腎臓も老化する?機能が弱る原因と症状、予防のためにできること

腎臓も老化する?機能が弱る原因と症状、予防のためにできること

「最近、疲れやすくなった」「夕方になると足がむくむ」などの年齢を重ねるにつれて感じる体の変化は、単なる老化現象だと見過ごしていませんか。

腎臓は体内の老廃物を排出し、水分やミネラルのバランスを保つなど、生命維持に欠かせない働きを担っていますが、腎臓は非常に我慢強い臓器で、機能がかなり低下するまで自覚症状が現れにくいのが特徴です。

この記事では、腎臓が老化する原因や見逃したくない初期症状、大切な腎臓のために今日から実践できる予防法について、詳しく解説していきます。

目次

沈黙の臓器腎臓とは?

腎臓と聞くと、尿を作る臓器というイメージを持つ方が多いかもしれませんが、腎臓の働きはそれだけにとどまりません。私たちの健康を陰で支える、多機能で働き者な臓器です。

まずは腎臓の基本的な構造と、生命維持に欠かせない主な働きについて見ていきましょう。

そもそも腎臓はどこにある?

腎臓は、腰の少し上、背骨の両側に左右一つずつある、そら豆のような形をした臓器です。大きさは握りこぶしほどで、重さは一つあたり約150g。この小さな臓器が、24時間365日休むことなく働いています。

腎臓の中には、ネフロンと呼ばれる血液をろ過するためのフィルターのような組織が、片方だけで約100万個も詰まっています。

心臓から送り出された血液の約4分の1が常に腎臓を通過しており、いかに腎臓が血液の浄化に重要な役割を担っているかがわかります。

血液をろ過して老廃物を排出する

腎臓の最も中心的な働きは、血液をろ過して体内で作られた老廃物や余分な水分、塩分を尿として体の外に排出することです。

食事によって摂取したタンパク質が体内で利用されると、クレアチニンや尿素窒素といった老廃物ができて、血液中に溜まりすぎると体に害を及ぼすため、腎臓がフィルターとなってこれらをこし取り、尿の中に排出します。

浄化作業は、私たちが生命活動を維持する上で絶対に欠かすことのできないもので、腎臓の機能が低下すると、このろ過能力が衰え、体に毒素が蓄積してしまいます。

腎臓の主な働き

働き内容機能低下による影響
老廃物の排出血液中の不要な物質を尿として体外へ出す。体に毒素が溜まり、尿毒症などを引き起こす。
水分・電解質の調整体内の水分量やミネラルバランスを一定に保つ。むくみ、高血圧、不整脈などの原因になる。
ホルモンの分泌血圧調整、造血、骨の健康に関わるホルモンを作る。高血圧、貧血、骨がもろくなるなどの症状が出る。

体内の水分やミネラルのバランスを調整

私たちの体は約60%が水分でできており、その中にはナトリウム、カリウム、カルシウムといった電解質(ミネラル)が一定の濃度で溶け込んでいて、バランスが崩れると、体のさまざまな機能に支障をきたします。

腎臓は、体の状態に応じて尿の量を増やしたり減らしたりすることで、体内の水分量を適切に保つ役割を担っていて、また、電解質が多すぎれば尿中に排出し、不足していれば排出を抑えるという精密な調整も行っています。

汗をたくさんかいた時には尿の量を減らして脱水を防ぎ、塩辛いものを食べた後には尿の量を増やして余分な塩分を排出し、絶妙なバランス調整のおかげで、私たちは健康を維持できているのです。

血圧のコントロールとホルモンの分泌

腎臓は、単なるフィルター機能だけでなく、ホルモンを分泌する内分泌器官としての役割も持っていて、血圧の調整に関わるレニンというホルモンを分泌し、血圧が下がりすぎた時には血管を収縮させて血圧を正常に保とうとします。

腎臓の機能が弱ると調整がうまくいかなくなり、高血圧の原因となることがあり、さらに、腎臓は赤血球の産生を促すエリスロポエチンというホルモンも作っています。

腎機能が低下するとこのホルモンの分泌が減り、赤血球が十分に作られなくなるため、貧血(腎性貧血)を起こします。骨を丈夫に保つために必要なビタミンDを活性化させる働きもあり、腎臓は全身の健康に深く関わっているのです。

  • レニン(血圧を調整する)
  • エリスロポエチン(赤血球の産生を促す)
  • 活性型ビタミンD(骨の健康を保つ)

なぜ腎臓は老化するのか?

年齢を重ねると肌にしわができたり、髪が白くなったりするのと同じように、腎臓も少しずつ老化していきますが、腎臓の老化のスピードは、生活習慣や持病の有無によって大きく変わってきます。

加齢による自然な変化

腎臓の機能は、一般的に30代から40代をピークに、その後は年齢とともに緩やかに低下していき、これは、血液をろ過するネフロンが少しずつ硬くなったり(硬化)、数が減ったりするためです。

加齢による腎機能の低下は誰にでも起こりうる自然な現象であり、完全に防ぐことはできませんが、低下の速度をいかに緩やかにするかが、生涯にわたって腎臓の健康を保つ上で非常に大切になります。

健康な人であれば、加齢による機能低下だけで深刻な問題になることは少ないですが、他の危険因子が加わることで、機能低下のスピードが加速してしまうことがあります。

生活習慣病(高血圧・糖尿病)の影響

現代において、腎臓の機能を低下させる最大の原因となっているのが、高血圧と糖尿病で、二つの生活習慣病は、腎臓にとって非常に大きな負担です。

高血圧が続くと、腎臓の中にある細い血管(糸球体)に常に高い圧力がかかり、血管が硬く、もろくなってしまい、ろ過機能がダメージを受け、腎機能が低下します。

糖尿病では血液中の過剰な糖が血管を傷つけ、同じく糸球体のろ過機能を損ない、これは糖尿病性腎症と呼ばれ、現在、透析治療が必要となる原因の第一位です。

生活習慣病が腎臓に与える影響

生活習慣病腎臓への主な影響対策のポイント
高血圧腎臓内の細い血管を傷つけ、硬化させる。減塩、適度な運動、適切な降圧薬の使用。
糖尿病高血糖が血管を傷つけ、ろ過機能に障害を起こす。血糖コントロール、食事療法、運動療法。
脂質異常症動脈硬化を進行させ、腎臓の血流を悪化させる。食生活の改善、適度な運動。

喫煙や過度な飲酒などの生活習慣

喫煙は、全身の血管にダメージを与え、動脈硬化を促進し、腎臓の血管も例外ではありません。タバコを吸うと血管が収縮し、腎臓への血流が悪化し、腎臓の組織が酸素不足や栄養不足に陥り、機能低下を早めることになります。

また、過度な飲酒も腎臓に負担をかけます。アルコールを分解する過程で体内の水分が失われやすくなるほか、長年の多量飲酒は高血圧や糖尿病のリスクを高め、間接的に腎臓を傷つける原因です。

さらに、肥満や運動不足も、腎機能低下の危険因子として知られていて、健康的な生活習慣を心がけることが、腎臓の老化を防ぐことにつながります。

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 肥満

薬剤による腎臓への負担

病気の治療のために服用する薬の中には、腎臓に負担をかける可能性があるものもあります。

痛み止めとしてよく使われる非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期的な使用や過剰摂取は、腎臓の血流を減少させ、機能を低下させることがあり、また、一部の抗生物質や造影剤なども、腎臓に影響を与える場合があります。

このような薬は医師の指示のもとで適切に使用すれば問題ないことがほとんどですが、自己判断で長期間にわたって薬を飲み続けたり、複数の薬を併用したりする場合には注意が必要です。

持病で薬を飲んでいる方は、定期的に腎機能の検査を受けることが大切で、また、市販薬を使用する際にも、用法・用量を守り、不安な点があれば薬剤師に相談しましょう。

見逃したくない初期症状

腎臓は沈黙の臓器と呼ばれるように、機能がかなり低下するまで自覚症状が出にくいという厄介な性質を持っていますが、体は腎臓の不調を知らせる小さなサインを発していることがあります。

初期症状に早く気づき、適切な対応をすることが、腎臓の健康を守る上で非常に重要です。

むくみ(浮腫)は危険信号

腎臓の機能が低下すると、体内の余分な水分や塩分を尿として十分に排出できなくなり、体内に水分が溜まり、むくみ(浮腫)として現れます。足のすねを指で押したときに、跡がしばらく残るようなむくみは注意が必要です。

初期の段階では、夕方になると靴がきつく感じる、朝起きると顔やまぶたが腫れぼったいといった症状として現れることが多いです。

むくみは心臓や肝臓の病気でも起こりますが、腎機能低下の代表的なサインの一つで、単なる疲れや寝不足だと自己判断せず、むくみが続く場合は専門医に相談してください。

むくみのセルフチェック

チェック項目確認するポイント
足のすね指で5秒ほど強く押して、へこんだ跡が元に戻らないか。
靴下の跡夕方になると、靴下のゴムの跡がくっきりと残っていないか。
顔やまぶた朝起きた時に、鏡を見て顔全体が腫れぼったい感じがしないか。

尿の変化(泡立ち・色・頻度)

毎日何気なく排泄している尿は、腎臓の健康状態を知るための貴重な情報源です。

腎臓のろ過機能が低下すると、本来は尿に漏れ出てこないはずのタンパク質が排出されるようになり、尿にタンパク質が含まれると、表面張力が変化するため、尿が異常に泡立つことがあります。

まるで石鹸水のように、流してもなかなか消えない泡が見られる場合は注意が必要です。

また、尿の色が濃い(コーラ色など)、血が混じる(血尿)、夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)、逆に尿の量が極端に減るといった変化も、腎臓の異常を示すサインである可能性があります。

疲れやすさや貧血

十分な睡眠をとっているはずなのに、体がだるい、すぐに疲れてしまうといった症状も、腎機能低下のサインかもしれません。腎臓の機能が弱ると、体内に老廃物や毒素が溜まり、倦怠感や疲労感を起こします。

また、腎臓は赤血球を作るように指令を出すエリスロポエチンというホルモンを分泌していますが、腎機能が低下するとこのホルモンの分泌が減り、貧血(腎性貧血)になります。

貧血になると、体中に酸素を運ぶ能力が低下するため、少し動いただけでも息切れがしたり、めまいや立ちくらみがしたりといった症状が現れます。原因不明の貧血を指摘された場合は、腎機能も合わせて調べることが大切です。

食欲不振や吐き気

腎機能の低下がさらに進むと、消化器系にも症状が現れることがあり、血液中に尿毒素と呼ばれる老廃物が溜まることで、吐き気や嘔吐、食欲不振といった症状が生じます。

口の中がアンモニア臭く感じられたり、食べ物の味が変わったように感じられたりすることもあります。胃腸の調子が悪いだけだと思われがちですが、背景に腎臓の病気が隠れている可能性も考慮しなくてはなりません。

特に、むくみや貧血など他の症状も伴う場合は、症状がかなり進行している状態である可能性も考えられるので、速やかに医療機関を受診することが重要です。

腎臓の機能低下が進むとどうなる?

腎臓の機能が慢性的に低下した状態は、全身の健康に深刻な影響を及ぼし、さまざまな合併症のリスクを高めます。ここでは、腎機能低下が進行した場合に起こりうる状態について解説します。

慢性腎臓病(CKD)とは

慢性腎臓病(CKD: Chronic Kidney Disease)とは、腎臓の障害や、腎機能の低下が3か月以上続いている状態を指す包括的な診断名です。

タンパク尿が出ているなどの腎障害、あるいは血液検査でわかる腎臓のろ過能力(eGFR)が60 mL/分/1.73m²未満の状態が慢性的に続く場合に診断されます。

CKDは、進行すると末期腎不全に至り、透析治療や腎移植が必要になるだけでなく、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の重大な危険因子となることがわかっています。

日本の成人のおよそ8人に1人がCKDと推計されており、誰にとっても他人事ではありません。

慢性腎臓病(CKD)のステージ分類(重症度)

ステージeGFR (mL/分/1.73m²)腎機能の状態
G190以上正常または高値(ただし腎障害あり)
G260~89軽度低下(ただし腎障害あり)
G3a45~59軽度~中等度低下
G3b30~44中等度~高度低下
G415~29高度低下
G515未満末期腎不全(ESKD)

腎不全と透析治療

CKDが進行し、腎臓の機能が正常の15%以下(ステージG5)になると、末期腎不全と呼ばれ、腎臓は体内の老廃物や余分な水分を十分に排出できなくなり、体にさまざまな不調が現れます。

強い倦怠感、吐き気、息苦しさ、重度のむくみといった尿毒症の症状が現れ、生命を維持することが困難になるため、低下した腎臓の機能の一部を機械などで代替する腎代替療法が必要です。

腎代替療法には、血液透析、腹膜透析、腎移植の三つの選択肢があり、日本では、多くの方が週に3回、1回4時間程度の時間をかけて医療機関で血液を浄化する、血液透析を選択しています。

一度透析治療を開始すると、基本的には生涯にわたって継続する必要があります。

心血管疾患のリスク増加

腎臓の機能が低下すると、心臓や血管の病気を発症するリスクが著しく高まり、腎機能が悪いと、動脈硬化が進行しやすくなるほか、体内のミネラルバランスが崩れて血管が石灰化(硬くなる)しやすくなります。

また、高血圧や貧血、体液量の増加も心臓に大きな負担をかけ、腎機能が正常な人と比べて、CKDの患者さんは心筋梗塞や脳卒中などを発症する危険性が数倍から数十倍も高いです。

CKDの患者さんが末期腎不全に至るよりも、その前に心血管疾患で亡くなるケースの方が多いというデータもあり、腎臓を守ることは、心臓や脳の血管を守ることにも直結します。

腎臓を元気にするために今日からできる生活習慣

一度失われた腎機能を完全に取り戻すことは難しいのが現状です。だからこそ、腎臓の機能がそれ以上悪くならないように、日々の生活習慣を見直して腎臓をいたわることが何よりも大切になります。

食生活の見直し塩分とタンパク質

腎臓の健康を保つ上で、食生活の管理は非常に重要です。特に注意したいのが塩分(ナトリウム)の摂りすぎです。

塩分を過剰に摂取すると、体内に水分が溜まりやすくなり、血圧が上昇します。高血圧は腎臓に大きな負担をかける最大の要因の一つで、まずは、普段の食事から減塩を意識しましょう。

加工食品やインスタント食品、外食は塩分が多くなりがちなので、利用する頻度を減らす工夫も必要です。また、腎機能が低下している場合は、タンパク質の摂取量を制限することがあります。

タンパク質は体内で老廃物を生み出すため、摂りすぎると腎臓の負担が増えてしまうからですが、過度な制限は栄養不足につながるため、医師や管理栄養士の指導のもとで適切に行うことが大切です。

毎日の食事でできる減塩の工夫

工夫のポイント具体例期待できる効果
香辛料や酸味を利用胡椒、カレー粉、唐辛子、レモン、酢などを使う。薄味でも風味豊かに感じられ、満足感を得やすい。
だしを効かせる昆布やかつお節でしっかりだしを取り、うま味を活かす。しょうゆや味噌の使用量を減らすことができる。
加工食品を控えるハム、ソーセージ、練り物などの摂取頻度を減らす。知らないうちに摂取している隠れ塩分を減らせる。

適度な運動のすすめ

適度な運動は、腎臓の健康維持にも良い影響を与え、ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動は、血圧を安定させ、血糖値のコントロールにも役立ち、腎臓への負担を軽減することにつながります。

また、運動は肥満の解消やストレス発散にも効果的です。まずは、日常生活の中で体を動かす機会を増やすことから始めてみましょう。エレベーターを階段に変える、一駅手前で降りて歩くなど、無理のない範囲で継続することが大切です。

ただし、すでに腎機能がかなり低下している方は、運動が体に負担となる場合もあるため、どのような運動が適切か、事前に医師に相談しましょう。

  • ウォーキング
  • 軽いジョギング
  • サイクリング
  • 水泳

十分な水分補給の重要性

体内の老廃物を尿としてスムーズに排出するためには、十分な水分が必要です。水分が不足すると尿が濃くなり、腎臓に負担がかかるだけでなく腎結石のリスクも高まるので、喉が渇いたと感じる前に、こまめに水分を補給する習慣をつけましょう。

一度にがぶ飲みするのではなく、コップ一杯程度の水を1日に数回に分けて飲むのが効果的で、基本的には水やお茶で水分を摂るようにし、糖分の多いジュースやスポーツドリンクの飲み過ぎには注意が必要です。

ただし、心臓や腎臓の機能が低下しており、医師から水分制限の指示を受けている場合は、指示に必ず従ってください。

ストレス管理と質の良い睡眠

過度なストレスや睡眠不足は、自律神経の乱れや血圧の上昇を招き、間接的に腎臓に負担をかける可能性があります。自分なりのリラックス方法を見つけ、心身の緊張をほぐす時間を作ることが大切です。

趣味に没頭したり、ゆっくり入浴したり、好きな音楽を聴いたりするのも良いでしょう。また、質の良い睡眠を確保することも重要です。

毎晩決まった時間に就寝・起床する習慣をつけ、寝る前のスマートフォンやパソコンの使用を控えるなど、快適な睡眠環境を整えてください。心と体の両方が健康であってこそ、腎臓をはじめとする全身の健康が保たれます。

タンパク質摂取量の目安(腎機能に応じて)

腎機能の状態推奨されるタンパク質量(体重1kgあたり)体重60kgの場合の目安
正常~軽度低下0.8~1.0 g/kg48~60 g/日
中等度~高度低下0.6~0.8 g/kg36~48 g/日
(参考)一般的な推奨量1.0~1.2 g/kg60~72 g/日

腎臓の健康をチェックする方法

自分の腎臓が今どのような状態にあるのか、正確に知るためには医療機関での検査が必要です。腎臓病は初期症状がほとんどないため、症状がないから大丈夫と過信せず、定期的に健康状態をチェックすることが極めて重要になります。

定期的な健康診断の重要性

腎臓の機能低下は、自覚症状がないまま静かに進行するため、定期的な健康診断が早期発見のための唯一の手段といっても過言ではありません。年に一度は必ず健康診断を受け、腎臓の状態を示す検査項目を確認しましょう。

高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がある方、家族に腎臓病の人がいる方、高齢者の方は、腎機能が低下するリスクが高いため、定期的なチェックがより一層大事です。

健康診断の結果、もし異常を指摘された場合は放置せず、必ず医療機関を受診してください。

  • 尿検査(尿タンパク、尿潜血など)
  • 血液検査(血清クレアチニン、eGFRなど)
  • 血圧測定

尿検査でわかること

尿検査は、体への負担が少なく、腎臓の状態に関する多くの情報を得られる非常に有用な検査で、特に重要な項目が尿タンパクです。健康な人の尿には、タンパク質はほとんど含まれていません。

尿にタンパク質が漏れ出ている(陽性)場合、腎臓のろ過機能に何らかの障害が起きている可能性を示唆し、これは、CKDの非常に早い段階で現れるサインの一つです。

また、尿潜血は、尿に血液が混じっている状態を示し、腎臓や尿路系の病気の可能性があります。異常が一時的なものである場合もありますが、継続して陽性となる場合は、より詳しい検査が必要です。

尿検査の主な項目と内容

検査項目基準値異常がある場合に考えられること
尿タンパク陰性(-)腎炎、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症など。
尿潜血陰性(-)腎炎、尿路結石、膀胱炎、がんなど。
尿糖陰性(-)糖尿病、腎性糖尿など。

血液検査でわかること(eGFR)

血液検査では、血清クレアチニン(Cr)という値を測定します。クレアチニンは筋肉で作られる老廃物の一種で、本来であれば腎臓でろ過されて尿中に排出されます。

腎臓の機能が低下すると、クレアチニンを十分に排出できなくなるため、血液中のクレアチニン値が上昇し、血清クレアチニン値に、年齢と性別を考慮して計算されるのが、推算糸球体ろ過量(eGFR)です。

eGFRは、腎臓が1分間にどれくらいの血液をろ過できるかを示しており、現在の腎機能がどの程度かを客観的に評価するための重要な指標で、eGFRの値が60未満の場合は、腎機能が低下していると考えられます。

年代別eGFRの平均値(参考)

年代男性の平均eGFR女性の平均eGFR
30代100.8101.4
40代93.592.6
50代85.985.4
60代78.578.8
70代以上69.870.1

腎臓の老化に関するよくある質問

ここまで腎臓の機能や老化の原因、予防法について解説してきましたが、まだ疑問に思う点や不安なこともあるかもしれません。最後に、腎臓の健康に関して多くの方が抱く質問と答えを紹介します。

腎臓の機能は一度低下したら元に戻らない?

残念ながら、加齢や慢性的な病気によって長期間かけて悪くなった腎臓の機能を、完全に元通りに回復させることは現在の医療では困難です。

ネフロン(腎臓のフィルター)は一度壊れてしまうと再生しないためですが、だからといって諦める必要はありません。

適切な治療や生活習慣の改善によって、腎機能がそれ以上低下するスピードを緩やかにし、現状を維持することは十分に可能です。早期に発見し、早期に対策を始めることが、自分の腎臓を長く健康に保つための鍵となります。

腎臓に良い食べ物や飲み物は?

特定の食品だけを食べれば腎臓が良くなる、というような魔法の食べ物はありません。大切なのは、栄養バランスの取れた食事を基本とし、特に塩分を控えることです。

その上で、カリウムを多く含む野菜や果物は、余分なナトリウムの排出を助ける働きがあります。

ただし、腎機能がかなり低下している方は、カリウムの排泄能力も落ちているため、高カリウム血症を避けるために摂取を制限する必要が出てきます。

水分補給は水やお茶が基本で、自分の腎臓の状態によって食事で気をつけるべき点は変わってくるため、不安な方は医師や管理栄養士に相談しましょう。

サプリメントは腎臓に影響がある?

一部のサプリメントや健康食品は、腎臓に負担をかける可能性があります。海外製のサプリメントの中には、腎臓に有害な成分が含まれている事例も報告されています。

また、タンパク質のサプリメント(プロテイン)の過剰摂取も、腎臓の負担を増やす可能性があり、良かれと思って摂取したものが、逆効果になってしまうこともあり得ます。

サプリメントを利用する際には、自己判断で安易に始めるのではなく、かかりつけの医師や薬剤師に相談することが大切です。

家族に腎臓が弱い人がいる場合、遺伝する?

腎臓病の中には、多発性のう胞腎のように遺伝が直接的な原因となる病気もあります。

しかし、多くの慢性腎臓病(CKD)は、遺伝そのものよりも、高血圧や糖尿病といった病気になりやすい体質が家族内で似ることが影響していると考えられます。

食生活や運動習慣といった生活環境を共有していることが、病気の発症に大きく関わっているケースが多いです。

ご家族に腎臓が弱い方がいる場合は、ご自身もリスクが高い可能性を認識し、若い頃から減塩を心がけたり、定期的に健康診断を受けたりするなど、健康管理に注意を払いましょう。

以上

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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