透析治療を続ける中で、検査データの数値に一喜一憂する日々を過ごしている方は少なくありません。特にカリウムやカルシウムといった電解質のバランスは、体調の変化だけでなく生命に関わる重大な事態を起こす可能性があります。
なぜ数値が高くなるのか、放置するとどのようなリスクがあるのかを正しく理解することは、不安を解消し、より良い透析生活を送るための第一歩です。
この記事では、腎臓の機能低下が及ぼす影響から食事の工夫、日常生活での注意点まで、わかりやすく解説します。
腎臓の機能低下と電解質バランスの深い関係
私たちの体は、血液中の成分を一定の範囲内に保つことで健康を維持していています。
腎臓は血液をろ過し、老廃物を尿として排出するだけでなく、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リンといった電解質の濃度を精密にコントロールしていますが、腎臓の働きが低下し、透析療法が必要な段階になると、調整機能が失われます。
腎臓が担う役割と透析での限界
健康な腎臓は、24時間休むことなく働き続け、余分な水分や電解質を尿として排出し、透析療法はこの働きの代行を行いますが、週に数回、数時間の治療ですべての機能を完全に補うことは困難です。
特にカリウムやリンなどは、次回の透析までの間に体内に溜まっていくため、患者さん自身の自己管理が非常に重要になります。
腎臓が本来行っているホルモンの分泌やビタミンの活性化といった機能も低下するため、薬物療法などで補う必要が生じます。
腎臓の主な働きと機能低下時の変化
| 機能 | 健康な状態 | 機能低下時(透析期) |
|---|---|---|
| 老廃物の排泄 | 尿としてスムーズに体外へ出す | 体内に毒素が蓄積し尿毒症のリスクが高まる |
| 電解質調整 | カリウムやカルシウムを一定に保つ | 高カリウム血症や高リン血症を起こしやすい |
| ホルモン分泌 | 造血や骨の健康維持に関わるホルモンを出す | 貧血や骨がもろくなる症状が現れる |
電解質とは何か
電解質とは、水に溶けると電気を通す物質のことです。一般的にはミネラルとも呼ばれ、神経の伝達や筋肉の収縮、心臓の拍動など、生命活動の根幹に関わる重要な役割を果たしています。
互いに影響し合っており、一つでもバランスが崩れると、ドミノ倒しのように他の数値にも異常をきたすことがあります。透析患者さんにとって、数値を管理することは、合併症を防ぎ、長く元気に過ごすために欠かせない取り組みです。
なぜバランスが崩れやすいのか
透析を受けている方は、尿量が極端に少ないか、全く出ない状態にあることが多いです。
本来なら尿と一緒に捨てられるはずの余分なカリウムやリンが、出口を失って血液中にとどまり、また、カルシウムに関しては、腎臓でのビタミンD活性化障害や、高リン血症の影響を受けて吸収が悪くなるなど、複雑な要因が絡み合います。
食事でおいしく栄養を摂ることが、時には体への負担となってしまうジレンマがありますが、正しい知識を持つことで上手に付き合っていくことができます。
透析患者における高カリウム血症の恐怖と原因
高カリウム血症は、自覚症状がほとんどないまま進行し、ある一定のレベルを超えると突然心臓を止めてしまう恐れがあり、サイレントキラーとも呼ばれる状態で、日々の食事管理が直接的に命を守る行動につながります。
排出できないカリウムの行方
肉、魚、野菜、果物に含まれるカリウムは、小腸で吸収されて血液に入り、腎機能が正常であれば過剰な分は速やかに尿へ排泄しますが、透析患者さんの場合、この排出経路が閉ざされています。
血液中のカリウム濃度は、食事の直後から上昇し始め、透析を行うまでの間、体内に蓄積され続けます。
細胞の中から血液中へカリウムが移動することもあり(細胞内シフト)、アシドーシス(血液が酸性に傾く状態)や高血糖などがこの移動を促進させ、さらに数値を悪化させる要因です。
カリウム値上昇に関わる主な要因
| 要因 | 内容 | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| 食事摂取 | カリウムを多く含む食品の過剰摂取 | 調理法の工夫や摂取量の調整を行う |
| 透析不足 | 透析効率の低下や時間の不足 | 透析条件の見直しを医師と相談する |
| 消化管出血 | 胃や腸からの出血(血液中の成分が吸収される) | 便の色(黒色便)などを確認し早期受診する |
心臓への致死的な影響
カリウムは心臓の筋肉が収縮・拡張する電気信号の調整に深く関わっていて、血液中のカリウム濃度が高くなりすぎると、この電気信号のリズムが乱れます。
最初は心電図上で波形の変化として現れますが、さらに上昇すると不整脈を起こし、最終的には心停止に至る危険があります。恐ろしいのは、心停止の直前まで胸が苦しいといったはっきりした前兆を感じないケースがあることです。
定期的な血液検査で自分の傾向を知り、週末など透析間隔が空く時期は特に警戒する必要があります。
見逃してはいけない身体のサイン
高カリウム血症は自覚症状に乏しいのが特徴ですが、体が発する微細なサインをキャッチできることもあり、唇や手足がしびれる感覚、理由のない筋力の低下、脱力感などです。
なんとなく体に力が入らないと感じたとき、すでにカリウム値が危険域に達している可能性も考えられます。こうした違和感を持った場合は、次の透析日を待たずに医療機関へ連絡し、指示を仰ぐ行動が大切です。
高カリウム血症の主な自覚症状
- 口の周りや舌のしびれ感
- 手足の指先のしびれや冷感
- 手足に力が入らない脱力感
- 脈の乱れや不快感
- 吐き気や胃の不快感
カリウムをコントロールする食事療法の知恵
食事は人生の楽しみであり、厳しすぎる制限はストレスの原因となります。大切なのは食べてはいけないと禁止することではなく、どうやって食べるかという工夫を知ることです。
食材選びの賢い視点
一般的に体に良いとされる野菜や果物には、多くのカリウムが含まれていますが、すべての野菜が高カリウムというわけではありません。
ほうれん草やアボカド、バナナなどはカリウムが非常に多い食品の代表格ですが、もやしやキャベツなどは比較的少なめです。
季節の旬の食材を楽しみつつも、一度に食べる量を調整したり、他の食材と組み合わせたりすることで、トータルの摂取量をコントロールします。
缶詰の果物はシロップにカリウムが溶け出しているため、果肉だけを食べるようにするといった工夫も有効です。
カリウム含有量の多い食品と少ない食品の比較
| 食品カテゴリー | カリウムが多い食品(要注意) | 比較的少ない食品(活用推奨) |
|---|---|---|
| 野菜類 | ほうれん草、かぼちゃ、里芋、タケノコ | もやし、レタス、きゅうり、冬瓜 |
| 果物類 | バナナ、メロン、キウイ、アボカド | 缶詰の果肉(シロップ除く)、りんご |
| その他 | 納豆、海藻類、インスタントコーヒー | 豆腐、寒天、麦茶、紅茶 |
水さらしと茹でこぼしの技術
カリウムは水に溶けやすい性質を持っています。この性質を利用した調理法が水さらしと茹でこぼしです。
野菜を細かく切ってから水にさらす、あるいはたっぷりのお湯で茹でてから、そのお湯を捨てることで、食材に含まれるカリウムを3割から5割程度減らすことができます。
生野菜サラダよりも、茹で野菜のお浸しや温野菜にする方が、同じ量でもカリウム摂取量を抑えられます。焼く、蒸す、電子レンジ調理ではカリウムが残存しやすいため、調理法の使い分けが大切です。
成分表示を見る習慣
加工食品や飲料を購入する際、パッケージの裏面にある栄養成分表示を確認する習慣をつけることをお勧めします。ナトリウムだけでなく、カリウムの表示がある場合は必ずチェックします。
また、減塩調味料の中には、塩分であるナトリウムを減らす代わりにカリウムを使って味を調整している製品があるので、減塩だから安心と思い込んで使いすぎると、知らぬ間に高カリウム血症を招く原因になりかねません。
調味料選びの際も、成分を確認するか、主治医や管理栄養士に相談することが安全です。
高カルシウム血症と腎障害の複雑なメカニズム
高カルシウム血症 腎 障害 なぜと疑問に思う方は、カルシウムと腎臓、そして骨の関係性の複雑さに戸惑っているかもしれません。
腎臓が悪くなるとなぜカルシウムに異常が出るのか、背景にはCKD-MBD(慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常)という病態が隠れています。
ビタミンD活性化の障害と低カルシウムの始まり
腎臓の重要な働きの一つは、ビタミンDを活性化させ、腸からのカルシウム吸収を助けることです。
腎機能が低下すると活性型ビタミンDが不足し、腸からカルシウムを十分に吸収できなくなり、初期段階では血液中のカルシウム濃度が低下する傾向にあります。
体がカルシウムが足りないと判断すると、首の付け根にある副甲状腺という臓器から、副甲状腺ホルモン(PTH)を大量に分泌する指令が出ます。
副甲状腺の暴走と骨からの流出
副甲状腺ホルモン(PTH)は、骨を溶かしてカルシウムを血液中に引き出し、濃度を維持しようと働き、長く続くと、副甲状腺が肥大化し、常にホルモンを出し続ける状態(二次性副甲状腺機能亢進症)になります。
必要以上に骨からカルシウムが溶け出し続けることで、今度は逆に血液中のカルシウム濃度が高くなりすぎてしまうのです。最初はカルシウム不足から始まった反応が、過剰な反応を起こし、高カルシウム血症へとつながります。
腎不全におけるカルシウム代謝異常の流れ
| 段階 | 体内で起きている現象 | 結果 |
|---|---|---|
| 初期 | 腎臓でのビタミンD活性化が低下する | 腸からのCa吸収が減り、血中Caが下がる |
| 反応期 | 副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌が増加 | 骨からCaを溶かし出し、血中濃度を保とうとする |
| 進行期 | 副甲状腺が暴走し制御不能になる | 必要以上に骨を溶かし、高Ca血症となる |
異所性石灰化というリスク
血液中にあふれたカルシウムは、行き場を失うと骨以外の場所に沈着し始め、これを異所性石灰化と呼びます。血管の壁に沈着すれば動脈硬化を急速に進行させ、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。
また、心臓の弁、関節、皮膚の下などに石灰化が起きると、激しい痛みや機能障害を起こす原因です。透析患者さんでリンの数値も高い場合、カルシウムとリンが結合しやすく、この石灰化が劇的に進むことが知られています。
高カルシウム血症の症状と早期発見
高カルシウム血症もまた、初期には気づきにくい病態ですが、進行すると患者様の生活の質(QOL)を著しく低下させる症状が現れます。ここでは、日常生活で注意すべき変化と検査の重要性について解説します。
かゆみと骨の痛み
透析患者さんを悩ませる頑固なかゆみの原因の一つに、高カルシウム血症や高リン血症があります。皮膚にカルシウムが沈着することで、虫刺されや湿疹とは異なる、体の中から湧き上がるような強いかゆみを感じることがあります。
また、骨からカルシウムが抜け出し続けることで骨がもろくなり、背中や腰、関節に痛みを感じるようになります。ちょっとした転倒や動作で骨折してしまうリスクも高まるため、骨の痛みを軽視せずに医師に伝えることが大切です。
精神・神経症状への影響
血液中のカルシウム濃度が高すぎると、脳や神経の働きにも影響を及ぼします。イライラしやすくなったり、逆に無気力でうつ状態のようになったりすることがあり、集中力が続かない、疲れやすい、食欲がないといった症状も現れます。
症状は透析疲れとして片付けられがちですが、背景にカルシウム濃度の異常が隠れている場合があります。ご家族から見て最近様子がおかしい、あるいは元気が極端にないとと感じた場合は、検査データの確認が必要です。
見逃しやすい高カルシウム血症の兆候
- 市販薬でも治まらない全身の強いかゆみ
- 関節の痛みや、骨の奥が痛む感覚
- 筋力の低下や強い疲労感
- 吐き気、嘔吐、便秘などの消化器症状
- 集中力低下や気分の落ち込み
定期検査でのモニタリング
症状が出る前に異常を見つけるためには、定期的な血液検査が最も確実な方法です。透析施設では通常、月に2回程度、カルシウムやリンの値を測定し、また、副甲状腺ホルモン(PTH)の値も定期的にチェックします。
医師は数値を総合的に判断し、カルシウムが高すぎるのか、低すぎるのか、あるいは骨の代謝がどうなっているのかを評価します。
患者さんご自身も、検査結果の用紙を受け取った際に、ご自身のカルシウム値(補正カルシウム値)に関心を持つことで、より主体的な管理ができます。
薬物療法と透析による治療アプローチ
高カリウム血症や高カルシウム血症の治療は、食事療法を土台としつつ、薬物療法や透析条件の調整を組み合わせて行います。近年では新しい作用機序を持つ薬も登場しており、体質や生活スタイルに合わせた治療選択が可能になっています。
カリウム吸着薬の種類と進化
食事療法だけではカリウムが下がらない場合、カリウム吸着薬を使用ます。これは腸の中で食事に含まれるカリウムと結合し、便として体外へ排出させる薬です。
以前から使われている粉薬やゼリー状の薬に加え、最近では水に懸濁して飲むタイプや、少量の服用で効果を発揮する新しいタイプの薬剤も登場しています。
それぞれ味や飲みやすさ、便秘へのなりやすさなどが異なるため、飲みにくいと感じる場合は医師に相談し、自分に合った薬を見つけることが継続のコツです。
主なカリウム・リン・カルシウム調整薬剤の分類
| 薬剤の種類 | 主な作用 | 患者様へのメリット |
|---|---|---|
| カリウム吸着薬 | 腸管でのカリウム吸収を抑え排泄する | 食事制限を過度に厳しくせずに数値を管理できる |
| リン吸着薬 | 食事中のリンを吸着し吸収を阻害する | Ca値への影響が異なる数種類から選択可能 |
| カルシウム受容体作動薬 | 副甲状腺に働きかけPTH分泌を抑える | 手術をせずに副甲状腺機能をコントロールする |
カルシウム濃度を調整する透析液
透析治療で使用する透析液には、いくつかの種類があり、含まれるカルシウムの濃度が異なります。
患者さんの血液中のカルシウム値が高すぎる場合は、カルシウム濃度の低い透析液を使用することで、透析中に体からカルシウムを抜き取る調整を行い、低すぎる場合は、濃度の高い液を使用します。
医師は血液検査の結果を見ながら、透析液を選択し処方を変更します。
シナカルセト等のカルシウム受容体作動薬
二次性副甲状腺機能亢進症により高カルシウム血症となっている場合、カルシウム受容体作動薬と呼ばれる薬が大きな役割を果たします。
副甲状腺にあるセンサーに作用し、カルシウムは十分に足りていると誤認させることで、過剰なPTHの分泌を強力に抑え込み、骨からカルシウムが溶け出すのを防ぎ、血中のカルシウム値を下げることができます。
この薬の登場により、以前は手術で副甲状腺を摘出するしかなかったケースでも、薬でコントロールできる事例が増えました。
日常生活での自己管理と心構え
医療によるサポートは強力ですが、最も大きな力を持つのは患者さん自身の毎日の生活習慣で、制限ばかりで窮屈に感じることもあるかもしれませんが、生活のリズムを整えストレスなく管理を続けることが、合併症を防ぐ最良の道です。
水分管理と便通の維持
カリウムは便からも排泄されます。便秘になると、腸内にとどまった便から再びカリウムが吸収されてしまい、数値が上がりやすくなるので、毎日の快便を維持することは、カリウム管理において非常に重要です。
水分制限がある中で便通を整えるのは難しい場合もありますが、食物繊維を適度に摂る、適度な運動をする、必要であれば下剤を適切に使用するなどして、便秘を防ぎます。
お通じの状態を毎日チェックする習慣が、カリウム値を守ることにつながります。
ストレスとの上手な付き合い方
精神的なストレスや肉体的な疲労は、ホルモンバランスを乱し、血糖値の変動などを通じて電解質異常を悪化させる要因になり得ます。また、ストレスから暴飲暴食に走ってしまうことも、透析患者さんにとっては大きなリスクです。
趣味の時間を持つ、十分な睡眠をとる、悩みがあればスタッフや家族に話すなどして、心の安定を保つことも治療の一環で、完璧な数値を目指して神経質になりすぎるよりも、長く続けられるペースを見つけることが大切になります。
毎日の生活で確認したいチェック項目
- 今日のお通じはありましたか?(便秘はカリウムの大敵です)
- 野菜や果物の量は適切でしたか?調理法は工夫しましたか?
- 処方されたお薬は飲み忘れていませんか?
- 手足のしびれや違和感はありませんか?
- 次回の透析まで体重増加は許容範囲内ですか?
緊急時の対応を知っておく
どれほど注意していても、体調の変化や予期せぬ食事などで数値が急上昇することはあり得ます。
もし、自宅で強いしびれや動悸、胸の苦しさを感じた場合は、我慢せずに救急車を呼ぶか、かかりつけの病院へ直ちに連絡を取ってください。次の透析まで待とうという判断が命取りになることがあります。
ご家族とも話し合い、緊急時の連絡先や対応方法を事前に確認しておくことで、万が一の事態にも落ち着いて行動することができます。
よくある質問(FAQ)
- カリウムが高いと言われましたが、野菜は全く食べてはいけないのでしょうか?
-
全く食べてはいけないわけではありません。野菜には食物繊維やビタミンなど、体に必要な栄養素も含まれています。
大切なのは量と調理法で、生野菜は避け、茹でこぼしをしてカリウムを減らした温野菜を中心に摂取したり、カリウムの少ない野菜を選んだりすることで、食事に取り入れることができます。
医師や管理栄養士と相談し、ご自身の検査データに合わせた適切な量を把握することをお勧めします。
- 水をたくさん飲めば、カリウムやカルシウムは尿として出ますか?
-
透析を受けている患者さんの場合、水を飲んでも排出効果は期待できません。腎機能が低下しているため、水分を多く摂取しても尿量は増えず、むしろ体内に水分が溜まって心不全や肺水腫を引き起こす危険があります。
また、カリウムなども尿から出ることはほとんどありません。ご自身の尿量(自尿)がどの程度残っているかにもよりますが、基本的には水飲みによる排出はできないと考え、決められた水分制限を守ることが安全です。
- カルシウムのサプリメントを飲んでも大丈夫ですか?
-
自己判断でのサプリメント摂取は避けるべきです。
透析患者さんはカルシウムとリンのバランスが非常にデリケートであり、サプリメントでカルシウムを補うと、高カルシウム血症を引き起こしたり、血管の石灰化を進行させたりする恐れがあります。
病院で処方されるリン吸着薬の中にはカルシウムを含むものもありますので、全体のバランスを医師が計算して処方しています。健康食品やサプリメントを希望する場合は、必ず主治医に相談し、許可を得てからにしてください。
- バナナやメロンが大好きです。透析日なら食べても平気ですか?
-
透析直前であっても、一度に大量に食べることは危険です。食べた直後からカリウム値は急上昇し、透析開始までのわずかな時間でも心臓に負担をかける可能性があります。
どうしても食べたい場合は、透析の前半ではなく、量を極力少なくし(例えば薄いスライス1切れなど)、回数を減らして楽しむ程度にとどめる工夫が必要です。
以上
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