や美容師の方々に愛用されています。
塗る際は、特に指の股や爪のキワなど、保護が漏れやすい部分にまでしっかりと行き渡らせます。全方位を隙間なくコーティングすることで、微細なアレルゲンの侵入も防ぎます。
水仕事のダメージを軽減する便利アイテム
- 綿100%インナー手袋:汗を吸い取り、蒸れと摩擦を防止する。
- ニトリル使い捨て手袋:ゴムアレルギーの人でも安心して使える。
- シリコン系バリアクリーム:撥水効果で水や洗剤を弾き飛ばす。
- 手首サポーター型防水カバー:袖口からの浸水を防ぐ。
眠っている間に皮膚を集中補修するための夜間ケア
夜の睡眠時間は、皮膚の新陳代謝が最も活発になるゴールデンタイムです。この時間を活用して、日中に受けたダメージをリセットし、集中的に保湿を行うことが、手かぶれの回復を劇的に早めます。
お風呂上がりの5分が勝負を分ける理由
入浴直後の皮膚は、水分をたっぷり含んで柔らかくなっていますが、そのまま放置すると入浴前よりも乾燥が激しく進むため、お風呂から出て5分以内にケアを完了させましょう。
肌がふやけている状態は、外用薬や保湿剤の有効成分が浸透しやすい絶好のタイミングです。まずは水分を軽く拭き取り、まだ肌がしっとりしているうちに薬を塗り広げてください。
指の関節一つひとつを意識しながら、丁寧に塗り込んでいきましょう。特に、曲げ伸ばしで亀裂が入りやすい関節部分は、薬をたっぷりと置くように塗布するのがコツです。
スピード感が重要ですので、入浴前にケア用品を手の届く場所に準備しておく工夫も必要で、短時間の集中ケアが、翌朝の肌の状態を劇的に変えることになります。
入浴中は体が温まっているため、血管が広がり、薬の吸収効率が極大化されます。このチャンスを逃すと、角質が再び硬くなり始め、浸透力がガクンと落ちてしまいます。
もしお風呂の中で手がふやけて痛む場合は、入浴時間を短くするか、入浴前にワセリンを塗って水を弾かせる工夫をしてください。肌に余計な負担をかけない入浴法が大切です。
最後に、お風呂上がりの洗面所は湿気が多いので、そこでケアを済ませ、リビングの乾燥した空気に触れる前に、しっかりと油分でガードを固めましょう。
たっぷり塗布するハンドクリームの量と塗り方
夜のケアでは、日中よりも贅沢にクリームを使ってください。人差し指の先から第一関節までの量(約0.5g)を片手分として使用するのが、皮膚科での推奨量です。
手のひらで温めてから、痛みの出やすい指先や乾燥しやすい指の間、手の甲に優しく馴染ませます。このとき、強く擦り込むのではなく、皮膚の上に膜を置くようなイメージです。
厚めに塗ることで、就寝中の水分蒸散を強力に抑え込むことができます。塗りムラがないように、光を当ててテカテカと光るくらいの量を目指して塗布してください。
「ベタつくのが苦手」という方も、夜だけは我慢してたっぷり使いましょう。しっかりとした油分の層が、深部まで水分を閉じ込め、細胞の再生を力強く後押しします。
もし特定の箇所だけが特に痛む場合は、そこだけ重ね塗りをし、また、クリームを塗る際についでに指の付け根から指先に向かって優しくマッサージをするのも良いでしょう。ただし、炎症が激しいときに強いマッサージをするのは逆効果です。
布手袋を着用して成分の蒸散を防ぐ効果
クリームを塗った後、そのまま寝ると布団に付着して効果が半減してしまいます。ここで役立つのが、清潔な綿のナイト手袋で、通気性を保ちつつ、保湿成分を定着させます。
手袋をすることで、体温による温熱効果で成分の浸透がさらに促進され、また、寝ている間に無意識に患部を掻いてしまうのを防ぐ、物理的なガードにもなります。
翌朝、手袋を外した瞬間の柔らかさは、バリア機能が再生しつつある証拠で、指先まで栄養が染み渡り、皮膚に本来の弾力が戻っていることを実感できるはずです。
手袋のサイズは、締め付け感のないゆったりしたものを選んでください。血流を妨げず、リラックスして眠れる環境を整えることが、夜間ケアの質を高める秘訣となります。
もし手袋をしていて寝苦しさを感じる場合は、指先だけをカットしたタイプを利用するのも一つの方法で、指先の保湿を守りつつ、熱がこもるのを防ぐことができるため快適です。
使用する綿手袋は、毎日洗濯したものを使ってください。古いクリームの酸化物や雑菌が残っていると、それが刺激となって炎症をぶり返させる原因になりかねません。
夜間の集中補修プログラム
| タイミング | 具体的な手順 | 意識するポイント |
|---|---|---|
| お風呂上がり | 即座に外用薬を塗布 | 肌の柔らかさを活かす |
| 就寝直前 | ワセリンで厚めにカバー | テカるくらいの量を使用 |
| 入眠時 | 綿手袋を着用する | 朝まで外さない習慣作り |
よくある質問
- 手かぶれの原因を特定するために必要な検査や生活の見直し方はありますか?
-
手かぶれの原因を突き止めるには、パッチテストという検査が有効です。特定の化学物質や金属などが原因であれば、それを避けるだけで劇的に改善します。
また、ご自身で日記をつけ、洗剤を変えた時期や、新しい趣味を始めたタイミングと症状の悪化が一致していないかを確認することも大切です。
原因物質との接触を物理的に断つことが、最も根本的な解決策となります。
- 手かぶれが悪化して水ぶくれができた際、自分で潰しても大丈夫ですか?
-
手かぶれによって生じた水ぶくれは、決してご自身で潰さないでください。水ぶくれの中の液体は炎症反応によるもので、中の皮膚はまだ非常に未熟な状態です。
無理に潰すとそこから細菌が入って二次感染を起こし、さらにひどい痛みや腫れを招く恐れがあります。水ぶくれがある場合は、清潔なガーゼで保護し、できるだけ早めに皮膚科を受診して処置を受けてください。
- 手かぶれの症状が落ち着いた後もハンドクリームでの保湿を続ける必要がありますか?
-
症状が消えたとしても、手かぶれを繰り返さないためには継続的な保湿が欠かせません。見た目は綺麗になっていても、皮膚の深部のバリア機能が完全に戻るまでには時間がかかります。
再発を予防するためには、手を洗った後や寝る前などの保湿習慣を継続し、肌のバリアを常に高い状態に保つことが重要です。一度良くなったからと油断せず、毎日のメンテナンスをルーチン化しましょう。
- 手かぶれがあるときにアルコール消毒液を使用するときの注意点はありますか?
-
手かぶれがある状態でのアルコール消毒は、非常に強い刺激となり、炎症を悪化させる可能性が高いです。
どうしても消毒が必要な場合は、アルコールフリーの低刺激なタイプを選ぶか、石鹸での丁寧な手洗いで代用することを検討してください。
消毒が必要な作業を行う際は、あらかじめ保湿剤で保護しておくか、消毒直後に必ず保湿を行い、アルコールによって奪われた水分と油分を補うことが大切です。
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