尿毒症とは?腎不全で起こる症状・原因・治療法を解説

尿毒症とは?腎不全で起こる症状・原因・治療法を解説

腎臓の機能が著しく低下し、本来排出されるべき老廃物が血液中に蓄積する尿毒症は、全身に深刻な不調を招く状態です。放置すると命に関わるため、早期の気づきと適切な対応が欠かせません。

この記事では、尿毒症を起こす腎不全の仕組みから、日常生活で注意すべき初期サイン、そして透析療法を含めた治療選択肢までを解説します。

目次

尿毒症の基礎知識と腎不全との深い関係

尿毒症は、腎臓の働きが正常の10パーセント以下にまで低下した際、血液中に有害な老廃物が溜まることで全身の臓器に悪影響を及ぼす病態で、腎不全が進行した最終段階です。

腎臓が果たす役割と機能低下の仕組み

背中側の左右にある腎臓は、血液を浄化するプラントのような役割を果たし、主な仕事は血液をろ過して老廃物や余分な水分を取り除き、尿として体外へ排出することですが、働きは多岐にわたります。

血圧を一定に保つホルモンの調整や、血液を作るエリスロポエチンの分泌、さらに骨を丈夫にするビタミンDの活性化も担っています。

腎臓の内部には糸球体と呼ばれる毛細血管の塊が、片方の腎臓だけで約100万個もあり、緻密なフィルターとして機能しています。

生活習慣病や加齢などでこの糸球体が破壊されると、ろ過機能が失われ、体内の環境を一定に保つことができなくなり、再生することがないため、残った組織に負担がかかり、腎機能の低下が加速度的に進むのが特徴です。

初期には残存する機能で補えるため、自覚症状はほとんど現れませんが、水面下では着実に腎不全の病態が進行しています。

尿毒症の状態を定義する基準

尿毒症という名称は特定の単一疾患を指すものではなく、腎機能不全の結果として生じる全身の機能障害の総称で、血液中に尿素窒素やクレアチニンといった老廃物の濃度がどの程度上昇しているかが一つの指標です。

ただし、数値の異常だけでなく、実際に患者さんの身体にどのような異常が現れているかという臨床症状が非常に重視されます。

腎臓のろ過能力を示す数値が15未満まで低下すると、生命を維持するために必要な恒常性の維持が困難になり、カリウムやナトリウムといった電解質のバランスが崩れ、心臓や脳にダメージを与える恐れがあります。

尿毒症は末期腎不全のサインであり、自力での排泄機能の回復は見込めないため、医療による外部からの介入が不可欠な状況です。

急性尿毒症と慢性尿毒症の違い

尿毒症は発症の経緯によって大きく二つのタイプに分かれます。

一つは数時間から数日という短期間で急激に悪化する急性タイプで、大量出血や重度の脱水、薬剤による副作用など、腎臓への血流が突発的に阻害されたり、直接的なダメージを受けたりして起こります。

急性の場合は、原因となった問題を速やかに解決できれば、一時的な透析を経て腎機能が元のレベルまで回復する可能性があります。

尿毒症の種類別特徴

分類発症までの期間機能回復の可能性
急性尿毒症数時間から数週間原因の除去により回復の余地がある
慢性尿毒症数か月から数十年破壊された組織の回復は原則困難

対して慢性タイプは、糖尿病や高血圧といった基礎疾患により、数年から数十年かけてじわじわと腎機能が破壊されてきた結果です。

長期間にわたるダメージで腎臓そのものが萎縮してしまっていることが多く、機能そのものを元の健康な状態に戻すことは不可能で、失われた機能をどう補うかという維持療法が中心となります。

全身に現れる尿毒症の代表的な症状

尿毒症の症状は、脳、心臓、消化器、皮膚など全身のあらゆる部位に及び、初期には倦怠感や食欲不振といった漠然とした不調から始まり、進行すると呼吸困難や意識障害といった重篤な状態を招きます。

中枢神経系および末梢神経への影響

血液中に蓄積した尿毒症毒素が脳関門を通過して中枢神経に作用すると、深刻な精神的、神経的症状が起き、集中力が続かない、怒りっぽくなる、昼間でも強い眠気に襲われるといった変化として現れることが多いです。

症状が進行すると、尿毒症性脳症と呼ばれる状態になり、幻覚を見たり、自分の場所がわからなくなったりする見当識障害が生じます。

最終的には昏睡状態に陥る危険もあり、これは脳細胞の代謝が毒素によって著しく阻害されていることの現れで、また、手足の先がジンジンとしびれたり、焼けるような痛みを感じたりする末梢神経障害も典型的な症状です。

特に夜間、足がむずむずしてじっとしていられず、睡眠が妨げられるレストレスレッグス症候群は、多くの患者さんを悩ませます。

神経症状は透析治療を開始し、毒素の濃度を下げることで一定の改善が見込めますが、早期の対応が後遺症を防ぐ鍵です。

循環器および呼吸器系で見られる異常

腎不全によって水分の調節ができなくなると、排泄されなかった水分が血管内に留まり、血液量が異常に増加し、心臓は常に過剰な血液を送り出さなければならなくなり、肥大して心不全の状態へと進行していきます。

心不全が起こると、全身に酸素が十分に行き渡らなくなり、少し動いただけでも激しい動悸や息切れを感じるようになり、注意すべきは横になった際に苦しさが増す夜間呼吸困難で、肺に水が溜まる肺水腫の予兆である可能性が高いです。

さらに腎臓は血圧を上げるホルモンを過剰に出すため、コントロール困難な高血圧が続き、血管へのダメージが加速します。

重要臓器のリスク管理

部位主な症状内容重症時のリスク
脳・神経意識の混濁、手足のしびれ、痙攣深い昏睡状態、永久的な麻痺
心臓・肺呼吸困難、全身の強いむくみ急性肺水腫による窒息、心停止

尿毒症の状態では、心臓を保護している心膜に炎症が起きる心膜炎を発症することも珍しくありません。胸に強い圧迫感や痛みを感じ、呼吸をするたびに摩擦音が生じることがあり、放置すると心停止を招く非常に危険な状態です。

単なる加齢や疲れによる息切れと判断せず、むくみや血圧の上昇が伴う場合は速やかに循環器や腎臓の内科を受診してください。

消化器および皮膚、血液に見られる変化

消化器系への毒素の蓄積は、初期の尿毒症サインとして非常に重要です。口の中にアンモニアのような不快な臭いが漂い始めます。

朝起きた時の吐き気や食欲不振が続き、次第に食べ物を受け付けなくなることで体重が急激に減少し、さらに尿毒素は胃や腸の粘膜を傷つけるため潰瘍ができやすくなり、吐血や下血を伴う深刻な消化管出血を招くこともあります。

皮膚に関しては、体内に溜まった老廃物が汗と一緒に分泌されることで、耐えがたいほどの激しい痒みが生じ、これはカルシウムやリンの代謝が崩れ、末梢神経が過敏になることも要因です。

また、皮膚が黒ずんだりカサカサしたりする変化も目立ちます。血液面では、赤血球の産生を助けるホルモンが不足することで、重い腎性貧血が起こり顔色が悪くなり、立ちくらみが頻発します。

尿毒症を引き起こす主な原因と疾患

尿毒症の根本的な原因は、腎機能を著しく低下させる背景疾患です。現代において最も多いのは糖尿病性腎症で、次いで高血圧に伴う腎硬化症、慢性糸球体腎炎が挙げられます。

糖尿病性腎症の進行とメカニズム

糖尿病性腎症は、現在日本で透析導入に至る原因の約4割を占める、最も警戒すべき疾患です。高い血糖値が何年も続くと、血液中に溢れた糖が血管のタンパク質と結びつき、血管そのものを脆く硬く変質させてしまいます。

腎臓の糸球体は非常に細い血管の集まりであるため、高血糖の影響をダイレクトに受け、次第に目詰まりを起こしていきます。

初期段階では尿にわずかなタンパクが漏れる微量アルブミン尿として現れますが、この時点で気づくことが非常に困難です。進行すると尿蛋白の量が増え、ろ過しきれない老廃物が血液中に逆流し、最終的に尿毒症の状態に陥ります。

糖尿病性の場合は、一度悪化し始めると他の病気よりも進行スピードが速く、合併症として視力低下や神経障害も同時に進みます。

高血圧および腎硬化症の影響

高血圧が長期間続くと、腎臓内の血管には常に過度な圧力がかかり、血管壁が厚くなって柔軟性を失う腎硬化症が進行します。

血管が狭くなることで腎臓への血流量が不足し、酸素や栄養が届かなくなった糸球体は次々と機能停止し死滅します。高齢者に多い疾患ですが、生活習慣病の低年齢化に伴い、若い世代でも発症リスクが高まっています。

主な腎不全の原因疾患

疾患名主な特徴注意点
糖尿病性腎症高血糖による全身の細小血管障害合併症が多く、進行が非常に速い
腎硬化症高血圧による腎血管の動脈硬化心疾患や脳血管疾患を併発しやすい

腎臓には自ら血圧をコントロールする機能がありますが、機能が落ちると逆に血圧を上げる物質を放出し、さらに腎臓を傷めます。

この高血圧と腎不全の悪循環が形成されると、薬が効きにくくなり、脳卒中や心筋梗塞のリスクも飛躍的に上昇します。減塩を中心とした食事と、家庭での正確な血圧測定が、腎血管を守るために最も大切な習慣です。

慢性糸球体腎炎およびその他の原因

慢性糸球体腎炎は、免疫の異常などが原因で糸球体に持続的な炎症が起きる疾患の総称です。かつては透析導入の第1位でしたが、現在は検診での早期発見と治療法の進歩により減少傾向にあります。

しかし、自覚症状が乏しいため、健康診断で蛋白尿や血尿を指摘されても放置してしまうと、数十年後に尿毒症を発症します。

若いうちからの定期的な尿検査が、将来の腎不全を食い止めるための最も効果的な手段です。

他にも、多発性嚢胞腎という遺伝性の病気や、尿管結石による尿路閉塞、さらに自己免疫疾患のループス腎炎などが原因となることもあります。

尿毒症を診断するための検査と指標

尿毒症の診断には、血液検査や尿検査、画像診断を組み合わせて総合的に判断します。特に血中の老廃物濃度を示す数値や、腎臓のろ過能力を算出する指標は、病状の進行度を知るために不可欠です。

血液検査で注目すべき項目

血液検査は、体内を巡る血液の状態から腎臓の掃除能力がどれだけ残っているかを測る最も重要なデータです。中心となる指標は筋肉の代謝物のクレアチンで、腎臓だけでろ過されるため、血中濃度で機能を正確に予測できます。

もう一つの尿素窒素(BUN)はタンパク質の分解で生じるゴミですが、食事内容や水分量でも変動するため、クレアチニンと併せて評価します。

さらに尿毒症で命に関わるのがカリウムの値です。腎臓が排出できないと血中濃度が上がり、心臓を止める不整脈の原因となります。

骨をスカスカにする原因となるリンの値や、体内の酸性度を示す数値もチェックし、全身のバランスが崩れていないかを確認します。

検査は一度きりで判断するのではなく、数ヶ月のスパンで数値の推移を追い、悪化のスピードを把握することが治療の鍵です。

eGFRによる腎機能の評価方法

現代の腎臓病治療において、最も一般的かつ重要な指標がeGFR(推算糸球体ろ過量)です。

これはクレアチニンの値をベースに、年齢と性別を加味して算出される、現在の腎臓が何点満点中何点かを示すスコアのようなものです。

健康な成人の場合は90前後を維持していますが、数値が下がるほど腎機能が低下していることを意味します。

腎機能のステージ分類

ステージeGFR値の目安腎臓の状態と推奨される対応
ステージ330から59中等度の低下。徹底した食事管理と薬物療法が必要。
ステージ415から29高度の低下。透析の準備や具体的な相談を始める時期。
ステージ515未満末期腎不全。尿毒症症状が現れやすく、透析が必要な圏内。

eGFRが15を切ると、いつ尿毒症症状が爆発してもおかしくない危険な状態です。

画像診断と尿検査の役割

血液検査が機能を調べるのに対し、画像診断は腎臓の形を視覚的に調べるためのものです。

超音波(エコー)検査では、腎臓の大きさを測ります。慢性腎不全が進むと腎臓は硬くなり、本来の半分ほどのサイズまで萎縮します。

CT検査を用いると、腎臓の中に腫瘍がないか、あるいは尿管が石などで詰まって尿が逆流していないかを詳しく調べることができます。

尿検査も基本中の基本で、蛋白尿がどの程度出ているかは、現在の腎臓へのダメージの強さをリアルタイムに示してくれます。

24時間の尿をすべて溜めて調べる蓄尿検査を行えば、1日の正確な塩分摂取量やタンパク質摂取量を算出することが可能です。

尿毒症を改善・コントロールするための治療法

尿毒症の治療は、まず食事療法や薬物療法による保存的治療で進行を遅らせ、それでも維持が困難な場合には人工透析や腎移植といった腎代替療法へ移行します。

血液透析と腹膜透析の仕組み

血液透析(HD)は、最も広く行われている治療法で、腕の太い血管に針を刺し、血液を一旦外に取り出してダイアライザーと呼ばれる装置に通します。

この装置が腎臓の代わりをして、不要なゴミや余分な水分をこし取り、きれいになった血液を再び体内に戻す仕組みです。

通常、週に3回、1回あたり約4時間の時間をかけて行い、効率よく毒素を除去できるため、尿毒症症状を素早く消し去ることができます。

腹膜透析(PD)は自分のお腹にある腹膜をフィルターとして利用し、お腹にチューブを挿入し、そこから専用の透析液を出し入れします。

自宅や職場で、自分の手で行う治療でm血液透析に比べて通院回数が月1〜2回と少なく済むため、仕事を続けやすいのが大きなメリットです。

腹膜透析は24時間体制でゆっくりと毒素を除くため、身体への負担が少なく、残っている腎機能を長く保ちやすいという特徴もあります。

薬物療法と食事管理の重要性

透析に至る前の保存期であっても、透析開始後であっても、薬と食事の管理は生涯にわたる治療の基本です。

薬物療法では、まず血圧を下げる降圧薬を内服します。血圧を下げることは腎臓にかかる物理的な負荷を軽減する最も直接的な手段です。

また、体内に溜まりやすいリンを吸着する薬や、尿毒素そのものを吸着して便と一緒に排出する炭素製剤などもよく用いられます。

食事療法では、塩分の制限が最優先で、塩分を控えることで高血圧を防ぎ、むくみや心不全の悪化を最小限に抑えられます。

タンパク質制限も重要です。タンパク質は筋肉の元になりますが、分解される過程で窒素老廃物という尿毒素を発生させます。

ただし、極端な制限で栄養不足になり、体力が落ちてしまうのは本末転倒なので、医師や管理栄養士と相談しながら、適切な量を見極めましょう。

腎移植という選択肢と今後の生活

腎代替療法の中で、唯一腎機能そのものを回復させることができるのが、腎移植です。

生体腎移植(親族等からの提供)と献腎移植(亡くなられた方からの提供)の二種類があり、成功すれば透析生活から完全に卒業できます。

移植された腎臓はホルモンの分泌も行うため、貧血が改善し、骨も丈夫になり、食事や水分の制限も大幅に緩和されます。

腎代替療法の比較

治療法主なメリット主な負担・制約
血液透析毒素の除去効率が高く、確実性が強い通院回数が多く、血管の穿刺が必要
腹膜透析生活の自由度が高く、身体に優しい自己管理の手間と腹膜の劣化制限あり
腎移植機能が正常に近づき、生活の質が最高手術が必要で、一生免疫抑制剤を飲む

ただし、移植はゴールではなく新しい生活のスタートです。他人の臓器を自分の体が拒絶しないよう、一生涯免疫抑制剤を飲み続ける必要があります。

日常生活で尿毒症の悪化を防ぐためのポイント

日常生活における自己管理は、尿毒症の進行を抑え、体調を安定させるために極めて大切です。日々の体重測定、血圧管理、そして食事の工夫を習慣化することで、目に見えない腎臓の変化を察知できます。

血圧と体重のセルフモニタリング

家庭で毎日同じ条件で血圧と体重を測ることは、どんな高度な検査にも勝る価値があり、血圧は起床直後と就寝前、リラックスした状態で測定しましょう。上が130、下が80を下回るのが一般的な目標値です。

血圧が高い状態が1週間以上続く場合は、腎臓への負担が増している証拠ですので、主治医に報告してください。

体重測定は、体内の水分過剰を見極めるために必要で、数日で1〜2キロ増えるようなら、脂肪ではなく水です。むくみとして現れる前に、体重の数字が異常を教えてくれます。

感染症予防と体調管理の工夫

腎機能が低下すると、体内の免疫を担当する細胞の働きも鈍くなり、風邪やインフルエンザ、肺炎などの感染症にかかりやすいです。

ひとたび感染症にかかると、炎症そのものが腎機能をさらに悪化させ、一気に尿毒症を爆発させるトリガーとなります。

人混みを避ける、外出後の手洗い・うがいを徹底するといった、基本的で当たり前の予防策が、腎臓患者さんにとっては命を守る盾です。

また、十分な睡眠時間を確保し、身体に溜まった疲れを翌日に持ち越さないことも重要で、無理な労働や激しい運動は、かえって毒となります。

意外と見落とされがちなのが便秘の管理です。便が滞ると腸内で毒素が作られ、それが血液に溶け込んで腎臓をさらに傷めます。

食物繊維を適切に摂り、規則正しい排便を維持することは、体内の毒素を外に出すための、もう一つの排泄ルートを守ることに他なりません。

ストレス管理と精神面のケア

病気と向き合う毎日は、時に孤独で、精神的なエネルギーを大きく消耗するものです。過度なストレスは自律神経を乱し、血圧を跳ね上げます。

「あれをしてはいけない」「これを食べてはいけない」という制限ばかりに目を向けると、心は疲弊し、治療を投げ出したくなってしまいます。

病気は生活の一部であって、人生のすべてではありません。好きな音楽を聴く、景色を眺めるなど、心が休まる時間を意図的に作りましょう。

日常生活の管理項目

  • 決まった時間、同じ服装で血圧と体重を計り、ノートに記録して数値の推移を確認する。
  • 指示された薬は「お守り」だと思って、決められた時間に確実に内服し体調を安定させる。
  • 料理にだしや酸味、香辛料を上手く使い、塩分を減らしながらも美味しく食べる工夫をする。
  • 感染症が流行する時期は不要不急の外出を控え、マスクの着用と丁寧な手洗いを継続する。
  • 睡眠不足は最大の敵。毎日7時間程度の質の良い睡眠を確保し、臓器をしっかり休ませる。

家族や友人に自分の状況を理解してもらい、サポートを求めることも大切です。一人で抱え込まず、愚痴をこぼせる場を持ってください。

尿毒症に関する社会保障とサポート体制

尿毒症で透析療法などの継続的な治療が必要になった場合、経済的な負担を軽減するための公的な助成制度が整っています。医療費の自己負担額を抑える仕組みを活用することで、安心して治療に専念できる環境を作ることができます。

医療費助成制度の概要

尿毒症が悪化し、透析治療が必要になると、毎月の医療費は数十万円という高額なものになります。個人の負担だけで賄うのは現実的ではありませんが、特定疾病療養受給者証という助成制度があります。

この制度を申請すると、どんなに高額な透析費用がかかっても、窓口での支払いは月額1万円(所得により2万円)までに制限されます。

透析を開始することが決まったら、すぐに加入している健康保険組合や市役所で手続きを行いましょう。病院のソーシャルワーカーが手伝ってくれます。

さらに、自治体によっては重度心身障害者医療費助成制度があり、残った自己負担分もさらに助成されるケースが多いです。

身体障害者手帳の取得とメリット

尿毒症による末期腎不全で透析を導入すると、法律に基づき身体障害者手帳(じん臓機能障害)を申請することが可能です。取得することで、医療費の助成以外にも、生活を多方面からサポートする多くのメリットが受けられるようになります。

所得税や住民税の障害者控除が受けられるほか、鉄道やバス、航空機などの公共交通機関の運賃が割引になる制度も整っていて、また、公的な施設や駐車場の割引、自動車税の減免といった支援も受けられることがあります。

サポート制度の活用例

  • 特定疾病療養受給者証の手続きを完了させ、毎月の透析費用を定額に抑える。
  • 身体障害者手帳を申請し、所得税の控除や交通機関の割引を利用して支出を減らす。
  • 障害年金の申請を検討し、治療を続けながらの生活資金としての受給を確認する。
  • 介護保険の認定を受け、ヘルパーによる生活支援や福祉用具のレンタルを活用する。

申請には指定の医師による診断書が必要です。通院している病院の窓口で「手帳の申請をしたい」と伝えれば、スムーズに進みます。

介護保険やその他の福祉サービス

透析導入に伴い、体力的な不安が出てきた場合には介護保険の活用も視野に入れましょう。40歳以上であれば申請でき、風呂場に手すりをつけるなどの住宅改修や、通院のための介護タクシーの利用などのサポートが受けられます。

また、透析クリニック選びの際、送迎バスがあるかどうかを重視する患者さんも多いです。家族の送迎負担を減らすことは、家庭の平和を守ることにも繋がります。

同じ病気を持つ仲間が集まる患者会も、心の拠り所になります。先輩患者さんから、制度の使いこなし術を聞ける貴重な場です。

Q&A

尿毒症や腎不全に関して、患者さんやご家族からよく寄せられる質問をまとめました。病気への理解を深め、不安を解消する一助としてください。

尿毒症は自覚症状がなくても進行していることがありますか?

腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、本来の機能が2〜3割程度まで落ちるまで、目に見える症状が出ないことが一般的です。

そのため、健康診断で蛋白尿やクレアチニン値の異常を指摘されたら、症状がなくても必ず精密検査を受けてください。

「どこも痛くないから大丈夫」と放置してしまうことが、数年後の尿毒症を招く最も多いパターンです。数値の変化を無視してはいけません。

一度尿毒症になったら一生透析を続けなければならないのでしょうか?

病気の種類によります。脱水や薬が原因の急性腎不全であれば、腎臓そのものの組織は生きているため、治療によって透析が不要になるまで回復することがあります。

しかし、長年の糖尿病や高血圧で腎臓が萎縮してしまった慢性腎不全の場合は、組織が死滅しているため、機能の回復は原則として見込めません。

その場合は、生涯にわたる透析治療、または腎移植が生命を維持するために必要となります。維持療法として継続していくことが基本です。

尿毒症の症状を和らげるために自分でできることはありますか?

最も直接的な効果があるのは、医師から指示された食事制限を忠実に守ることです。これは決して我慢ではなく、毒素を作らないための治療です。

特に塩分を控えることで血圧が安定し、心臓の苦しさやむくみが劇的に改善されます。また、カリウム制限は不整脈という突然死のリスクを減らします。

十分な休息をとり、感染症を予防することも症状の悪化を防ぎます。日々の穏やかな生活リズムこそが、最高のケアになります。

家族に尿毒症の人がいる場合どのようなサポートが必要ですか?

一番のサポートは、食事への配慮と精神的な共感です。制限食を本人だけが食べるのではなく、家族全員で薄味に慣れるなどの工夫は非常に喜ばれます。

また、透析治療は心身ともに大きなエネルギーを消費します。治療の日は疲れやすいため、家事を代わったり、リラックスできる環境を作ってあげたりしてください。

病気による気分の落ち込みを否定せず、じっくりと話を聞いてあげるだけでも、本人の治療への意欲は大きく変わります。共に歩む姿勢が何よりの力です。

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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