052-228-1280 WEB予約 LINE予約

繰り返す大人ニキビの原因とは?今日からできる治し方とスキンケアのコツ

繰り返す大人ニキビの原因とは?今日からできる治し方とスキンケアのコツ

ふと鏡を見ると、また新しいニキビが…。特に20代を過ぎてからできる「大人ニキビ」は、一度治ったと思っても同じ場所に繰り返しできることが多く、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

思春期のニキビとは原因が異なることもあり、適切なケアが必要です。

この記事では、なぜ大人ニキビが繰り返すのか、その原因を詳しく解説し、今日から実践できる具体的な治し方やスキンケアのコツ、さらには食事との関係性まで、幅広く情報を提供します。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

運営ソーシャルメディア(SNSでは「こばとも」と名乗ることもあります)

XYouTubeInstagramLinkedin

著書一覧
経歴・プロフィールページ

こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

大人ニキビとは?思春期ニキビとの違いを知ろう

「大人ニキビ」と一言で言っても、思春期にできるニキビとは異なる特徴があります。まずは、大人ニキビの基本的な知識と、思春期ニキビとの違いを理解することが、適切なケアへの第一歩です。

大人ニキビの特徴

大人ニキビは、一般的に20歳以降にできるニキビを指します。フェイスライン(あごや口周り)、首、デコルテなど、顔の下半分や乾燥しやすい部分にできやすい傾向があります。治りにくく、跡に残りやすいのも特徴の一つです。

また、生理前に悪化したり、ストレスや生活習慣の乱れによって繰り返し発生することが多いです。

思春期ニキビとの主な違い

思春期ニキビと大人ニキビは、できる原因や場所、肌の状態などに違いが見られます。これらの違いを理解することが、効果的なケアにつながります。

原因の違い

思春期ニキビの主な原因は、成長期における皮脂の過剰な分泌です。一方、大人ニキビは、ホルモンバランスの乱れ、不適切なスキンケア、ストレス、生活習慣の乱れなど、複数の要因が複雑に絡み合って発生します。

肌の乾燥が原因でバリア機能が低下し、ニキビができやすくなることもあります。

できやすい場所の違い

思春期ニキビは、皮脂腺の多いTゾーン(額、鼻、あごの中心部)にできやすいのが特徴です。対して大人ニキビは、Uゾーン(あご周り、フェイスライン、口周り)や首など、乾燥しやすい部分にも現れます。

大人ニキビと思春期ニキビの比較

項目大人ニキビ思春期ニキビ
主な原因ホルモンバランスの乱れ、ストレス、生活習慣、乾燥、不適切なスキンケアなど複合的皮脂の過剰分泌(成長ホルモンの影響)
できやすい場所Uゾーン(あご、口周り)、首、フェイスラインTゾーン(額、鼻)
肌の状態乾燥していることが多い、ターンオーバーの乱れ皮脂が多く、テカりやすい

なぜ大人になってからニキビができるの?

大人になると、学生時代とは生活環境が大きく変わることが多く、それがニキビの原因となることがあります。

仕事や人間関係によるストレス、不規則な生活、睡眠不足、偏った食生活などがホルモンバランスを乱し、肌のターンオーバーを遅らせます。その結果、古い角質が溜まりやすくなり、毛穴が詰まってニキビが発生しやすくなるのです。

また、間違ったスキンケアやメイクの落とし残しも、大人ニキビを引き起こす要因となります。

繰り返す大人ニキビの主な原因

大人ニキビが繰り返しできてしまう背景には、様々な原因が潜んでいます。ここでは、特に影響が大きいとされる主な原因について詳しく見ていきましょう。

ホルモンバランスの乱れ

女性の体は、月経周期に伴いホルモンバランスが変動します。特に排卵後から月経前にかけては、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増加します。

プロゲステロンには皮脂の分泌を促す作用があるため、この時期はニキビができやすくなったり、悪化しやすくなったりします。

生理周期との関連

生理前になるとニキビが悪化するという経験を持つ女性は少なくありません。これは、黄体ホルモンの影響で皮脂分泌が活発になることに加え、肌が敏感になったり、角質が厚くなったりするためです。

生理周期とニキビの状態を記録しておくと、対策が立てやすくなるでしょう。

ストレスの影響

現代社会において、ストレスは避けられないものかもしれません。しかし、過度なストレスは自律神経のバランスを崩し、ホルモンバランスの乱れを引き起こします。

ストレスを感じると、男性ホルモンの一種であるアンドロゲンの分泌が促され、皮脂の分泌量が増加したり、角質が硬くなったりして、ニキビができやすい状態になります。

ホルモンバランスを整えるために意識したいこと

項目具体的な行動例ポイント
質の高い睡眠就寝前のカフェイン摂取を避ける、寝室の環境を整える成長ホルモンの分泌を促し、肌の修復を助ける
バランスの取れた食事野菜やタンパク質を積極的に摂る、極端な食事制限をしない体の中から健やかな状態を作る
適度な運動ウォーキングやヨガなど、続けやすい運動を取り入れる血行を促進し、ストレス解消にもつながる

不適切なスキンケア

良かれと思って行っているスキンケアが、実はニキビの原因になっていることもあります。肌に合わない化粧品の使用や、間違ったケア方法は、肌のバリア機能を低下させ、ニキビを悪化させる可能性があります。

間違った洗顔方法

ニキビができると、ついゴシゴシと強く洗顔してしまいがちですが、これは逆効果です。過度な摩擦は肌を傷つけ、乾燥を招きます。また、洗浄力の強すぎる洗顔料は、肌に必要な皮脂まで奪い取り、バリア機能の低下につながります。

1日に何度も洗顔するのも避けましょう。

保湿不足

大人ニキビの原因の一つに「乾燥」があります。肌が乾燥すると、角質層が硬くなり、毛穴が詰まりやすくなります。また、肌は乾燥から守ろうとして、かえって皮脂を過剰に分泌することがあります。

洗顔後はもちろん、日中もこまめに保湿をすることが大切です。

メイク残り

メイクをしたまま寝てしまうのは論外ですが、クレンジングでメイクをしっかり落としきれていない場合も、毛穴詰まりの原因となります。

特に毛穴に入り込みやすいリキッドファンデーションやコンシーラーなどは、丁寧に落とすよう心がけましょう。ただし、ここでもゴシゴシ洗いは禁物です。

生活習慣の乱れ

健やかな肌を保つためには、規則正しい生活習慣が基本です。睡眠不足や食生活の偏り、運動不足などは、肌のターンオーバーを乱し、ニキビができやすい状態を招きます。

睡眠不足

睡眠中には、肌の修復や再生を促す成長ホルモンが分泌されます。睡眠時間が不足したり、睡眠の質が低下したりすると、成長ホルモンの分泌が減少し、肌のターンオーバーが乱れてしまいます。

その結果、古い角質が剥がれ落ちにくくなり、毛穴が詰まってニキビの原因となります。

食生活の偏り

脂質の多い食事や糖質の多いお菓子、インスタント食品などの偏った食生活は、皮脂の分泌を過剰にしたり、腸内環境を悪化させたりして、ニキビを誘発する可能性があります。

バランスの取れた食事を心がけ、ビタミンやミネラルを積極的に摂取することが重要です。

運動不足

適度な運動は、血行を促進し、新陳代謝を高めます。これにより、肌のターンオーバーが正常に保たれやすくなります。また、運動はストレス解消にも効果があり、ホルモンバランスを整える助けにもなります。

デスクワークが多い方や、普段あまり体を動かさない方は、意識して運動を取り入れましょう。

大人ニキビを招きやすい生活習慣の例

  • 夜更かしや不規則な睡眠時間
  • 脂っこいものや甘いものの過剰摂取
  • 野菜不足、外食や加工食品中心の食生活
  • 慢性的な運動不足
  • 過度な飲酒や喫煙

その他の要因

上記以外にも、大人ニキビの原因となる要因はいくつかあります。

乾燥

肌の乾燥は、バリア機能の低下を招きます。バリア機能が弱まると、外部からの刺激に敏感になり、炎症が起きやすくなります。また、肌は乾燥を防ごうとして皮脂を過剰に分泌することがあり、これが毛穴詰まりやニキビにつながります。

特にエアコンの効いた室内や冬場は、保湿ケアを徹底しましょう。

紫外線

紫外線は、肌の乾燥を進めるだけでなく、活性酸素を発生させて肌細胞にダメージを与えます。また、ニキビの炎症を悪化させたり、ニキビ跡の色素沈着の原因になったりもします。季節を問わず、紫外線対策は重要です。

マスクによる摩擦

長時間のマスク着用は、肌への摩擦や蒸れを引き起こし、ニキビの原因となることがあります。マスクが触れる部分にニキビができやすい場合は、素材を見直したり、こまめに汗を拭いたりするなどの対策を考えましょう。

また、マスク内は雑菌が繁殖しやすいため、清潔に保つことも大切です。

今日からできる大人ニキビの治し方と予防策

大人ニキビは、原因に合わせた適切なケアと生活習慣の見直しによって、改善や予防が期待できます。ここでは、今日から実践できる具体的な方法を紹介します。

正しいスキンケア方法を見直そう

毎日のスキンケアは、ニキビケアの基本です。自己流のケアが、かえってニキビを悪化させている可能性もあります。正しい方法を身につけましょう。

クレンジングと洗顔のポイント

メイクや皮脂汚れをきちんと落とすことは重要ですが、洗いすぎは禁物です。クレンジング剤は、メイクの濃さに合わせて選び、肌に負担をかけにくいミルクタイプやジェルタイプなどがおすすめです。

洗顔料はよく泡立て、泡で顔を包み込むように優しく洗いましょう。すすぎは、ぬるま湯で丁寧に、生え際やフェイスラインに洗い残しがないように注意します。

間違ったスキンケアと正しいスキンケアの比較

項目間違ったケア正しいケア
洗顔ゴシゴシ強くこする、1日に何度も洗うよく泡立てて優しく洗う、1日2回程度
保湿ベタつくからと化粧水だけで済ませる化粧水、乳液(またはクリーム)でしっかり保湿
ニキビ部分気になって頻繁に触る、潰す清潔に保ち、刺激を与えない

十分な保湿を心がける

洗顔後の肌は乾燥しやすいため、すぐに保湿ケアを行います。化粧水で水分を補給した後、乳液やクリームで油分を補い、水分の蒸発を防ぎます。

ニキビができやすいからといって油分を避けるのではなく、自分の肌質に合った保湿剤を選び、適度な油分で肌のバリア機能を保つことが大切です。乾燥が気になる部分には、重ね付けするのも効果的です。

ニキビができている時のメイク

ニキビができている時は、できるだけ肌に負担をかけないメイクを心がけましょう。厚塗りは毛穴を塞ぎ、ニキビを悪化させる可能性があります。ミネラルファンデーションなど、石鹸で落とせるタイプのものがおすすめです。

ポイントメイクで楽しむなど、工夫してみましょう。そして、帰宅後はすぐにメイクを落とすことが重要です。

生活習慣の改善で内側からケア

スキンケアだけでなく、体の内側からのケアも大人ニキビ対策には欠かせません。バランスの取れた食事、質の高い睡眠、ストレスケアを意識しましょう。

バランスの取れた食事

肌を作る材料となるタンパク質、肌の調子を整えるビタミン類、腸内環境を整える食物繊維などをバランス良く摂取することが大切です。

特定の食品だけを極端に避けたり、過剰に摂取したりするのではなく、多様な食材から栄養を摂ることを目指しましょう。詳細は後の章で解説します。

質の高い睡眠を確保する

毎日同じ時間に寝起きするなど、規則正しい睡眠習慣を心がけましょう。就寝前のスマートフォンやパソコンの使用は、睡眠の質を低下させるため控えます。寝室の温度や湿度、寝具なども快適な睡眠環境を整える上で重要です。

最低でも6時間以上の睡眠時間を確保するようにしましょう。

ストレスを上手に解消する

自分に合ったストレス解消法を見つけ、溜め込まないようにすることが大切です。趣味の時間を楽しむ、適度な運動をする、友人と話す、ゆっくり入浴するなど、リラックスできる時間を作りましょう。

ストレス解消法の例

  • 軽い運動(ウォーキング、ヨガなど)
  • 趣味に没頭する時間を作る
  • アロマテラピーや音楽でリラックス
  • 親しい友人や家族と話す

ニキビを悪化させないために気をつけること

できてしまったニキビを悪化させず、早く治すためには、日常の些細な行動にも注意が必要です。

ニキビを潰さない

ニキビを自分で潰すと、雑菌が入って炎症が悪化したり、クレーターのようなニキビ跡が残ったりする可能性があります。気になっても、絶対に潰さないようにしましょう。

触らない、刺激しない

無意識に顔を触る癖がある人は注意が必要です。手には多くの雑菌が付着しており、ニキビに触れることで炎症を悪化させる可能性があります。

また、髪の毛が顔にかからないようにしたり、頬杖をつかないようにしたりするなど、物理的な刺激も避けるようにしましょう。

寝具やタオルの清潔を保つ

枕カバーやシーツ、タオルなど、直接肌に触れるものはこまめに洗濯し、清潔に保ちましょう。寝ている間の汗や皮脂、雑菌などが付着し、ニキビの原因となることがあります。

大人ニキビと食事の関係性

「食べたものが体を作る」と言われるように、毎日の食事は肌の状態にも大きな影響を与えます。大人ニキビの改善や予防のためには、どのような食事を心がければ良いのでしょうか。

ニキビ改善に役立つ栄養素

特定の栄養素だけを摂取すればニキビが治るわけではありませんが、肌の健康をサポートする栄養素を積極的に摂ることは大切です。

ビタミン類

ビタミンB群(特にB2、B6)は皮脂の分泌をコントロールし、肌のターンオーバーを整える働きがあります。ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、抗酸化作用によりニキビの炎症を抑える効果が期待できます。

ビタミンAは皮膚や粘膜を健康に保ち、ビタミンEは血行を促進して肌の新陳代謝を高めます。

ミネラル

亜鉛は、肌のターンオーバーを正常化し、炎症を抑える働きがあります。不足すると免疫力が低下し、ニキビが悪化しやすくなると言われています。鉄分も肌の健康維持に重要で、不足すると肌荒れやくすみの原因になることがあります。

食物繊維

食物繊維は、腸内環境を整える働きがあります。便秘は肌荒れやニキビの原因となるため、食物繊維をしっかり摂取して腸内環境を良好に保つことが大切です。野菜、きのこ類、海藻類などに多く含まれています。

ニキビ改善に役立つ栄養素と主な食品

栄養素主な働き多く含む食品例
ビタミンB2皮脂分泌のコントロール、皮膚・粘膜の健康維持レバー、うなぎ、卵、納豆、乳製品
ビタミンB6タンパク質の代謝促進、皮膚炎の予防マグロ、カツオ、鶏肉、バナナ、さつまいも
ビタミンC抗酸化作用、コラーゲン生成促進、メラニン生成抑制パプリカ、ブロッコリー、キウイフルーツ、いちご、柑橘類

ニキビを悪化させる可能性のある食べ物

一方で、過剰に摂取するとニキビを悪化させる可能性のある食べ物もあります。完全に断つ必要はありませんが、摂取量には注意しましょう。

糖質の多いもの

ケーキやチョコレート、菓子パン、清涼飲料水など糖質の多いものは、血糖値を急上昇させ、皮脂の分泌を促すインスリンの過剰な分泌につながることがあります。

また、過剰な糖質は体内でタンパク質と結びつき「糖化」を引き起こし、肌の老化や炎症を促進する可能性も指摘されています。

脂質の多いもの

揚げ物やスナック菓子、脂身の多い肉など、脂質の多い食事は皮脂の分泌を増加させ、毛穴詰まりやニキビの原因となることがあります。特に、質の悪い油(トランス脂肪酸など)の摂取は控えるようにしましょう。

刺激物

香辛料の使いすぎやカフェインの過剰摂取、アルコールなどは、胃腸に負担をかけたり、皮脂腺を刺激したりして、ニキビを悪化させる可能性があります。適量を心がけましょう。

ニキビを悪化させる可能性のある食べ物と控えるポイント

食べ物の種類具体例控えるポイント
糖質の多いもの菓子類、清涼飲料水、白米・パンの過食間食の回数や量を減らす、精製度の低い穀物を選ぶ
脂質の多いもの揚げ物、スナック菓子、脂身の多い肉調理法を工夫する(焼く、蒸すなど)、良質な油を選ぶ
刺激物香辛料、カフェイン、アルコール過剰摂取を避け、適量を心がける

バランスの取れた食事の具体例

主食(ごはん、パン、麺類)、主菜(肉、魚、卵、大豆製品)、副菜(野菜、きのこ類、海藻類)を揃えることを意識しましょう。これにより、必要な栄養素をバランス良く摂取しやすくなります。

主食・主菜・副菜を揃える

毎食、これらの要素を組み合わせることで、自然と栄養バランスが整います。例えば、ごはんに焼き魚、野菜のおひたしと味噌汁といった組み合わせです。

外食やコンビニ食を利用する場合も、単品ではなく、これらの要素が含まれる定食や弁当を選ぶようにすると良いでしょう。

間食の選び方

間食を摂る場合は、ナッツ類やヨーグルト、果物など、栄養価の高いものを選びましょう。スナック菓子や甘いジュースはできるだけ避け、食べる量や時間も考慮することが大切です。

バランスの取れた食事のポイント

  • 1日3食、規則正しい時間に食べる
  • 野菜を毎食たっぷり摂る(1日350g目標)
  • タンパク質(肉・魚・卵・大豆製品)を偏りなく摂る
  • 発酵食品(ヨーグルト、納豆など)で腸内環境を整える

大人ニキビのためのスキンケア製品の選び方

大人ニキビに悩む肌はデリケートな状態にあるため、スキンケア製品選びも慎重に行う必要があります。自分の肌質やニキビの状態に合ったものを選び、正しく使うことが大切です。

ニキビ肌向け化粧品の成分チェック

ニキビケアを謳った製品は多くありますが、どのような成分が含まれているかを確認することが重要です。

ノンコメドジェニックテスト済みとは

「ノンコメドジェニックテスト済み」と表示されている製品は、ニキビの初期段階であるコメド(面皰:めんぽう)ができにくいことを確認するテストをクリアしたものです。

ただし、すべての人にニキビができないというわけではありませんが、製品選びの一つの目安になります。

有効成分の種類と働き

ニキビケア化粧品には、炎症を抑える成分、殺菌作用のある成分、角質を柔らかくする成分などが配合されていることがあります。自分のニキビの状態や目的に合わせて選びましょう。

ニキビ肌向け化粧品の主な有効成分と期待できる効果

成分例期待できる効果ポイント
サリチル酸角質軟化作用、殺菌作用毛穴詰まりの改善を助ける
グリチルリチン酸ジカリウム抗炎症作用ニキビの炎症を抑える
ビタミンC誘導体皮脂分泌抑制、抗酸化作用、メラニン生成抑制ニキビ予防、ニキビ跡の色素沈着ケア

肌質に合わせた選び方

大人ニキビは乾燥肌の人にもできるため、自分の肌質を正しく理解し、それに合った製品を選ぶことが大切です。

乾燥肌の場合

乾燥肌の方は、保湿力の高い製品を選びましょう。セラミドやヒアルロン酸、コラーゲンなどの保湿成分が配合されたものがおすすめです。アルコールフリーなど、刺激の少ない処方のものを選ぶと良いでしょう。

脂性肌の場合

脂性肌の方は、さっぱりとした使用感でありながら、必要な潤いは保てる製品を選びましょう。オイルフリーや、皮脂吸着成分が配合されたものも選択肢の一つです。

ただし、保湿をおろそかにすると、かえって皮脂分泌が過剰になることもあるため注意が必要です。

混合肌の場合

TゾーンはベタつくのにUゾーンは乾燥するなど、部分によって肌質が異なる混合肌の方は、部位によって使用するアイテムを使い分けたり、全体のバランスを見て保湿力の調整をしたりする工夫が必要です。

基本的には、乾燥しやすい部分に合わせた保湿を心がけ、ベタつきが気になる部分は量を調整すると良いでしょう。

肌質別スキンケア製品の選び方のポイント

肌質化粧水の選び方乳液・クリームの選び方
乾燥肌高保湿タイプ(セラミド、ヒアルロン酸配合など)保湿力が高く、油分をしっかり補えるもの
脂性肌さっぱりタイプ、オイルフリー、収れん効果のあるもの軽めのテクスチャー、オイルフリー、ジェルタイプなど
混合肌基本は保湿タイプ、Tゾーンはさっぱりタイプも可乾燥する部分にはしっかり、Tゾーンは薄めに塗るなど調整

使用順序とポイント

スキンケア製品は、正しい順序で使用することで、それぞれの効果を最大限に引き出すことができます。

基本的なスキンケアの流れ

一般的には、洗顔 → 化粧水 →(美容液)→ 乳液・クリーム の順で使用します。化粧水で水分を補給し、美容液で肌悩みに合わせたケアを行い、乳液やクリームで油分を補って蓋をするイメージです。

製品によって推奨される使用順序が異なる場合があるので、説明書をよく確認しましょう。

部分用アイテムの活用

ニキビができてしまった部分には、専用の美容液やクリームをポイント的に使用するのも効果的です。肌全体に使うものとは別に、炎症を抑える成分や殺菌成分が配合されたアイテムを取り入れてみましょう。

ただし、広範囲に使いすぎると刺激になることもあるので、注意が必要です。

それでも治らない大人ニキビ どうすればいい?

セルフケアを続けていても、なかなか大人ニキビが改善しない、あるいは悪化してしまう場合は、専門家の力を借りることを考えましょう。

セルフケアの限界を知る

市販のスキンケア製品や生活習慣の改善で対応できる範囲には限界があります。特に炎症が強いニキビや、繰り返しできるニキビは、皮膚科での治療が必要な場合があります。

改善が見られない期間の目安

一般的に、スキンケアの効果が現れるまでには、肌のターンオーバー周期(約28日~)を考慮すると、1ヶ月~3ヶ月程度かかると言われています。

この期間、適切なセルフケアを続けても全く改善の兆しが見られない、あるいは悪化する一方の場合は、一度皮膚科医に相談することをおすすめします。

悪化のサイン

以下のようなサインが見られたら、早めに皮膚科を受診しましょう。

  • ニキビの数が増えた、範囲が広がった
  • 赤みや腫れ、痛みが強いニキビができた
  • 膿を持つようになった
  • しこりのある硬いニキビができた
  • ニキビ跡が残りやすくなった

皮膚科医に相談するメリット

皮膚科医は肌の専門家です。自己判断でケアを続けるよりも、的確なアドバイスや治療を受けることができます。

正確な診断

ニキビの状態や種類、原因を正確に診断してもらえます。ニキビだと思っていたものが、実は別の皮膚疾患だったというケースも稀にあります。正しい診断に基づいて、適切な治療法を選択することが重要です。

専門的な治療法

皮膚科では、市販薬よりも効果の高い外用薬や内服薬を処方してもらえるほか、ケミカルピーリングや面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)といった専門的な治療を受けることができます。

自分のニキビの状態に合わせた、より効果的なアプローチが期待できます。

皮膚科で行われる主な治療法

皮膚科では、ニキビの種類や重症度、患者さんの肌質やライフスタイルに合わせて、様々な治療法を組み合わせて行います。

外用薬

毛穴の詰まりを改善する薬(アダパレン、過酸化ベンゾイルなど)、炎症を抑える薬(抗生物質など)が主に使われます。ニキビの種類や状態によって使い分けます。

内服薬

炎症が強い場合や広範囲にニキビがある場合には、抗生物質の内服薬が処方されることがあります。また、ホルモンバランスの乱れが原因と考えられる場合には、低用量ピルや漢方薬などが用いられることもあります。

ビタミン剤が処方されることもあります。

ケミカルピーリングなど

ケミカルピーリングは、薬剤を肌に塗布して古い角質を取り除き、肌のターンオーバーを促す治療法です。毛穴の詰まりを改善し、ニキビができにくい肌状態へ導きます。

その他、面皰圧出(専用の器具で毛穴に詰まった皮脂や膿を押し出す処置)や、レーザー治療などが行われることもあります。

皮膚科での主な治療法とその概要

治療法概要期待できる効果
外用薬(アダパレンなど)毛穴の詰まりを改善する塗り薬コメドの改善、ニキビ予防
外用薬(抗菌薬)ニキビの原因菌を殺菌し、炎症を抑える塗り薬赤ニキビ、膿疱性ニキビの改善
内服薬(抗菌薬)炎症を抑える飲み薬中等症~重症のニキビ改善

大人ニキビに関するよくある質問(Q&A)

大人ニキビに関して、多くの方が疑問に思うことや不安に感じる点をまとめました。

大人ニキビは遺伝しますか?

ニキビのできやすさには、肌質や皮脂の分泌量など、遺伝的な要因が関わっていると考えられています。ご両親がニキビで悩んだ経験がある場合、お子さんもニキビができやすい体質を受け継いでいる可能性はあります。

しかし、遺伝だけがすべてではなく、生活習慣やスキンケアなど後天的な要因も大きく影響します。遺伝的な素因があったとしても、適切なケアを行うことで、ニキビの発生を抑えたり、悪化を防いだりすることは可能です。

ニキビ跡を残さないためにはどうすれば良いですか?

ニキビ跡を残さないためには、まずニキビを悪化させないことが最も重要です。炎症が長引いたり、自分で潰したりすると、色素沈着やクレーター状の跡が残りやすくなります。

ニキビができたら、早めに適切なケアを開始し、炎症を抑えるように心がけましょう。紫外線はニキビ跡の色素沈着を濃くする原因になるため、日焼け対策も徹底してください。

炎症が強い場合や、跡になりそうなニキビは、早めに皮膚科医に相談することをおすすめします。

化粧品を変えたらニキビが増えましたが、使い続けた方が良いですか?

新しい化粧品を使い始めてニキビが増えたり、肌に合わないと感じたりした場合は、一旦使用を中止することをおすすめします。化粧品に含まれる特定の成分が肌に刺激を与えている可能性があります。

「好転反応」という言葉を聞くことがあるかもしれませんが、自己判断せずに、まずは使用を中止して肌の様子を見ましょう。症状が改善しない場合や、悪化するようなら、皮膚科医に相談してください。

その際は、使用した化粧品を持参すると診断の助けになります。

大人ニキビに市販薬は効果がありますか?

市販薬の中にも、大人ニキビに効果が期待できる成分(殺菌成分、抗炎症成分、角質軟化成分など)を含んだものがあります。軽度のニキビであれば、市販薬で改善することもあります。

しかし、市販薬を一定期間使用しても改善が見られない場合や、炎症が強いニキビ、繰り返しできるニキビの場合は、皮膚科を受診することをおすすめします。

自己判断で長期間使用し続けると、かえって肌に負担をかけてしまう可能性もあります。薬剤師や登録販売者に相談し、用法・用量を守って正しく使用することが大切です。

以上

名古屋のニキビ治療なら【こばとも皮膚科】栄駅すぐ|保険診療・美容皮膚科対応

参考文献

WILLIAMS, Christina; LAYTON, Alison M. Persistent acne in women: implications for the patient and for therapy. American journal of clinical dermatology, 2006, 7: 281-290.

DRENO, Brigitte, et al. Female type of adult acne: Physiological and psychological considerations and management. JDDG: Journal der Deutschen Dermatologischen Gesellschaft, 2018, 16.10: 1185-1194.

GOLLNICK, H. P., et al. A consensus‐based practical and daily guide for the treatment of acne patients. Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology, 2016, 30.9: 1480-1490.

DURAIRAJ, Akiladevi; ELUMALAI, Karthikeyan; SHANMUGAM, Anandakumar. Cystic acne treatment: A comprehensive review. Medicine Advances, 2023, 1.4: 318-329.

CAMPEN, Rebecca B. The Comprehensive Guide to Skin Care: From Acne to Wrinkles, what to Do (and Not Do) to Stay Healthy and Look Your Best. Bloomsbury Publishing USA, 2009.

RAVISANKAR, P., et al. Acne-causes and amazing remedial measures for acne. J Pharm Res, 2015, 5: 209-301.

DRÉNO, B., et al. Adult female acne: a new paradigm. Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology, 2013, 27.9: 1063-1070.

ROCHA, Marco A.; BAGATIN, Ediléia. Adult-onset acne: prevalence, impact, and management challenges. Clinical, cosmetic and investigational dermatology, 2018, 59-69.

LEUNG, Alexander KC, et al. Dermatology: how to manage acne vulgaris. Drugs in context, 2021, 10.

BAGATIN, Edileia, et al. Adult female acne: a guide to clinical practice. Anais brasileiros de dermatologia, 2019, 94: 62-75.

免責事項

当院の医療情報について

当記事は、医療に関する知見を提供することを目的としており、当院への診療の勧誘を意図したものではございません。治療についての最終的な決定は、患者様ご自身の責任で慎重になさるようお願いいたします。

掲載情報の信頼性

当記事の内容は、信頼性の高い医学文献やガイドラインを参考にしていますが、医療情報には変動や不確実性が伴うことをご理解ください。また、情報の正確性には万全を期しておりますが、掲載情報の誤りや第三者による改ざん、通信トラブルなどが生じた場合には、当院は一切責任を負いません。

情報の時限性

掲載されている情報は、記載された日付の時点でのものであり、常に最新の状態を保証するものではありません。情報が更新された場合でも、当院がそれを即座に反映させる保証はございません。

ご利用にあたっての注意

医療情報は日々進化しており、専門的な判断が求められることが多いため、当記事はあくまで一つの参考としてご活用いただき、具体的な治療方針については、お近くの医療機関に相談することをお勧めします。

大垣中央病院・こばとも皮膚科

  • URLをコピーしました!
目次