エレクトロポレーションの毛穴の開きへの効果 – いちご鼻にはどう効く？毛穴洗浄のしくみ

美容成分を肌の奥深くまで浸透させる「エレクトロポレーション」は、毛穴の開きを改善させる効果もあります。

とはいえ、ファンデーションでも隠し切れないいちご鼻や頬の毛穴開きにどのように効くのか、どういったしくみで毛穴洗浄ができるのか、と疑問をお持ちの方もいるかと思います。

当ページでは、エレクトロポレーションの毛穴への効果、毛穴洗浄のしくみや安全性を皮膚科専門医が解説しました。

毛穴目立ちの原因や他の毛穴ケアとの比較もまとめていますので、毛穴の開きにお悩みの方はぜひ参考にしてください。

エレクトロポレーションとは

エレクトロポレーション（電気穿孔法）とは、ビタミンCやヒアルロン酸などの美容成分を肌の奥まで効率的に浸透させる美容施術です。

ノーニードルといって針を使用しないためダウンタイムがほぼなく、痛みに弱い方でも気軽に受けていただけます。

当院では、-20～45℃まで温度を調整しながら美容成分を浸透させる「ケアシス」といったエレクトロポレーション機器を使用しています。

効果は導入する美容成分に依存する

エレクトロポレーションでは、肌に電気パルスを当てて細胞を覆う膜に一時的な孔（あな）を開けます。

ふだんのスキンケアで化粧水や美容液を塗布するだけでは有効な成分を肌の奥深くまで浸透させられませんが、エレクトロポレーションは美容成分の通り道を作ってあげて肌の深いところまで届けるしくみです。

どのような効果が得られるかは導入する成分に依存しますので、肌悩みに合った導入美容液を選ぶのも大切です。

エレクトロポレーションの適応

エレクトロポレーションには、大きく分けて肌の色みと凸凹の2つを改善させる効果が期待できます。

しみやそばかす、肝斑や茶色いニキビ跡、酒さや赤ら顔、赤いニキビ跡が適応で、顔の色ムラの改善が目指せます。

小じわや毛穴の開きといった肌の凹凸も良い適応です。回数を重ねるごとにしわが目立たなくなり、毛穴がキュッと引き締まる効果が期待できます。

ほかにも、肌がキメ細かくなってお化粧ノリが良くなる、ふっくらと弾力がアップする、くすみが解消して肌全体が明るくなる効果も目指すことができます。

毛穴の開きの原因

毛穴開きの原因は、主に3つあります。1つめは過剰な皮脂分泌、2つめはターンオーバーの乱れ、3つめは肌のハリの低下です。

「毛穴が目立つ人は毛穴の数が多い」と思っている方もいますが、毛穴の数には個人差がありません。顔の毛穴は約20万個で、人種や年齢、性別や顔の大きさによる違いもないです。

では、どうして毛穴が目立つのかというと、毛穴（毛包）の開口部が開くために毛穴自体が大きく見えます。

皮脂の過剰分泌（開き毛穴）

皮脂の過剰分泌による毛穴目立ちは、開き毛穴と呼ばれるものです。

頬、おでこ～眉間などに多く認められ、皮脂分泌が過剰な人で起こりやすい傾向があります。夏にとくに悪化するのも特徴です。

皮脂の分泌量には個人差がありますが、皮脂の分泌量と毛穴（開口部）の大きさが比例するといった研究結果もあります¹⁾。

皮脂量は思春期をピークに徐々に減少しますので、比較的若い方のほうが開き毛穴になりやすいです。

ただし、慢性的に紫外線を浴びると皮脂の分泌を促しますので、もともと皮脂量が多くない人であってもUV対策をしないと皮脂が過剰分泌される可能性があります。

ターンオーバーの乱れ（詰まり毛穴）

ターンオーバーが乱れると毛穴の開口部が詰まり、ポツポツと毛穴が目立つようになります。

これは詰まり毛穴と呼ばれる種類です。ターンオーバーは肌の生まれ変わりを指し、20代だと28日ほどかけて表皮の基底層から角質となって剥がれ落ちていきます。

ただ、ターンオーバーのサイクルは年齢を追うごとに長くなり、40～50代では45～50日、60代では50日以上に変化します。年齢によるターンオーバーの乱れは、基底細胞自体の機能が年齢とともに低下していくためです。

ターンオーバーが乱れると角質肥厚が起こり、皮脂や老化角質、汚れなどが混ざりあって毛穴の開口部を塞いでしまいます。

肌のハリ低下（たるみ毛穴）

肌にハリがなくなると、皮膚がたるんで毛穴目立ちにつながります。

加齢や紫外線によって皮膚の弾力性が低下したり筋肉や脂肪が少なくなったりして、毛穴の周りが落ち込むため毛穴が開いて見えるのが特徴です。

30代以降の頬の毛穴開きには、程度の差はあっても肌のハリ低下が関係している方が多いです。

真皮層の老化によって肌にハリがなくなり周りの皮膚が毛穴に落ち込むことで毛穴が開いてしまい、進行すると毛穴同士が帯状に連なってしまう場合もあります。

筋肉や脂肪と骨をつなぐ接着組織の「リガメント」は加齢によって緩み、緩んだ方向に毛穴が開く傾向がありますが、美顔器での過度なマッサージでリガメントがゆるむといわれているため若い人でも気をつけなければなりません。

いちご鼻になってしまうのはなぜ？

クリニックにも鼻の毛穴にお悩みの方がたくさん来院されますが、いちご鼻は毛穴が黒ずんで鼻全体がイチゴのようにポツポツとなっている状態です。

いちご鼻の状態

鼻は顔の中央部にありますので、毛穴が目立ちやすいです。いちご鼻の状態には2種類あって、毛穴が詰まっているのか詰まっていないのか、といった点で異なります。

また、なかには黒ずみと思っていたものが実は「毛」であるケースも多くみられます。

毛穴の詰まり

鼻に認められやすいタイプの毛穴が「詰まり毛穴」で、皮脂や古くなった角質、メイク汚れなどが毛穴に蓄積して栓のようになっている状態です。

鼻を触ると詰まり部分がザラザラ・プツプツと盛り上がっていて、皮脂の排出を防いでいます。最初は白い詰まりですが、表面が酸化すると黒ずむのでポツポツと目立ついちご鼻になります。

進行すると毛穴に炎症が起きたり膿が溜まったりして赤ニキビや黄ニキビに発展する可能性がありますので、早めの対処が必要です。

皮脂フィラメント

鼻にポツポツと毛穴が目立っていると、毛穴のなかに皮脂が詰まっているのではないかと思う方が非常に多くいらっしゃいます。ただ、ご自身で詰まり毛穴だと思っていても、実際にはその多くが皮脂フィラメントです。

皮脂フィラメントとは、皮脂腺から分泌される皮脂が皮膚の表面に出る通り道を指し、皮脂の排出をスムーズにする役割があります。

色が薄く平らで栓がない状態ですが、毛穴開口部の皮脂フィラメントが酸化すると茶色くポツポツとしたいちご鼻になってしまいます。

毛が黒ずみに見えていることも

毛穴は毛の生えている部分に一致して存在し、鼻にももちろん産毛がありますので毛のメラニン（黒い色素）が黒ずみに見えてしまっていてもおかしくありません。

そのような場合、皮膚科ではダーモスコピーという拡大鏡を使って確認すると、毛穴の詰まりが毛であると証明できます。

毛が黒ずみに見えているケースでは、医療脱毛で鼻の産毛をなくすといちご鼻が改善します。

いちご鼻になる3つの原因

毛穴の詰まりと皮脂フィラメントが混在しているケースもありますが、どのような状態であっても、いちご鼻になる原因には共通点がみられます。

ターンオーバーが乱れている

ターンオーバーの乱れは毛穴の詰まりを引き起こし、いちご鼻になる原因です。

とくにターンオーバーが遅くなると、毛穴周辺の古い角質が上手く剥がれ落ちずに皮脂と混ざって毛穴を詰まらせてしまいます。

逆にターンオーバーが早すぎるとバリア機能が低下して、肌が乾燥しやすくなったり外的刺激に敏感になったりします。

また、古い角質がどんどん作られて上手く剥がれ落ちないと毛穴に残ることも考えられますので、ターンオーバーの周期は早すぎても遅すぎても良くありません。

肌にとって不要なものを取り切れていない

ふだんのスキンケアで肌にとって不要なものを取り切れていないと、毛穴に詰まっていちご鼻に発展してしまいます。

近年は「優しい洗顔」が大切であるとの認識が浸透してきていますが、優しく洗顔するあまりに古くなった角質や過剰な皮脂、メイク汚れがきちんと取り切れていない方も多いです。

ゴシゴシこすらず摩擦を与えない洗顔は継続していただきたいのですが、不要なものをしっかりと落とすといった点にも着目するようにしましょう。

皮脂が酸化している

毛穴の詰まりであっても皮脂フィラメントであっても、毛穴の表面にある部分が酸化すると変色していちご鼻になります。

空気や紫外線に触れやすい鼻はとくに皮脂が酸化しやすく、毛穴がポツポツと薄い茶色や黒になっている場合は皮脂が酸化している状態です。

また、皮脂が酸化すると過酸化脂質となって肌の老化にもつながります。

毛穴詰まりだけでなく肌のたるみによる毛穴の開きの原因になりますので、皮脂を酸化させない工夫が必要です。

エレクトロポレーションによる毛穴ケアの効果

エレクトロポレーションには、導入美容液によって毛穴の目立ちをケアする効果があります。

過剰な皮脂が原因の開き毛穴やターンオーバーの乱れが原因の詰まり毛穴、肌のハリ低下が原因のたるみ毛穴のすべての毛穴悩みについて、改善が期待できるのが特徴です。

毛穴の開きへの効果

エレクトロポレーションで導入する美容成分には、過剰な皮脂分泌を抑えたりコラーゲンの産生を促して肌にハリを与えたりする作用があり、毛穴の引き締め効果があります。

毛穴の開きの原因によっておすすめな成分が異なるものの、ビタミンCやナイアシンアミドなどが毛穴に効果のある代表例です。

美容成分	効果
ビタミンC	過剰な皮脂分泌の抑制 コラーゲンの産生促進 ターンオーバーを整える 皮脂の酸化を抑える
ナイアシンアミド	コラーゲンの産生促進 ターンオーバーの促進 皮脂の酸化を抑える
トロメタミン	毛穴の角栓を溶かす

いちご鼻改善の過程

エレクトロポレーションは、1回でもいちご鼻を改善する効果がある程度期待できる施術です。

施術直後から毛穴が小さくなる効果を実感していただけますが、さらに1～2週間ほど経つと真皮内のコラーゲンが増えて毛穴が引き締まっていくことが期待できます。

4週間ごとに1～3回ほど受けると頑固な毛穴の黒ずみも解消され、いちご鼻の解消を目指せます。

ただ、エレクトロポレーションの効果は永久ではないので、鼻の黒いポツポツがなくなってからも数カ月ごとにメンテナンスとして受けると新たにいちご鼻になってしまうのを防げます。

エレクトロポレーションによる毛穴洗浄のしくみ

エレクトロポレーション自体は毛穴を洗浄するわけではありませんが、ビタミンCやトロメタミン、グリシルグリシンなどの導入美容液には毛穴洗浄の作用があります。

毛穴に詰まった角栓を溶かす

エレクトロポレーションで導入する美容成分の一つであるトロメタミン（慣用名：トリス）には、毛穴の角栓を溶解する作用があります。

角栓に含まれるタンパク質と皮脂の両方を溶かす効果があり、ふだんのスキンケアではびくともしない毛穴の詰まりを解消させられる成分です。

トロメタミンが含まれるおすすめの導入美容液は「ペップビュー」です。ナイアシンアミドも含まれ、抗酸化、皮脂分泌の抑制、ターンオーバーの促進、コラーゲン産生の促進効果もありますので幅広く毛穴にアプローチできます。

汚れや皮脂の排出をスムーズにする

エレクトロポレーションには毛穴の詰まりを溶かして毛穴を洗浄するだけでなく、ターンオーバーの促進による毛穴洗浄の効果もあります。

ターンオーバーが促されると、毛穴の皮脂や古くなった角質がスムーズに排出されます。

角化正常化作用のあるグリシルグリシン、ターンオーバーを促すビタミンCやナイアシンアミド、レチノールなどが有効な美容成分です。

毛穴洗浄としてはトロメタミンよりもマイルドであるものの、余分な角質を自然に排出して毛穴周りのくすみや毛穴の開きを改善します。

エレクトロポレーションの安全性と注意点

エレクトロポレーションは危険性の少ない施術ですが、過度な使用や不適切な使用によって肌のバリア機能が低下したり炎症反応が起こりやすくなります。

そのため、最初の数回は4週間ごと、症状が改善したら数カ月ごとの適切な間隔を守って行うようにしましょう。

肌への負担が少なくダウンタイムがほぼない

エレクトロポレーションは肌に傷をつけずに行えるため、ダウンタイムがほとんどなく安全な施術です。

ただ、施術中はピリピリとした軽い刺激を感じるケースもあります。

赤み、腫れ、ヒリヒリ感といった副作用が現れる場合もありますが、通常は数時間、長い人でも1～2日程度で自然に治まります。

施術後の過ごし方

エレクトロポレーションの施術後は基本的にふだん通りの生活で構いませんが、他の美容施術と同じように保湿や紫外線ケアを徹底しましょう。

入浴や洗顔、メイクは当日でも可能です。ただ、赤みやヒリヒリ感が強いときは様子を見ながら優しく洗顔するようにします。

3日経っても赤みや腫れ、ヒリヒリ感が続くときは、薬剤によるアレルギーの可能性があります。

エレクトロポレーションを受けられない人

• 妊娠中・授乳中の方
• 体内に金属が入っている方（インプラント、金属プレートなど）
• ペースメーカーを使用している方
• 施術部位に感染症や傷がある方

比較的安全で副作用が少ないエレクトロポレーションですが、なかには受けられない人もいます。また、薬剤アレルギーのある方は、事前にクリニックに申し出るようにしましょう。

他の毛穴ケア方法との比較

他の毛穴ケアの方法として、角質ケア + 皮脂の抑制（体質によって）がポイントとなります。

物理的な方法（スクラブなど）

物理的な毛穴ケアはフィジカルピーリングとも呼ばれ、スクラブや毛穴パック、酵素洗顔などが代表例です。即効性があるので目に見えて毛穴の目立ちが改善しやすく、多くの方に好まれる方法ではないかと思います。

ただ、頻繁に使用するとやりすぎてしまい、肌のバリア機能を低下させて肌トラブルを起こす原因になる点がデメリットです。

絶対にダメとはいいませんが、物理的な方法はエレクトロポレーションよりも肌への負担が大きいので敏感肌の方やアトピー肌の方にはおすすめできません。

毛穴パックは1回で汚れがよく取れますが周りの組織へのダメージが大きいので、適切な頻度を守って行いましょう。また、スクラブは肌に強い摩擦を与えるため注意が必要で、ニキビや炎症が起きているときは避けるようにします。

肌に負担をかけずに毛穴をケアしたい方は、物理的なケア方法よりも科学的なケア方法やエレクトロポレーションが適しています。

化学的な方法（ピーリングなど）

化学的に毛穴汚れにアプローチする方法（ケミカルピーリング）で使用される成分には、AHA（αヒドロキシ酸）のグリコール酸や乳酸、マンデル酸とBHA（βヒドロキシ酸）のサリチル酸があります。

水溶性なのか脂溶性なのか、分子量や濃度によって作用も異なります。とくにおすすめなのがサリチル酸で、皮脂腺に対して親和性が高い成分ですので毛穴ケアの効果を実感しやすいです。

自宅でのセルフケアか、クリニックでケミカルピーリングのどちらかで行います。

美容液や洗顔料は気軽に取り入れやすく毎日のケアとして使える点、クリニックでのケミカルピーリングは症状に合わせた治療を本格的にできる点がメリットです。

ただし、どちらも効果を実感できるまでには時間がかかる傾向がありますし、赤みやヒリヒリ感が現れるケースもあります。

化学的な毛穴ケアは余分な角質を取り除く方法で、エレクトロポレーションは成分によって多方向から毛穴への効果が得られる方法です。

効率的に肌悩みを改善したい方は、ふだんのセルフケアでピーリング成分を取り入れながら1カ月に1度エレクトロポレーションを受ける、ケミカルピーリングとエレクトロポレーションを併用する、といった方法も一つの手です。

皮脂の抑制

皮脂の分泌量が多い場合は、角質ケアと同時に皮脂の抑制にも着目しましょう。皮脂の分泌を抑える成分には、レチノールやビタミンC、ナイアシンアミドやアゼライン酸があります。

ビタミンCのなかでは、リン酸型ビタミンC（例：アスコルビルリン酸ナトリウム）がとくに皮脂抑制の作用が強いです。また、ナイアシンアミドは2％以上で皮脂分泌の抑制作用が報告されています。

クリニックでのケアとしては、イソトレチノインの内服やボツリヌス菌注射（ボトックス）があります。1726nmのレーザーで皮脂腺を選択的に破壊する方法もありますが、日本では承認申請中です。

開き毛穴の方であれば皮脂抑制のみでもある程度の毛穴改善ができますが、詰まり毛穴やたるみ毛穴への効果は限定的ですので、エレクトロポレーションを行ったうえで補助的に取り入れると良いかと思います。

まとめ

導入美容液にもよりますが、エレクトロポレーションの料金相場は1回1万1000円から2万円程度です。

ダウンタイムがほぼなく、毛穴の悩みをいろんな角度から改善できるのが大きなメリットです。

毛穴悩みとニキビが混在している際には、保険適用のニキビ治療とエレクトロポレーションの併用もできます。

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参考文献

1)M Roh, et ai. Sebum output as factor contributing to the size of facial pores. Br J Dermatol. 2006; 155(5):890-894.

C Chen, S W Smye, M P Robinson, J A Evans.Membrane electroporation theories: a review.2006 Mar;44(1-2):5-14.

宮田成章. エレクトロポレーションによる経皮導入治療. 日本美容外科学会会報, 2011, 33.2: 112-118.