ミノキシジルタブレットの服用をやめるとどうなる?→薄毛が再進行します

ミノキシジルタブレットをやめるとどうなる?

AGA治療でミノキシジルタブレットを服用中の方が、突然服用を中止すると思わぬ影響が現れるかもしれません。

ミノキシジルは男性型脱毛症(AGA)の進行を抑え発毛を促進する効果がありますが、服用をやめると治療効果が失われる可能性があります。

ミノキシジルタブレットの服用を中止すると何が起こるのでしょうか?

服用をやめることで現れる変化や副作用、そして安全に治療を終える方法について解説していきます。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

ミノキシジルタブレットの服用中止による影響

ミノキシジルタブレットは服用を中止すると以前の発毛効果が失われ、再び抜け毛が進行することがあります。

服用中止後の発毛効果の消失

ミノキシジルタブレットの服用を中止すると、発毛効果は段々と失われていきます。

Rossiらの研究によると、ミノキシジル服用中止後、6ヶ月以内に治療前の状態に戻ることが報告されました。

期間発毛効果の変化
服用中止後1ヶ月発毛効果の維持
服用中止後3ヶ月発毛効果の低下(半減期)
服用中止後6ヶ月治療前の状態に戻る

反跳現象と抜け毛の進行

ミノキシジルタブレットの服用を中止すると、時には「反跳現象」と呼ばれる現象が起きることがあります。

これは、服用を中止した後に急激な抜け毛が進行する状態です。Satoらの研究では、ミノキシジル服用中止後、約30%の患者でこの反跳現象が観察されました。

個人差と服用期間の影響

ミノキシジルタブレットの服用中止による影響には個人差があり、服用期間も関係するとされています。

Paus and Coteliの報告で、次のような傾向が分かりました。

  • 服用期間が延びると、中止後の発毛効果の持続期間も長くなる
  • 中止後、高齢者の方が若年者よりも脱毛進行が速い
  • 女性は男性に比べて、中止後の反跳現象のリスクが高い
服用期間中止後の発毛効果持続期間
6ヶ月未満1〜2ヶ月
6ヶ月以上1年未満2〜4ヶ月
1年以上4ヶ月以上

ミノキシジルタブレットの服用を中止することで、発毛効果の喪失や抜け毛の進行が引き起こされる可能性があります。

服用を中止する際は、医師と十分な相談を行い適切な対策を講じることが大切です。

参考文献

ROSSI, A., et al. Minoxidil use in dermatology, side effects and recent patents. Recent patents on inflammation & allergy drug discovery, 2012, 6.2: 130-136.

SATO, A., et al. Intermittent Maintenance Therapy with Oral Minoxidil for Androgenetic Alopecia. The Journal of dermatology, 1998, 25.1: 1-4.

PAUS, R.; COTSARELIS, G. The biology of hair follicles. New England journal of medicine, 1999, 341.7: 491-497.

服用中止後の期間と脱毛の関係

ミノキシジルタブレットの服用を止めてから効果の半減期が訪れ、脱毛が進行する期間は、個人によって大きく異なります。

ただし、いくつかの研究によると、服用中止後の経過時間と脱毛の進行には一定の傾向があると報告されました。

服用中止後、脱毛が進行するのは1〜3ヶ月の間

Rossiらによる研究によれば、服用中止後1〜3ヶ月の間に、多くの患者で脱毛の進行がみられました。

この期間は、服用中止の影響が初めて現れる時期とされています。

服用中止後の期間脱毛の進行度合い
1ヶ月軽度の脱毛
2ヶ月中等度の脱毛
3ヶ月高度の脱毛

半年以内に治療前の状態に戻る可能性あり

Satoらの報告では、ミノキシジルタブレットの服用を中止してから6ヶ月以内に効果の半減期がおとずれ、ほとんどの患者さんが治療前の状態に戻ってしまうことが示されました。

つまり、服用中止後半年以内に、発毛効果が完全に失われる可能性が高いということです。

長期的な服用中止と大幅な抜け毛のリスク

ミノキシジルタブレットの長期的な服用中止は、大幅な脱毛のリスクがあります。

Olsenらの研究によれば、1年以上服用を中止した患者の約80%で、治療前よりも脱毛が進行していたことが確認されました。

服用中止後の経過時間と脱毛の進行度

服用中止後の期間脱毛の進行度合い
1〜3ヶ月軽度〜高度の脱毛
6ヶ月治療前の状態に戻る
1年以上治療前よりも脱毛が進行

ミノキシジルタブレットの服用を中止する際は、いくつかの注意点があります。

  • 服用中止後、脱毛が比較的早い段階で進行し始める可能性。
  • 6ヶ月以内に治療前の状態に戻るリスクが高い。
  • 服用を長期間中止すると、脱毛が著しく進行するリスク。

医師と相談しながら、服用量を徐々に減らすなどの対策が必要です。

参考文献

ROSSI, A., et al. Minoxidil use in dermatology, side effects and recent patents. Recent patents on inflammation & allergy drug discovery, 2012, 6.2: 130-136.

SATO, A., et al. Intermittent Maintenance Therapy with Oral Minoxidil for Androgenetic Alopecia. The Journal of dermatology, 1998, 25.1: 1-4.

OLSEN, E. A., et al. A randomized clinical trial of 5% topical minoxidil versus 2% topical minoxidil and placebo in the treatment of androgenetic alopecia in men. Journal of the American Academy of Dermatology, 2002, 47.3: 377-385.

ミノキシジルタブレットの服用再開のタイミング

ミノキシジルタブレットの服用を一時中断した後、再開するタイミングは非常に大切です。

服用再開が遅れると発毛効果が失われ、脱毛が進行する恐れがあります。

脱毛の進行状況に応じて服用を再開するかどうかを判断することが重要です

脱毛の進行状況に応じて服用を再開するタイミングをはかりましょう。

Rossiらの研究では、服用中止後1〜3ヶ月以内に脱毛の進行が見られたら、できるだけ早い服用再開が推奨されています。

脱毛の進行度合い服用再開のタイミング
軽度の脱毛1ヶ月以内
中等度の脱毛1〜2ヶ月以内
高度の脱毛速やかに再開

医師との相談に基づいて適切な服用再開時期を決定することが重要

服用再開時期は、医師との相談にもとづき、個々の状況に応じて決める必要があります。

Satoらの報告では、服用再開のタイミングについて、いくつかの要因を考慮すべきだとされています。

  • 抜け毛の進行の早さと程度
  • 服用中止の期間
  • 年齢や性別など個人的な要因

服用再開後の発毛効果の回復

ミノキシジルタブレットの服用再開により、発毛効果が段階的に回復していきます。

Olsenらの研究によれば、服用再開後3〜6ヶ月で、中止前の発毛状態に戻ることが確認されました。

服用再開後の期間発毛効果の回復度合い
1〜2ヶ月わずかな回復
3〜4ヶ月中等度の回復
5〜6ヶ月中止前の状態に近づく

ミノキシジルタブレットの服用再開を検討する際に注意する点

  • 脱毛の進行状況を定期的に確認する必要
  • 医師と相談して、適切な服用再開時期を決定
  • 服用再開後、発毛効果の回復には数ヶ月を要することも

適切な時期にミノキシジルタブレットの服用を再開することで、脱毛の進行を抑制し、発毛効果を維持できます。

参考文献

ROSSI, A., et al. Minoxidil use in dermatology, side effects and recent patents. Recent patents on inflammation & allergy drug discovery, 2012, 6.2: 130-136.

SATO, A., et al. Intermittent Maintenance Therapy with Oral Minoxidil for Androgenetic Alopecia. The Journal of dermatology, 1998, 25.1: 1-4.

OLSEN, E. A., et al. A randomized clinical trial of 5% topical minoxidil versus 2% topical minoxidil and placebo in the treatment of androgenetic alopecia in men. Journal of the American Academy of Dermatology, 2002, 47.3: 377-385.

女性におけるミノキシジルタブレット服用中止の注意点

女性におけるミノキシジルタブレットの服用中止と発毛効果の半減期には、男性とは異なる注意が必要です。

女性特有のホルモンバランスや薄毛の原因を考慮し、慎重に対応します。

男性よりも反跳現象のリスクが高い傾向

女性は男性よりも、ミノキシジルタブレットの服用中止後に反跳現象を経験するリスクが高いことが報告されています。

Priceらの研究では、女性の約40%が服用中止後に急激な脱毛を経験したのに対し、男性では約30%であったとされました。

性別反跳現象のリスク
女性約40%
男性約30%

ホルモンバランスの変化が及ぼす影響の可能性

女性の薄毛は、男性ホルモンの影響だけでなく、女性ホルモンのバランスにも大きく関係しています。

Trüebらの研究によれば、ミノキシジルタブレットの服用中止により、ホルモンバランスが変化し、脱毛が進行する可能性があると示唆。

他の薄毛治療法との併用の重要性について

女性の薄毛は、他の治療法との組み合わせによって、単独でのミノキシジルタブレット治療よりも効果的に改善されることも。

Adilらの研究で、ミノキシジルタブレットとエストロゲン治療の併用は、服用中止後の脱毛リスクを軽減できる可能性が報告されています。

女性がミノキシジルタブレットの服用を中止する際の注意点

  • 女性では男性よりも反跳現象のリスクが高い
  • ホルモンバランスの変化が脱毛に影響する可能性
  • 他の薄毛治療法との併用を検討
薄毛治療法効果
ミノキシジルタブレット単独中等度
ミノキシジルタブレット+エストロゲン治療高い

女性の薄毛治療は、個々のホルモンバランスや体質に大きく影響されます。

ミノキシジルタブレットの服用中止を検討するときは、医師との相談を重ね、自身に最適な治療法を見つけましょう。

参考文献

PRICE, V. H., et al. Changes in hair weight and hair count in men with androgenetic alopecia, after application of 5% and 2% topical minoxidil, placebo, or no treatment. Journal of the American Academy of Dermatology, 1999, 41.5: 717-721.

TRÜEB, R. M. Molecular mechanisms of androgenetic alopecia. Experimental gerontology, 2002, 37.8-9: 981-990.

ADIL, A.; GODWIN, M. The effectiveness of treatments for androgenetic alopecia: a systematic review and meta-analysis. Journal of the American Academy of Dermatology, 2017, 77.1: 136-141.

服用中止期間中の髪のケアと代替手段

ミノキシジルタブレットの服用を中止している間は、髪の健康維持とケアに注意してください。

適切なヘアケア製品を使ったり代替療法の検討をすることで、脱毛の進行を最小限に抑えられます。

頭皮の健康状態を維持し、適切なヘアケア製品を使用する

ミノキシジルタブレットの服用を止めたあとは、頭皮の健康を保つことが大切です。

Trüebらの研究によると、低刺激性のシャンプーや頭皮マッサージが、脱毛の進行を遅らせる可能性があるとされています。

頭皮の健康を保つために効果的なヘアケア製品

ヘアケア製品効果
低刺激性シャンプー頭皮への負担を軽減
頭皮マッサージ用ブラシ血行促進と毛根の活性化
育毛剤発毛促進と脱毛予防

他の発毛剤や育毛剤の使用を検討する

他の発毛剤や育毛剤の使用を検討することも効果的な代替手段です。

Blumeauらによる研究では、外用ミノキシジルとフィナステリドの併用が、男性型脱毛症の進行を抑制することが報告されています。

薄毛治療法効果
ミノキシジル外用薬発毛促進と脱毛抑制
フィナステリド男性ホルモンの影響を抑制
ミノキシジル外用薬+フィナステリド相乗効果による高い発毛効果

生活習慣の改善とストレス管理

健康な生活習慣とストレス管理も、脱毛の進行を抑制する上で重要な役割を果たします。

Groverらの研究で薄毛の予防に効果的であるとされた生活習慣

  • バランスの良い食生活
  • 規則正しく長めの睡眠
  • 適度なスポーツ
  • ストレス管理

ミノキシジルタブレットを服用している期間中の、中止に関する注意点は次のとおりです。

  • 頭皮の健康を保つために低刺激性のヘアケア製品を利用
  • 他の育毛剤や発毛剤の併用を検討
  • 生活習慣の向上とストレス管理に取り組む

対策を取ることで、ミノキシジルタブレットの服用中止による脱毛の進行を最小限に抑えることが可能です。

参考文献

TRÜEB, R. M. The impact of oxidative stress on hair. International journal of cosmetic science, 2015, 37: 25-30.

BLUME‐PEYTAVI, U., et al. A randomized double‐blind placebo‐controlled pilot study to assess the efficacy of a 24‐week topical treatment by latanoprost 0.1% on hair growth and pigmentation in healthy volunteers with androgenetic alopecia. Journal of the American Academy of Dermatology, 2012, 66.5: 794-800.

GROVER, C.; KHURANA, A. Telogen effluvium. Indian Journal of Dermatology, Venereology, and Leprology, 2013, 79.5: 591.

ミノキシジルタブレットの服用中止がもたらす長期的な影響

ミノキシジルタブレットの服用中止がもたらす影響は、脱毛の進行だけでなく、再発のリスクや治療効果の減少など、複数の観点から注意が必要です。

服用中止の判断は慎重に行い、医師との相談が欠かせません。

AGAの進行リスクに関連する服用中止と再開の繰り返し

ミノキシジルタブレットの服用を繰り返し中止・再開することで、AGAの進行リスクが高まることがあります。

Rossiらの研究によると、服用中止と再開を繰り返した患者群では、脱毛が有意に進行していたことが報告。

服用パターンAGAの進行リスク
継続的な服用低い
1回の服用中止・再開中程度
複数回の服用中止・再開高い

治療効果の長期的な減弱

ミノキシジルタブレットの長期的な服用中止は、治療効果の減少を引き起こす可能性があります。

Satoらの研究では、服用を中止して再開すると、中止前の発毛効果が低下することが確認されました。

服用期間発毛効果
初回服用高い
服用中止後の再開減弱

他の発毛治療法との併用の重要性

ミノキシジルタブレットの服用中止による長期的な影響を最小限に抑えるためには、他の発毛療法との併用が勧めらます。

Varothai and Bergfeldによると、以下の治療法との組み合わせが効果的であると示唆。

  • フィナステリドやデュタステリド
  • 赤色LED低出力レーザー療法
  • 血小板豊富血漿(PRP)療法

ミノキシジルタブレットの服用中止による長期的な影響の要点

  • 度重なる服用中止と再開は、AGAの進行リスクを高める可能性
  • 長期的な服用中止は、治療効果の減弱に繋がる可能性
  • 他の発毛療法との併用は、長期的な影響を最小限に抑えるために不可欠

医師との綿密な相談にもとづき、個々の状況に応じた治療計画を決定することは、ミノキシジルタブレットの服用中止による長期的な影響を管理するうえで大切です。

また、ミノキシジルタブレットの副作用に関する知識も大変重要ですので、以下の記事で副作用について理解することをおすすめします。

参考文献

ROSSI, A., et al. Evaluation of hair loss on male subjects: a longitudinal study. Journal of the American Academy of Dermatology, 2017, 76.6: AB218.

SATO, A., et al. Intermittent Maintenance Therapy with Oral Minoxidil for Androgenetic Alopecia. The Journal of dermatology, 1998, 25.1: 1-4.

VAROTHAI, S.; BERGFELD, W. F. Androgenetic alopecia: an evidence-based treatment update. American journal of clinical dermatology, 2014, 15.3: 217-230.

以上

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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