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ニキビの種類と症状の見分け方:タイプ別ケア方法も紹介

ニキビの種類と症状の見分け方:タイプ別ケア方法も紹介

ニキビは多くの女性が経験する肌悩みの一つです。しかし、「ニキビ」と一言でいっても、その種類や症状は様々で、それぞれに適したケア方法が異なります。

この記事では、ニキビの種類ごとの特徴や見分け方、そしてタイプ別の正しいケア方法について詳しく解説します。ご自身のニキビの状態を正しく理解し、適切なスキンケアを行うことで、健やかな肌を目指しましょう。

ニキビの症状を悪化させないための生活習慣や、ニキビ跡を防ぐためのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

ニキビとは何か 基本を知ろう

ニキビは、医学的には「尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)」と呼ばれる皮膚の病気です。主に顔や胸、背中など皮脂腺が多い部分に発生します。

多くの方が一度は経験する身近な肌トラブルですが、その発生にはいくつかの要因が関わっています。まずは、ニキビの基本的な知識を深めましょう。

ニキビの定義と発生部位

ニキビは、毛穴に皮脂が詰まり、そこにアクネ菌が増殖することで炎症が起こる状態を指します。思春期だけでなく、大人になってからも様々な原因で発生することがあります。

特に顔では、額、鼻、あご(TゾーンやUゾーン)にできやすい傾向があります。これらの部位は皮脂の分泌が活発なため、ニキビが発生しやすい環境と言えます。

毛穴の構造とニキビの関係

私たちの皮膚には無数の毛穴が存在し、毛穴の奥には皮脂を分泌する皮脂腺があります。皮脂は肌の潤いを保つために必要なものですが、過剰に分泌されたり、毛穴の出口が角質などで塞がれたりすると、毛穴の中に皮脂が溜まってしまいます。

この溜まった皮脂が、ニキビの始まりである「コメド(面皰)」を形成します。

毛穴の詰まりが引き起こす初期変化

毛穴の出口が完全に塞がれていない場合でも、古い角質や汚れが皮脂と混ざり合うことで、毛穴は詰まりやすくなります。この状態が進行すると、目に見えるニキビへと発展していきます。

初期の段階で適切なケアを行うことが、ニキビの悪化を防ぐ鍵となります。

ニキビは皮膚の病気

ニキビは単なる肌荒れではなく、治療が必要な皮膚の病気の一つです。放置したり、間違ったケアを続けたりすると、症状が悪化し、ニキビ跡として残ってしまうこともあります。

ニキビの種類や症状を正しく理解し、適切な対応をすることが大切です。

自己判断でニキビを潰したり、刺激の強いケアをしたりすることは避けましょう。症状によっては皮膚科専門医に相談することが推奨されます。

ニキビができる主な原因

ニキビが発生する背景には、複数の要因が複雑に絡み合っています。主な原因を理解することで、ニキビ予防や対策に繋げることができます。

皮脂の過剰分泌

皮脂は肌を乾燥から守るバリア機能の役割を担っていますが、その分泌量が多すぎると毛穴詰まりの原因となります。皮脂の分泌は、ホルモンバランスの影響を強く受けます。

ホルモンバランスの乱れ

特に思春期には、成長ホルモンの影響で男性ホルモンの分泌が活発になり、皮脂量が増加します。また、女性の場合、生理周期によってプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増えると、皮脂分泌が促進されることがあります。

ストレスや睡眠不足もホルモンバランスを乱し、皮脂の過剰分泌を引き起こす要因となります。

食生活の偏り

脂質の多い食事や糖質の過剰摂取は、皮脂腺を刺激し、皮脂の分泌を増やす可能性があります。バランスの取れた食生活を心がけることが、皮脂コントロールにも繋がります。

毛穴の詰まり

毛穴の出口が塞がれると、皮脂がスムーズに排出されず、毛穴内部に溜まってしまいます。これがニキビの直接的な原因の一つです。

ターンオーバーの乱れ

肌のターンオーバー(新陳代謝)が乱れると、古い角質が自然に剥がれ落ちにくくなり、毛穴の出口を塞いでしまうことがあります。乾燥や紫外線、睡眠不足などがターンオーバーを乱す原因として挙げられます。

メイク汚れや古い角質

メイクをしっかり落とせていなかったり、洗顔が不十分で古い角質が残っていたりすると、それらが毛穴を塞ぎ、ニキビの原因となります。毎日のクレンジングと洗顔を丁寧に行うことが重要です。

アクネ菌の増殖

アクネ菌(Propionibacterium acnes)は、皮膚にもともと存在する常在菌の一種です。普段は問題を起こしませんが、毛穴が詰まり皮脂が溜まった環境では、皮脂を栄養源として過剰に増殖します。

アクネ菌の役割と炎症

増殖したアクネ菌は、リパーゼという酵素を放出し、皮脂を遊離脂肪酸に分解します。この遊離脂肪酸やアクネ菌自体が炎症を引き起こす物質を産生し、毛穴の周りに炎症反応(赤み、腫れ)を引き起こします。

これが赤ニキビや黄ニキビといった炎症性ニキビの状態です。

その他の要因

上記以外にも、ニキビの発生や悪化には様々な要因が関わっています。

遺伝的要因

ニキビのできやすさには、肌質など遺伝的な要素も関係すると言われています。家族にニキビで悩んだ方がいる場合、体質的にニキビができやすい可能性があります。

間違ったスキンケア

肌に合わない化粧品の使用や、ゴシゴシと強く洗顔するなどの間違ったスキンケアは、肌のバリア機能を低下させ、ニキビを悪化させる原因になります。自分の肌質に合った優しいケアを心がけましょう。

睡眠不足や生活リズムの乱れ

睡眠不足はホルモンバランスの乱れや肌のターンオーバーの遅延を招き、ニキビの発生・悪化に繋がります。規則正しい生活を送ることが、健やかな肌を保つためには必要です。

ニキビの種類と見分け方

ニキビは、その進行段階や炎症の有無によっていくつかの種類に分けられます。それぞれの特徴を理解し、自分のニキビがどのタイプに当てはまるかを見分けることが、適切なケアの第一歩です。

ニキビの進行段階

ニキビは、目に見えない初期段階から始まり、徐々に進行していきます。進行段階を把握することで、より効果的な対策を講じることができます。

初期段階のニキビ マイクロコメド

マイクロコメドは、毛穴の出口がわずかに狭まり、皮脂が微量に溜まり始めた状態です。肉眼ではほとんど確認できませんが、この段階からニキビのサイクルは始まっています。

炎症のないニキビ(面皰 コメド)

炎症を伴わない初期のニキビで、「コメド」または「面皰(めんぽう)」と呼ばれます。この段階で適切にケアすれば、炎症を起こす前に改善できる可能性があります。

白ニキビ(閉鎖面皰)

白ニキビは、毛穴の出口が完全に閉じた状態で、内部に皮脂が溜まって白く小さく盛り上がったものです。触るとポツポツとした感触があります。

炎症は伴いませんが、放置するとアクネ菌が増殖し、炎症性の赤ニキビに進行することがあります。

黒ニキビ(開放面皰)

黒ニキビは、毛穴の出口が開いており、溜まった皮脂が空気に触れて酸化し、黒く見える状態です。白ニキビ同様、炎症はありませんが、毛穴が開いているため、汚れが入りやすく、炎症を引き起こす可能性があります。

炎症のあるニキビ

コメドが悪化し、アクネ菌が増殖して炎症を起こした状態のニキビです。赤みや腫れ、痛みを伴うことがあります。

赤ニキビ(紅色丘疹)

赤ニキビは、白ニキビや黒ニキビが悪化し、毛穴の周囲で炎症が起きて赤く腫れ上がった状態です。触ると軽い痛みを感じることがあります。この段階で無理に潰すと、ニキビ跡が残りやすくなるため注意が必要です。

黄ニキビ(膿疱)

黄ニキビは、赤ニキビの炎症がさらに進行し、毛穴の中に膿が溜まって黄色く見える状態です。膿疱(のうほう)とも呼ばれます。炎症が強く、痛みも伴いやすいのが特徴です。

ここまで進行すると、ニキビ跡になるリスクが非常に高くなります。

さらに悪化した状態

黄ニキビがさらに悪化すると、炎症が皮膚の深い部分にまで及び、硬くしこりのようになったり(結節)、膿が袋状に溜まったり(嚢腫)することがあります。

これらは「紫ニキビ」とも呼ばれ、治癒後も凹凸のあるニキビ跡(クレーター)を残しやすい重症な状態です。この段階では、速やかに皮膚科専門医の診察を受けることが重要です。

ニキビの種類早見表

スクロールできます
種類炎症の有無主な特徴
白ニキビ(閉鎖面皰)なし毛穴が閉じ、皮脂が溜まっている。小さな白い点状。
黒ニキビ(開放面皰)なし毛穴が開き、皮脂が酸化して黒く見える。
赤ニキビ(紅色丘疹)あり炎症を起こし赤く腫れている。軽い痛みを伴うことも。
黄ニキビ(膿疱)あり炎症が悪化し、中心に黄色い膿が溜まっている。痛みが強いことも。
紫ニキビ(結節・嚢腫)紫~赤黒あり(重度)皮膚の深い部分で炎症。硬いしこりや膿の袋。

【種類別】ニキビの症状と特徴

ニキビの種類によって、見た目だけでなく、痛みやかゆみの有無、放置した場合の進行リスクなどが異なります。それぞれの症状と特徴を詳しく見ていきましょう。

白ニキビの症状と特徴

白ニキビは、直径1~3mm程度の白いポツポツとした隆起として現れます。通常、痛みやかゆみはほとんどありません。しかし、毛穴が完全に閉じているため、皮脂が排出されにくく、アクネ菌の温床となりやすい状態です。

放置したり、不適切なケアをしたりすると、炎症を起こして赤ニキビへと進行する可能性が高いです。

白ニキビの見た目と感触

肌の表面に小さな白い点が見え、指で触れるとわずかな盛り上がりを感じます。無理に押し出そうとすると、皮膚を傷つけたり、炎症を悪化させたりする原因になるため避けましょう。

黒ニキビの症状と特徴

黒ニキビは、白ニキビと同様に初期のニキビですが、毛穴の入り口が開いている点が異なります。毛穴に詰まった皮脂や角質が空気に触れて酸化し、黒く変色したものです。痛みやかゆみは伴いません。

白ニキビに比べて炎症を起こしにくいと言われることもありますが、毛穴が開いているため外部からの刺激を受けやすく、やはり赤ニキビに進行する可能性があります。

黒ニキビの酸化の仕組み

皮脂に含まれる不飽和脂肪酸などが酸素と結びつくことで酸化反応が起こり、メラニン色素とは異なる黒ずみが生じます。洗顔で無理に取ろうとすると肌を傷めることがあるため、優しくケアすることが大切です。

赤ニキビの症状と特徴

赤ニキビは、毛穴の中でアクネ菌が増殖し、炎症が起きた状態です。皮膚が赤く盛り上がり、触れると熱感や痛みを感じることがあります。炎症の範囲や強さによって、ニキビの大きさや赤みの程度は異なります。

この段階になると、セルフケアだけでは改善が難しくなることもあり、ニキビ跡を残さないためには早めの対処が求められます。

赤ニキビの炎症反応

アクネ菌が作り出す物質が、白血球などの免疫細胞を呼び寄せ、炎症反応を引き起こします。この反応が赤みや腫れ、痛みの原因となります。

黄ニキビの症状と特徴

黄ニキビは、赤ニキビの炎症がさらに進み、毛穴の中に白血球の死骸や細菌などが混ざった膿が溜まった状態です。ニキビの中心部が黄色く見え、周囲は赤く腫れています。炎症が強く、痛みを伴うことが多いです。

黄ニキビを自分で潰すと、細菌が周囲に広がり、新たなニキビの原因になったり、炎症が悪化してクレーター状のニキビ跡を残したりするリスクが非常に高いため、絶対に避けましょう。

黄ニキビの膿と細菌感染

膿は、細菌と戦った白血球の残骸です。黄ニキビの状態は、毛包壁が破壊されやすく、炎症が真皮層にまで及ぶ可能性を示唆しています。この段階では皮膚科専門医の指導のもと、適切な治療を受けることが重要です。

炎症性ニキビの進行度と症状

進行度ニキビの種類主な症状
軽度赤ニキビ初期小さな赤み、軽い腫れ、時々軽い痛み。数は少ない。
中等度赤ニキビ多数、一部黄ニキビ赤みが強く、数が増える。痛みを伴うことが多い。一部に膿が見られる。
重度黄ニキビ多数、結節・嚢腫膿が目立ち、大きく腫れる。痛みが強い。硬いしこりや深い膿の袋ができることも。

【種類別】ニキビの正しいケア方法

ニキビの種類や状態に合わせて適切なケアを行うことが、改善への近道です。基本的なスキンケアを丁寧に行うことを前提に、それぞれのニキビタイプに応じたポイントを押さえましょう。

基本的なスキンケアの重要性

ニキビケアの基本は、肌を清潔に保ち、適切な保湿を行い、紫外線から守ることです。これらはどのタイプのニキビにも共通する重要なポイントです。

  • 適切な洗顔
  • 十分な保湿
  • 紫外線対策

白ニキビ・黒ニキビのケア

白ニキビや黒ニキビは、毛穴の詰まりが主な原因です。そのため、毛穴の詰まりを解消し、新たな詰まりを防ぐケアが中心となります。

毛穴詰まりを防ぐ洗顔

古い角質や余分な皮脂を穏やかに取り除く洗顔料を選びましょう。ピーリング効果のある成分(サリチル酸、フルーツ酸など)が配合された洗顔料や、クレイ(泥)配合の洗顔料も、毛穴の汚れを吸着する効果が期待できます。

ただし、肌への刺激が強いものは避け、優しく洗うことを心がけてください。

角質ケアのポイント

週に1~2回程度、拭き取り化粧水やピーリングジェルなどでスペシャルケアとして角質ケアを取り入れるのも良いでしょう。ただし、やりすぎは肌のバリア機能を損なう可能性があるため、肌の状態を見ながら頻度を調整します。

保湿の徹底

皮脂が多いからといって保湿を怠ると、肌が乾燥してかえって皮脂分泌が過剰になることがあります。

油分の少ない、さっぱりとした使用感の保湿剤(化粧水、ジェル、乳液など)でしっかりと水分を補給し、肌の水分と油分のバランスを整えましょう。

白・黒ニキビ向けスキンケア成分の例

成分名期待される効果使用上の注意点
サリチル酸(BHA)角質軟化、毛穴詰まり改善乾燥や刺激を感じる場合がある。濃度に注意。
グリコール酸(AHA)古い角質の除去、ターンオーバー促進ピリピリとした刺激を感じることがある。
ビタミンC誘導体皮脂分泌抑制、抗酸化作用種類によって刺激感が異なる。

赤ニキビのケア

赤ニキビは炎症が起きている状態なので、炎症を鎮め、刺激を与えないようにすることが最も重要です。自己判断で潰したり、強いマッサージをしたりするのは絶対に避けましょう。

抗炎症成分配合の化粧品

グリチルリチン酸ジカリウムやアラントインなど、炎症を抑える効果が期待できる成分が配合された化粧品を選びましょう。ニキビ用の薬用化粧品(医薬部外品)も選択肢の一つです。

刺激を避ける洗顔と保湿

洗顔時は、たっぷりの泡で優しく洗い、すすぎ残しがないように丁寧に洗い流します。タオルで水分を拭き取る際も、ゴシゴシこすらず、押さえるように優しく拭き取ります。

保湿も、低刺激性のものを選び、肌に負担をかけないようにしましょう。

触らない 潰さない

赤ニキビは気になって触ってしまいがちですが、手には雑菌が多く付着しているため、触ることでさらに炎症が悪化したり、他の場所にニキビが広がったりする可能性があります。

潰すと毛穴の壁が壊れ、炎症が周囲に広がり、ニキビ跡の原因になるため、絶対にやめましょう。

赤ニキビ向けスキンケア成分の例

成分名期待される効果ポイント
グリチルリチン酸ジカリウム抗炎症作用多くのニキビ用化粧品に配合。
アラントイン抗炎症作用、組織修復促進肌荒れを防ぐ効果も期待できる。
ティーツリーオイル抗菌作用、抗炎症作用天然成分。濃度や肌への相性を確認。

黄ニキビのケア

黄ニキビは炎症が強く、膿が溜まっている状態であり、セルフケアだけでの改善は難しいことが多いです。ニキビ跡を残さないためにも、早めに皮膚科専門医に相談することを強く推奨します。

自己判断での対処は避ける

黄ニキビを自分で潰すと、細菌が周囲の組織に広がり、炎症をさらに悪化させるだけでなく、クレーターのような深いニキビ跡を残すリスクが非常に高まります。絶対に自分で潰したり、針で刺したりしないでください。

清潔を保つ

肌を清潔に保つことは重要ですが、過度な洗顔や刺激は逆効果です。低刺激の洗顔料で優しく洗い、清潔なタオルで水分を拭き取ります。寝具なども清潔に保ちましょう。

皮膚科専門医への相談

黄ニキビが多発している場合や、一つでも大きく腫れている場合は、速やかに皮膚科を受診しましょう。医師の診断のもと、抗生物質の内服薬や外用薬、面皰圧出などの適切な治療を受けることが、早期改善とニキビ跡予防に繋がります。

黄ニキビの時に避けたいスキンケア行動

  • 自分でニキビを潰す、または触る
  • スクラブ入り洗顔料やピーリング製品の頻繁な使用
  • 油分の多いクリームやオイルの使用

ニキビケアの共通の注意点

注意点理由具体的な行動
強くこすらない摩擦は肌のバリア機能を低下させ、炎症を悪化させる。洗顔時は泡で優しく、タオルは押さえるように。
頻繁に洗いすぎない必要な皮脂まで奪い、乾燥を招き、かえって皮脂分泌を促す。洗顔は基本的に朝晩の2回で十分。
ニキビを潰さない炎症を悪化させ、細菌感染を広げ、ニキビ跡のリスクを高める。気になっても触らない、潰さないことを徹底する。

ニキビを悪化させないための生活習慣

スキンケアだけでなく、日々の生活習慣もニキビの状態に大きく影響します。バランスの取れた食事、質の高い睡眠、ストレス管理などを心がけ、ニキビができにくい体質を目指しましょう。

バランスの取れた食事

健康な肌を育むためには、バランスの取れた食事が基本です。特定の食品だけを摂取したり、極端に制限したりするのではなく、様々な栄養素をバランス良く摂ることが大切です。

積極的に摂りたい栄養素

ビタミンB群(特にB2、B6)は皮脂の分泌をコントロールし、肌のターンオーバーを整える働きがあります。ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、抗酸化作用により炎症を抑える効果が期待できます。

亜鉛は肌の新陳代謝を促し、免疫機能をサポートします。これらの栄養素を多く含む食品を意識して食事に取り入れましょう。

控えたい食事

血糖値を急激に上昇させる高GI食品(白米、パン、砂糖を多く含む菓子類など)は、インスリンの分泌を促し、皮脂腺を刺激する可能性があります。

また、脂質の多い食事やトランス脂肪酸を多く含む食品も、皮脂の質を悪化させたり、炎症を促進したりする可能性があるため、摂りすぎには注意が必要です。

ニキビと食事の関連性についての考え方

栄養素/食品群ニキビへの影響(良い/悪い/議論あり)多く含む食品の例
ビタミンB2、B6良いレバー、うなぎ、納豆、マグロ、カツオ、バナナ
ビタミンC良いパプリカ、ブロッコリー、キウイフルーツ、イチゴ
高GI食品悪い(可能性)白砂糖、菓子パン、清涼飲料水、白米
乳製品議論あり(個人差)牛乳、ヨーグルト、チーズ(過剰摂取に注意)

質の高い睡眠

睡眠中には成長ホルモンが分泌され、肌のターンオーバー(新陳代謝)が活発に行われます。

睡眠不足や質の低い睡眠は、このターンオーバーを乱し、古い角質が剥がれにくくなったり、肌のバリア機能が低下したりして、ニキビの発生や悪化に繋がります。

睡眠時間と肌のゴールデンタイム

一般的に、夜10時から深夜2時頃が肌のゴールデンタイムと言われてきましたが、最近では時間帯よりも「睡眠の深さ」が重要視されています。

毎日同じ時間に寝起きするなど、規則正しい睡眠習慣を身につけ、質の高い睡眠を確保するよう努めましょう。最低でも6~7時間の睡眠時間を確保することが望ましいです。

寝具の清潔さ

枕カバーやシーツは、汗や皮脂、雑菌が付着しやすいため、こまめに洗濯して清潔に保つことが大切です。汚れた寝具が肌に触れることで、ニキビが悪化する可能性があります。

ストレスマネジメント

過度なストレスは、自律神経やホルモンバランスを乱し、皮脂の過剰分泌を招いたり、免疫力を低下させたりして、ニキビを悪化させる要因となります。

日常生活でストレスを完全になくすことは難しいですが、自分なりのストレス解消法を見つけ、上手に付き合っていくことが重要です。

ストレスとホルモンバランスの関係

ストレスを感じると、体内でコルチゾールというホルモンが分泌されます。コルチゾールは、男性ホルモンのアンドロゲンの産生を促す作用があり、結果として皮脂分泌を増加させる可能性があります。

リラックス方法の見つけ方

趣味の時間を楽しむ、軽い運動をする、ゆっくり入浴する、好きな音楽を聴く、瞑想するなど、自分がリラックスできる方法を見つけて実践しましょう。友人や家族と話すことも、ストレス軽減に繋がります。

適切な運動

適度な運動は、血行を促進し、新陳代謝を高める効果があります。これにより、肌のターンオーバーが正常化し、老廃物の排出もスムーズになります。また、ストレス解消にも繋がり、ニキビ予防に良い影響を与えます。

運動の種類と頻度

ウォーキングやジョギング、ヨガなどの有酸素運動を、週に2~3回、1回30分程度行うのがおすすめです。無理のない範囲で継続することが大切です。

汗をかいた後のケア

運動で汗をかいた後は、そのまま放置せず、速やかにシャワーを浴びるか、清潔なタオルで汗を拭き取りましょう。汗や皮脂が肌に残っていると、雑菌が繁殖しやすくなり、ニキビの原因になることがあります。

ニキビ跡にしないための注意点

ニキビが治った後に残る「ニキビ跡」は、一度できてしまうと改善に時間がかかったり、セルフケアだけでは難しかったりすることがあります。ニキビができた段階から、跡を残さないための対策を意識することが非常に重要です。

ニキビ跡の種類

ニキビ跡にはいくつかのタイプがあり、それぞれ原因や見た目が異なります。

  • 赤みタイプ(炎症後紅斑)
  • 色素沈着タイプ(炎症後色素沈着)
  • クレータータイプ(萎縮性瘢痕)
  • ケロイドタイプ(肥厚性瘢痕)

ニキビを触らない・潰さないことの徹底

ニキビ跡の最大の原因は、炎症の悪化と長期化です。ニキビを気にして頻繁に触ったり、無理に潰したりすると、炎症が皮膚の深い部分(真皮層)にまで及び、組織を傷つけてしまいます。

特に炎症が強い赤ニキビや黄ニキビは、絶対に自分で潰さないようにしましょう。

早期治療の重要性

ニキビ、特に炎症性のニキビができてしまったら、できるだけ早く適切なケアや治療を開始することが、ニキビ跡を防ぐ上で最も効果的です。炎症が長引けば長引くほど、ニキビ跡が残るリスクは高まります。

セルフケアで改善が見られない場合や、炎症が強い場合は、早めに皮膚科専門医に相談しましょう。

紫外線対策の徹底

紫外線は、ニキビの炎症を悪化させるだけでなく、ニキビ跡の色素沈着を濃くする原因にもなります。ニキビができている時や、ニキビが治った直後の肌は特にデリケートなため、徹底した紫外線対策が必要です。

日焼け止めの選び方と使い方

肌への負担が少ないノンコメドジェニックテスト済み(ニキビができにくいことを確認済み)の日焼け止めを選びましょう。SPF値やPA値は、生活シーンに合わせて選び、こまめに塗り直すことが大切です。

帽子や日傘なども活用しましょう。

十分な保湿ケア

肌が乾燥すると、バリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなったり、ターンオーバーが乱れたりして、ニキビ跡の治癒を遅らせる可能性があります。

ニキビケア中も、ニキビが治った後も、しっかりと保湿を行い、肌の潤いを保つことが重要です。

保湿成分の選び方

セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲンなどの保湿成分が配合された化粧品を選び、肌の水分保持能力を高めましょう。油分の多いものは避け、肌質に合ったものを使用します。

ニキビ跡予防のための行動リスト

行動理由具体的な対策
炎症を長引かせない炎症が深いほど跡になりやすい早期に適切なケア・治療を開始する
無理に角栓を押し出さない毛穴周りの皮膚を傷つける角質ケアは優しく、頻度を守る
日焼けを避ける色素沈着や炎症悪化の原因日焼け止め、帽子、日傘を徹底
バランスの取れた食事肌の修復力を高めるビタミン類、タンパク質をしっかり摂取

ニキビに関するよくある質問

ニキビに関して多くの方が抱える疑問について、Q&A形式でお答えします。

ニキビは皮膚科に行った方がいいの?

炎症が強い赤ニキビや黄ニキビが多発している場合、セルフケアを続けてもなかなか改善しない場合、ニキビ跡が心配な場合は、早めに皮膚科専門医を受診することをおすすめします。

医師はニキビの種類や重症度を正確に診断し、外用薬(塗り薬)や内服薬(飲み薬)、面皰圧出、ケミカルピーリングなど、個々の状態に合わせた適切な治療法を提案してくれます。

早期に適切な治療を開始することで、ニキビの悪化を防ぎ、ニキビ跡が残るリスクを軽減できます。

大人ニキビと思春期ニキビの違いは?

大人ニキビ(20代以降にできるニキビ)と思春期ニキビ(10代の頃にできるニキビ)は、できる場所や主な原因に違いが見られることがあります。

大人ニキビと思春期ニキビの主な違い

項目思春期ニキビ大人ニキビ
主な原因成長ホルモンによる皮脂分泌の活発化、男性ホルモンの影響ストレス、睡眠不足、不規則な生活、乾燥、ホルモンバランスの乱れ(生理周期など)、間違ったスキンケア
できやすい場所Tゾーン(額、鼻)、頬の上部など皮脂分泌の多い場所Uゾーン(フェイスライン、あご、口周り)、首、デコルテなど乾燥しやすい場所やホルモンの影響を受けやすい場所
特徴皮脂量が多く、炎症性のニキビ(赤ニキビ、黄ニキビ)ができやすい。広範囲に多発することも。同じ場所に繰り返しできやすい。治りにくく、跡に残りやすい傾向がある。乾燥肌でもできることがある。

ただし、これらの特徴はあくまで一般的な傾向であり、個人差があります。大人になってもTゾーンにニキビができることもありますし、思春期でもフェイスラインにできることもあります。

メイクはしてもいいの?

ニキビがあっても、メイクをすること自体は問題ありません。ただし、いくつかの点に注意が必要です。まず、油分の少ない、ノンコメドジェニックテスト済みの化粧品を選びましょう。

厚塗りは毛穴を塞ぎ、ニキビを悪化させる可能性があるため、できるだけ薄付きを心がけます。特にニキビができている部分は、コンシーラーなどで軽くカバーする程度にし、ファンデーションの重ね塗りは避けましょう。

そして最も重要なのは、帰宅後すぐに丁寧にメイクを落とすことです。クレンジング剤は肌に優しいものを選び、ゴシゴシこすらず、メイク汚れをしっかりと浮き上がらせて洗い流しましょう。

ニキビに効く食べ物ってある?

「これを食べればニキビが治る」という特定の食べ物はありません。しかし、肌の健康を維持し、ニキビの予防や改善をサポートする栄養素はあります。

前述の通り、ビタミンB群(皮脂コントロール、ターンオーバー促進)、ビタミンC(抗酸化作用、コラーゲン生成)、ビタミンA(皮膚や粘膜の健康維持)、ビタミンE(血行促進、抗酸化作用)、亜鉛(新陳代謝促進、免疫力向上)などをバランス良く摂取することが大切です。

これらの栄養素は、緑黄色野菜、果物、魚介類、肉類、豆類、ナッツ類など様々な食品に含まれています。特定の食品に偏らず、多様な食材から栄養を摂ることを心がけましょう。

逆に、糖質や脂質の多い食事、刺激物などは、摂りすぎるとニキビを悪化させる可能性があるため注意が必要です。

以上

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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