【WT1ペプチド】樹状細胞ワクチンの標的として人気の理由

【WT1ペプチド】樹状細胞ワクチンの標的として人気の理由

がん治療の選択肢として「樹状細胞ワクチン」に関心を持つ方が増えています。なかでもWT1ペプチドは、米国国立がん研究所(NCI)が行ったがん抗原の優先度ランキングで75種類中1位に評価された腫瘍関連抗原です。

WT1ペプチドは白血病だけでなく、膵臓がんや肺がんなど多くの固形がんでも高発現が確認されており、がん種を超えた汎用性の高さが大きな魅力となっています。

この記事では、WT1ペプチドが樹状細胞ワクチンの標的として広く採用される理由を、基礎知識から臨床データまで丁寧に解説します。

目次

WT1ペプチドが樹状細胞ワクチンの標的に選ばれ続ける理由

WT1ペプチドが樹状細胞ワクチンの標的として支持され続けている背景には、がん抗原としての科学的評価の高さと臨床データの蓄積があります。

ほかの腫瘍関連抗原と比べて、実績・安全性・適用範囲のバランスに優れている点が決め手です。

がん抗原ランキングで1位に輝いたWT1の実力は本物だった

2009年に米国国立がん研究所(NCI)が発表した報告では、75種類の腫瘍関連抗原を治療効果・免疫原性・特異性・発がん性・陽性率・幹細胞発現などの基準で総合評価しました。その結果、WT1が総合スコアで1位を獲得しています。

この評価はがんワクチン開発の方向性を決める指標として世界的に引用されており、WT1ペプチドが研究・臨床の両面で最優先に検討される根拠になりました。

単なる流行ではなく、科学的な裏付けを伴った評価であるという点が、多くの研究者や臨床医から信頼を集めています。

WT1タンパク質は正常組織にほとんど存在しない

がんワクチンの標的を選ぶうえで「がん細胞には多く存在するが、正常な細胞にはほとんど存在しない」という条件は極めて重要です。

WT1タンパク質は、成人の正常組織では腎臓の一部など非常に限られた臓器で微量に発現するのみで、大半の正常細胞には見られません。

そのため、WT1を標的にした免疫反応が起こっても、正常組織を攻撃するリスクが低く抑えられます。腫瘍特異性が高い抗原であることは、安全な治療設計につながる要素として高く評価されています。

WT1ペプチドの主な特徴

評価項目WT1ペプチドの特徴
NCIランキング75抗原中1位(2009年)
正常組織での発現ごく限られた臓器のみ
対象がん種白血病、膵臓がん、肺がんなど多数
免疫原性T細胞応答を誘導しやすい
安全性データ臨床試験で重篤な副作用が少ない

免疫細胞を動かす力がペプチドワクチンの根幹として確立された

WT1ペプチドは、ヒト白血球抗原(HLA)に結合しやすいアミノ酸配列を持っています。

HLA-A24:02やHLA-A02:01といった日本人に多い型との親和性が確認されており、免疫系のキラーT細胞(細胞傷害性T細胞)を効率的に活性化できる抗原です。

複数の臨床試験で、WT1ペプチドワクチン接種後にWT1特異的なキラーT細胞が血中で増加したという報告があります。

免疫を動かす力=免疫原性が強い抗原である点は、ワクチン開発において根本的な要件であり、WT1はその条件を満たした数少ない抗原です。

そもそもWT1ペプチドとはどんな物質なのか

WT1ペプチドは、WT1遺伝子が作り出すタンパク質から人工的に切り出した短いアミノ酸配列(ペプチド)です。免疫細胞ががん細胞を見分ける「目印」として機能するよう設計されています。

WT1遺伝子が生み出すタンパク質の基本を押さえよう

WT1遺伝子は、もともと小児の腎臓腫瘍である「ウィルムス腫瘍」の研究で発見されました。この遺伝子は転写因子(遺伝子の読み取りを調整するタンパク質)をコードしており、細胞の増殖や分化を制御する働きを持っています。

当初はがん抑制遺伝子と考えられていましたが、その後の研究で、白血病やさまざまな固形がんにおいてはむしろ「がん遺伝子」として機能していることが明らかになりました。

がん細胞の増殖を助ける方向に働くため、がん細胞はWT1タンパク質を過剰に産生する傾向があります。

がん細胞だけがWT1を大量に作り出す仕組み

健康な成人の体内では、WT1タンパク質は腎臓や生殖腺の一部でわずかに発現するだけです。一方、がん細胞は自らの増殖を維持するためにWT1遺伝子を活性化させ、通常よりも桁違いに多いWT1タンパク質を産生します。

この「がん細胞だけが大量に持っている」という性質が、WT1を免疫の標的として理想的なものにしています。正常細胞にほとんど影響を与えずに、がん細胞を狙い撃ちにできる可能性が高まるからです。

樹状細胞ワクチンはWT1ペプチドの断片を使って免疫を教育する

樹状細胞ワクチン療法では、患者さんの血液から樹状細胞(免疫司令塔の役目を果たす細胞)を取り出し、人工合成したWT1ペプチドと一緒に培養します。

樹状細胞がWT1ペプチドの情報を取り込んだ状態で体内に戻すことで、免疫系に「この目印を持つ細胞は敵だ」と教え込むわけです。

教育を受けた免疫細胞は、体内でWT1を高発現しているがん細胞を標的として認識し、攻撃を開始します。がん細胞の弱点を免疫システムに的確に伝えるという、非常に合理的な治療戦略だといえるでしょう。

WT1関連用語の早わかり

用語やさしい説明
WT1遺伝子がん細胞で過剰に働き、増殖を助ける遺伝子
WT1タンパク質WT1遺伝子が作る転写因子。がん細胞に多い
WT1ペプチドWT1タンパク質を短く切り出した人工合成断片
HLA免疫細胞が抗原を認識するための分子。型がある
樹状細胞免疫の司令塔。敵の情報を攻撃部隊に伝える

樹状細胞がWT1ペプチドで免疫を動かす流れを追ってみよう

樹状細胞ワクチン療法は、患者さん自身の免疫細胞を体外で教育し、がん細胞を攻撃できるよう訓練してから体内へ戻すという治療法です。抗がん剤のように直接がん細胞を壊すのではなく、自己免疫の力を利用する点が特徴です。

患者さんから採取した樹状細胞にWT1ペプチドを載せる

治療の第一段階として、患者さんの血液からアフェレーシス(成分採血)で単球を分離し、体外で樹状細胞へと分化させます。こうして得られた未成熟な樹状細胞に、人工合成したWT1ペプチドを添加して培養します。

樹状細胞はWT1ペプチドを細胞表面のHLA分子に載せ、抗原提示が可能な成熟した状態へと変化します。

この工程が「ペプチドパルス」と呼ばれる操作で、WT1を目印として免疫細胞に提示できる状態を作る重要な準備段階です。

体内に戻された樹状細胞がキラーT細胞へ攻撃命令を出す

成熟した樹状細胞は皮下注射で患者さんの体内に投与されます。投与された樹状細胞はリンパ節へ移動し、そこで待機しているキラーT細胞(CD8陽性T細胞)にWT1ペプチドの情報を伝達します。

「この目印を持つ細胞を攻撃せよ」という指令を受けたキラーT細胞は活性化・増殖し、血流に乗って全身を巡りながら、WT1を発現しているがん細胞を探し出して破壊にかかります。

免疫監視機構を強化するという考え方が根底にあります。

WT1ペプチド樹状細胞ワクチンの治療の流れ

段階内容
採血患者さんの血液から単球を分離する
培養単球を樹状細胞に分化させ、WT1ペプチドを添加する
投与成熟した樹状細胞を皮下に注射する
免疫活性化リンパ節でキラーT細胞に抗原情報を伝達する
がん攻撃活性化T細胞がWT1発現がん細胞を破壊する

ヘルパーT細胞も加わり免疫応答はさらに厚みを増す

近年の研究では、キラーT細胞だけでなくヘルパーT細胞(CD4陽性T細胞)を同時に活性化するアプローチが注目されています。

HLAクラスIIに対応するWT1ペプチドも併用することで、免疫応答の持続性と強度が向上したという報告もあります。

ヘルパーT細胞はキラーT細胞の増殖を助けるだけでなく、免疫記憶の形成にも関与すると考えられています。

複数のWT1ペプチドを組み合わせたカクテル型ワクチンの開発も進められており、治療効果を高めるための工夫が続いています。

WT1ペプチドは膵臓がん・肺がん・白血病まで守備範囲が驚くほど広い

WT1ペプチドが多くの研究者から支持を集める大きな理由は、単一の抗原でありながら対応できるがん種が非常に多岐にわたる点です。固形がんから血液がんまで、幅広い領域で臨床試験が実施されてきました。

固形がんでのWT1発現は予想以上に多かった

免疫組織化学的分析により、膵臓がん・肺がん・乳がん・卵巣がん・中皮腫・食道がんなど多くの固形がんでWT1タンパク質の発現が確認されています。

膵臓がんの領域では、化学療法との併用による臨床試験が複数実施され、WT1特異的キラーT細胞の誘導と病勢安定が報告されています。

肺がん(非小細胞肺がん)においても、WT1ペプチドを添加した樹状細胞ワクチンがWT1ペプチド非使用群と比べて全生存期間に好影響を与えたとする報告が存在します。

がん種を問わずに使用できる汎用性は、WT1ペプチドならではの強みです。

血液がんの領域でも長期寛解の報告が続いている

WT1はもともと白血病の研究から注目された経緯があり、急性骨髄性白血病(AML)や骨髄異形成症候群(MDS)を対象とした臨床試験では長い歴史があります。

WT1ペプチドワクチン投与後にWT1特異的T細胞応答が誘導され、分子学的完全寛解が維持されたという報告もあります。

血液がんでは白血病細胞におけるWT1の高発現率が高く、免疫療法の標的としての適合性がとりわけ優れています。固形がん・血液がんの両方に対応できる抗原は数少なく、WT1ペプチドの汎用性を際立たせる要因といえるでしょう。

  • 膵臓がん:化学療法との併用で病勢安定や手術転換の報告がある
  • 非小細胞肺がん:WT1ペプチド使用群で全生存期間への好影響が示された
  • 急性骨髄性白血病:WT1特異的T細胞応答の誘導と長期寛解の報告がある
  • 食道がん:ドセタキセルとの併用でWT1特異的免疫応答が確認された
  • 子宮がん:WT1 mRNA搭載型樹状細胞による治療応答の報告がある

WT1発現率と治療効果には密接な関連がある

免疫組織化学染色による検討では、WT1の発現が中等度から強陽性の患者さんでは、WT1ペプチドを標的とした樹状細胞ワクチンによる免疫応答が得られやすい傾向が報告されています。

一方で、WT1発現が弱い場合は効果が限定的になるケースもあります。そのため、治療前にWT1の発現状況を調べることが重要です。

がん組織の生検標本を用いた免疫組織化学的検査で発現の有無と強度を確認し、WT1を標的とする治療の適応を判断する材料とします。

事前評価がしっかり行われることで、より効果的な個別化医療につながります。

副作用の少なさがWT1ペプチド樹状細胞ワクチンの安心材料になっている

がん治療において、効果と同じくらい気になるのが副作用です。

WT1ペプチドを標的とした樹状細胞ワクチンは、複数の臨床試験で安全性が繰り返し確認されており、重篤な有害事象の発生頻度が極めて低いという特徴があります。

臨床試験で確認された副作用は軽度なものが中心だった

膵臓がんや肺がんの患者さんを対象とした臨床試験において、WT1ペプチド樹状細胞ワクチン接種後に見られた副作用の大半はグレード1(軽度)でした。

日常生活に支障をきたすレベルの副作用が生じたケースは少数にとどまっています。

抗がん剤治療と比較した場合、骨髄抑制(白血球減少・血小板減少)や脱毛といった全身性の副作用は通常みられません。

免疫を介した治療であるため、正常組織へのダメージが限定的であることが安全性の高さにつながっています。

注射部位の反応や軽い発熱が代表的な有害事象として報告された

臨床試験で報告された副作用として多かったのは、ワクチン接種部位の発赤・腫脹・硬結といった局所反応です。全身症状としてはグレード1の発熱がみられた程度で、入院を要する事象はほぼ報告されていません。

WT1ペプチド樹状細胞ワクチンの主な副作用報告

副作用の種類頻度重症度
注射部位の発赤ほぼ全例グレード1
注射部位の硬結高頻度グレード1
発熱一部の症例グレード1
倦怠感まれグレード1
重篤な有害事象報告なし〜極めてまれ

重篤な副作用の報告が極めて少ない点は見逃せない

これまでに発表された複数の臨床試験を横断的にみても、WT1ペプチド樹状細胞ワクチンに起因する重篤な有害事象(グレード3以上)が報告された例は極めて限られています。

自己免疫疾患の誘発やサイトカインストームといった免疫療法に特有のリスクも、現時点ではほとんど認められていません。

安全性の高さは、体力が低下しているがん患者さんにとって大きなメリットといえます。

化学療法と同時に投与しても追加的な毒性がほとんど上乗せされなかったという報告もあり、併用療法としての使いやすさも評価されています。

MUC1やNY-ESO-1ではなくWT1ペプチドが選ばれやすい理由とは

がんワクチンの標的候補はWT1だけではありません。MUC1(ムチン1)やNY-ESO-1など有力な腫瘍関連抗原がほかにも存在します。

それでもWT1が優先的に選ばれる背景には、腫瘍特異性・免疫原性・汎用性のバランスが際立って優れているという事情があります。

腫瘍特異性と免疫原性を両立している抗原は限られる

MUC1はがん細胞だけでなく正常上皮細胞にも広く発現しており、腫瘍特異性ではWT1に及びません。NY-ESO-1は腫瘍特異性が高い反面、発現しているがん種が限られます。

メラノーマや一部の肉腫では有効ですが、膵臓がんや白血病には適用しにくいという制約があります。

WT1は正常組織への発現が限定的でありながら、多くのがん種で高発現するという二つの条件を同時に満たしている点が特長です。

さらに免疫原性も高く、ワクチン投与後にT細胞応答が検出される割合が報告上比較的高いことが確認されています。

化学療法との併用で相乗効果が報告された

膵臓がんの臨床試験では、ゲムシタビンを中心とした化学療法とWT1ペプチド樹状細胞ワクチンの併用が試みられ、化学療法単独と比較して免疫応答の増強が確認されたという報告があります。

化学療法による免疫抑制細胞(制御性T細胞)の減少が、ワクチンの効果を後押しした可能性が示唆されています。

抗がん剤との組み合わせで効果を発揮できるという特性は、実臨床における使いやすさに直結します。標準治療を中断せずに免疫療法を上乗せできる選択肢は、患者さんにとっても主治医にとっても受け入れやすいものでしょう。

免疫チェックポイント阻害薬との組み合わせにも期待が集まる

免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞が免疫から逃れるブレーキを外す薬剤です。

WT1ペプチド樹状細胞ワクチンで免疫のアクセルを踏みながら、チェックポイント阻害薬でブレーキを外すという二重のアプローチに、相乗効果が期待されています。

まだ臨床データの蓄積は限られていますが、基礎研究レベルでは両者を組み合わせることでT細胞の腫瘍浸潤が増加し、抗腫瘍効果が増強したとする結果が報告されています。

今後の臨床試験の結果によっては、がん免疫療法の新たな組み合わせとして確立される可能性があるでしょう。

主な腫瘍関連抗原の比較

抗原名腫瘍特異性対応がん種の広さ
WT1高い(正常組織の発現が限定的)広い(血液がん・固形がん両方)
MUC1中程度(正常上皮にも発現)広い(乳がん・膵臓がんなど)
NY-ESO-1高い(がん精巣抗原)限定的(メラノーマ・肉腫中心)

WT1ペプチド樹状細胞ワクチン療法を検討する前に準備しておきたいこと

WT1ペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法に関心を持った場合、治療の前にいくつかのポイントを整理しておくと、主治医との相談がスムーズに進みます。

情報を正しく把握したうえで判断することが、後悔のない治療選択につながります。

治療を受けられる医療機関はどう探せばよいか

WT1ペプチド樹状細胞ワクチン療法は、専門的な細胞培養施設(CPC)を備えた医療機関でのみ実施できます。すべての病院で受けられる治療ではないため、事前の情報収集が大切です。

がん免疫療法を専門とする医療機関のウェブサイトでは、対応可能ながん種や治療実績が公開されていることが多いため、参考にするとよいでしょう。

臨床試験として実施されているケースもあり、参加条件を確認する価値があります。

  • 細胞培養施設(CPC)を保有している医療機関か確認する
  • WT1ペプチド樹状細胞ワクチンの治療実績を確認する
  • 現在進行中の臨床試験への参加条件を調べる
  • がん免疫療法に精通した医師が在籍しているか確認する

主治医に確認すべき項目を事前に整理しておこう

治療を検討する前に、まず現在の病状とWT1の発現状況を主治医に確認することが大切です。WT1が発現していないがん細胞に対しては、WT1ペプチドを標的としたワクチンの効果は期待できないためです。

HLAの型についても確認が必要です。WT1ペプチドはHLAの特定の型に結合して免疫反応を引き起こすため、患者さんのHLA型がワクチンに適合するかどうかの検査が前提となります。

標準治療との関係を正しく把握してから判断しよう

樹状細胞ワクチン療法は、あくまで標準治療(手術・化学療法・放射線療法)を補完する位置づけで検討されることが一般的です。

標準治療に代わるものではなく、標準治療との併用や、標準治療後の追加療法として計画されるケースが多いことを認識しておきましょう。

主治医や免疫療法の専門医と十分に相談し、治療のタイミングや組み合わせについて納得したうえで判断することが重要です。

がん治療は長期にわたることが多いため、焦らずに情報を集め、ご自身が信頼できる方針を選ぶ姿勢を大切にしてください。

よくある質問

WT1ペプチドを用いた樹状細胞ワクチンはどのようながん種に対応できますか?

WT1ペプチドは、膵臓がん・非小細胞肺がん・急性骨髄性白血病・骨髄異形成症候群・食道がん・乳がん・卵巣がんなど、多くのがん種で発現が確認されている腫瘍関連抗原です。

固形がんだけでなく血液がんの両方に適用できる汎用性の高さが、WT1ペプチドの大きな特徴といえます。ただし、治療の適応はWT1の発現状況やHLAの型などによって個別に判断されるため、主治医への相談が必要です。

WT1ペプチド樹状細胞ワクチンの副作用にはどのようなものがありますか?

複数の臨床試験において、WT1ペプチド樹状細胞ワクチンの副作用は軽度(グレード1)のものが中心と報告されています。具体的には、注射部位の発赤・腫脹・硬結や、軽い発熱が代表的です。

重篤な副作用(グレード3以上)の発生はほとんど報告されておらず、化学療法にみられるような骨髄抑制や脱毛は通常みられません。体力が低下している患者さんにも比較的安全に投与できる治療として報告されています。

WT1ペプチド樹状細胞ワクチンは化学療法と一緒に受けられますか?

WT1ペプチド樹状細胞ワクチンは、化学療法との併用が可能であることが複数の臨床試験で確認されています。膵臓がんを対象とした試験では、ゲムシタビンやナブパクリタキセルとの併用が実施され、追加的な毒性はほとんど認められなかったと報告されました。

化学療法との併用によって免疫抑制細胞が減少し、ワクチンの効果が高まる可能性も示唆されています。併用の可否やタイミングは個々の病状によって異なるため、担当医と十分に相談してください。

WT1ペプチド樹状細胞ワクチンを受けるために必要な検査はありますか?

WT1ペプチド樹状細胞ワクチン療法を受けるには、事前にいくつかの検査が必要です。まず、がん組織がWT1タンパク質を発現しているかどうかを免疫組織化学染色で確認します。WT1が発現していないがん細胞には効果が期待できないためです。

加えて、HLA(ヒト白血球抗原)の型を調べる検査も行われます。WT1ペプチドはHLAの特定の型に結合して免疫応答を引き起こすため、患者さんのHLA型との適合性が治療の前提条件になります。

WT1ペプチドがNCIランキングで1位になった根拠は何ですか?

2009年に米国国立がん研究所(NCI)が実施した腫瘍関連抗原の優先度評価プロジェクトにおいて、WT1は75種類の抗原のなかで総合1位を獲得しました。評価基準には治療効果・免疫原性・特異性・発がんへの関与・陽性率・幹細胞での発現といった項目が含まれています。

WT1はこれらの複数の基準で高い評価を受け、総合得点でトップとなりました。がんワクチン開発における標的選定の科学的根拠として、世界中で広く引用されている評価結果です。

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