腎臓が一つしかない場合、体にどんな影響がある?日常生活の注意点

腎臓が一つしかない場合、体にどんな影響がある?日常生活の注意点

「自分や家族の腎臓が一つしかない」と知ったとき、体にどのような影響があるのか、普段の生活で何に気をつければ良いのか、多くの疑問や不安を感じるかもしれません。

腎臓は二つで一組として働く臓器ですが、一つだけでもその役割を十分に果たすことが可能です。大切なのは、残された腎臓の機能を正しく理解し、負担をかけない生活習慣を続けることです。

この記事では、腎臓が一つになる原因から、体に起こる変化、食事や運動、健康管理における具体的な注意点まで、分かりやすく解説します。

目次

そもそも腎臓が一つになる原因とは

人が腎臓一つで生活する背景には、いくつかの理由があります。生まれつきの場合もあれば、後天的な要因で腎臓を摘出することもあります。

それぞれの状況を理解することは、ご自身の状態を受け入れ、向き合うための第一歩となります。

生まれつき腎臓が一つ(単腎症)

胎児の段階で片方の腎臓が作られない、あるいは正常に機能しない状態で生まれてくることを「単腎症」や「片腎」と呼びます。これは約1,000人から2,000人に1人の割合で見られ、決して珍しいことではありません。

多くの場合、他の健康診断や人間ドックで腹部の超音波(エコー)検査を受けた際に偶然発見されます。

生まれつき一つの腎臓は、二つ分の働きを補うために少し大きくなっていることが多く、ほとんどの人は生涯にわたって特別な症状なく健康に過ごします。

病気による腎臓の摘出

後天的に腎臓が一つになる最も一般的な理由は、病気治療のための外科的な摘出です。腎臓を摘出する手術が必要になる主な病気には、以下のようなものがあります。

  • 腎臓がん
  • 重度の水腎症
  • 機能していない萎縮腎
  • 治療困難な腎結石や腎盂腎炎

これらの病気では、病変のある腎臓を残しておくことが体全体に悪影響を及ぼす可能性があるため、摘出を選択します。

片方の腎臓が正常に機能していれば、手術後も腎機能は維持され、日常生活に大きな支障が出ることは少ないです。

腎臓移植のドナー

家族など、近しい人が末期の腎不全になった際に、健康な腎臓の一つを提供(生体腎移植)するドナーになることで、腎臓が一つになるケースもあります。

ドナーになるには、二つの腎臓が正常に機能していること、高血圧や糖尿病などの全身性の病気がないことなど、厳しい医学的基準を満たす必要があります。

提供後、残った一つの腎臓で健康に生活を続けていけるかどうかを慎重に判断した上で、移植が行われます。ドナーの方も、提供後は定期的な検診を受け、腎臓の健康を長期的に見守っていくことが大切です。

腎臓が一つでも体は大丈夫?残った腎臓の代償機能

腎臓が一つしかないと聞くと、機能が半分になってしまうのではないかと心配になるかもしれません。しかし、私たちの体には素晴らしい適応能力が備わっています。

残された一つの腎臓が、失われた腎臓の分まで懸命に働こうとするのです。この働きを「代償機能」と呼びます。

代償性肥大とは

腎臓が一つになると、残った方の腎臓の働きが活発になります。具体的には、腎臓の血流が増加し、老廃物をろ過する「糸球体(しきゅうたい)」という部分が通常よりも大きく、たくましくなります。

これを「代償性肥大(だいしょうせいひだい)」と呼びます。この変化によって、一つの腎臓でも、本来二つで行っていた仕事の70~80%程度をこなせるようになります。

このおかげで、体内の老廃物や余分な水分を排泄し、体液のバランスを保つという腎臓の重要な役割を維持できます。

腎機能はどのくらい維持できるのか

代償性肥大によって、腎機能は高いレベルで保たれます。例えば、健康な人の腎機能を100%とすると、腎臓が一つになった直後は50%に低下しますが、数ヶ月から1年ほどかけて代償機能が完成すると、最終的には70~80%程度まで回復します。

このレベルの腎機能があれば、自覚症状はほとんどなく、日常生活を健やかに送ることが可能です。ただし、腎臓の予備能力は低下しているため、将来的な負担に備える意識は重要です。

腎機能の推移イメージ

タイミング腎機能の目安体の状態
腎臓が二つある時100%正常な状態。
一つになった直後約50%機能は半減するが、すぐに代償が始まる。
数ヶ月~1年後70~80%代償機能が完成し、安定した状態。

代償機能が働くまでの期間

代償性肥大が完成するまでの期間には個人差がありますが、一般的には数ヶ月から1年程度かかるとされています。特に、若い年齢で腎臓が一つになった場合ほど、代償機能はより効果的に働きます。

この期間は、残った腎臓が新しい環境に適応している大切な時期です。体に急激な負担をかけず、医師の指示に従って塩分やたんぱく質の摂取量に注意し、穏やかに過ごすことが求められます。

腎臓が一つしかない場合の具体的な症状

腎臓が一つでも、代償機能が十分に働いている限り、多くの場合で自覚症状はありません。しかし、腎臓への負担が長期的に続くと、将来的にいくつかの症状や病気を発症するリスクが、腎臓が二つある人よりもわずかに高まる可能性があります。

そのため、症状がないからと安心せず、体のサインを見逃さないことが重要です。

ほとんどの場合は無症状

前述の通り、残った腎臓がしっかりと働いているため、日常生活で「腎臓が一つしかない」ことを意識するような症状が出ることは稀です。

疲れやすい、体がだるいといった症状を感じる人もいますが、それが直接的に腎臓の状態と関連しているとは限りません。多くの方は、健康診断で指摘されるまで気づかずに生活しています。

注意すべき長期的なリスク

一つの腎臓で長期間働き続けると、腎臓にわずかながら負担がかかり続けます。この状態を「過剰ろ過」と呼びます。この過剰ろ過が何十年も続くと、将来的に以下のような状態を引き起こす可能性があります。

  • 高血圧
  • たんぱく尿
  • 腎機能の緩やかな低下

これらのリスクは、腎臓が二つある人と比較してわずかに高い程度であり、必ず発症するわけではありません。

しかし、こうしたリスクの存在を理解し、予防的な生活習慣を心掛けることが、唯一の腎臓を生涯にわたって守ることにつながります。

定期的な検査の重要性

自覚症状がないからこそ、定期的な検査が極めて重要です。

腎臓の状態は、血液検査や尿検査をしないと正確に把握できません。年に1回は必ず健康診断や病院での検診を受け、腎機能(eGFR)、尿たんぱく、血圧の3つの指標をチェックしましょう。

早期に異常を発見できれば、生活習慣の改善や適切な治療によって、腎機能の低下を食い止めたり、進行を遅らせたりすることが可能です。

腎臓を守るための3つのチェック項目

チェック項目検査内容なぜ重要か
腎機能 (eGFR)血液検査(クレアチニン値)腎臓が老廃物をろ過する能力を数値で示します。
尿たんぱく尿検査腎臓のフィルターが傷ついているサインです。
血圧血圧測定高血圧は腎臓に大きな負担をかけます。

日常生活で最も重要な食事のポイント

腎臓を長持ちさせる上で、毎日の食生活は最も大切な要素の一つです。残った腎臓に余計な負担をかけないよう、いくつかの点を意識する必要があります。基本は「減塩」と「たんぱく質の摂りすぎない」ことです。

厳しい食事制限が必要なわけではなく、バランスの取れた食事を基本に、少しだけ工夫を加える意識が大切です。

過剰な塩分摂取を避ける

塩分(ナトリウム)を摂りすぎると、体内に水分が溜まりやすくなり、血圧が上昇します。高血圧は腎臓の血管にダメージを与え、腎機能を低下させる最大の原因の一つです。1日の塩分摂取量は6g未満を目標にしましょう。

加工食品や外食は塩分が多い傾向にあるため、成分表示を確認する習慣をつけることが重要です。

塩分を多く含む食品の例と工夫

食品分類具体例控える工夫
加工食品ハム、ソーセージ、練り物使用量を減らす、無塩せきの製品を選ぶ。
汁物・麺類ラーメン、うどんの汁汁は全部飲まずに残す。
漬物・干物梅干し、たくあん、魚の干物食べる量を少量にする。

香辛料(こしょう、カレー粉など)、香味野菜(しょうが、にんにく、しそなど)、酸味(酢、レモン汁など)を上手に使うと、薄味でも食事を美味しく楽しめます。

たんぱく質の摂りすぎに注意

たんぱく質は体を作る上で重要な栄養素ですが、摂取すると体内で分解され、尿素などの老廃物を生じます。この老廃物を排泄するのが腎臓の役目なので、たんぱく質を摂りすぎると腎臓の仕事量が増え、負担がかかります。

ただし、極端に制限すると栄養不足になるため、「摂りすぎない」という意識が大切です。ご自身の腎機能の状態によって適切な量は異なりますので、医師や管理栄養士に相談するのが最も安全です。

たんぱく質を多く含む食品

食品分類具体例注意点
肉・魚・卵牛肉、豚肉、鶏肉、魚全般、卵一度に大量に食べない。
大豆製品豆腐、納豆、豆乳ヘルシーだが、これもたんぱく質。
乳製品牛乳、チーズ、ヨーグルト過剰な摂取は避ける。

カリウムの管理

腎機能が正常に保たれている場合は、カリウムの制限は通常必要ありません。カリウムは、野菜や果物に多く含まれるミネラルで、むしろ高血圧の予防に役立ちます。

ただし、将来的に腎機能が低下してきた場合には、カリウムが体内に溜まりやすくなり、不整脈などの原因になるため、摂取量を調整する必要があります。

現時点では、特定の指示がない限り、神経質になる必要はなく、バランス良く野菜や果物を食べることが推奨されます。

参考:カリウムを多く含む食品

分類具体例(腎機能低下時の)減らす工夫
野菜ほうれん草、かぼちゃ、いも類茹でこぼしや水にさらす。
果物バナナ、メロン、アボカド缶詰を利用する(シロップは捨てる)。
その他ドライフルーツ、豆類摂取を控える。

水分摂取の目安

水分は、少なすぎると脱水になり腎臓に負担がかかり、多すぎるとむくみの原因になります。基本的には、喉が渇いたと感じた時に飲む程度で問題ありません。

夏場や運動時など汗を多くかく場面では、こまめな水分補給を心掛けましょう。特に指示がない限り、無理に大量の水を飲む必要はありません。

尿の色が濃い黄色になったら水分不足のサイン、薄い黄色なら足りているサインと考えると分かりやすいです。

運動や仕事で気をつけること

腎臓が一つであっても、日常生活や運動、仕事に大きな制限はありません。むしろ、適度な運動は血圧を安定させ、肥満を予防するなど、腎臓を守る上で多くのメリットがあります。

ただし、体に極端な負担をかける活動は避けるべきです。

激しい運動は避けるべきか

体をぶつけ合うような激しいコンタクトスポーツ(ラグビー、柔道、空手、ボクシングなど)は、唯一の腎臓を損傷するリスクがあるため、避ける方が賢明です。

腎臓は背中側の腰骨の少し上に位置しており、強い衝撃を受けると損傷する可能性があります。どのようなスポーツであれば安全かについては、ご自身の状況を医師とよく相談して判断することが大切です。

運動の推奨度

推奨度運動の例理由
推奨ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリング全身運動で血行を促進し、血圧管理に有効。
注意が必要サッカー、バスケットボール他者との接触可能性があるため、注意して行う。
非推奨ラグビー、柔道、ボクシング腹部への強い衝撃のリスクが高い。

日常的な運動のすすめ

腎臓の健康維持のためには、日常的に体を動かす習慣が重要です。週に3~5回、1回30分程度の有酸素運動を目指しましょう。息が軽く弾むくらいのペースでウォーキングをするだけでも十分な効果が期待できます。

運動は、高血圧や糖尿病、肥満といった腎臓に悪影響を及ぼす生活習慣病の予防に直結します。無理なく、楽しみながら続けられる運動を見つけることが長続きの秘訣です。

職業選択と注意点

ほとんどの職業は問題なく続けることができます。事務職や軽作業はもちろん、一般的な立ち仕事も問題ありません。

ただし、腎臓への物理的な衝撃が懸念される職業や、極度の脱水を引き起こす可能性がある高温環境での重労働などについては、慎重な判断が必要です。

また、夜勤など不規則な勤務は生活リズムを乱し、血圧管理に影響を与える可能性もあるため、体調管理には一層の注意を払いましょう。

薬の服用と健康管理

腎臓は、多くの薬を体外へ排泄する役割も担っています。そのため、腎臓が一つで機能がやや低下している状態では、薬の選び方や使い方に注意が必要です。

また、腎臓に負担をかける高血圧などをしっかり管理することも、生涯にわたる健康維持の鍵となります。

市販薬の服用前に相談を

風邪をひいた時や頭痛がする時など、市販の薬を利用する機会は多いでしょう。

しかし、市販の解熱鎮痛薬(痛み止め)の中には、腎臓の血流を低下させ、機能を悪化させる可能性のある成分(NSAIDs:非ステロイド性抗炎症薬)を含むものがあります。

長期にわたって服用したり、大量に服用したりすると腎障害を引き起こすことがあります。市販薬を使う場合は、自己判断で安易に選ばず、必ず医師や薬剤師に相談してください。

注意が必要な市販薬の成分

薬の種類注意すべき主な成分名
解熱鎮痛薬(NSAIDs)ロキソプロフェン、イブプロフェン、ジクロフェナク
一部の漢方薬甘草(カンゾウ)など(血圧に影響する可能性)

比較的安全性が高いとされるアセトアミノフェンが主成分の解熱鎮痛薬を選ぶという選択肢もありますが、いずれにしても専門家への相談が基本です。

腎毒性のある薬物について

病院で処方される薬の中にも、腎機能に影響を与えるものがあります。例えば、一部の抗生物質や造影剤などがこれにあたります。

医師は腎機能の状態を考慮して薬の種類や量を調整しますが、他の病院や診療科にかかる際には、「腎臓が一つであること」を必ず伝えるようにしましょう。

お薬手帳を活用し、服用中の薬を正確に伝えることも、重複投与や危険な組み合わせを避けるために重要です。

血圧管理の徹底

腎臓を守る上で、食事の減塩と並んで最も重要なのが血圧の管理です。高血圧は静かに腎臓を傷つけます。家庭でも定期的に血圧を測定し、自分の血圧値を把握しておくことが大切です。

目標とする血圧値は、年齢や他の病気の有無によっても異なりますが、一般的には130/80mmHg未満を目指します。必要であれば、医師は腎臓を保護する作用のある降圧薬を処方します。指示通りにきちんと服用を続けましょう。

  • 朝と晩の2回、決まった時間に測定する
  • 測定した血圧値は記録しておく
  • 正常値でも油断せず、生活習慣の改善を続ける

妊娠・出産に関する注意点

腎臓が一つしかない女性でも、腎機能が安定しており、高血圧やたんぱく尿がなければ、多くの場合で安全に妊娠・出産が可能です。ただし、妊娠中は体内の血液量が増え、腎臓への負担が増加します。

そのため、腎臓が二つある女性に比べて、妊娠高血圧症候群やたんぱく尿を発症するリスクがやや高まります。

妊娠を希望する場合は、事前に腎臓内科の主治医に相談し、妊娠中から出産後にかけては、産科医と腎臓内科医が連携して健康管理を行うことが大切です。

定期検診で確認する項目

唯一の腎臓の状態を正確に把握し、長く健康を維持するためには、定期的な検診が欠かせません。年に一度は、主治医のもとで尿検査、血液検査、血圧測定を受けましょう。

これらの検査で、腎臓が発している小さなSOSを早期にキャッチすることができます。

尿検査の内容と見方

尿検査は、腎臓のフィルター機能が正常に働いているかを確認する、簡単で重要な検査です。特に「たんぱく尿」と「潜血」の有無をチェックします。

尿検査の主要項目

検査項目意味基準値
尿たんぱく本来は尿に出ないたんぱく質が漏れ出ているか。腎臓の傷つき具合を示す。陰性(-)
尿潜血尿に血液が混じっているか。腎臓や尿路からの出血の可能性を示す。陰性(-)

たんぱく尿が陽性(+)の場合は、腎臓に負担がかかっているサインです。早期であれば、生活習慣の見直しで改善することもあります。

血液検査の主要な項目

血液検査では、腎臓の「ろ過能力」がどの程度保たれているかを調べます。クレアチニン(Cr)という老廃物の値を測定し、そこから「eGFR(推算糸球体ろ過量)」を算出します。

血液検査の主要項目

検査項目意味ポイント
クレアチニン (Cr)筋肉で作られる老廃物。腎機能が低下すると血液中に溜まり、数値が上がる。筋肉量に影響されるため、性別や年齢で基準値が異なる。
eGFRクレアチニン値、年齢、性別から算出する腎臓の働きを示す指標。100に近いほど良い。腎臓が一つでも代償機能により60以上を維持することが目標。

eGFRの値は、現在の腎機能を知る上で最も客観的で重要な指標です。この値の経時的な変化を見ていくことで、腎機能が安定しているか、低下傾向にあるかを判断します。

血圧測定と画像検査

血圧測定は、検診の基本です。高血圧は腎臓病を進行させる大きな要因であるため、毎回必ず測定し、管理します。また、数年に一度は、腹部超音波(エコー)検査などの画像検査を行うことがあります。

これにより、腎臓の大きさや形、血流の状態、結石やのう胞の有無などを確認し、形態的な異常がないかをチェックします。

よくある質問

最後に、腎臓が一つしかない方からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。不安の解消にお役立てください。

腎臓が一つだと寿命は短くなりますか?

適切な健康管理を行えば、腎臓が一つであることが原因で寿命が短くなることはありません。腎臓が二つある人と同等の生命予後が期待できます。

大切なのは、残った腎臓をいたわる生活習慣(減塩、適度な運動、血圧管理など)を継続し、定期的な検診を欠かさないことです。これらの自己管理を徹底することで、腎機能を長期間良好に保つことが可能です。

保険への加入はできますか?

加入できる可能性は十分にあります。ただし、保険会社や保険商品によって加入条件は異なります。一般的な医療保険や生命保険では、「単腎症」であることが告知事項に該当します。

その上で、現在の腎機能、血圧、尿検査の結果などが正常範囲内であれば、特別な条件なしで加入できる場合や、「腎臓の病気は保障の対象外」といった部位不担保の条件付きで加入できる場合があります。

複数の保険会社に問い合わせて、条件を比較検討することをおすすめします。

障害者手帳の対象になりますか?

単に腎臓が一つであるというだけでは、身体障害者手帳の交付対象にはなりません。障害者手帳は、腎機能がどの程度低下しているかによって認定されます。

具体的には、血液検査で算出されるeGFRの値が一定の基準を下回った場合に、申請の対象となります。例えば、腎機能障害による等級は1級、3級、4級があり、eGFRの値が指標の一つとなります。

もう片方の腎臓も悪くなる可能性はありますか?

一つの腎臓に、腎臓が二つある人と同じ病気が起こる可能性はあります。例えば、糖尿病や高血圧が原因で腎機能が悪化する「糖尿病性腎症」や「腎硬化症」は、腎臓の数に関わらず発症しうる病気です。

だからこそ、唯一の腎臓を守るために、生活習慣病の予防と管理が非常に重要になります。また、定期検診は、万が一新たな病気が発生した場合でも早期に発見し、対処するために不可欠です。

以上

参考文献

WESTLAND, Rik, et al. Clinical implications of the solitary functioning kidney. Clinical Journal of the American Society of Nephrology, 2014, 9.5: 978-986.

NOVICK, Andrew C., et al. Long-term follow-up after partial removal of a solitary kidney. New England Journal of Medicine, 1991, 325.15: 1058-1062.

TANTISATTAMO, Ekamol, et al. Current management of patients with acquired solitary kidney. Kidney international reports, 2019, 4.9: 1205-1218.

CANES, David, et al. Functional outcomes following percutaneous surgery in the solitary kidney. The Journal of urology, 2009, 181.1: 154-160.

SLUITER, Amanda, et al. Measuring Social Functioning in Chronic Kidney Disease. In: Seminars in Nephrology. WB Saunders, 2024. p. 151547.

KASISKE, Bertram L., et al. The relationship between kidney function and long-term graft survival after kidney transplant. American Journal of Kidney Diseases, 2011, 57.3: 466-475.

HARIHARAN, Sundaram, et al. Post-transplant renal function in the first year predicts long-term kidney transplant survival. Kidney international, 2002, 62.1: 311-318.

PASCUAL, Manuel, et al. Strategies to improve long-term outcomes after renal transplantation. New England Journal of Medicine, 2002, 346.8: 580-590.

MEIER‐KRIESCHE, Herwig‐Ulf; SCHOLD, Jesse D.; KAPLAN, Bruce. Long‐term renal allograft survival: have we made significant progress or is it time to rethink our analytic and therapeutic strategies?. American Journal of Transplantation, 2004, 4.8: 1289-1295.

FERGANY, Amr F.; HAFEZ, Khaled S.; NOVICK, Andrew C. Long-term results of nephron sparing surgery for localized renal cell carcinoma: 10-year followup. The Journal of urology, 2000, 163.2: 442-445.

免責事項

当院の医療情報について

当記事は、医療に関する知見を提供することを目的としており、当院への診療の勧誘を意図したものではございません。治療についての最終的な決定は、患者様ご自身の責任で慎重になさるようお願いいたします。

掲載情報の信頼性

当記事の内容は、信頼性の高い医学文献やガイドラインを参考にしていますが、医療情報には変動や不確実性が伴うことをご理解ください。また、情報の正確性には万全を期しておりますが、掲載情報の誤りや第三者による改ざん、通信トラブルなどが生じた場合には、当院は一切責任を負いません。

情報の時限性

掲載されている情報は、記載された日付の時点でのものであり、常に最新の状態を保証するものではありません。情報が更新された場合でも、当院がそれを即座に反映させる保証はございません。

ご利用にあたっての注意

医療情報は日々進化しており、専門的な判断が求められることが多いため、当記事はあくまで一つの参考としてご活用いただき、具体的な治療方針については、お近くの医療機関に相談することをお勧めします。

大垣中央病院・こばとも皮膚科

  • URLをコピーしました!
目次