高齢者(90歳以上も)の透析治療|メリット・デメリットと意思決定

高齢者(90歳以上も)の透析治療|メリット・デメリットと意思決定

高齢化が進む現代、ご自身やご家族が腎臓の機能低下を指摘され、透析治療を検討する場面が増えています。

特に90歳を超えるようなご高齢の場合、治療が本当に本人にとって良い選択なのか、大きな不安や迷いを抱えるのは当然のことです。

この記事では、高齢者、特に90歳以上の方の透析治療に焦点を当て、そのメリットとデメリット、ご本人とご家族が納得のいく意思決定をするために知っておきたい情報を、分かりやすく解説します。

目次

高齢者の腎臓と透析治療の基本

年齢を重ねると共に身体には様々な変化が現れますが、腎臓も例外ではありません。腎臓の働きがどのように変化し、なぜ透析治療が必要になるのか、まずは基本的な知識から確認していきましょう。

加齢による腎機能の変化

腎臓は血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として排泄する、生命維持に重要な臓器ですが、年齢と共に腎臓の働きは少しずつ低下していきます。これは、腎臓の中にある糸球体というろ過装置の数が減少し、血流も悪くなるためです。

病気がなくても、80歳代では若い頃の半分程度の機能になることも珍しくありません。自然な老化による腎機能の低下を、すぐに病気と結びつける必要はありませんが、元々の機能がどの程度であるかを知っておくことは大切です。

年代別の腎機能(eGFR)の目安

年代eGFRの平均値(mL/分/1.73m²)状態の目安
40代約80~90正常範囲
70代約60~70軽度低下の可能性
80代以上約50~60加齢による低下

eGFR(推算糸球体ろ過量)は、血液検査のクレアチニン値と年齢、性別から計算される腎機能の指標です。数値が低いほど腎臓の働きが悪いことを示します。

透析治療とは何か 腎臓の働きを代替する治療法

透析治療は、働かなくなった腎臓の機能の一部を機械などで代替する治療法です。腎臓の働きが著しく低下した末期腎不全になると、体内に老廃物や毒素、余分な水分が溜まり、尿毒症という命に関わる状態になります。

透析治療は尿毒症を防ぎ、生命を維持するために行います。血液を体外に取り出してきれいにしてから体内に戻す血液透析や、お腹の中に透析液を入れて老廃物を除去する腹膜透析といった方法があります。

透析治療の主な種類

  • 血液透析(HD)
  • 腹膜透析(PD)

血液透析は週に2~3回、医療機関に通院して1回4~5時間かけて行います。一方、腹膜透析は自宅や職場で毎日行う治療法です。高齢者の場合は、通院の負担や自己管理能力などを考慮して、どちらの治療法が適しているかを慎重に検討します。

透析治療が必要になる末期腎不全の状態

腎機能が正常の15%以下(eGFRが15mL/分/1.73m²未満)になると、末期腎不全と診断されます。この段階になると、腎臓の働きだけでは体内の環境を正常に保つことが困難になります。

むくみ、息切れ、食欲不振、吐き気、意識障害といった尿毒症の症状が現れ始め、放置すると命の危険があります。このような状態になったとき、腎臓の働きを代替する治療法として、腎移植か透析治療が必要です。

高齢者の場合、手術のリスクなどから腎移植の選択は難しく、多くの場合で透析治療が検討されます。

高齢者に多い透析導入の原因疾患

高齢者が透析治療を始める原因となる病気は、若い世代とは少し異なる傾向があります。長年の生活習慣が影響する病気が腎臓にダメージを与え、徐々に機能を低下させていくケースが目立ちます。特に注意が必要なのは、糖尿病と高血圧です。

高齢者の透析導入原因疾患

順位疾患名特徴
1位糖尿病性腎症長年の高血糖が腎臓の血管を傷つける
2位腎硬化症高血圧や動脈硬化が原因で腎臓が硬くなる
3位慢性糸球体腎炎腎臓の糸球体に慢性的な炎症が起こる

病気は、自覚症状がないまま進行することが多いため、定期的な健康診断で腎臓の状態をチェックすることが重要です。

高齢者が透析治療を受けるメリット

透析治療は身体的な負担も伴いますが、それ以上に得られる恩恵もあります。尿毒症による苦しい症状から解放され、穏やかな日々を取り戻せる可能性は、治療を選択する大きな理由の一つです。

尿毒症症状の改善と生命維持

透析治療の最も大きなメリットは、生命を脅かす尿毒症の症状を改善し、命を永らえることです。体内に溜まった老廃物や余分な水分を定期的に取り除くことで、吐き気や食欲不振、全身の倦怠感、呼吸困難といった苦しい症状が和らぎます。

透析治療は、失われた腎臓の機能を取り戻すものではありませんが、生命を直接的に維持するための重要な手段です。

改善が期待できる主な尿毒症症状

症状改善の仕組み
全身のむくみ・息切れ余分な水分を除去し心臓への負担を軽減する
食欲不振・吐き気老廃物(尿毒素)を除去し消化器症状を和らげる
かゆみ・不眠かゆみの原因物質を除去し不快感を軽減する

全身の健康状態の安定

末期腎不全の状態では、体内の水分量や電解質(ナトリウム、カリウムなど)、酸性・アルカリ性のバランスが大きく乱れます。

乱れは、心臓や肺、脳など、全身の臓器に悪影響を及ぼし、不整脈や心不全、意識障害などを引き起こす原因です。透析治療によって体内の環境を定期的に整えることで、危険な状態を回避し、全身の健康状態を安定させることができます。

また、血圧のコントロールが良好になったり、貧血が改善したりすることも期待できます。

QOL(生活の質)の維持向上への期待

QOLは「生活の質」と訳され、その人がどれだけ人間らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度として捉える考え方です。

尿毒症の苦しい症状から解放されることで、再び食事をおいしく感じたり、趣味を楽しんだり、家族と会話をしたりする意欲が湧いてくることがあります。

治療による制約はありますが、つらい症状に悩まされ続ける生活から脱却し、自分らしい時間を少しでも取り戻せることは、QOLの維持・向上に繋がる大きなメリットです。

家族と過ごす時間を延ばせる可能性

ご本人にとってはもちろん、ご家族にとっても、大切な人との時間は何物にも代えがたいものです。透析治療を選択することで、生命が維持され、共に過ごせる時間が延びる可能性があります。

治療の準備や通院のサポートなど、家族の負担は増えるかもしれませんが、その時間の中で新たな思い出を作ったり、感謝の気持ちを伝え合ったりすることもできます。

残された時間をどのように過ごしたいか、という視点も、治療方針を決定する上で非常に大切な要素です。

高齢者が透析治療を受けるデメリットとリスク

メリットがある一方で、治療に伴う身体的、精神的、生活上の負担も無視できません。ご高齢の方の場合、若い世代よりも負担が大きく感じられることがあります。ここでは、事前に理解しておくべきデメリットやリスクについて詳しく解説します。

身体的な負担と合併症

透析治療、特に血液透析は、短時間で体内の水分や電解質を大きく変化させるため、身体への負担が少なくありません。透析中の血圧低下や、足のつり、頭痛などが起こることがあります。

また、長期間透析を続けると、様々な合併症が起きやすくなり、高齢者の場合は、もともと持っている病気(併存疾患)も多いため、リスクはより高いです。

高齢者で注意すべき主な合併症

合併症主な症状・リスク
シャントトラブル閉塞や感染など、血液透析のための血管の問題
心血管疾患心不全、心筋梗塞、脳卒中など
骨・関節の障害骨がもろくなる、関節に痛みがでるなど

合併症を予防し、早期に対処するためにも、医療スタッフとの密な連携が重要です。

時間的な制約と通院の負担

血液透析の場合、一般的に週3回、1回の治療に4~5時間程度の時間が必要です。これに準備や移動時間を加えると、一日の大半を治療のために費やすことになり、ご高齢の方にとって、定期的な通院は大きな身体的・精神的負担となります。

一人暮らしの方や、ご家族のサポートが得られにくい場合は、通院手段の確保が大きな課題となることもあり、時間的な制約により、旅行や趣味など、これまで楽しめていた活動が難しくなる可能性も考えられます。

血液透析の一般的なスケジュール

  • 通院頻度: 週3回(例: 月・水・金)
  • 1回の治療時間: 4~5時間
  • 生活への影響: 治療日はほぼ1日がつぶれる

食事や水分制限による生活の変化

透析治療を始めると、多くの場合、厳しい食事制限や水分制限が必要になります。腎臓の代わりに機械で老廃物や水分を除去するため、次の透析までの間にこれらが体内に溜まりすぎないようにするためです。

特に、カリウム、リン、塩分、水分の摂取量を厳密に管理することが求められます。これまで当たり前のように食べていたものや飲んでいたものが制限されることは、生活の楽しみを奪い、大きなストレスとなる可能性があります。

主な食事制限のポイント

  • カリウム: 生野菜、果物、いも類など
  • リン: 乳製品、加工食品、魚卵など
  • 塩分: 全ての食事で減塩を意識する
  • 水分: 飲み水だけでなく、食事に含まれる水分も計算する

認知機能への影響の可能性

高齢の透析患者さんの中には、治療を続けるうちに認知機能が低下する方がいることが報告されています。

透析中の血圧変動による脳血流の低下や、体内に微量な毒素が蓄積することなどが関係していると考えられていますが、まだはっきりとした原因は分かっていません。

すべての高齢者に認知機能の低下が起こるわけではありませんが、もともと認知症の傾向がある方や、脳血管に問題を抱えている方の場合は、進行を早めてしまう可能性も考慮に入れる必要があります。

透析治療以外の選択肢 保存的腎臓療法(CKM)

末期腎不全の治療は、透析治療だけがすべてではありません。ご高齢で多くの併存疾患を抱えている方や、ご本人が積極的な延命治療を望まない場合には、透析を行わずに症状緩和を主目的とした穏やかな治療法もあります。

保存的腎臓療法(CKM)の考え方

CKMは、透析や腎移植といった腎代替療法をあえて選択せず、残された腎機能をできるだけ維持しながら、薬物療法や食事療法によって尿毒症による苦痛な症状を和らげることを目的とした治療方針です。

延命そのものを最優先するのではなく、人生の最終段階において、その人らしい穏やかな時間を過ごせるように、QOL(生活の質)を最大限に尊重することを重視します。

ご本人とご家族が、CKMの内容と、透析治療と比較した場合の予後について十分に理解し、納得した上で選択することが大前提です。

CKMで中心となる治療内容

CKMでは、透析のように機械で老廃物を除去するのではなく、今ある体の機能を使って症状をコントロールします。中心となるのは、薬物療法と食事療法、そして精神的なケアです。

CKMの主な治療法と目的

治療法目的具体例
薬物療法症状の緩和利尿薬(むくみ)、降圧薬、貧血治療薬など
食事療法腎臓への負担軽減低たんぱく食、減塩、カリウム・リン制限など
緩和ケア苦痛の軽減痛み、吐き気、呼吸困難、不安などへの対応

治療を組み合わせ、定期的に医師の診察を受けながら、体の状態に合わせて治療内容を調整していきます。

CKMを選択した場合の生活と予後

CKMを選択した場合、透析治療のような時間的な拘束や通院の負担は大幅に軽減されます。食事制限は必要ですが、透析治療ほど厳格ではない場合もあり、比較的自由な生活を送ることが可能です。

ただし、CKMは腎臓の機能を代替するものではないため、いずれは尿毒症が進行し、最期の時を迎えることになります。透析治療を受けた場合に比べて、生命を維持できる期間は短くなるのが一般的です。

どのくらいの期間になるかは、残された腎機能や全身の状態によって大きく異なります。

CKMが適していると考えられるケース

CKMは、誰にでも勧められる選択肢ではありません。ご本人の意思が最も尊重されるべきですが、一般的には以下のような場合に、CKMが慎重に検討されます。

90歳を超えるような超高齢であること、多くの重い併存疾患を抱えていること、全身の状態が非常に衰弱していること、そして何よりもご本人が透析治療を望んでいないこと、などが挙げられます。

ご本人、ご家族、そして医療チームが繰り返し話し合い、全員が納得した上で選択することが極めて重要です。

90歳以上の超高齢者における透析治療の特殊性

90歳を超える方の透析治療は、他の年代とは異なる特別な配慮が大事になります。単に年齢が高いというだけでなく、身体の状態や生活背景が非常に多様であるため、一人ひとりに合わせたきめ細やかなアプローチが大切です。

併存疾患(持病)の多さと治療の複雑性

90歳以上の方の多くは、腎不全以外にも心臓病、脳血管障害、糖尿病、がんなど、複数の病気(併存疾患)を抱えています。病気は、透析治療そのものに影響を与えたり、透析治療によって悪化したりすることがあります。

例えば、心臓の機能が低下している方に透析を行うと、血圧の変動に耐えられず心不全を悪化させる危険があります。

高齢者は多くの薬を服用していることも多く、薬の調整も複雑になるため、腎臓だけでなく、全身の状態を総合的に評価し、治療のリスクとメリットを慎重に天秤にかけることが必要です。

フレイル・サルコペニアとの関連

フレイルとは、加齢に伴い身体的、精神的、社会的な機能が低下し、健康障害を起こしやすい「虚弱」な状態を指します。また、サルコペニアは筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下する状態です。

超高齢者の多くは、フレイルやサルコペニアの状態にあることが多く、透析治療の負担に耐える体力が低下しています。透析のための通院や、治療中の安静が、さらにフレイルやサルコペニアを進行させてしまう悪循環に陥ることもあります。

治療を開始する前に、栄養状態や身体活動量を評価し、リハビリテーションなどを組み合わせることも検討します。

フレイルの簡易チェック項目

項目質問内容
体重減少この半年で2~3kg以上の体重減少がありましたか?
疲労感わけもなく疲れたような感じがしますか?
活動量の低下運動や体操をしていますか?

項目に複数当てはまる場合は、フレイルの可能性を考慮します。

治療による心血管系への負荷

血液透析では、短時間で体から水分を取り除く(除水)ため、心臓や血管に大きな負担がかかります。高齢者はもともと動脈硬化が進んでいることが多く、血管の弾力性が失われているため、負荷の影響をより受けやすいです。

透析中の急激な血圧低下は、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高める可能性があります。このため、超高齢者の透析では、除水速度を緩やかにしたり、治療時間を長くしたりするなど、心血管系への負担をできるだけ少なくする工夫が大事です。

ご本人とご家族の意思の尊重

90歳以上という年齢を考えると、ご本人がどのような人生の最終段階を望んでいるのか、価値観や人生観を最大限に尊重することが何よりも大切です。

単に「長く生きること」だけが目標ではなく、「苦痛なく穏やかに過ごしたい」「最期まで自宅で過ごしたい」といった希望があるかもしれません。

ご本人の意思表示が難しい場合には、ご家族がご本人のこれまでの言動や価値観を推し量り、本人にとって最善の選択は何かを医療チームと共に考えていきます。

後悔しないための意思決定支援

治療方針を決めることは、ご本人とご家族にとって非常に重い決断です。医学的な情報だけでなく、ご自身の価値観や生活、ご家族の想いなど、様々な要素を考慮しなくてはなりません。

ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の重要性

ACPとは、将来の意思決定能力の低下に備えて、ご本人が望む医療やケアについて、ご家族や医療・ケアチームと事前に話し合い、共有する取り組みです。日本語では「人生会議」とも呼ばれます。

ACPは、単に治療方針を決めるだけでなく、ご本人が大切にしている価値観や目標を共有し、もしもの時に備えておくための重要な対話です。話し合いを通じて、ご本人、ご家族、医療チームが同じ目標に向かって進むことができます。

ACPで話し合う内容の例

  • これまでの人生で大切にしてきたこと
  • 病状や治療について理解していること
  • 治療を受ける上での目標や希望
  • 受けたくない治療、行ってほしいケア
  • 信頼して意思決定を任せられる人

医療チームとの対話で確認すべきこと

医師や看護師、ソーシャルワーカーなどの医療チームは、意思決定をサポートする専門家です。分からないことや不安なことは、遠慮なく質問しましょう。

医学的な情報だけでなく、治療を受けた場合の生活の変化や、利用できる社会資源についても尋ねることができます。対話の際には、事前に質問したいことをメモしておくと、聞き忘れを防ぐことができます。

話し合いのポイント

確認事項質問の例
病状と今後の見通し「今の腎臓の状態はどのくらいですか」「何もしないとどうなりますか」
治療の選択肢「透析以外にどんな方法がありますか」「それぞれのメリット・デメリットは?」
治療後の生活「透析を始めたら、どんな生活になりますか」「食事で気をつけることは?」

家族間で価値観や希望を共有する方法

治療方針の決定は、ご家族にとっても大きな影響があります。ご本人の意思を尊重することが基本ですが、ご家族が抱える不安や負担についても、率直に話し合う場を持つことが大切です。

介護の負担、経済的な問題、精神的なつらさなど、様々な側面から話し合いましょう。このとき、誰か一人が意見を押し付けるのではなく、お互いの気持ちに耳を傾け、全員が納得できる着地点を探す姿勢が重要です。

治療方針の変更や見直しの可能性

一度決めた治療方針が、絶対的なものではありません。治療を続ける中で、ご本人の体調や気持ちが変化することは十分にあり得ます。

「透析を始めたけれど、やはりつらいのでやめたい」「CKMを選択したが、症状が思ったよりつらいので透析を考えたい」など、状況に応じて治療方針を見直すことは可能です。

大切なのは、その都度ご本人、ご家族、医療チームが話し合い、その時点での最善の選択をしていくことで、いつでも相談できるという安心感が、治療を続ける上での支えになります。

よくある質問

これまで解説した内容以外にも、多くの疑問や不安があることでしょう。ここでは、高齢者の透析治療に関してよく寄せられる質問と回答をまとめました。

透析を始めたら、やめることはできますか

透析治療は生命を維持するための治療ですので、自己判断で中断することは命の危険に直結します。

ただし、治療を続けることがご本人の苦痛を増やすだけでなく、QOLを著しく損なっていると判断される場合には、ご本人やご家族の強い希望に基づき、医療チームとの十分な話し合いの上で、透析を中止するという選択肢もあります。

認知症があっても透析治療は可能ですか

認知症があるからといって、透析治療が受けられないわけではありません。しかし、治療への協力が得られるかどうかが大きなポイントになります。

血液透析中に安静を保てなかったり、シャントなどの自己管理ができなかったりすると、安全な治療が困難になる場合があります。

ご本人の状態や、ご家族の介護力、受け入れ先の医療機関の体制などを総合的に判断して、治療の可否を検討します。

治療にかかる費用はどのくらいですか

透析治療は高額な医療ですが、日本の公的医療保険制度には手厚い助成制度があり、患者さんの自己負担は大きく軽減されます。ほとんどの場合、所得に応じて月額1万円または2万円が上限です。

在宅透析という選択肢はありますか

透析治療には、医療機関で行う血液透析の他に、自宅で行う在宅血液透析や腹膜透析があります。

在宅透析は、通院の負担がなく、自分の生活リズムに合わせて治療を行えるという大きなメリットがありますが、ご本人やご家族が手技を習得し、自己管理を徹底する必要があります。

また、緊急時の対応など、安全を確保するための体制も重要です。

以上

透析センター(人工透析) | 大垣中央病院(医療法人社団豊正会 )

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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