体重増加・むくみ・だるさは腎臓のサイン?考えられる原因と対処法

体重増加・むくみ・だるさは腎臓のサイン?考えられる原因と対処法

最近、特に食生活を変えていないのに体重が増える、夕方になると足がパンパンになる、朝からどうも体がだるくてやる気が出ない。そんな経験はありませんか。

疲れや年齢のせいだと片付けてしまいがちですが、もしかすると腎臓が発している重要なサインかもしれません。

腎臓は体内の水分バランスを調整し、老廃物を排出するフィルターの役割を担っていて、この機能が何らかの原因で低下すると、体にさまざまな変化が現れ始めます。

この記事では、なぜ体重増加やむくみ、だるさといった症状が腎臓と関係するのか、その背景にある原因を掘り下げ、日常生活でできる対処法まで、解説していきます。

目次

体重増加・むくみ・だるさは腎臓からの危険信号かもしれません

体の中で、黙々と重要な役割を果たし続ける腎臓、その働きが少しずつ弱まっても、初期の段階では自覚症状がほとんど現れないため沈黙の臓器とも呼ばれます。

しかし、機能の低下がある程度進むと、体重の増加や体のむくみ、原因不明のだるさといった形で、私たちにSOSを送り始めます。

そもそも腎臓とはどんな働きをする臓器か

腎臓は、腰のあたりに左右一対ある、そら豆のような形をした臓器で、大きさは握りこぶしほどですが、生命維持に欠かせない多くの複雑な仕事をこなしています。

最もよく知られているのは、血液をろ過して老廃物や余分な水分、塩分を尿として体の外に排出する働きでしょう。このろ過機能のおかげで、私たちの体は常にきれいな血液を保つことができます。

腎臓の役割はそれだけではなく、体内の水分量やミネラルのバランスを一定に保つ電解質調節、血圧をコントロールするホルモンの分泌、赤血球を作る指令を出すホルモンの産生、骨を丈夫に保つビタミンDの活性化など、働きは多岐にわたります。

腎臓が担う主要な機能

機能内容体への影響
老廃物の排出血液中の不要な物質を尿として排泄する体内に毒素が溜まるのを防ぐ
水分・電解質の調節体液の量やミネラル濃度を一定に保つむくみや脱水を防ぎ、神経や筋肉の働きを正常に保つ
ホルモンの産生・調節血圧調整や造血、骨の健康に関わるホルモンを分泌する高血圧や貧血、骨粗しょう症などを防ぐ

なぜ腎臓の機能が低下すると体にサインが現れるのか

腎臓の機能が低下するということは、先ほど述べたような多様な働きが十分に果たせなくなることを意味します。

血液をろ過する能力が落ちると、本来なら尿として排出されるはずの老廃物や余分な水分が体内に溜まり始め、溜まった水分が、むくみや体重増加の直接的な原因となります。

また、老廃物が血液中に増えると、体全体がだるく感じたり、吐き気を催したりすることもあり、さらに、赤血球を作るホルモンの分泌が減れば貧血になり、少し動いただけでも息切れや動悸がするようになります。

腎臓の機能低下は、まるでドミノ倒しのように体のさまざまな部分に影響を及ぼし、多様な症状として現れるのです。

見過ごしやすい初期症状に注意

腎臓病の怖いところは、初期にはほとんど自覚症状がない点です。

腎臓は非常に予備能力が高い臓器で、機能が半分近くまで低下しないと、はっきりとした症状が現れないこともあるため、なんとなく体調が優れないと感じていても、それが腎臓の問題だとは気づきにくいのです。

しかし、注意深く観察すれば、初期のサインを捉えることも可能です。夜中に何度もトイレに起きる、尿の色が濃い、尿が泡立つといった変化は、腎臓のろ過機能に異常が起き始めている可能性を示唆します。

  • 夜間の頻尿
  • 尿の色の変化
  • 尿の泡立ち
  • 足や顔のむくみ
  • 貧血によるめまい・立ちくらみ

なぜ起こる?腎臓と体重増加・むくみの深い関係

体重計の数字が少しずつ増えていく、指輪がきつくなった、靴下の跡がくっきり残る、というような現象は、単なる体重管理の問題ではなく、体内の水分バランスが崩れているサインかもしれません。

腎臓は、体内の水分量を精密にコントロールする司令塔のような存在で、機能に問題が生じると、水分と塩分のバランスが崩れ、体重増加やむくみといった形で体に現れてきます。

水分と塩分のバランスを保つ腎臓の役割

体の約60%は水分でできており、水分量とその中に溶け込んでいるナトリウム(塩分)などの電解質の濃度は、常に一定の範囲内に保たれて、絶妙なバランスを維持しているのが腎臓です。

腎臓は、体内の水分が多すぎれば尿の量を増やして排出し、逆に水分が不足すれば尿を濃縮して水分を体内に留めようとし、同時に、塩分の摂取量に応じて、尿中への塩分排出量を巧みに調節します。

ろ過機能の低下が引き起こす水分の蓄積

腎臓の機能が低下すると水分と塩分の調節機能がうまく働かなくなり、食事から摂取した塩分を十分に排出できなくなると、体は塩分濃度を薄めようとして水分を溜め込み始め、これが、むくみの主な原因です。

コップの中の塩水が濃すぎるときに、水を足して薄めるのをイメージすると分かりやすいかもしれません。

腎臓のフィルター(糸球体)が目詰まりを起こし、ろ過できる血液の量が減ることで、排出されるべき水分と塩分が体内にどんどん溜まっていき、全身のむくみや急激な体重増加につながるのです。

むくみが出やすい体の部位と特徴

腎臓の機能低下によるむくみは、体の特定の部分に現れやすいという特徴があり、初期には、重力の影響を受けやすい足のすねや足の甲に出ることが多いです。

指で強く押すと、へこんだまましばらく元に戻らないのが特徴的なサインで(圧痕性浮腫)、症状が進行すると、朝起きたときにまぶたや顔が腫れぼったく感じられるようになります。

これは、夜間に体を横にしている間に、水分が顔周りに移動するためです。さらに悪化すると、全身にむくみが広がり、胸やお腹に水が溜まることもあります。

腎臓機能低下によるむくみの特徴

特徴詳細確認方法
圧痕性浮腫指で押すと跡が残る足のすねなどを数秒間押して確認する
左右対称性両足や両方のまぶたなど、左右同じようにむくむ片足だけではないか観察する
時間帯による変化夕方に足がむくみ、朝に顔がむくむ傾向がある一日の中での変化を意識する

体重増加の内訳は脂肪ではなく水分

腎臓の機能低下によって短期間で体重が2〜3kg増加した場合、ほとんどは体脂肪ではなく、体内に溜まった余分な水分(体液)によるものだと考えられます。食事量が増えたわけでもないのに体重が増え続けるときは、注意が必要です。

1週間で1kg以上のペースで体重が増加し、同時にむくみを感じるようであれば、腎臓からのサインである可能性を考慮するべきでしょう。

体重増加は、体が見た目にも変化をもたらし、ズボンがきつくなったり、体が重く感じられたりする原因にもなります。

体が重く感じるだるさと腎臓機能のつながり

十分な睡眠をとったはずなのに、朝から体が鉛のように重い。少し動いただけですぐに疲れてしまい、集中力が続かない。このような原因のはっきりしないだるさや倦怠感も、腎臓の機能低下が原因で起こることがあります。

体内の老廃物の蓄積、貧血、そして電解質バランスの乱れという三つの要素が複雑に絡み合い、活力や気力を奪ってしまうのです。

老廃物の蓄積が起こす倦怠感

腎臓の最も重要な働きのひとつが、血液中から老廃物をろ過し、尿として排出することです。老廃物とは、主にたんぱく質が体内で利用された後に残る燃えカスのようなもので、代表的なものに尿素窒素やクレアチニンがあります。

腎臓の機能が低下すると、これらの老廃物を十分に排出しきれず、血液中に蓄積していき、この状態を尿毒症と呼びます。

尿毒症の原因となる物質(尿毒素)が体内に溜まると、神経や筋肉の働きに悪影響を及ぼし、強いだるさや疲労感、食欲不振、吐き気、頭痛などの症状を起こすのです。

だるさの原因となる主な老廃物とその影響

老廃物(尿毒素)主な発生源体に及ぼす影響
尿素窒素 (BUN)たんぱく質の分解倦怠感、食欲不振、吐き気
クレアチニン (Cre)筋肉の運動腎機能の指標として利用される
尿酸 (UA)プリン体の分解高値が続くと痛風や腎障害の原因になる

腎臓と貧血の関係(エリスロポエチンの分泌低下)

だるさのもう一つの大きな原因は、腎臓と深い関わりのある貧血です。

腎臓は、骨髄に指令を出して赤血球の産生を促すエリスロポエチンというホルモンを分泌していて、赤血球は、肺で取り込んだ酸素を全身の細胞に運ぶ重要な役割を担っています。

腎臓の機能が低下すると、エリスロポエチンの分泌量が減ってしまい、赤血球が十分に作られなくなり、貧血の状態(腎性貧血)に陥るのです。

体が酸素不足になるため、脳や筋肉が十分に働けず、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、そして強い疲労感といった症状が現れます。

電解質バランスの乱れと体への影響

腎臓は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リンといった電解質(ミネラル)の濃度を血液中で一定に保つ役割も担っていて、電解質は、神経の伝達や筋肉の収縮など、体の基本的な機能を支えるために必要です。

腎機能が低下すると、バランスが崩れやすくなり、カリウムが体内に溜まりすぎると(高カリウム血症)、脱力感やしびれ、不整脈などを起こすことがあります。

また、カルシウムやリンのバランスが崩れると、骨がもろくなったり、血管の石灰化が進んだりし、電解質の異常も、体のだるさや不調の一因です。

  • 高カリウム血症(脱力感、不整脈)
  • 低カルシウム血症(手足のしびれ、筋肉のけいれん)
  • 高リン血症(かゆみ、骨の痛み)

腎臓と水分補給の誤解「腎 水不足」が意味すること

体がむくんでいると、水分を摂るのをためらってしまうかもしれませんが、腎臓の健康を考える上で、水分補給は非常に繊細な問題です。単に水分を控えれば良いというわけではなく、かといって過剰に摂取することも腎臓に負担をかけます。

体がむくんでいるのに水分は足りない?

一見矛盾しているように聞こえますが、体がむくんでいる状態(細胞外の水分過剰)と、体が水分不足の状態(脱水)は、腎臓にとってはどちらも危険な状態です。腎機能が低下してむくんでいる場合、体全体としては水分が過剰になっています。

しかし、この状態でのどの渇きは、体内の電解質バランスの乱れや老廃物の蓄積によって起こされていることがあり、本当の意味での水分不足とは異なります。

ここで自己判断で水分を大量に摂取すると、さらにむくみや心臓への負担を増大させる危険があり、逆に、脱水状態は血液の流れを悪くし、腎臓への血流を減少させるため、腎機能に直接的なダメージを与えるので注意が必要です。

脱水が腎臓に与えるダメージ

体は十分な水分があって初めて、血液がスムーズに体内を循環できますが、夏場の暑い日や激しい運動後、あるいは下痢や嘔吐などで体内の水分が失われると、脱水状態になります。

脱水になると血液が濃縮されてドロドロになり、血圧も低下しがちで、腎臓へ送られる血液の量が減少し、腎臓は十分に働くことができなくなります。この状態が長く続くと、腎臓の細胞がダメージを受け、急性腎障害を起こすこともあります。

健康な人であっても、こまめな水分補給を怠ると、知らず知らずのうちに腎臓に負担をかけている可能性があるのです。

適切な水分摂取量の目安とは

健康な成人の場合、食事から摂る水分以外に、1日に1.5リットル程度の水分補給が推奨されていますが、これはあくまで一般的な目安です。汗をかく量や活動量、季節によって必要な水分量は変わります。

基本的には、のどが渇いたと感じる前に、こまめに水分を摂る習慣をつけることが大切です。ただし、腎臓の機能がすでに低下している場合は、水分や塩分の摂取制限が必要になることがあります。

この場合、摂取すべき水分量は個々の状態によって大きく異なるため、自己判断で増減させるのは危険です。必ず専門家の指示に従ってください。

飲み物の選び方で腎臓への負担が変わる

水分補給といっても、何を飲むかによって腎臓への影響は異なります。最も理想的なのは、水や白湯、あるいは麦茶などのカフェインを含まないお茶で、体にスムーズに吸収され、腎臓に余計な負担をかけません。

スポーツドリンクやジュース類には糖分や塩分が多く含まれているため、飲み過ぎると血糖値の上昇や塩分の過剰摂取につながる可能性があります。

また、アルコールやカフェインには利尿作用があるため、かえって脱水を助長することもあるので注意が必要です。

腎臓への負担が少ない飲み物の選択

推奨される飲み物注意が必要な飲み物理由
水、白湯ジュース、清涼飲料水糖分の過剰摂取につながる
麦茶、ルイボスティースポーツドリンク塩分や糖分が含まれ、日常的な飲用には不向きな場合がある
ほうじ茶(低カフェイン)コーヒー、紅茶、緑茶カフェインの利尿作用や、種類によってはカリウムが多い

もしかしてと思ったら確認したいセルフチェックリスト

体重増加、むくみ、だるさといった症状に心当たりがあるなら、一度立ち止まってご自身の体の状態を振り返ってみましょう。日々の忙しさの中で見過ごしてしまいがちな小さな変化こそ、腎臓からのメッセージかもしれません。

最近の体調変化を振り返る

まずは、ここ数週間から数ヶ月の体調の変化を思い出してみましょう。漠然とした不調でも書き出してみると、一定の傾向が見えてくることがあります。

以前は楽に登れた階段で息切れがするようになった、食欲が落ちて好きなものでもあまり食べたくない、なんとなく肌がかゆい、集中力が続かず仕事でミスが増えたなど、ささいなことでも構いません。

症状が複数当てはまる場合は、体の内部で何らかの変化が起きている可能性があります。

  • 疲れやすくなった、または疲れが取れにくくなった
  • 食欲がない、吐き気がすることがある
  • 顔色が悪くなったと言われる
  • 肌にかゆみを感じることが増えた
  • 集中力が低下した

尿の変化に注目する(色、泡立ち、回数)

尿は腎臓の状態を映し出す鏡であり、健康のバロメーターです。毎日何気なく排泄している尿ですが、色や泡立ち、回数などを意識的に観察することで、腎臓の異常を早期に察知できる場合があります。

健康な人の尿は淡い黄色をしていますが、脱水気味だと濃い黄色になり、水分を摂りすぎると無色に近くなります。特に注意したいのは、赤や茶色っぽい尿(血尿)や、ビールのように細かく持続する泡立ち(蛋白尿)です。

また、夜間に何度もトイレに起きるようになった場合も、腎臓の濃縮力が低下しているサインかもしれません。

ご自身でできる尿のチェックポイント

チェック項目正常な状態の目安注意したい変化
淡黄色~麦わら色赤色、褐色、コーラ色、白濁
泡立ちすぐに消える石鹸のような細かい泡がなかなか消えない
回数日中4~7回、夜間0~1回夜間に2回以上起きる、回数が極端に増減した

血圧の変動も重要なサイン

高血圧と腎臓病は、互いに悪影響を及ぼし合う密接な関係にあります。

腎臓は血圧を調節するホルモンを分泌しており、腎機能が低下すると血圧が上がりやすくなり、高血圧が長く続くと、腎臓の細い血管がダメージを受けて硬化し(腎硬化症)、腎機能がさらに悪化するという悪循環に陥ります。

これまで血圧が高くなかった人が急に高血圧を指摘されたり、降圧薬を飲んでいても血圧のコントロールがうまくいかなくなったりした場合は、腎臓に問題が隠れている可能性があります。

定期的に血圧を測定する習慣は、腎臓の健康を守る上でも非常に重要です。

日常生活で取り組める腎臓をいたわるための対処法

腎臓の健康を維持するためには、日々の生活習慣を見直すことが基本で、特に食事は、腎臓に直接的な影響を与えるため、内容を工夫することがとても大切です。

塩分やたんぱく質の摂取量を適切に管理し、バランスの取れた食事を心がけることで、腎臓への負担を軽減し、その機能を長く保つことにつながります。

塩分を控える食事の工夫

腎臓の機能が低下している場合、塩分の排出能力が落ちているため、過剰な塩分摂取はむくみや高血圧の悪化に直結し、減塩は、腎臓を守るための食事療法の基本中の基本です。

ただ味を薄くするだけでは食事が味気なくなり、長続きしません。香辛料や香味野菜、酸味などを上手に活用して、風味豊かに仕上げるのがコツです。

今日からできる減塩の工夫

工夫のポイント具体例期待できる効果
風味を活用する香辛料(こしょう、カレー粉)、香味野菜(ねぎ、しょうが)、酸味(酢、レモン汁)を使う塩味が薄くても満足感を得やすくなる
調理法を工夫する焼く、蒸す、揚げるなど、素材の味を活かす調理法を選ぶ煮物や汁物に比べて塩分を抑えられる
加工食品を避けるハム、ソーセージ、練り物、漬物などの摂取を控える隠れた塩分の摂取を減らすことができる

たんぱく質の摂取量を管理する重要性

たんぱく質は体を作る上で必要な栄養素ですが、摂取しすぎると腎臓でろ過される際に老廃物が多く発生し、腎臓に負担をかけてしまうため、腎機能が低下している場合には、たんぱく質の摂取量を制限することがあります。

ただし、たんぱく質は筋肉や血液の材料となる重要な栄養素でもあるため、極端に制限すると栄養不足に陥る可能性があります。肉、魚、卵、大豆製品など、質の良いたんぱく質を適量摂ることが大切です。

たんぱく質を多く含む食品の例

食品カテゴリー主な食品注意点
肉類牛肉、豚肉、鶏肉脂身の少ない部位を選ぶ
魚介類アジ、サバ、鮭、エビ新鮮なものを選ぶ
卵・乳製品・大豆製品卵、牛乳、豆腐、納豆バランス良く摂取する

カリウムの摂取に注意が必要な場合

カリウムは、体内の余分な塩分を排出するのを助ける働きがあり、健康な人にとっては高血圧予防に有効なミネラルです。

しかし、腎臓の機能が著しく低下すると、カリウムを十分に排出できなくなり、血液中のカリウム濃度が危険なレベルまで上昇する(高カリウム血症)ことがあります。

高カリウム血症は重篤な不整脈を起こす可能性があるため、腎機能の低下が進んだ場合は、カリウムの摂取制限が必要になります。

カリウムは野菜や果物、いも類に多く含まれているため、食材の選び方や、茹でこぼしや水にさらすといった調理の工夫が大切です。

適度な運動と十分な休息

食事管理と並行して、適度な運動習慣を持つことも重要で、ウォーキングなどの軽い有酸素運動は、血行を促進し、血圧の安定にもつながります。

ただし、激しい運動はかえって腎臓に負担をかけることもあるため、無理のない範囲で行いましょう。また、ストレスや過労は血圧を上昇させ、腎臓に悪影響を与える可能性があります。

十分な睡眠と休息をとり、心身ともにリラックスできる時間を作ることを心がけ、禁煙や節酒も、腎臓だけでなく全身の健康を維持するために大切です。

専門的な検査と診断について

セルフチェックで気になる点があったり、症状が続いたりする場合は、自己判断で様子を見るのではなく、専門の医療機関に相談することが重要です。

早期に適切な対応をとることで、腎機能の低下を食い止めたり、その進行を遅らせたりすることが可能になります。

医療機関を受診するタイミング

健康診断で尿たんぱくや尿潜血、血清クレアチニン値の異常を指摘された場合は、症状がなくても必ず再検査や精密検査を受けてください。また、明らかな自覚症状がある場合は、早めに受診を検討しましょう。

急激な体重増加や全身のむくみ、肉眼でわかる血尿、呼吸困難感などの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。

  • 健康診断で腎機能の異常を指摘されたとき
  • 顔やまぶた、足のむくみが数日続くとき
  • 尿の色が濃い、赤褐色、泡立ちが続くとき
  • 理由なく体がだるい、疲れやすい状態が続くとき
  • 血圧が急に高くなったとき

主に行われる検査(尿検査、血液検査、画像検査)

腎臓の状態を調べるためには、いくつかの基本的な検査が行われ、まず、体への負担が少ない尿検査と血液検査です。尿検査では、尿中にたんぱくや血液が漏れ出ていないかを調べ、腎臓のフィルター機能の異常を探ります。

血液検査では、老廃物であるクレアチニンや尿素窒素の数値を測定し、腎臓がどれくらい効率よく老廃物をろ過できているか(eGFR:推算糸球体ろ過量)を評価します。

検査で異常が見つかった場合、さらに詳しい原因を調べるために、超音波(エコー)検査やCT検査といった画像検査で腎臓の形や大きさに異常がないかを確認することもあります。

血液検査で確認する主な腎機能関連項目

検査項目基準値の目安異常値が示すこと
血清クレアチニン(Cre)男性:約0.6-1.1mg/dL
女性:約0.4-0.8mg/dL
高い場合、腎臓のろ過機能が低下している可能性
eGFR(推算糸球体ろ過量)60mL/min/1.73㎡以上低い場合、腎機能の低下を示す(ステージ分類に使われる)
尿素窒素(BUN)約8-20mg/dL高い場合、腎機能低下や脱水、たんぱく質の過剰摂取など

検査結果からわかること

検査結果を総合的に判断することで、現在の腎臓の機能がどの程度保たれているのか、原因は何かを推測することができます。

eGFRの数値によって、慢性腎臓病(CKD)がどのステージにあるのかを判断し、進行度に応じた治療方針を立てます。

ステージが初期であれば、食事療法や生活習慣の改善、原因となっている疾患(高血圧や糖尿病など)の管理が中心です。

進行したステージであれば、貧血や電解質異常に対する薬物療法や、将来的な腎代替療法(透析や腎移植)の準備なども視野に入れていくことになります。

体重増加・むくみ・だるさと腎臓に関するよくある質問

ここまで、腎臓の働きと、機能が低下したときに現れるさまざまなサインについて解説してきました。最後に、多くの方が抱きやすい疑問について、Q&A形式でお答えします。

症状があればすぐに腎臓病なのでしょうか

体重増加やむくみ、だるさといった症状は、腎臓病以外にもさまざまな原因で起こり、むくみは心臓や肝臓の病気、あるいは甲状腺機能の低下などでも見られます。

だるさも、単純な疲労やストレス、睡眠不足、他の内科的な病気など、考えられる原因は多岐にわたります。

複数の症状が同時に現れたり、長く続いたりする場合は、一度専門の医療機関で原因を調べてもらうことが大切です。

食事で気をつけることは塩分だけですか

減塩は腎臓を守る上で非常に重要ですが、気をつけるべきは塩分だけではありません。腎臓病の進行度や合併症の有無によっては、たんぱく質、カリウム、リンといった栄養素の制限も必要になる場合があります。

ただし、これらの栄養素は体に必要なものでもあるため、自己判断で極端な制限を行うのは危険です。食事療法は、個々の状態に合わせて専門家の指導のもとで進めます。

水はたくさん飲んだ方がよいのでしょうか

健康な人や、腎臓結石の予防などの目的がある場合は、脱水を防ぐためにこまめな水分補給が推奨されますが、腎機能がある程度低下し、むくみや心不全の症状がある場合には、水分制限が必要です。

この状態で水をたくさん飲むと、体内に余分な水分が溜まり、むくみや呼吸困難を悪化させる危険性があります。水分をどのくらい摂るべきかについては、必ず医師や管理栄養士の指示に従ってください。

腎臓は一度悪くなると元に戻らないのですか

急激な脱水や薬剤の影響などで一時的に腎機能が悪化する急性腎障害の場合は、原因を取り除くことで機能が回復する可能性があります。

しかし、高血圧や糖尿病などが原因で数ヶ月から数年にわたってゆっくりと腎機能が低下していく慢性腎臓病(CKD)の場合、残念ながら失われた腎機能を完全に取り戻すことは難しいのが現状です。

ただし、だからといって諦めるのではなく、治療や生活習慣の改善によって、残っている腎機能の低下スピードを緩やかにし、できるだけ長く維持することは十分に可能です。

以上

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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