透析のQb(血液流量)・回路・ダイアライザーの役割とは?【基礎知識】

透析のQb(血液流量)・回路・ダイアライザーの役割とは?【基礎知識】

人工透析は腎臓の代わりを果たす治療であり、血液流量のQb、血液を運ぶ回路、汚れを落とすダイアライザーが連携します。

本記事では、治療効率を左右する基準や、安全に血液を循環させる構造を解説します。

基本を学ぶことで治療への不安を解消し、より良い生活を送るための土台を築きましょう。

目次

血液流量Qbの設定が透析効率を決定する理由

血液流量であるQbは、1分間にダイアライザーを通過する血液の量を指す指標です。数値が適切であれば、血液中の老廃物や余分な水分を効率よく除去でき、体への負担を抑えつつ十分な治療効果を得られます。

Qbの数値が意味する治療への影響

Qbという言葉は、血液を意味するBloodの頭文字に流量を示すQを組み合わせたものです。透析治療を開始すると、ポンプが回転してシャントから血液を取り出します。

このポンプの速度がQbで、速度が速ければ、限られた治療時間の中でより多くの血液をダイアライザーに通すことができます。

多くの血液を洗浄できれば、血液中の尿毒症物質をそれだけ多く取り除くことが可能で、治療の質を高めるためには欠かせない要素です。

ただし、速度を上げすぎると心臓への負担が増したり、シャントの壁にダメージを与えたりする可能性もあります。個々の心機能を見極めることが必要です。

特に心不全の既往がある方や高齢者の場合、Qbの急激な上昇は心拍出量の増加を招き、心臓を疲弊させるリスクがあり、慎重な評価が欠かせません。

さらに、シャントの血流量に対してQbの設定が高すぎると、一度浄化した血液を再び吸い込んでしまう再循環という現象が起こりやすくなります。

再循環が発生すると、ダイアライザーを通過する血液の汚れが薄まっているため、実質的な透析効率が著しく低下してしまいます。

一般的な設定範囲と個別調整の考え方

日本の透析施設において、Qbの設定は一般的に、200ml/minから250ml/min程度を基準とすることが多いです。

体格が大きい方や、毒素の蓄積が多い場合には300ml/min以上に設定する高効率透析を選択することもあり、栄養状態に合わせて調整します。

血液流量の設定目安

設定区分流量範囲期待される主なメリット
標準的流量200-240ml多くの患者に適応し安定した除去が可能
高効率流量250-400ml短時間でも十分な尿毒症物質の除去
慎重流量150-180ml心臓への負担軽減と血圧の安定化

血圧変動が激しい場合や、心臓の予備能力が低い場合には、あえてQbを低めに設定してゆっくりと時間をかけて浄化する方法を採ることもあります。

治療の目的は数値をきれいにすることではなく、治療後の生活の質を高く維持することにあり、自分に適した数値を見つけることが重要です。

また、Qbを決定する際には血管の強度も考慮されます。細い血管に無理な負荷をかけると、止血が困難になったり血管が痛みやすくなったりします。

長期にわたってシャントを使い続けるためには、その日の血管の状態に合わせて、現場のスタッフが最適な回転数を見守ることが必要です。

透析量を示す指標Kt/Vとの密接な関係

透析が十分に行われているかを評価する指標にKt/Vがあり、Kはダイアライザーの性能とQbによって決まる除去率を指します。

Qbを上げることは直接的にKの値を高めることにつながり透析量を増やす効、果があるため、数値の把握は非常に大切です。

透析量が不足すると、食事療法を頑張っていても体内に老廃物が残りやすくなります。かゆみや食欲不振が出る場合、効率の見直しが必要です。

一般的にKt/Vは1.2以上が目標とされますが、より高い1.4や1.6を目指すことで、生命予後が改善するというデータも数多くあります。

Qbをわずか20ml/min上げるだけでも、1ヶ月、1年と積み重なれば体内の毒素量には大きな差が出て、少しの変化が健康を支えます。

血液回路が果たす安全な循環とモニタリングの役割

血液回路は体外に血液を取り出し、ダイアライザーを経て再び戻すための専用の管で、圧力を監視するセンサーや、空気が入るのを防ぐ気泡検知器が組み込まれており、治療中の安全を守り続ける重要なライフラインです。

脱血側と返血側のそれぞれの働き

血液回路は大きく分けて、体から血液を出す脱血側と、浄化した血液を戻す返血側で構成されており、色分けで識別されています。

脱血側の赤いラインには、血液を送り出すためのポンプが装着され、また、抗凝固剤を注入するための枝分かれした管も配置されています。

返血側の青いラインは、綺麗になった血液を安全に体へ戻す最終段階を担い、体内に戻る直前の血液の様子を整える機能があります。

返血側にはドリップチャンバーという容器があり、血液の流れを滑らかに整えるとともに、小さな気泡をトラップして、体内への侵入を阻止します。

血液回路の長さや太さも、治療の快適さに影響し、回路が長すぎると、体外に出ている血液量が増え、血圧が下がりやすくなる原因です。

最新の回路設計では、なるべくデッドスペース(血液が滞る場所)を減らし、血栓ができにくい滑らかな接続部が採用されるようになっています。

治療開始時のプライミングという作業では、回路内を生理食塩水で満たし、空気を完全に追い出し、この準備が安全の土台です。

回路内に設置されたセンサーによる異常検知

透析中、機械は常に回路内の圧力を測定していて、脱血側では、シャントからの血液の引き込みがスムーズかどうかを確認しています。

ここでの異常は、針の位置がずれたり、シャント自体が細くなったりしていることを知らせる重要なサインとなり、早めの対応が可能です。

返血側では、針が抜けていないか、あるいは回路のどこかが詰まっていないかを確認するために静脈圧を監視し、安全確保に役立ちます。

異常な圧力を検知すると即座にアラームが鳴り、ポンプが停止する仕組みです。この監視体制があるからこそ、数時間の治療を安心して受けられます。

圧力が上昇する要因は、針の先が血管壁に当たっている場合や、ダイアライザー内での血液の固まり(凝固)などです。

また、血液の温度を監視するセンサーもあり、低体温を防いだり、逆に高すぎる設定による血管拡張を抑えたりする役割も果たしています。

血液の凝固を防ぐための構造的工夫

血液は本来、体の外に出ると固まろうとする性質を持っているので、回路自体の素材や形状を工夫することで、固まりやすさを抑えています。

血液が直接触れる内壁は非常に滑らかに作られていて、摩擦や衝撃による赤血球の破壊を最小限に抑える構造が、安全な循環を支えています。

また、血液が滞留しやすい場所を作らない設計がなされていて、スムーズな血流を維持することで、血栓ができるリスクを大幅に減らしているのです。

素材の進化により、以前よりも刺激が少ない高品質な回路が使われるようになっており、長時間触れていても負担が少ない工夫が施されています。

抗凝固剤の投与経路も重要です。血液がポンプで吸い込まれる直前に薬を混ぜることで、ダイアライザー内での凝固を最も効率よく防ぎます。

患者さんの体質によっては、ヘパリン以外の抗凝固剤(低分子ヘパリンやナファモスタットなど)が選ばれることもあり、出血リスクに配慮します。

回路の接続部にはルアーロックという外れにくい構造が採用されていて、万が一の脱落事故を防ぐための、物理的な安全策も徹底されています。

血液回路の主要パーツ構成

パーツ名主な役割詳細な機能
ポンプチューブ血液を回す力耐久性の高いシリコン素材で正確な流量を維持
ドリップチャンバー気泡と血栓の除去血液の泡立ちを抑え、微小な塊を網でキャッチ
抗凝固剤注入ライン凝固防止薬の供給シリンジポンプと連動して薬液を精密に注入

ダイアライザーの内部構造と浄化の仕組み

ダイアライザーは人工腎臓とも呼ばれ、不要な老廃物や水分を除去し、必要な成分を保持する装置です。髪の毛ほどの細さの中空糸という膜が数千本も束ねられており、拡散と超ろ過を利用して血液を精密に掃除します。

中空糸膜が実現する高度なフィルター機能

内部を覗くと、ストローのような形をした細い管がぎっしりと詰まっていて、管の壁には目に見えないほど小さな穴が無数に開いています。

血液が管の中を流れる間に、小さな老廃物や余分な水分だけが穴を通って外側に染み出していき、フィルターの優れた点は、体に必要なタンパク質などは穴を通さない大きさに設計されていることです。

現在はポリスルホンなどの素材が主流となり、生体適合性の高い膜が開発され、体への優しさを考慮した設計が日々進化しています。

中空糸は、1本1本が血液と透析液を隔てる境界線となっていて、膜の厚みはわずか数ミクロンであり、物質の移動を邪魔しない薄さです。

また、膜の表面に血小板がくっつきにくい特殊な加工が施されているものもあり、長時間の透析でも性能が落ちにくくなります。

最新のダイアライザーはスーパーハイフラックスと呼ばれ、これまでは除去が難しかった少し大きな毒素も通すことができるようになっています。

拡散と超ろ過の原理で汚れを落とす

血液の浄化は主に拡散という現象で行い、中空糸の外側には洗浄液が血液とは逆方向に流れており、汚れが自然に移動していきます。

水分の除去は超ろ過という仕組みを使い、血液側に圧力をかけることで余分な水分を膜の外へ押し出し、尿が出ない患者さんの体内の水分バランスを一定に保つことが可能になります。

拡散の効率を高めるためには、血液の流れと透析液の流れを逆方向にすることが不可欠です。これを対向流と呼び、濃度差を最大に維持します。

超ろ過の際には、血液の濃縮に注意が必要で、水分を引き抜きすぎると血液がドロドロになり、膜の穴が詰まってしまうファウリングが起き、後半の毒素除去率が急激に下がってしまいます。

バランスの良い除水計画が、ダイアライザーを使いこなすコツです。

また、血液を綺麗にするだけでなく、透析液側から体に必要な重炭酸などの成分を補給する役割も兼ね備えています。

ダイアライザーによる除去物質の分類

物質の分類代表的な成分身体への影響
小分子量物質尿素窒素・リン蓄積すると吐き気やかゆみ、骨のもろさの原因に
低分子量蛋白β2ミクログロブリン長期間たまると透析アミロイドーシスの原因に
電解質カリウム・ナトリウムバランスが崩れると心停止やむくみを引き起こす

膜面積の選択が治療効率に与える影響

ダイアライザーには様々な大きさがあり、これを膜面積と呼び、体格や除去したい毒素の量に応じて、最適なサイズを選択します。

膜面積が大きければ大きいほど、一度に処理できる血液の量が増え、浄化効率は向上し、より多くの老廃物を捨てることが可能になります。

しかし、大きすぎる場合は治療開始時に血圧を下げたり、アレルギー反応を起こしたりすることもあり、安全に継続できるサイズが重要です。

効率だけを求めるのではなく、個別の病態に合わせた選択が行われ、身体にフィットする道具を選ぶことが、長期の療養を支えます。

膜面積の決定には、身長や体重から計算される体表面積が参考にされ、適切なサイズ設定により、無駄のない効率的な治療が実現します。

近年は、糖尿病などの合併症がある方でも使いやすいよう、タンパク質の漏出を抑えつつ、毒素をしっかり取る抜けが良い膜も選べます。

透析条件の構成要素とその重要性

適切な透析には、Qb以外にも透析液流量や治療時間、除水速度といった要素を組み合わせる必要があり、条件が噛み合うことで、合併症の予防や長期的な健康維持が可能になります。

透析液流量Qdと浄化スピードの関係

透析液流量であるQdは、ダイアライザーの外側を流れる洗浄液の量を指し、一般的には500ml/min程度に設定されることが多いです。

流量を増やすことで血液との濃度差を常に大きく保つことができ、老廃物の除去効率を高められます。洗浄液を贅沢に使うイメージです。

最近では、より高い浄化を目的としてQdを600ml/min以上に設定する施設も増えていて、効率を最大限に引き出す条件として注目されています。

QbとQdのバランスを最適化することで、ダイアライザーの性能を十分に発揮できます。

透析液は、水道水を極限まで高度に浄化した水に、濃縮された薬液を混ぜて作られます。水質が悪いと、逆に体に毒素が入ってしまうので、クリニックでは日々、透析液の清浄化を徹底しています。

Qdを増やすことは、洗浄液を流す量を増やすため、コストはかかりますが、それに見合うだけの高い浄化効果を患者さんに提供することができます。

治療時間と頻度が体に与えるメリット

1回の治療時間は4時間が標準とされていて、時間を長くすることは体に優しい浄化を可能にし、急な変化を抑える効果があります。

ゆっくり時間をかけて毒素を除去することで、細胞内外の濃度差が急変するのを防ぎ、治療後の倦怠感を軽減でき、体調が安定しやすくなります。

また、除水についても時間をかけるほど1時間あたりの量を減らせるため、血圧低下を防げ、また、週3回の頻度は生命維持に大切です。

もし、4時間でも毒素が抜けきらない場合は、4.5時間や5時間へと延長する選択肢もあります。

頻度についても、オーバーナイト透析(夜寝ている間に行う)や在宅透析など、より回数や時間を増やすことで、健常な腎臓に近づける試みがあります。

透析効率を高めるポイント

  • 適切なQbの設定による良好な循環の確保と再循環の防止
  • 体調に合わせた十分な治療時間を確保して、ゆっくり丁寧に浄化する
  • 最新の高性能ダイアライザーを使い、毒素のサイズに合わせた除去を行う
  • 水質の綺麗な透析液を十分に使い、拡散の効率を最大化する

除水速度の設定と血圧維持のバランス

増えた体重を何kg引くかという設定は、透析中の体調を最も左右し、除水速度が速すぎると、血管内の水分補給が追いつかなくなります。

急激な血圧低下を招くと、心臓や脳への血流不足を起こす恐れがあり、非常に慎重な管理が求められる場面なので、注意が必要です。

安全な除水を行うためには、普段からの塩分制限が欠かせません。水分を控えれば除水速度を抑えられ、体への負担を劇的に減らすことができます。

自身のドライウェイトを正しく理解し、無理のない除水計画をスタッフと立てましょう。日々の積み重ねが安全な透析生活を守ります。

ドライウェイト(DW)は、体に余分な水分がなく、心臓への負担も少ない状態の体重で、体調や栄養状態で常に変化する数値です。

レントゲンでの心胸比(CTR)や、血液検査のhANP(心臓の負荷を示すホルモン)の値を参考に、定期的にDWの見直しが行われます。

除水が多すぎて足が引きつる(こむら返り)場合などは、DWが低すぎる可能性があり、逆にむくみが出る場合は、DWの設定が高いサインです。

自分でも足の甲を指で押して凹まないか、毎朝の血圧が安定しているかを確認してください。

シャントの管理とQbの維持に欠かせないケア

十分な流量を確保するためには、シャントが健康であることが絶対条件で、シャントが狭くなると設定したQbを出せず、透析効率が低下します。日々のセルフチェックは、治療の質に直結する大切な習慣です。

毎日の観察でシャントの異常を察知する

シャントの健康状態を確認する簡単な方法は、音を聴き、振動に触れることで、独特のビリビリとした振動が、元気なシャントの証拠です。

もし振動が弱くなっていたり、音が消えていたりする場合は、血管が細くなっている可能性があります。血栓ができている恐れもあり、注意が必要です。

また、赤みや腫れ、痛みがある場合は感染の疑いもあります。こうした小さな変化を早期に見つけることが、シャントを長持ちさせる鍵となります。

シャントは人工物ではなく、ご自身の動脈と静脈をつなぎ合わせた、生きた組織です。だからこそ、日々の栄養や血流が健康を左右します。

特に冬場などは、冷えによって血管が収縮し、血流が悪くなることがあるので、腕を温める工夫をするだけで、血栓リスクを下げることができます。

毎日決まった時間にチェックすることを習慣にし、起床時や就寝前など、リラックスした状態で自分の血管と対話することが大切です。

シャントの寿命を縮めないための生活習慣

シャントは非常にデリケートな血管で、圧迫を避けることが何よりも大切ですので、シャント側の腕で重い荷物を持たないようにしましょう。

腕枕をして寝ることも避けてください。また、腕時計やきつい袖口の服も血流を妨げる原因になるため、ゆったりとした服装がおすすめです。

低血圧もシャントが詰まる原因の一つになり、透析中の過度な除水には注意が必要で、血管を健康に保つため、日頃から冷やさない工夫も有効です。

また、穿刺(針を刺すこと)の場所を毎回少しずつずらすボタンホールや、満遍なく刺すローテーションも血管の保護に役立ちます。

同じ場所に刺し続けると、血管がコブのように膨らんだり、壁が薄くなって出血しやすくなったりするので、スタッフと刺す場所を相談するのも良いでしょう。

治療後もしっかり止血を行うことが重要で、止血ベルトを強く締めすぎず、適度な圧迫で15分から20分ほど様子を見るのが理想的です。

専門的な検査と定期的なメンテナンス

自分でのチェックに加え、クリニックで行うエコー検査なども重要で、血管の太さや血流の速さを数値で客観的に測定できます。

エコーでは見た目ではわからない狭窄を早期に発見でき、早めに見つかれば、簡単な処置で修復が可能です。

トラブルでQbが取れなくなると、治療時間を延ばす必要が出る場合もあり、効率低下を防ぐためにも、専門的な評価を欠かさず受けましょう。

良好な血管の状態をキープすることは、治療ストレスの軽減にもつながります。スタッフと協力して、長く使えるシャントを維持してください。

血管が狭くなってきた場合は、カテーテルを使った血管拡張術(VAIVT)が行われ、切らずに血流を復活させることができます。

「最近、透析中によくアラームが鳴るな」と感じたら、シャントからのSOSかもしれません。遠慮せずに不安な点をスタッフに話してみましょう。

最新のクリニックでは、治療中にリアルタイムで血管抵抗を計算する装置もあり、常にベストな状態でQbを引き出せるようになっています。

シャントのセルフチェック項目

  • スリル(振動):指先でビリビリとした特有の拍動を感じるか
  • バズ音(聴診):耳や聴診器を当ててザーザーという血流音が聞こえるか
  • 視覚的な変化:皮膚に赤み、腫れ、あるいは急な凹凸ができていないか
  • 感触の変化:血管が以前よりも硬くなったり、脈が飛び跳ねたりしていないか

Q&A

透析治療における血液流量(Qb)や機器の役割について、患者さんからよく寄せられる疑問にお答えします。

Qbを上げると心臓に負担がかかるというのは本当ですか?

流量を増やすと、血液を送り出す心臓の仕事量が増える可能性はありますが、適切な範囲内であれば、毒素が効率よく除去されるメリットが大きいです。

医師は心機能や血圧の推移を詳細に評価した上で、安全な数値を決定しています。もし治療中に苦しさがある場合は、すぐにスタッフに伝えることが大切です。

心拍出量に対するQbの割合が適切であれば、大きな問題にはなりません。

ダイアライザーの大きさはどのように決めているのですか?

主に患者さんの体格や、血液検査の結果から算出される老廃物の蓄積具合を見て判断し、体が大きい方は血液量も多いため、大きな面積のものが必要です。

心臓に不安がある方に過剰に大きなものを使うと、負担がかかりすぎることもあり、一人ひとりの体質に合わせて、最適に選択されています。

また、血液を戻す際の残血の少なさや、アレルギーの有無なども考慮され、長期間のデータを分析して、その時々のベストを選んでいます。

血液回路に空気が入ってしまうことはありませんか?

血液回路には気泡検知器という高感度なセンサーが必ず設置されています。もし空気が混入しても、センサーが即座に感知して血液の流れを瞬時に止めます。

空気が体内に戻ることは構造上極めて稀であり、高度な安全装置によって守られていて、アラームが鳴った際も、スタッフが適切に対処しますので安心してください。

ドリップチャンバーという部品が、物理的に空気を浮かせて分離する役割も果たしています。

食事を制限していればQbは低くても大丈夫ですか?

食事療法は非常に重要ですが、それだけで透析の代わりになるわけではありません。体の中では食事以外からも常に老廃物が作られており、掃除が必要です。

透析量が不足すると、自覚症状がないまま体の中に毒素が溜まり、数年後の合併症につながる恐れがあり、食事と適切な透析条件の両立が健康維持には重要です。

特にタンパク質は筋肉の維持に不可欠ですので、過度な制限は禁物で、しっかり食べて、しっかり透析で抜くというスタイルが現在の主流です。

以上

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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