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潰れない「しこりニキビ」を針で潰すのは危険?血抜きや芯出しの正しい対処法

潰れない「しこりニキビ」を針で潰すのは危険?血抜きや芯出しの正しい対処法

触れると鈍い痛みを感じるのに、いくら押してもビクともしない硬いしこりニキビ。鏡を見るたびに憂鬱になり、「針で刺して中の膿や血を出してしまいたい」という衝動に駆られる方は少なくありません。

しかし、自己流の排膿は取り返しのつかない傷跡を残す最大のリスク要因です。なぜしこりニキビが潰れないのかという皮膚科学的な理由から、家庭で行うべき正しいケアを知ることが重要です。

美容皮膚科医が推奨する根本的な解決策までを網羅的に解説します。一刻も早く痛みと腫れから解放されたいあなたに、確かな道筋を示します。

目次

しこりニキビが硬くて潰れない皮膚科学的な理由と構造

しこりニキビが硬いのは、炎症が真皮層まで達し、組織が線維化しているためです。単純な皮脂詰まりとは異なる複雑な構造を理解することで、なぜ表面的なケアでは解決しないのかが明確になります。

炎症が真皮層まで達している深刻さ

通常のニキビ(尋常性ざ瘡)は、毛穴の比較的浅い部分で皮脂が詰まり、そこでアクネ菌が増殖して炎症を起こします。しかし、しこりニキビの場合、炎症の及ぶ範囲が表皮を超えて、その下にある「真皮層」にまで達しています。

真皮層はコラーゲンやエラスチンといった肌の弾力を司る組織が存在する場所であり、血管や神経も豊富に通っています。

炎症がこの深い層で拡大すると、周囲の組織が破壊されると同時に、激しい炎症反応によって組織が浮腫(むくみ)を起こします。表面からは単なる「腫れ」に見えますが、内部では組織がダメージを受け続けています。

皮膚状態の比較

ニキビの種類炎症の深度触感と特徴
白ニキビ・黒ニキビ表皮層(浅い)芯が見えるが痛みはなく、圧出で容易に出る
赤ニキビ表皮~真皮上層熱を持ち腫れているが、まだ柔らかさがある
しこりニキビ(嚢腫)真皮深層~皮下組織硬結があり、押すと奥に異物感がある。出口がない

出口のない閉鎖空間で膿や血液、リンパ液が溜まっている状態です。出口が遥か遠い表面にあるため、いくら圧力をかけても内容物が排出されることはありません。

線維化による組織の硬化現象

「しこり」として触れる硬さの正体は、炎症に対する身体の防御反応の結果です。炎症が長引くと、身体は破壊された組織を修復しようとして、過剰なコラーゲン線維を作り出します。これを「線維化」と呼びます。

傷口が治った後に硬くなる現象と同じ原理が、皮膚の内部で起こっているのです。線維化した組織は非常に強固で、周囲の正常な細胞との間に壁を作ります。この壁がカプセルのような役割を果たし、内部の炎症物質を閉じ込めてしまいます。

この状態になると、もはやニキビというよりは良性の腫瘍に近い物理的な特性を持ち始めます。指で押しても潰れないのは、この線維性の壁が頑丈であり、内容物が流動性を失っているか、あるいは深部に隔離されているからです。

袋状構造の破裂による深部への拡散

毛穴の内部(毛包)は本来、筒状の構造をしていますが、炎症によって毛包壁が破裂することがあります。これを専門的には「毛包壁の破壊」と呼びます。毛包が破れると、内容物である皮脂、角質、細菌、膿などが真皮内の周囲組織へ漏れ出します。

漏れ出した異物に対して免疫細胞が一斉に攻撃を仕掛けるため、さらに強力な炎症が引き起こされます。この反応によって、複数の毛穴が皮膚の下でトンネルのように繋がり、巨大な嚢腫(のうしゅ)を形成することがあります。

これが融合したしこりニキビの正体です。表面に見える毛穴の出口とは無関係に、皮膚の下で炎症が広がっているため、表面的なアプローチでは決して解決しない状態に陥っています。

自己判断で針を使って潰す行為の危険性とリスク

早く治したい一心で、裁縫針や安全ピンを使って無理やりしこりニキビを開通させようとすることは、自傷行為に等しい危険をはらんでいます。医療機関以外での穿刺(せんし)が引き起こす細菌感染や組織破壊について警告します。

細菌感染による二次被害の拡大

家庭にある針をライターで炙ったり、アルコールで拭いたりした程度では、完全な滅菌状態を作ることは不可能です。皮膚の表面には常に常在菌が存在しており、不十分な消毒状態で針を刺すことは、化膿菌を自ら真皮の奥深くへと送り込む行為になります。

特にしこりニキビのような深部で炎症が起きている場所に新たな細菌が侵入すると、「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」や「面疔(めんちょう)」といった重篤な感染症を引き起こす可能性があります。

自己処理によるトラブル一覧

  • 不完全な消毒による細菌感染の重症化および範囲の拡大
  • 無理な圧出による真皮組織の断裂とクレーター(凹み)の形成
  • 毛細血管の破壊による長期的な赤みと紫色の色素沈着
  • 炎症の慢性化による肥厚性瘢痕(盛り上がった傷跡)の発生

顔面の血管は脳へと繋がっている部分もあり、鼻や口周りの感染は全身への影響も懸念されます。単なるニキビの悪化にとどまらず、医療機関での抗生物質点滴が必要になるケースさえあります。

圧力による炎症物質の深部拡散

針で穴を開けたとしても、しこりニキビの内容物は粘性が高く、また深い場所に存在するため、スムーズには出てきません。結果として、指や器具を使って強い力で絞り出すことになります。この「絞り出す圧力」が最大の問題です。

上から強い圧力をかけると、膿は出口である上方向だけでなく、組織の抵抗が少ない下方向(肌の奥)や横方向へも移動します。その結果、これまで保たれていた隔壁が破れ、炎症物質が周囲の健康な組織へと爆発的に広がります。

これを繰り返すことで、ニキビはより大きく、より複雑な形状へと変化し、治癒までの期間が数ヶ月単位で延びてしまいます。

クレーター状の瘢痕(はんこん)が残る不可逆的な損傷

真皮層の組織が破壊されると、皮膚は修復過程で収縮します。無理な圧出によって真皮組織が欠損すると、皮膚の表面が陥没し、いわゆる「クレーター(萎縮性瘢痕)」が形成されます。一度クレーターになってしまった皮膚は、自然治癒で元に戻ることはありません。

また、過剰な刺激は色素細胞(メラノサイト)を活性化させ、濃い茶色や紫色の色素沈着を長期間残します。しこりニキビを無理に潰した場所が、数年経ってもシミのように残っているのはこのためです。

針を使うという行為は、一生残る傷跡を自ら刻み込むリスクを冒しているのと同じことであると認識する必要があります。

「血抜き」や「芯出し」という民間療法の誤解と真実

「血抜きをすると早く治る」「芯を抜けば完治する」といった情報は、医学的根拠に乏しいか、プロの処置を誤解したものです。ここでは、自己流の排膿行為がいかに無意味であり、治癒を妨げる行為であるかを医学的視点から説明します。

「悪い血」という概念の医学的否定

ニキビを潰した際に出る血液や透明な液体を見て、「悪い血が出たから良くなる」と考える方がいますが、これは大きな誤解です。排出されているのは、炎症によって拡張し傷ついた毛細血管からの出血と、血管から滲み出した血漿成分(浸出液)です。

これらは「毒素」ではなく、むしろ傷を治そうとして集まってきた修復因子を含んだ体液です。意図的に出血させる「血抜き」を行っても、炎症の原因であるアクネ菌や過剰な皮脂が除去されるわけではありません。

出血するまで皮膚を傷つけることで、創傷治癒の負担を増やし、かさぶたを作る原因となります。かさぶたは毛穴を塞ぎ、皮脂の排出をさらに妨げるため、結果としてニキビの再発を招く悪循環に陥ります。

「芯」の正体と無理な除去の弊害

一般的に「ニキビの芯」と呼ばれているものは、角栓(コメド)や、炎症によって生じた膿の塊です。初期のニキビであれば、この角栓がポロリと取れることもありますが、しこりニキビの場合、明確な固形の「芯」が存在するわけではありません。

内部はドロドロとした膿、壊死した組織、血液が混ざり合った混合物であり、「芯を抜けば終わる」という単純な構造ではないのです。「芯が残っている気がする」といって執拗に触り続けることは、炎症を起こしている組織を物理的に刺激し続けることになります。

しこりとして感じる硬さは、前述の通り線維化した組織そのものである場合が多く、これを無理に除去しようとすることは、自分の肉体の一部を引きちぎるような行為です。

医療現場での排膿と自己流の違い

美容皮膚科でも「面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)」や切開排膿を行うことはあります。しかし、これは医師が「排膿が可能であり、かつ有効である」と判断した場合に限られます。レーザーや極細の医療用メスを用いて確実な出口を作成し、垂直方向に適切な圧のみをかけて行います。

民間療法と医療的処置の対比

項目自己流の血抜き・芯出し医療機関での排膿・切開
目的と手法感覚的に内容物を絞り出す解剖学に基づき出口を作り導出する
衛生環境不十分な消毒で感染リスク大滅菌環境下で二次感染を防ぐ
処置後の状態組織が挫滅し、傷跡が残る最小限の切開で治癒を早める

医療現場では、排膿後の空洞化した組織に対して適切な抗炎症剤を注入したり、感染予防の処置を行ったりします。自己流の「血抜き」や「芯出し」は、破壊行為のみを行ってアフターケアをしない状態であり、医療行為とは似て非なるものです。見よう見まねで真似をすることは避けることが重要です。

自宅でできる安全かつ効果的な応急処置

医療機関に行くまでの間、自宅で行うべきは「鎮静」と「保護」です。積極的に治そうとする攻撃的なケアではなく、悪化させないための守りのケアを徹底することで、早期治癒を助けます。

患部の冷却による炎症抑制

しこりニキビが熱を持ち、ズキズキと痛む急性期には、患部を冷やすことが有効です。保冷剤を清潔なガーゼやハンカチで包み、患部に数分間当てては離すという動作を繰り返します。冷却することで血管が収縮し、炎症物質の過剰な放出や腫れを一時的に抑えることができます。

ただし、冷やしすぎは凍傷のリスクや血行不良による治癒遅延を招くため、1回あたり5分から10分程度を目安にし、長時間連続で当て続けないよう注意が必要です。痛みが強い時のみの対処療法として活用してください。

ノンコメドジェニック製品での保湿と保護

ニキビができている肌はバリア機能が低下しており、乾燥が大敵です。乾燥すると角質が硬くなり、毛穴がさらに詰まりやすくなるため、適切な保湿が必要です。使用するスキンケア製品は、ニキビの元になりにくいことがテストで確認された「ノンコメドジェニックテスト済み」の表記があるものを選びます。

化粧水や乳液をつける際は、患部を擦らないように優しくハンドプレスします。オイル系の濃厚なクリームやバームは、油分がアクネ菌の餌になりやすいため、しこりニキビの上には厚塗りしないように避けるのが賢明です。

自宅ケアの行動指針

  • 熱感や痛みがある場合は、清潔な保冷剤で間欠的に冷却する
  • 洗顔時はスクラブやブラシを避け、たっぷりの泡で摩擦レスに洗う
  • ノンコメドジェニックテスト済みの製品で水分バランスを整える
  • 枕カバーやシーツを毎日交換し、寝具による細菌の付着を防ぐ
  • 髪の毛が患部に触れないよう、ピンやゴムでまとめて過ごす

抗炎症成分配合の市販薬の適切な使用

ドラッグストアで購入できる市販薬(OTC医薬品)を使用する場合は、成分選びが重要です。「イブプロフェンピコノール」や「グリチルリチン酸」などの抗炎症成分が配合されたものを選びます。これらは炎症の赤みや腫れを抑える効果が期待できます。

一方、角質を柔らかくする「硫黄」や殺菌作用の強い成分は、乾燥や刺激の原因になることがあるため、しこりニキビの状態によっては逆効果になる場合もあります。説明書をよく読み、患部にピンポイントで塗布し、広範囲に塗り広げないことが大切です。数日使用しても変化がない場合は直ちに使用を中止してください。

美容皮膚科で受けられる根本治療の選択肢

セルフケアの限界を超えたしこりニキビには、専門医による介入が必要です。炎症を一気に鎮める即効性のある注射から、皮脂腺自体に働きかける内服療法まで、美容皮膚科で提供される代表的な解決策を紹介します。

ステロイド局所注射(ケナコルト注射)

今あるしこりニキビを「とにかく早く治したい」という場合に、最も強力な選択肢となるのがステロイド局所注射です。強力な抗炎症作用を持つ薬剤(トリアムシノロンアセトニドなど)を、極細の針でしこりの中心部に直接注入します。

専門治療の特徴比較

治療法即効性主な作用機序
ステロイド局所注射非常に高い(1~3日)強力な抗炎症作用で腫れを強制的に鎮静化
炭酸ガスレーザー排膿高い(処置直後)熱エネルギーでの開孔と物理的な膿の排出
イソトレチノイン内服中程度(数週間~)皮脂腺の萎縮による根本的な皮脂抑制

この治療の最大の特徴は即効性です。注入後、早ければ翌日、遅くとも数日以内には炎症が劇的に引き、しこりが平坦化していきます。痛みや赤みも速やかに消失します。ただし、薬剤の濃度や量を誤ると皮膚が凹む副作用のリスクがあるため、経験豊富な医師による施術が必要です。

炭酸ガスレーザーによる排膿と圧出

膿が溜まっているものの出口がない場合、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)を用いて皮膚に微細な穴を開け、そこから内容物を排出させる方法です。針で刺すよりも出血が少なく、熱エネルギーによる殺菌効果も期待できるため、治癒が早まります。

穴を開けた後は、専用の器具で圧出し、膿や古くなった角質、血餅(けっぺい)を完全に取り除きます。物理的に原因物質を除去するため、いつまでも治らないズキズキした痛みから解放されます。処置後は小さなテープを貼って保護しますが、傷跡は数日でふさがり、ニキビ跡も最小限に抑えられます。

イソトレチノイン内服療法

繰り返し同じ場所に巨大なしこりニキビができる重症例や、顔全体に難治性のニキビが多発している場合、イソトレチノイン(アキュテイン、ロアキュテイン等)という内服薬が検討されます。これはビタミンA誘導体であり、皮脂腺を強力に萎縮させ、皮脂分泌を劇的に抑制する作用があります。

欧米ではニキビ治療の切り札として標準的に使われていますが、日本では保険適用外の治療となります。また、副作用への懸念から、服用期間中の避妊が絶対条件となるなど、厳格な管理下での服用が必要です。しかし、その効果は極めて高く、長期間にわたってニキビができにくい肌質を維持できる可能性があります。

しこりニキビを繰り返さないための予防と生活習慣

治療後の再発を防ぐには、「しこりニキビを作らせない」身体づくりが必要です。日々の食事選びや睡眠の質、ストレス管理など、内側からのアプローチで肌環境を根本から整える方法を提案します。

血糖値を急上昇させない食生活の選択

食事とニキビの関係は深く、特に「高GI値(グリセミック・インデックス)」の食品はニキビ悪化の大きな要因です。砂糖たっぷりの菓子、白米、パン、麺類などを摂取して血糖値が急激に上がると、インスリンというホルモンが大量に分泌されます。

インスリンは皮脂腺を刺激し、皮脂の過剰分泌を引き起こします。しこりニキビができやすい方は、低GI食品(玄米、全粒粉パン、蕎麦など)を中心に選び、食べる順番も野菜(食物繊維)から先に摂る「ベジファースト」を心がけることが大切です。

皮膚の健康維持に必要な栄養素

栄養素主な働き多く含む食品
ビタミンB群(B2, B6)皮脂分泌のコントロール、脂質代謝の促進レバー、カツオ、マグロ、納豆、卵
ビタミンAターンオーバーの正常化、皮膚粘膜の保護緑黄色野菜(人参、ほうれん草)、うなぎ
ビタミンCコラーゲン生成、活性酸素の除去、色素沈着予防赤ピーマン、ブロッコリー、キウイ、柑橘類

また、乳製品も人によっては炎症を助長する因子となる場合があるため、過剰摂取を控え、豆乳などに置き換えて様子を見るのも一つの手段です。

角質肥厚を防ぐピーリングケアの導入

しこりニキビの始まりは、毛穴の詰まりです。毛穴が詰まる最大の原因は、ターンオーバーの乱れによる「角質肥厚(かくしつひこう)」です。古くなった角質が剥がれ落ちずに肌表面に留まると、毛穴の出口を塞いでしまいます。

これを防ぐためには、定期的な角質ケアが有効です。サリチル酸(BHA)やグリコール酸(AHA)が配合された洗顔料や美容液を取り入れることで、古い角質を化学的に緩めて排出しやすくします。

ただし、炎症が起きている真っ只中のしこりニキビに対して強いピーリングを行うと刺激になるため、予防目的として肌の状態が良い時に行うか、クリニックで医療機関専用のピーリングを受けることが推奨されます。

コルチゾールを抑制するストレス管理と睡眠

ストレスを感じると、体内では「コルチゾール」という抗ストレスホルモンが分泌されます。このコルチゾールは、同時に男性ホルモンの分泌も促してしまう作用があり、結果として皮脂量が増え、皮膚が硬くなります。

生理前や忙しい時期に顎周りにしこりニキビができやすいのは、このホルモンバランスの影響が強いためです。質の高い睡眠は、成長ホルモンの分泌を促し、ダメージを受けた皮膚細胞の修復を行います。日付が変わる前に就寝し、最低でも6時間以上の睡眠時間を確保することは、どんな高価な美容液よりも確実な肌質改善策です。

医師の診察を受けるべきタイミングの目安

しこりニキビは放置すればするほど治療難易度が上がり、傷跡のリスクが高まります。セルフケアで様子を見て良いのか、直ちに受診すべきなのか、その境界線となる具体的な判断基準を提示します。

痛みが強く日常生活に支障がある場合

洗顔をする時に触れるだけで激痛が走る、あるいは何もしなくてもズキズキと脈打つような痛みがある場合は、炎症が極めて強く、膿瘍(のうよう)を形成している可能性が高い状態です。

この段階まで進むと、市販薬や冷却だけでは鎮静化が難しく、内服の抗生物質や切開排膿が必要です。痛みを我慢することはストレスとなり、さらなる悪化を招くため、痛みをサインとして受診を決断してください。

受診を検討すべきチェックリスト

  • 触らなくてもズキズキとした自発痛がある
  • 直径が5mm以上の大きな硬結がある
  • 市販薬を1週間使用しても改善の兆しがない
  • 過去に同じ場所で潰して傷跡になった経験がある
  • 顎ラインやフェイスラインに多発している

しこりが2週間以上消えない、または大きくなっている場合

通常のニキビであれば、1週間程度で枯れていくか、自然に排膿されます。しかし、2週間経過しても変化がない、あるいは徐々に大きくなっている場合は、内部で嚢胞(のうほう)という袋が形成され、慢性的炎症状態に陥っています。

また、しこり同士が繋がって大きくなっている場合も要注意です。これは「集簇性(しゅうぞくせい)ざ瘡」と呼ばれる重症型に移行している可能性があり、放置するとケロイド状の大きな傷跡を残すことになります。

長期化しているしこりは、粉瘤(アテローム)などニキビ以外の腫瘍である可能性もゼロではないため、診断を受ける意味でも受診が必要です。

同じ場所に何度も繰り返しできる場合

治ったと思っても、数週間〜数ヶ月後に全く同じ場所に再発する場合、その毛穴の構造自体がいびつに変形しているか、袋状の組織が皮下に残存している可能性が高いと言えます。

これを完治させるには、単なる塗り薬ではなく、レーザーや高周波治療(アグネス等)を用いて、原因となっている皮脂腺そのものを破壊するような根本治療が必要になることがあります。繰り返すサイクルを断ち切るためには、医療の力が必要です。

よくある質問

メイクで隠しても大丈夫ですか?

しこりニキビの上からファンデーションやコンシーラーを厚塗りすることは、基本的には避けるべきです。油分が毛穴を塞ぎ、洗顔時の摩擦負担も増えるため、治りを遅らせる原因になります。

どうしてもメイクが必要な場合は、患部を避けるか、石鹸で落とせるミネラルコスメや、ニキビ用の薬用コンシーラーを使用するなどして、皮膚への負担を最小限に留める工夫が必要です。帰宅後は直ちにメイクオフし、肌を休ませることが重要です。

ニキビパッチはしこりニキビに効果がありますか?

ニキビパッチには、浸出液を吸収するタイプや薬剤が含まれているタイプがありますが、深い部分に炎症があるしこりニキビに対しては、根本的な解決策にはなりにくいのが現状です。

むしろ、長時間貼り続けることで患部が蒸れ、嫌気性菌であるアクネ菌の増殖を助長してしまうリスクもあります。無意識に触ってしまう癖がある場合に、物理的な保護として短時間使用する程度に留め、治療目的での過度な期待は避けるべきです。

歯磨き粉を塗ると治るという噂は本当ですか?

歯磨き粉に含まれるメントール等の成分がスースーするため、効いているように感じるかもしれませんが、医学的根拠はありません。むしろ、研磨剤や発泡剤、フッ素などの成分が、炎症を起こしているデリケートな皮膚に対して強い刺激となり、悪化させる危険性が高いです。

接触性皮膚炎(かぶれ)を引き起こす可能性もあるため、食品や日用品を民間療法として塗布することは避け、医薬品を使用してください。

しこりニキビが治った後のしこりが残り続けています。どうすれば消えますか?

炎症が治まった後も、硬いしこりだけが残ることがあります。これは瘢痕組織(はんこんそしき)と呼ばれるもので、炎症によって作られたコラーゲンの塊です。自然に吸収されて柔らかくなるまでには、数ヶ月から数年単位の長い時間が必要です。

早く改善したい場合は、美容皮膚科でのステロイド注射(ケナコルト)が有効です。注射によって過剰なコラーゲン線維を萎縮させ、平らにすることが可能です。

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