近年ニキビの患者さんが非常に増えていますが、ニキビは思春期だけの問題ではなく、20代後半以降になるとあごのニキビに悩まされる方が多いです。
ただ、原因に合った対策をしなければできたり治ったりを繰り返してしまいますし、悪化してニキビ跡に発展する事態にもなります。
このページでは、ニキビがあごにできる原因や改善方法、一般的な治療方法を皮膚科専門医が解説しています。
あごニキビができてしまったときの応急処置、皮膚科を受診するタイミングにも触れていますので、ニキビがあごにできてお悩みの方はぜひ参考にしてください。
この記事の執筆者

小林 智子(こばやし ともこ)
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長
2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。
こばとも皮膚科関連医療機関
なぜあごにニキビができやすいのか
ニキビは、専門的な用語で「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」と呼びます。これまでの研究では、90%以上の方がニキビができた経験があると分かっていて、ニキビは肌トラブルの代表格です。
はじめに、なぜあごにニキビができやすいのかを理解するための、ニキビができる仕組みから思春期ニキビと大人ニキビの違いまでを解説します。
ニキビができる仕組み

ニキビは毛穴に起こる慢性の炎症性皮膚疾患です。
皮脂の過剰分泌が原因で毛穴(毛包)に皮脂が詰まったり、毛穴の角層が厚くなって毛穴を塞いだりするのがニキビの原因です。
さらに、出口が塞がれた毛穴のなかでアクネ菌が増殖し、炎症が起きてプツッとしたニキビが発生します。
- 過剰な皮脂
- 毛穴の詰まり
- アクネ菌の増殖
- 炎症
アクネ菌はニキビのない肌にも存在している常在菌です。ふだんは皮膚を弱酸性に保ったり他の菌の増殖を抑えたりする働きがありますが、増殖するとニキビを発生させてしまいます。
また、脂質(皮脂)を養分として、酸素のないところを好むため、皮脂が詰まった毛穴で増殖しやすい特徴があります。
増殖したアクネ菌が産生する酵素リパーゼにより皮脂が分解されて遊離脂肪酸が作られますが、遊離脂肪酸が毛穴の炎症を引き起こすため、ニキビの赤みにつながる仕組みです。
ニキビの種類
同じニキビであっても、状態によって5つの種類に分けられます。
ニキビの種類 | 特徴 |
---|---|
マイクロコメド | ごく初期の段階。目に見えないくらいの毛穴詰まりが起こっている。 |
コメド | 白いプツッとしたニキビ(白ニキビ)。酸化すると黒や茶色になる(黒ニキビ) |
紅色丘疹 | いわゆる赤ニキビ。コメドが炎症をおこして赤く隆起したもの。 |
膿疱 | 膿を伴うニキビ(黄ニキビ)。赤ニキビが悪化してできる。 |
嚢腫・硬結 | 炎症が拡大してしこりのようになる。 |
初期であるコメドの状態から、進行すると炎症を伴う赤ニキビや膿を伴う黄ニキビになります。
さらに、アクネ菌が産生するリパーゼによって毛包が破壊されて、毛穴の周りにも炎症が及ぶようになるとニキビ跡に発展しやすいため注意が必要です。
思春期ニキビと大人ニキビの違い
あごニキビの特徴として、「大人ニキビ」であるケースが多いです。
10代や20代前半にできる思春期ニキビと20代後半以降にできる大人ニキビが発生する仕組みはどちらも同じで、毛穴の詰まりから始まります。
ただ、症状の傾向や原因には違いがあります。
思春期ニキビ
- 小学校高学年頃からできる
- 典型的なパターンではおでこにでき始め、頬に広がる
- 大きくホルモンが関係していると言われている
- 比較的コメドが多い
大人ニキビ
- 20代後半頃からできる
- あご、フェイスライン、口元にできやすい
- 生理周期に関連している
- 繰り返しできる場合が多い
- 炎症を伴う赤ニキビが多発する傾向がある
思春期の頃からニキビができやすく、大人になってあごやフェイスラインにニキビが集中してできるようになった方もいれば、大人になって初めてニキビができたという方もいます。
あごニキビの主な原因

ニキビがあごにできる主な原因は、ホルモンバランスの乱れやストレス、マスク生活や食生活の乱れなどさまざまです。
ただ、一つの原因だけが理由であごニキビができてしまっているというよりは、複数の原因によって発生します。
ホルモンバランスの乱れ
あごニキビは、男性ホルモンである「アンドロゲン」の影響が大きく関わっています。アンドロゲンは、皮脂腺を発達させて皮脂分泌を増やす働きがあります。
アンドロゲンと女性ホルモンである「エストロゲン」のバランスが崩れると、アンドロゲンが相対的に増えて皮脂の分泌が増えますので、ニキビができてしまいます。
ストレス
ストレスによるさまざまな影響によって、ニキビができやすくなります。
過度なストレスは、ホルモン変動によって皮脂の分泌を促したり炎症を悪化させたり、皮膚のバリア機能を低下させたりします。
あごにニキビがあること自体がストレスとなりニキビが悪化しやすく、さらにそのストレスが原因で新たなニキビが発生する悪循環に陥ってしまう可能性もあります。
マスク生活
海外ではマスク生活によって発生するニキビを「マスクネ」と呼び、今までのニキビ歴とは関係なく発生するといわれています1)2)。
マスク生活とニキビの関係について調査した研究結果は複数あり、頻繁で長期的なマスク着用によって、あごやフェイスライン、鼻にニキビができる方が多いです。
食生活の乱れ
特定の食品がニキビを引き起こす訳ではありませんが、乳製品(スキムミルク)、血糖値が急上昇する食品(高GI食品)、ホエイプロテインの過剰摂取はニキビをできやすくします。
食生活の乱れは身体にさまざまな悪影響を及ぼしますが、ニキビも例外ではありません。ターンオーバーが乱れて角質が毛穴を塞いだり、過剰な皮脂分泌によって毛穴が詰まったりしやすいため注意が必要です。
顎の触り癖
よく顎を触る癖のある方は、その行動が原因であごニキビができたり悪化させたりしてしまっているかもしれません。
顎を触ったときの刺激が肌バリア機能を低下させるため、ニキビができやすくなります。
また、ニキビができると気になってついつい触ってしまうかと思いますが、ニキビ自体を触るのも悪化させる原因です。
スマートフォンの使用
スマートフォンやタブレットなどから発生するブルーライトは、真皮層まで到達して肌バリア機能を弱めたり角質を厚くしたりします。その結果、毛穴が詰まってしまいニキビができやすくなります。
寝る前のスマートフォン使用は睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制されるため、睡眠の質低下につながり、ニキビができる一因です。
不適切なスキンケア
不適切なスキンケアは、肌に摩擦を与える、必要以上に油分を足してしまったり汚れを落としきれずに毛穴が詰まる、肌のバリア機能低下などが起こります。
どれもニキビが起きやすい状態のため、あごニキビに悩む方にとって正しいスキンケアは大切な要素です。
また、肌に良かれと思ってたくさんのスキンケアアイテムを塗り重ねると、それだけ添加物も増えますので、肌の刺激になりやすいです。
ホルモンバランスとあごニキビの深い関係
ホルモンバランスとあごニキビには、深い関係があります。なかでも、女性ホルモンの影響が大きく関わっています。
成人女性に発生する顔の下半分(あご、フェイスライン)のニキビで、特定の周期でできたり治ったりを繰り返すものは、ホルモン性のニキビである可能性がとても高いです3)。
女性ホルモンの影響
女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンがあります。どちらも卵巣から分泌されるホルモンです。
エストロゲンは卵胞ホルモンとも呼ばれ、アンドロゲンの分泌を抑制して皮脂の分泌を押さえて、ニキビに対しては良い影響を与えてくれるホルモンといえます。
一方、プロゲステロンは黄体ホルモンと呼ばれ、アンドロゲン活性を有するホルモンです。
エストロゲンはコラーゲンを増やす働きや抗酸化作用があり美肌に大きく貢献するため、エストロゲンだけあれば良いと思われがちですが、実際にはプロゲステロンとのバランスが大切です。
生理周期との関連性

エストロゲンは生理開始とともに増加し、排卵とともに減少、排卵が終わると再び増加します。プロゲステロンは排卵後から増加していく特徴があります。
排卵期にプロゲステロンの影響で皮脂分泌が最も増えるため、排卵が終わったあとの黄体期にニキビができやすいです。
生理前に肌の不調を訴える方も多いですが、実際に、あごニキビを含む大人ニキビに悩む7割の方が生理前にニキビが発生するといわれています。
マスクによるあごニキビの増加
新型コロナウイルスだけでなく、最近は時期によってさまざまな感染症の心配があるため、以前よりもマスクをする機会が増えた方も多いかと思います。マスクの着用は、あごニキビを増加させる原因です。
蒸れと摩擦の問題
マスクによる蒸れと摩擦は、毛包にある皮脂腺を閉塞させてニキビを発生させます。
通気性の低いマスクであればあるほど、マスクの使用時間が長ければ長いほど、ニキビが発生・悪化しやすいです。
マスク内の湿度上昇で毛穴の角質細胞に影響を及ぼし、急性閉塞とニキビの悪化を引き起こします。
また、蒸れによって皮膚バリア機能が低下し、皮膚細菌叢(皮膚の常在菌バランス)が乱れてニキビができやすくなる可能性も指摘されています。
さらに、小さめのマスクでは摩擦によって毛穴の開口部が損傷し、慢性的な炎症を引き起こして赤ニキビができやすくなります。
マスク生活での対策法
マスクがニキビを発生させたり悪化させたりするとはいえ、マスクをしない選択は難しいケースも多いです。
マスク生活でもニキビを発生させないためには、優しい洗浄剤や保湿剤、頻繁なマスク交換などの対策が必要です。
- 肌に優しい弱酸性の洗顔料を使用する
- こまめな保湿を行う
- マスク休憩をする
- マスクを頻繁に交換する
マスクのムレや摩擦でニキビができてしまっている方は、肌に優しい弱酸性の洗顔料を使用し、こまめな保湿を行うようにします。
保湿は油分が多いものだと毛穴詰まりの原因になりますので、ミスト状の化粧水がおすすめです。また、マスク休憩を意識して行い、マスクを頻繁に交換するようにしましょう。
すぐにできる!あごニキビの改善方法

あごニキビ(大人ニキビ)は、新しいニキビと古いニキビ、ニキビ跡が混在しているケースが多くみられます。

バリア機能の低下も認められますので、肌を労わったケアが大切です。
正しい洗顔方法
あごニキビがあるのは自分の肌が汚いからと思っていて、洗顔をやりすぎている方がたくさんいます。
ニキビは感染症が起こっているわけではないので、肌が汚いわけではありません。過剰な洗顔を避けて、1日2回、たっぷりと泡立てて洗うようにしましょう。
- 顔全体をぬるま湯で濡らす
- 弱酸性の洗顔料をしっかりと泡立てる
- 摩擦を避けて泡を転がすように洗う
- 32~36℃程度のぬるま湯できちんとすすぐ
- タオルで優しく押さえるように拭く
ゴシゴシと時間をかけてこすったほうが毛穴詰まりがなくなる、ニキビがきれいになると思っている方も多いですが、こすっても毛穴詰まりがなくならないばかりか、肌に摩擦を与えるため肌トラブルの原因になります。
あくまでも「優しい洗顔」を心がけ、顔に泡が乗っている時間は30秒程度にとどめましょう。
スキンケアの基本
ニキビの方は、肌本来の保湿成分であるセラミドが少ない状態です。
ただ、皮脂の分泌は多いですし、アクネ菌は油分をエサにして増殖しますので、油分が少な目で水分が多く配合された化粧品を選ぶようにします。クリームは油分が多いので使用を控え、化粧水や乳液を使用して保湿するようにしましょう。
また、ノンコメドジェニックの商品を選ぶのも一つの方法です。
また、紫外線はニキビができたり悪化したりにつながるため、UVケアの徹底も欠かせません。紫外線は冬でも地上に届いていますので、年間通して毎日日焼け止めを塗るようにします。
日焼け止めは、肌の刺激が少ないノンケミカル処方、オイルフリーのノンコメドジェニックのものがおすすめです。
生活習慣の改善点
繰り返すあごニキビを改善するためには、生活習慣の見直しも有効です。
- 栄養バランスのとれた食事を心がける
- 糖質や脂質は控えめにする
- 十分な睡眠時間を確保する
- ストレスを溜め込まないようにする
- 適度な運動を行う
スキンケアに気をつけたり皮膚科でニキビ治療を行ったりしていても、ニキビの原因となる生活習慣を改善できていないと新たにニキビが発生して、いたちごっこになりかねません。
食べるものに気を使い、十分な睡眠時間を確保する工夫が重要です。ストレスを溜め込まないようにしながら、寝る前はリラックスできる環境づくりを行うと良いでしょう。
また、髪やタートルネックの服などがあごに当たらないような配慮も必要です。
あごニキビの応急処置

基本的には化粧品でニキビを改善するのは難しく、あくまでもニキビをすぐ直すには皮膚科で治療するのが一番です。
ただ、化粧品は全く効果がないのかといえばそういうわけではなく、正しくケアするとニキビが悪化するのを防いだり、新たにできてしまうのを防いだりできます。
ここでは、急にニキビができてしまったけど皮膚科に行く時間がないときの、ご自身でできるニキビの応急処置について解説しています。
初期症状での対処法
炎症が起きる前のコメドの状態での対処法として、毛穴詰まりを溶かすのが有効です。具体的な成分として、サリチル酸やイオウが挙げられます。
成分 | 特徴 |
---|---|
サリチル酸 | 皮脂腺に親和性が高い |
イオウ | 角質を溶かす |
サリチル酸はピーリング成分の一種で、主な効果は、殺菌、抗炎症、角層剥離・溶解です。アクネ菌を殺菌したり角層を軟化させる作用がありますが、肌の負担とならないようにサリチル酸が含まれた洗顔料を使うのもおすすめです。
イオウには、皮脂吸収作用や殺菌作用、角層軟化作用があります。古い角質を溶かして毛穴つまりを解消させる効果が期待できるのがメリットです。
ロート製薬の「DRx AZAクリア」は、アゼライン酸が20%と高濃度で配合されています。クリニック専売品となりますが、受診しなくてもクリニックのオンラインストアで購入できるところもありますので、ニキビができやすい方は持っておくのも良いかと思います。

悪化を防ぐポイント

できてしまったあごニキビを悪化させないためには、絶対に潰さないようにしてください。
皮膚科では面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)といって、毛穴に溜まった皮脂や膿を取り除く処置をするときもありますが、簡単そうに見えて意外と技術が必要です。
ご自身でニキビを潰してしまうと、ニキビ跡になったり炎症をひどくするだけですので避けましょう。
スクラブ剤で取り除こうとするのもNGです。刺激によって悪化し、跡をつくってしまう原因となります。
- 自分で潰さない
- 炎症しているニキビは冷やす
- 炎症していないニキビは温める
あごニキビが赤く腫れて気になるときは、炎症を抑えるためにクーリングを行うようにします。具体的な方法として、保冷剤を清潔なタオルに包んで30秒~1分当て、1~2分ほど離すのを何度か繰り返します。
逆に、コメドの段階で炎症を伴っていないニキビは、ホットタオルを当てて温めると毛穴詰まりを解消できます。
あごニキビを隠すためのメイク
あごニキビは、比較的大型のものができやすい傾向があります。目立ってしまうのでメイクで隠したいと考えがちですが、コンシーラーで隠すのはおすすめできません。
コンシーラーを厚塗りすると時間が経てばヨレてしまいますし、油分が多いのでニキビを悪化させる原因になります。
あごニキビにメイクをするときは、パウダーファンデーションやフェイスパウダーなどで軽く押さえる程度にしましょう。
市販ではニキビパッチも売られていますが、ニキビを治癒させる薬ではありませんし、ご自身のニキビに合っていない成分が使われている場合もあります。
そればかりか、そもそも成分が不明の海外商品も流通しています。
また、密閉してしまうことで酸素を嫌うアクネ菌が増殖する可能性も懸念されますので、自己判断でニキビパッチを使うのは避けたほうが無難です。
皮膚科での治療が必要なケース
日本人のニキビ患者の受診割合は約19%で、他の国よりも低いと分かっています。
ただ、あごニキビを悪化させずに、跡を残さずに治すためには、早期の治療がとても重要です。
受診のタイミング
できてしまったニキビを、跡にならないようにするのが皮膚科でのニキビ治療のポイントです。
皮膚科を受診する理想的なタイミングはコメド(ニキビの初期)の段階ですので、早めにニキビ治療を行っていきましょう。
マイクロコメドといった目で見て分からないような毛穴詰まりの段階で受診すると、そのあと悪化してしまうのを防げますし、新たなニキビの予防にもつながります。
ただ、マイクロコメドは分かりにくいので、ニキビができたのに気づいたらできるだけ早く受診するといった点を心がけていただくと良いかと思います。
一般的な治療法
ニキビ治療は、塗り薬から漢方まで選べる幅が広いです。また、ディフェリンやベピオ、抗生剤の飲み薬や漢方といった保険適用の治療法もあります。
治療法 | 具体的な薬剤 |
---|---|
塗り薬 | ディフェリン(アダパレン) ベピオ(過酸化ベンゾイル) デュアック(過酸化ベンゾイル + クリンダマイシン) エピデュオ(アダパレン + 過酸化ベンゾイル) ゼビアックス(抗生剤) |
飲み薬 | ミノマイシン(抗生剤) ビブラマイシン(抗生剤) スピロノラクトン(ホルモン療法) イソトレチノイン |
漢方 | 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう) |
外用薬はそれぞれに特徴があり、デュアック配合ゲルは赤い炎症性のニキビが多発しているケースに効果の発現が高く、エピデュオはニキビ跡の改善効果も期待できます。
塗り薬を少なくとも3カ月、平均して半年~1年程度は使うのが一般的です。
ただし、大人のニキビには外用薬だけでは太刀打ちできないときもあるため、そういった場合は内服薬も併用します。
抗生剤の内服薬は保険適用で、アクネ菌の増殖を抑える作用があります。また、場合によっては「ニキビ治療の最後の砦」と呼ばれるイソトレチノインを服用します。
保険適用の漢方は単体で使うことはあまりないですが、外用薬と併用するとニキビ治療の効果を高められる場合があります。
まとめ
- あごニキビは複数の原因が組み合わさってできる
- ホルモンバランスによって生理前にできやすい
- 皮膚科での治療が最も効果的
- ご自身でのスキンケアや生活習慣の改善も大切
炎症がひどかったり大き目のものが多かったりするあごニキビは、赤や茶色のニキビ跡、クレーターに発展しやすいため、しっかりと皮膚科での治療を行うことが大切です。

繰り返すあごニキビにお悩みの方は、ぜひいちど皮膚科でご相談ください。
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