顎のしこりニキビはなぜできる？原因と効果的な治し方、悪化させないケア

顎にできる、痛みを伴うこともある「しこりニキビ」。

触れると硬く、治りにくいこのニキビに悩む女性は少なくありません。なぜ顎にしこりニキビができてしまうのでしょうか。

この記事では、その主な原因から、自宅でできるケア方法、皮膚科での治療法、そして繰り返さないための予防策まで、詳しく解説します。

顎のしこりニキビとは？その特徴と見分け方

顎にできるニキビの中でも、特に治りにくく、触れると硬い「しこりニキビ」。これは一体どのような状態なのでしょうか。まずは、しこりニキビの基本的な特徴と、他のニキビとの見分け方について理解を深めましょう。

しこりニキビの医学的な定義と状態

医学的には「硬結性痤瘡（こうけつせいざそう）」や「嚢腫性痤瘡（のうしゅせいざそう）」と呼ばれることがあります。

これらはニキビの炎症が皮膚の深い部分、真皮層にまで進行し、硬いしこりや膿が溜まった袋状の病変を形成した状態を指します。

毛穴の奥でアクネ菌が増殖し、強い炎症反応が起きることで、周囲の組織が破壊され、修復の過程で線維化が進み硬くなるのです。この深い炎症が、治りにくさや跡に残りやすさの原因となります。

一般的なニキビとの違い

一般的なニキビ（尋常性痤瘡）は、白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビといった段階で進行します。これらは比較的皮膚の浅い部分での炎症が主ですが、しこりニキビは炎症がより深層に達している点が大きな違いです。

そのため、表面からは見えにくいものの、触れると硬い塊として感じられ、しばしば強い痛みを伴います。また、治癒までに時間がかかり、色素沈着やクレーター状のニキビ跡を残しやすい傾向があります。

ニキビの種類と特徴の比較

ニキビの種類	主な特徴	炎症の深さ
白ニキビ	毛穴の詰まり、白い点状	浅い
黒ニキビ	毛穴が開き、酸化して黒い点状	浅い
赤ニキビ	炎症を起こし赤く腫れる	やや深い
しこりニキビ	皮膚の奥で硬く腫れる、痛みを伴うことも	深い

顎にしこりニキビができやすい理由

顎は、顔の中でも皮脂腺が多く、またホルモンバランスの影響を受けやすい部位です。

特に成人女性の場合、生理周期やストレスなどによってホルモンバランスが乱れると、男性ホルモンの影響で皮脂分泌が過剰になったり、角質が厚くなったりしやすく、毛穴が詰まりやすい環境になります。

さらに、顎はマスクの摩擦や、無意識に手で触れてしまうことも多く、外部からの刺激も受けやすい部位であるため、炎症が悪化し、しこりニキビに発展しやすいと考えられています。

なぜ顎にしこりニキビができるの？主な原因を探る

顎のしこりニキビは、単一の原因ではなく、複数の要因が複雑に絡み合って発生することが多いです。ここでは、その主な原因について詳しく見ていきましょう。

ご自身の生活習慣と照らし合わせながら、原因を探る手がかりにしてください。

ホルモンバランスの乱れ

特に成人女性の顎ニキビの大きな原因として、ホルモンバランスの乱れが挙げられます。

生理前やストレス、睡眠不足などによって、女性ホルモン（エストロゲン、プロゲステロン）と男性ホルモン（アンドロゲン）のバランスが崩れると、皮脂の分泌が過剰になったり、角質が厚くなったりして毛穴が詰まりやすくなります。

特に男性ホルモンは皮脂腺を刺激し、角化を促進する作用があるため、相対的に男性ホルモンの影響が強まると、ニキビができやすくなります。顎周りは男性の髭が生える部分でもあり、男性ホルモンの影響を受けやすい部位なのです。

皮脂の過剰分泌と毛穴の詰まり

皮脂の過剰な分泌は、毛穴を詰まらせる直接的な原因となります。

食生活の乱れ（脂質の多い食事、糖質の過剰摂取）、不規則な生活、睡眠不足、ストレスなどは、皮脂の分泌をコントロールする自律神経やホルモンバランスに影響を与え、皮脂量を増加させます。

また、肌の乾燥も皮脂の過剰分泌を招くことがあります。肌が乾燥すると、皮膚は潤いを保とうとして逆に皮脂を多く分泌してしまうため、乾燥肌の方でも顎ニキビができることがあります。

皮脂分泌に影響する要因

要因	影響	対策の方向性
ホルモンバランス	男性ホルモンの影響で皮脂増加	生活習慣の見直し、ストレス管理
食生活	脂質・糖質の過多で皮脂増加	バランスの取れた食事
肌の乾燥	バリア機能低下、保護のため皮脂増加	適切な保湿ケア

ストレスや睡眠不足による影響

現代社会においてストレスは避けられないものですが、過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、ホルモンバランスにも悪影響を及ぼします。

これにより、皮脂の分泌が促進されたり、肌のターンオーバーが乱れたりして、ニキビができやすい状態になります。また、睡眠不足も同様に、成長ホルモンの分泌を妨げ、肌の修復機能を低下させます。

質の高い睡眠を十分にとることは、健やかな肌を保つために非常に重要です。

不適切なスキンケアとメイク

間違ったスキンケアも、顎のしこりニキビを誘発したり悪化させたりする原因となります。洗浄力の強すぎるクレンジングや洗顔料の使用は、肌に必要な皮脂まで奪い去り、乾燥を招いて逆に皮脂分泌を過剰にさせることがあります。

また、ゴシゴシと強くこするような洗顔も肌への刺激となり、バリア機能を低下させます。メイクアップ製品の油分が毛穴を塞いだり、落としきれなかったメイク汚れが残っていたりすることも、毛穴詰まりの原因となります。

特に顎はメイクが残りやすい部分でもあるため、丁寧なクレンジングが必要です。

顎のしこりニキビを悪化させるNG行動と生活習慣

できてしまった顎のしこりニキビを、無意識のうちに悪化させている行動や生活習慣があるかもしれません。ここでは、特に注意したいNG行動と、改善したい生活習慣について解説します。これらを見直すことが、早期改善への第一歩です。

ニキビを潰す・頻繁に触る

しこりニキビは気になってつい触ったり、潰したくなったりするかもしれませんが、これは絶対に避けるべき行動です。

指先には目に見えない雑菌が多く付着しており、ニキビに触れることで炎症を悪化させたり、新たな細菌感染を引き起こしたりする可能性があります。

無理に潰そうとすると、皮膚の深い部分を傷つけ、炎症をさらに広げ、色素沈着やクレーター状のニキビ跡が残るリスクを高めます。しこりニキビは特にデリケートなので、極力触らないように心がけましょう。

刺激の強い洗顔やスキンケア製品の使用

ニキビができると、皮脂をしっかり落とそうとして洗浄力の強い洗顔料を選んだり、ゴシゴシと力を入れて洗顔したりしがちです。しかし、これは肌のバリア機能を低下させ、乾燥を招き、かえってニキビを悪化させる原因になります。

スクラブ入りの洗顔料や、アルコール成分が多く含まれる収れん化粧水なども、炎症を起こしている肌には刺激が強すぎることがあります。肌に優しい製品を選び、摩擦を避けた丁寧なスキンケアを心がけることが大切です。

スキンケア時の注意点

NG行動	理由	推奨される行動
ゴシゴシ洗顔	肌への物理的刺激、バリア機能低下	泡で優しく洗う
頻繁なスクラブ使用	炎症悪化、肌への過度な刺激	肌状態が良い時に週1回程度（医師相談）
油分の多いクリームの厚塗り	毛穴詰まりの可能性	ノンコメドジェニック製品、適量使用

食生活の乱れ（脂質・糖質の過剰摂取）

揚げ物やスナック菓子などの脂質の多い食事、甘いお菓子やジュースなどの糖質の多い食事は、皮脂の分泌を過剰にし、ニキビを悪化させる可能性があります。

また、偏った食事は、肌の健康に必要なビタミンやミネラルが不足し、肌のターンオーバーの乱れやバリア機能の低下を招きます。

バランスの取れた食事を心がけ、特にビタミンB群（皮脂分泌をコントロールする）、ビタミンC（抗酸化作用、コラーゲン生成促進）、ビタミンE（血行促進、抗酸化作用）などを積極的に摂取することが望ましいです。

• 積極的に摂りたい栄養素
  • ビタミンB2、B6
  • ビタミンC
  • ビタミンA
  • 亜鉛

マスクによる摩擦や蒸れ

長時間のマスク着用は、顎ニキビにとって大きな負担となります。マスクと肌が擦れることで物理的な刺激となり、角質層がダメージを受けやすくなります。また、マスク内は呼気によって湿度と温度が上がり、雑菌が繁殖しやすい環境になります。

これが毛穴の炎症を引き起こし、しこりニキビを悪化させる一因となります。可能であれば、通気性の良い素材のマスクを選んだり、こまめにマスクを交換したり、人がいない場所では一時的にマスクを外して肌を休ませるなどの工夫をしましょう。

自宅でできる顎のしこりニキビの初期セルフケア

顎にしこりニキビができてしまった場合、悪化させないためには早期の適切なケアが重要です。ここでは、自宅でできる基本的なセルフケア方法を紹介します。

ただし、炎症が強い場合や改善が見られない場合は、自己判断せずに皮膚科医に相談しましょう。

正しい洗顔方法と保湿ケア

スキンケアの基本は、まず汚れをきちんと落とし、そしてしっかりと保湿することです。洗顔時は、洗顔料をよく泡立て、泡で顔を包み込むように優しく洗います。

特に顎周りは洗い残しがないように丁寧に、しかしゴシゴシこすらないように注意しましょう。すすぎは、ぬるま湯で泡が残らないように十分に行います。

洗顔後は、すぐに化粧水で水分を補給し、乳液やクリームで油分を補い、水分の蒸発を防ぎます。

ニキビができているからといって保湿を怠ると、肌が乾燥して逆に皮脂分泌が活発になることがあるため、保湿は念入りに行いましょう。ノンコメドジェニックテスト済みの製品を選ぶのも良いでしょう。

洗顔ステップのポイント

ステップ	ポイント	注意点
予洗い	ぬるま湯で顔全体を濡らす	熱すぎるお湯は避ける
泡立て	洗顔料をしっかり泡立てる	泡立てネットの使用も効果的
洗顔	泡で優しくマッサージするように	Tゾーンから洗い、顎は丁寧に
すすぎ	ぬるま湯で20回以上目安	髪の生え際やフェイスラインも忘れずに

ニキビ用市販薬の選び方と使い方

初期のしこりニキビや炎症が軽度な場合は、ニキビ用の市販薬を試してみるのも一つの方法です。

市販薬には、炎症を抑える成分（イブプロフェンピコノール、グリチルリチン酸など）や、殺菌成分（イソプロピルメチルフェノールなど）、角質を柔らかくする成分（サリチル酸、イオウなど）が含まれているものがあります。

自分のニキビの状態に合わせて選びましょう。使用する際は、必ず用法・用量を守り、塗布する範囲はニキビとその周辺にとどめ、広範囲に塗り広げないように注意します。

数日間使用しても改善が見られない場合や、悪化するような場合は使用を中止し、皮膚科を受診してください。

生活習慣の見直し（食事・睡眠・ストレス管理）

顎のしこりニキビのケアには、体の内側からのアプローチも非常に重要です。バランスの取れた食事を心がけ、脂っこいものや甘いものの摂りすぎに注意しましょう。特に、ビタミンB群、C群、E群、亜鉛などは肌の健康維持に役立ちます。

また、質の高い睡眠を十分にとることも大切です。睡眠中に分泌される成長ホルモンは、肌のターンオーバーを促し、ダメージを修復する働きがあります。夜更かしを避け、毎日同じ時間に寝起きするなど、規則正しい生活リズムを整えましょう。

ストレスもニキビの大きな原因となるため、適度な運動や趣味の時間を作るなど、自分なりのストレス解消法を見つけることも重要です。

肌の健康をサポートする栄養素と主な食品

栄養素	主な働き	多く含む食品例
ビタミンB2	皮脂分泌の調整、皮膚粘膜の健康維持	レバー、うなぎ、卵、納豆
ビタミンB6	タンパク質代謝、皮膚炎予防	マグロ、カツオ、鶏肉、バナナ
ビタミンC	抗酸化作用、コラーゲン生成	パプリカ、ブロッコリー、キウイ、イチゴ

メイクの工夫とクレンジングの徹底

ニキビがある時は、できるだけ肌に負担の少ないメイクを心がけましょう。油分の少ないパウダーファンデーションを選んだり、ポイントメイクのみにしたりするのも良い方法です。

しこりニキビを隠そうとして厚塗りすると、毛穴を塞ぎ悪化させる原因になります。また、一日の終わりには、どんなに疲れていても必ずメイクを丁寧に落とすことが重要です。

クレンジング剤は、肌に優しいミルクタイプやジェルタイプなどを選び、メイクとよくなじませてから、こすらずに優しく洗い流しましょう。特に顎周りはクレンジング剤が残りやすいので、意識して丁寧にすすぎます。

皮膚科での顎のしこりニキビ治療法

セルフケアで改善が見られない場合や、炎症が強く痛みを伴うしこりニキビは、皮膚科での専門的な治療が必要です。放置するとニキビ跡が残る可能性が高まるため、早めの受診を検討しましょう。

皮膚科では、ニキビの状態や種類に合わせて様々な治療法を提案します。

保険診療で受けられる治療

皮膚科では、まず保険診療の範囲内で治療を行うことが一般的です。これには、外用薬（塗り薬）や内服薬（飲み薬）による治療が含まれます。

外用薬治療

外用薬としては、毛穴の詰まりを改善するアダパレンや過酸化ベンゾイル、炎症を抑える抗生物質（クリンダマイシン、ナジフロキサシンなど）などが処方されます。

これらの薬は、ニキビの原因となるアクネ菌の増殖を抑えたり、炎症を鎮めたり、毛穴の詰まりを解消したりする効果があります。医師の指示に従い、正しい使用方法と期間を守ることが重要です。

内服薬治療

炎症が強い場合や、外用薬だけでは効果が不十分な場合には、内服薬が併用されることがあります。主に、アクネ菌に対する抗菌作用を持つ抗生物質（ミノサイクリン、ドキシサイクリン、ロキシスロマイシンなど）が用いられます。

また、皮脂の分泌を抑えたり、角化を正常化したりする目的でビタミン剤（ビタミンB群、ビタミンCなど）や、漢方薬が処方されることもあります。

ホルモンバランスの乱れが原因と考えられる場合には、低用量ピルが選択肢となることもありますが、これは婦人科と連携して行う場合もあります。

保険診療で用いられる主な薬剤

薬剤の種類	代表的な薬剤名（成分名）	主な効果
外用レチノイド様薬	アダパレン	毛穴の詰まり改善
外用抗菌薬	クリンダマイシン、ナジフロキサシン	アクネ菌殺菌、炎症抑制
内服抗菌薬	ミノサイクリン、ドキシサイクリン	アクネ菌殺菌、炎症抑制（中等症以上）

自由診療で検討できる治療法

保険診療の治療で十分な効果が得られない場合や、より積極的にニキビ跡の予防や改善を目指したい場合には、自由診療の治療法も選択肢となります。

これらは費用が自己負担となりますが、より専門的なアプローチが可能です。

ケミカルピーリング

ケミカルピーリングは、皮膚の表面に薬剤を塗布し、古い角質や毛穴の詰まりを取り除く治療法です。これにより、肌のターンオーバーを促し、ニキビの改善やニキビ跡の予防効果が期待できます。

使用する薬剤の種類や濃度は、肌の状態によって調整します。

面皰圧出（めんぽうあっしゅつ）

面皰圧出は、専用の器具を用いて、毛穴に詰まった皮脂や膿を押し出す処置です。しこりニキビの場合、炎症が深いため、医師が慎重に行う必要があります。

適切に行うことで、炎症の早期鎮静化や、しこりが硬くなるのを防ぐ効果が期待できます。自己判断で潰すのとは異なり、専門的な技術が必要です。

レーザー治療・光治療

レーザー治療や光治療は、特定の波長の光を照射することで、アクネ菌を殺菌したり、皮脂腺の働きを抑制したり、炎症を抑えたりする効果が期待できる治療法です。

また、コラーゲンの生成を促し、ニキビ跡の改善を目指すものもあります。様々な種類の機器があり、ニキビの状態や目的に応じて選択されます。

ステロイド局所注射

炎症が非常に強く、硬く腫れ上がったしこりニキビに対しては、ステロイド剤を直接ニキビに注射する治療が行われることがあります。これにより、炎症を強力に抑え、しこりを早期に小さくする効果が期待できます。

ただし、副作用のリスクもあるため、医師が慎重に判断して行います。

顎のしこりニキビを繰り返さないための予防策

顎のしこりニキビは、一度治っても再発しやすいという特徴があります。そのため、治療と並行して、ニキビを繰り返さないための予防策を日常生活に取り入れることが非常に重要です。

ここでは、長期的な視点での予防法について解説します。

スキンケア習慣の見直しと継続

ニキビが改善した後も、正しいスキンケアを継続することが予防の基本です。肌質に合った洗顔料を選び、優しく丁寧に洗い、十分な保湿を心がけましょう。

特に顎周りは皮脂分泌が多い一方で乾燥もしやすいため、水分と油分のバランスを整えることが大切です。

定期的な角質ケア（ピーリング効果のある化粧品など、ただし肌の状態を見ながら）も、毛穴詰まりの予防に役立つ場合がありますが、やりすぎは禁物です。ノンコメドジェニック製品の使用も引き続き検討しましょう。

バランスの取れた食生活の維持

食生活は肌の状態に大きく影響します。特定の食品を完全に避ける必要はありませんが、脂質の多い食事や糖質の高い食品、刺激物などの過剰摂取は控え、野菜や果物、海藻類、豆類などを積極的に取り入れ、バランスの取れた食事を心がけましょう。

特に、抗酸化作用のあるビタミンCやE、肌のターンオーバーを助けるビタミンA、皮脂バランスを整えるビタミンB群、腸内環境を整える食物繊維などを意識して摂取することが、ニキビのできにくい肌作りにつながります。

ニキビ予防に役立つ食品群

食品カテゴリ	期待される効果	代表的な食品
緑黄色野菜	ビタミンA、C、抗酸化作用	ほうれん草、人参、パプリカ
大豆製品	イソフラボン（ホルモンバランス調整）、タンパク質	豆腐、納豆、豆乳
青魚	EPA、DHA（抗炎症作用）	サバ、イワシ、アジ

質の高い睡眠とストレスマネジメント

睡眠不足やストレスは、ホルモンバランスを乱し、肌の免疫力を低下させ、ニキビの再発リスクを高めます。毎日6〜8時間程度の質の高い睡眠を確保するよう努めましょう。

寝る前のカフェイン摂取やスマートフォンの使用は避け、リラックスできる環境を整えることが大切です。

また、ストレスを完全に無くすことは難しいですが、自分に合ったストレス解消法（軽い運動、趣味、瞑想、友人と話すなど）を見つけ、上手にコントロールしていくことが重要です。心身の健康が、健やかな肌を育みます。

• 質の高い睡眠のためのポイント
  • 就寝・起床時間を一定にする
  • 寝る前にカフェインを摂らない
  • 寝室を暗く静かにする
  • 適度な運動習慣を持つ

定期的な皮膚科医との連携

ニキビが改善した後も、完全に安心せずに、定期的に皮膚科医に相談することをおすすめします。肌の状態をチェックしてもらい、適切なスキンケア方法や生活習慣についてアドバイスを受けることで、再発のリスクを低減できます。

また、万が一再発の兆候が見られた場合でも、早期に対処することで、しこりニキビへの進行を防ぐことが可能です。信頼できるかかりつけの皮膚科医を見つけ、長期的な視点で肌の健康をサポートしてもらうことが賢明です。

顎のしこりニキビに関するよくある質問

ここでは、顎のしこりニキビに関して多く寄せられる質問とその回答をまとめました。疑問や不安の解消にお役立てください。

顎のしこりニキビは自分で潰しても良いですか？

いいえ、自分で潰すのは避けてください。しこりニキビは炎症が皮膚の深い部分に及んでいるため、無理に潰すと炎症を悪化させたり、細菌感染を引き起こしたりする可能性があります。

また、ニキビ跡（色素沈着やクレーター）が残りやすくなるため、絶対にやめましょう。気になる場合は、皮膚科医に相談し、適切な処置（面皰圧出など）をしてもらうことを推奨します。

しこりニキビが痛いのですが、どうすれば良いですか？

痛みが強い場合は、炎症が活発に起きているサインです。まずは冷やすことで、一時的に痛みを和らげることができる場合があります。清潔なタオルで保冷剤を包み、数分間優しく当てる程度にしましょう。

ただし、これは対症療法であり、根本的な解決にはなりません。

痛みが続く、あるいは悪化するようであれば、早めに皮膚科を受診し、炎症を抑える治療（外用薬、内服薬、場合によってはステロイド局所注射など）を受けることが重要です。

痛みへの応急処置と注意点

対処法	方法	注意点
冷却	保冷剤をタオルで包み優しく当てる	長時間冷やしすぎない、直接当てない
刺激を避ける	触らない、メイクを控える	摩擦や圧迫も避ける
医療機関受診	痛みが強い、改善しない場合	自己判断で市販薬を長期使用しない

顎のしこりニキビの跡は治りますか？

しこりニキビの跡は、状態によって治りやすさが異なります。赤みや茶色い色素沈着は、時間とともに薄くなることが多いですが、数ヶ月から数年かかることもあります。

皮膚科では、ハイドロキノンやトレチノインといった美白外用薬、ビタミンC誘導体配合の化粧品、ケミカルピーリング、光治療などで改善を促すことができます。

一方、クレーターのように凹んでしまったニキビ跡は、セルフケアでの改善は難しく、フラクショナルレーザーやダーマペン、サブシジョンといった皮膚科での専門的な治療が必要になることが多いです。

跡を残さないためには、しこりニキビの段階で早期に適切な治療を受けることが最も重要です。

ピルは顎のしこりニキビに効果がありますか？

低用量ピルは、ホルモンバランスを整える作用があるため、特に成人女性のホルモン依存性の顎ニキビ（生理前に悪化しやすいなど）に対して効果が期待できる場合があります。

ピルに含まれる卵胞ホルモン（エストロゲン）と黄体ホルモン（プロゲスチン）が、男性ホルモンの作用を抑制し、皮脂の過剰な分泌を抑えることでニキビを改善します。

ただし、ピルには副作用のリスク（血栓症など）もあり、誰にでも適しているわけではありません。処方には医師の診察と判断が必要ですので、希望する場合は皮膚科医または婦人科医に相談してください。

以上

名古屋のニキビ治療なら【こばとも皮膚科】栄駅すぐ｜保険診療・美容皮膚科対応 

参考文献

LEUNG, Alexander KC, et al. Dermatology: how to manage acne vulgaris. Drugs in context, 2021, 10.

RAVISANKAR, P., et al. Acne-causes and amazing remedial measures for acne. J Pharm Res, 2015, 5: 209-301.

BARTENJEV, I., et al. Topical effectiveness of a cosmetic skincare treatment for acne-prone skin: a clinical study. Acta Dermatoven APA, 2011, 20.2.

KOU, Le, et al. Observation for clinical effect of acupuncture combined with conventional therapy in the treatment of acne vulgaris. Medicine, 2020, 99.18: e19764.

KLIGMAN, Albert M. An overview of acne. Journal of Investigative Dermatology, 1974, 62.3: 268-287.

AK, Mohiuddin. A comprehensive review of acne vulgaris. J. Clin. Pharm, 2019, 1.1: 17-45.

WELL, Danielle. Acne vulgaris: A review of causes and treatment options. The Nurse Practitioner, 2013, 38.10: 22-31.

WOO, Yu Ri; KIM, Hei Sung. Truncal acne: an overview. Journal of Clinical Medicine, 2022, 11.13: 3660.

SUVA, Manoj A., et al. A brief review on acne vulgaris: pathogenesis, diagnosis and treatment. Research & Reviews: Journal of Pharmacology, 2014, 4.3: 1-2.