052-228-1280 WEB予約 LINE予約

顔全体のニキビが治らない!おでこ・頬・顎など「顔の場所」別原因と根本的な治し方

顔全体のニキビが治らない!おでこ・頬・顎など「顔の場所」別原因と根本的な治し方

鏡を見るたびに、顔全体のニキビが気になって憂鬱になる…。

一つ治ったと思ったら、また別の場所に新しいニキビができて、いつになったらこの悩みから解放されるのだろう、と不安に感じていませんか。

おでこ、頬、顎と、ニキビができる顔の場所は様々ですが、それぞれに異なる原因が隠れていることも少なくありません。

この記事では、顔の場所別にニキビの原因を探り、スキンケアや生活習慣から見直す根本的な治し方について詳しく解説します。

もう「治らない」と諦める前に、あなたのニキビの原因を知り、正しいケアで自信の持てる肌を目指しましょう。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

運営ソーシャルメディア(SNSでは「こばとも」と名乗ることもあります)

XYouTubeInstagramLinkedin

著書一覧
経歴・プロフィールページ

こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

顔全体のニキビが治らない根本的な理由

顔全体のニキビがなかなか治らない背景には、単一ではなく複数の要因が複雑に絡み合っています。

多くの場合、皮脂の過剰分泌、毛穴の詰まり、アクネ菌の増殖という基本的な要因に加え、ホルモンバランスの乱れ、不適切なスキンケア、生活習慣の乱れが組み合わさることで、ニキビが慢性化しやすくなっています。

ニキビができる基本的な流れ

ニキビは「毛穴の病気」とも呼ばれます。その発生には決まった流れがあります。

まず、何らかの理由で皮脂が多く分泌されたり、肌のターンオーバー(生まれ変わり)が乱れて古い角質が厚くなったりすると、毛穴の出口が詰まりやすくなります。

これがニキビの初期段階である「コメド(面ぽう)」、いわゆる白ニキビや黒ニキビです。

この毛穴が詰まった状態(コメド)の内部は、皮脂が豊富で酸素が少ないため、ニキビの原因菌であるアクネ菌にとって絶好の増殖環境となります。

アクネ菌は誰もが持つ常在菌ですが、この環境下で過剰に増殖すると、炎症を引き起こす物質を放出し始めます。

その結果、毛穴の周りが赤く腫れ上がり、痛みを伴うこともある「赤ニキビ」へと進行します。さらに炎症が進み、膿(うみ)が溜まると「黄ニキビ」と呼ばれる状態になります。

「治らない」と感じる背景にある複数の要因

ニキビが顔全体に広がり、繰り返しできて「治らない」と感じる場合、肌表面だけの問題ではなく、体内部の要因や生活環境が大きく影響している可能性が高いです。

例えば、強いストレスはホルモンバランスを乱し、皮脂分泌を促進させます。また、睡眠不足は肌の再生能力を低下させ、ターンオーバーの乱れを招きます。食生活の偏りも、皮脂の質を変えたり、炎症を悪化させたりする一因です。

これらの要因が一つではなく複数重なることで、肌のバリア機能が低下し、ニキビができやすく、かつ治りにくい「ニキビ肌スパイラル」に陥ってしまうのです。

顔の場所によって、特にどの要因が強く影響しているかが異なる場合もあります。

ニキビを悪化させる内的・外的要因

要因の分類具体的な要因肌への影響
内的要因ホルモンバランスの乱れ皮脂分泌の増加、角化異常
内的要因ストレス・睡眠不足バリア機能低下、ターンオーバーの乱れ
外的要因不適切なスキンケア乾燥、毛穴詰まり、刺激
外的要因物理的な刺激摩擦による炎症、角化異常

慢性化・悪化を招くNG習慣

良かれと思って行っているスキンケアや、無意識のクセが、実はニキビを悪化させているケースも少なくありません。特にニキビが顔全体にある場合、日々の習慣を見直すことが重要です。

例えば、「ニキビは皮脂が原因だから」と1日に何度も洗顔したり、ゴシゴシと強くこすったりする行為は逆効果です。肌に必要な皮脂まで奪ってしまい、かえって肌を乾燥させ、バリア機能を低下させます。

乾燥した肌は、自らを守ろうとしてさらに皮脂を過剰に分泌するという悪循環に陥ります。

また、気になるニキビを頻繁に手で触ったり、潰したりする行為は、雑菌が入り込み炎症を悪化させ、ニキビ跡を残す最大の原因となります。

見直したいニキビ悪化習慣

  • 洗浄力の強すぎる洗顔料の使用
  • ニキビを隠すための厚化粧
  • クレンジングや洗顔のすすぎ残し
  • 手で顔(特にニキビ)を触るクセ

【顔の場所別】おでこ・Tゾーンのニキビ原因

おでこや鼻などのTゾーンは、顔の中でも特に皮脂腺が多く、皮脂の分泌が活発な場所です。そのため、思春期ニキビだけでなく、大人になってもニキビができやすい傾向があります。

主な原因は皮脂の過剰分泌ですが、それ以外にも物理的な刺激が関係していることが多いのが特徴です。

皮脂の過剰分泌が最大の原因

Tゾーンは、もともと皮脂腺が発達しているため、ホルモンバランスの影響や、脂っこい食事、ストレスなどによって皮脂分泌が過剰になりやすいです。

分泌された皮脂が古い角質と混ざり合い、毛穴を塞ぐことでニキビの温床となります。特に10代の思春期は、性ホルモンの分泌が活発になることで皮脂が過剰になりやすく、おでこにニキビが集中することがよくあります。

前髪や帽子の刺激

おでこは、髪の毛が触れやすい場所です。前髪を下ろしていると、髪の毛についた整髪料や汚れ、ホコリが常におでこに触れることになります。

これが物理的な刺激となり、毛穴を詰まらせたり、炎症を引き起こしたりする原因となります。また、帽子やヘルメットを長時間着用することによるムレや摩擦も、おでこニキビを悪化させる一因です。

シャンプー・リンスのすすぎ残し

見落としがちなのが、洗髪時のすすぎ残しです。シャンプーやコンディショナー、トリートメント剤の成分が髪の生え際やおでこに残っていると、それが毛穴を塞ぎ、ニキビの原因となることがあります。

特に生え際はすすぎ残しやすい場所なので、洗顔時だけでなく、洗髪時にも顔周りをしっかり洗い流す意識が大切です。

おでこニキビの主な原因と対策

主な原因対策のポイント
皮脂の過剰分泌適切な洗顔と保湿。皮脂を抑えるビタミンB群の摂取。
前髪・帽子の刺激髪型を変える、髪を清潔に保つ。帽子の内側を清潔にする。
すすぎ残し洗髪時、顔にかからないよう注意し、生え際までしっかりすすぐ。

【顔の場所別】頬(ほほ)のニキビ原因

頬は顔の中でも面積が広く、乾燥しやすい場所です。ここにできるニキビは、Tゾーンとは異なり、乾燥によるバリア機能の低下や、外部からの刺激が主な原因となることが多いです。

また、治りにくく跡に残りやすい傾向があるため、早期のケアが重要です。

マスクによる摩擦とムレ

近年、頬のニキビで悩む人が増えた大きな原因の一つが、長時間のマスク着用です。マスクが肌とこすれる物理的な摩擦は、肌のバリア機能を直接傷つけます。

また、マスク内部は呼気によって湿度と温度が高くなり、雑菌が繁殖しやすい環境です。

一方で、マスクを外した際には内部の水分が一気に蒸発し、肌の水分まで奪ってしまい、深刻な乾燥(「乾燥性脂性肌(インナードライ)」)を引き起こします。

この乾燥と刺激のダブルパンチが、頬ニキビを誘発・悪化させます。

メイク汚れやクレンジング不足

頬はファンデーションやチークなど、メイクをしっかり乗せる場所でもあります。日々のクレンジングでこれらのメイク汚れが完全に落ち切れていないと、毛穴に詰まって酸化し、ニキビの原因となります。

特にウォータープルーフタイプの日焼け止めやファンデーションは落としにくいため、専用のクレンジングを使用するなど、丁寧な洗浄が必要です。

逆に、洗浄力の強すぎるクレンジングで肌をこすりすぎることも、乾燥と刺激につながるため注意が必要です。

内臓の不調やストレスの影響?

頬のニキビは、東洋医学的な観点から内臓の不調、特に胃腸の疲れや機能低下と関連付けて語られることもあります。

暴飲暴食や偏った食生活が続くと、消化吸収がうまくいかず、老廃物が溜まりやすくなり、肌荒れとして現れるという考え方です。

また、頬はストレスの影響も受けやすいとされ、強いストレスは血行不良を招き、肌のターンオーバーを乱すことでニキビにつながる可能性が指摘されています。

寝具(枕カバー)の汚れ

毎日、長時間肌に触れるのが枕カバーです。寝ている間の汗や皮脂、フケ、髪の汚れなどが付着し、雑菌の温床になりやすいアイテムです。

枕カバーをこまめに洗濯せず、不潔な状態で使用していると、それが頬に触れることでニキビの原因となることがあります。特に頬にニキビが集中している場合は、寝具の清潔さも見直してみましょう。

頬ニキビの主な原因と対策

主な原因対策のポイント
マスクの摩擦・ムレ肌触りの良い素材を選ぶ。こまめに汗を拭き、保湿する。
メイク汚れ・クレンジング不足肌に合ったクレンジングで丁寧に落とす。すすぎを十分に行う。
寝具の汚れ枕カバーやシーツをこまめに洗濯し、清潔に保つ。

【顔の場所別】顎(あご)・フェイスラインのニキビ原因

顎や口周り、フェイスラインにできるニキビは、いわゆる「大人ニキビ」の代表格です。一度できると治りにくく、同じ場所に繰り返しできるのが特徴です。

主な原因は、ホルモンバランスの乱れや、生活習慣の乱れが複雑に絡み合っています。

ホルモンバランスの乱れ(大人ニキビ)

特に女性の場合、生理前に顎ニキビが悪化するという経験を持つ方は多いでしょう。これは、排卵後から生理前にかけて増加する「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の影響です。

黄体ホルモンは、皮脂の分泌を促進する働きがあり、肌を不安定にさせます。

また、ストレスや睡眠不足、過度なダイエットなども、自律神経のバランスを崩し、結果としてホルモンバランスの乱れを招き、男性ホルモンの影響が相対的に強まることで、顎周辺のニキビにつながります。

髭剃りや手で触るクセ

顎やフェイスラインは、無意識に手で触れやすい場所です。考え事をしている時に頬杖をついたり、顎を触ったりするクセはありませんか?手には目に見えない雑菌が多く付着しており、これがニキビを悪化させる原因となります。

また、男性の場合は毎日の髭剃りによる刺激が、肌のバリア機能を低下させ、ニキビを引き起こすこともあります。カミソリの刃を清潔に保ち、シェービング後はしっかり保湿することが大切です。

胃腸の不調との関連性

頬と同様に、顎や口周りのニキビも胃腸の不調と関連付けられることがあります。特に便秘がちな人は、腸内環境が悪化し、本来排出されるべき老廃物が体内に留まり、肌荒れとして現れることがあります。

脂っこいものや甘いものの摂りすぎ、食物繊維の不足など、食生活の乱れが胃腸に負担をかけ、顎ニキビを悪化させる一因となっている可能性があります。

顎ニキビの主な原因と対策

主な原因対策のポイント
ホルモンバランスの乱れ規則正しい生活、十分な睡眠、ストレスケア。
物理的な刺激(手・髭剃り)顔を触るクセをやめる。髭剃りの方法を見直し、保湿する。
胃腸の不調バランスの取れた食事、食物繊維の摂取、便秘の改善。

ニキビを根本的に治すためのスキンケア戦略

顔全体のニキビを根本的に改善するためには、ニキビができている場所に関わらず、毎日のスキンケアが基本となります。重要なのは「清潔」と「保湿」、そして「刺激を与えない」ことです。

ニキビ肌はデリケートな状態であるため、やさしく丁寧なケアが必要です。

クレンジングと洗顔の正しい方法

ニキビケアの第一歩は、肌を清潔に保つことです。しかし、洗いすぎは禁物です。洗顔は、朝晩の2回を基本とします。

クレンジング剤は、メイクの濃さに合わせて選び、肌に負担の少ないミルクタイプやジェルタイプも選択肢に入れましょう。

洗顔料はしっかりと泡立て、泡をクッションにして肌をこすらないよう、やさしく転がすように洗います。

すすぎは、ぬるま湯(32~34度程度)で、洗顔料が残らないよう20回以上を目安に丁寧に行います。熱いお湯は肌の乾燥を招き、冷水は皮脂汚れを固めてしまうため避けましょう。

髪の生え際やフェイスラインは、特すすぎ残しが多い場所なので注意が必要です。

正しい洗顔のポイント

  • 洗顔前に手を洗う
  • 洗顔料をしっかり泡立てる
  • 肌をこすらず、泡でやさしく洗う
  • ぬるま湯で丁寧にすすぐ

保湿の重要性「ニキビ=乾燥」の罠

「ニキビ肌はオイリーだから、保湿は控えめに」というのは大きな間違いです。肌が乾燥すると、バリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなります。

また、肌は水分不足を補おうとして、かえって皮脂を過剰に分泌しようとします(乾燥性脂性肌)。

洗顔後は、肌が乾燥する前にすぐに保湿ケアを行います。化粧水でたっぷりと水分を与えた後、乳液やゲルなどの保湿剤で必ず「フタ」をします。

ニキビができている時でも、油分を全く含まない製品(オイルフリー)にこだわる必要はありませんが、ベタつきが気になる場合は、油分が少なめの「ノンコメドジェニックテスト済み」と表示された製品を選ぶと良いでしょう。

これは、ニキビの初期段階であるコメド(面ぽう)ができにくいことを確認した製品です。

紫外線対策は1年中必要

紫外線は、ニキビを悪化させる大きな要因の一つです。紫外線A波(UVA)は肌の奥深くまで届き、肌のハリを奪うだけでなく、炎症を促進する可能性があります。

紫外線B波(UVB)は、肌の角化を異常にさせ、毛穴詰まりを引き起こしやすくします。また、炎症を起こしている赤ニキビに紫外線が当たると、色素沈着(シミ)としてのニキビ跡が残りやすくなります。

ニキビがあるからと日焼け止めを塗らないのは逆効果です。紫外線対策は夏場だけでなく、1年中必要です。

ニキビ肌の人は、肌への負担が少ない「ノンケミカル(紫外線吸収剤不使用)」や、石鹸で落とせるタイプの日焼け止めを選ぶことをお勧めします。

SPF/PA値は、日常生活であれば高すぎる必要はなく、SPF20~30、PA++~+++程度を目安に、こまめに塗り直すことが大切です。

ニキビの種類に合わせたケア

一口にニキビと言っても、その進行度合いによって状態やケア方法が異なります。自分のニキビがどの段階にあるかを知ることも重要です。

ニキビの進行段階と特徴

ニキビの種類特徴(見た目)主な状態
白ニキビ(閉鎖面ぽう)白くポツッとしている毛穴が詰まり、皮脂が溜まっている(炎症前)
黒ニキビ(開放面ぽう)毛穴が開き、黒く見える毛穴の皮脂が酸化している(炎症前)
赤ニキビ赤く腫れている、触ると痛いこともアクネ菌が増殖し、炎症が起きている
黄ニキビ(膿ぽう)中心に黄色い膿が見える炎症が進行し、膿が溜まっている

白ニキビや黒ニキビの段階(炎症前)であれば、毛穴詰まりを解消するスキンケア(ピーリング作用のある洗顔料など)が有効な場合があります。

しかし、赤ニキビや黄ニキビのように炎症を起こしてしまった場合は、無理に潰さず、炎症を鎮めるケアを優先し、早めに皮膚科に相談することがニキビ跡を残さない鍵となります。

体の内側からニキビを改善する生活習慣

顔全体のニキビを根本的に治すためには、スキンケアという外側からのアプローチと同時に、体の中から肌の状態を整える生活習慣が非常に重要です。

食事、睡眠、ストレス管理は、肌の健康と密接に結びついています。

ニキビと食事の深い関係

「食べたものが肌を作る」と言われるように、食生活はニキビに大きな影響を与えます。

特定の食品が直接ニキビの原因になると断言することは難しいですが、バランスの悪い食事が皮脂の分泌を増やしたり、炎症を悪化させたりする可能性は十分にあります。

特に、高GI食品(白米、食パン、お菓子など、血糖値を急激に上げる食品)の摂りすぎは、インスリンの分泌を促し、それが皮脂腺を刺激して皮脂分泌を増やすと考えられています。

また、脂質の多い揚げ物やスナック菓子、乳製品の過剰摂取も、人によってはニキビの悪化に関係する場合があります。

大切なのは、バランスの良い食事を心がけることです。肌の材料となるタンパク質、肌の調子を整えるビタミン類、腸内環境を整える食物繊維を意識的に摂取しましょう。

ニキビ改善に役立つ栄養素と食材例

栄養素主な働き多く含む食材例
ビタミンB2, B6皮脂分泌のコントロール、肌の代謝促進レバー、うなぎ、納豆、バナナ、マグロ
ビタミンC抗酸化作用、コラーゲン生成サポートピーマン、ブロッコリー、キウイ、柑橘類
食物繊維腸内環境を整え、便通を改善野菜、きのこ類、海藻類、玄米

睡眠の質が肌再生を左右する

肌のターンオーバー(生まれ変わり)は、主に睡眠中に行われます。特に、入眠後の深い眠りの間に「成長ホルモン」が活発に分泌され、日中に受けた肌ダメージの修復や再生が促進されます。

睡眠時間が不足したり、睡眠の質が低下したりすると、この成長ホルモンの分泌が妨げられ、肌の再生能力が低下します。その結果、ターンオーバーが乱れ、古い角質が溜まりやすくなり、毛穴詰まりやニキビの悪化につながります。

また、睡眠不足自体がストレスとなり、ホルモンバランスを乱す原因にもなります。

単に「長く寝る」ことよりも、「質の良い睡眠」を確保することが重要です。就寝前のスマートフォンやパソコンの使用は、ブルーライトが脳を覚醒させてしまうため控えめにし、リラックスできる環境を整えましょう。

睡眠の質を高める工夫

  • 就寝1~2時間前の入浴
  • 寝室の温度や湿度、明るさの調整
  • 就寝前のカフェイン摂取を避ける

ストレス管理とリラックス法

現代社会において、ストレスを完全になくすことは困難ですが、ストレスはニキビの強力な悪化要因です。強いストレスを感じると、体は対抗するために「コルチゾール」というホルモンを分泌します。

このコルチゾールが、男性ホルモンの分泌を促し、皮脂分泌を過剰にさせることでニキビを誘発します。

また、ストレスは自律神経のバランスを乱し、血行不良を招きます。血行が悪くなると、肌に必要な栄養素や酸素が十分に行き渡らず、老廃物の排出も滞りがちになり、肌のバリア機能低下やターンオーバーの乱れにつながります。

自分に合ったストレス解消法を見つけ、溜め込まないことが大切です。趣味の時間を持つ、軽い運動をする、友人と話す、ゆっくりお風呂に入るなど、心がリラックスできる時間を作りましょう。

適度な運動がもたらす美肌効果

適度な運動は、ニキビ改善にも多くのメリットをもたらします。まず、運動によって血行が促進されることで、肌の隅々まで栄養と酸素が運ばれ、肌のターンオーバーが活性化します。

また、汗をかくことは、毛穴の汚れや老廃物を排出し、肌を清潔に保つ助けにもなります(ただし、運動後は汗を放置せず、速やかに洗い流すことが重要です)。

さらに、ウォーキングやヨガなどの有酸素運動は、ストレス解消にも効果的であり、自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。

無理に激しい運動をする必要はなく、日常生活の中でエレベーターではなく階段を使う、一駅分歩くなど、できることから取り入れるのが継続のコツです。

どうしても治らない時の皮膚科でのアプローチ

セルフケアを徹底しても顔全体のニキビが改善しない場合や、赤ニキビや黄ニキビといった炎症性のニキビが多い場合は、自己判断でケアを続けるのではなく、皮膚科専門医に相談することが根本的な解決への近道です。

ニキビは皮膚の病気であり、適切な治療を受けることで改善が見込めます。

皮膚科受診のタイミング

「ニキビくらいで病院に」とためらう必要はありません。むしろ、炎症がひどくなる前や、ニキビ跡(色素沈着やクレーター)になってしまう前に受診することが非常に重要です。

以下のような場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。

  • 顔全体にニキビが広がり、繰り返しできる
  • 赤く腫れたニキビや、膿を持つ黄ニキビが多い
  • セルフケアを1ヶ月以上続けても改善が見られない
  • ニキビ跡が残りそうで不安
  • 痛みやしこりを伴うニキビがある

一般的なニキビ治療薬の種類

皮膚科では、現在のニキビの状態や肌質に合わせて、様々な治療薬を組み合わせて治療を行います。治療の基本は、毛穴の詰まりを取り除く薬と、炎症や菌を抑える薬です。

近年では、毛穴の詰まり(コメド)を改善する「アダパレン」や「過酸化ベンゾイル」といった塗り薬が、ニキビ治療の中心的な役割を担っています。

これらは、ニキビの初期段階から炎症性のニキビまで幅広く使用され、ニキビができにくい肌状態へと導きます。炎症が強い場合には、抗菌薬(抗生物質)の塗り薬や飲み薬を併用することもあります。

主なニキビ治療薬(外用薬)

薬剤の種類(一般名)主な働き期待される効果
アダパレン毛穴の詰まりを改善(角化異常の正常化)白ニキビ・黒ニキビの改善、赤ニキビの予防
過酸化ベンゾイル毛穴の詰まりを改善、アクネ菌の殺菌赤ニキビ、白ニキビ・黒ニキビの改善
抗菌薬(クリンダマイシンなど)アクネ菌の増殖を抑える、炎症を鎮める赤ニキビ、黄ニキビの改善

これらの薬は、使い始めに乾燥やヒリヒリ感などの刺激を感じることがありますが、多くは使用を続けるうちになじんできます。自己判断で中止せず、医師の指示に従って正しく使用することが大切です。

ニキビ跡にしないための早期治療の重要性

ニキビ治療の最大の目的の一つは、将来的に「ニキビ跡」を残さないことです。

特に、炎症が真皮層にまで及ぶ赤ニキビや黄ニキビを放置したり、自分で無理に潰したりすると、肌がダメージを修復する過程で、色素沈着(シミ)やクレーター(凹み)といった治りにくいニキビ跡になってしまうリスクが高まります。

一度できてしまったクレーター状のニキビ跡を、セルフケアで元通りにすることは非常に困難です。炎症が起きているニキビは、できるだけ早く炎症を鎮める治療を開始することが、美しい肌を保つために何よりも重要です。

名古屋のニキビ治療なら【こばとも皮膚科】栄駅すぐ|保険診療・美容皮膚科対応

Q&A

ニキビができたらすぐに潰してもいいですか?

ニキビを自分で潰すことは推奨できません。

特に炎症を起こしている赤ニキビや黄ニキビを無理に潰すと、雑菌が入り込んでさらに炎症が悪化したり、周囲の皮膚組織を傷つけたりして、色素沈着やクレーターなどのニキビ跡が残る原因となります。

皮膚科では「面ぽう圧出」という専用の器具で毛穴に詰まった内容物を押し出す治療を行うこともありますが、これは清潔な環境で専門家が行う処置です。気になる場合は、触らずに皮膚科に相談しましょう。

ニキビ用のスキンケア製品は使い続けた方がいいですか?

ニキビ用のスキンケア製品(ノンコメドジェニックテスト済みなど)は、ニキビができにくい肌環境を保つ上で有効な選択肢です。ニキビが改善した後も、予防的なケアとして継続して使用することは問題ありません。

ただし、皮膚科で治療薬(特にアダパレンや過酸化ベンゾイルなど)を処方されている場合、使い始めは肌が乾燥しやすくなることがあります。

その際は、アルコールフリーや低刺激性の保湿を重視したスキンケアに変更するなど、現在の肌状態に合わせて柔軟に選ぶことが大切です。医師や薬剤師に相談するのも良いでしょう。

食事制限はどの程度必要ですか?

特定の食品を厳しく制限する必要はありませんが、ニキビが悪化していると感じる時期は、バランスの悪い食事を見直す良い機会です。

特に、血糖値を急激に上げる高GI食品(お菓子、甘いパン、ジュースなど)や、脂質の多い揚げ物、スナック菓子の過剰な摂取は控えるように心がけましょう。

これらを完全に断つことよりも、野菜やタンパク質、発酵食品などを取り入れた、栄養バランスの取れた食事を1日3食規則正しく摂ることの方が、長期的な肌の健康にとっては重要です。

ピーリングはニキビに効果がありますか?

ピーリングは、古い角質を取り除き、肌のターンオーバーを促すことで、毛穴の詰まりを改善する効果が期待できます。そのため、白ニキビや黒ニキビが中心の場合は有効なケアの一つです。

ただし、薬剤の濃度や種類、行う頻度によっては肌に刺激となり、かえってバリア機能を低下させてしまう可能性もあります。

特に、炎症を起こしている赤ニキビや黄ニキビが多い場合は、ピーリングの刺激で炎症が悪化することがあるため、避けるべきです。

セルフケアで行う場合は、マイルドなピーリング石鹸や拭き取り化粧水などから始め、肌の様子を見ながら慎重に行いましょう。

参考文献

HENG, Anna Hwee Sing, et al. Gene variants associated with acne vulgaris presentation and severity: a systematic review and meta-analysis. BMC medical genomics, 2021, 14.1: 103.

SHASHIKIRAN, A. R. Clinical Study of Facial Skin Disorders. 2016. PhD Thesis. Rajiv Gandhi University of Health Sciences (India).

PAICHITROJJANA, Anon; CHALERMCHAI, Thep. The association between acne vulgaris, acne vulgaris with nonspecific facial dermatitis, and Demodex mite presence. Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology, 2024, 137-146.

TUCHAYI, Sara Moradi, et al. Acne vulgaris. Nature reviews Disease primers, 2015, 1.1: 1-20.

LEUNG, Alexander KC, et al. Dermatology: how to manage acne vulgaris. Drugs in context, 2021, 10.

MANSU, Suzi. Chinese herbal medicine and acupuncture for Acne Vulgaris: efficacy, patient preferences and health-related quality of life. 2024. PhD Thesis. RMIT University.

PARAĆ, Ena, et al. Acne-like eruptions: Disease features and differential diagnosis. Cosmetics, 2023, 10.3: 89.

KOU, Le, et al. Observation for clinical effect of acupuncture combined with conventional therapy in the treatment of acne vulgaris. Medicine, 2020, 99.18: e19764.

LIU, Yan-ting, et al. Recommendations for managing adult acne and adolescent acne based on an epidemiological study conducted in China. Scientific Reports, 2024, 14.1: 16327.

免責事項

当院の医療情報について

当記事は、医療に関する知見を提供することを目的としており、当院への診療の勧誘を意図したものではございません。治療についての最終的な決定は、患者様ご自身の責任で慎重になさるようお願いいたします。

掲載情報の信頼性

当記事の内容は、信頼性の高い医学文献やガイドラインを参考にしていますが、医療情報には変動や不確実性が伴うことをご理解ください。また、情報の正確性には万全を期しておりますが、掲載情報の誤りや第三者による改ざん、通信トラブルなどが生じた場合には、当院は一切責任を負いません。

情報の時限性

掲載されている情報は、記載された日付の時点でのものであり、常に最新の状態を保証するものではありません。情報が更新された場合でも、当院がそれを即座に反映させる保証はございません。

ご利用にあたっての注意

医療情報は日々進化しており、専門的な判断が求められることが多いため、当記事はあくまで一つの参考としてご活用いただき、具体的な治療方針については、お近くの医療機関に相談することをお勧めします。

大垣中央病院・こばとも皮膚科

  • URLをコピーしました!
目次