腎性骨異栄養症とは?透析患者さんの骨の病気、原因と治療

腎性骨異栄養症とは?透析患者さんの骨の病気、原因と治療

透析治療を受けている方や慢性腎臓病(CKD)と長く付き合っている方の中には、骨の痛みや骨折のしやすさに悩んでいる方もいるでしょう。

これは、腎臓の機能が低下することによって起きる骨の病気、腎性骨異栄養症が原因かもしれません。

腎臓と骨は、一見すると関係が薄いように感じますが、実は体内のミネラルバランスを通じて密接に関わっています。

この記事では、腎性骨異栄養症がなぜ起こるのか、原因から症状、どのような治療法があるのかを、分かりやすく解説します。

目次

腎性骨異栄養症の全体像 透析と骨の深い関係

透析治療は生命を維持するために重要な治療ですが、長期間にわたって受けていると、さまざまな合併症が現れることがあり、その中でも、骨に関するトラブルは生活の質に大きく影響します。

腎臓の働きと骨の健康がどのように結びついているのか、その基本的なつながりから見ていきましょう。

透析患者さんを悩ませる骨の合併症

腎性骨異栄養症は、慢性腎臓病に伴って起こる骨の病気の総称です。

以前は腎性骨異栄養症と呼ばれていましたが、現在では、骨の異常だけでなく、カルシウムやリンといったミネラルの代謝異常や、血管の石灰化なども含めより、広い概念である「慢性腎臓病に伴う鉱物骨代謝異常(CKD-MBD)」として捉えています。

腎臓の機能が低下すると、体内のミネラルバランスが崩れ、骨がもろくなったり、逆に硬くなりすぎたり、さまざまな変化が生じます。

このような変化は、痛みや骨折のリスクを高めるだけでなく、心臓や血管の病気にもつながることがあり、注意が必要です。

なぜ腎臓が悪いと骨がもろくなるのか

骨は、常に古い骨が壊され(骨吸収)、新しい骨が作られる(骨形成)というサイクルを繰り返すことで、強さとしなやかさを保っています。

骨の生まれ変わり、つまり骨代謝は、さまざまなホルモンやミネラルによって絶妙に調節されていて、腎臓は、この調節に欠かせないミネラルのバランスを保ち、ホルモンを活性化させる中心的な役割を担っています。

腎臓の機能が低下すると、骨代謝のバランスが大きく崩れてしまい、骨の質が低下し、わずかな衝撃でも折れやすい、もろい骨になってしまうのです。

ミネラル代謝の異常が引き金に

骨の健康を語る上で、カルシウムとリンという二つのミネラルは非常に重要です。腎臓は、血液中のカルシウムとリンの濃度を一定に保つ役割を担っていてます。

機能が低下すると、リンが体外にうまく排泄されなくなり、血液中に溜まっていき、また、腎臓で活性化されるはずのビタミンDが不足し、腸からのカルシウム吸収が低下します。

この高リン血症と低カルシウム血症という二つの異常が、腎性骨異栄養症を起こす最初の引き金となります。体は異常事態を察知し、バランスを元に戻そうとしますが、その過程で骨にさらなる負担がかかってしまうのです。

腎性骨異栄養症の主な原因 腎機能低下がもたらす体の変化

腎臓の機能が落ちると、なぜ骨にまで影響が及ぶのでしょうか。私たちの体を支える骨と腎臓は、ミネラルのバランスを通じて密接につながっています。

腎機能の低下が引き起こす体内の連鎖的な変化を一つひとつ見ていくことで、腎性骨異栄養症の原因をより深く理解することができます。

リンの蓄積とカルシウムの低下

健康な腎臓は、食事から摂取した余分なリンを尿として体の外へ効率よく排出しますが、腎臓の働きが悪くなると、排出能力が落ちてしまい、血液中にリンがどんどん溜まっていきます。

血液中のリン濃度が高くなると、体はバランスを取ろうとして、血液中のカルシウムとリンが結合し、骨以外の場所、特に血管の壁などに沈着しやすくなり、この現象が異所性石灰化です。

リンとカルシウムが結合してしまうことで、血液中のカルシウム濃度はかえって低下してしまいます。

体はカルシウム不足を補うため、最大のカルシウム貯蔵庫である骨からカルシウムを溶かし出すようになり、骨がスカスカになる原因をつくります。

リンの管理で注意したい食品

リンの種類特徴多く含まれる食品例
有機リンたんぱく質に含まれる。腸からの吸収率は約40~60%。肉、魚、卵、乳製品、豆類
無機リン食品添加物として使われる。吸収率はほぼ100%と非常に高い。加工食品、インスタント食品、清涼飲料水

副甲状腺ホルモン(PTH)の過剰分泌

副甲状腺は、喉にある甲状腺の裏側にある小さな臓器で、血液中のカルシウム濃度を調節する副甲状腺ホルモン(PTH)を分泌しています。

血液中のカルシウム濃度が低下したり、リン濃度が上昇したりすると、副甲状腺は刺激を受けてPTHを過剰に分泌し始め、この状態が二次性副甲状腺機能亢進症です。

PTHには、骨を溶かして血液中のカルシウム濃度を上昇させる働きがあり、腎機能が低下した状態では、PTHの分泌にブレーキがかかりにくくなるため、常に骨が溶かされ続けることになり、骨密度の低下や骨の変形を招きます。

長期間この状態が続くと、副甲状腺自体が腫れてしまい、自律的にPTHを分泌し続け、さらにコントロールが難しくなります。

活性型ビタミンDの不足

ビタミンDは、食事から摂取したり、日光を浴びることで皮膚で作られたりしますが、そのままでは体内で働くことができません。肝臓と腎臓で活性型ビタミンDに変換されて初めて、効果を発揮します。

活性型ビタミンDの主な働きは、腸管からのカルシウムとリンの吸収を促進することです。腎臓の機能が低下すると、活性化の最終段階が滞り活性型ビタミンDが不足します。

こうなると、食事から十分なカルシウムを摂取していても、体内に吸収されにくくなり、低カルシウム血症がさらに悪化し、PTHの過剰な分泌を促す要因となります。

骨の代謝回転の異常

前述の通り、骨は常に新陳代謝を繰り返していて、骨代謝のスピード、つまり骨の代謝回転が正常範囲に保たれていることが骨の健康には重要です。しかし、腎性骨異栄養症では、この代謝回転に異常が生じます。

PTHが過剰に分泌されると、骨の破壊と形成が過剰に進む高回転骨という状態になり、骨の形成が破壊のスピードに追いつかず、質の悪いもろい骨が作られてしまいます。

逆に、何らかの理由でPTHの働きが過度に抑制されたり、アルミニウムなどが骨に蓄積したりすると、骨の代謝が極端に低下する低回転骨(無形成骨)という状態になることもあります。

この場合、骨の修復能力が落ちるため、微小な骨折が治りにくく、骨折のリスクが高いです。

骨代謝回転による分類

分類骨代謝の状態主な原因
高回転骨(線維性骨炎)骨吸収と骨形成が過剰二次性副甲状腺機能亢進症
低回転骨(無形成骨)骨吸収と骨形成が極端に低下PTHの過剰な抑制、アルミニウム蓄積
混合性骨異栄養症高回転骨と低回転骨の特徴が混在複数の要因が関与

腎性骨異栄養症で見られる症状

腎性骨異栄養症は、初期の段階では自覚症状がほとんどないことが多く、静かに進行していきますが、病状が進むにつれて、生活に支障をきたすさまざまな症状が現れ始めます。どのようなサインに気をつけるべきかを知っておくことが大切です。

初期に現れやすい骨や関節の痛み

最もよく見られる症状の一つが、骨の痛みや関節の痛みで、特に、腰、股関節、膝、足首など、体重がかかる部分に鈍い痛みを感じることが多いです。

最初は軽い痛みや違和感程度ですが、進行すると安静にしていても痛むようになり、歩行や立ち上がりといった日常的な動作が困難になることもあります。

痛みは、骨がもろくなっていることや、PTHの過剰な働きによって骨の表面にある膜が刺激されることなどが原因で起こると考えられています。

骨折のリスクと体の変形

骨の強度が低下するため、非常に骨折しやすくなります。特に、肋骨、背骨(脊椎)、足の付け根(大腿骨頸部)などの骨折が多く見られます。

くしゃみをしたり、少し体をひねったりといった、健康な人では考えられないようなわずかな力で骨折してしまうこともあります(脆弱性骨折)。

また、背骨が圧迫されて潰れるように折れる(圧迫骨折)と、背中が丸くなったり、身長が縮んだりすることもあり、骨折は激しい痛みを伴うだけでなく、その後の活動量を著しく低下させ、寝たきりの原因にもなりかねません。

骨や関節に現れる症状

  • 骨の痛み(特に腰や足)
  • 関節の痛み
  • 骨折しやすくなる
  • 身長が縮む、背中が丸くなる

骨以外の場所に現れる症状

腎性骨異栄養症の問題は、骨だけに留まりません。

血液中で過剰になったリンとカルシウムが結合して、血管の壁に沈着(石灰化)すると、動脈硬化を急速に進行させ、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気のリスクが高まります。

また、皮膚にカルシウムが沈着すると、激しいかゆみ(掻痒感)を起こすことがあります。関節の周囲に沈着すれば、関節の痛みや動きの制限の原因にもなり、ミネラルバランスの異常は全身に影響を及ぼす可能性があるのです。

全身に現れる可能性のある症状

部位症状原因
皮膚激しいかゆみカルシウム・リンの沈着
血管動脈硬化血管の石灰化
心臓心不全、不整脈心臓の血管や弁の石灰化

診断のために行われる検査

腎性骨異栄養症の診断と治療方針の決定には、現在の体の状態を正確に把握することが重要で、いくつかの検査を定期的に行い、骨やミネラルの状態を総合的に評価します。

血液検査でミネラルとホルモンの値を確認

最も基本的で重要な検査が血液検査です。血液を採取して、腎性骨異栄養症に関連する項目を測定し、ミネラルバランスの乱れやホルモンの異常を数値で客観的に評価することができます。

定期的に血液検査の値の推移を追っていくことで、治療の効果を判定したり、治療方針を調整したりします。

血液検査の主な項目と管理目標値(例)

検査項目役割・意味管理目標値の目安
血清リン(P)血液中のリンの濃度。高いと骨や血管に悪影響。3.5~6.0 mg/dL
血清カルシウム(Ca)血液中のカルシウムの濃度。補正カルシウム値で評価。8.4~10.0 mg/dL
インタクトPTH副甲状腺ホルモンの濃度。骨代謝の状態を反映。60~240 pg/mL

※管理目標値は日本透析医学会のガイドラインに基づくものであり、個々の患者さんの状態によって異なります。

画像検査による骨の状態評価

血液検査の情報に加えて、実際の骨の状態を画像で確認することも大切です。

レントゲン(X線)検査は、骨折の有無や骨の変形、血管の石灰化などを調べるために行い、手や指のレントゲン写真は、副甲状腺機能亢進症に特徴的な骨の変化(骨膜下吸収像)を見つけるのに役立ちます。

また、骨密度測定(DXA法など)によって、骨の量を測定し、骨粗しょう症の評価も行うことで、将来の骨折リスクを予測することが可能です。

検査の種類と目的

  • レントゲン検査
  • 骨密度測定
  • CT検査
  • 超音波(エコー)検査

骨生検が必要になる場合

血液検査や画像検査だけでは、骨代謝回転の状態(高回転骨か低回転骨か)を正確に判断することが難しい場合があり、治療がうまくいかない場合や、診断に迷う場合には、最終的な確定診断のために骨生検を行うことがあります。

骨生検は、局所麻酔をして腰の骨(腸骨)の一部を少量採取し、顕微鏡で詳しく調べる検査です。

骨の構造や細胞の活動性を直接観察できるため、最も正確な情報が得られますが、侵襲的な検査であるため、実施されるケースは限られますが、治療方針を決定する上で非常に重要な情報となります。

腎性骨異栄養症の治療法

腎性骨異栄養症の治療は、一つの方法で完結するものではなく、食事療法、薬物療法、そして透析療法の調整などを組み合わせた総合的なアプローチが必要です。

目標は、ミネラルバランスを正常に保ち、骨の健康を維持し、全身の合併症を防ぐことです。ここでは、主な治療法について詳しく見ていきます。

食事療法 リンとカルシウムのコントロール

治療の基本となるのが食事療法で、特に重要なのがリンの摂取制限です。体内に溜まったリンは透析である程度除去できますが、除去できる量には限界があるため、食事から摂取するリンの量をコントロールすることが大切です。

リンはたんぱく質を多く含む食品に多く含まれているため、必要なたんぱく質を確保しつつ、リンの摂取を抑える工夫が求められます。

ハムやソーセージなどの加工食品やインスタント食品には、吸収されやすい無機リンが添加物として多く含まれているため、注意が必要です。

食事療法のポイント

栄養素管理のポイント具体的な工夫
リン摂取量を制限する。特に無機リンを避ける。加工食品を避け、食材を茹でこぼす・水にさらす。
カルシウム過剰摂取に注意する。薬からの吸収も考慮。サプリメントなどの自己判断での摂取は避ける。
たんぱく質必要量を確保しつつ、リンの少ない食品を選ぶ。管理栄養士と相談し、バランスの良い食事を心がける。

薬物療法 状態に合わせた薬の選択

食事療法だけではミネラルバランスのコントロールが難しい場合、薬物療法を行います。使用する薬は多岐にわたり、患者さん一人ひとりの血液検査のデータや症状に応じて、複数の薬を組み合わせて使用します。

薬物療法の種類

  • リン吸着薬
  • 活性型ビタミンD製剤
  • カルシミメティクス(カルシウム受容体作動薬)

リン吸着薬は、食事に含まれるリンが腸で吸収されるのを防ぎ、便と一緒に排泄させる薬です。

食事の直前に服用することが重要です。炭酸カルシウムや沈降炭酸カルシウムといったカルシウムを含むタイプと、塩酸セベラマーやビキサロマー、クエン酸第二鉄水和物といったカルシウムを含まないタイプがあります。

活性型ビタミンD製剤は、不足している活性型ビタミンDを補い、腸からのカルシウム吸収を助け、過剰なPTHの分泌を抑える働きがあります。ただし、カルシウムやリンの値を上昇させる作用もあるため、慎重な投与量の調整が必要です。

カルシミメティクスは、副甲状腺にあるカルシウム受容体に作用し、あたかも血液中のカルシウムが高いかのように見せかけることで、PTHの過剰な分泌を強力に抑える比較的新しい薬です。

外科的治療(PTX)とその他の治療

食事療法や薬物療法を最大限行っても、副甲状腺ホルモン(PTH)の値が十分に下がらない場合があります。

副甲状腺が大きく腫れてしまい、薬が効きにくくなった重症の二次性副甲状腺機能亢進症に対しては、外科的に副甲状腺を摘出する手術(副甲状腺摘出術:PTX)を検討します。

手術によって原因となっている副甲状腺を取り除くことで、PTH値を劇的に改善することが可能です。

また、シナカルセトという薬が効かない、あるいは副作用で使用できない場合に、副甲状腺に直接エタノールを注入して組織を壊死させる治療法(PEIT)が行われることもあります。

日常生活で気をつけること

治療と並行して、日々の生活の中で少し意識を変えるだけで、骨の健康を守り、症状の悪化を防ぐことにつながります。ここでは、患者さん自身が主体的に取り組めるセルフケアのポイントをいくつか紹介します。

転倒予防と骨折対策

腎性骨異栄養症の患者さんは骨がもろくなっているため、転倒は骨折に直結する危険なアクシデントで、日常生活の中で転倒のリスクを減らす工夫が非常に重要です。まず、自宅の環境を見直してみましょう。

床に物を置かない、滑りやすいマットは敷かない、コード類を整理する、浴室に手すりをつけたり滑り止めマットを敷いたりするなどの対策が有効で、また、夜間にトイレに行く際は、足元を照らす照明を用意すると安全です。

外出時は、滑りにくい靴を選び、雨や雪の日には特に注意深く歩き、杖や歩行器などの補助具を使うことも、転倒予防に役立ちます。

転倒予防のためのチェックリスト

  • 床の障害物
  • 照明の明るさ
  • 履物の適切さ
  • 浴室や階段の安全性

適切な運動の継続

骨は、適度な負荷がかかることで強さを維持し、過度に安静にしすぎると、かえって骨は弱くなってしまいます。

激しい運動や転倒のリスクが高い運動は避けるべきですが、体に負担の少ない運動を継続することは、骨密度の維持や筋力の向上、バランス感覚の改善に役立ち、転倒予防にもつながります。

ウォーキングやストレッチ、水中運動などがおすすめです。どの程度の運動が適切かは、体の状態によって異なりますので、必ず主治医や理学療法士に相談してから始めてください。無理なく、自分のペースで続けることが何よりも大切です。

運動を始める際の注意点

ポイント内容
医師への相談運動の内容や強度について事前に許可を得る。
無理をしない痛みや疲労を感じたらすぐに休む。
継続すること短時間でも良いので、できるだけ毎日続ける。

薬の正しい服用と定期的な通院

腎性骨異栄養症の治療は、長期にわたる管理が必要で、処方された薬、特にリン吸着薬は、指示されたタイミング(多くは食直前)に忘れずに服用することが、効果を最大限に引き出すために重要です。

飲み忘れが多いと、せっかくの治療効果が得られません。薬の管理が難しい場合は、お薬カレンダーを利用したり、家族に協力してもらったりする工夫も良いでしょう。

そして、定期的に通院し、血液検査や画像検査を受けることで、体の状態の変化を早期に捉えることも大切です。

よくある質問

最後に、腎性骨異栄養症について患者さんやご家族からよく寄せられる質問と回答をまとめました。

透析をしていればリンは気にしなくても良いですか

透析治療によって体内の余分なリンはある程度除去されますが、その量には限界があります。一般的な週3回の血液透析では、食事から摂取されるリンのすべてを除去することはできません。

除去しきれなかったリンは体内に蓄積し、腎性骨異栄養症や血管の石灰化を進行させる原因となります。

透析治療を受けている方であっても、食事からのリン摂取量を制限することと、処方されたリン吸着薬をきちんと服用することが、リンの管理において非常に重要です。

カルシウムは骨に良いと聞きますが、たくさん摂った方が良いですか

腎機能が正常な場合は、カルシウムの摂取は骨の健康に良いとされていますが、腎機能が低下している場合や透析を受けている場合は、話が異なります。

体内のリンが高い状態でカルシウムを過剰に摂取すると、リンとカルシウムが結合して血管などに沈着し、動脈硬化を悪化させる危険性があります。

また、カルシウム製剤や活性型ビタミンD製剤の服用によって、高カルシウム血症になることもあります。自己判断でカルシウムのサプリメントを摂取することは絶対に避けてください。

食事や薬からのカルシウム摂取量については、血液検査のデータを見ながら主治医が適切に判断しますので、指示に従うことが大切です。

痛み止めを飲んでも良いですか

骨や関節の痛みがつらい場合、痛み止め(鎮痛薬)の使用を考えたくなるかもしれませんが、市販の鎮痛薬の中には、腎臓に負担をかける成分(非ステロイド性抗炎症薬:NSAIDs)を含んでいるものが多くあります。

残っている腎機能をさらに悪化させる可能性があるため、自己判断での市販薬の使用は非常に危険です。痛みが続く場合は、まず主治医に相談してください。

腎臓への影響が少ない種類の鎮痛薬を処方してもらったり、痛みの原因そのものに対する治療(腎性骨異栄養症の治療)を強化したりすることで、症状の改善を図ります。

以上

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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