ダーマペンの効果とは – クレーターやニキビ跡・毛穴悩みに適応

ダーマペンは微細な針を使用して肌の生まれ変わりを促進し、ハリや弾力をアップさせる効果があるため、クレーターや毛穴悩みが改善できます。

このページでは、ダーマペンの効果について、クレーターやニキビ跡、毛穴悩みへの効果、必要回数や最適な間隔、副作用をまとめています。

エステ版ダーマペンやセルフダーマペンとの違いについても解説していますので、ダーマペンを検討している方はぜひ参考にしてください。

ダーマペンとは

ダーマペンは「マイクロニードル」と呼ばれる施術の一つです。

マイクロニードルは、細かい針を使って肌の表面に穴を開けて、創傷治癒の力を引き出します。

創傷治癒の過程で肌の真皮層にあるコラーゲンの産生が促され、クレーターやニキビ跡などさまざまな症状の改善や、美肌効果が得られます。

マイクロニードルのなかでも、クリニックで使われるものが「ダーマペン」で、ペン状の機器を肌の上で滑らせるようにして施術を行います。

ダーマペンの効果を動画（YouTube）で解説

ダーマペンの効果

ダーマペンは瘢痕（はんこん）をはじめ、小じわや目立つ毛穴、色素沈着などにも有効で、多くの美容効果が期待できます。

クレーター（ニキビ跡）・傷跡などの瘢痕

瘢痕はさまざまな原因で起こりますが、最も頻度が高いのはニキビ跡です。

赤み、凹凸、色素沈着などのニキビ跡のなかでも、ダーマペンは「クレーター」と呼ばれる萎縮性瘢痕に良い適応となります。

クリニックで使用されるダーマペンはコラーゲン産生を促しますので、クレーターが徐々になめらかになる効果が期待できます。

また、瘢痕の一種である傷跡の治療に関しても、ダーマペンが使われる場合が多いです。

小じわ・たるみ・鼻や頬の毛穴

瘢痕の治療以外にも、最近では美容目的で使用されるケースが増えています。

具体的には、「リジュビネーション」と呼ばれる治療法です。

ダーマペンを行うと肌の再生を促すため、肌表面の小じわやたるみの改善を目指せます。

また、開き毛穴、詰まり毛穴、たるみ毛穴を目立たなくさせたり、肌のテクスチャーを改善したりできるのもメリットです。

シミ・色素沈着

シミや肝斑、茶色のニキビ跡、色素沈着の改善にもダーマペンは適応です。

表皮と真皮の間（基底層）にあるメラノサイトでメラニンが過剰に作られると、シミや色素沈着、茶色いニキビ跡になります。

肝斑へのダーマペンの効果に関しては医師によって意見が分かれますが、海外では「12～16週間のマイクロニードル（ダーマペン）治療で、肝斑への大きな効果が得られた」との結果が報告されています¹⁾。

肉割れ・妊娠線

肉割れや妊娠線の治療にもダーマペンが使われます。

肉割れや妊娠線は、真皮や皮下組織が急激に引っ張られて、裂けてしまうために起こります。

いちど起こってしまうと、化粧品やマッサージなどのセルフケアでは改善できないのが特徴です。

最近では脱毛症（AGA）治療でも応用される

ダーマペンは肌悩みを改善するだけではなく、最近では脱毛症（AGA）の治療にも応用されています。

頭皮に微細な穴を開けて、ビタミンや成長因子などを浸透させていく治療法です。

「AGA治療に使用されるミノキシジル単独での治療よりも、マイクロニードル（ダーマペン）とミノキシジルを併用したほうが効果を実感しやすい」との研究結果もあります²⁾。

ダーマペンが人気の理由とは

さまざまな臨床応用が近年報告されているダーマペンですが、日本において人気となっているのには、いくつかの理由があります。

ダウンタイムが短い

ダーマペンが人気の理由として真っ先に挙げられるのが、ダウンタイムが比較的短い点です。

ニキビ跡の瘢痕治療にはいくつかの選択肢がありますが、効果を実感しやすいものの一つに「CO2フラクショナルレーザー」が挙げられます。

フラクショナルレーザーは熱によって肌の再生を促していく治療になりますので、どうしても熱がこもる分、ダウンタイムが比較的長くなってしまう傾向があります。

CO2フラクショナルレーザーのダウンタイムは大体1週間程度の場合が多いのですが、ダーマペンは3～4日経てば赤みが引くことが多いです。

ドラッグデリバリーが可能

ダーマペンは、ドラッグデリバリーが可能な点も人気の一つです。

ドラッグデリバリーとは、必要な薬剤の成分を肌に浸透させていく技術を指します。ダーマペンは肌に穴を開けていくので、そのあとに症状に合わせた薬剤を塗布できます。

たとえば美白目的の場合、「トラネキサム酸」「ビタミンC」を塗布することが多いです。

一方、肌のハリをアップさせて小じわやたるみを改善したいときには、「コラーゲン」や「ヒアルロン酸」などを塗布します。

炎症後色素沈着が起こりにくい

ダーマペンが人気の理由として、炎症後色素沈着になりにくい点も挙げられます。

炎症後色素沈着はとくにアジア人（有色人種）に多く認められやすい副作用です。CO2フラクショナルレーザーを用いた場合、一定数、施術したあと炎症後色素沈着になってしまう方がいらっしゃいます。

ダーマペンも炎症後色素沈着にを引き起こす可能性はゼロではありませんが、その頻度はフラクショナルレーザーよりも大幅に低いです。

「副作用である炎症後色素沈着が起こりにくい」といった意味でも、近年日本においてダーマペンが人気になってきているのではないかと考えられます。

効果的な針の深さとは

ダーマペンは、0.2～3.0㎜まで0.1㎜単位で針の深さを調整できます。

針を深く刺すほど効果を実感しやすい特徴がありますが、深ければ深いだけ良い訳ではありません。

肌の構造は「表皮 ⇒ 真皮 ⇒ 皮下組織」と3つの層に分かれていて、機能や役割がそれぞれにあります。

改善したい症状によって原因がある肌のレベルが違いますので、効果的な針の深さも変わります。

表皮が原因の小じわやたるみは比較的浅い0.2～0.5㎜程度の深さが適していますし、基底層が原因の色素沈着やシミはもう少し深めに針を刺す必要があります。

一方、クレーターや傷跡は、真皮レベルへのアプローチが効果的です。

顔のパーツによっても皮膚の厚みが異なりますので、どのような効果を得たいのか、どのパーツに施術するのかに合わせ、適した深さの選択が大切です。

ダーマペンは何回必要？

ダーマペンの効果を実感できる回数の目安は、おおよそ5回と考えておきましょう。

キメやハリを改善したり、ニキビを改善したりする効果は、2～3回の施術でもある程度実感できます。

一方、ダメージが肌の奥深くに及んでいるような重度のクレーターでは、多くの回数がかかる傾向があります。

症状によっては、ほかの施術が必要となる場合があります。

人によって適切な回数が異なりますので、ダーマペンを受ける際は、医師と相談しながら回数を決定していきましょう。

ダーマペンの効果はいつからいつまで？

ダーマペンの効果は、施術後2週間ほどで徐々に現れてきます。

施術後すぐに効果が実感できないのは、コラーゲンの産生や肌の修復に時間がかかるためです。

間隔をあけすぎると効果がないのか

ダーマペンの最適な施術間隔は、3～4週間です。

間隔をあけすぎたからといって前回の施術が全くなかったことにはなりませんが、ターンオーバーの乱れにつながり、肌が元の状態に戻るスピードが早くなる傾向があります。

そのため、間隔をあけすぎると、満足のいく効果を得られない可能性があります。

一方、間隔が短すぎると肌が回復する前に刺激を与えてしまうので、色素沈着のリスクが増します。

ます. 副作用のリスクを抑えながら効果を最大限に引き出すために、3～4週間程度の間隔を守って施術を行いましょう。

効果が持続する期間は？永久なの？

ダーマペンの効果が持続する期間は、約半年ほどです。

肌のテクスチャーを改善する効果、ハリをアップする効果は永久ではありません。

また、シミや色素沈着は、メラニンが再び作られたり、上手く排出できなくなったりすると再発が考えられます。

とはいえ、クレーターや傷跡などの肌の凹凸、肉割れや妊娠線では、いちど効果を実感すると元の状態に戻るケースはほぼないでしょう。

効果の持続期間には個人差がありますが、複数回の施術を重ねると長く持続する傾向があります。

ダーマペンの副作用

ダーマペンの副作用には、施術中における痛みや出血、施術後の赤みが挙げられます。

基本的に麻酔をして施術を行っていくので、痛みはそれほど気にならない方が多いですし、出血も帰宅するまでには止まります。

ここでは、ダーマペンの施術後の副作用と過ごし方を解説しています。

主な副作用は肌の赤み

ダーマペンの主な副作用は、施術後3～4日程度続くような赤みです。

また、人によっては少しむくんだり、かゆみを感じる方もいらっしゃいますが、重篤な副作用は基本的にありません。

お化粧やお風呂は12時間後から

患者さんから施術後のお化粧やお風呂についての質問をよく受けますが、お化粧やお風呂を12時間は控えていただくように説明しています。

ダーマペンを受けたあと12時間は水に濡らさないほうがいいと言われていますので、顔が水に濡れる、化粧品を施術部に塗る、といった行為は避けるようにしましょう。

エステ版ダーマペンと皮膚科のダーマペンの効果の違い

「エステ版ダーマペン」と呼ばれる美顔器がエステサロンで使用されています。

エステ版ダーマペンは、小さな突起のついたスタンプで極小の穴を肌に開け、美容液を導入する仕組みです。

痛みがなく、まぶたや唇にも当てられるのがメリットですが、基底層や真皮に届くほどの針の深さはありません。

「医療用ダーマペンと同じ効果が得られる」と謳うエステサロンもありますが、皮膚科のダーマペンよりも効果を実感しにくいのが実際のところです。

エステ版ダーマペンと皮膚科のダーマペンの違い

	エステ版ダーマペン	皮膚科のダーマペン
目的	リラクゼーション	肌悩みの治療・改善
効果	肌質の改善 リラックス効果	ニキビ ニキビ跡 シミ 色素沈着 小じわ たるみ 毛穴 肉割れ 妊娠線 脱毛症（AGA） など
目安回数	5回程度	5回程度
料金（1回）	1万～1万5000円	1万5000～3万円

身体に傷を付ける行為や針を扱う行為（人体に危害を及ぼすおそれのある行為）は、医師法第17条によって、医師または看護師でなければ行えない決まりになっています。そのため、厳密に言えば、ナノニードルを使用するエステ版ダーマペンは、違法性への疑問が残ります。

セルフダーマペン・家庭用ダーマペンの効果

セルフダーマペン・家庭用ダーマペンとして使用される「ダーマローラー」も肌に針を刺して創傷治癒の力を引き出す効果がありますが、医療用のダーマペンとは大きく違います。

ダーマローラーでは、ダーマペンほどの深さを出せません。

クリニックで使われるダーマペンは、最長3㎜の深さが出せますが、一般的なダーマローラーは0.2～0.3㎜までのものが多いです。そのため、実感できる効果も少なくなります。

さらに、ローラー部分に使用されている金属も不明な場合があり、肌に穴を開けた際にアレルギー反応を起こすなどの肌トラブルに発展してしまう可能性があります。

また、セルフでは浸透する薬剤の質が良くない場合があるので、薬剤が原因でアレルギー反応を引き起こすケースもありますし、「肉芽腫ができた」といった報告もあります。

肉芽腫：感染症や慢性炎症などによってできる腫瘤、しこり。自然に治らない場合が多いため、治療を行う必要がある。

まとめ

ダーマペンは、クレーターのように凸凹になってしまったニキビ跡や目立つ毛穴、小じわやシミなどの改善効果がある施術です。

ダウンタイムが比較的短く、ドラッグデリバリーで必要な薬剤を効率的に浸透させられるメリットがあります。

ただし、1回の施術では十分な効果を実感できないため、複数回の通院が必要です。

ダーマペンを行う際は、かかる費用を総額で考え、通いやすさや予約の取りやすさなどもチェックしながら、クリニック選びをしましょう。

ダーマペンの効果でよくある質問Q&A

参考文献

1) Bailey AJM, Li HO, Tan MG, Cheng W, Dover JS. Microneedling as an adjuvant to topical therapies for melasma: A systematic review and meta-analysis. J Am Acad Dermatol. 2022 Apr;86(4):797-810. doi: 10.1016/j.jaad.2021.03.116. Epub 2021 Apr 12. PMID: 33857549.

2) Kumar MK, Inamadar AC, Palit A. A Randomized Controlled, Single-Observer Blinded Study to Determine the Efficacy of Topical Minoxidil plus Microneedling versus Topical Minoxidil Alone in the Treatment of Androgenetic Alopecia. J Cutan Aesthet Surg. 2018 Oct-Dec;11(4):211-216. doi: 10.4103/JCAS.JCAS_130_17. PMID: 30886475; PMCID: PMC6371730.

K Zduńska, A Kołodziejczak, H Rotsztejn. Is skin microneedling a good alternative method of various skin defects removal. Dermatologic therapy. 2018 11;31(6);e12714.